北アルプス/双六岳〜笠ヶ岳
- GPS
- 56:00
- 距離
- 35.4km
- 登り
- 2,735m
- 下り
- 2,734m
過去天気図(気象庁) | 2012年08月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
北アルプス/双六岳と笠ヶ岳 新穂高温泉から双六岳で折り返して笠ヶ岳登頂 テント泊 単独
8月5日(前日)
新穂高温泉…去年の10月に1泊2日で槍ヶ岳に登った時以来です。
その間、ひらゆの森には1.2度行ったような気がしますが栃尾温泉より奥に行くのはおよそ1年振りです。
この新穂高温泉を登山の起点にする場合、メリットとしては手前の平湯温泉郷にある爐劼蕕罎凌広瓩領臆泉に入れるということと、下山後の贅沢な食事を同温泉郷内の爐△鵑屋瓩気鵑膿べられるという点です。
逆にデメリットとしては狠鷦崗譴心配瓩箸いΔ海箸任后
ですから、無事に自家用車を停められれば後は心配事ナシ!
…なのですが…
停められるか否か
は行ってみなければ分かりません。
なにぶん予約などできない…だけど有難い市営の登山者用無料駐車場なのですから…。
そんな訳で仕事を早々と切り上げ、自宅滞在時間20分。シャワーを浴びて着替えただけで出発。
いつものように東海環状自動車道の豊田東ICから東海北陸自動車道にスイッチし、ひるがの高原PAで爐韻い舛磴鵑Δ匹鶚瓩陵漆を摂り、建物入り口の左手にある水場で1ℓ給水(ハイドレーションパック用)し、中部縦貫道の高山終点で降り、同市内の24時間営業のGSで給油し、いつも立ち寄る交差点のサークルKで朝食と昼食と常温保存できる食料を補充し、何とか午前0時前に新穂高温泉の無料駐車場にピットイン出来ました。
とにかく駐車できて安心しました。道中駐車できるかどうか心配だったので眠くならなかったのも幸いでした。
バス停方向の出口に一番近い区画に駐車したので、その間駐車状況を見ながらゆっくり構内移動しましたが、2.3割は空いていました。
※朝起きた時も見渡した限りでは数台の空きがありました。しかし、下山してきた時に数台路上駐車の車もあったので時間帯によっては100%超えしたと思われます。
日曜日の深夜ということで空いていたというところもありますが、私いきつけの山道具屋さんの情報によると午前0時から1時がギリギリラインでそれ以降は難しい…と。土日前日なら午後3時から5時の下山者が帰る頃の入れ代わりじゃないと厳しいと思います。
新穂高温泉周辺にはいくつかの有料駐車場もありますが、料金が高いし…特別登山口に近いわけでもなく…あまりメリット無いですし…ましてや路上駐車は私の正義が許さないので選択肢がこれしかないのです。
なんとか停められた安堵感の中、翌朝の出発の準備とコンビニで仕入れた食料をパッキングしてから荷台の寝袋に潜り込んで仮眠しました。
が、
雨が降ってきて、時折私の軽自動車の薄い天井の鉄板を叩きつける激しい雨音…
「寝れんっ!」
何度もその音に起こされつつ、
8月6日(初日)
5:00
自家用車の荷台の寝袋から這い出ました。
まだ、小雨が降っていました。
私は寝起きの胃に無理やり朝食のパンをコーヒーで流し込みながら、雨具を装着して次々に出発していく数人数組の登山者を自家用車内から見送りました。
「中止…するか?…それはないな…多分昼から晴れるし…」
前日の天気予報ではむしろ昼から40%雨でしたが、そう思わないと出発する気力がなくなるので…。
日帰りだったら帰ってしまうかもしれませんが、今回は3日間の予定ですし、予報では2日目と3日目は降水確率30%以下でしたので私も車内で雨具を装着し、ザックを背負って駐車場をあとにしました。
駐車場から国道までの抜け道から出ると、バス停の風景が一変している事に気づきました。
「あれっ…登山相談センターがないし…」
バスターミナルと相談センターのあった2階建ての建物が綺麗さっぱりなくなっていたのです…。
「もしかしてトイレも…」
バス停のトイレで朝のお勤めをする事も予定に入っていたので心配しましたが、トイレ棟だけは以前のままそこにありました。
でも、
「相談所の前の自販機で下山後のミルクセーキ買えないジャン!」
それがちょっとショックでした。
「あと、登山計画書は何処に出そう…まぁわさび平小屋で出せばいいか…」
そんな事をツブやきながら、
6:07
気温22度 気圧891hpa 高度計を1200mにセットし、
小雨の中をひとりトボトボ歩き始めました。
今回は初めて左股林道を歩きます。ですからバス停の横にある橋を渡るのも人生初です。
歩き慣れた方にとってはただ気だるいだけの林道でも私には新鮮でした。
しばらく歩くと、車止めのゲートの前に登山届けポストがあったので、用意しておいた計画書を投函しました。
雨は降ったり止んだり…頭上の景色もガスで見えず…本来なら3日目の朝登頂するはずの笠ヶ岳2897mの頂が見えているはずなのですが・・・。
今回、何故笠ヶ岳に行こうと思ったのか?
それは年間を通じて訪れている爐劼蕕罎凌広瓩ら見えている唯一の有名な山頂だからです。
一度その頂に立っておけば、次から見上げた時にその山頂の映像を脳内で再生できますし、
「えへへっ…俺あそこに立ったんだぜぇ〜!」
と奥様や家族に自慢できるからです。
基本的にはピークに立つ事を真の目的としていない私の山行も、今回ばかりは
爐修海卜つ!
ことを最大の目的としたのです。
7:15
わさび平小屋に到着しました。
予定ではここでハイドレーションパックに水を1.5ℓ補給しようと考えておりましたが、着いた途端に雨が本降りになったので、小屋の軒先で雨宿りしながらパスしようと考えました。水場に行っていないのでわかりませんが、看板によると水場は樹林帯の中にありそうだったので、そこでザックを開きたくなかったのです。それに爐劼襪の高原PA瓩琶箋襪靴真1ℓもほとんど手付かずだし…今回は給水ポイントたくさんあるし…。
雨宿りしていても一向に回復の兆しはなかったので、再び雨具のフードを被って出発しました。
その後は小雨だったり止んだりの天気。
7:51
小池新道登山口を通過しました。
ここでやっと林道歩きは終了です。
沢の右岸が鏡平へと続く登山道です。
相変わらず頭上の景色はガスで隠されていて何も見えません。目指す場所の方向を地形図から想像する事しかできず、ただひたすら一般登山道をトレースするしかありませんでした。
8:40
秩父沢に到着。
看板がありましたし、目の前が沢なのですぐに現在地を確認できました。
しかしっ!
沢の水は何だか白っぽい…。雨で土壌から溶け出した私の知らない成分が混ざっている状態…。
地形図だとこの先にも水場があるハズだったので、先に休憩していた若いお嬢さんに
「今、降りてこられた方ですか?」と聞いてみると
「ハイ…」(何だこのオッサン…)
「あのぉ〜…この先にも水場があると思うのですが、水は汲めそうでしたか?」
「ありますが、ここと一緒で濁っていますよ」(なんだそんなことか…)
「そうですか、有難うございます」
と。
これより先の天然の水場は、今夜の野営地である狒佻讃屋(すごろくごや)瓩泙任覆い里如諦めて白濁した天然水を満タンに給水して、挨拶代わりにシェラカップで掬い取った白濁した水をその場でガブ飲みしました(笑)
歩き出してすぐに次の水場を通過しましたが、状況は変わらず。しかし、沢自体は小さいものの涸れそうもないほどの水量がありました。
途中にインパクトのある地名が書かれた岩が・・・。
決して爛鶚瓩鮟颪入れないでください!
大変な事になりますので(笑)
私が学生ならこのネタで半日は仲間と笑っていられる自信がある。
9:50
シシウドが原に到着しました。
不勉強なので良く分かりませんが、おそらく辺りに生えている植物の名前に由来した知名なのだと勝手に判断しました。
ここにはしっかりした作りのウッドベンチが3脚あったので、ザックを下ろして雨具も脱ぎました。上空の様子に全く変化はありませんでしたが、幸い小雨も止んでいましたし何より秩父沢からの登りで少し暑くなって邪魔になっていたからです。
雨具を畳まずにザックの本体と雨蓋の間に挟んでから出発しました。
しばらく歩くと、木道と池塘のある庭園のような空間に出ました。
「これは間違いなく鏡平の始まりだ…間違いない…」(キリッ)
そう確信していい気になっていると、その空間の出口付近に
犇席織泪500m
と岩に書いてありました。
私「……」
そしてついにガイドブックに良く載っている狒筌岳が写り込む畭腓な池塘がある空間に出ました。
池塘に沿って、豪邸の基礎部分くらいありそうな広大なウッドデッキが設置されているとても開放的な場所でした。ここには登山者だけでなく、有名な構図の写真を撮りに来るカメラ好きの人も多いと聞きます。
ここは最高でした。この時は曇天だったので槍ヶ岳の写り込みは撮影できませんでしたが、
「ここに月が写りこんだ夜も最高だろうな…」
などと想像するだけでも気分がアガります。和歌で言うところの歌枕的な場所ですね。
あまりにも居心地が良いので、ウッドデッキに狢腓了瓩膿欧壇召ったりして今にも雨を再開しそうな黒い雲を見て休憩しました。
その場を立ち去るのが惜しかったので結局そこでコンビニで仕入れたおにぎりも食べました。
そのままそこで寝てしまいそうな勢いだったので、そこは心を鬼にして歩き出しました。
徒歩1分かからず鏡平小屋に到着しました。ここも点在する池塘に囲まれた非常に風光明媚な場所に立つ別天地でしたが、先ほどの余韻が残っていたのですでに新鮮な感動はなく、トイレだけ借りて早々に出発しました。
ちなみに鏡平小屋にもウッドデッキにウッドチェアセットがたくさん設置された休憩所があり、生ビールも飲めますしカキ氷も食べられます。私の行程上では場所が中途半端なので長居しませんでしたが、ここまで旅行気分で来ても2泊くらいはぼんやり過ごせそうです。
11:18
鏡平小屋をあとに、池塘を縫うように作られた木道を歩いて出発しました。
この頃は一時的に晴れ間も出ていました
ここから弓折乗越まではコースタイム1時間の登りです。
弓折乗越に着けばそこが双六岳小屋から笠ヶ岳を繋ぐ稜線の登山道ということになります。
なかなかの急登ですが、すこし晴れてきて見晴らしが良くなってきたのでメンタル面では上々でした。
それに段々と小さくなっていく鏡平小屋が眼下にずっと見えていたので、一歩一歩に達成感も得られます。
ハッキリとした
爐海海らが森林限界
という境界線に気づきませんでしたが、
12:09
弓折乗越に到着しました。
ここにもウッドベンチが設置されていました。
明日は双六小屋からここまで戻ってきて、笠ヶ岳へと向かいます。
5分ほど休憩して出発しました。
稜線上の道沿いには
牴峺平瓠(多分そうだった気がします…)
という雪が池のように残った浅い窪地と高山植物が咲き乱れる丘(斜面)がある空間があり、それをゆっくり鑑賞できるようにここにもウッドベンチが数脚設置されていました。
この時には随分ガスが多くなり、いつ雨が降ってきてもおかしくない雰囲気だったので私は通過しました。
そしてその先には穂高側がスッパリ切れ落ちた崩落地のような場所があり、転びでもしようものなら延々天国まで転がっていってしまいそうな場所もあり少し下半身が涼しくなりました。
稜線上の道が穂高側から黒部方面側に切り替わりすこし主稜線から降り始めた時、ポツポツと小雨が再開し始めました。
「どうせすぐ止むだろう…」
と高をくくっていたら、突然本降りが始まりました。
テント泊では全ての衣類を出来るだけ濡らしたくないので、ザックに括り付けておいた雨具を急いで装着しました。
「メンドクセーナ…」
少し疲れ始めていたのでそういう気持ちもありましたが、この天気では一度濡れた衣類は完全には乾かないですし、狭いテントの中で濡れたものに囲まれて過ごすのは不快なので気を引き締めて基本行動を取りました。
一度雨具を着てしまうと
「さぁ雨よ、どんと来いっ!」
と切り替わるものですから我ながら単細胞な性格だと思います。
登りでは、雨が降っていないのに雨具を着ていれば汗で内側から濡れるし…。
装着するタイミングが遅ければ濡れたウェアの上から雨具をきることになりサンドウィッチ状態だし・・・。
諦めてずぶ濡れになれば後々絶対後悔しますし…。夏山と言っても高度2500m付近の高地では平地の春ほどの気温なので濡れれば寒いのです・・・死なない程度に…。
ひとつ言えることは
「山で雨に遭えば確実に濡れる」
当たり前ですが、平地での生活とは明らかに違う点でもあります。
やがて道は西側斜面をゆっくりと降下しながら斜面を伝うように作られていました。
そこを抜けると目の前に木道が現れ、ガスの切れ間にいくつかのカラフルなテントが見えました。
「すごろくにぃ〜〜〜、きたぁ〜〜〜!!!」
ここから、一気にモチベーションが回復しました。
ガイドブックで見たとおりの池があり、その先の斜面に何段かに整地されたテント場があり、右手の山と左手の山(こちらは双六岳)との間のコルに山小屋も見えました。
13:44
計画書より30分早く双六小屋に到着しました。
小屋の前のウッドテーブルセットで多くの人が生ビールやオリジナルのワンカップを飲みながらくつろいでいました。
玄関内のテント受付でテント代500円と缶ビール500円を支払い、テント場に戻って今夜の寝床を物色し始めました。
平らで寝やすく、折角の池が見渡せる絶好のポイントを探して…。
この瞬間、雨は止んでいました。
双六小屋のキャンプ指定地は大きく3段くらいの区画に整地されていますが、1段の奥行きと幅が広く尚且つ若干の傾斜と雨などが流れた跡の溝があります。余程神経質でなければ何処でも大丈夫そうですが、そんなに混雑もしていないので良い場所にテントを張って快適な夜を過ごしたいものです。
私は中段の中央にザックを下ろしました。中段とその下の段の境付近なので、その段差を利用して座ることもできますし、石垣に金網を張った構造なのでそこに濡らしたくない荷物を置いたりテントの張り綱を完璧に固定できます。このテント場自体が大きなコルのド真ん中にありますので強風が吹くこともあるでしょうからテントの固定は重要です。
「雨も止んだし、今がチャンス!」
今夜の宿は今回がデビュー戦の爛屮薀奪ダイヤモンド社ハイライト(2人用)瓩任后
シングルウォール構造プラス庇(ひさし)付きで、片側が全開放するイカしたヤツです。
ポールはインナーフレーム構造なので、とりあえず風に飛ばされないようにテントの4角をペグで仮止めし、前面パネルを全開放して上半身を室内につっ込みながらポールを室内角のグローメットに差し込みます。これは実際やってみると非常に簡単です。
でもそうこうしているうちに外に出していた下半身に冷たい雨が当たり始めました。
テントを立ち上げたら、急いでザックとザックの中身をテントに投げ入れました。
そして自分もテントに逃げ込みました。
「セーフ……?……。いやぁ〜、快適な夜を過ごせそうだな…テントに入っちゃえば濡れないし…タバコも吸えるし…ビールもあるし……外から他の人のビールの臭いもしてきたし…俺も飲もっかな…………」
「でも、ビール臭過ぎじゃね?」
「!!!!!」(はうっ)
「漏れてるし・・・」(ガクッ)
どうやら急いでテント張りしている間に岩角か何かでアルミ缶に亀裂が入ったようです。
「もぉ〜〜〜!!!」
急いで手拭いで拭き取りました。この頃には私の狷絞り(手拭い)瓩牢世笋蕷やらビールやらの臭いでそうとう香ばしかったと思います。
結局、ビールの中身が全て出てしまう前に急いで飲みました。
それからテント内の荷物を整理したり、エアマットを膨らましたりしている間に雨が止んだので、貴重品と水を入れるものを手に小屋の前の水場に行きました。
水場は小屋に向かって右手の双六岳への登り口にあります。水源の種類はわかりませんが、利用者は最終的に蛇口をひねって給水します。蛇口は3つありました。冷たいですし天然水ですし無料で汲み放題なので有難いことです。
1.5ℓのハイドレーションパック(夜寝ている時と明朝の双六アタック用)と折りたたみ水保存パック(炊事用)と500ccのテルモス(粉ポカリ用)に給水し、トイレ(利用料100円)も借りてからテントに戻りました。
午後3時くらいから少しですが晴れ間も出てきて天気は回復傾向にあると予測しました。
テントの中で横になってマッタリとした時間を楽しみながら、午後5時ごろ夕食を取りました。
献立は2人前のインスタント炊き込みご飯(尾西食品のヤツじゃないもの)とインスタントのしじみ味噌汁です。両方ともお湯を注ぐだけで完成する宇宙食のようなものです。ご飯は震災に備えてあったものがそろそろ2年くらい経ちそうだったので持ってきたのですがとても不味かったです(笑)。やっぱりアルファ米は尾西食品のものじゃないと耐え難いと思いました。でも、いったんお湯で戻してしまうと残すわけにはいきませんので泣きながら完食しました。お味噌汁が安定の美味しさなので何とかなりました。その他にこういった事態を予測して購入しておいた濃い味のソーセージを食べて、最後に食後のグミ(お菓子)とミルクティー(インスタント)で口直しをしました。
「終わり良ければ全てよしっ!」
夕闇が迫ってきたので、暗くなる前に最後のトイレタイムに小屋に行きました。
その時始めて気付いたのです。小屋の正面の広場から見える景色の中央にでっかく鷲羽岳が鎮座していることを。
これは感動的でした。しばらくその場に立ち尽くして見入っていました。
テントに戻って午後7時頃から寝袋の中でウトウトし始めていました。
前面パネルを全開放して空を見上げると満天の星空でした。この日は満月の近くだったので完璧ではありませんでしたが充分満足しました。
この時気温は16℃。気圧は750hpaでした。
8月7日(2日目)
2:30
起床しました。
何度かぼんやりと目覚めましたがテントの天井が明るかったのを覚えています。満月が近かった(これからなのか過ぎたのかは分からなかったけど)ので月が大きく光が強いのだろうと思いました。
眼鏡を掛けてテントから顔を出すと、辺りは深夜2時半とは思えないくらい明るさでした。去年の常念小屋テント場の夜は満月でしたが、それに近いものがありました。テント場内ならヘッデンなしで歩けそうです。
この時間に起きたのは私だけのようでした。山頂までは約1時間・・・日の出は5時前・・・
4時前に小屋の前から登り始めればよいので、準備時間の1時間半は長いような気もしましたが、朝のトイレ待ちをしたくないということと、目覚めは悪くないけど寝起きはマッタリしたいという生活習慣があるということと、山頂までピストンしたら直ぐに出発できる準備をしておきたいということと、朝食を食べたいということなど色々ありますし、何よりこの無音の時間・・・そして空間にひとりでぼんやりしている事が良いのです。この日の様に月の光が強い時は尚更趣があって心地よいのです。
とりあえずトイレに行きました。小屋前の広場から見える月明かりに照らされた鷲羽岳は最高でした。昼間はごった返していた広場も今は私ひとりです。外から見た限りでは双六小屋全体が寝静まっているようでした。
トイレから帰るとカップヌードルリフィルをマグカップで煮て食べました。これも湯を沸かすだけで食べられます。これだけだと栄養バランスが良くないので今回デビューする2つ目のアイテムDHC俺MIX瓩鯢用しました。内容は爛蹈ぅ筌襯璽蝓次柄躪膠浜楮泙里弔發蝓3錠甅爛泪襯船咼織潺鵝覆泙鵑泪咼織潺麒箋襪里弔發蝓1錠甅犢畤檗聞盪撹騨祝匹里弔發蝓3錠甅倏蚕魅Ε灰鵝淵離蠅如2錠瓩1セットにした栄養学的根拠は何も無い
ただのプラシーボ効果狙い?…です。
これを書いている下山後の感想を言うと
「効いてた・・・?・・・・と言われればそんな気もするし…飲まなくても良かったと言えば・・・そうかも知れないし・・・」
まさにプラシーボ効果!的な・・・?
感じです。ハイ。
4:14
小屋から双六岳山頂に向けて歩き出しました。
ハイマツで足元は暗かったですし、いきなりガレた急登なのでヘッデンを点灯させて進みました。途中まで水場に続く黒いホースを追っていたのですが、途中でどうでも良くなったので水源の確認はしませんでした。
一旦道が水平になって三股蓮華岳方面への分岐を通過すると山頂への道はまた急な登りへと変わります。と、言っても日の出前の低温下では汗も出ないほどの登りです。ペンキマークや石にカラフルなテープを巻いた目印もあるので進むべき方向に迷うことはありません。そんなガレた斜面から膝より低いハイマツ(だったかな・・・)の海に入ると、空がグッと近くなって、だだっ広い丘のような空間に出ます。そこはガイドブックに載っているTHE双六岳の風景瓩任后N農というより広い天空の丘・・・中央付近はジャリの中に転々と円盤状の植物が生え…辺りはいつの間にかガスに覆われ・・・行ったことないけど
「極楽浄土ってこんなトコ?」
と思える幻想的で神秘的な風景でした。
残念ながら景色はほとんど見えなかったけど、この時間帯特有の静かで神秘的な雰囲気を充分堪能しました。
そんな風景の中をほぼ水平に1km弱歩くと、大き目の岩のガレ場に行き当たり、そこを少し登ったら双六岳の山頂でした。
5:08
いつものように山頂の柱にザックを立てかけて記念写真を撮り、
槍ケ岳の方を振り返ると、ほんの一瞬だけハッキリ北鎌尾根から大喰岳くらいまでの槍ケ岳の雄姿が・・・ラッキーでした。
夢中でシャッターを切りましたが直ぐに所々ガスに隠れて、やがて見えなくなりました。
南方に見えている稜線の先に今日目指す笠ヶ岳があるハズですが、しっかりとガスに覆われていてちょっとやそっと待っていても晴れそうも無い雰囲気だったので、
5:20
下山開始しました。
晴れていたら1時間くらい居られそうな場所ですが、どんどんガスが濃くなってきていたので長居は無用でした。
再び水平の広い稜線を歩き、ハイマツの海にある登山道の入り口まで戻ってきました。
途中から雨が本降りになってきましたが、ガス(雲)の中だから抜ければ止むだろ?…くらいにしか考えていませんでした。しかし・・・雨は止むどころかどんどん密度を増していきました。
既にトレッキングパンツはビショ濡れ…。こうなると逆に雨具を着る意味もなくなります。
「なぁ〜に、今日は晴れに違いない!・・・歩いていれば乾くだろう・・・」
朝だから良かったものの、昼以降にこんな軽率な行動は命取りです。あくまで晴れる予定の日の朝イチだからですよ・・あくまでも・・・。・
ガレ場を下りだすとこれから登ってくる人がたくさん見えました。当然皆さん雨具を装着しています。
すれ違った一人の方に
「引き返してきたの?」
と聞かれ、とっさに
「はい」
と答えましたが、私は犹劃困ら引き返してきた瓩箸いΠ嫐だったのですが、
おそらく質問された方は
燹岷が降ってきたので山頂に行かずに引き返してきたの?」瓩箸いΔ弔發蠅世辰燭里な?と後から思いました。
6:04
双六小屋のテント場まで戻ってきました。
この時点で雨がすっかり止んで、青空が所々出てきていました。
テントの中にある装備の整理は完了しているので、一旦全部外に出し、濡れたテントの外壁を手拭いで拭き取り、テントを持ち上げながらひっくり返して中の砂を捨てます。そして適当に畳んで空のザックの底に押し込んで、その上から大型ドライバックをザックの内壁に沿って広げ、絶対濡らしたくないものからパッキングし、使用の可能性があるものはザックの上部に入れておきました。
いつの間にか双六岳の斜面には朝日が燦燦と当たっていました。
「あと1時間山頂に居れば今頃絶景タイムか・・・」
でも、何故かあまり後悔はありませんでした。
7:06
双六小屋を後にしました。
双六小屋のある谷間にも明るい8月の朝日がガンガン差し込んできていました。
今日はこれから笠ヶ岳のキャンプ地まで5時間強の行程です。
樅沢岳西斜面の背の低い日陰の樹林帯から稜線上の明るい登山道に切り替わった瞬間、目の前に槍ケ岳がドーン!と見えました。岩の様子まで分かるほど近くから見るのは去年の10月以来です。槍ケ岳だけでなく穂高の岩峰が目の前に屏風の様に聳え立ちます。歩いている道は昨日と同じでも、青空の下に雄大な景色が広がっているのが見えているのと雨の中雨具のフード越しに見えている限られた至近距離の高山帯独特の殺風景が見えているのでは気分的に大きく違います。昨日の疲れも多少残ってはいますが、「歩こう」と思う気持ちは止みません。
この時間帯にすれ違う方はおそらく鏡平小屋で一泊してこれから三股蓮華岳経由で黒部方面の何処かに行かれることでしょう。
「いいなぁ〜…私にも1週間以上の休みが取れれば・・・」
いつもそう思います。思いますが、私が山歩きを始めたのは今の職場に入ってからです。引退するか退職するまでは夏の休みは最大5連休までということは最初から分かっていたことですから・・・というよりむしろ40歳を迎えるにあたり次第にエスカレートしていくこの趣味の今の状態が想定外なのですから…。
そんな事を考えながらすれ違う大きなザックを背負った若者を生暖かい目で見送る私・・・。
8:20
弓折乗越通過。
ここは昨日休んだところで新鮮さに掛けるので華麗にスルーしました。
8:30
大ノマ乗越で休憩。
特別景色が良かったわけではありませんが、日差しが強くなってきたので日焼け止めを塗りました。20代の頃は日焼けしたくても焼けないモヤシっ子でしたが、30代になってなら・・・というより40代手前にして最近は直ぐに日焼けする体質に変わってきたので大切な作業です。これを手抜きするとすぐに後悔することになります。
何だかんだで15分滞在しました。
そして出発直後に本日最初の絶望のアップダウンを迎えました。
突然目の前の稜線が無くなり、登山道はやや西側に巻きながら急降下。その後に待ち受ける下る深さ以上の高さまで登る道・・・。
大ノマ岳です。
谷間で先行パーティーが休んでいたので入れ替わるように私も一旦座って休憩。しかし、明らかに私より年上の先輩方が黙々と登っていく姿に感化され、すぐに立ち上がって歩き始めました。アタックしてみると以外に体力が残っていたので一回も休まずに登り詰めてしまいました。
意図せず先輩方も抜き去り、
「今日は何だかイケそうな気がする」(何処に?)
そんな気さえ芽生えていました。
それから道は歩きやすい部分が殆どでしたが、数箇所短く狭い岩場やガレ場やザレ場を通過しました。転ばなければ何も問題ありませんが、東側(穂高側)は急な斜面になっていますし、掴める様な植物は少ないので、一旦滑落し始めれば数十メートルはあっという間でしょうし、岩に当たって止まったとしてもその時は重大な怪我をしていることでしょう。私は気を抜かずに集中して通過しました。この辺が今春積雪期の八ヶ岳で学んだ身を守る術です。
やがて目の前に恐れていた絶望のアップダウンが見えてきました。大ノマ岳のソレとはスケールが違いました。近付く前からチラチラと見えていたので
燹屬發1回アップダウンが来る・・・」
だろうとは思っていましたが、いざその高低差を見せられるとやはり絶望します。
秩父平を挟んだ抜戸岳です。
秩父平の南方には何とも荒々しくも美しい岩壁も見えます。
秩父岩です(多分)。
抜戸岳への登り返しはキツそうでしたが、その手前の秩父平で昼食を摂ろうと思っていたので
「とりあえず下るだけだ」
と思ったもののこれがなかなか遠く感じて、結局秩父平の手前の岩場でザックを降ろしました。
昼食も食べたかったですが、早朝双六岳山頂往復で濡れた衣類を乾かしたかったので、まわりの岩に貼り付けるようにして干しました。カラッとしてとても気持ちの良い気温だったので、登山靴も脱いで・・・さらに靴下まで脱いで完全リラックスモードです。昼食にはいつものミックススナックを食べましたが、今回始めてM&M’Sを邪魔に感じました(笑)
乾燥効果があったかどうか微妙でしたが、アブ?やハチ?も集まりだしましたし、先輩パーティー2組にも追い抜かれたので、乾かしたものをザックの中に入れ、靴を履いて出発しました。
10:42
秩父平は通過しました。
先輩パーティー2組はそこで食事を摂っておられました。
別に抜きつ抜かれつのデットヒートを展開しているつもりはありません。私はひとりですし、今日の予定では13時頃にはキャンプ場に到着してしまいますので急いではいません。ただ、強いて言えば狒瓩テントを干したい瓩箸いΦせちはありました。ビショ濡れのままザックに押し込んでいるので・・・。
秩父岩サイドの登りは遠くから見ていたほど長くなかったので楽勝でした。見た目よりの足場もしっかりしていて拍子抜けしたくらいです。
しかし、この頃から段々ガスが湧き出し、稜線に上がった時には完全にガスに巻かれていました。
そして急に地獄の時間が始まったのです。
右の足の付け根に違和感を感じてから、あっという間に激痛に・・・。
心肺機能は絶好調でしたが、足に疲労が溜まっていたようです。
牴道海妨けて強い体づくり!瓩鬟好蹇璽ンに毎朝40分ジョギングしていたからでしょうか
・・・?
全く別の要因でしょうか・・・?
ここから一気にペースダウン。
12:04
抜戸岳山頂への分岐通過・・・山頂へは行きませんでした。ガスで視界ゼロでしたし。
12:13
笠新道分岐通過。
各要所は通過しましたが、何度も何度も休憩しながら歩きました。
下山するにしても笠新道を4時間10分と林道を45分歩かなければ帰れないし…。
今日の行程では8:20に弓折乗越(鏡平山荘への降下点)を過ぎてから、最短で逃げ込める場所は笠ヶ岳のキャンプ場なのです。
あと1時間強はどんなに足が痛くても、歩き続けるしかないのです。
文章にすると逆に非常に短くなりますが、この時は笠ヶ岳が非常に遠く感じました。
ガスで視界は狭いので、目的地への距離が全く目算できないし・・・。
結局先輩パーティーやその他後続のパーティーにも抜かれ、絶望と足の痛みの中
13:55
やっと笠ヶ岳キャンプ指定地に到着しました。
ガスの中から突然に現れた感じです。キャンプ場の始まり数十メートル手前までゴールが何時訪れるのか分からなかったものですから、ここまでの歩行距離は長かったものの何か得した気分になりました。
キャンプ指定地は双六から続く登山道上の笠ヶ岳山荘より手前に位置していました。ガスで山荘は見えないのでこの時点ではどれほど離れているのか分かりませんでしたが、先に到着していた先輩パーティーがテントを設営し始めていたので、私もザックを降ろして準備に入りました。
笠ヶ岳のキャンプ指定地は斜面に沿って全長50m全幅20m位で展開していました。このエリアは基本的にコブシ大から人間大の岩が敷き詰められたような場所ですが、テント1張り分ほどの土のスペースがあり、強風避けの膝丈ほどの岩と石の風防を備えていました。腰掛けるに丁度よい岩もたくさんあり、テントの引き綱を固定する石も充分すぎるほどあります。しかも平べったい板状の岩が多いので積み上げたり組んだりするのに絶好の形をしていました。土のスペースは概ね1人から2人用と4人用テントが張れるほどの寸法が多く、学生が使うような6人以上用や長尺の大型店とを張れる場所は、私が見たか限りではなかったような気がします。下が土でなくても良いのならどうにでもなる広さは持っていますので心配はないと思いました。
テントを張ってザックと荷物をテント内で展開した後、山荘に受付に行こうか・・・水場に水を汲みにいこうか迷っていると、テントの外から
「小屋見えてきたよぉ〜・・・ウンヌン・・・」
という声が聞こえていたので、外に出て山頂方面に目をやると随分上に山荘が見えました。
この距離の表現の仕方は難しいです。先ずいえる事は
「近くはないっ!」
これは間違いありません。では遠いか・・・
「でも、どうしようもない距離でもない・・・」
微妙です。でも、
「トイレの為だけ向かうには辛い・・・高度差もあるし・・・」
こんな感じです。写真で判断してください。
私の場合はこの後で受付をしに行った時と夕方最終トイレに行ったのが山荘に行ったこの日の回数です。山荘に行かなければならない用事がある時に無理やりにでもトイレに行っておくことをお勧めしたいと思います。
山荘へは人間がしゃがんだ位の大きさの岩を飛び越えるようにして登っていきます。高度差は数十メートルでしょうか。山荘の手前で5〜10m幅の雪渓を横切ります。しっかり踏み跡が付いていますので転ばない限りは安全です。もし滑落しても怪我だけで済む感じです。
テントの受付表に個人情報を書き込み、500円を支払って完了です。
「あれっ・・・札か何かはないのですか?」
「はい」
カッコイイですね。ここまでテントを担いでくる人を疑わない姿勢。
普通は紙や木製の受付札を「見える位置に取り付けてくださいね」などと言われるのですが、それは無用とのこと。
この時少し頭痛がしていたので缶ビールは買いませんでした。
折角登ってきたので山頂までの斜面を写真の撮ったり、トイレ(使用料100円)を借りてから、テントまで下りました。
テントまで戻ると、水筒類を両手に持って水場に向かいました。キャンプ指定地のアチコチに看板が立てられているので場所は直ぐに分かりました。こちらは想像していたより近く、キャンプ指定地の端から10mほど岩場を下ったところにありました(写真に撮ったつもりでしたが、
何故か双六小屋と同様に保存されていませんでした)。ここの水は大変冷たく、手拭いを濡らして体を拭こうと思っていましたが無理でした。しかし、飲むには最高です。正確には牋料水瓩どうかの確認を山荘でし忘れましたが、逆に猜┐してから飲んでください瓩箸盡世錣譴覆ったし、どこにも書いていないので有難く飲料用としてそれぞれの水筒に満タン給水させて頂きました。水源は岩場の伏流水をパイプで取り出している感じでした。もちろん天然水です。
テントに帰って寝転びながらマッタリしていると、急に青空が広がってきました。乾いた弱い風もそよいでいて、半乾きのテントや衣類がどんどん乾いていきました。笠ヶ岳の山頂も・・・今日1日歩いてきた双六岳からの稜線も・・・槍ケ岳から西穂高までの山並みも・・・黒部方面の山並みも・・・全てがスッキリした空気の中で輝いて見えました。
その景色をミルクティーを飲みながらぼんやりと見ていました。いつしか右足の付け根の痛みもなくなっていました。
この日も午後5時ごろから夕食にしました。アルファ米(カレー味)とシジミのお味噌汁とDHC俺MIXとチーカマなどの常温保存できるおつまみ系を少々。やっぱり尾西食品のアルファ米の方が美味しいと思いましたが、狄罎込みおこわ瓩狎嵌哭瓩私個人としてはテッパンだと思いました。
完全に暗くなる前にもう一度山荘のトイレを借りに行きました。ついでに穂高に当たる夕焼けも見れて感慨深いものがありました。
本当なら今年は狢腑レット瓩鯡槁犬砲靴討い泙靴燭、春の八ヶ岳で心構え的に反省すべき点を思い知ったので、来年以降犲分の山に対する心構えに納得が出来たら當戦したと思うようになりました。
明日は下りだけなのちょっとゆっくりして、星が空に出揃うまでテントの中で寝袋に入りながらからぼんやりしていました。
この夜は時折突風が吹いていたような気がしますが、乾いた風のお陰で夜でも乾燥できて快適でした。ただ・・・反面とても寒く、アナログ温度計で10℃まで気温が下がり、モンベルのU.L.S.S
ダウンハガー♯4では寒かったので何度も起きてしまいました。そんな時は外に出していた頭部をすっぽり寝袋に入れて対応しました。
二泊三日最後の夜はこうして過ぎていきました。
8月8日(3日目)
4:00
携帯電話のアラームで目覚めました。
寒さで何度も目が覚めましたし、昨日までの疲れの影響か下半身の関節や筋のアチコチが痛みました。
でも、乾いた風のお陰でテント内の結露も全くなく、前日雨と汗で濡れていた衣類も完全に乾いていたので快適に感じました。
4:25
最終日は起きたらすぐに山荘に向かいました。途中で飲む水を水筒に入れ、貴重品やメモ帳やカメラやトイレットペーパーは雨具の腹ポケットに全て入れました。アークテリクスのアルファSLプルオーバーはアタックザック要らずなので便利です。
日の出前の山荘前の雪渓の雪はガチガチに凍っていました。
早速トイレに駆け込んで要を済ませると、
4:45
山頂までのガレ場を登り始めました。
標準コースタイムで20分となっておりますが、大体15分以内には登れると思います。
4:56
山頂のある高さに到達しました。
山頂の柱があるスペースにはアベックもいて私が近寄ってよい雰囲気ではなかったので、同じ高さの祠のあるエリアで朝日が昇るのを待ちました。
太陽は槍ケ岳のすぐ左隣から現れました。
前日の双六岳山頂は残念な天候だったので、この時は少し嬉しかったです。
相変わらず雲は殆どなく、麓に雲海を広げているだけだったので遠くの方まで随分観察することは出来ました。
オレンジ色に色付いた景色の中で、荒々しい岩肌を日陰で黒く隠した穂高の滝谷側の岩壁が印象的でした。
そして、本来の山頂のあるエリアに移動し、そこからも360度の景色を観察しました。
麓の爐劼蕕罎凌広瓩榔棲い硫爾任后
「ここがあの辺から見える頂か・・・」
この場所を目指してきただけに今回はこの時点での達成感がありました。
でも、長くは留まりませんでした。
この瞬間から次の目標が牴浩瓩鉢猗騨牛の焼肉定食瓩棒擇蠡悗錣辰燭らです。
5:11
山頂からの下山を開始しました。
この日は登ってくる人は誰もいませんでした。山頂にいたのは私を入れて5人だけ・・・。
他の皆さんは夕日を堪能したから朝日には興味なのでしょうか・・・。
テントまで戻ると、キャンプしていた他の方々はすでに帰り支度をしていました。私はこれからラーメンでも煮て食べようかと思っていたのですが、あまりお腹は空いていませんでしたし、
何だか急に出遅れるのが間抜けのように思えてきたので、結局撤収を始めました。全ての装備と衣類は完璧に乾いていたので気分良くパッキングすることが出来ました。
気付くとテント場にあった殆どのテントはなくなり、人もいなくなり、残ったのは後は出発するだけの私と2つのテントだけでした。小屋に泊まっていた方々も随分の方が下山していきました。
名残悪しかったので、青空の下で数枚の写真を撮影してから
6:35
下山を開始しました。
2日目の朝と比べると、
「ザック中の装備は完璧に乾いてるし・・・今日は下るだけだし・・・」
と気楽なものでしたが、いざ歩き出してみるとこの稜線の登山道からの下降点である笠新道分岐が無駄に高いピークの頂点にある・・・。
しかも、そこまでもいくつかのアップダウンを繰り返さないと到達しない・・・。
コースタイムで言うとたった1時間ですが、何だか遠くに感じました。
しかし、快晴の青空の下に広がる360度広がる北アルプス南部のパノラマを見ながら歩けたので気分はややプラス方向でした。
昨日は濃霧の中通過した猝膈瓩里茲Δ粉笋粒笋賁椶盧鯑とは正反対の印象です。
昨日→地獄の入り口
今日→ヘブンズドア
笠新道分岐のあるピークに差し掛かる手前にちょっとしたスペースがあったので、ザックを下ろしてミックススナックをついばみ、日焼け止めもしっかり塗って炎天下の長い下りに備えました。
岩に腰掛けながら下降点のあるピークを眺めていると次々とパーティーがそこに差し掛かっては立ち止まり、そして尾根の向こうに消えていきます。何だかジェットコースターの始まりのような感覚です。
私もザックを背負ってジェットコースターに乗り込みました。
笠新道分岐までは比較的緩やか…分岐からは急な岩の登り・・・
爛タンゴトン・・・ガタンゴトン・・・ガタンゴトン・・・
私の脳内ではコースターが機械の力で下降点まで引っ張り上げられる時の音が再生されていました。分岐から下降点までの急登はこの時間帯は完全な日陰で暗く、見上げるとピークの先から上は真っ青な明るい空・・・そのコントラストが緊張感を高めてくれます・・・(完全にジェットコースターに乗っている気分)。
実はこの急な登りは短いのです。高度にしたら2.30mくらいでしょうか。
ピークを超えると、そこには滝谷側の穂高の岩峰がドーン!
さらに眼下には杓子平のカールのような地形・・・点々とする新鮮な緑と荒々しい岩と日光を反射した眩しいほどのザレた砂・・・高山植物もぽつぽつと咲いている天国のような場所が広がっていました。
降下点からの下りも遠くから見たほどは急ではないように感じました。
降下点から杓子平はすぐでした。足元がザレているので先行している方のほうに石を落とさないように注意して歩くだけでした。
杓子平は通過しました。
杓子平からは大きな岩の間を縫うようにして下っていきます。登りで利用すると辛いかも知れません。
やがて斜面を下りきると、今度は緩やかな登り(ほぼ水平)の遊歩道のような道が左股の谷へ最終的に降りていく斜面の入り口まで続いていました。
この辺りから見る笠ヶ岳はとても格好良かったです。ツンとしたピークから荒々しい尾根を新平湯温泉の方まで伸ばしています。クリアノ頭を有する尾根です。いつかはそこを歩きたいと思っていますが、南アルプスの犁岳疇瑛佑忘の私の経験値では止めておいた方が良いと思いました。遠くから見るのと実際そこを歩いてみるのは全然違った…ということは良くある事ですが、それにしてもロープを使う技術が必要と思われましたし、何よりその長大な尾根に水場はなさそうでした。複数の人数で協力しながら登るならまだしも、単独の登山者には敷居が高い尾根だと思いました。実はこの偵察も今回の旅の目的だったのです。
この水平道の道すがら何度も立ち止まっては振り返り、下ってきた斜面や笠ヶ岳の雄姿を撮影しました。この空間は私の中での猖魅▲襯廛垢寮箏覆了廚そ亅瓩良頭に挙げられます。
そして、樹林帯の入り口に差し掛かりました。あとはひたすら無心に下るだけです。
今回用意したニューアイテムにして最終兵器の
爛丱鵐謄螢鵐汽檗璽拭辞瓩魃蓋のポケットから取り出して装着しました。
かつてサッカー日本代表だったラモス氏も言っていました
「ニッポンユーリデス」
「ヴァンテリンアルカラ・・・」
と、
その言葉を信じて下り始めました。
左股の谷に向かって樹林帯の中の道を下り続けます。樹林帯と言っても斜度がキツいのでそれなりに展望はあります。日陰になっている暗い滝谷の岩壁がずっと見えていました。
8:54
谷を挟んで反対側の穂高の稜線上にある狎省羚盪柿餃瓩汎韻犬らいの高さと思われるあたりでザックを下ろして休憩しました。
笠新道には道しるべや地名を示す看板がないので正確な現在地は把握し難いのです。
地形図を見ても、道の形は大まかに書かれているので「多分この辺だろう」くらいしか私には分かりません。
その後も日陰や岩場を見つけてはザックを下ろして何度か休憩しました。
この炎天下の中を、反対に登ってくる猛者たちと何度かすれ違いました。
その間、疲れてくる度に
「ニッポンユーリデス」
「ニッポンユーリデス」
「ニッポンユーリデス」
「ニッポンユーリデス」
と、ラモス氏からの励ましがコダマの様に脳内で再生されていました。
おかげ様で膝は最後まで痛くなりませんでした。バンテリンサポーターは私にも有利に働いたようです。
左股の沢の音が大きくなるにつれて長い下りが爐發Δ垢綾わる瓩箸いΥ待感も膨らみます。
11:18
やっと笠新道登山口まで下りてきました。
登山口看板の袂から出ている黒いホースから水が豊富に流れ出ていましたが、私のハイドレーションパックに水がたくさん残っていたので給水しませんでしたが、おそらく飲料水にできると思われます。
少し休憩してから、今度はフライパンの様に熱せられたアスファルトの林道を歩きました。
新穂高温泉が近付く頃、笠ヶ岳の山頂らしきピークがハッキリ見えました。
林道の車止めのゲートにあるポストに下山届けを投函し、ロープウェイ乗り場の裏手の橋を渡り、新穂高温泉のバスターミナル(今は何も無いですが)まで帰ってきました。
去年までは私のお気に入りの爛潺襯セーキ瓩鯒笋辰討い觴販機があったのですが、登山者相談センターがあった建物ごと更地になっているので今回はスルーです。
手前にログハウスがあり、今はそこが相談センターになっているようでした。
「あれっ・・・建物自体は前からあったけど、前は何だっけな・・・」
と思いました。何はともあれ、今シーズンはここに登山届けを出すようです。
12:40
新穂高温泉登山者用無料駐車場に到着しました。
さっさと登山靴と靴下を脱ぎ、エアコン全開にして平湯温泉郷に向かいました。
蒲田川沿いの県道は相変わらず車の通りが少なくて長閑な夏の風景でした。
平湯温泉の爐劼蕕罎凌広瓩濃案間の垢を落とし(当然最初に洗い場で)、大好きな檜作りの湯船に浸かってひとりで今回の旅を振り返っていました。ちなみに男湯の敷地内から笠ヶ岳は見えませんでした。でも、頭の中に笠ヶ岳の山頂の映像を鮮明に再生する事ができました。
風呂上りにオレンジ牛乳を飲んで、すぐ近くのお食事処爐△鵑屋瓩房屬埜かいました。
ここの猗騨牛焼肉定食1200円瓩論簓覆任后あんき屋さんには内緒ですが、これが2000円まで値上げされても私は注文するでしょう。たった一人のために1枚の鉄板と1台のガスコンロを使い、多めの飛騨牛とたっぷりの野菜を蒸し焼きにしてくれます。付属する山菜も、普段は好んで食べない私でも残さず全て食べられる美味しさ・・・肉より先にご飯がなくなってしまうほどの肉の量・・・しばらく食べていない野菜・・・ジュウジュウと音を立てる鉄板料理の爐もてなし感瓠ΑΑ山から下りてきた単独登山者(下山者?)の心に全てが優しく・・・そして温かく染み込んでいきます。
あまり人気が出すぎて私が来る時に混んでしまえば困りますが、何時来ても割と空いているのが不思議・・・。もっと評価されても良い店だと思います。これを読んでくれた方には是非お薦めしたいお食事処です。店内も清潔ですし、太い古木っぽい梁が良い雰囲気ですし、スタッフの方もサービスが良く非の打ち所がありません。
ずっと行きたかった笠ヶ岳の山頂・・・大好きなひらゆの森の温泉・・・大満足の時間を提供してくれるあんき屋さん・・・やっぱり新穂高温泉を起点とする山歩きは私にとって最高です。
毎夏1度は訪れたい場所です。来年こそは狢腑レット〜奥穂高瓩な・・・。
まだまだ修行を積まなければなりません。
2012年のテント山行はまだ終われません。
おわり
全て読んでいただけたのなら光栄です。有難うございました。
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