2020/8/20 餓鬼岳・燕岳・常念岳
- GPS
- 30:23
- 距離
- 45.4km
- 登り
- 4,307m
- 下り
- 3,793m
コースタイム
- 山行
- 6:20
- 休憩
- 2:23
- 合計
- 8:43
- 山行
- 8:18
- 休憩
- 2:49
- 合計
- 11:07
- 山行
- 9:55
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 10:55
天候 | 晴れのち曇り、時々雷雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2020年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
松本から大糸線で信濃常盤 信濃常盤からはタクシー(2700円程度) |
予約できる山小屋 |
蝶ヶ岳ヒュッテ
|
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ソフトシェル
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
日よけ帽子
着替え
靴
予備靴ひも
ザック
ザックカバー
昼ご飯
行動食
非常食
調理用食材
飲料
ハイドレーション
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
食器
調理器具
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ツェルト
ストック
ナイフ
ポール
テント
テントマット
シェラフ
携帯トイレ
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感想
以前より餓鬼岳に登ってみたいと思っており、さらに燕・常念縦走もしたかったので、今年の夏休みは白沢登山口から餓鬼岳を経て常念山脈を蝶ヶ岳まで縦走し、上高地に下山という計画にした。
当初は、餓鬼岳小屋泊、大天荘泊、蝶ヶ岳ヒュッテ泊(いずれもテント場)の3泊4日で考えていたけど、最終日の行程が楽すぎるし、日曜下山で翌日から仕事というのは避けたいので3日目に蝶ヶ岳を経て下山までしてしまうことにして2泊3日とし,しんどかったりなにかトラブル発生したら予備日が1日あるみたいな構えとした。
自宅から白沢登山口は遠く、元より縦走なので車は使えないため、仕事を終えた水曜に一度帰宅し、シャワーを浴びてザックをとってバスタ新宿発の最終バスで松本へ。21:45発で翌日の深夜1時頃に松本駅前に到着。計画段階では松本駅周辺のネカフェで仮眠するつもりだったが、直前に再度調べたところ「COVID-19感染拡大地(神奈川・東京など)に立ち入った方は利用をご遠慮ください」的な案内があったため、ネカフェ利用はあきらめ5:56の大糸線始発まで松本駅構内で適当に時間をつぶすこととなった。一時間程度大糸線に乗り7時前に信濃常盤に着く。車窓から常念山脈がよく見えた。事前に予約しておいたタクシーに乗り15分程度で白沢登山口へ。迎車料金200円がかかっても2700円程度であった。手前の駐車スペースには何台か車が停まっていた。
ストレッチなど準備をし、登山届をポストに入れて7:30から歩き始める。
沢沿いに標高を上げていくルートで、沢を渡る場面は何度もあるが、鉄や木の橋がかかっているのでさほど問題はない一方、足の幅くらいしかない岩盤のへつりとか、なぞのはしご、かなりの高度感ある場所でも桟道めく木橋が張り出していたりして、一定の緊張感を求められる危険な道だった。とはいえそういったアスレチック感を楽しんでるうちに程なく最終水場となる。今回の全行程において冷たい沢水を好きなだけ飲める最後の機会で、メインのハイドレーションとバックアップ用の500mLボトル2本分に加え、手持ちのスポーツドリンク飲みかけにも注ぎ、合計3.5L補充しておいた。ここで荷物を重くしすぎて消耗したというのもあるかもしれない。初日の上りが標高差で1500mもあるのでかなりつらいだろうなとは思っていたけど、最終水場から大凪山までの登りが急登で石もゴロゴロしており、そのうえアブがしつこくたかってきて大変だった。この間に1パーティを抜いたほかは、下山者とのすれ違いが2〜3回あったくらいで人は少ない。大凪山山頂とある道標は地形図におけるトゥルーピークとは違う場所にあるように思えた(かなり手前にある)けど、これ幸いと休憩した。そこから束の間のなだらかな尾根歩きとなるが、「百曲り入口」以降はその名の通りつづら折りの道でまたどんどん標高を上げていく。ひたすらつらい。天気は最高だったけどその分暑くて、早く涼風吹き荒れる稜線に出たいなどと思っていた。小屋直下のトラバースも地味に道が悪くてはやる気持ちを抑えつつ慎重に、みたいな。
なんとか初日のゴール餓鬼岳小屋に到着。1000円支払いテント場(要予約)使用の手続き。500円で500mLのコーラも買ってしまった。テント場ではすでにソロの方2張があった。石のないいい床。テントを設営し終えるといきなりガスってきた。ちょっと一休みと思って横になったら気絶したかのように数十分寝てしまう。あれ寝てた? とふと起きたらまた青空が広がっていたので小屋から5分程度上がって餓鬼岳のピークを踏む。常念山脈の東側まで雲が上がってきており、そろそろ山脈もガスに包まれそう、といった景色だったけど、燕岳のような花崗岩の美しい連なりが見えたし、その右手には北アルプス北部の(裏銀座の?)山々がきれいに見渡せ最高の景色だった。
テントに戻りゆっくり過ごし、17時頃に食事の準備をしようとするが、高山病症状の「山酔い」なのか頭痛と吐き気がしてくる。レトルトの鯖味噌を温めたけど、今こんなの食べたら絶対もどしちゃうなというきもちわるさなので、ホットレモンでロキソニンを飲んでとりあえずシュラフに入る。明日もそれなりにハードな行程だし食べられないと続行不可能だな参ったななどと考えながらうつらうつらとしていると、エネルギー切れのためか寒気がしてきて、ダウンも着て、念のためシュラフカバー代わりに持参した内側がアルミかなんかになってるビビィをシュラフに重ねる(シュラフがモンベルの#5なので、寒いかもという不安はあった)。ダウンにしてもビビィにしてもてきめんに暖かくなる効果は感じられるものの寒いことは寒い。19時を過ぎたところで薬が効いたのか頭痛がきれいに治り、なんか食べられそうな感じになってきたので即座に食事の支度をしていっぱい食べる(鯖味噌、おにぎり、わかめスープ、野菜ジュース、ミルクティ)。体調が回復し栄養も入れば身体は温かく、もう下山までビビィ不要であった。予定より寝る時間は遅くなったけど体調回復して本当によかった。いい床なので質のいい睡眠ができた。
2日目は5時出発のつもりだったけど、テントだと毎度睡眠の質が悪くて途中で起きるのであえてめざましの必要もなかろうとなにもしないでいたら5時まで寝てしまった。今回から導入した100均のトラベルピローが活躍してくれてよく眠れたぽい。朝食をとってテント撤収。すでに明るくなっており、雲海の上というすごい景色。出発は6時半になってしまった。
餓鬼岳まで上がればそこからずっと気持ちのいい稜線歩きかというと全くそんなことはなく、東沢岳までの道もすさまじいものがあった。「アスレチック第2部〜高山編」とでも言うべきもので、昨日よりもさらに高度感のあるロケーションではしごや木の棒一本の足場があり、岩をよじ登って尾根の東西に出ながらじりじり進むというような。ただ、白沢からのルートの終盤は木製のはしごが今まさに壊れそうという感じのところもあったけど、こちらは全体的に頑丈だった。燕山荘は序盤からずっと見えてるのに、いきなりすごい下りがあったりしてなかなか近づかない。
東沢岳を越え、出発から3時間でやっと東沢乗越に着く。ここで燕岳方面に登る道が分からなくなってちょっと時間をロスした。中房温泉への道と直交するかたちで「←燕岳・餓鬼岳→」となってるはずが、中房温泉への道の反対側に明瞭な道があり、そっちに行ってしまった。しかしそこにはビバーク適地みたいな小広場があるだけでその先へは道がなく、ここの広場のどこかから尾根にとりつくのかなあと探しているうちにどこもかしこも道に見えてきて強引に深入りし、でもやっぱりこれはおかしくない? などと右往左往していた。すると運良く燕方面から降りてくる人の熊鈴の音が聞こえ、その人がどこから出てくるか見極めようと待つことができた。本当にラッキー。その方は早朝発で中房温泉を出て、燕岳を経由してもうここまできて、今日は餓鬼岳小屋まで行くとのことだった。無事に道もわかりまた尾根に上がるが、ここでも400m以上標高を戻さないといけないのでかなりつらいものがあった。さらに、「山の天気予報」によれば昼前から曇りになり午後には雷雨とあり、予報通りすでに雲がちになりつつある。1時間半ほどかかってやっと稜線に上がり、まだ雲の大部分は常念山脈にせき止められていて西側の眺望はすごいが、そちらもその奥は積乱雲だらけであり、北アルプス全体で積乱雲が発達してるような状況でもあった。ここからやっと比較的歩きやすい道になるものの、正面の岩に猿が座って睨みをきかせている脇を目線を合わせず通る場面があったりし、また、この辺のザレた感じのトラバースが本当に苦手で慎重にならざるを得ずタイムも巻けない。そうこうしているうちについに雨が降り出す。まだ雨脚よわいので(レインウェアとか省略して)このまま燕山荘に逃げ込みたいとペースをあげる。ライチョウにも遭遇しつつ北燕岳は巻き、燕岳も2年前登ってるから巻いてもよかったんだけどなんかもったいないので一応山頂寄った。ここまでの道と一転して混雑。山頂でついに雨が本格的になり、みんな上下レインウェアを着たりしていたが、面倒なのでそのまま燕山荘に急ごうとするものの、ちょっとした渋滞となる。そしてついに稲妻が走る音がわりに間近で聞こえるようになり危険な雰囲気に。みんなして急いで燕山荘に向かう。渋滞がもどかしい一方、こういう怖い場面でひとりじゃないという心強さもあった。微妙な心境であった。
このような状況もあり燕山荘の受付付近はかなり「密」になっていたので、さっさとザックを棚に置いて食堂に入る。そこからもうガンガン雷鳴がして雨も土砂降りになったので間一髪といってよかった。また、こういう雨宿りが必要な状況でちょうど燕山荘という随一のホスピタリティを誇る巨大山小屋にたどり着けたのはタイミングがいいといえばいい。計画段階では昼食を小屋でとることは考えてなかったけど、食堂に入ったからにはということでビーフカレーをいただく。また、登り返しで消耗して口渇感があったので「燕山荘に着いたらコーラを飲むぞ」と思っていたのでコーラも買ったけど、むしろ食事を注文した人が飲めるフリーの熱いほうじ茶がやけにおいしかった。冷たいものをがぶがぶ飲みたいときにあえて白湯とか飲んだ方が吸収がいいのかも??
大天井までの稜線歩きは晴れていれば最高だけど、雷雨の中で歩くのは危険すぎるだろうから、天気の好転を待つしかない。なんだかなんだで食後のココアまで飲んで1時間以上休憩(落雷の関係でお湯が沸かせないためコーヒーはいつ提供できるかわかりませんと言われたので牛乳を温めるメニュとなった。山の上でちゃんと牛乳で作ったココア飲めるとか最高)。このまま天気が回復しなかったら燕山荘泊で明日中房温泉に下山なのか、とも検討するが、2年前に宿泊したし合戦尾根の下山でいきなり計画終了というのはあまりにも不本意。それだったら今日下山でもいいし。とはいえ大天荘まで3時間見るとすれば、14時には決断したいところ。14時頃に次第に雷の音は遠のいていき、一気に日差しが復活して燕岳も雲が取れ完璧に照らされた姿を見せる。大天井方面はまだ雲がちだけど、雷雲は去ったであろうということで水を1L補給し14時半前に出発。歩いているうちにも天気はどんどんよくなり、表銀座縦走の醍醐味といえる最高の尾根歩きとなった。ホシガラスがやたらといて間近で見ることができたし、ヤマナメクジが登山道の真ん中にいたりした。2年前に燕山荘から大天井岳ピストンしたときに大天荘への最後の登りで苦労した記憶があったものの、昨日餓鬼岳に登り、今日も東沢乗越から400mの登り返しを済ませた身にとっては標高差200m程度はもう大きな障害ではなかった。実際、今回の方がテント泊装備で重量あるにも関わらず、記録を見返すと前回より10分以上早く登れていた。この2年で強くなったのかと思うとうれしいものの、実際にはトレッキングポール導入がすごく効いてる気がする。
中房に下山することにもならず計画通り来られて本当にうれしいし、大天井岳からの眺望も素晴らしかった。大天荘も(テント泊なので数歩しか足を踏み入れていないとはいえ)素敵な山小屋で、なんだか大天井岳大好き、という心境になった。今日はもう山酔いもなくテントで快適に過ごす。夕食に持参したフリーズドライの「ガパオリゾッタ」というのはイマイチ好みではなかったが。大天荘のテント場(予約不要)はテントも多く、19時には寝たかったけど周囲の人々は19時に寝るつもりもはなからない感じで方々で話し声が聞こえるので21時くらいまで寝られなかった。ソロで誰とも会話してないけど、漏れ聞こえる会話は「さっきの雷雨はすごかったね」という内容で、一方的に盗み聞きしつつ、同じ運命を生きているのだなあと勝手に共感していた。
最終日は大天荘から蝶ヶ岳を経て上高地に下山するものの、手配済みのバスが16:10発なのでそこまでにバスターミナルに着きたい。4時から歩けるよう3時前に起きる。ものすごい星空で感激。山で星空を見ると必ず視界の端で流れ星が落ちるんだけど、あれは本当に流れ星なのか、流れ星を見たいという願望が見せる「飛蚊症」的なものなのか気になるところ。朝食を済ませてテント撤収。かなり手際良くやったつもりなのに4時に出発できなかった。単独行とはいえ決めた時間に出られるようにしたい。しかも、まだ真っ暗なのでヘッドランプで歩き始めたがいきなり道が分からなくてちょっとうろついた。昨日の明るいうちに下見などするべきだったのであろう。ちょっと時間をロスしつつ、無事に常念への道を歩き始める。歩きながら迎える夜明けは最高の体験だった。槍ヶ岳などを含む穂高の稜線が徐々に明るくなっていき、かたや雲海が広がるすごい景色。道が歩きやすいのも最高。やはりホシガラスが多い。「東天井岳分岐」の道標が、横通岳の方まで行ったすごく遠くからもいい位置で見える感じもすごくかっこいい。
早朝ではあるが、常念乗越からは空身で常念岳を往復している人やトレランスタイルの人が多くいた。常念岳の目の前にそびえている感じがすごい。天気もよかったので山頂からの景色は素晴らしかった。また目的地の蝶ヶ岳ヒュッテも見渡せ、この先は結構なアップダウンがあってしんどそうなこともよくわかった。8時頃に常念岳から蝶ヶ岳方面に向かうがいきなり私が最も苦手とする大きな岩がゴロゴロした急坂で、ものすごい速さで下っていく人に抜かれながらもどうやっても慎重に降りてしまって時間がかかる。16時上高地間に合うのか? という雰囲気もありつつ、巻けるところはなるべく急ごうという方針で歩く。登りの方が一定の心地いいペースで足を動かせる感覚があったりもした。2592ピークを過ぎ再度蝶槍に登り返せば、今回の行程における登りはもうほぼ終わり。11時に蝶ヶ岳ヒュッテ着。ここから標準コースタイムで上高地バスターミナルまで5時間なので、間に合いそうな安心感が出てきた。エネルギー補給ということで小屋のカルボナーラをいただく。長塀尾根の下りは長くて退屈ということを除けばなんの問題もなく歩きやすい。たまに不気味な池があったり、アサギマダラやカエルと遭遇したり、あざやかな色のキノコがあったりと楽しめる要素もあるにはある。昨日同様の天気予報でまた正午を過ぎると雷雨になるようで、後方でまた雷の音が聞こえる。しかしまあ距離がありそうだしもうだいぶ降りた樹林の道なのでそこまでの恐怖はなかった。梓川の河岸の日に照らされて白く反射するのが見えてくるとゴールは近い、と思いきや、そういうのが見えてからも結構時間はかかった。徳澤園でコーヒーソフトで休憩。もう下界感覚だけど河童橋まで何kmもあるのが地味にしんどい。上高地はうつくしい場所だけど、ひたすらの平面移動も途中で退屈になり歩きながら寝てしまいそうだった。さほど時間的余裕はないが、3日間着たきりのままバスに乗るわけにもいかないと思え、小梨の湯で清潔にして着替えることを楽しみにしていたものの、COVID-19の影響にて外来入浴は中止していた。ならばバスターミナルのコインシャワーを、と向かったが、そちらも中止。残念。仕方ないので着替えるだけ着替えて、無事に予定通りのバスに乗車。中央道にしては渋滞もなく順調に新宿に到着。バスで携帯電話の充電できるのがとても良い。
ロングルートを2泊3日で歩けてよろこびが大きい。やはり白沢登山口から東沢乗越までの、燕岳以北の独特の雰囲気とてもよかった。燕岳から常念岳までの稜線歩きは最高というほかない。蝶ヶ岳までは思ってたより大変だった。餓鬼岳の登りキツかったのでそう何度もやりたくないけど、唐沢岳という宿題も残してあるのでまたの機会があれば。
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