スゴ谷-鳶谷下部ゴル探検-スゴ一ノ谷右俣-薬師岳-折立
- GPS
- 33:12
- 距離
- 43.5km
- 登り
- 3,786m
- 下り
- 3,782m
コースタイム
- 山行
- 4:05
- 休憩
- 3:00
- 合計
- 7:05
- 山行
- 8:42
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 8:42
- 山行
- 7:32
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 7:32
- 山行
- 7:06
- 休憩
- 1:51
- 合計
- 8:57
全体に、登れない大滝がビシビシとあり、捲きのルート取り、小さくやり過ごす登攀力、すべて問われる深山幽谷。
天候 | 霧、霧、霧、晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
ファイル |
(更新時刻:2020/09/23 20:39)
(更新時刻:2020/09/27 21:27)
|
写真
装備
個人装備 |
ハーネス+メット
フェルト地下足袋
シュリンゲ+ビナ+ 確保器
防寒具
カッパ
シュラフカバー
マット
水筒
その他沢個人基本装備(ナイフや灯り地図磁石)
|
---|---|
共同装備 |
ツエルトかタープ
ストーブ(非常用)
バイルハンマー
ハーケン
焚き付け+ライター
ロープ50m
|
感想
初日:堰堤だらけのスゴ谷下部通過
コロナ休止半年ぶりの山。長良川河畔の松宅に国鉄+バス乗り継いで前夜泊。未明にガオロさんお迎えで4時間費やし折立へ。4連休で広い駐車場みっちり。カルデラ工事作業林道を徒歩で2時間半、数十台のトラックに抜かれすれ違い、スゴ谷出会いへ。
デカい堰堤とサル軍団のお迎えだ。堰堤を越え、小瀧を超え、巨大取水施設までは水が殆どない。巨大取水施設のコンクリ壁は超えられず、左岸を大きく巻いて、美しい函滝群もまとめてまく。泥の傾斜にポキポキの草を押さえて、足の親指一本をねじ込ませて立ち込むようなトラバース2箇所ほど通過。松っちゃん、こんなとこよくノーザイルで抜けるよなあ。でも地下足袋の親指一本が効くのだ。今回は3人とも秀岳荘のフェルト地下足袋という足ぶれ。
一の谷、二の谷の二股にちょうどよいテン場。人造物多かったけど、谷はサスガ深山奥山だけある風格。松の奥様が握ってくれた玄米おにぎりの腹持ちがすごく効く。
二日目:鳶谷探検
松が久しく地形図に印をつけていた、鳶谷のコンタ1500m付近の大きな「コ」の字屈曲部にゴルジュを求めて出かける。テン場を出るとすぐに美しい二条の滝。なのにその後巨大堰堤が連発。どこから作りに来たのかと思えば上流から林道が伸びてきている。その道は、トンネルからやってきていた。今も進行中。最上流の「第五谷止」というところでは、これからコンクリ流し込みという段階だった。今日は作業休みのようでパトロールに来ていた大型のクマに会った。
現場をあとにすると、10mほどもある墓石を架けたような石橋のある珍しい場所がある。美しい岩盤と小滝の連発をすぎて鳶谷出会いへ。狭く、秘密にふさわしい入り口だ。程なく狭い割れ目にひょろりと水流をくねらす20m滝1500m。右岸の岩壁の左の草付きをがおろさんがメキメキ登る。ハング気味のバンド状を右へ進み、安定のバンドへ15m。2p目は傾斜はないが滝の横の岩面を15m上がる。滝の上も岩盤ヘツリや滑床が続き、美しい沢だ。さて問題の「コ」の字エリアは、両岸おっ立った岩壁ではあるが、地形的に困る狭さにはなっていなくて、すっと通れてしまった。探求を終え、二股で一服して引き返す。この沢の記録は松によれば「わらじの仲間」でも活躍された矢本氏のパーティーが1994.8に溯行し立山カルデラに抜けた記録一本だけとのこと。下流部堰堤だらけになる前のことなのだろう。
20m滝を懸垂して下り、工事現場へ戻る。帰りはこの林道を探求して歩き、このあと遡行する一の谷へ。そこでは、高さ数百mの法面をコンクリで硬め、林道は土手っ腹のトンネルに消えていた。ここからテン場の二股へ巨岩の沢を下り、荷物を取ってまた戻る。
工事現場をあとに登るとすぐ、1360mに20m滝。両岸で男女が向かい合い、鼻を付けているように僕には見える。少しゆっくりしてから右岸の草付きルンゼを上がる。足場は決まるが、結構登っても右側の崖がついてくる。結果、尾根を上がって超えるほどの大きな高巻きになった。途中、藪の中の幅50センチほどの安定したふわふわのバンド上で頭骨を見つけた。形、大きさとも人類のものと思われる。どんな境遇だったのか手を合わせお経を上げる。巧みなルート取りで、ロープ無しで降り立つ。その先の倒木がガッサリ溜まっている近くにテン場とする。整地すれば3人寝られる砂地あり。
三日目:スゴ一の谷遡行
巨岩の多い沢で、全身運動が続く。胎内くぐりで抜けるポイントもある。美しい函滝が延々続き、凡庸な河原が続かない。
1830のチョックストーンの滝20m。右岸のルンゼ草付きから右上のヤブへ取り付くあたりで先頭の松が頭くらいの落石2,3個もろとも転落して5〜6mでつかんで止まった。脇を打ったようでこのあと肋骨の痛みが続いた。
その後、登れない連瀑帯が2100m付近から現れ、延々右岸の藪こぎ高巻きになる。太い笹にハイマツも現れ、久しぶりのマジ藪こぎ。標高差100m以上は漕いだと思う。弱点を探してようやく水に戻り、2350二股で、樹林もなくなった。泊まるならこのあたりが限界というあたりでテン場。後半の連瀑帯は予想外だった。
巨岩を馬鹿力でどけて、三人分の寝床を確保。ただ風が吹き抜け、寒い夜になった。雨は幸い山行中一滴も降っていない。夜は星、富山平野の明かりが輝いている。寝袋無しで来たので震えて眠る。
四日め:薬師岳〜折立
C3より上は快適に高度を稼ぐ。源頭はヤブなく助かった。巨ガレ登りで劔立山が見え始め、稜線に出た。北薬師の山頂にも縦走登山者多し。がおろさんお知り合いの文登研のお二人に会う。久しぶりの晴天でどこまでも見える。信州を遠く離れてしまった気がしていたが、槍や鹿島槍がすぐそこに見える。薬師岳のカール底にはモレーンも見える。赤牛や水晶、鷲羽、唐沢岳など、ここ数年の山行のラインを眺める。中腹の、誰も行かないところにテーブル湿原があちこちにあって興味を引く。がおろさん、あそこも滑ったこと有るそうで。
薬師如来像に手を合わせ、南無阿弥陀仏を10回。20年前、鳶沢登ってここに一緒に来た梶田さんを思い返す。その後、滝のヘツリで落ちて死んでしまった。
フェルト地下足袋の底フェルト消耗防止の為、手編みのポリ紐わらじをつけて登山道を下る。4連休でもあるし、小さな子供もいる家族登山が何組も居た。駐車場に戻るとお隣さんの若い女性二人組は出発時と同じ人だったのでごあいさつ。沢登りも嗜むそうで、松ちゃんの知り合いを知っていた。岐阜の北までまたがおろさんに載せてもらってバスで岐阜へ、国鉄で名古屋へ。栄の八百屋「ぴぴっと愛知」が、21時までやっていて助かった。自転車こいで帰宅して、半額レタスとミニトマトにかぶりつく。下山で食いたいのは、前は肉だったけど、最近は生野菜。
今回の、4日間に渡るスゴ谷溯行に求めたのは|録泙埜加な一支流、鳶谷の「鳶口(とびくち)ゴルジュ」と、一ノ谷の右俣奥に垂れる滝の解明にあった。
スゴ谷は凄谷であったか? 極端な難しさはないにせよ、地図で想像する以上の渓相ではあった。あれ程取り組めず捲かされる滝の連続は、高瀬川西沢以来か。
‘韻(名の)鳶谷でこうも違うか!という程に、西隣に流下する鳶谷とは性質が対照的であった。ゴルジュに関心ある向きには見て見ぬふりの出来ない地図上地形を含む今回の鳶谷は短くはあったが雰囲気ある典型的ゴルジュを成して、わざわざ訪れて取り組む甲斐ある谷であった。二十年来思い焦がれたゲジゲジだったので、通過が許された際には心底満足し、下降にも痺れた。
一ノ谷右俣は、すぐ西隣の鳶谷からは想像もできないほどに悪相の滝が断続的に現れて苦しめられた。それを思うと隣の岩井谷支流鳶谷は捲き無しオールフリーの易しい谷だった【2001.8】。今回捲いた滝にも取り組む余地はあったので、良いスタイルでの再登報告を待ちたい。
いつもの米松コンビに加えて今回は、攀じれる男Gaoro氏の参加をみてゴルジュの通過を許されまた、悪い滝群を足下にして無事に山行を終えることができた。
緊張から解放されて眺めた山脈を前に、次のアイデアが浮かんだ。
三人に共通項のある、腹にグッとくる三日山行計画が出来上がったので、来秋にまた是非御一緒願います。
久々の充実山行でした。
次までに少しは鍛えておこうと思います。
https://sspaces.exblog.jp/29194851/
コメント
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ご無沙汰しています米さん、久しぶりの沢見たいですね。
沢でのたき火は、やっぱり良いですよね
燃料代も掛からないし、体もあったまる
たき火最高。
お久しぶりです。今回シュラフカバーだけで、寝袋省略だったので夜は震えて寝ました。火にあたって蓄熱して。コロナで半年ぶりの山です。
沢ヤ様
コメントありがとうございます。森吉・様の沢の九階の滝をごく最近登られたんですね、素晴らしい。 どうやらあの大西氏もこの夏登ったようです。
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