念願の雲ノ平(+水晶岳・鷲羽岳縦走)
- GPS
- 21:01
- 距離
- 45.7km
- 登り
- 3,426m
- 下り
- 3,726m
コースタイム
- 山行
- 2:41
- 休憩
- 0:06
- 合計
- 2:47
- 山行
- 4:15
- 休憩
- 0:35
- 合計
- 4:50
- 山行
- 5:52
- 休憩
- 0:48
- 合計
- 6:40
- 山行
- 6:07
- 休憩
- 0:27
- 合計
- 6:34
過去天気図(気象庁) | 2024年09月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
帰り:新穂高温泉BT→平湯温泉BT→新宿 |
コース状況/ 危険箇所等 |
特に無し、強いて言うなら水晶岳付近のみ岩場あり |
写真
感想
当初8下に予定した表銀座のスペア日程として4連休を確保してましたが、予定通り行けたのですっぽりと空いた形でした。穂高、南アルプス、飯豊…いずれも2泊以上かかる場所を検討してましたが、いつぞやNHKのにっぽん百名山で見た雲ノ平を思い出し計画し始めました。
雲ノ平に行く場合、黒部五郎岳を含めたダイヤモンドルートも同じく候補にあがりましたが折立のバスはオンシーズン以外だと平日運行がないので結果的新穂高に下りる一択となります。というか運行日でも最終が折立発12時って早すぎだろ…昔は14時だったらしいですよ…
そうなると自然と太郎平、雲ノ平、双六が一般的ですがこれだと水晶はパスするルート。水晶なんて北ア最深部に次いつ行けるかわからない以上、頑張って踏みたいと思った結果3日目を三俣山荘にし4日目気合で帰る工程にしました。
一般的に折立に向かう場合、夜行バスから朝イチの人が基本だと思いますが例によって前日遅くまで労働のため新幹線乗継から折立11:30着を選択、通常CTだと5hの為あまり推奨すべきではない行程だとは思います。
山小屋予約ですが、太郎平と双六は簡単に取れる一方雲ノ平はまるで満室空く気配すらないです。ただよく見ると常に数日前になると空きが発生していました。キャンセル規定の関係上5日前くらいからはだいたい空きが出るのでそれ前提で考えてもいいのかな、と。想定通り9/4に予約しました。
迎えた当日、驚くことに自分以外にも5〜6人バスに乗り込む人がいました、しかも結構高齢の方もです。何故かバスには添乗員さんもおり、「安全に行ってらっしゃいませ」とのお言葉を頂きました。実際、このバスに日曜日に乗る以上翌日折立に戻る人は基本いないわけで全員2〜3泊して縦走です。そう思うと気が引き締まりました。
有峰林道が空いていたのか11:15くらいには折立に到着し、登山開始です。今年の夏は登山口近くに熊の発見報告が多発しビクビクしながらのスタートとなりました。
登山道自体は急登も特になく、寧ろ自分としてはちょうどいい斜度で想像以上にペースが出ました。勿論、急がなければという思いもあったのですがそれにしても早かったです。途中からはよく整備された階段になりベンチも随所に出ます。既にこのあたりで草紅葉の景観が良く池塘もあり、実質雲ノ平なのでは?十分すぎるくらいの景観です(まあその思いは翌日覆されるのですが)。
景観にも助けられ3hを割る早さで太郎平小屋に到着しましたが生憎昼飯は14時終了で名物行者ラーメンはお預け、この時間はガスってたので前日の寝不足解消の為ゆっくりした後ひと眠りしました。
夕飯直前にはガスが一部抜けて薬師岳や、ぼんやりとですが雲ノ平っぽい場所も見え予報に反した形になりました。
夕飯はハンバーグ主軸の割とよく見る山飯ですが、ご飯の炊き加減が好みで2回おかわりしました。写真右下の昆布〆は魚が出るなんて思わずケーキと誤認してましたね…
2日目、この日も午後から崩れの予報でしたが朝は空が抜けたかのような快晴を迎えました。黒部五郎方面の稜線も捨てがたく…また来てやろうと思いが早くも去来します。薬師沢方面は最初下りますが、森林限界下までは薬師岳が常に見える形となり優雅な姿を見せてくれます。本当は薬師岳も行きたいんだけどね…初日昼スタートだと薬師岳小屋までは流石に遠すぎるし、かと言って太郎平小屋からピークハントするにも折立の帰りに間に合う気もせず…いっそスゴ乗越から黒部ダムまで行くしかないのか…?と夢想中
薬師沢小屋は名前通り沢の直上に位置し当然水も豊富、この先雲ノ平方面水ないので汲んでくれとの指示もありました。ありがたく頂戴します。にしてもここの橋は落ちそうで怖い。高天原温泉方向の分岐もあるけど、高天原温泉って行くと実質+1日かかってしまうのが難しいですよね。ただ日本最奥の秘湯なのでいつかは浸かりたい、黒部源流部は潜るのが大変だけど一度潜ると魅力的スポットが多々あって困るー!
薬師沢小屋からの登りは鬱蒼とした森の中滑りやすい急登を駆け上がるのですがこれが本当に辛いです。斜度としては平均8°らしいですが直登なのと、石がゴロゴロしているので体感としてはデータ以上に思えました。
無心で登ること2h、アラスカ庭園からは黒部五郎岳や薬師岳を遠くに見つつ近くには湿原と池塘の広がる理想郷…パライゾ…アルカディア…次々とそんな言葉が浮かんできます。全登山者行くべきですよここは…
雲ノ平山荘までの道のりがまたすんばらしいもので、この区間は足が頻繁に止まってました…マジで良いんすよこの道…太郎平小屋までもいいなーと思ってたけど別格です
雲ノ平山荘、噂にも、そしてHPからも普通の山小屋とは違う雰囲気を醸し出してはいましたがいざ着くといやはやこれは…格が違いすぎて比較のしようがないですね
自分が思ったのは、採光を考えた設計なのかなと。山小屋ってだいたい寝床は暗いですがここは積極的に窓を設けることで日中は光輝くかのような明るさを維持してます。
物販もクラフトビール置いてるしノンアルでさえヒューガルデンゼロですよ…食堂に至ってはアイスやらパウンドケーキもあるし、さらにジャズやらクラシック音楽まで流れてるなんて信じがたいです。ここだけ抜き取ったら都会のカフェ飯ですよ。
手洗い場でさえタイル張りだしもうオシャレのレベル超えてるよ!!やり過ぎだよ!!昼前に着いたこともあり、周辺散策しながら超gdgdして本読んで写真撮っての繰り返し、なんて優雅な時間なのでしょう。
夕飯は石狩鍋+おかず数種ですが、メインの石狩鍋+漬物がおかわり自由で実質おかず無制限なこともありご飯が進む進む、昼カレー大盛食べたと思えない食いっぷりを発揮してしまいました。食後もティータイムまで設けているので、しまいにはパウンドケーキまで頂きました、さ、財布が…
朝飯は味噌汁+おかずのよくある山小屋食と思いきや味噌汁にしっかり出汁が効いており、おかずに至ってもカチャトーラやアチャール等細部にまで違いを見せつけてくれました。またぜってぇ来てやるからな…!との気持ちと共に出発しました。
雲ノ平山荘を後にし、道中庭園や水補給のためにテン場に立ち寄っていたのですがこのあたりからガスが立ち込め始めました。爺ヶ岳まではまだしもワリモ北分岐に着くころには霧雨にも一部遭い、水晶を諦めるか頭の片隅にありましたがせめて踏もうと決意し向かうことに。
ワリモ北分岐からは時間がそれなりにかかるため、途中好転する可能性も考えてました。水晶小屋到着時は近くに雲こそあるけどかかってはいなかったのでいける!ってなってましたし。
ただ山頂直下の段階になってガスがこっちまで流れてしまい、行動食を食べて待つものの写真の通り雲に支配されてしまうのであった。
水晶小屋、ワリモ北分岐まで戻るころにはすっかり辺り一帯が雲の中に包まれ鷲羽岳も絶望的な状況になり不毛な気持ちを抱きつつも渋々登る形に。山頂から一瞬眼下に鷲羽池が見えてくれましたがNHK等で見た景色はおあずけとなりました。
三俣山荘への下りはワリモ北分岐から稼いだ標高を一気に戻す形で砂地のつづら折りを下るためやや滑りました。登りで使うには辛いだろうなぁ
山荘手前には昨年復活した伊藤新道との合流がありますが、続々と登ってくる人がいました。いくら裏銀座最短ルートとはいえ渡渉繰り返すバリエーションルートなのでこんな人気だとは思ってもみなかったです。
自分は…読売新道や裏銀座縦走とかあらかた済ませたら考えてみます。なんというか、伊藤新道とか北鎌尾根等バリエーションルートは手段を楽しむための物なので、とりあえずは山という目的を一通り満足したいかなーと。
三俣山荘は14時前に到着し、腹が滅茶苦茶空きっ腹なので名物のジビエ丼を頂きました。三俣山荘はシカの食害対策としてジビエ料理に力を入れてあり、その一環なのでしょう。ただ正直に言ってしまうとあまり好みではなく…別に不味い訳ではないんですよ。ただ、某吉〇家みたいに肉がペラペラな物をガッツり煮てるので鹿らしさが下皆無だったんですよね。これで1800円かーとなりました、鹿肉を消費するという目的上、全体の好みに迎合した味付けの必要もあるのでしょうが、自分はもっと肉厚で特徴を生かしてくれた方が嬉しいかなと。
夕飯は鹿肉のシチューでしたが、こちらは塊肉が入っており食べ応えがありました。おかずとして見てしまうと、シチューとサラダのみなのはやや飯が進みにくいですが、まあ仕方ないかなーと。
夕食後は雲ノ平山荘と同じくティータイムになり、まったりケーキセットを頂きました。ケーキは3種類から選べ、コーヒーはドリップしてくれましたが滅茶苦茶混んでいたので6人くらいは待ってました。どうやら当日数名のキャンセル以外満員だったようで、よくまあ皆さんこんな奥地に集うよな(オマエモナー)と。
ただこの後、カフェインのせいか両隣のイビキのせいか、ずぇんずぇん寝れず0時に目覚めて以降まるで眠りにつけず朝を迎えてしまうのであった…コーヒーではなくチャイにすべきだったか…
寝不足をモロに感じながらの朝飯、朝飯は鹿肉のサルシッチャが美味しかったです。鹿の油の味がダイレクトに感じられて癖こそありますが自分は癖のあるほうが好みだったので、3食の中では最も癖があったかなと。
三俣山荘から双六小屋は途中、巻道or三俣蓮華岳経由の道or稜線ルートの三択があり、巻道と稜線を比較すると40分の差があります。元々新穂高まで標準CTだと8h超えな為最終日は無理せず巻道を想定しましたが、天空の稜線の話を聞きどっちにするか揺れていました。ただこの日は朝から昨日より酷いガスガスっぷりで分岐までも酷い有様なため大人しく巻道を選択しました。もし次があるなら、黒部五郎岳経由で目指そうと思います。
双六小屋からは大した休憩も取らず弓折乗越へ、笠ヶ岳との分岐からは一気に標高を下げます。しかし小池新道、新道と名のつく道はだいたいキツめの法則に漏れず鏡平山荘からがまあ長かった。すれ違う登り勢がツラそうな顔してるけど下りもまあ長いっすね…
最後の方は左膝を若干庇いながら小池新道登山口へ、でもまだ終わらないんだなこれが。気持ちの上では実質下山ですが1.5hの林道歩きがあるのですよ。
3週間前に表銀座から槍沢に下った際の横尾からもまあ長いな…長すぎるな…と思ってましたが、あれは道中飲食可能な場所もあり道も一般人向けに整備されていました。しかしこっちは登山者しか基本歩かない関係上、人も少ないし寂しいんですよね。途中わさび平小屋があったのですが、下手に昼飯食ってダラけると時間浪費してしまいそうなのが嫌だったので先を急ぎました。
急いだ甲斐もあってか新穂高BTには12:50到着、目の前のバスを見ると55発のバスだったので何も補給せず手洗いだけかけこんで飛び乗りました。平湯温泉BT着が13:30、新宿直行高速バスが14:35発で慌ててひらゆの森で汗を流し、結局昼飯はサッと済まして帰路につきました。
始めて訪れた黒部源流部、感想としては同じ北ア南部でも槍・穂高とは毛色が大きく異なる(そして好みでもある)なといった所でした。槍・穂高が岩稜帯メインなのに対しなだらかな稜線メインで、表銀座からも見えてはいましたが山歩きをまったり楽しめる場所です。特段技術を要する箇所もなく、随所に山小屋があり日程と相談しつつ自由に組める醍醐味が売りなのでしょう。折立のバスにだけは苦言を呈したいですが…
何より、雲ノ平周辺の景色は別天地と呼んで差支えないと思います。日本であれと比肩する場所はそう多くないでしょう。雲ノ平山荘の居心地良さまで含めると唯一無二なのでは?黒部五郎小舎も噂によると評判良いらしいですし、また来年あの一帯に飛び込みたいと思える縦走でした。
長々つらつらと、最後まで読んで頂けましたらありがとうございます。
通常ここまで感想を書き起こすことはありませんが、今回ばかりは大変強く思い出に残る山行となりましたので綴りました。この記録を見て山行になれば幸いです。
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