白峰南嶺〜白峰三山(笹山〜小太郎山)
- GPS
- 54:13
- 距離
- 30.3km
- 登り
- 3,867m
- 下り
- 3,167m
コースタイム
- 山行
- 9:31
- 休憩
- 0:03
- 合計
- 9:34
- 山行
- 14:51
- 休憩
- 1:12
- 合計
- 16:03
- 山行
- 7:07
- 休憩
- 1:09
- 合計
- 8:16
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
良好。小太郎山尾根は荒れ気味。 |
その他周辺情報 | 下山後は女帝の湯(700円)を利用。 |
写真
感想
日月火の3日で遠征しようと日程だけ決めたものの、天気予報がコロコロ変わるので、北アルプスにしようか南アルプスにしようか、はたまた東北にしようか、決めあぐねていた。前日に、南アルプス北部が一番よさそうだということで、最近気になっていた白峰南嶺と、2年前には眺望に恵まれなかった白峰三山とを合わせて歩いてしまう計画に決定した。
初日は笹山(黒河内岳)に登るだけなので、ややゆっくりめ。4時に自宅を出発した。空はもう明るい。道路は空いており、7時過ぎには奈良田に着いた。が、駐車場直前のトンネル手前から路駐がすごく、焦った。考えが甘かったと後悔しながら、駐車場に空きはないか、つぶさに見ていく。そしたら、微妙な隙間を見つけて、今回は友人の軽で来ていたから、ギリギリ停められた。ついてる。
駐車の憂いがなくなって、いよいよ登山開始。長い吊り橋を渡り、発電所の脇から急登と言われる笹山ダイレクト尾根に取り付いた。登り始めたら、即急登。ダウンはなくてアップのみ。平坦な箇所もほとんどない。標高は稼げるが、なかなかしんどい。テン泊装備だから、なおさらきつい。友人もなかなか調子が上がらず、脚のつりや靴擦れもあって、ちょいちょい休憩をはさむ。ずっと樹林帯で眺望はなく、癒やしになるようなものはほとんどない。登山道としてはドS、ドMな登山者向けのルートである。しかし、狭いながらもよく整備されたルートだとは言える。地図ではまだ破線になっているが、そこまで難路ではない。分岐はなく一本道で、ピンクリボンもこまめについているから、迷うこともなさそうだ。
たくさん休憩したので、出発から8時間もかかってしまったが、ようやく笹山山頂に到着。南峰はまだ樹林に囲まれているが、北峰へ進むと眺望が現れる。塩見岳の雄大な姿が目にとまる。悪沢岳はじめ荒川三山も見える。これから進む白峰南嶺の稜線も見えてくる。今までの苦労や疲労が一気に報われる。単純なものだ。こんな絶好の場所でテント泊。贅沢過ぎる。夜は快晴で、満天の星だった。申し分なし。
翌朝、テントを開けたら雲海と日の出だった。やはり最高の立地。意気揚々と支度して出発。前日の急登に比べたら、笹山からの稜線歩きはそこまで苦じゃない。白河内岳、大籠岳、広河内岳とピークを踏んでいく。途中、大籠岳で休息していたら、眼下の谷から登ってくる2人の強者がいた。バリエーションルートを登ってくるなんてすごいなぁと思い、その後すれ違ったら、山友さんだった。驚いた。こんなとこを上がってくるのもすごいし、こんなとこで偶然出会うのもすごい。谷の下の池ノ沢池が神秘的で相当よかったらしい。行ってみたくなる。
暑い時期だからこそ高山に来ているのに、暑い。下界はもっと猛暑なのだろうが、こんな3000m近い稜線の上も十分暑い。天気を期待して来たわけだが、暑過ぎると文句も言いたくなる。適度に曇ったり、風が吹いたりしてほしいと思う。わがままなものだ。
大門沢の下降点まで来ると、登山客が大勢いる。そこですれ違った人から聞いたのは、なんと、農鳥小屋が営業していないとのこと。水場もなくなったそうだ。奈良田から4L余りの水を担いで来たが、そろそろ心配で、農鳥小屋の水場で補充しようかとも考えていたから、ありがたい情報だった。北岳山荘まで水をもたせるため、水分補給は控えめにすることにした。しかし何より、あの農鳥小屋が営業していないというのが、驚きである。あのオヤジさんはどうしたのだろう?
大門沢下降点を過ぎると、いよいよ農鳥岳への登り。これまた急登でなかなかしんどい。さらに炎天下。水もガブ飲みできず、とにかくつらい。農鳥岳から西農鳥岳にかけてのダウンとアップもこたえる。ただ、農鳥岳周辺のお花畑は見事だった。休憩がてら、可憐な花にたびたび足が止まる。さらに西農鳥岳まで来ると、農鳥小屋の赤い屋根や間ノ岳の迫力ある姿がたまらない。この稜線を見られるから、がんばれる。
農鳥小屋はやはり休業中だった。避難小屋的には使えそうである。水場はなし。なかなかの死活問題である。一応、雨水が溜めてあって、煮沸したり、ろ過したりして飲んでる人はいた。オヤジさんは、どうも上がれなくなってしまったようである。大丈夫だろうか?
農鳥小屋の屋内でしばし日差しを避けて休んだのち、間ノ岳を目指す。間ノ岳の存在感には圧倒されるが、登りの傾斜はそこまできつくなく、意外と農鳥より平気だった。途中すれ違った人がライチョウを見たと言っていた。我々も見られないか、期待が膨らむ。間ノ岳まで登りつめると、ついに北岳が立ちはだかる。さらに向こうには甲斐駒ヶ岳も見える。この2峰はどちらもピラミダルで、山らしい山の形をしている。黒と緑の北岳と白い甲斐駒の対照的な色味もおもしろい。
いよいよ本日のゴール北岳山荘が近づいてきた。着いたら水が飲める、いや生ビールが飲める、なんて考えたら、もうひとがんばりできる。中白根山を過ぎたところで、登山道で動くライチョウの姿を見つけた。親鳥と、3、4羽のヒナもいる。かわいい。本当に我々ついてるなぁと感じながら、しばし眺めていた。そして、北岳山荘に到着。テント場の手続きをし、そのまま生ビールも注文した。なんと、ジョッキも冷えている。最高。今シーズン一番美味いビールを飲むことができた。
夕方はガスって夕陽は見られなかったけれども、夜中は快晴で、またしても満天の星だった。2日続けてこんな星空を見られるなんて、やはりついてる。北岳の上空ではいくつもの流れ星も見えた。
最終日の朝陽も拝み、出発。目前にそびえ立つ北岳の姿は、本当に憧れる。かっこいい。かっこよさだけでなく、美しい花も兼ね備えている。岩の隙間を縫って、そこここに高山植物が咲き乱れている。完璧な山だ。山頂では、2年前に見られなかった絶景が、360度広がっていた。さすが、国内第2位の高峰である。富士山以外のあらゆる山を見下ろせる。
ついに縦走が終わってしまうのがもったいないくらいだが、下山。北岳をあとにした。残るは広河原までの下りだったが、欲張りな性格である。百高山、山梨百名山の1つでもある小太郎山のピークは踏んでおきたいと思った。友人に白根御池でビールでも飲んでいてもらって、ぼくはひとり、小太郎山を目指した。分岐からは気持ちのよい稜線が続いているように見える。が、実際に歩くと、ガレ、ザレ、ヤブもあり、なかなかの難路である。破線でもいいくらい悪い道だった。分岐にデポして、空身なら往復2時間と思っていたが、それ以上にかかってしまった。しかも、小太郎山に着いた頃には、甲斐駒にガスもかかっていた。なんでもかんでもうまくいくわけではない。
広河原から奈良田行きのバスが14:30発。それを逃すと16:30だから、なんとか14:30に間に合わせたい。小太郎山に思いのほか時間が取られたから、白根御池までの急坂を足早に下る。草すべりは、自分自身が滑りそうであった。小太郎山の分岐から白根御池まで、なんとか1時間足らずで来れた。ラーメンとビールを済ませた友人と合流し、広河原まで下山。足が痛くてしんどかったが、2時間ほどで広河原に着いた。かつての広河原山荘の建物が見えた時は安堵した。最後も吊り橋を渡り、バスの時間まで新しい広河原山荘でくつろいだ。ここは、ホテルと言ってもいいくらいの山小屋であった。下山の途中、老体のカメラマンを追い越した時、ぼくもカメラと三脚を持っていたせいか、いい写真が撮れたのか訊かれた。ちょっと立ち話をしただけだが、どうもプロのカメラマンらしかった。広河原山荘に写真が飾ってあるとおっしゃっていたので、拝見した。
奈良田まで戻ってきたあとは、女帝の湯(700円)で3日分の汚れを落とした。やはり、頭は2度洗いしないと泡立たなかった。それにしても、ぬるめのアルカリ性の美肌の湯は自分好み。締めくくりまで最高の登山だった。
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