硫黄尾根
- GPS
- 36:12
- 距離
- 58.0km
- 登り
- 5,280m
- 下り
- 5,227m
コースタイム
- 山行
- 5:11
- 休憩
- 0:12
- 合計
- 5:23
- 山行
- 10:23
- 休憩
- 0:26
- 合計
- 10:49
- 山行
- 10:30
- 休憩
- 1:47
- 合計
- 12:17
天候 | 5/1晴午後から小雨、5/2晴天、5/3晴天、5/4晴天 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス タクシー
その後、タクシー(七倉山荘利用者は1,700円、通常は7,000円)で七倉山荘へ 七倉山荘からは歩き(高瀬ダムまでタクシーも利用可) |
コース状況/ 危険箇所等 |
■七倉〜湯俣 車道、林道、平坦な登山道 ■湯俣〜第一吊橋(伊藤新道) バランスを崩しやすい足場もあるが、補助ロープや鉄筋で整備されているため歩きやすい ■湯俣〜硫黄尾根取付き 水俣川が増水で、渡渉困難なため湯俣川側の緩めな斜面から藪を漕いで取付く ※4/30、5/1の降雨の影響で水俣川が増水 最低2回の渡渉を行わねばならなかった 5/1に1回目渡渉は膝上、2回目渡渉は胸まで(流される危険が非常に高かったため撤退) 5/2朝に再度検討するも5/1に撮影した川の状態と、流速、水深に変化がなく、渡渉困難と判断し下山することにしたが、山口からの3人パーティーにその旨を話したところ、記録は少ないが湯俣川側からの取付きを教えて頂き、同行させてもらうことになった。 ■硫黄尾根取付き〜硫黄尾根前衛峰群〜小次郎のコル ひどい藪 硫黄尾根前衛峰の斜面でやっと部分的に雪 小次郎のコルまで雪はほぼなし ■小次郎のコル〜硫黄岳〜赤岳前衛峰群〜赤岳岩峰群〜白樺台地 硫黄岳まで浮石、藪、雪面 その後は基本岩稜帯 沢地形に雪が辛うじて付いている ■白樺台地〜西鎌尾根〜千丈乗越〜新穂高温泉 西鎌尾根手前の最終ピークまで藪の稜線と雪斜面 西鎌尾根は雪稜+夏道 飛騨沢は急傾斜の雪面 滝谷避難小屋からアイゼンを外す |
予約できる山小屋 |
|
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ハードシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
アウター手袋
予備手袋
防寒着
雨具
ゲイター
バラクラバ
毛帽子
靴
ザック
ザックカバー
アイゼン
ピッケル
スコップ
行動食
非常食
飲料
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
食器
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
予備電池
GPS
ファーストエイドキット
ガムテープ
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ツェルト
カメラ
ポール
テントマット
シェラフ
ロープ
ハーネス
ヘルメット
ロックカラビナ
カラビナ
スリング
ディッセンダー
|
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感想
第1日目 快晴午後から小雨
0500七倉〜0830湯俣〜尾根取付き試み〜10:30湯俣
快調に歩を進め、湯俣に到着
1月の偵察の通り、尾根の左側(水俣川)から取付きを試みる
当然雪はなく渡渉が必要
1回目は膝上まで、2回目は胸までで、流されそうになり、この日の渡渉を諦める
第2日目 晴天
0530湯俣〜尾根取付き試み〜0600伊藤新道入口〜0730第一吊橋〜0800湯俣〜0900尾根取付き〜硫黄岳前衛峰群(P1〜6)〜1617小次郎のコル
起床すると高瀬川の水位が下がっており、水俣川の渡渉は五分五分かと思って河原に着くも、昨日撮った写真、動画と比較して何も変わっていない
複数人であれば相談の後、臨むことも可能かもしれないが単独のため流されたら取り返しのつかないことになりかねないため、また年末にでも行けたらと撤退を決断
せっかくなので伊藤新道を第一吊橋まで歩いた
湯俣に戻り、帰り始めたところ、三人パーティーがこれから硫黄尾根に取付くという
渡渉が不可能で引き返してきた旨を伝えるとガッカリしていたが、尾根の右側(湯俣川)から取付いた記録が過去にいくつかあるとのことで自分としてはダメ元で取付きまで同行させてもらうことに
尾根の末端からすぐのところに藪の斜面があり、地形図的にも確かに斜度が緩い箇所があった
一旦気持ちは切れていたが、三人が歓迎してくれたので行けるところまで行ってみることにした
1月に来たときは雪のおかげで藪はほとんどなく、尾根上に上がってからもしばらくは歩きやすかったが、今回は尾根に上がるまでに背丈以上の藪、上がってからも藪と樹林
藪歩きは苦手で三人には追い付けず、マイペースで行こうと決めたが、三人が休憩するタイミングで何とか追い付くことが続いた
尾根伝いでは厳しそうな箇所に出、遅れて進んでいた自分は左手の雪の斜面に降り、上がっていけそうか確認することに
多少急だが問題ないことがわかり、ここから完全に4人で進み始めることになった
登り切ったところ(P1?)で最初の懸垂ポイント
持参のロープを準備していたところ、三人のロープを使っていいとのこと
最初は遠慮したものの、せっかくなので使わせていただくことにした
以後、最後まで支点構築含めて頼りっきりだった
硫黄岳前衛峰群は基本的にほとんど雪のない岩稜歩きでアイゼンを履いての歩行
雪がないザレた道は脆い
最終P6は硫黄岳が正面に見える開けた山頂
ここで中休止
硫黄岳はかなり傾斜はあるが雪がついているためどうにか登れるか
まだ14時30分だったため、硫黄岳を超えて硫黄台地まで行くことも少し考えたがどれくらい時間がかかるかわからず、三人も小次郎のコルまでで行動を止めるとのことだったため止めた
コルまでは藪
尾根上に雪はなく幕営適地はなかったが、尾根の左側を一段降りたところに雪が溜まっている地帯があり、テント二張り分の空間が確保できた
三人は広いテントで快適そうだったが、こちらは軽量化のためツェルト
割り切ってはいたがやはり少しだけ羨ましかった
昨日12時間以上寝たため、あまり眠れず
お世辞かもしれないが「体力も技術もすごい」と認められていたことが嬉しかった
第3日目 晴天
0446小次郎のコル〜0647硫黄岳〜硫黄台地2,511〜雷鳥ルンゼ〜硫黄岳南峰2,459〜赤岳前衛峰群(P1〜8)〜1430中山沢のコル〜赤岳〜赤岳岩峰群(2〜6峰)〜1703白樺台地
硫黄岳へは急な岩稜と藪と雪壁の急登
結局2時間かかった
山頂はこの山行で最も気持ちよく、三角点も発見し、北鎌バックに記念撮影などして、西鎌尾根も見えてきたし、この後は快適な雪稜歩きが出来るのではないかとみんなで期待した
しかしそんなことはなく、ここからずっと核心部が続く
硫黄台地を抜けて雷鳥ルンゼに降りようとすると懸垂が必要な斜面となった
無事に降り立っても、ルンぜ含めて雪がなく安定して立てる空間がほとんどない
非常に脆い砂礫とその上に岩が乗っかっているだけの斜面
何十年も前から岩に巻き付いていて食い込んでいる際どい残置スリングを使ったり、残置スリングだけでは足りず、樹木で二点分散の支点を確保したものの、枯れた松の木が折れ、肝を冷やすこともあった
振り返って硫黄台地を見てみると一体どこを通ってきたのかわからないほど
赤岳前衛峰群を迎えるがここが特に厳しい
動ける位置にいる人が身を挺して斥候に行き、大声を出してルートの状況を伝える
一人が稜線通しで進んでいけないかを確認し、別の一人が雪稜のトラバースで岩峰の裏に出られないかを確認する
事故の危険性はあるが大袈裟ではなく、それぞれが率先して生還するために進むべきルートを探す
行った先で進退窮まる可能性も十分にあり、常に緊張状態が続いていたが、全員の体力、技術、胆力が素晴らしく、実際の状況よりは良い意味で危機感を感じなかった気がする
一人ではとても抜けられるはずもなかった
幕営予定地だった中山沢のコルに至るが雪が少なく時間はまだ14時30分
正面の赤岳主峰は雪壁をつなげば登れそうだがここで泊まって朝一のカリカリの雪面を登るのは危険とのリーダーの判断でさらに進むことに
リーダーが積極的に先行してトレースをつけてくれる
体力お化けで明るい性格の尊敬できるリーダー
少しでも大きい脆い岩を抱くようにしてクライムダウンをしたり、滑落したら取り返しがつかなくなる雪面を20kgの荷を背負ってトラバースしていく
無我夢中で最後の細いリッジの藪を無理やり切り開き、白樺台地に降り立つ
リーダーと握手
安堵と嬉しさで少し涙が出た
常に緊張するこんな尾根をよく12時間も集中して歩けたと思う
後から2人も到着して、みなさんにお礼を言った
昨晩まではある程度の距離感があったが、今日一日全員で切磋琢磨できたおかげで距離は縮まり、貴重なジンとお酒を頂いて、北鎌尾根を眺めながらみんなで談笑した
第4日目 晴天
0538白樺台地〜0625西鎌尾根合流〜0831千丈乗越〜0954槍平小屋〜1315新穂高温泉
朝一最後の急斜面の登り
昨日の筋肉疲労が溜まっていて身体が上手く動かないが4人で登れる最後の登り
小一時間で西鎌尾根に合流し、ここで3人とはお別れ
なんと3人はそのまま裏銀座を周回し、もう一泊して高瀬ダムに降りるとのこと
呆れるほどの体力、気力
本当に名残惜しくてほんの少し同行しようかとも思ったが、もうお腹いっぱいでとても行く気にはなれなかった
3人それぞれと握手をさせて頂き、笑顔でお別れした
なんと仲間というものは心強いものなんだろう!
今日も快晴で歩くには申し分がなかったがそれまでの緊張がどうも切れてしまったみたいで何度も休憩しながら歩いた
当初は槍ヶ岳まで行こうと考えてたが、体力の問題以上に硫黄尾根を踏破できたという満足感がいっぱいで槍への欲が一切出なかった
その後、足のマメに顔を歪めながら、通いなれた右俣林道を歩いて、今回の硫黄尾根を終了させた
未だに本当に踏破できたのかわからないような感覚
山登りってなんなんだろう
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