(過去レコ)錦秋の涸沢→穂高岳→蝶ヶ岳→大滝山
- GPS
- 56:00
- 距離
- 46.6km
- 登り
- 3,894m
- 下り
- 3,887m
コースタイム
- 山行
- 7:40
- 休憩
- 1:30
- 合計
- 9:10
- 山行
- 9:25
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 10:25
- 山行
- 7:00
- 休憩
- 1:05
- 合計
- 8:05
天候 | 17日=晴れ 18日=快晴 19日=快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2008年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
予約できる山小屋 |
蝶ヶ岳ヒュッテ
|
写真
感想
【山行記録投稿=2017年8月17日】
『涸沢の紅葉を見ずして穂高を語ることなかれ』と言われる言葉がある。
山岳紅葉の美しさは涸沢に限ったことではなく、ナナカマドやダケカンバが植生する高山帯で、とりわけカール地形であれば広範囲に錦秋に染まる美景が見渡せられる。
穂高は四季を通じて美しいので、紅葉も一度は見てみたいとかねてから思っていた。
紅葉シーズンの涸沢の山小屋は非常に混むので敬遠し、初日は稜線の穂高岳山荘に泊まり、二日目は紅葉&山岳景観を楽しみ、三日目はモルゲンロートに染まる槍〜穂高を眺め、梓川の対岸の稜線から北アルプス南部の核心部を展望する為、二日目の夜は蝶ヶ岳ヒュッテに泊まる計画を立てた。
中部山岳の紅葉は例年10月上旬が見頃だが、仕事の休日が晴天であることが山行の条件なので、上旬には都合がつかず中旬となってしまった。
山の紅葉の見ごろはせいぜい一週間なので、上部では枯れ始めているだろうと予想された。
16日は仕事を半日で切り上げて帰宅。午後は本屋で『槍・穂高』の登山地図を買う。今持っているのは2004年版と古いため。
夕方早く17時頃に寝て21時過ぎに起き、松本までずっと深夜の一般道を走る。
沢渡へ着く時間が早過ぎるようなので、途中でシートを倒して横になっていたが眠れなかった。
駐車したのは一番手前のさわんど大橋駐車場。タクシードライバーが慣れた手つきで5人の客をかき集め、5時頃に出る。4人は大正池で降り、私だけがバスターミナルまで乗る。
5時20分、林の中ならまだ足元がよく見えない暗さだったが、幅広のハイキング道なのでライト無しでも辛うじて見える。間もなく、先を歩いていた単独行を抜いてから徳沢までの間で単独行3人が下って来るのと会う。
新村橋から先は初めて歩くルートなので時々山地図を出して現在地を確かめる。
7時17分、ナイロンザイル事件のケルンが三つある所を通過。奥又白池へ向かうルートをのぞき込んで見たが、最近の踏み跡はなく、枯れ始めた草むらだった。
紅葉が綺麗で、時々立ち止まり、ザックからカメラを出して写真を撮る。
2154mピーク手前付近から下って来る人に会うようになる。何と、最初の7人は全て単独行で、女性が2人いた。8組目は女6人、男1人の中高年パーティー。
その内の一人の女性と少し立ち話をする。大勢が屏風のコルにザックを置いて、屏風ノ頭へ向かっているという。私が、屏風ノ耳から先は難コースではないのかと聞いたが、そうでもなさそう。
コルで、サブザックにカメラと少しの食料を入れ、屏風ノ耳へ向かう。急登だがほとんど空身と同じだし、素晴らしい展望に気がはやる。屏風ノ耳には3人が先行していたが、その人達が下ってからは私だけとなる。
今朝、最初に行き会った人に紅葉はどうでしたかと聞くと、先週が見頃で今はもう終わりの頃となり、期待していたほどではなかったとの話だったが、私には見下ろす涸沢全域を含めて、遠目には今が見頃だと思った。
屏風ノ耳から頭まで行こうとしたが、最近の踏み跡は全くないし、距離はすぐだが凄いハイマツ漕ぎになりそうなのでやめた。途中で話をした7人パーティーの女性は、耳と頭を混同していたのではないかと思う。
コルに戻り、涸沢ヒュッテへ向かう。平日にしては行き会う人が多い。このパノラマコースは普通は下りで歩かれるのか、どこから上がって来たのかと怪訝そうな顔つきで聞いてきた人もある。コルから涸沢ヒュッテまでは道幅が狭く、所々に危険そうな所もあった。
ヒュッテのテラスは好展望で有名。ここから見上げる360度のパノラマは絶景。東邦航空のヘリが荷揚げしている場面を間近に見る。小休止後、ザイテングラートへ向かう。パノラマコースやザイテングラートには長い間憧れていた。今、それが実現しているという喜びをひしひしと感じながら急登を上がる。上部には雪も残っていたが歩行には全く支障なし。
穂高岳山荘へ着き、宿泊手続き後、奥穂へ向かう。京都から来たという単独行が先を歩いていた。所々踏み固められた雪があり、滑らないように岩に摑まって上がる。
今日は早朝から薄っすらと雲が広がる晴天だったが、山頂では周辺の山々に雲が掛かっていて、槍の穂先も見えたり隠れたり。4〜5人だけの山頂だがひっそりはしていなかった。
山荘に戻り、凄く寒かったのでストーブのある締め切りの部屋に入り、ビールを飲む。2時間ばかり数人で山の話に花が咲き、楽しいひと時。寒さも解消したが、ガラス越しに見える外は相変わらず雲が多い。部屋名は笠ヶ岳、前回泊まった時もそうだったような気がする。6畳間に4人でゆったりと寝られた。涸沢の二軒の山小屋なら芋を洗うこみようだったかも。
長い間憧れていた紅葉の涸沢、国内の山岳紅葉としては最も美しいと言われる涸沢は、私には期待を裏切らない素晴らしさだった。寝不足と高山病で少し頭が痛かったが、寝る前に頭痛薬を飲んだら翌朝はすっきりしていた。
18日、19日は雲のほとんどない快晴だった。天候も展望もパーフェクトで、夏場のように午前中からガスが沸き上がることはない。
穂高岳山荘で朝食後、サブザックにデジ一のカメラを入れて奥穂へ向かう。昨日も山小屋到着後に登ったが、雲が多くすっきりした展望ではなかった。
今朝は一片の雲のかけらもない快晴で、南は富士山、西は白山、北は妙高の山々までよく見える。富士山や南アルプスは雲海上に浮かび、逆光で墨絵の世界のよう。
山荘に戻り、ザックを整えて北穂へ向かう。
涸沢岳は南北に伸びる岩だらけの山頂で、カール側は絶壁。北穂へ向かう北側はルンゼ状の鎖場で、奥穂→北穂間では最大の難所だった。危険個所を過ぎ、行き会った人と15分ほど立ち話をしていたが、何の話をしていたかさっぱり記憶にない。
難所を過ぎた安堵感とまだまだ続く難路のことで気持ちが高ぶっていたのだろうか。
それから数分後に最低コルを通過、滝谷ドームには簡単に立つことが出来たが、ツルムは場所が分からないまま通り過ぎた感じ。多分、ルートから離れているのだろう。
北穂・南峰に標示類は何もないが、ケルンがあった。一旦、松澤ノコルへ下って、北穂・北峰は至近距離だ。北峰はやはりダントツに展望が良い。いつかは北穂高小屋に泊まってみたいと思う。
滝谷ドームや北峰から蒲田富士を注意して見ていた。蒲田富士から涸沢岳にかけては凄い絶壁。蒲田富士に行ってみたいと思っているが、そこから涸沢岳は無理だろう。
北峰で槍方面の絶景を脳裏に焼き付け、南峰直下へ戻り、南稜を涸沢へ下る。ザイテングラート同様の急斜面だが、南稜の方がやや歩きやすい印象。ヒュッテを目前にしたテン場の石囲いで小休止。ヒュッテから下は紅葉、黄葉が圧倒的な美しさだ。
この辺りから続々と上がって来る登山者と行き会う。快晴の週末なので、今朝一番のバスやタクシーで上高地へ入った人達だろう。本谷橋を過ぎてからは少なくなったが、横尾までで200人ほどには行き会っただろう。
横尾山荘前からは、逆光で見栄えがしなかったが、屏風岩が壮観。地図には国内最大級とあるが、確かに物凄さを感じさせる岩場である。
奥穂から1570m下り、今度は蝶ヶ岳まで1050mの登りだ。槍見台を過ぎてから歩き易くはなったが、展望のない樹林帯がずっと続く。途中で穂高岳山荘の弁当を食す。
森林限界を抜けて展望が良くなり、数分で稜線の縦走路へ上がる。北に行った三角点の所に中年女性が一人いる。埼玉からというので、同県人のよしみで色々と話をする。NHKの小野文恵アナに似た好印象の人。
しばらくそこにいたが、すぐ北側に更に高いピークがあるので行ってみる。そこが蝶槍で、常念岳の展望が良かった。
蝶ヶ岳ヒュッテで宿泊手続き後、夕食まで時間があまりなかったが、のどがカラカラに渇いていたのでビールを飲む。夕食は5時半からだったが、飲んでいた最中の5時17分頃、「夕食の準備が出来ました」との放送。
夕方になっても雲は全くなく、前穂〜奥穂の奥が夕焼けに染まっている。部屋は二階の大広間だった。
19日。今日は未踏の中村新道を歩き、徳本峠から上高地へ下る。
下調べでは、大滝山はあまり展望は良さそうにないということ。5時半から朝食、6時05分にヒュッテを出たが、またしても基本的な道間違いをしてしまう。ヒュッテの西側にルートがあり、これを行くものだと信じて疑わず。
ところが、ほとんど長塀山まで行った先に”←徳沢”と書かれた古びた標識があり、間違いに気付いて引き返す。ヒュッテまで戻り、水を500ミリ飲んで補充し、今度は大滝山方向の標識を確認して再スタートとなる。
すぐ先で三股へのルートを左に分けてからは、落葉が溜まって歩く人の少なさを思わせる道となる。2605mピークは展望が良く、菓子パンを食べながら写真を撮る。
その後、北峰から南峰へと大滝山は南北に長いことがよく分かり、森林限界から出ている稜線は大変展望が良く、蝶ヶ岳では見えなかった白山も見えるようになる。
富士山は今日も日の出からずっと見えている。富士山が見えるのと見えないのとでは心の持ちようが大違いであり、富士山の存在感の大きさは計り知れない。
大滝山荘前の鍋冠山へのルートは、入口にロープを張ってある。通行の可否については一切表示されていない。
大滝槍見台は山地図には”崩壊”とあるが、相撲取りが数人上がっても大丈夫なほどがっしりした展望台だった。崩壊後に建て替えられたのだろう。
森林限界以下で展望が得られたのはここと明神見晴らしの二ヶ所のみ。
大滝山荘以降、他の登山者には会わずだったが、徳本峠小屋直前で単独行と会う。
峠小屋に着き、ジャンクションピークからの展望について、屋根で布団を干していた人に聞くと、南アルプスは見えるが穂高は見えないという。雲の全くない快晴なので、スタジオジャンクションまで行くことにする。以前霞沢岳へ行った時、JPからは南側が狭く開いた断崖上の展望台みたいだったことを思い出した。SJは斜面の一角で、ここも広くは開けてないが西穂〜大天井〜蝶が立木に遮られることなく見え、木の間からは大滝山も見える。
今日は早朝に1時間20分ものロスをしたので忙しかった。足早に下っている途中、中年女性の単独行に追い付き、色んな話をしながら明神館まで一緒に歩く。
時刻は午後2時過ぎ、なのにバス待ちは1時間もの長蛇の列。仕方なくすぐ乗れるタクシーで沢渡へ出る。塩尻ICから高速で、夕方7時半頃帰宅。
今回の山行は仕事の休日+紅葉+好天の三拍子揃った、私にとっては細やかなドラマチックな山行で、生涯素晴らしい思い出として忘れられないだろう。
穂高は言うに及ばず、蝶や大滝からも絶景の大展望で、感動の連続であった。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する