南アルプス大縦走(沼平→聖岳→赤石岳→荒川岳→三伏峠→塩見岳→熊の平→仙丈ケ岳→北沢峠)
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- GPS
- 104:00
- 距離
- 69.5km
- 登り
- 7,371m
- 下り
- 6,320m
コースタイム
- 山行
- 9:59
- 休憩
- 0:31
- 合計
- 10:30
- 山行
- 12:19
- 休憩
- 0:26
- 合計
- 12:45
- 山行
- 9:41
- 休憩
- 0:20
- 合計
- 10:01
- 山行
- 11:11
- 休憩
- 0:57
- 合計
- 12:08
天候 | 5日間とも、晴れのち曇り&ガス(3日目のみ夕方どしゃ降り) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
帰り:南アルプス市営バス〜山梨交通〜JR等 |
コース状況/ 危険箇所等 |
総じて樹林帯の中を歩く。 あまり岩稜帯はない。 南アルプスの主脈なので、道標やリボンも充実しており、迷う心配もない。 |
その他周辺情報 | 聖平テント場…トイレ(水洗)&水場はテント場から近い、フルーツポンチうまい 荒川小屋テント場・・・トイレ&水場はテント場から近い、富士山目の前 三伏峠テント場・・・トイレは近いが水場は激遠、 |
写真
感想
今回の南アルプス大縦走を計画し始めたのは、昨年9月に実行した北アルプス大縦走(上高地→日本海)をやった直後の秋だったと思います。まあ単純に「今年は北アルプスの縦走をやったんだから、来年は南アルプスの縦走をやろう」みたいなノリだったと思います(笑)。
ただ自宅から登山口までのアプローチにマイカーを使うと、縦走期間中に家族がマイカーを使えないから北アルプス大縦走の時と同様に公共交通機関でのアプローチにならざるを得ないのですが、北アルプスと違って南アルプスは公共交通機関のアシが悪く、どこからどこまで縦走しようか考えた場合、やはりバス便のある北沢峠と畑薙ダムになるかなぁと思いました。ですので地図を見ていると、昨秋の段階では標高の高い北沢峠から入って仙丈ケ岳から仙塩尾根を南下し、塩見岳から三伏峠を経由して荒川三山、さらにそこから聖岳を通って茶臼経由で畑薙ダムへ降りるルートが良さそうだと思いました。
春が近づき、再度細かい部分を調べ、具体的な行程を考えました。
早朝に自宅を出て甲府経由で北沢峠へ行くと到着は昼頃になります。とすると、その日は仙丈ケ岳付近までとなりますから、テント場のない仙丈小屋に泊まることになるかな、と。
2日目以降はテント泊とするべく熊の平小屋、3日目は三伏峠小屋、4日目は荒川小屋、5日目は聖平小屋のテント場に泊まり、6日目にしずてつジャストラインのバスに間に合うよう畑薙ダムへ下って帰る、というプランができました。
しかし最終日ならともかく1日目から小屋泊となること、そして最終日は朝出て地図上で10時間近い行程を歩いた上で昼すぎに1日1本しかないしずてつジャストラインのバスに間に合うか疑問でした。
そんな時、毎日アルペン号というシーズン中のみ運行されている深夜便が都内から畑薙ダムへ向けて出ていることを知りました。これを利用すれば早朝に畑薙ダムに着いて移動時間を有効に使えるし、北上するルートを取るとしたら1日目に聖、2日目に荒川、3日目に三伏峠、4日目に熊の平、5日目に仙丈小屋となり、復路はしずてつジャストラインに比べればはるかに本数の多い南アルプス市営バスに乗って北沢峠から甲府へ抜けられます。
それにうまくいけば6日間ではなく5日間で行けるかもと思っていたのですが、そうなると予約が必要なしずてつジャストラインより北沢峠からのバスの方が便利ですしね。
行く1ヶ月ぐらい前になって、さらに細かい行程を詰めます。
毎日アルペン号で朝6時前に畑薙ダム(厳密には荒川三山へ行った際に何度か車を停めたことのある沼平)に着き、そこから地図上の行程で11時間ほどの聖平のテント場まで行きます。2日目は聖平から以前逆ルートを歩いたことのある道で同じく地図上の行程が13時間ぐらいである荒川小屋のテント場までのコースを行きます。3日目は同じく10時間ぐらいの三伏峠のテント場まで、4日目も10時間ぐらいの熊の平小屋まで、5日目も10時間ぐらいの仙丈小屋まで、そして6日目に3時間ぐらいで北沢峠へ降りて夕方ごろ自宅へ戻る、というルートが頭の中で出来上がりました。
8/ 8 沼平→茶臼岳→聖平小屋テント場(地図上の歩行所要時間10時間45分)
8/ 9 →聖岳→百間洞→赤石岳→荒川小屋テント場(同12時間35分)
8/10 →高山裏避難小屋→三伏峠小屋テント場(同9時間35分)
8/11 →塩見岳→熊ノ平小屋テント場(同9時間50分)
8/12 →野呂川越→仙丈ケ岳→仙丈小屋(同9時間50分)
8/13 →北沢峠⇒広河原⇒甲府⇒自宅(同2時間40分)
さらに日程を詰めるとすれば、8/10は塩見岳の先にある雪投沢の旧テント場、8/11は高望池のビバークサイトまで詰めることができれば、8/12の夕方までには北沢峠へ降りて来れそうな感じでした。そうなると地図上のコースタイムでは8/10・8/11は15時間ほどのルートになりますが、北アルプス大縦走の際も7日目はコースタイム上は18時間を超えるルートを14時間で歩いたので行けるかもと思ったのです(実際には3日目・4日目ぐらいが疲労のピークなので難しいとは思ったが)。まあ8/8・8/9はともかく、8/10以降はその時の体調やルートの状態、天候によって臨機応変にやっていくしかないなと思いました。
そんなこんなで準備をすすめ、4月上旬には早々に毎日アルペン号の切符をゲットし、盆休みに南アルプス大縦走を決行しました。
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【1日目】沼平05:17→11:54茶臼小屋12:08→15:47聖平小屋
8月7日(金)の勤務終了後に自宅へ一旦帰り、食事とシャワーを済ませて再度ザックを担いで都内へ。毎日アルペン号が出る竹橋の毎日新聞社受付にはよく似た登山客が集結していました。
22時40分が出発時間で15分ぐらい前から受付が始まり、屋外のバス乗り場へ。畑薙ダムへの細い道を走る関係でしょう、かなり小さいバスです。でも車内に入ると・・・
「狭っ!」というのが第1感想。今夏の帰省に使ったJRバスや昨年の北アルプス大縦走の時に使ったさわやか信州号は3列シートでしたが、このバスは4列・・・
これで安いのなら我慢もしますが、いずれの夜行バスより高いんですよね・・・ ま、畑薙ダムへ出ているバスはこれしかないから競争原理が働くハズもなく仕方がないですね・・・
出発して高速に乗り、すぐにどこかのSAに泊まりましたが、次に気がついた時は沼平の手前でした。
5時過ぎには着いたんですけど、いきなりトイレもバス停もないところに降ろされ、出発準備。大半のお客さんは畑薙ダムの臨時バス発車場で降りるようです(このバスは先に沼平まで行ってから畑薙ダムへ戻る)。
8日(土)の朝5時半ごろ、おもむろに沼平のゲートを越えて林道を先に進み、少し先にある吊橋を目指します。吊橋を渡るといきなり急登となり高度を上げますが、ヤレヤレ峠を越えるとまた一旦沢へ降りる形となります。再度急登を上がり、小さい吊橋をいくつか渡るとウソッコ沢小屋という無人小屋に到着。
今日の目的地は聖平ですし、その前に稜線直下の茶臼小屋を経由しますから当然なのですが、ココからぐんぐん高度を上げていきます。途中で横窪沢小屋という、割と短い期間しか営業していない小屋で休憩。ただ休憩していただけで何も買っていないのに、小屋番のお兄さんがお茶を1杯くれたのは嬉しかったですね。こういう細やかな気遣いをしてくれる小屋に一度泊まってみたいと思いました。
横窪沢小屋を出て稜線を目指します。下界では酷暑の気温、山と言えどもそれなりの気温であり、ましてやまだ高度もそれほどでもないので、かぶっていた帽子から汗がしたたります。ヒイヒイ言いながら、とりあえず昼前に茶臼小屋に到着。何か昼食をと思いましたがお菓子類しかないようだったので行動食と水を補給して再出発。
午後になってガスってきましたが、稜線に乗ればさほどのアップダウンもなく、数年前にもテントを張った聖平小屋のテント場に16時前には到着。
この小屋の嬉しいのは、受付を済ませるとフルーツポンチをくれること。疲れた体にはこの甘いフルーツがたまらなくおいしいのです。
それとこんなに山奥なのにトイレが水洗なのにも驚かされます。山小屋のトイレの基準としてはかなりキレイなトイレだと思います。
さて、肝心のテント場ですが、さすがに土曜日、小屋の前はほぼいっぱいになっていたので、沢を渡った側の端っこしか空いていません。ただ喧騒から外れた場所なので、かえって夜はぐっすり眠ることができました。
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【2日目】聖平小屋04:15→06:37聖岳06:40→15:04赤石岳15:04→17:00荒川小屋
昨夜は暗くなったらすることがないテント生活なので18時には寝る体制に入り、そのまま朝の3時に目覚ましがなるまで比較的よく眠れました。
しかし今日は今日で、
8/ 8 沼平→茶臼岳→聖平小屋テント場(地図上の歩行所要時間10時間45分)
8/ 9 →聖岳→百間洞→赤石岳→荒川小屋テント場(同12時間35分)
8/10 →高山裏避難小屋→三伏峠小屋テント場(同9時間35分)
8/11 →塩見岳→熊ノ平小屋テント場(同9時間50分)
8/12 →野呂川越→仙丈ケ岳→仙丈小屋(同9時間50分)
8/13 →北沢峠⇒広河原⇒甲府⇒自宅(同2時間40分)
と、元々の山行予定中、もっとも歩行時間が長い日なのでゆっくりはしていられません。
ただ今回のルート中、歩いたことがあるルートは8/13の仙丈小屋〜北沢峠、それに今日の逆向きになりますが荒川小屋〜聖平なので、どんな感じのルートかを知っているので比較的不安はありませんでした。
朝3時に起きて4時15分に出発。まだ暗くてヘッドランプの光に頼りながら聖岳の登りに取り付きます。日曜だけあって多くの人が同様に取り付いていましたが、大半は聖岳まで登って聖平へ戻り、そのまま椹島へ下って帰る人っぽかったです。そういう人はサブザックで登ってきているので身軽そうで羨ましかったですね。
先ほど言ったようにココは以前逆ルートで歩いたことはあるものの、こんな急な登りだったかなぁ…などと考えているうちに頂上に到着。
頂上に着きましたが、基本的に私は1人の時はほとんど休憩をしません。夜明け前から夕方まで歩いて、ザックを下ろす休憩はたぶん昼食や行動食をとる2〜3回だと思います。歩くペースが速くないので、距離を稼ぐには時間で稼ぐしかなく、必然的に休憩を取らなくなりました。聖岳でも写真を撮ったらザックを下すこともなく先に向かいました。
前回来た時も感じましたが、この日の聖平〜荒川小屋間って、ホントこれでもかっ!というぐらいにアップダウンを繰り返します。最終日の野呂川越〜仙丈ケ岳もよくアップダウンが多いとは言いますが、私はこの日のアップダウンの方がきついと思います。
どうにかこうにか11時半すぎに百間洞山の家に到着。さっそくエネルギー補給に水分も併せて取れるようラーメンを注文。昨年の北アルプス大縦走の時同様に昼はなるべく小屋で何か食べられる場合は昼食は行動食ではなく小屋の食事をいただくことにしました。
で、トイレを借りて水を補給して出発した時でした。なんか左足の太ももに水滴がポツンポツンと当たるのです。最初の1分ぐらいは気にしなかったのですが、あまりに続くのでザック底部を触ると濡れている…
イヤな予感がして足を止め、ザックの中を確認するとプラティパスから水が漏れている…!
持ってきたプラティパスはもう6年使っているのですが、どうやら注水口付近が経年劣化により何層も重ねられているビニールがひび割れてしまったようです。さっきまではどうもなかったので、百間洞山の家で給水した時に何か起こったのでしょう…
とにかくこのままではヤバいので、すぐ調理用の給水ボトルとして持ってきていたもう1つのプラティパスにゆっくり慎重に水を移し替えて難を逃れましたが、この調理用のプラティパスもほぼ同時期に買った6年選手ですし、やはりコイツも注水口付近にひび割れがありますので、いつ漏れるかわかりません。水筒をやられると撤退問題になりかねませんから、その後の数日はヒヤヒヤしながら山行を続けることになりました。
百間洞山の家からは赤石岳への長い登りになります。まずは第1ロットとして百間平への登り。でも登ってしまえばフラットで平和な、何故かホッとする空間である百間平は何かこう安らぐ場所です。
第2ロットの登りはいよいよ赤石岳への登り。ガラガラの登りを登りきると避難小屋が見えました。ここで15時前だったので、何とか荒川小屋のテント場には17時ごろには着きそうです。
休憩も取らずにそのまま先に進みます。小赤石岳を経て大聖寺平を上から望むポイントまで来ました。ココは荒川三山が見渡せて私の好きなポイントの1つなのですが、あいにくのガスでほとんど見えませんでした…
大聖寺平から荒川小屋へ向かうトラバース道で雷鳥くんがいました。北アルプスではよく見ますが、南アルプスではいると聞いてはいたものの、南アルプスで自分の目で見たのは初めてでした。北アルプスの雷鳥同様、近づいても至近距離に近づかない限り逃げません。何枚か写真を撮らせてもらった後、ハイマツの中へ戻っていきました。
荒川小屋には17時ごろ到着。既にメインのテント場は埋まっており、その少し上の樹林帯の中にある1人用テントしか張れないような小さなテントサイトにテントを張りました。ここのテント場は水はふんだんに出ているし、トイレもきれいだし、目の前に富士山がドドーンと見えるシチュエーションの良さもあって好きなテント場です。ただこの日は疲れているハズなのですが寝つきが良くなく、あまり眠れませんでした。
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【3日目】荒川小屋04:32→08:19高山裏避難小屋08:39→14:33三伏峠小屋
前日同様に朝3時に起きて4時半ごろ出発。前岳までは逆ルートを2度歩いていたので「そろそろ鹿柵があるんだろうなぁ…」とか思いながら歩きます。
前岳には6時ごろ着いたのですが、高山裏避難小屋方面から続々とトレイルランナーが来たのにはびっくりしました。2時間ほどで来たそうなんですけど、この後下った長い下り坂(彼らからすれば登り坂)を下った際、「ココを登りで2時間なんてヒトじゃないなぁ…」と感じました。
この前岳を出てすぐの、まだ岩稜帯を下っていた際にもトレイルランナーさんたちがたくさん登ってきたんですが、その際にすれ違いになったんですけど、私の足元が両側が切れ落ちていて足元枯れたハイマツがいっぱい露出しており登りの方に譲るスペースがなかったことや登りの方の足元にはスペースがあったので先に行かせてもらおうとアイコンタクトしたつもりでしたが、「マナーの悪い人だな… 登り優先だろ」と言われたんですね。
確かに基本そうだし、そんなことはわかっているのですが、どんなシチュエーションでも100%登り優先かと言えば状況によっては下り優先の場合もあるハズです。その人から見れば私の足元が見えない位置だったからかもしれませんが、役所の人みたいに杓子定規に何でもかんでも登り優先と考える石頭みたいな人もいるんだなぁ…と改めて思いました。きっとたくさんのトレランの人がいたんで、そこで前の人と距離を開けられたくなかったんでしょうか… 登山者とトレイルランナーとの軋轢もこんなところから始まっているのかもしれません。
痩せた稜線を終えるとガレ場の長い下りが待っていました。もうトレランの人は誰もいません。一体どこまで下るのだろう…とようやく道標のあるところまで下ってきたら、今度はひたすら樹林帯の中を下ることに…
南アルプスって来るたびに感じるのは、「目の前に大きな登り返しがあるんだから、そんなに下らせなくても…」と思います(笑)。「次に行きたいのは見えてるそこの小屋なんだから、このまま水平移動させてよ…」なーんて勝手なことをブツブツいいながらいつも歩いています(笑)。
高山裏避難小屋には8時20分ごろ到着。早いですがこの先は目的地の三伏峠小屋まで山小屋はないため、ココでパワー補給を図ります。
久しぶりにカップ麺を食べていると、なんだかこんな山奥には似つかわしくないものがありました。
自転車です。
なんでこんな山奥に、こんなマウンテンバイクがあるんだ?と思っていたら、ナント近くにいたお兄さんが昨日椹島まで自転車で来て、そのまま担いで上がり、今日ここまで来たとのこと。
よく雲取山でも見かけますし、雲取山に自転車で来るってだけでも驚きでしたが、ナント南アルプスでも自転車で上がってくる人がいたとは今回の山行中最大の驚きだったかもしれません。
彼とはその後三伏峠小屋まで抜きつ抜かれつで行くことになりましたが、このあと鳥倉林道を降りてさらに日本海へ向かうとのこと。いやー、首と肩で自転車を担いでいるのですが、見ているだけで肩が痛そうだし、両手両足を動員しないと登降できないような場所もあれば木の枝が引っかかるような場所もあるでしょうに…
荷物はツェルトとマット、あとは食料と水、着替え程度だそうです。逆に我々登山者は荷物を持ちすぎなのか?とさえ思えてきます。
今日の目的地である三伏峠小屋が近づいてきました。元々の山行計画では、
8/ 8 沼平→茶臼岳→聖平小屋テント場(地図上の歩行所要時間10時間45分)
8/ 9 →聖岳→百間洞→赤石岳→荒川小屋テント場(同12時間35分)
8/10 →高山裏避難小屋→三伏峠小屋テント場(同9時間35分)
8/11 →塩見岳→熊ノ平小屋テント場(同9時間50分)
8/12 →野呂川越→仙丈ケ岳→仙丈小屋(同9時間50分)
8/13 →北沢峠⇒広河原⇒甲府⇒自宅(同2時間40分)
の行程で考えていましたけど、この最終日の約3時間って人の心理としてどうしても削りたくなります。でも歩く速さ・長さ、距離、そしてテント場の位置関係などが思うような位置関係になく、また塩見小屋が今シーズンは営業していないのでこの3日目は三伏峠小屋のテント場に泊まる予定でしたが、欲を言えば雪投沢あたりまで行って時間と距離を短縮して6日目はナシにして5日で山行を終えたいと思っていました。
でもなんだかこの日の雲行きは怪しかったんです。どう怪しかったのかと言われても説明できないんですけど、何となく野生のカンと言いましょうか、雨が降りそうな感じだったんですね。なので三伏峠小屋には14時半ごろ着いたので、ビバーク覚悟で水を多めに補給して先に進み、どこかでビバークしようかと思っていたのですけど、この日は止めました。
それにこの日は3日目で疲れも溜まっていたし、休養のつもりで早めに足を止め、テントを張っていたら自転車のお兄さんとか道中で知り合った人も続々と到着しました。
テントを張って腰を落ち着けたので、まずは夕食用の水の確保です。水場はテント場から
5分程度離れていると受付で聞いたので軽い気持ちでプラティパスを2つ持っていったんですけど、5分なんて水場の分岐までで、そこから10分は下りました。水場は水場で水はキレイなんですけど一旦受ける容器が汚れているのか木の葉っぱの切れ端とか結構なゴミが入ります。で、元来た道を登り返すのですけど、これがまたしんどい…
ここのテント場は水場に難ありでしょうか…
そうこうしているうちにやはり雨が降ってきました。でも最初はたいした雨でもなく、テント内で地図を見返したりしていたのですが、そのうちバケツをひっくり返したかのような土砂降りに…
一旦は上がったようでしたが、暗くなったころに再度土砂降り… でも昨夜よく眠れなかった分、この日はもうすぐ寝付いて朝までよく眠れました。
いやー、それにしても今日は野生のカンが冴えて良かったです(笑)。
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【4日目】三伏峠小屋04:25→07:10塩見小屋07:35→13:22熊ノ平小屋13:54→16:33ビバーク地
この日もいつものように3時起きの4時半出発。とりあえずこの日の目的地である熊ノ平小屋を目指します。
途中、昨日山行の1日短縮を狙ってビバークしようと先に行ってたらこの辺りでビバークしただろうなという適地はありましたが、たぶん雨が降り出したのが早かったでしょうから、やはり昨日はテント場にとどまって正解だったように思います。
三伏峠小屋や小屋のテント場に泊まった人が何人も塩見小屋へ向かって登っていきますが縦走者は少数派のようで、意外にも三伏峠小屋から塩見岳をピストンするって人が多かったです。まあ確かにその先って熊ノ平小屋まで何もないですけどね…
塩見小屋は現在建築の最中でしたが、売店は営業していました。カレーやラーメンなどは提供がありませんが、カップ麺とかお菓子、ジュース類は売っています。
ココでもパワー補給のためにカップ麺を食べ、また普段はあまり口にしない甘ったるそうなカロリーの高そうなコーヒー牛乳を飲みました。
それにあとみかんゼリーも(笑)。こういう甘いモノは疲れている時にはすごくおいしく感じます。それにゼリーなんて家にいる時はスーパーでもコンビニでも普通に売ってて簡単に買えますが、こういう山の中で苦労して食べることで日常生活の便利さ・大切さも改めて感じます。冷蔵庫を開ければ冷たくておいしいモノが食べられ、嫁の料理が食べられるっていう日常生活が素晴らしいモノに感じてしまうんですね(笑)。
結局みかんゼリーは1つをその場で食べ、1つはまた疲れたころに食べようともう1つ買ってザックの中へ入れました。
それと最近この塩見小屋の小屋番さんのブログを見るようになり、少し話しをしたのも楽しかったです。
いよいよ塩見岳に向かいます。この塩見岳への登りは南アルプスらしくなく岩稜帯になります。ちょっと北アルプスを懐かしく感じながら登ると、意外にアッサリ到着しました。
ここでもまたすごい人に出会いました。昨夜三伏峠のテント場で自転車のお兄さんと話していた人なんですが、御前崎から日本海まで1ヶ月以上かけて縦走すると言います。いやはや、やはりこういうところに来ると色々な人がいて驚かされますね。
みなさん、塩見岳で足を止められます。でも私はマイペースでザックを下すこともなく先に進みました。ココからは平和な道になり、ゆるやかなアップダウンを繰り返しながら熊ノ平小屋へ向かうことになります。
途中には雪投沢や北荒川岳付近の旧テント場などもあり、こういう平和な場所でゆっくりテントが張れたらいいなと思える場所でした。
熊ノ平小屋が近づいてきました。どうも13時半には着きそうです。そこでまったりしてもいいのですが、やはり昨日同様に最終日の3時間カット=1日短縮が頭に浮かびます。この日はさらに三伏峠小屋で見た天気予報で最終日が曇り時々雨と聞き、余計に1日短縮を考えるようになっていました。
熊ノ平小屋でうどんを食べ、水を4リットル汲んで先に進みます。小屋の方とおぼしき方から「この先にテントを張れるような個所はないですよ」「明日は仙丈小屋まで? でも予約が取れなくて皆さん農鳥方面へ針路を変える方もいるので一考されては」など温かいアドバイスもいただいたのですが、熊ノ平小屋に泊まったら最終日は贅沢に仙丈小屋に泊まろうと思っていたのに泊まれないと聞くと、天気のこともあって余計に1日短縮へ気持ちが傾き、あるかどうかわからないビバーク適地を求めて先に進みました。
三峰岳までは塩見岳同様に岩稜帯でビバークなどできそうにもなく、そこからの樹林帯も延々と稜線を歩くだけで「失敗したかなぁ…」と思いましたけど、「これだけ頑張っているのだから、そろそろ山の神さまよ、サービスタイムにしてくれ」と願ったら、ちょうど1人用のテントなら張れそうな場所が16時半ごろ見つかったので、速攻でそこにテントを張りました。
ココまで来れば明日はなんとか北沢峠へ下って家へ帰れそうな感じがしてきましたんで、コーフンしたのか寝つきが少々悪かったです。
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【5日目】ビバーク地04:19→05:46野呂川越05:46→11:23仙丈ケ岳11:35→13:58北沢峠
この日もやっぱり3時起き、4時半出発のペースを守る。
まずは野呂川越に向かって下降。「どうせ3000mを越える仙丈ケ岳に登るんだから、そんなに高度下げんでも…」とブツブツ言いながら下ります(笑)。
両俣小屋を早く出て来たという人にすれ違ったりしますが、やはりこの仙塩尾根を歩く人はそう多くなさそうです。
野呂川越を過ぎると小さなアップダウンが続きますが、聖〜荒川のアップダウンに比べればたいしたことはなさそうに感じました。実際仙丈ケ岳はどんどん近づきます。
途中、ビバークサイトで有名な高望池に寄りました。思ったより適地は少なさそうですが、ココは少し崖を下ったところにある水場の水が冷たくて良かったです。
そうこうしているうちに仙丈ケ岳のピークが近づきました。離れていても頂上にたくさんの人がいるのがわかります。「もうこれで登りは体験しなくていいんだ…」と思うと力が湧き、11時半前には到着しました。
やはりザックを下すこともなく仙丈小屋へ向かいました。またみかんゼリーでも売ってないかな〜と思って下ったんですけど、ショボイ内容の売店でした…
いよいよフィナーレを迎えるべく北沢峠へ向かいます。小屋で確認したら広河原で甲府行きバスに接続する南アルプス市営バスの最終は16時とのこと。この時12時にもなってなかったので余裕で間に合いそうです。
でも3000mから2000mに一気に下るため、ヒザがおかしくなるのではと思うほどの下りでしたね。いい加減下るのに疲れた14時前、ついに見慣れた北沢峠のトイレ脇に出てゴールを迎えました。
バス停が仙水峠側に移動していて長衛荘でジュースやアイスを食べることも、公衆トイレで用を足すこともできなかったですが、無事最終バスに乗り、広河原で甲府行きのバスにも座れ、JRで自宅へ帰って冷蔵庫に好きなものがあって食べられる幸せを実感した時はホッしました。
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こうして今年のメイン山行である南アルプス大縦走は終わりました。ほぼ計画通りに日程がこなせました。これは行動中はカッパを着るようなことはなかったことが大きいですね。
山へ行く前は「山へ行きたい」と強く思うのですけど、山へ来たら来たでしばらくすると日常生活の便利さから「家へ帰りたい」と思うようになります。やっぱ冷蔵庫を開けたら冷たいジュースやアイスなど好きなものが食べられる便利さ、嫁が温かい食事を作ってうれて食べられる有難さを感じますんで、こういう山行はそうした日常の便利さ・有難さを体感するためにも年に1度は行った方がいいのかもしれません(笑)。
この文章自体は山から戻った翌日に書いているのですが、今日は雨だったようですし、1日早く短縮したのはある意味大正解でした。でもこの5日間で知り合った人で何人かは今日も雨の中を歩いていたことを思うと、残りの山行も無事に記憶の残る楽しい旅にしてもらえればなぁと思います。
長期縦走とレコ大作、お疲れ様でした!
私も8/8〜10と北アに行ってきましたが、お互い天気に恵まれ良い山行でしたね。
荒川から塩見、塩見から仙丈へつなぐ道は未経験なのでいつか経験したいですが、日数とアプローチからなかなか実現が難しいですね〜
でもマイナールートだけに出会う人もなかなか通な人が多いようですね。
塩見から仙丈(仙塩尾根)だけであれば飯田線とバスを利用して、二泊三日で行けないかな〜と思っています。
こんにちは!
ホント、5日もの間、行動中にカッパを着ずに済むなんて、私の日頃の行いがよほど良いんでしょう
南アルプスは北アルプスほどアプローチが良くないし人も少なく(お盆のこの時期でも仙塩尾根ですれ違ったのは数人)、故に小屋と小屋の距離も長くてテン場となるとさらに離れていて計画が立てづらいですが、森林限界の低い北アルプスのように遠くまで山々を見通しながら岩を登る山行もいいですけど、南アルプスには山の大きさを感じながら木々に囲まれた緑深いものも感じながら歩く風情もまたなかなか良いものです。
ぜひnobuharuさんも行ってみて下さい!
アプローチを含めて南ア大縦走お疲れ様でした。
私は11日に対岸の笊にいました。
残念ながらガスで塩見はおろか小笊も見えずでした。
野呂川越〜仙丈ケ岳間を歩かれた方は貴重ですね。
南は地味ながら通な人が行かれる山域だと思います。
横窪沢小屋は高校の冬山合宿の定番でした。当時は土間の両脇が板の間のトタン葺き平屋で、枯れ枝を拾って暖を取ったのが懐かしいです。
南の小屋もけっこう近代的になっているのですね!
写真がとても参考になりました。
熊ノ平小屋って滅多に行けないものですしね。
この時期は午後になると雲が湧き、どうしても眺望が悪くなりますね。
野呂川越〜仙丈ケ岳もそうですし、熊ノ平小屋〜野呂川越も少なかったですね。
どうしても小屋間の距離が長く、ジジババ連中は敬遠するからでしょう。
仙丈ケ岳に着いた時、突然山ガールとか多数現れたんで、慌ててザックに洗濯バサミではさんで干していた靴下をしまいましたから(笑)。
南の小屋も千枚や荒川、百間洞vs農鳥、鳳凰とかに分かれてきましたかね(笑)。
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