奥秩父(タツマノ尾根・十文字峠・甲武信ヶ岳・破不山・雁坂嶺・突出峠)
- GPS
- 104:00
- 距離
- 33.3km
- 登り
- 3,094m
- 下り
- 3,179m
コースタイム
11:00中津川ー11:15吊橋・登山道入り口−13:00展望小屋13:15−13:30白泰分岐−15:30白泰避難小屋まで2750mの道標−18:25白泰避難小屋まで750mの道標−19:20白泰避難小屋まで250mの道標−20:00白泰避難小屋・二里観音泊
27日
7:15白泰避難小屋−10:30三里観音−11:25大山沢林道分岐(昼食)12:10−13:30四里観音避難小屋−14:50四里観音−15:20十文字小屋・テント泊
28日
6:15十文字小屋−7:30大山−9:30武信白岩山−(昼食)10:20−11:40三宝山−12:40甲武信ヶ岳−13:15甲武信小屋・テント泊
29日
6:30甲武信小屋−6:50木賊・破風山分岐−8:00破不山避難小屋−9:10破風山−11:10雁坂嶺−(バリエーションルート)−13:20一般登山道と合流−13:30地蔵岩分岐−地蔵岩−地蔵岩分岐14:00−14:50樺避難小屋泊(水場往復20分)
30日
5:45樺避難小屋−6:30付出峠−7:15岩道場(ガンドウバ)−8:10水元−9:00国道140号・登山道入り口−9:30川又バス停
天候 | 全日晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
川又−(バス)−三峰口 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【中津川・タツマノ吊橋・展望小屋・タツマノ尾根・シャクナゲ尾根・二里観音】 自分が所有する2009年版・山と高原地図には破線ルートとして載っているが、現在は廃道。 展望小屋までは、観光地化の狙いがあったのか、充分整備されたようだが、現在は人の匂いは少ない。 タツマノ尾根の先に進むほど、踏み跡は薄く、道標は朽ち荒廃気味に。 倒木もあり、ザレ場では踏み跡は消える。 獣道も多く、安易に踏み込むのは危険。 【二里観音−十文字小屋】 岩ドヤでは尾根上だが、それ以外は尾根を外れるトラバース系ルートが多い。 地図では尾根上にルート記載があるが、その印象はない。 それでもルートは明瞭。 重装備ではトラバース系ルートなので、地図記載時間より消費時間は大きくなる。 避難小屋に置いてあるノートにも、赤沢山前後でタイムロスの記載が見て取れる。 岩ドヤ通過は、痩せ尾根で切れ落ちた場所なので、慎重に。 【十文字−甲武信小屋】 大山前後の鎖場等は、特に問題はないが慎重に。 甲武信ヶ岳直下は、多少ガレている。 【甲武信小屋−雁坂嶺】 破不山避難小屋からは、岩場の急登。 東破風を少し過ぎるまでは、多少岩場が点在する。 この区間では、骨折等の事故が数件おきているので、念頭に置く。 【雁坂嶺・孫四郎林道入口・地蔵岩手前の一般道合流まで】 雁坂小屋から地蔵岩前までショートカットする尾根。 コルに出るまでに、2度尾根が細くなるので、確実にそこを通過すること。 目印になるテープは存在しない。 倒木とうっそうとした区間から始まり、踏み後を見つけるのは困難というか、獣道を人が利用している程度。 2018mの小ピーク手前にも小ピークがあり、それを確認できるコルから左側を巻く。(多少踏み跡はある) 2018mピーク手前のコル右側に、笹が茂るが、そこの獣道を少し降るだけで登山道が見える。 【地蔵岩−川又】 特に問題はない。明瞭な道。 |
写真
感想
山小屋のありがたみと、人と人の繋がりというか、色々なありがたみを山に教えてもらっている今日この頃。
山はやっぱり、独りがいいよね!なんて思いながら、それはそれで楽しく歩いてきたけど。
道中すれ違う人々や、山小屋で重ねる会話。
独りだし、やっぱり救助要請を考えるなら、計画書の提出は絶対だなと。
いやいや、もし本当にピンチならば、一分一秒が生死を分けるはず。
ならば道中すれ違う人や、山小屋で記憶に残る方が良いだろうと考えた。
山小屋では自分の行程を話すようになり、周囲の情報を聞き出すように変化していく。
すれ違う人にも、先の情報を聞くようになり、聞かれる機会も増えていったし、聞かれなくても伝えるようになった。
倒木や崩壊した登山道の修復を担う山小屋の人々。
孤高の精神で、独りの力でやるんだ!というのも、また道なのだろうが、ヘタレな自分には無理!!!(笑)
そう思うと、シミジミと山小屋と人の存在がありがたいなぁと思うようになった。
有人小屋では必ず立ち寄り、周囲の情報を得る代わりに、いくばくのお金を落とすようにとコーヒーの1杯でも頼むようになりました。
最近では、山小屋の人に顔と名前を覚えてもらったり、短い夜の帳にお呼ばれしたり。
アルピニズムもクライマーとしての心意気も技術も経験もない、こんな青二才のハゲおやじなのに。
とまぁ、山行に関係ない前置きが長いのは、いつものスタイル〜。
甲武信小屋の徳さんと北爪さんに、覚えていただいたようで。
顔を出しに行かねばと思いつつも、今年は奥秩父の東側をせっせと歩いてきた。
昨年立ち寄ってからから、丁度1年経ってしまう・・・。
それに、昨年十文字小屋から栃本関所跡へ下山した時に見つけた「ヤマブシタケ」というキノコが食べられる事を知り、Kと来年は食べてみようと約束をしていた。
未踏破ルートも残っているし、ここは行かねばと計画を練った。
埼玉側の中津川から入り、タツマノ尾根(未踏破)−白泰山避難小屋−十文字小屋−三宝山・三宝岩(北爪さんお勧めポイント)−甲武信小屋−雁坂嶺−北東方向の尾根ルート(初ルート・バリエーション)−雁坂小屋と突出峠の一般ルートと合流(未踏破)−樺避難小屋−川又バス停を決行する。
南天山−滝谷山バリエーションをやった時に、タツマノ尾根入口は確認しておいた。
現段階で南天−滝谷は執筆途中で、こっちが先行UPになってしまうが・・・。
あれで懲りなかったようで、また雁坂嶺からのバリエーションルートに挑もうとしていた。
同行するは、すでに1年以上ペアを組んでいるK。
タツマノ尾根−シャクナゲ尾根ルートは、所持する2009年度版「山と高原地図」には破線ルートとして残っているが、2014年版に記載の無い廃道となっていた。
できれば古い廃道もあるいてみたいねぇ・・・なんて話をしているので、入門用に丁度よいのでは?とチョイス。
雁坂嶺からのバリエーションは、Kのチョイス。
ネットの山行記録や北爪さんの話もあり、割と歩かれている印象からルート設定したのだが、後に大きな誤算となる。
26日(中津川−タツマノ尾根−白泰避難小屋)
最近馴染みになってきた秩父側からのアクセス。
平日の中津川、水道工事中でトイレの水が出ないという・・・。
タンクにたまっている分があるので、1回はできるよと言われホッ。
中津川林道を歩き、野良猫?のたむろする家・方耳の垂れた大人しい家犬を見ながら、タツマノ吊橋へ。
大きな栗を発見し、あとで食べようと拾う。
まっすぐ尾根に取り付くが、地図にある3本のルート中2本は通行止め。
人為的に大きく整備された階段に沿って、尾根を直登していく。
よく装備された道は面影だけで、殆ど歩く人がいない印象が強かった。
後の反省会で話したのだが、この時点から地形図とコンパス等で、位置関係の把握はしておいた方が良いねということにいたる。
道中、ミズナラの巨木が素晴らしい。
おいおい・・・ミズナラって、こんなに大きくなるんか?と感嘆する。
特に苦労することなく、展望小屋へ到着。
まだ築数年と思われる小屋は立派で、新しくも古びた感じもするアンバランスな寂しさをかもし出していた。
目の前の眺望だけが開け、両神山西方の八丁峠から赤岩尾根がよく見えていた。
少しゆっくりしすぎたが、ここはどの辺だ?と思いながら、先の道を確認するように地図を見る。
小屋後方の尾根に沿って伸びる道へ進み、勘兵衛滝へ降りる分岐を横目に進み、白泰避難小屋への道標を見つける。
通行不可の文字と、進入を拒むトラロープ。
それを越えて、いざ進入する。
ここからはいささか印象で申し訳ないのですが、GPSが無いのと小屋の位置把握が曖昧だったのでご了承ください。
取り付いた尾根は、タツマノ主尾根ではなく、西側の枝尾根。
まっすぐ主尾根に向かうと思いきや、いつまでたっても地図上の尾根上部に乗る気配がない。
東側の隣に、尾根が見えている印象だった。
破線ルートとはいえ、2009年までは地図に載っているのだから、そこそこ痕跡のある道だと思っていたが・・・。
思いのほか、踏み跡は薄いし、テープも少なく荒れていた。
尾根後半になって、やっと尾根上部に乗るが、やせ尾根だったような・・・(曖昧)
地図上で色が変わる1400m地点くらいから、今度はシャクナゲ尾根のトラバース系ルートに入る。
か細く薄いルート、倒木ひとつ巻くだけで、元のルートが不明瞭になる。
ザレた場所も点在し、踏み跡が消える。
獣道が何本か走るものだから、どれだ?とその都度ウロウロと道を探る。
今まで道だろうと辿ってきた跡が、障害(倒木やザレ場)をきっかけに目線が移動を強要される。
まっすぐ乗った道は、それであろうという薄い核心があるのだが、立ち位置が上や下に移動するだけで完全に消失するマジック。
あ・・・れ?
高巻いた倒木の上から、元の道がわからなくなる。
それであろうと降りてみれば、うーん・・・なんか違うなぁとウロウロ。
元の道の裏側へ戻り、上と下にジグザグと先を探る。
ふと道に乗ると、お!と、その先が道に見えてくるから不思議だ。
ややルンゼ状のトラバースにも神経を使う。
とにかく、結構西側の傾斜(谷側)がきついので、ザレ場は怖い。
それでも、踏んだ感触が本道と獣道で違う事に気付いたのと、困ったなぁと思った頃に朽ちた道標(250mごとに距離表記)や古いテープを見つける。
確実に本道をたどっているが、序盤の道草もあり日没が迫る。
5時間くらいで通過できると思ったが、まったくの誤算だった。
広い鞍部に出て、道を見失う。
黄色いテープを見つけ、尾根上に乗るのかとさらに登るが、どうも違う感じ。
テープまで戻り、なんとなく踏み跡らしい目星で進めば、木にビニールテープ発見。
目星をつけて進むが、岩に当たった場所で、また道を見失う。
この辺の記憶がKのモバゲーの記載と多少異なるが、自分の記憶で記載していく。
あの場所から、このテープ・・・こっちに行きそうなものだけど、獣道だなぁ・・・。
黄色のテープからこのテープ、進む方向なんだろうが、このテープから上には行きそう感じだけど道は無し。
となれば、トラバースが続くと考えれば、方向はこっち・・・踏み跡はわからんなぁと進む先に、感触を発見。
またトラバースを続ける道を発見し、とりあえずホッと安堵。
気温が10℃を切りそうだったので、身支度も整えヘッドライトを用意。
軽く腹ごしらえもして、行動再開。
そして幕営適地を確認しながら、道が分からなくなった時点でビヴァークしようと話し合った。
こうなってくると、忘れてきたピンクテープが痛いなと思った。
もっと容易に通過できると思っていたので、目印をつけてきていない。
中止判断をしても、簡単に戻れそうにない。
1750m−1250mと表記を見つけるので、また先へ進もうとする意欲を刺激する。
すっかり暗くなり、熊との遭遇も嫌なので、時折ホイッスルを鳴らした。
道を見失っては、荷物をデポし探索し、なんとか発見する。
暗闇の中、シャクナゲ尾根上に乗ったなと思って、少しホッとする。
この頃になると、500m進むのに1時間を掛けていた。
自分自身不思議だったが、こんな経験は皆無なのに、道を外れることなくルートをちゃんと辿れた事。
ただの偶然なのだろうが、本当に偶然ならば危険極まりないことなんでしょう・・・・。
道を嗅ぎ分ける能力が、多少なりともあったのだと・・・個人的には信じたい。
残り250mの看板を見つけた時は、本当に嬉しかった。
テープも多く見るようになり、道が明瞭になった。
20時を少し過ぎた頃、白泰避難小屋の屋根を確認した。
さっさと床を掃除し、寝床を作成して、温かい夕食。
昨年書き込んだノートを見ながら、管理をしているという古家さんの書き込みに目を通す。
「火箸が欲しいな」の書き込みに、古家さんの「持ってきました」の書き込み。
昨年、火付けに新聞紙を使用したので、持参した事を記入し就寝準備。
大幅に到着が遅れたこともあり、翌日は5時半出発予定だったが、7時に変更。
しかしながら、日没後も歩いたこのルート、独りだったらどうであったろうかと思った。
どうにでもなる装備の安心感は良いとして、深い山の中で独り・・・これは怖かったと切実に思う。
安定した集中力が維持できた背景に、登山パートナーの存在は大きかったと実感。
冷静さが維持できなければ、ここをしっかりと突破できたか自信がない。
27日(白泰避難小屋−十文字小屋)
朝方は冷え込み、小屋内でも6℃。
台風の通過後、西高東低になることは予測できていたので、範囲内の冷え込みだった。
十文字小屋で聞いた話だが、その朝は気温3℃で初霜だったという。
5時前に目は覚めたが、ゆっくりと支度。
当初の予定では、今日は早立ちして十文字小屋を過ぎて、尻岩か三宝山ピークに幕営適地があるので、そこで1泊の予定だった。
そこにいけるに越したことはないのだが、前日の疲労回復を優先。
以前からクリームシチューやポテトサラダ用に導入していた雪印の鉄分入りスキムミルク、今回はホットミルクとして使ってみた。
これが意外なHITとなった。
山で飲むからなのかもしれないが、非常にリフレッシュする美味さで目が覚めるし元気が出た。
これから寒い季節になると思えば、定番に最適だ。
雪山の昼食や、時間や環境が厳しい中でもオートミールやフレーク類と合わせれば、意外な軽食代わりになるかもしれないなと思った。
軽い朝食を摂ったあと、展望岩へ。
古家さんお手製のウッドチェアーに座り、景色を眺める。
山の景色と情緒、コーヒーと煙草。
まさにこれが、至高の時間。
まだまだ未熟ゆえ、時間にも目的地にも縛られない山行はなかなかできないが、いつの日かと想いを馳せた。
7時を過ぎて、出発。
せめて尻岩までいけないだろか・・・と淡い期待も、まぁ・・・無理だろなと2人の認識。
それよりも、本日は今回の山行目的のひとつ「ヤマブシタケ」の確保である。
十文字小屋までの道中、それらしき物は見つけたものの、昨年の物を少し違うような?
しめじ?と思えるような、食べられそうなキノコも一応確保。
見た目は、市販の「ブナシメジ」に似ている。
大山手前の大山沢林道への分岐は、広場状なので、ここで昼食。
すでに12時近く、足取りはいっこうに早くならないようだ。
四里観音避難小屋には立ち寄る予定ではなかったが、もようしたので急遽立ち寄った。
登りに入ってからは、意外と早かったとこに「あれ?」って感じで四里観音を通過し、15時前に十文字小屋に到着。
なにやら新しい建築物、新しいトイレを建築中であった。
世の中には良く似た人がいるものだなぁと、作業をする人を眺めていたら。
なんだ、久しぶりだなと言う感じで「また来たんかい」とKに声を掛けてきた。
へ?あれあれ?・・・あ!徳さん。
甲武信小屋のオーナー、徳さんだった。
そしてK、お祭のライダースハウスや三条でもそうだが、小屋の人の覚えがよいようで声を掛けられる機会が多い。
甲武信の徳さん・三条の木下さん・お祭のサスケさん、皆、Kを見る目がとても優しい。
「まだ小屋番がいないから、先にテント建てちゃいな」と言われ、さっさと設営。
キノコ汁やうどんを楽しみにしてきたが、小屋番不在で残念だった。
夕食をさっさと作り、十文字峠を初めて散策。
徳さんは黙々と、建築中のトイレに防腐剤を塗っていた。
そのうち熊鈴の音が聞こえてきて、小屋番の宗村さん登場。
びっくりしたのが、ボッカして上がってきたことだった。
自分の頭から30cm以上伸びた荷物、たくさんの発泡の箱達。
不適切だった表現かもしれないが、思わず「まだこれほどの荷物を、ご自分でボッカしていらっしゃるんですか」と。
「なんだ、どうりで遅いと思ったら、やっぱりキノコ採っていたのか」と徳さん登場。
「タマゴタケあったよ」と宗村さん。
そして徳さんも揃ったところで「このキノコ、食べられますか?」と、自分達のキノコを確認してもらった。
徳さんがどれどれ〜と覗き込み、「これはナラタケだな、美味いよ。白いのはなんだっけ・・・」と。
宗村さんが、「サンゴハリタケだよ。これはあまり美味しくないんだよ」と。
ヤマブシタケじゃないのかぁと言うと、「それかヤマブシだけど、どっちも食べられる」とのこと。
食べられるとわかれば、すぐさま試食。
網焼きにして、醤油でいただいた。
やばい・・・味が濃い。
ナラタケといわれたキノコ、旨みが強く美味だった。
夜になり、宗村さんと徳さんと少し話がしたかったが、そんな雰囲気でもなさそうだなぁと。
ビールを購入したが、空き缶は持ち帰ってねと言われて「しまった!」と思ったが後の祭り。
そうか・・・甲武信同様、ここもお持ち帰りだったか。
昨日の疲れもあったし、やることもなかったので早々に就寝した。
28日(十文字小屋−甲武信小屋)
2度寝するも、なんとか4時過ぎに起床。
書き忘れたが、十文字小屋の水、前回同様になにやら異物が混入する。
水道管の中に、藻やら混入物が付着しているみたいだ。
蛇口を勢いよくひねると、結構汚れが混入する。
試行の結果、蛇口は少しだけ開け、ゆっくりとタンクに入れるとよい。
気温は5℃、今日も寒い朝だ。
テントは結露し、シュラフカバーを使い忘れたのが痛い。
幸いフライシート以外の結露は少なく、朝食後撤収作業。
相変わらず、日の出とともにスタートとはいかなかったが、6時を少し過ぎたところで出発。
今日は、徳さんも甲武信小屋へ戻ると聞いた。
どこで徳さんに抜かれるだろうかと期待しながら、大山を目指す。
十文字小屋から大山の間、個人的に好きなエリアです。
苔むした道に、木の根の階段。
標高は2000mに入り、高度を稼いでいくが、自由な階段は爪先や踵に優しい。
水平に保たれた登山道は、重装備には助かる。
つい足を止めて、苔むした森の空気を胸いっぱいに吸い込んでしまう。
平日の甲武信小屋を夢見たが、今日は土曜日。
紅葉はまだだったが、週末の甲武信小屋。
予定では最低でも尻岩からの移動だったので、早い時間に小屋へ着いて、北爪さんとの会話を楽しむ時間を作る予定だったのだが・・・。
急ぎたいね・・・急ぎたいねと口にするが、森を眺めては足を止めてしまう。
やはりここは、好きな森だ・・・ここを急いては、ここに足を運んだ意味がないと、空間と時間を楽しむ。
こんな道だったっけ?とか記憶を辿りながら、鎖場を登る。
今日も良い天気で、気温が上がりすぎないことを祈った。
大山からの眺望は、相変わらず良かった。
両神から続く赤岩尾根と天丸山、前回歩いた南天山から滝谷山へ続く道と上武国境の稜線の一部。
三宝山の陰で隠れた甲武信ヶ岳と木賊山、瑞牆山や八ヶ岳が良く見えていた。(多分・・・笑)
大山を出発し、熊鈴の音。
すれ違う2人のご夫人に挨拶。
甲武信小屋泊で出発してきたが、北爪さんが甲武信小屋に向かう自分達とすれ違うよと言われてきたらしい。
時間はまだ8時前、両足にサポーターを巻くご婦人がいるが、なかなか早い。
しばしの談笑の後、別れたがKが「あのご婦人、見たことがある」と言う。
一緒に見たはずだと言われ、記憶がフラッシュバック。
Kとは別に、サポーターを巻いたご婦人の記憶が蘇る。
あ・・・あの2人、たしかに見たことあるね・・・どこだっけ?
結局どこでかは思い出せなかったが、自分にとっては、初めて山で2度遭遇した人になった。
以前登った武信白岩山だと思っていた、岩峰を通過。
それがわかったのは、その後の道間違い。
あれ?と思うほどに、急に踏み跡が薄くなり、こんなシャクナゲのうっそうとした道通ったっけ?と話す。
なんだ?と思ったら、ほとんど藪のなかに「武信白岩山」の看板。
へ?こんなの見た記憶無いぞ?
え?なに?ここが武信白岩山なの?前に登ったのは何?
ガサガサと道を探し進むが、広い場所に出たところで踏み跡が消えた。
広場前後の明瞭な道と裏腹に、いったいどこへ迷い込んだのだろうと記憶を辿るが、ここへ来た記憶はない。
ウロウロしていても時間がもったいないので、陽のあたる場所で早い昼食にすることにした。
テントやグランドシートも日向に干し、昼食を準備している時間に、周囲の探索に。
広場から進むべき南西方向は、どうみても踏み跡無し。
右側へ降りようについた踏み跡の先に、通行止めのトラロープが見えた。
近づくように降りてみるが、トラロープ手間に少し茂っている木々手前から覗き込むだけで先には進まなかった。
仕方がないので、武信白岩山ピークまで戻り、周囲を調べるが、これといった踏み跡なぞないブッシュ。
来た道を戻っていけば、開けた場所に明瞭な道標。
なんでこれに気付かなかったのだろうか?
本道から武信白岩山手前で、右側を巻くように指示する道標。
そんなに下を見て、歩いていたのか・・・。
道標に沿って右へ進むと、その先に見覚えのあるトラロープ。
あー!と合致。
トラロープを潜り登れば、Kが昼食を作っている姿。
んーーーーーー><なんて非合理な道標を・・・と。
ピークだけにある「武信白岩山」の木札。
道標には→方向の指示だけで、直進のピーク表記なし。
三宝山から来る道には、ピークへ続く道にトラロープ。
広場から左折するピークへの道には、何もない。
なんとも不憫なピークなのだろうかと、少し同情した。
むしろ、紛らわしいわ!と笑うしかない。
甲武信、着くの16時頃になっちゃうかなぁと言いながら、日向ぼっこ。
テントもフライもグランドシートもすっかり乾き、お腹も満たされた。
眼下に見える登山道に、人影を見たのは十文字へ向かう1人だけだった。
10時をすっかり過ぎ、やっと出発。
尻岩付近の雰囲気を堪能し、延々と登る三宝山を見上げた。
黙々と足を進め、三宝山ピークにサクッと到着。
あれあれ、案外近かった。
どうやら、登り勾配に至ってはあまり遅くないようだ。
ピークは数組の登山者で賑わっており、週末なんだなぁと思った。
目的の1つ、北爪さんお気に入りの三宝岩の入口を知っているかと尋ねたが、誰も知らなかった。
埼玉県最高峰なんですよと告げるが「え?そうなの?」と、ここも不憫な山である。
埼玉県最高峰「三宝山2483.3m」、甲武信ヶ岳より高いんだぞ?(苦笑)
写真を撮り合い、「なんか下の方に看板あったよね?」の言葉を頼りに、三宝山を後にする。
どこだどこだと探しながら降りるが、鞍部まで降りきってしまった。
えー!どこよ!!
荷物置いて、探しに戻る?とKに聞くが、メンドクサイ顔。
まぁ、俺もそうなんだけど。
週末なこともあるし、ここは甲武信到着を優先することで合意。
甲武信小屋への巻き道に気付くことなく、甲武信ヶ岳へ13時前に到着。
近いんだか、遠いんだか・・・時間設定が上手くいっていない嬉しい誤算。
賑わう山頂で、他の登山者との会話を楽しむ。
13時を少し過ぎた時に、甲武信小屋に到着。
「おーー、来たね」と北爪さんの声。
んー!嬉しい声だ。
今日はちょっと忙しくってねと、到着する宿泊者への対応をしている。
テラスでキノコをいじっている姿は、「どこで油売っていたんだい?」と徳さん。
何処で抜かれたんでしょう?と聞けば、三宝山を迂回する道があるという。
「随分おせーな」と言われ、途中で迷ったことと、テントを干していたと説明した。
なんであれがわからないんだよ(笑)と三宝岩の入口を、探せなかったことが意外な顔。
Kと徳さんがキノコ談義を始めたので、自分はテント設営に入った。
テラス真下、テーブル付きの狭い空間をゲット。
先客が、4張りあった。
甲武信小屋前のテラスを陣取り、徳さんとKがキノコの下処理をしていた。
炭水化物中心になる食事を嫌って、今回は十文字小屋と甲武信小屋でキノコ汁やらオデンやらも有効活用と話し合ったが、すっかり状況に流されて食べることはなかった。
徳さんはKがお気に入りなのか、むつまじくキノコの処理をしながら、なにやら盛り上がっている。
微笑ましいなと思い、こっそりその姿を画像におさめた。
続々と登山者が小屋に到着し、徳さんと北爪さんがその都度対応していく。
テントの受付をしている時の会話から、今日は布団2枚に3人とのこと。
思い思いにテラスで食事の準備をする人も増え、自分達も食事の準備に入る。
ビールを飲みながら、イワタケを徳さんのアドバイスどおりに指でゴシゴシ汚れを落とす。
手間が掛かりすぎる反面、味はないイワタケと聞いたが処理を続ける。
時折、北爪さんと常連の手伝いに入った人が煙草を吸いに出てくるので、目ざとく会話に混ざったり。
我がときがわ町の和菓子屋で購入した、前澤屋の塩飴を「こんな物しか上げられませんでしたが」と渡した。
でも、この塩飴、自分も大好きなんだけど、評判いいんだよなぁ。
ときがわ町へおいでの際は、是非、前澤屋の塩飴と苺大福を、そしてわたなべの豆腐を、お勧めです。
後に紹介された手伝いに入っている2人、今日、真ノ沢林道で甲武信に上がってきたと聞いて興味津々。
なんとか話を聞きだしたいが、宿泊者への夕食準備に入っているのでそれも叶わなかった。
下処理の終わったキノコを鍋に投入、いよいよキノコうどんだ。
「まだできねぇのか・・・」と徳さんが覗きにくる。
そんなやり取りが、楽しすぎる。
ナラタケは焼いた方が絶対に美味いと主張するKを尊重し、何本かは網焼きにまわす。
いよいよキノコうどんが、完成。
タイミングを見計らって「徳さんに声掛けてきな」とKを促す。
「どれどれ」と湯飲みを持参し、徳さんが「おお、これは美味いな」と試食。
2個湯飲みを拝借し、北爪さんと真ノ沢を上がってきた人にもおすそ分け。
そして、いよいよ念願のキノコうどんを食べた。
東洋水産の大根おろし(フリーズドライ)を追加したが、ベストマッチ。
サンゴハリダケ(この時はヤマブシダケだと思っていた)からは絶妙なダシが出ていて、ナラタケモドキ(ナラタケと教えてもらったが、サンゴハリタケ同様に後日入念に調べました)は、それ単体で旨みを口いっぱいに振り撒いた。
この上ない山の恵みに、感謝感謝だった。
もっと食べたかったと、もっと採ればよかったと言うK。
半分は同意するが、山の恵みは程々にと思う気持ちが半分。
でも、美味いものは、やっぱりもっと食いたいなとも素直な感情。
美味い美味いと食ったはいいが、俺だけ胸焼けと軽い吐き気に襲われた。
あとで調べた結果、ナラタケは充分に火を通せとのこと。
徳さんいわく、ナラタケは酒と相性が悪い。
双方の影響か、少し具合が悪くなった。
30人以上の団体が到着し、一気に賑わう小屋。
団体はうるさくてかなわん!と外に逃げてきた能登から来たと言う人と話を始めたが、この人が1番豪快だった。
小屋の夕食が始まった頃、具合も悪かったので、早々にテントへ撤収。
酔いと疲れで、猛烈な睡魔に襲われた。
夕食から消灯までのビデオ鑑賞の時間が、北爪さんとのゆっくり話ができる時間なのだが、寝袋に包まっていた。
とりあえず寝て、19時頃起きられたら・・・と思ったが、横になっただけで体調も回復してきた。
それでも寝てしまうかと思ったが、今夜も冷えそうなので湯たんぽ作成に。
ここで誤算だったのが、ガスが残り1缶になったこと。
思った以上に初日から気温が下がった事、事前にガスの打ち合わせをしなかった事があだとなった。
自分は250と190?の満タン2缶、Kが250を1缶と250の半端を1缶ということだったが、半端な1缶は実際空に近い状態だった。
それでも250が満タン2缶と190が1缶、充分足りると思っていた。
小屋によっては、お湯が有料で分けてくれるのを思い出し、最悪小屋で購入するかと思った。
トイレを兼ねて、上の様子を見ようと上がれば、丁度北爪さんと遭遇。
「丁度よかった、中に入りなよ」と言われて、???がいっぱい。
中?と思って不思議な顔をしていたら「厨房においで」と言われて、察した。
マジっすか!とビックリ。
まさか甲武信でそれはないだろと思っていただけに、軽くパニック。
Kもトイレに上がってきて、慌てて説明。
「時間ないから、手早くね」と言われ、バタバタとテントへ戻り身支度?というかここしかない!と地図やら水タンクを用意して上へ戻る。
座って座ってと、厨房に通され、宴会に混ざった。
改めて自己紹介を催促し、真ノ沢を上がってきた2人は森本さんと山中さんと名前を聞いた。
山中さんに至っては、オーナーの山中徳冶さんの遠い親戚に当たるらしく。
原全教さんや古い奥秩父の文献に登場する「山中喜三郎」(名前がうろ覚えですいませんが・・・)さんの血族だという。
自分にとっては、憧れる有名人に囲まれた至福の時間が訪れ戸惑う。
ベニテングダケを食べたという、徳さんの話。
地図を広げ、真ノ沢や明日行く予定のバリエーションルートの話を聞いたり。
あっという間に時間は過ぎてしまったが、思いがけない出来事に歓喜。
短すぎる山小屋の夜だけど、ここぞとばかりに質問攻めにした。
繁盛する週末の山小屋で、有意義で濃密な夜を過ごせたことに感謝。
29日(甲武信小屋−雁坂嶺(孫四郎林道入口より北東尾根)−地蔵岩−樺避難小屋)
朝の冷え込みは緩み、結露も無かった。
4時前に目が覚め、Kを起こさず撤収作業に入る。
どうやら勝手に支度を始めた方が、最終的に出発が早いみたいだ。
初日から続く軽い朝食も、出発時間を早めるきっかけになることに今更気付く。
お湯の販売はしていないということで、昨夜から余分な湯沸しを自重。
駄目で元々と、素泊まりPTの方に、予備かあまりそうなら半端でもよいのでガス缶はないか?と聞くが、撃沈。
ガス残量は250缶の70%程度。
今日の2回と明日の朝食、節約すればなんとかなるか・・・。
30人を越える団体も早々に出発し、足の遅い自分達は最後尾で出発するが、まだ時間は6時半だった。
破風山避難小屋泊の2人組とすれ違い、週末にも関わらず宿泊者は他にいなかったという。
昼は火を使わないようにと、避難小屋で足を止めてアルファ米に水を入れてジップロック。
昨年の冬、和名倉でガス缶ピンチで経験したが、水で戻しても充分美味い。
1時間半も歩けば、ちょうど食べごろだろう。(笑)
破不山の岩場を登り、日差しが暑いが冷たい風に助けられた。
西から風が吹いているので、下り勾配は背面の傾斜が邪魔で暑い暑い。
登りになると、冷えた風が心地よい。
逆じゃなくて、いかったなぁと
東破風山まで結構長かったなぁとか、岩場がこんなに点在してたっけ?とか話しながら、順調に進む。
朝食が軽かったので、陽当たりの良い場所で早い昼食。
そこで、朝にガス缶が余っていないか?と聞いたPTが通過していく。
今日下山だと言うし、それこそガスが余っているんじゃないかと、再度聞いてみたが駄目だった。
ごめんなさい・・・と言われたが、それこそ自分達がごめんなさいです。
それが普通だし、当てにする方がおかしいのです。
お気をつけて。
声を掛け合い、4人PTは先に進んでいった。
まぁ・・・なんとかなるべ。というか、なんとかするしかない。
すると、先に進んだはずの先ほどの1人が、戻ってきた。
これでよかったらと差し出されたのは、コールマンの500缶。
しかも残量は半分以上入っている。
とっさに買い取りますと500円渡したが、いい大人が500円とか・・・感謝の気持ちが足りなかったと反省した。
誰か水が余分に余っていませんかー!とか、そういえば過去に2回くらいやったし。
まったく駄目な登山者である。
男女4人の爽やかなPTさん、本当にありがとうございました。
雁坂嶺まで1回交差し、雁坂嶺でまた一緒になる。
ここでお別れですと、挨拶を交わし、いざ孫四郎入口からバリエーションに入る。
2万図を出し、コンパスも準備。
昨日にアドバイスを元に、入念に方向をチェック。
先を少し覗きに行ったが、序盤から踏み跡もテープも何もなく。
少し勾配がきつい下り、進む先を苔むした森と倒木が視界を狭くしていた。
スタート位置を何度か検討し、身支度を整え出発したのは11時半頃だった。
小屋で聞いた、「天狗の鼻」のような狭い尾根を目指し降下開始。
廃道で感じた踏み跡など無く、ただ荒れた倒木と苔がぎっしり詰まった森。
ストックを1本にして、片手にはコンパスを持つ。
初めて使用する、矢印のついたダイヤル。
何度も確認し、北に対して北東をセットした。
越えられない倒木が多く、針葉樹の枝も妨害する。
バキバキと音を立て小枝を掻き分けると、頭から降り注いだ。
元々方向音痴な自分、傾斜の角度が斜めになると、方向感覚が狂ってしまう。
逆に言えば、感覚を信じていないので、頼りはコンパス。
少しずつ狭くなる尾根に、「天狗の鼻」かな?と尾根を外さないように進んだ。
鼻先まで進み、降下すれば広い尾根に出た。
踏み跡とも獣道とも言える踏み跡に見えるラインが、情報どおりに現れた。
切れては現れ、広い尾根を方角で歩く。
2個目の「天狗の鼻」に乗るように、傾斜のきつい西側の尾根の切れ目を視界に入れながら進んだ。
途中、1回休憩を入れて話したが、情報を得ていなかったら、入口から少しで引き返したかもしれないと。
とにかく、人の痕跡がない。
ここまで完全な森は、経験がなかった。
ゴミも落ちていない、踏み跡もない。
ここを通る人はいるという話だが、テープは1つも発見できなかった。
初日の廃道にしても、小屋で聞いた真ノ沢林道にしても。
コアなファンは少なからず存在し、人は通っているのだ。
それでも尚、テープが無いのは・・・。
そういう趣向の道なのかもしてないと、2人で話したが、現行自分達の経験では厳しい世界だった。
忘れたとはいえ、実際テープを付けたい。
が、ここまで徹底されると、安易に付けてよいものかと思ってしまう。
真ノ沢林道に関しては、僅かながら古いテープが存在していると聞いた。
正直、行く時は付けたい。
が、付けてはいけないような気もする。
奥秩父の古い道や、深い森を明瞭にしてはいけない。
それを愛する人々の、そんな想いを感じてしまうのは考えすぎだろうか。
2つ目の鼻先を降下し始めるが、急勾配。
邪魔な倒木に、迂回するように踏み跡があるように見えた。
どうするかと考えたが、Kが直進という。
スリングを出すか?と聞いたが、大丈夫と返事。
ずり落ちないように降り、鞍部に出た。
目の前の小ピークは、左から巻け。
情報どおりに左を見れば、踏み跡が続いていた。
トラバース系の方が、踏み跡が明瞭に付くのだろうか?
元々、雪道もそうだけど、人も獣も1番歩きやすいところを歩きたがる。
傾斜に対して垂直に進むのは自由度があるが、傾斜をトラバースするのは、進む道が限定される傾向にあるのは、感覚的に納得もできる。
ザレていたり、少し崩落気味の場所もあったが、明らかに踏み跡が確認できた。
小ピークを巻ききれば、また鞍部に出る。
「鞍部の右側に、熊笹が茂り、中央に獣道程度の踏み跡がある。」
言葉どおりに、真下に向かって1本の踏み跡。
熊笹を突っ切り、10mも進めば登山道が見えた。
合流点を示すように、ピンクのテープ。
雁坂小屋から川又に降りる登山道へ、無事合流した。
天狗岩分岐まで登り返し、しばし休憩。
荷物をデポし、天狗岩へ向かう。
平日に整備が入ったのか、ペンキの匂いが充満し臭い。
黄色いスプレーで、やたら丸印や矢印が木々に書いてある。
とにかく、頭痛がするくらい臭かった。
天狗岩へ登ると、久々の眺望。
大山同様に、両神山は八丁峠付近から続く、上武国境が良く見える。
栃本から続く尾根、白泰山が分かりづらかったが、4日間歩いてきた尾根が広がっていた。
よくもまぁ・・・歩いたものだ。
「ばっかじゃないの?」と笑いながら、三宝山や破風山を眺めた。
あとは道中にキノコを探したが乏しく、1時間しないで樺避難小屋に到着のは15時前。
ここの整備が入ったのか、小奇麗になっていて、防腐剤の匂いが充満していた。
これは・・・たまらんな。
そう思ったが、諦めるしかなかった。
水場まで近道があると言われていたが、分からなかったので真新しいテープに沿って水場へ向かった。
塩ビパイプからの出が悪く、埋まった部分を掘り起こしたのが余計なことだった。
汚れが流れ込み、水量は増したものの、綺麗な水を取るのに苦労した。
持参したビニール袋が1つ破れてしまい、9kgの水を1人で持つはめに。
往復30分くらいだろうか、帰り道は延々と登り。
食い込むビニールが、痛かった。
時間もあるので、その後周辺を散歩。
あわよくばキノコでもと思ったが、何も見つからなかった。
小屋へ戻る頃、ガスが立ち込めた。
周囲は真っ白になり、雁坂嶺からの道中に喰らわなくて良かったと心底思った。
あの尾根で、ガスに包まれたら怖いことこの上ない。
最後に誤算だったのが、夕食時の喧嘩。
最終日の夕食に、なにも喧嘩しなくてもと思ったのだが、珍しく抵抗してみた(笑)
まぁ、本当に些細な原因なんだけど。
土間に蒔きストーブがあって、そこで調理するというKと、上に上がってやればいいやん?という俺・・・それだけ。
久々に、不味い飯を食った。
30日(樺避難小屋−川又バス停)
夜中にトイレを催したが、我慢して寝てしまったので起床は早かった。
4時前に起きてしまい、トイレを済ませ、早々に撤収作業。
気温は10℃あり、寝ている時は少し暑いくらいだった。
余裕を持って、6時前に出発。
事前情報で、マイタケがあるというので期待も高まる。
ががが・・・やはり大々的に人が入ったようで、食べられるキノコの痕跡はなかった。
倒木に生えるサンゴハリタケを発見するが、大きいものは採取されたあと。
2つだけ採取し、小さい物は残した。
途中、時間があることに気付き、落葉樹の広場で散策したりゆっくり休憩。
それでも国道140号に早々に合流し、バス停に到着したのは9時半。
11時半以降のバスまで、2時間以上待つことになった。
谷の対岸から引いてるパイプから、湧き水が勢いよく出ているので、頭や顔を洗ってサッパリ。
ザックの中身を全部出して、テントもポールをセットして設営し、天日干し。
東屋もあるので、ゆっくりティータイム。
そのうち、モンキーと同じく小さいバイクで2人の人が降りてきて、バイクを軽トラックとワンボックスに収納を始めた。
大きいザックを背負ったいたので、思わず声を掛けた。
聞けば、沢登という。
沢を詰め、魚を釣り、幕営し酒肴を凝らしたという。
秩父の方と草加の方で、沢に明るそうだったので、周囲の話や沢登の話を聞いた。
バスがそろそろ来そうだったので、お礼を言って準備をしようとしたら「大滝温泉行くなら、乗っていきな」のお言葉。
もうバスも来ますのでと言うが、バス代浮くでしょみたいに「乗って行っちゃいなよ」と。
大急ぎで荷物を整理し、大滝温泉までの道中、山話に華を咲かせた。
以前も4時間待ちという失態に、回送バスなのに「内緒だよ?」と言いながら乗せてくれたバスがあったり。
水を貰ったり、ガス缶を貰ったり。
奥秩父・・・本当に良い人に助けられる山だ。
珍しく雨男(嵐を呼ぶ男とも)返上で、台風接近の雨が当日に止み。
翌日は、雨だった。
山行に入った5日間、本当に安定して晴れてくれた。
濃密な5日間で、いつにもなく長文になったけど、基本は自身の山行記録なのでご勘弁を。
信越五岳110kmのダメージも少なく、初日に足裏が痛くなった意外は快適な日々だった。
10月10日現在、13日から日本山岳耐久レースへ出場してきます。
11月上旬、山行計画も決定。
奥秩父・未踏破ルートは、毛木平から甲武信小屋へ。
十文字小屋を経て、未踏破ルート柳避難小屋へ。
時間があれば、柳小屋から真ノ沢林道を千丈滝まで散策予定です。
ポイント制になり、ポイントもあり抽選なので、UTMF(富士山1周100マイル)へ申し込みました。
12月、奥多摩小屋周辺散策から、三条の湯周辺の散策をする予定です。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
kameasiさん、LArcでございます。
kameasiさんの充実感、満足感がひしひしと伝わってくる感動的なレコです。
>つい足を止めて、苔むした森の空気を胸いっぱいに吸い込んでしまう。
これ私もよくやるので気持ちがよくわかります。
私の場合は、代わりに肺の中にたまった汚れた都会の空気や邪気を吐き出して。。。森でデトックスしてます。
出会い、語らい、助け合い、森に抱かれ、恵みを食し、山を存分に満喫してらっしゃいます。
一つひとつのエピソードはいつまでも色あせない記憶として心にとどまる素晴らしい山行だったと思います。
Kさんとのささいな喧嘩さえ、懐かしくなるときが来るんでしょうね。
毛木平から甲武信ヶ岳のレコも楽しみにしています。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する