コイカクシュサツナイ岳~ヤオロマップ岳~1599峰~ルベツネ山~ペテガリ岳東尾根
- GPS
- 80:00
- 距離
- 41.7km
- 登り
- 3,272m
- 下り
- 3,523m
コースタイム
- 山行
- 8:06
- 休憩
- 0:27
- 合計
- 8:33
- 山行
- 11:35
- 休憩
- 0:39
- 合計
- 12:14
- 山行
- 9:32
- 休憩
- 0:28
- 合計
- 10:00
- 山行
- 8:25
- 休憩
- 0:22
- 合計
- 8:47
天候 | 9/6 曇り時々晴れ 9/7 晴れ時々曇り 9/8 曇り 9/9 雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
歴舟川支流林道〜ポンヤオロマップ岳までは2021年5月の記録も参照。 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-3211150.html 【稜線上の主なテン場】 (主稜線) コイカク夏尾根頭 3張 コイカクシュサツナイ岳 2張 ヤオロの窓 2張 ヤオロマップ岳 (頂上付近)2張+(1839峰寄り)2張 1599峰 1張 ルベツネ山 1張 ペテガリCカール 3張〜 ・1535の南(1590m地点) 1張 ペテガリ岳 1張 ・1573JP 1張 (東尾根) ・1393に繋がるJPの西側コル 1張 ・1518〜・1417間のコル 数張×数か所 ポンヤオロマップ岳西側直下 1張 ポンヤオロマップ岳 2張 【水場】 ヤオロマップ岳直下(十勝側) 1680m地点 ペテガリCカールの下 1370m地点 ※2ヶ所とも十分な水量があり、2Lボトルを1分少々で給水できた。 |
その他周辺情報 | 新嵐山荘(緊急事態宣言中は日帰り入浴休止) 更別村福祉の里(緊急事態宣言中は休止) 芽室鳳乃舞 日帰り入浴410円 |
写真
感想
6月のカムエク〜コイカク、7月のエサオマン〜カムエクに続き、コイカク〜ペテガリに挑戦。
この区間はヤオロマップ岳とペテガリCカールの2ヶ所も水場があり、日高の稜線としては水に恵まれた環境だと思う。ペテガリ岳からは未踏の東尾根コースを使うことで入山と下山地点を近づけ、周回に近いルートにした。北から行くか、南から行くかは少し迷ったが、最も藪が濃いと思われるヤオロ〜ルベツネ間を前半の元気があるうちに通過した方が楽だろうと思い、北からスタートにした。
【1日目 9/6】
札内川ヒュッテ前で車中泊して出発。ヤオロの水場がちゃんと出ているか不安だったので、念のため水は6Lを担ぐ。歩き慣れたコイカクシュサツナイ川を遡り、上二股から夏尾根に取り付く。所々笹が被ってるし、重装備を背負っての急登は辛いけど、整備された登山道は快適だ。夏尾根の途中で1839峰帰りの3人Pと単独の人にすれ違う。ペテガリまで行って東尾根を下ると言ったらびっくりしていた。その後、下山して街に下りるまで人と会うことは無かった。
急な夏尾根を登り切り、コイカクへ。ここからヤオロマップまでは2年前に1839峰に登った時に歩いて以来である。初めて歩いた時はハイマツ漕ぎが大変だった記憶があるが、藪が薄くなったのか?それとも自分の藪耐性がついたのか?とても歩きやすい道だな〜と思った。漕がなくても前に進むし、踏み跡は超明瞭。1839峰やカムエクを眺めながらの快適な稜線歩きだった。
予定よりも早くヤオロマップ岳に到着。2年前と同じ場所にテントを張り、水場に下りてみる。ピーク横のテン場から左沢の方へ踏み跡を辿ると、確かに水が出ていた。しかも予想よりもしっかりした流量がある。これなら6Lも担いで夏尾根を登る必要は無かったかなと思った。
取水を終えるとガスが抜けてペテガリへの稜線がくっきりと見えていた。夕飯後は明日以降の激藪に備えてすぐに就寝。
【2日目 9/7】
4時過ぎに起床。気温は恐らく5℃くらい。冷え込んだ朝だったが、ヤオロマップ岳からの朝焼けの日高山脈の景色は感動的だった。この日は長い行程になりそうなので速やかに撤収して出発。
ヤオロからの下りは岩とハイマツ。・1569までは下り基調だが、踏み跡は少なく意外と時間がかかった。・1569周辺から1599峰手前までは今回のルート上で最も濃密な藪で面倒だった。踏み跡はほとんど無いし、ハイマツや灌木、笹で埋め尽くされ、大きなアップダウンが無いのになかなか進まない。エサオマン〜ペテガリ間でも上位に入る濃密さだ。朝イチでまだ消耗していない時間に抜けられたのが救いだった。
1599峰を下ると今度はダケカンバの生い茂る稜線になった。この辺りの藪は「リンゴ畑」と呼ばれ悪評高いらしく、恐れていた区間。しかし実際には踏み跡がついていて、ちゃんと地面に足を着けて歩けるところが多い。灌木の張り出しは多いけど、1599までの濃密な藪に比べればかなり楽だった。ルベツネまでのハイマツ帯の登りにも踏み跡はうっすら続いていて助けられた。
「山と谷」のコースタイムよりも多少早くルベツネに到着。宿泊地に水場があると非常に楽なので、さらに南下してCカールまで行くことにする。・1720からカールの降り口へ下っていくと、稜線の左右からガサガサと大きな音がする。明らかに鹿やキツネではない音だった。笛を吹こうと思いきや、藪に引っ掛けたのか無くなっていた。「熊はいねぇが〜!!!」と大声で怒鳴り散らすと、ガサガサ音は沢の下に消えて行った。
・1535から急斜面の踏み跡を辿ってCカールに下りる。途中から踏み跡は不明瞭になったが、テン場はすぐそこなので藪漕ぎ気味に真っ直ぐ降りた。テン場は広く快適だし、静かでとても良い雰囲気の場所なのだが、先ほどの熊(?)の存在が気になってしまい、やや不安な一夜だった。
【3日目 9/8】
4時半起床。朝食後、5時過ぎから取水に行く。カールから涸れ沢を真っ直ぐ下り、途中で少し右寄りの踏み跡へ。ハイマツと灌木のトンネルのようなところを下っていくと水場にありついた。長い東尾根に備えて5.5Lほど担ぐことにした。
Cカールを出発し、まずはカール壁を登って稜線へ。下る時は良かったが、登りでは目印が無いのでルート取りが難しい。踏み跡を辿らないと濃い藪で上がれない。急斜面の藪の中で10分ほど彷徨ってしまったが、何とか昨日降りた踏み跡を見つけ、稜線に上がることができた。
・1535からペテガリまでは稜線の日高側が岩と薄ヤブの所が多く、踏み跡も多くてそこそこ快適に歩ける区間だった。・1647あたりまで来ると山頂標識が小さく見えてきてテンションが上がる。直下の浅いハイマツを登るとようやくペテガリ岳に到着。昭和18年の冬季初登頂時とほぼ同じコイカクからのルートで辿り着いたペテガリ岳。整備された西尾根コースとは異次元の遠さで、「遥かなる山」という言葉の本当の意味が少し分かった気がした。
ペテガリ岳から・1573JPまで主稜線を進む。この区間はうっすらと踏み跡があるが、ハイマツや笹に覆われ歩きづらい。所々にある岩を超えていくのも意外と面倒で、下り基調なのに時間がかかった。
・1573JPで主稜線と別れ、東尾根に進むとすぐに樹林帯に入る。ここから・1518の早大尾根JPまでは細い尾根上に踏み跡程度の道が続く。草木が被っているところが多く、背中のデカいザックが引っ掛かりまくる。踏み跡を見失うことは何度もあったが、尾根の最上部を辿って進めば大概すぐに踏み跡に復帰できた。細かいアップダウンの連続で消耗するし、ジャングルのような藪の中を進むので景色もあまり開けない。東尾根を歩き通すには精神力も必要かもしれない。でも、主稜線の激藪に比べればよっぽど楽だ。
・1518JPを通過すると草地の中の踏み跡となり、とても歩きやすい道になった。周辺には良いテン場が点在していた。翌日は雨なのでなるべく行程を進めておきたかったが、この辺まで来れば十分だろう。・1417手前のコルまで行って3日目は終了。
「ハフッ…ハフッ…」というケモノの息づかいが辺りから聞こえてきてビビるが、気にしてもしょうがないのでそのまま寝た。
【4日目 9/9】
深夜から雨が降り始め、早朝には本降りになっていた。ここから1日あれば余裕で下山できるところまで来ているのに、テンションが上がらない・・・。2度寝しつつ、のんびり朝食を食べて撤収。雨の樹林帯を進む。
・1417からは笹薮が深くて広尾根で方向を見失いそうになる。ガスって視界がきかないし、東尾根には目印になるピンテなどは全くないので読図力が試されるな〜と思った。ポンヤオロが近づくにつれて細尾根となり、踏み跡は明瞭に。2時間少々でポンヤオロに到着。ヤオロマップ岳とポンヤオロマップ岳、2文字しか違わないのになぜこんなに遠いんだ・・・と思った。
ポンヤオロから先は今年5月に一度歩いた道なのでもう安全地帯だ。雨の樹林帯はしっとりした空気感が意外と気持ち良いし、風もなく暖かい。そして何よりも、5月にはあれほど多かったダニが全くいないのは精神的に非常に楽だった。・1058〜・1121までの笹被りも、これまでの行程に比べたら大したことはない。淡々と歩いて登山口まで下りた。
登山口からゲートまでは10kmの林道歩きがある。3か所で橋が流されているので渡渉も必要だ。雨なので川の水量が心配だったが、深いところでも20cm程度でまったく問題なかった。面倒なので沢足袋には履き替えず、登山靴のままで渡渉した。
所々藪がうるさい林道を抜けて、2時間少々でゲートに到着。今回も片道縦走なので、デポしておいたバイクで札内川ヒュッテに車を回収しに行く。距離は30km少々なので自転車でも良いかなと思ったが、下山後に重いザックを背負って自転車を漕ぐのは非常に辛いということを去年学習したのでバイクにした。濡れた体が風で冷やされてめちゃくちゃ寒かったけど・・・。
【まとめ】
今回の縦走をもって、一夏でエサオマントッタベツ岳〜ペテガリ岳の主稜線をつなぐことができた。また、近年情報の少ないペテガリ東尾根の現状を知ることができて良かった。長時間の藪漕ぎで全身ハイマツのヤニまみれ、ザックや靴は傷だらけで満身創痍になったが、心は大満足だった。戸蔦別〜エサオマン、ペテガリ〜神威など、面倒な区間ばかり残っているが、今後もモチベーションが続く限り日高の稜線繋ぎを続けていきたい。
ペテガリ東尾根は「廃道」という評判が先行しすぎて敬遠されているように思う。実際に歩いてみると、確かに藪漕ぎになるところは多いが踏み跡は続いていて、今後も十分使えるルートだ。沢屋でない一般登山者が日高山脈を東西に横断できるルートはとても貴重で、夏山ガイドにも再掲載を望みたいところ。田中陽希も歩いたルートなので、幌尻岳のように「東尾根陽希コース」とか名付けたら登る人が増えるかもしれない。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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いい山を歩いていますね。
日高の山はやれる時が「華」ですね。
東尾根で水を切らした苦い記憶、何度歩いても楽しいエサオマン〜カムエクなど日高の山にはまりましたが、歳を重ねるごとに時間と体力、気力が失われ、せめて幌尻岳でという状況になってしまいました。
地の利を生かしてどんどん楽しんでください。
日高の山は、やはりいいですね。
ホームページ拝見させていただきました。エサオマン〜カムエクを4回縦走されているとは凄いです。私も7月に猛暑と闘いながら歩いたところを思い出しました。
日高の山は林道のアプローチや時間や体力、色々な条件が揃わないと難しい所もあります。おっしゃる通り、やれる時にやっておくのが吉ですね。
またまたやらかしましたね(笑)、もはや体力と気力が超人的で、呆れて開いた口がふさがりません ! 今回も詳細で貴重な Photo 山行記録とコメントが素晴らしいです。
国立公園になってペテカリ東西尾根コースの貫通が今よりも楽になる日を期待するものです。絶大な拍手を送ります !
国立公園化でコース整備が進めばと思いたいところですが、現実的には難しいかもしれませんね。まず東尾根への林道の修復、橋のかけ直し、長い尾根の草刈りなど、容易ではないと思います。このまま荒れていく運命にあるのでしょうか・・・。
素晴らしい写真と詳細コメントありがとうございます。
今週、まったく同じルートを歩く予定なので
最新情報、感謝いたします!
まったく同じルートとは驚きです!
年に数えるほどしか人が歩いていないと思われるルートですが、少しでも歩く人が増えるのは嬉しいです。
ご健闘をお祈りしています。
コメント欄拝借します。
miya1210さん
歩かれることの少ない1823峰を絡めた登山の記録、東尾根の記録は非常の貴重なものです。山行を終えられましたら、ぜひ記録をアップしていただけませんでしょうか。そうすることでこの山域を歩こうと思う人が道を踏みつけてくれるものと思います。
私は日高と名の付く場所ではアポイ岳にしか登ったことがありませんでしたが、「秘境日高三股へようこそ」の「たかやなぎ」さんの記録を見て無謀にも東尾根コースを歩くことにしてしまいました。それが日高にはまるきっかけでした。
記録を共有させていただければありがたいです。
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