20年目に達成、白峰三山縦走(北岳−間ノ岳−農鳥岳ー奈良田)
- GPS
- 56:00
- 距離
- 22.3km
- 登り
- 2,303m
- 下り
- 2,995m
コースタイム
- 山行
- 2:12
- 休憩
- 0:13
- 合計
- 2:25
- 山行
- 8:01
- 休憩
- 2:04
- 合計
- 10:05
天候 | 3日間とも晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
<広河原ー白根御池小屋> 白根御池小屋までの樹林帯コースは急坂ですが、時々現れるベンチなどで休憩を取りながらゆっくり登れば疲れは残らないでしょう。 <白根御池小屋ー小太郎尾根ー北岳> 小太郎尾根までの草すべりは更に急坂ですが、大きな石や木の根が張ったような所がほとんどないので登りやすいです。日の出前に行動したので暑さを感じる前に尾根に出られました。背後から陽が昇るため陽が高くなると炙られて暑いと思われます。肩の小屋の手前の岩場は少し注意を要しますが、そのほかは楽しい稜線散歩です。 <北岳ー間ノ岳> 北岳の下りはザラザラで滑りやすいので注意が必要ですが、丸太で道が補強され、必要なところには手摺もあるので安心です。北岳山荘から中白根山は足腰が疲れているためか意外と登り甲斐がありました。3000m前後で空気が平地の70%程度なので呼吸が苦しくなります。さらに間ノ岳まで2、3つほどのピークがあり、我慢が必要でした。 <間ノ岳ー農鳥岳> 間ノ岳から農鳥小屋への下りはガラガラ・ザラザラで、北岳ほど整備されてませんので、慎重な脚運びで降りました。西農鳥岳から農鳥の間も岩稜で岩屑が多く結構滑りやすいです。 <大門沢下降点ー奈良田> 大門沢下降点から下に見える沢までのおよそ800mが特に急坂で、石や木の根などが出て段差の大きな所が多く難儀します。ダブルストックを使い、慎重に粘り強く降りました。幾つかある手作り丸太の橋は、雨で濡れていると滑りやすそうです。 |
写真
感想
20年前に北岳から塩見岳に縦走したおり、塩見岳に向かう稜線で農鳥岳が大きく見え、いつか白峰三山も歩いてみたいと思いました。
それから20年、転勤や北アなど他の山に登るのが先で中々実現しないまま、会社を退職。その後は病気の家内の介護をしていましたが、この夏に2泊3日の自由時間ができ、懐かしい北岳、間ノ岳に登るプランを検討していたら、芦安ー広河原間の林道が当面通行不能とのニュース。奈良田から広河原へのバス便増発の情報を友人から得て、可能なら農鳥を含めた白峰三山縦走プランに変更しました。しかし、介護のためにこの2,3年は満足な山歩きをできず、体力低下と持病の膝が心配でした。登山タイツ、膝サポータ、Wストックを用意し、体調・天候不良なら間ノ岳から撤退のプランも持って出かけました。
初日:
家内を施設に預け、横浜を10時半に出発。東名、圏央道、中央道を走り、途中渋滞があるも奈良田に予定通りに到着。広河原までバスで移動し、15:40に登山開始。今日は白根御池小屋までで、小屋に18時過ぎることを連絡してあるので、何年かぶりの本格的な山登りを楽しみながらゆっくりと歩いた。白根御池への登りは歩き難い木ノ根の段差や大きな石があるわけでなく斜度がやや急と言うことで、ゆっくりと登り、30分毎に休憩して予定通り小屋に到着できた。白根御池小屋はトップシーズンでも平日のためか布団1枚で1人寝ることができた。しかし、10人ほどが一部屋で寝ると、暑くなる、鼾が耳障り(耳栓は準備したが)、数十分おきに誰かがヘッドランプを点けて入口の戸を開け閉めしてトイレに行く音、などで神経の細かい私には寝苦しい夜であった。うつらうつらしたのは3,4時間ほど。
2日目:
少し寝坊して3:40に起床。荷物を持ち部屋を出て、用意されていた暖かいお茶を飲みながらホールで簡単な朝飯を取る。そうしている間にも数グループが出発していった。外へ出ると空は白みかけてきたが、小屋周りはまだ暗い。
白根御池の傍を通って草スベリの急登に取りつく。御池をずっと下に見ながら花の咲く急な草原を40分ほど登ったらダケカンバの林に着く。背後の鳳凰三山越しに朝陽が顔をだし、木々の緑が鮮やかに輝きだした。暗いうちから歩き出したことへのご褒美。御池から1時間ほどで林が開け、頭上に北岳が姿を見せた。森林限界を抜けると鹿除け柵に囲まれたシナノキンバイの咲くお花畑、ここで3回目の休憩。とにかく久しぶりの山なので疲れる前に休憩を取る。すぐに大樺沢右俣コースが合流し、お花畑の中を登るとほどなく小太郎尾根に出た。ここまで休憩込みで御池小屋から2時間13分、急な登りだが段差の大きな木の根や岩ゴロがほとんどなく登りやすい。早朝で涼しいうちに登ったのも良かった。時間が遅いと背後から陽に炙られるので辛いだろうと思う。
空は真っ青、目の前にピラミダルな甲斐駒ケ岳、ゆったりと優美な仙丈ケ岳、その左後ろに中央アルプス、右遠くに北アルプスが連綿と続く。ここからは素晴らしい眺望に目をやりながら稜線を散歩する。鎖のある岩場を超えるとやがて肩の小屋に到着。20年前、塩見岳へ縦走したときに第1日目に泊まった小屋だ。懐かしい。小屋からテント場に下りる途中にちょっとしたお花畑。その中に北岳草の花が少し哀れな最後の状態で咲いていた。本来ここには北岳草は自生せず、関係者が移植して上に雪を積み、開花を遅らせる処置をしていると後で地元の登山者から聞いた。“恥しいです”とその人は言っていた。写真で見る最盛期の張りのある北岳草ではなく、花弁が1,2枚欠けたようであり、感激は少なかった。やはり1か月前の活き活きとした花を見るべきだ。
薄い空気の中を喘ぎながら半歩ずつ足を進めて北岳に登頂。360度の大パノラマだ。南にはこれから向かう間ノ岳がどっしりと大きく、その右手奥に兜のような塩見岳、左手に西農鳥や農鳥岳が、南東遠く高くに富士山、東には鳳凰三山、北には甲斐駒ケ岳、北西に優美な仙丈ケ岳、その右遠くに北アルプスの山脈、左には中央アルプスの山々が。本当に素晴らしい眺望だ。ところで三角点の表示板には「白根岳」とある。後で登った間ノ岳も「相ノ岳」と山名とは異なる名称だ。昔の国土地理院には何か名称への拘りがあるのだろうか。登頂時間によると思われるが、北岳山頂には5,6人の登山者のみで静かであった。山頂で地元の方と話をする機会があり、肩の小屋の北岳草マジックをお聞きした。また、大樺沢左俣コースについてお聞きすると、上部で崩壊がありやや危険な状態とのこと。また、最近、左俣の雪渓で滑落事故があった。今日はヘリが道に迷った行方不明者を捜索して北岳の周りを何度も旋回している。
北岳を後に間ノ岳に向かう。暫くは岩屑の急斜面で、滑落しないように注意深く下る。岩屑の斜面にしがみ付くようにして多くの高山植物が花を付けている。八本歯のコル分岐まで来ると傾斜が緩み、歩きやすくなる。前方に北岳山荘が小さく、間ノ岳が高く聳える。北岳山荘で売っていたワケ有りカップヌードル(200円、賞味期限切れかぎりぎりのためセール)で早目のランチ。水は無料、有難い。20年前は1Lで100円だったと記憶。向かう中白根山が高く見える。3000mの稜線歩きは空気(酸素も)が平地の70%ほどのため息が苦しい。中白根山まで来ると間ノ岳までピークが2,3つ見えてめげそうになる。それでも休み休み歩きながら間ノ岳3190m、日本第3位に昇格した山に到着。今日はこれ以上登らなくていい、とほっとする。ガスが出てきて残念ながら眺望はなし。こちらの三角点は「相ノ岳」でやはり山名と異なる。何故かな。山頂には10数人の登山者、ほとんどは北岳山荘から空身でピストン、数人が仙塩尾根方面へ、農鳥方面は私を含めて2人。大門沢のハードな下りの故か農鳥を越える登山者は少ないようだ。小さな雪田の上を行くとやがてガラガラ・ザラザラの急な下りで、北岳ほどは整備されてなく、神経を使い疲れた足に堪える。ずっと下に農鳥小屋の赤い屋根が見え、その上にガスのかかった西農鳥・農鳥が高い。14:40に農鳥小屋着。オヤジさんの雷もなく宿泊手続きを済ます。水場はテント場の先を下り往復30分だったが、水量豊富で美味しい。途中はお花畑のように種々の花が咲いていた。斜面を有効活用して開放感あふれるトイレは、鍵無しでヘッドランプ必須。暗くなって何度も利用したが、物を落とさないか心配だった。
3日目:
今日は下りがタフで長いので簡単に朝飯を済ませ3:45に出発。オヤジさんから「気を付けて行けよ」との言葉をいただく。西農鳥岳の登りは真っ暗で足元も見えずヘッドライト頼りにゆっくり登る。西からの風が強く手袋をした手が凍えるように寒かった。尾根に出るころには空は一気に明るくなった。1時間ほどで西農鳥岳に到着、ラッキーなことにすぐにご来迎を拝めた。向いの農鳥岳の上には富士山が浮かんでいる。農鳥岳には岩稜を巻きながらザラザラと崩れそうな足元に注意して進む。ほどなく頂上が細長い農鳥岳に着く。白峰三山最後の3000m峰、ゆっくり周りの山々を楽しむ。塩見岳や荒川三山など南部の山々が朝陽を浴びて姿を見せ始めた。北に間ノ岳が大きい。北岳がその右に鋭い。
山頂を後になだらかな這松の中を下ると黄色の鉄塔が目印の大門沢下降点に着いた。いよいよ大門沢への急下降。目の下の谷底まで標高差800mほどが最も辛い下り。最初の30分ほどは這松や背の低い木々の中を下るが、樹林帯に入ってからが木の根や石手の段差が大きく足腰に堪えた。左側に雪渓が残る沢が見える辺りの下りはステップがしっかり切れてなく、ロープに頼って下る所もあり難儀した。沢沿いにかなり下ってから斜度が緩み木陰がある所まで来ると最大の下り場はクリア。この後、丸太橋を2つ渡ってしばらく行くと大門沢小屋の前に出た。下降点から2:40で山と高原地図コースタイムに10分プラスで降りれた。齢と最近の修行不足からすれば十分満足。
小屋で冷えたジュースを買い求め喉を潤してから、計画より40分ほど遅れているので先を急ぐ。小屋のすぐ下で長めの丸太橋を慎重に渡る。その後は3つほど丸太橋を渡ったり、横の石を飛んで渡る。しばらく林の中のなだらかな下りを、更に急坂を下って一番目の吊り橋に着く。よく揺れる吊り橋を慎重に渡り、発電所取水口の脇を抜け、二番目の吊り橋は工事のためか撤去、その先の三番目の吊り橋を渡ると登山口に出る。ここから奈良田駐車場まで林道歩きが50分ほど。
17時までに横浜の自宅に帰る必要があり、高速の渋滞も可能性があるので温泉はパスして帰路に着く。案の定、中央高速の小仏トンネル付近で事故渋滞があり間に合うか心配だったが、10分前に到着してなんとかセーフ。
今回は初めて登山タイツを活用し、また疲労した筋肉の回復にアミノ酸を1日3包用意して利用しました。縦走中および帰宅してから今まであったような筋肉の痛みや膝の痛みがほとんで感じられず、これらとストックの効果が十分あったと納得できました。
来年、また十分な自由時間が取れたら、赤石岳から聖岳の縦走をしようと夢見ている前期高齢者目前のオールドハイカーでした。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する