常念山脈縦走 蝶、常念、横通、東天井、大天井(三股から常念小屋泊)
- GPS
- --:--
- 距離
- 26.7km
- 登り
- 3,112m
- 下り
- 3,103m
コースタイム
天候 | 晴れ、曇り、小雨、霧 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
トイレがあり車中泊に適です。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
三股から蝶 蝶沢前までの整備のよさで先を行くと痛いかも。ここで一息入れるといいです。 蝶から常念岳 鞍部までの花畑のイメージで行くとこれまた痛いめにあいます。北からも南からも東からもどう行ってもえぐいのが常念。今回はそれを知らしめられました。南からは切れた白亜の稜線、甲斐駒に雰囲気がにているかも。岩で手や頭など打たないよう注意。 常念岳から常念小屋 ガツンと落とされます。整備はされており、浮きにやられないようペンキがこれでもかとあります。それが必要な位ガレてます。勾配、高低差があり、下りもしんどいし、登りは言わずもがな。 常念小屋から大天井岳 行きは横通と東天井を踏んでいます。東天井の鞍部は安曇野側に大きな崩落があります。東の有明の沢と西の梓川一の沢との浸食ゆえでしょうか。旧道はこの煽りで付け替えがなされています。 東天井の稜線超えあたりから東天井のピークに無理なく行くことができます。 ここ何気に景色がよいです。道中で石室あとがあるあたり。 大天井岳までの道中できついのは小屋から横通直前鞍部までの登りだと思います。 常念分岐から三股 小屋からの登り返しがきついです。分岐から前常念は白亜の岩稜歩き。ここはまだましで、岩稜体をしばらく下ります。樹林体に入るまではストックが邪魔です。 樹林体では、一度落ちた後、しばらくフラットぎみになります。尾根から逸れるとつづらになります。素直に下に落とされないため、下りもややかかります。ストック活躍でサクサク下りることは可能です。 |
予約できる山小屋 |
蝶ヶ岳ヒュッテ
|
写真
感想
木曽山脈縦走のあとは、どこに行こうか…。
小屋じまいや冠雪との兼ね合いで選択肢が絞られる季節になりました。
高山は時間の問題。雪山は基本やらないもの、その場合はもう少し必要で、いずれにせよ不安定な時期なのかと。
そんな中、常念山脈は冠雪もまだで、小屋も頑張っているということでならばと決行することにしました。
常念山脈へは常念岳へのピークハントで一の沢から来たのみ。寒くてつらかったですが、帰りに小屋の昼営業でラーメンを食し、救われた記憶がありました。
常念からの眺めも見ていないし、蝶、常念、大天井岳間を歩いて見たいと言うのもありました。
また、巻きでできている道から寄り道するだけなので、百高山の横通と東天井も踏んで見ようと。これらを鑑み、三股から蝶に乗って北上。常念岳を越えて常念小屋で一泊。翌日は大天井岳までピストンの後、常念岳直前まで登り返し、前常念経由で三股へ下りる計画としました。
初日、三股駐車場に車中泊するも、最近疲れているのか、起きたら朝の7時。
蝶までまったりなら問題ないのでしょうが…。
慌てて支度しスタートです。
コースは極めて快調で、蝶沢を超えるあたりまでは横に前常念の山塊を見ながら登ります。蝶沢を超えると途端に道悪になります。そこまで悪いわけではありませんが、そこまでの道が快適すぎるためもあるかと。階段が嫌いな方には微妙かもしれませんが。
しばらくすると大滝山からの道に合流。ほどなく、蝶の山頂やら、小屋やらが現れ、正面に穂高が鎮座します。常念山脈到達を実感。
この日は寒いため、小屋でカップラーメンで温まりました。
そういえば、山の挨拶のあるある「またどこかで」と言いながらそうそう再会しないという話があるかと思いますが、この小屋で、2週前の木曽縦走の越百小屋からの下山時に会ったかと再会しました。
山に行きまくるとこのあるある、本当にあるようです。
余り横柄な態度をとると後々後悔するようです。
気を付けましょう。
二週前はいくら何でもさすがに驚きました。
ここからはひたすら北上です。蝶 三角点・蝶槍・2591mピーク・池塘と順調に行きますが、ここから最低鞍部に降りてしばらくすると白亜の痩せ尾根がずっと続き、常念岳まで連なります。常念、南からもしんどいと実感。
どこからきても登り応えがあります。
このアングルは栗沢山からの甲斐駒に似ていなくもない気がしました。
そうこうして常念岳に到達。この日は登る間にガスがかかり気味になったものの、山頂では景色を堪能できました。
常念岳からは槍穂のみならず、槍の北鎌尾根・硫黄尾根の先に双六〜薬師方面のカールの稜線、鷲羽〜水晶、赤牛、野口五郎などが見えるほか、彼方北方には剱、立山まで見え、来てよかったと感じます。
初日は常念岳から常念小屋まで激落ちして終了。雨も降りだし、いいタイミングで到着できたようです。
小屋は時期が時期だけに空き気味で快適でした。
二日目、未知である大天井までをピストンし、常念岳手前まで登り返し三股へ戻るプラン。中々にしんどかったです。
大天井までルートをそのまま行けばそうでもないかもしれませんが、横通、東天井に立ち寄るとなかなかにきついのです。
でも、いずれもその甲斐に見合う眺望で上がって良かったと感じています。
横通からは常念、東方への尾根がきれい。
東天井まで来ると東鎌の先の北方の山々、大天井から燕、横通の先に富士。
大天井からは双六、三俣、黒部のカール群、鷲羽岳、水晶、白い裏銀座、そして燕など。
そして引き返し常念小屋へ戻ると…なんの因果か常念乗越の東方より雲が上がり、小屋辺りも雲に入りそうでした。
常念小屋から常念岳へのペンキで導かれた浮石を登り返すと、梓川の谷に浮かぶ雲が槍穂を閉ざし、常念岳そのものにガズがかかります。
分岐までかなり登ったので状態が良ければ常念岳山頂まで行こうかとも思ったが、観念し、前常念・三股方面へ行きました。
この分岐から前常念まで、並びに樹林帯に入るまでの区間が、これまた厳しい道ですストックは邪魔な区間でした。
前常念にきてみて、常念小屋からのトラバース路が廃道化してるのもやむなしと感じました。
樹林帯に入ると三股はただひたすら長かったです。
さらに降りていくと雨が降っており、下界は前から降っていたのかだいぶ濡れていて、これまたいやらしかったです。
三股付近で紅葉が見られたことが救いでしょうか。
ただ、前常念あたりから常念まで、なかなかに厳しかったが、おそらくこのあたりが常念へのクラシックルートと思われ風情はあります。
とにもかくにもやり切りました。
下山はだいぶ急ぎましたが、それなりの時間に下山し、温泉で温まって終了。
三股登山口は基本的に蝶に行くための道なのかなあというのが感想です。麓の風呂も蝶ヶ岳温泉ですし。
でも前常念・常念はこれはこれで歩きごたえがあって良かったなとは思います。
今回の山行を終えて、表銀座から大天井は来ていたので、概ね常念山脈は繋いだことになります。
で、常念山脈の主峰は結局のところ、その名のとおり、常念岳であると感じています。深田百名山で常念からは常念岳を選定したのは妥当であると。
山へ登るという観点でも、常念への道を三種を歩き、どれ一つとして楽チンなものはなく、三様の難しさを感じました。
今回は常念岳からの景観を見れ、山の実力を感じました。
信仰の山でもあり、松本平・安曇野の麓からは常念こそが良く見え、雪形が重視されてきた。そういう、里の人々への存在感も、常念山か脈で常念岳こそが抜けているのでしょう。
確かに、燕の方がかっこいいとか、大天井岳の方がでかいとかありますが、それでも常念岳が別格な気がします。
常念山脈はお向かいの槍穂を愛でる道 。常念以北では角度によって、その北の山域も見える美しい稜線。常念山脈では常念と大天井岳が存在感抜群です。燕をいれていいならこれもでしょうか。
小屋泊なら快調に歩けることを実感しました。
本日も見るべきものを見れて良かったなと思います。
(追記)
田部井氏の訃報は、常念小屋で知りました。故人が実際に亡くなったのはこのニュースの2日前だったようですが、報道で皆が知ったのはこの日です。
その後、故人の書籍を見て驚いたのが最後の写真です。
その本のテーマは中高年の方への登山への誘いであり、純然たる入門書です。
半分以上は登山に入るまでのことに割かれています。
生活の中に、入れてみませんか?という山に興味を持ってもらうところから始まっています。そして後半になって、具体的な山行の方法論が論じされています。
最後の最後にお勧めコースが書いてありますが、それとて無理せず体験できるところを書くにとどめています。しかしながら本文には書いてませんが、表紙は常念山頂からの穂高連峰と大キレットでした。これは隠しテーマだったのではと思います。
どこから登っても難所を有し、日本屈指の稜線をみることができる常念は、本書を手に山を始めたビギナーの一つの到達点として示された本文に書いてはいない隠れたメッセージかと思います。
常念まで自力でこれれば、立派な登山者。
少なくとも初心者、初級者は卒業してますよと。
常念小屋で、ニュースを知ったのも何かの縁でしょうか?
この景色、期せずして正にその日に私もその光景を目にすることができました。
感謝します。
深く詳しく山行記録を書いておられて、思わず記憶を辿り、読み耽ってしまいました。
はじめての北アが常念山脈、一ノ沢からの大天井〜燕、中房でした。それ以降、中房〜槍、残雪期には三股〜一ノ沢へと、常念山脈縦走路を歩きました。
これほどまでに深く詳しい記録を書けないですが…思うこと、感じることは繋がるものがあります?*゜
今週末また常念山脈に向かいますが、気象条件次第では、中房から燕〜大天井にしようかと。麗しき常念岳、わたしも大好きです??
常念は人それぞれに思いがあるようですね。稜線からの景観の美しさが私も好きです。
北アである種の異質な双六から黒部五郎、薬師のカール群が自分は好きでして、回りの個性的な山々とのコントラストがなんとも言えない良さだと感じてます。
槍の尖りや硫黄尾根、北鎌尾根の厳つさとのギャップがすごいなと。
長野県自体はスキーに、旅行に、街道歩きに登山と、よく行ってました。
特に富士山麓に住んでからは、白馬へスキーによく行っており、冬の朝、塩嶺トンネルを抜けると、朝日を浴びて輝く雪山の壁が大好きでした。
その山々こそが常念だと知ったと言うか意識するようになったのは山に行くようになってからです。
梓川SAでの展望台も常念を猛プッシュ。土地の風景写真でも常念。
土地の人にとっては日常生活の中で見える風景にあるものこそ愛着もあるのでしょう。
富士山麓に住んでから、口々に自分の住むところ付近からの富士が一番と聞きます。
進学で上京しても富士が、周りに山がないのが落ち着かなくて就職とともにUターンしてくる人も多いようです。こういう感覚はよそ者には中々理解しがたいものの、結局は生まれながらの心象風景に勝るものはなしということなのかと解釈しています。
槍穂が里から見えていたら剱、立山のようなもっと別の歴史を歩んだのかなと思いますが、そしたら、あまり常念は印象的に見られなかったのかも知れない。結果として、里から見える常念と、里からは見えない槍穂。それゆえに常念は常念で、槍穂は槍穂でそれぞれの今の魅力があるだろうということだと思います。
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