60.笠ヶ岳「アリよさらば」
- GPS
- 56:00
- 距離
- 21.5km
- 登り
- 2,027m
- 下り
- 2,012m
コースタイム
7月28日(二日目) わさび平小屋0525−0535笠新道登山口0545−0930杓子平0950−1110笠新道分岐1120−1230笠ヶ岳山荘1245−1300山頂1315−1325笠ヶ岳山荘(小屋泊) 所要時間:8時間
7月29日(三日目) 笠ヶ岳山荘0540−0645笠新道分岐0650−0745杓子平0755−1025笠新道分岐1040−1130新穂高温泉 所要時間:5時間50分
天候 | 一日目 曇り時々雨 二日目 曇りのち雨 三日目 雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2013年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
高山駅から新穂高温泉までは濃飛バスを利用。所要時間は約1時間30分。 1時間に一本は出ている模様。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
道の状況:笠新道は我が国屈指の急登。皆さんが口を揃えて苦戦されたと書いておられますが、確かにその通りだと断言します。 しかし、その急登を越えて杓子平の手前でお花畑が広がって、ここまで登って来て良かったぁ〜と思われるかも知れません。ただ悪天候のため、久々の北アルプスなのに景色を充分に楽しめなかったのが残念でした。 登山ポストの有無:新穂高温泉に登山指導センターあり。 下山後の温泉情報:新穂高温泉から約2キロ歩いたところにある「ひがくの湯」を利用。入浴料は700円。露天風呂だけで雨天時は笠をかぶって入浴します。でも、入浴後にうまい棒やクッピーラムネの駄菓子のおまけも嬉しいですね。でも、そこまで歩くのに長いトンネルを通らねばならず、それが辛かったです。 |
写真
感想
第60座 アリよさらば
7月下旬ともなれば、梅雨も明けて快適な登山が出来るのではないかと思って、7月の下旬に登山の計画を立てた。
最初は赤城山に登ろうと思っていたのだが、登山日の28日の群馬県前橋市の天気が雨の予報を受けて、幾分マシな天気な北アルプスの笠ヶ岳に登ることに決めた。登山計画も山小屋の予約もパッキングも一気に決めた。
山小屋に泊まるのは、遭難した2009年の火打山にある高谷池ヒュッテ以来となる。それ以降は日帰り登山が多くなって、久し振りの山小屋は果たして寝られるのだろうか? いささか、不安を抱いていたのである。かといって、テント泊する勇気もなく、結局、どうにかなるさとお気楽に構えることにした。
不安の種は何といっても笠新道! この登山道は我が国屈指の急登といわれ、果たして僕はこの登山道を登れるのか? と不安だった。でも、盆休みには南アルプスの白峰三山の縦走が控えている。それもテントなどを担いでだ。この登山が失敗に終われば、計画を練り直そう。そんな思いで笠ヶ岳を登ろうと思った。
7月27日、今は無職の身なので「青春18きっぷ」を何十年振りに購入。木曽川から高山まで、そのきっぷを使って移動して、取りあえずは元は取れたはずだ。それからバスで新穂高温泉まで1時間30分で移動して、7年振りに新穂高温泉に降り立った。周辺は改築中でバス停もトイレも仮設だった。新穂高登山指導センターも離れたところに移動になっていた。僕はここで登山届を提出した後、13時55分に新穂高温泉を出発した。
最初は車道をたどっていくのだが、微妙に登り坂で早くも汗だくになった。14時25分に「お助け岩」と呼ばれる風穴を通った。ここは岩の隙間から冷風が吹いて来て、まるで天然のクーラーみたいだ。ここで汗を冷やして再び歩き出した。笠新道登山口を通った時に、水を飲んで、15時10分に宿泊地であるわさび平小屋に着いた。ここに来るのも7年振り。その時はテント泊だったが、今回は小屋泊である。
この小屋は水が豊富で風呂もあるのが意外だった。それも石鹸を使っていいなんて・・・・。
以前、尾瀬や八ヶ岳の山小屋の風呂に入った時は石鹸利用はダメだったのに。僕は遠慮なく頭をシャンプーで洗った。その後は食堂で生ビールを飲んだ。やっぱ山小屋で飲むビールは最高だ。山小屋で夕食を頂くのも久し振り。ここまで久し振り尽くしで、この夜はほとんど眠れなかった。旅先で眠れないなんて、我ながら残念なスペックだよなぁ・・・・。
7月28日、4時30分から始まる朝食を済ませ、ストレッチを入念にして、5時25分にわさび平小屋を出発した。そして10分後には笠新道登山口に到着した。覚悟を決めるために、あえて一本を立てることにした。休んでいる間にも、どんどん登山者が笠新道に吸い込まれていった。よし! 俺も覚悟を決めた! というわけで、5時45分に笠新道に入った。
登り始めは、つづら折りでどんどん高度を上げていく。途中、わさび平小屋に宿泊していた中高年のパーティーを追い抜いて、思ったよりも体調がいいかもと思った。でも、登れば登るほど、厳しさは増していく。岩がゴロゴロしたところを歩いたり、これでもか、これでもかというばかりに急坂が続く、僕はただひたすらに登った。そして、僕の腕時計の高度計は標高2000メートルを越えた。
このあたりになると、展望がひらけてきて、天気がいい日は槍や穂高が見えるのだが、山頂部分は雲がかかっていて見ることが出来なかったが、焼岳は見れたのが精一杯だった。
8時45分頃、登山道の右側に置かれた丸太につまづいて、右側の草むらに頭から突っ込んだ。宙返りするような形でひっくり返り、「落ちる!」と思った瞬間、僕の両手は草を掴んで1メートルも満たないところで落下を免れた。何とか登山道に復帰して、どこも痛んでなかったので登山を再開した。
しばらく登ると、斜面にはコバイケソウのお花畑が広がっていた。やっと北アルプスらしい景色に出会えたが、まだ急登は続いた。杓子平はまだかな、まだかな、そんなことを考えながら登っていた。この頃になると笠ヶ岳から下山して来る登山者とすれ違うようになった。僕はすれ違うパーティーに聞いた。
「あのぅ〜 杓子平って、あとどれくらいですか?」
「あー、あの岩の上が杓子平だから、あと1時間というところだろうねぇ〜」
まだ、1時間かぁ〜。でも、登らなきゃ杓子平にも笠ヶ岳にも着けない。さぁ、登るんだ!
9時30分に杓子平に着いた。まずはここまでたどり着いたぞ。ここで笠ヶ岳が見えるそうだが、雲がかかって見えなかった。イワカガミやハクサンイチゲらしいお花畑が続いていたが、天気が良くないのが残念だった。10時50分頃にライチョウの親子連れを見た。成鳥のライチョウは度々見たが、親子連れは初めてだった。写真を撮ろうとしたが、うまく撮ることが出来なかった。
11時10分に笠新道分岐に着いた。これで笠新道の急登は終了。ここからは稜線歩きだ。しかし、ガスがかかっていて、視界が良くない。途中で雪渓を渡らなければならず、アイゼンは不要とはいえ、注意を払って通過した。抜戸岩も通ったあたりで雨が降り出した。
しばらく歩いたところで、雨具を着た。とうとう雨まで降り出したかと落胆しながら、笠ヶ岳山荘に向かった。そして幕営指定地まで来た。大きな岩に「ガンバ」「山荘スグソコ」「ガンバレあと一息」と書かれており、それに励まされ、12時30分に笠ヶ岳山荘に着いた。僕はここで終えるか、山頂まで登るか迷っていた時に、先に着いたパーティーが空荷で山頂に向かっていたので、あと少しだし山頂まで登ることに決めた。
13時に山頂に到着。これで僕の深田百名山登頂は60座目となった。周囲はガスっていて何も見えなかった。それでもここまで登ったんだ!
「俺は標高差1700メートルを登り切ったぞ! バンザーイ! バンザーイ! バンザーイ!」
と東の空に向かって叫んだ。天気が良ければ、しばらくは展望を眺めていたいところだが、天気が悪いので、さっさと下山した。
笠ヶ岳山荘に戻ったのが13時15分。これで今日の登山は終了。登山時間は丁度8時間だった。僕は小屋の前の大石のベンチでフリーズドライの牛飯と塩ラーメンとホットコーヒーを作った。出来上がって、さぁ食べようとした時に、塀の外にまたライチョウの親子連れを見た。二度もライチョウを見られるなんて多少なりともついてるかもと思った。
笠ヶ岳山荘にチェックインを済ませ、蚕棚の下段真ん中で寝るようにとスタッフから指示を受けた後、着替えと荷物の整理を終えて、ビールを飲もうと食堂へいったら、どこの卓も中高年のツアー客が担いで来たと思われるツマミを肴に飲んでいた。まるで夜の居酒屋のような雰囲気だ。皆、笠新道を越えて来たんだから無理もない。どの顔も笑顔で溢れていたのが印象的だ。夕食は早めに着いたので、4時に食べることが出来た。席に着くと、よっぽど僕が大食漢と見えたのか、近くのお母さんから唐揚げやら蕎麦を頂いた。寝られるかどうか自信がなかったので、またビールを飲んで、20時頃に蚕棚の寝床についた。
7月26日、朝から雨だった。それでも3時半頃から、廊下や玄関は早発ちする登山者達が身支度を整えていた。この夜もほとんど眠れなかったけど、数時間は眠れたなと思った。僕は観念して起きて、着替えて身支度を整えた。朝食は早い者順だったので、早々と身支度を整え、朝食の列に並んだ。その甲斐あって、一回目の朝食の席に座ることが出来た。ここでも近くの席のお母さん方に生卵を頂いた。そんなに俺って大食漢に見えるのかなぁ・・・・。
5時40分、笠ヶ岳山荘を出発。雨の中の決死の下山が始まった。二箇所の雪渓も恐る恐る渡り、6時45分に笠新道分岐を通過。杓子平へ向かう途中の登山道は川と化してた。僕は先行していたツアー登山のパーティーに追い付いて、本来の登山道が川となっていたので、そのパーティーはそれを避けるために草の上を歩いていた。僕もそれに倣って、草の上を歩いていたのだが、滑ってしまい転倒してしまった。その時に、そのパーティーのサブリーダーらしき男の人が、
「こういう時はサイドステップで降りるんだ!」
と教えてくれた。僕は、
「ありがとうございます!」
と礼をいい、サイドステップで草の上を歩いた。
7時45分に杓子平に到着。ここからは一気に笠新道登山口まで下山する。ここまではだいたい3時間前後で通過出来るだろう。1時間毎に一本立てようと思って、再び下山を続けた。昨日は急登で苦しんだが、今度は急な下り坂で、疲れた膝には厳しい下山となった。雨なので、転んだのは一度や二度では済まなかった。でも、必死だった。登山口まであと200メートルというところで、丸太の木道があって、そこを渡っている時に、足を滑らせ転倒した。転倒した尻の下にトレッキングポールが入ってしまい、その時にポールが曲がってしまったのだ。僕は曲がったままのポールを使って下山を続け、10時25分、笠新道登山口に着いた。その時に一本立てた時に曲がったポールをまっすぐにしようとした時、ポキッと折れてしまった。
あとは車道を通って、11時30分に新穂高温泉に着いた。登山指導センターで下山届を提出して、この辺の温泉は登山者で一杯そうだったので、ここから約2キロ離れた「ひがくの湯」に向かうことにした。ここまでいくのに長いトンネルを歩いていかねばならなくて、やけに長く感じた。ようやく着いた「ひがくの湯」は露天風呂しかない温泉で雨天だったので編笠をかぶって温泉に浸かった。温泉はぬるめだったが、今まで雨に打たれたいただけに心地が良かった。
こうして、笠ヶ岳登山が終わったわけだが、来月の白峰三山の縦走はテント泊でもいけるんじゃないかなという結論になった。テントを担いでの縦走は2009年以来になるが、これが成功すれば大きな自信に繋がるはずだ。折れたポールも修理に出して、盆前には間に合いそうだし、筋肉痛を完治してからトレーニングを再開しても、そう時間はないが、出来ることはやっていこうと思った。
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