Road to 槍〈裏銀座から槍ヶ岳を経て表銀座へ〉
- GPS
- 365138:26
- 距離
- 62.9km
- 登り
- 6,248m
- 下り
- 6,141m
コースタイム
高瀬ダム7:15-10:06三角点10:10-11:35烏帽子小屋11:50-12:15前烏帽子岳12:15-12:45烏帽子岳13:10-14:07烏帽子小屋
25日
烏帽子小屋5:08-6:01三ツ岳6:07-7:28野口五郎小屋7:39-7:53野口五郎岳7:56-8:24真砂岳直下8:30-9:23東沢乗越9:33-10:13水晶小屋10:22-10:50水晶岳10:55-11:20水晶小屋11:38-12:04ワリモ北分岐12:04-12:54鷲羽岳13:08-13:47三俣山荘
26日
三俣山荘5:29-6:22三俣蓮華岳6:26-7:02分岐7:02-7:22双六岳7:28-7:51分岐7:51-8:01双六小屋8:20-8:53樅沢岳8:57-10:55千丈沢乗越11:00-12:05槍ヶ岳山荘12:11-12:26槍ヶ岳12:40-12:58槍ヶ岳山荘13:37-14:00ヒュッテ大槍
27日
ヒュッテ大槍5:13-5:50槍ヶ岳山荘5:52-6:07槍ヶ岳6:18-6:31槍ヶ岳山荘6:35-6:59ヒュッテ大槍7:18-8:12水俣乗越8:21-9:16ヒュッテ西岳9:18-9:32西岳9:40-9:46ヒュッテ西岳9:50-10:57ビックリ平11:07-11:34大天井ヒュッテ11:41-12:16大天井岳東分岐12:16-12:40大天荘13:30-13:38大天井岳13:45-13:50大天荘
28日
大天荘6:24-6:35大天井岳東分岐6:37-7:30大下り上部7:34-8:14燕山荘8:17-8:36燕岳8:39-8:58燕山荘9:19-9:47合戦小屋9:48-11:11中房温泉登山口
天候 | 24日 晴れ 25日 雨 時々曇り ガスの中 26日 雨 時々曇り ガスの中 のち 晴れ 27日 晴れ のち 曇り ガス発生 28日 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー 自家用車
信濃大町駅前まで自家用車 (途中の道の駅松川で車中仮眠) 駅前の第一タクシーを事前に予約し、駐車場を利用させてもらう(タクシー利用で無料) 信濃大町駅前から高瀬ダムまでタクシー(8,000円) 帰り 中房温泉から穂高駅(乗り合いバス 1,700円) 穂高駅から信濃大町駅(JR利用、320円) 中房温泉「有明荘」へ宿泊のため、自家用車で再度中房温泉へ 翌日、中房温泉から高山経由、せせらぎ街道利用で自宅へ |
コース状況/ 危険箇所等 |
登山ポスト、トイレなど 七倉温泉に登山ポスト、トイレがあります。(ここでトイレを済ませておくのがベスト) 高瀬ダムにもトイレはありますが、ブナ立て尾根へ向かう方向とは逆にあるので少し不便です。 道の状況(危険箇所など) ブナ立て尾根は急登ですが、ペースを守って登れば乗り切れます。 烏帽子岳山頂直下は、ロープや鎖があり少々もろい岩なので注意が必要です。 烏帽子小屋から三ツ岳、野口五郎岳、水晶小屋までは特に危険箇所はありません。 水晶岳の山頂直下は、少し岩場があります。 水晶小屋からワリモ岳、鷲羽岳の間は、少しやせた尾根もありますが、注意して歩けば問題ありません。 鷲羽岳から三俣山荘への下りは、一部急坂があるので滑らないよう注意が必要です。 三俣山荘から、三俣蓮華岳、双六岳間は問題ありません。 双六岳山頂付近は、視界不良時には、道を見失わないように注意が必要です。 双六岳から樅沢岳間は問題ありません。 樅沢岳から槍ヶ岳間の西鎌尾根はおおむね問題ありませんが、ところどころ急登の鎖場がありました。 槍ヶ岳山荘から槍ヶ岳山頂へは、岩場、鎖場、はしごなどありますが、天気さえ悪くなければ、十分な注意で特に問題ありません。(高度感に対応できるかどうかだと思います。) 槍ヶ岳から西岳への東鎌尾根は、鎖場、木製階段、鉄梯子など何箇所かありますので、十分な注意が必要です。 西岳から大天井岳への分岐までは、特に問題ありません。 大天井岳の東分岐への巻道は、岩場や鎖もあり少し注意が必要です。 大天井岳東分岐から山頂間は、石がごろごろした部分もありますが、問題ありません。 大天井岳東分岐から燕岳間は、木製はしごが一箇所ありますが、ほとんど気持ち良い稜線歩きで問題ありません。 燕山荘から中房温泉までの下りは、急坂もありますが、気を付けて歩けば問題ありません。 下山後の温泉 登山口そばに、秘湯の宿の中房温泉もあり、立ち寄り湯、軽食も可能 今回は、市営駐車場より少し下の「有明荘」で立ち寄り湯利用 プラス 宿泊 |
写真
感想
ついに計画を実行する時がきました。
一年前からねらっていた裏銀座。
思った以上に休みがとれたこともあり、また、車の回収の都合なども考え思い切って、一気に表銀座も歩いて下山しようという自分にとっては壮大な計画を春から温めていました。
最初計画した時にはテントという選択肢はなかったのですが、今年から、テントを始めたことで、最後までテン泊にするか小屋泊にするか悩んでいました。
基本的に荷物の多い私は、テントなら20kgを超えるはず。
この行程を20kgを超える荷物を持っての縦走は苦行にしかならない可能性が高いのではというアドバイスもあり、小屋泊縦走に決めました。
結果この判断、正解だったと思います。
実際、私の重い荷物は小屋泊にしてスタート16kg。
何が原因か分かりませんが、一人だと万が一という持ち物が何かと置いていけず増量しているようです。
軽い人ならテント泊でも可能な重量でしょう。
この重い荷物が、途中雨に濡れ余計に重くなることになるのですが…。
一日目
出発前から天気は怪しげ。
特に北アルプスはずっと良い天気ではないよう。
私が入る予定の5日間も、良くて曇り、雨の確立も40%以上の日が続いています。
でも、とにかく決まった日を変えるわけにもいかず、台風や暴風雨でなければ進もうということでスタートしました。
前日の夜、20時までの仕事を終え、家にもどり身支度を整え、22時過ぎに出発。
一路、信濃大町へ向かいます。
朝、6時に駅前のタクシーを予約してあるのでそれを目指しますが、豊科で高速を降り、道の駅松川に2時過ぎに到着。
5時過ぎまで仮眠します。
そこで朝食のパンを食べ、最終の身支度を整え出発。
6時前に信濃大町駅前のアルプス第一交通の営業所前に到着しました。
タクシー利用者が停めさせていただける駐車場に案内してもらい、無事、車を駐車。これでとりあえず5日間の車のことは一安心。
聞いたところによると大町駅前で駐車するには、一番安いところでも一日1,000円とのことなので、5日間で5,000円。
タクシー代は高いですがこれを踏まえれば、ありかなと思える価格だったのでこのような形にしました。
信濃大町駅前から贅沢に一人でタクシーで高瀬ダムまで。
運転手さんには、「天気が良いの今日だけだね〜」と新聞を見ながら言われ、奇跡的に予想が外れることを祈っていました。
途中の七倉温泉の登山口でタクシーを止めてくれ、登山ポストで登山計画書を提出。
聞くと、高瀬ダムにもトイレはあるが、竹村新道へ向かう方にあるので、ブナ立て尾根方面へ行くなら逆になるので、トイレもここで使っておいた方が良いということなので、ここでトイレも済ませます。
そして走ることしばし。ダムのほとりに到着しました。
料金は、8,000円。
到着の少し手前できってもらったのでこの金額でしたが、最後までメーターを回されたらもう少しいったかもしれません。
ここでタクシーを降りた時には、先に一組パーティーが準備をしていました。
私も準備し、あの稜線に見える出っ張っているのが偽烏帽子だと運転手さんに教えてもらったので、ダムから写真を撮っておきます。
ここから稜線を見る限りは、そんなに上にあがるという感覚はないんですが、やはり標高差は1,400mほど。
北アルプス三大急登なんだろうなとこれから進む道のりにワクワクと不安がいっぱいです。
そして、いよいよスタート。
まずダムのほとりを進み、トンネルをくぐります。
暗かったら困るのでヘッドライトを用意しましたが、トンネル内も電気がつけられており必要ありませんでした。
トンネルをくぐると続いて吊り橋。こちらも周りの景色を眺めながら通過。
キャンプ場を過ぎ、不動沢滝を横目に見ながら丸太橋を渡り、水場の看板を見送り、いよいよブナ立て尾根の登山口に到着し本格的登りのスタート、裏銀座のスタートです。
いきなりの作られたアルミの階段が続いたり、急登も続きます。
最初は足も体も元気なので、なんとなくゆっくりゆっくりと進めば、しんどいながらも着々と進んでいけます。
このレコにも書いてあったように、烏帽子小屋から12に区切られ、表示があるとのことでそれを探しながら歩いていたのですが、なかなか出てこず、1区切りがこんなに長いと先はどうなるのかと思っていたのですが、どうも見落としていたようで、10の表示をようやく発見。
ここから一つずつ減っていく表示を励みに進みます。
途中から時々スタートした高瀬ダムが眼下に見えますが、それがだんだんと小さくなっていきます。
半分あたりまでは、しんどいながらも何とか順調。
しかし、3分の2を過ぎたあたりから、足が止まってしまいました。
1区切りを歩くのが精いっぱいになってきて、次第にそれもままならなくなってきました。
体がふらふらしてきて、足のつらさも蓄積されてきますが、それ以上に貧血のような症状が出てきて、頭もクラクラです。睡眠不足も原因なんでしょうか。
こうなったら、とにかくひどくならないようにゆっくり登るしかありません。
ここまでは、コースタイムを上回るスピードで歩いてきましたが、ここから小屋まではコースタイム以上をかけ、一歩一歩踏みしめて歩きました。
さいわいこの辺りまでくると稜線と目線が近づいてきており、それも最高の青空も広がっておりその景色を励みになんとか頑張ることができました。
そしてようやく烏帽子小屋に到着。
時間的には思ったより早く到着したので、烏帽子岳をピストンした後にもう一つ先の野口五郎小屋まで行けるかなという思いもありましたが、体が動きませんでした。
小屋の前に座り込んだら、空身で烏帽子岳をピストンしようと思っているのに、それすらもしばらくは歩く気にもなりませんでした。
しばらくそのままで呼吸を整え、最低限の荷物を持ち烏帽子岳に向けて出発。
空身なのに足が進みません。
もう、先へ進むのはあきらめゆっくりとゆっくりと山頂を目指しました。
前烏帽子岳に到着し、よく見る烏帽子岳の姿が見えました。
そこから、しばらく行くと烏帽子岳直下に到着し、そこからは鎖の掛けられている岩を登ります。
岩はもろいので、自己責任で登ってくださいというような表示もありましたが、慎重に登ります。
そして登ること少し。烏帽子岳山頂に到着しました。
さすがに平日のこの場所。山頂には誰もいません。
証拠写真を撮るべくカメラを少し離れた岩の上に置きセルフタイマーで撮影を試みます。
しかし、10秒で山頂標のあるところへ登るにはなかなか厳しく、何度も失敗。
何とか証拠写真をおさめました。
それから、一番高いと思われる岩の上に登ってみます。
登ることはできましたが、さすがその上に立つことは無理でした。
しかし、岩にまたがる形であたりを見渡し、見える景色に満足し、しばらくここにいたい衝動に駆られてしましました。
ただ、しばらくいると人が上がってきて証拠写真をとるのに邪魔になりそうだったのでそこから退散。
少し降りたところでしばらくまったりとしました。
先ほど上がってきた方とお互いに証拠写真を取り合い、山の話をしばらくして、先に下山を始めました。
そして、無事に小屋に到着。
宿泊の受付をし、まったりとした時間を過ごしました。
この日は夕方まで山々を見ることができ、薬師岳方面への日の入りも見ることができ満足なひと時を過ごしました。
ただ、先を進めば槍ヶ岳ものぞめたとは思うのですが、三ツ岳の稜線で隠れて、槍ヶ岳が見えなかったことがあとあと思えば、それが先へ進まなかったことへの心残りで残念でした。
二日目
いよいよ本格的縦走のスタートです。
ただ天気予報としては9時過ぎから雨。
今日の行程はコースタイムで10時間、早いうちになるべく進んでおきたいところ。
小屋での朝食はやめ、頼んでおいたおにぎりを持ち、5時過ぎにスタートです。
まだ日の出前ですが、徐々に明るくなりつつありライトは必要ありません。
まずテン場を過ぎ、ひょうたん池を過ぎ、三ツ岳に向かいます。
進む後ろは以外に明るいのですが、前方は雲がかなり多い。
今にも雨が降りそうな気配です。
ひとまず三ツ岳は見えていますがその先はガスが覆いつつあります。
足には昨日の疲れがあり快調に歩けるわけではありませんが、昨日の貧血のような体調の不調はなく、着実にゆっくりと歩を進め高度を上げていきます。
そして、三ツ岳三角点に到着。少しだけ休憩をして先に進みます。
ここからしばらくすると道は、展望コースとお花畑コースとふたてに分かれます。
天気が良ければ迷わず展望コースですが、この時点でガスで周りはあまり見えなくなっています。
一瞬悩みましたが、万が一ガスが晴れた時にやはり展望コースを歩いていないと後悔しそうな気がして展望コースを選択。お花畑のコースより上部を歩き稜線づたいなので少しアップダウンがありますが、この時点では完全なガスの中ではないのでお花畑コースが見えたり、逆の谷が見えたりと気持ちよく歩くことができました。
そしてコースが合流。野口五郎岳を目指します。
このあたりから、雨があたる時間が長くなってきました。
時々横からの風が強く吹いたり。
ただ、止む時間帯もあり歩くのをやめようとかいうまでの天気にはなっていません。
が、平日のこの天気。人はほとんど見かけません。
私の少し後ろに昨日烏帽子のテン場に泊まっていた方が歩いているのが確認できますが、すれ違う人もこの時点で誰もいません。
野口五郎小屋の手前でようやく前から来る方にすれ違い正直少しほっとしました。
道を間違っているはずのないような道ですが、やはりたまには人影もないと不安になるものです。
晴れていたら絶対気持ちの良い稜線歩きなのだろうなと妄想しながら淡々とでも、天気が悪くなる前に少しでも前に進みたいという思いで、歩きます。
そのうちゴロゴロとした大岩が増えてきて飛び石を歩くように歩いていきます。
これが野口のゴーロの山という由来なのかなと思いつつ。
そして、歩くことしばし。
野口五郎小屋に到着しました。
こんな天気なので少しゆっくり休憩できるのはこういう小屋のあるところだけになってきます。
小屋前のベンチに荷物をおろし、そういえばちゃんと食べていなかった朝ごはんにおにぎりを食べ、エネルギー補給。
せっかくなので小屋に入り、バッチを購入。
「今日はどこから?早いね」と小屋番の方に言われつつ、これからの天気の話をして情報収集。
おそらく降ったりやんだりのこんな天気が続くのではとのこと。
ここからもまだまだ先も長いし、まだ野口五郎岳の山頂も踏んでいないので、長居するわけにもいかず、トイレだけかり再出発。
山頂までは15分くらいらしいですが、山はガスの中で見えていません。
ガスの中を淡々と歩き何か石の塊、祠のようなものが見えてきました。
山頂?と思いましたがよく見ると”山神”と書かれており、山頂ではないよう。
先に進みます。そこから、5分ほど、標識の立った山頂に到着です。
広い山頂にぽつんと山頂の標が立っており、周りの視界もなく、人もいないのでどこをどう向いているのか分かりませんが、とにかくセルフで証拠写真。
ますます悪くなる天気に荷物を下ろして写真を撮っただけで、休憩もそこそこに先を急ぎます。
この下りで二組目のパーティーにすれ違い。
時折見えるガスの隙間からの景色に一瞬テンションが上がり、カメラを構えますが、あっという間にガスの中。
この辺りから、止む時間もありますが、雨も本格的になってきます。
これだけガスで周りが見えないと方向感覚も分からなくなり、自分の歩いている方向、向かっている方向、山の位置関係がよくわからず自分の足元と少し先だけ見て淡々と稜線を歩きます。
自分が稜線を歩いていることだけは分かり、切れ落ちた谷側に雄大なカールのような地形が広がっていたり、はるか下の方に沢の流れが見えたりと時々見える景色に励まされながら、時々やせていたり、切れ落ちたりしている稜線を進んでいきます。
足はすでにかなり疲れているので登りは本当にゆっくりしか進みません。
やせた尾根や滑りそうなところもありつつ徐々に下っていくと東沢乗越に到着。
雨が降っているので止まって休むには厳しい感じですが、荷物を下ろして休まなければ肩が張ってつらくなってきているので、荷物が濡れるのは覚悟でザックをおろし、ベンチに腰掛け少し休みます。
疲れた足を何とか少しでも復活させるようにストレッチをして伸ばしごまかします。
止まっていると濡れた体が一気に冷えてくるので、早目に切り上げ登りを再出発。
地図と標高計、時々出てくる道標をたよりにアップダウンを繰り返しながら進み、気が付けばすぐ上に水晶小屋らしい建物が。
人の気配を感じホッとします。
天気がだんだん悪くなってきており、少し前は結構雨が降ったり風もあったりしていたので状況によっては水晶ピストンをカットしようかとも思っていましたが、ここに着いたときはほとんど雨も降っておらず、前日会った方からの情報によるとここから水晶岳までの道のりは隠れる部分もなく風が強いと体がもっていかれる感じで、最後は少し岩場もあるのでかなりつらい、ことを聞いていたので悩んでいましたが、この時点の天気でとにかく行ってみることに。
荷物は小屋前に置かせてもらい、カメラと最低限のものだけ持ち水晶岳へ。
しかし目指す先は見えていません。
踏み跡を淡々と進み、ようやく岩影らしいものが見えてきました。
そこからが結構かかりました。
目指すところが見えないので、岩を巻いていく感じで進んでいくのですが、それこそ方向感覚が分からなくなる感じでようやくついた山頂も、標識しか見えません。
とにかく証拠写真。
何とかセルフで撮りますが、カメラも雨に濡れてだんだん怪しくなってきます。
山頂に立ってみても本来なら槍ヶ岳もはじめ素晴らしい景色が見えるはずでしょうが、何も見えず、どちらに何が見えるはずかも分からず、天気が荒れてくると厳しいので「また来よう」とひそかに思い、さっさと山頂を後にし小屋を目指します。
少しガスが切れ近くのお花畑が見えたりするとホッとします。
何とかひどくなる前に小屋に到着。
しかし、ここで残りのおにぎりを食べ、荷支度をしているとまた雨が強く降ってきて荷物がベショベショに。
この小屋でもバッジをゲットし、トイレをかり、鷲羽岳に向けて再出発。
ここまで来ていると気持ち的には少しホッとしました。
あと3時間弱で、この日の宿三俣山荘に到着するはずです。
ゆっくり歩いてもあと3時間、先が見えてきたことにホッとしつつ歩きます。
といっても、雨が少し強く降ってきたり風が吹いてきたりの繰り返しで、相変わらずガスで何も見えない稜線を進みます。
通り過ぎてしまいそうなところでしたが、すれ違いをしたので気づいたワリモ岳の標識が急に現れ、一応写真におさめます。
これを登り切れば鷲羽岳が待っているはずとの思いで、一歩ずつ進みます。
そしてようやく鷲羽岳山頂に到着。
とはいうものの、標識しか見えず周りの景色も全く見えないのでどんなところか全くわかりません。
後は小屋まで下るだけなので少しゆっくり目に天気の回復というよりガスの切れ間を待ちますが、なかなかそううまくはいきません。
とにかく証拠写真だけはと写真を撮り、岩陰で風をよけながら少しここで過ごします。
しかし、回復する感じはなく、よりひどくなっては困るので、三俣山荘に向けて下山開始。
地図にも書いてあった通りの急坂で、誰も歩いていないから逆にいいようなものの落石を起こしてしまいそうなところです。
雨にも濡れているのでより慎重に足を進め一気に下ります。
本当なら、すばらしい景色が広がっているはずだろうに…。
とても悲しい感じですが、これも山。
とにかくあたたかい山小屋めざしラストスパート。
鷲羽岳の下りから一瞬見えた小屋の屋根でしたが、またガスで隠れ、目指すところが分からなくなっています。
気づけばなんとなくぐるっと小屋を巻く感じで歩き、小屋の前に飛び出しました。
さっそく受付を済ませ、中に入りますが、思っている以上に服も荷物も靴もベショベショ。
すべて広げて乾かしたいところですがそうもいかず、乾かせるものはなるべく乾燥室で干させてもらい、幸いこの日はあまり小屋も混雑しているようではないので、寝るまでの間ザックの中の荷物もなんとなく広げ、少しでも乾くようにします。
そして、山小屋の時間をまったり過ごすのですが、まず何かの雑誌に載っていたコーヒーを喫茶で味わい、あたたかいスペースでまったり過ごします。
そして体が温まってきたところでお決まりのビール。
頑張って歩いてきたご褒美です。
ここでの夕食もおいしく、メインディッシュはハンバーグ。
食べ物を前に至福のひと時。
そしてこの三俣山荘でぜひ手に入れて、という「黒部の山賊」の本。
荷物は重くなりますが、せっかくなので購入し、山小屋時間のお供に読み始めます。
ストーブもたかれたので、ずぶぬれになったリサガスをストーブの前で乾かしながら小屋のひと時を過ごしました。
そして、眠りにつきましたが、一晩中雨音は続いていました。
三日目
雨は一晩中降り続き、強い風も時々吹いているようでした。
5時に出発しようと準備をしましたが、5時前になりかなりの風雨の音が聞こえ、テンションが下がります。
出発してよいものか悩みながら、パンを一つ口にし、様子を見ながらゆっくりと準備を進めます。
しばらくすると少し雨音が小さくなったような。
一気に準備を整え、とりあえず外へ出て出発。
予報通りの雨で、周りもガスで見えませんが、ともかく進みます。
最悪双六小屋まででも進もうという気持ちで。
まず、三俣山荘から三俣蓮華岳を目指します。
歩く道は水が流れ、沢のようになっています。
コースタイムは40分となっていますが、以外につらい。
標高差にして約300m。黙々と歩きますがなかなかたどり着きません。
頂上が見えないのがよけいにつらく、目安がないのでかすかにピークが山頂かと思うもののそれを登りきるとまだ上方には山が、という状況が続きます。
結局50分かかってようやく到着。
証拠写真だけ取り先を急ぎます。
前日コースタイムを上回るペースで歩けたことに調子にのり、スタートも出遅れているので気持ちが焦ります。
ガスガスの中を道を誤らないように、双六岳稜線ルートを目指します。
何も見えなくてもやはり初めてなのでピークを踏んでおきたいという欲張りな気持ちが上回り、重い足を進めます。
目指す双六岳も全く見えず、コースタイムと標高だけがたよりです。
結局ペースを上げて歩いているつもりが、コースタイム通りで中道ルート稜線ルートの分岐に到着。
どこを向いているのか報告感覚もなくよくわかりませんが、標識に従い進みます。
分岐から約20分。双六岳山頂に到着です。
よく写真で見るだだっ広い山頂を想像していましたが、山頂直下は岩がごろごろあったり、少しイメージが違いました。
誰もいない山頂で証拠写真だけ撮り、先も長いので先を急ぎます。
ここから小屋に向かって歩くと、よく本で見る双六岳らしい景色が。
本来ならあの先に槍が見えるのだろうなと妄想を膨らませ歩きます。
また、晴れた日に来ようと決心しながら。
双六小屋で少し長めの休憩をとりたかったので、速足で小屋に向けて歩いているとライチョウが。つがいです。
もう今年はかなりの数のライチョウを見たなと思いながら、そしてこのような悪天での山行も多いのだろうなと改めて感じながら進みました。
しばらく歩くと予想より早く分岐が現れ最後の下りを小屋に向けて歩きます。
すると雲が少しとれてきました。
そして、小屋の屋根が見えてきました。
そして、登り返す樅沢岳への道のりが…。
またあれを登るのかと思うと下るのがとてももったいない気がします。
ただ、あれは本の序の口。
全く見えない先にどんな山が、どんなアップダウンが控えているのか見えないのはありがたい反面、テンションは全く上がりません。
とにかく無事に双六小屋に到着。
ここまでは雨具は着ているものの激しく降ることはなく、時々降ってくる霧雨をフードをかぶってしのぐ感じです。
小屋に着いた時には幸い雨は上がっていたので、荷物を広げ、双六岳のバッジをゲット。
食事をしたい気持ちはありましたが、8時ではさすがに無理。
残っているパンをもう一つ食べ、トイレをかりここからの長丁場に備えます。
コースタイムで行くと約5時間半。ここから先は槍ヶ岳山荘まで小屋はありません。
身支度を整えていると少し遠くの山も見え始めましたが、あっという間に隠れてしまいました。
気合を入れて出発と思って歩き始めましたが、誰もいない、先が見えない、踏み跡があるように見えるのに、敷かれた木が横たわっておりかなり不安に。
いったん引き返し標識を見るもののやはり合っているよう。
「ええいっ」と思い切ってそちらに向かって歩き始めました。
しばらくジグザグに歩くとどうも間違ってはいないよう。
安心しつつも重い荷物と疲れた足取りで全然前へ進みませんが、まぁ半歩ずつでも前へ進んでいるので良しと言うことで。
30分少しで樅沢岳に到着。
証拠写真だけ撮りますが何も見えないんのでどこを向いているのか、どっちへ進むのか、何が見えるのか全く想像がつきません。
先は見えず、人気もなく、天気も不安定で心配なので先を急ぎます。
いよいよ西鎌尾根の核心部に入っていきます。
ここから千丈沢乗越までコースタイムでは3時間。
1時間ごとに休憩をとることに決め、黙々と何も見えない雨の中を歩きます。
どこで休んだかも分かりませんが、約1時間歩いて休憩。
と言っても、雨の中で岩に腰掛け荷物を肩から浮かせ、軽めの休憩。
おなかもすいてきたので、ずっと背負ってきた重いアミノバイタルでエネルギーチャージ。少し元気復活です。
あまり休むと寒いので早々に歩き始めますが、足は疲れてなかなか上へは進みません。
この西鎌尾根でも数羽のライチョウを見ましたが、もう普通に見すぎてしまったこととこんな天気の中、疲れもピークとなり歩いていることで、もう鳩でも見るような感覚になってしまっている自分がいました。
そして、とにかく同じよう条件の中で進んでいきます。
1時間が待ち遠しい感じです。
もう少しで1時間というところでGPSのバッテリーが少なくなりましたとの警告音。
もう少し待ってくれという思いで、少し岩陰があり、休憩。
残念なことに電池切れでログがとれていませんでした。
電池を入れ替え、自分もエネルギーチャージして出発。
と、1分もしないうちに千丈沢乗越に到着。
ガスで何も見えず全く気づきませんでした。
ここからコースタイムで1時間50分。結構ハードだとのうわさですが、幸いというか目指す先も歩く道も全く見えません。
ただひたすら雨具を着て、ガス、雨、風の繰り返す中を修行僧のように歩きます。
3日目の疲れた足にはきつ過ぎます・
コースタイムよりは少しは早く着くかなという思いもあり45分ほど歩いたところで休憩。全く何も見えず高度計のみがたより。
ここへきて下がることはないだろうという希望的観測の元「山荘まであと一息、がんばろう」と自分に言い聞かせ進みます。
しばらく行くと建物の陰がようやく見えてきて無事槍ヶ岳山荘に到着。
とにかく山荘の軒下をかりて荷物を下ろします。
さてここで山頂に行くかどうか。
ほとんどずっと雨が降っていて、今はほとんどやんでいますがすぐどうなるか分かりません。
山頂に行っても証拠写真を撮るだけになりそうだし、滑りやすいという危険もありやめるべき状況かもしれません。
一応、今行けなくても翌日の朝目指せる予定を組んでありますが、この日の宿はヒュッテ大槍を予定しているので、やはり裏銀座の終着点として行っておきたいところ。
いろいろ葛藤していると、その目の前を山頂を目指す人々が3名ほど横切りました。
今は雨も上がっているしこれはとりあえず行くしかないということで出発。
当然空いているのでマイペースで淡々と登れます。
15分ほどで山頂に到着。
視界も全くありませんが、とにかく証拠写真で裏銀座縦走達成。
かすかに見えてきた山荘の屋根に少しテンションが上がりますが、雨が降り始めました。
長居は無用とのとこで下山しようとしますが、ふと山頂にいた3名のうち一人に見覚えがあり、思わず声をかけました。
やはり間違いなく一年前、光岳の山頂でお会いし、小屋でいろいろお話した方でした。
それから何度か手紙もやり取りしていましたが、聞いていた予定では翌日予定だったはず。お話ししてみるといろいろあり一日早く槍ヶ岳に登頂したよう。
本当に偶然の山頂での再会に抱き合って喜んでしまいました。
雨の降る中で細心の注意を払い槍ヶ岳山荘を目指します。
少し滑りやすくなっていましたが何とか無事小屋に到着。
そして槍ヶ岳山荘で偶然の再会を祝い祝杯を。
ただ私は宿泊予定の小屋まであと30分あるのでコーラで乾杯。しばし山の話をして過ごしました。
ただ、濡れた衣類で体が冷えてきたので、またの再会を約束して記念写真を撮りお別れしました。
と、ここで急に雲がとれてきて、槍の姿が現れていました。そしてここ2日間歩いてきた山々も見えてきました。
こんなところを歩いていたのかとようやく分かりました。そしてこんな景色が見える中を歩けたら最高だったのにといろんなことが頭をよぎりました。
そしてこの時、3日間槍を目指して歩いてきて、初めて槍を見たのでした。
後は、ヒュッテ大槍まで、東鎌尾根を下っていきます。
約30分、今晩の宿に到着です。
苦行のように雨、ガス、風の中を歩いてきて本当にホッとした瞬間でした。
今回あえて山頂から少し下がったこのヒュッテ大槍を選んだのは、夕ご飯にウェルカムワインが出たり、夕ご飯がこった料理でおいしそうなこと、お酒の種類がたくさんあるとのことからです。
みんながカメラを向けるような期待通りのご飯に満足し、夜は焼酎を飲みまったりとしたひと時を過ごしました。
夜には星も現れ、槍ヶ岳山荘の明かりと槍のシルエット、一面の星空で幻想的な景色が広がっていました。
幻想的な景色をカメラにおさめようと、しばし頑張っていましたが私の腕ではかないませんでした。
翌日の好天を祈りつつ眠りにつきます。
四日目
朝暗いうちに起き準備をし、5時前に外へ出ると天気はよさそうです。
最低限の荷物を持ち再度槍をピストンすることに。
槍ヶ岳をはじめ山々がくっきりと見えます。
肩まで50分、穂先まで30分のコースタイム。
今回、日の出にはこだわらなかったので準備できた5時15分にスタートです。
空身で足取りは軽いはずが、疲れの蓄積は恐ろしいもので、足が重くて全くあがりません。ありえないところでつまずきます。
気持ちを引き締め慎重に歩きます。
途中で東大天井岳の上方に太陽が現れてきて槍ヶ岳も赤く染まってきます。
それより今回槍の頂上から自分の歩いてきた裏銀座、西鎌尾根の山々を見たいというのが第一の目的になっていました。
約40分肩に到着。そこからも渋滞もなくスムーズに歩け、約15分で山頂に到着。期待通りの大展望で、烏帽子岳こそ山に隠れて見えませんが、ずっと歩いてきた山々を見ることができました。
よくぞ歩いたものだと感動してしまいました。
やはり、晴れた時のあのすばらしい景色の中を歩きたい、あちらから槍を眺めたいと思ってしまいました。
遠くには富士山も見え、360度何とも言えないこの景色にずっとここにいたいと思ってしまいました。
と言っても、今日もそこそこ歩かないといけないし、この疲れた足、体でコースタイムで歩けるという保証もなく、焦らず歩くためには時間の余裕が必要ということで下山開始。あっという間に肩まで下り、西鎌尾根の入り口で記念撮影し、心残りのないように写真を撮りヒュッテ大槍に向かいます。
ヒュッテ大槍で荷物を整え表銀座縦走のスタートです。
東鎌尾根をどんどん下っていきます。
はしごあり、木の階段あり、鎖ありと気を抜くと危険なところがたくさん。
つまずきそうになりながら、気を引き締め慎重に、慎重に。
ただ足も疲れているうえに、荷物もやたらと重い。
普通は日がたつと軽くなっていくはずが、昨日おとといの雨で、荷物が雨を吸って重くなっているせいでしょう。
水俣乗越まで多少のアップダウンはあるもののひたすら下っていく感じです。
西岳がだんだん上に見えてきます。
あそこまで登りかえすのに…、なんだかつらい。
かなり下って水俣乗越に到着。
ヒュッテ大槍で頼んだお弁当のお稲荷さんをここで広げて食べ休憩します。
息を整えストレッチをして登りに備えます。
気合を入れて登りスタート。
しかし、足は進まず、ペースは全く上がりません。
とにかく一歩一歩、半歩ずつでもという気持ちで歩くしかないのでゆっくりゆっくり歩きます。
はしごが続くと息が上がり、急登となると足が進まず、ただひたすら黙々と登り、ようやくヒュッテ西岳に到着。
ここでカットすればよいものを思わず西岳に登ってしまい槍穂高を眺めます。
しかし、このあたりから穂高の山々には雲がかかり始め怪しげな雰囲気に。
早々に撤退し、重い荷物を背負って再出発です。
ここからは、快適な稜線歩きといくはずが、徐々に高度を下げることに敏感になります。
今日目指す大天井岳は、2,921m。下がるだけ絶対に上がるということで何度も言うようですが疲れた足には少しの登りもこたえるので、下りたくない気持ちで一杯。
とはいうものの稜線歩きなので気分的には気持ちが良い。
槍方面は気づけばガスに覆われ見えなくなっており、ビックリ平を過ぎ、大天井ヒュッテに着くころには、大天井岳もガスの中に。
本来ならここから常念方面への登りで大天井岳を目指すのですが、予定より早くここまで来ており、なんとなく一度も通ったことのない道を歩きたくて疲れた体に鞭うち巻道で遠回りすることに。
自分で選んだ道とはいえこの巻道の間が、結構ロープあり、はしごありで大変でした。
ガスのせいで先も見えず、どこまで行くかも分からず歩いているとコースタイム以上かかってようやく大天井岳東分岐に到着。
大天井ヒュッテの分岐から少し登って少し下るという感じで多少高度は上げているものの歩いた時間ほどは登っていない感じです。
ここまで来たらあとは最後の登り。いくらゆっくり歩いても40分というのを励みに歩くこと約20分。途中ライチョウにも出会いながら、ガスの中無事に大天荘に到着。
今回ここで昼食のインディアンセットを食べるのも目的だったので受付だけ済ませ、ランチを食べました。
個人的な感想ですが、この山の上で食べるナンカレーはやはりおいしかったです。
とにかく証拠写真だけは必要なので、食後山頂を目指します。
ここは10分かからず山頂まで登れますが、この時はやはり景色は何も見えないので証拠写真だけおさめ、夕方、翌朝に期待し早々に下山します。
ここでようやくくつろぎ、今回の山行初めての生ビールで、ここまでこれたことに一人で乾杯!、缶チューハイも開け最後まで担いできてほとんど出番のなかったガスでコーヒーを沸しまったりとした時を過ごしました。
夕方晴れることを期待しましたが、残念ながらガスの中。
夕食の時間となりひとまずあきらめました。
この大天荘も夕食がおいしくお肉かお魚か選べ、私はお肉を選択したので、メインディッシュはハンバーグ。おいしくいただきました。
夕食後まったりと過ごしているとなんとなくガスが切れてきたので、再度山頂を目指します。
到着する少し前までは少し見えていたようですが、着いた時には何も見えず10分ほど待っていると少しですが槍の姿が見え、満足して下山しました。
この日は、星も見えるタイミングもあるようですが、ガスも多く、なかなか見ることができず山での最後の夜は終わっていきました。
五日目
今日は下山日です。下山後の温泉目指し下山します。
朝から天気も良く、日の出を見ようとまず大天井岳の頂上を目指します。
4時30分からの朝食を食べとりあえずカメラだけを持ち山頂へ。
槍や穂高もくっきり見えています。
何枚か写真におさめ、裏銀座の山々も写真におさめます。
東の方は雲海が広がっています。
待つことしばし。雲海から太陽が上がってきました。幻想的な景色に感動です。
槍や穂高の山々も赤く染まってきます。
そういえばこの山行でまともに日の出を見たのは初めてでした。
一方、これから向かう燕岳への稜線は安曇野側は雲に覆われ、そのガスが流れつつあり、こちらも幻想的な景色が広がっていました。
いつまででもここにいたい気持ちはありますが、下山の時間もあるのできりをつけ小屋に戻ります。
改めて身支度を整え、小屋前で記念撮影し、下山開始します。
燕山荘までは稜線歩きですが、それでも疲れている体にはアップダウンもあり苦しいところ。一番の山場は大下りの登りです。
大天荘から分岐までの下りを一気に下ると、ここからが稜線歩き。
切通岩のところだけ木のはしご、鎖がありますが、あとはゆるやかなアップダウン。
槍ヶ岳、裏銀座縦走路、表銀座縦走路も良く見え最高の稜線歩き日和です。
写真におさめたいのですが、きりもなく、この肉眼で見たワイド感もカメラではおさめきれないのでほどほどにしてどんどん歩きます。
我ながらハイペースでした。
時間的に大下りの上部までは一気に行きたい気持ちもあり、登りも淡々と歩きます。
今日は大下りの登りが一番の登りだと思っていたのですが、以外に淡々と登れました。岩がごろごろというのではなく砂のような登りなので、自分の歩幅で歩けるのが良かったと思います。
淡々と登り切って、大天荘を出て約1時間ちょっと。
景色の良いところで少し休憩です。いつまでも見ていたい景色ですが、きりもないので先へ進みます。
ここからも緩やかなアップダウンの繰り返し。
歩いてきた裏銀座の見えることに大満足しながら気持ち良く歩きます。
蛙岩を過ぎ、燕山荘までは少し登りになりますが何とかクリア。無事に燕山荘に到着。
予定より早く着いたことで心置きなく燕岳山頂をピストンすることにします。
少しの登りで息も上がりながらですが、山頂に到着。
山頂からは自分の歩いたブナ立て尾根、烏帽子岳、三ツ岳、野口五郎岳、水晶岳、鷲羽岳、三俣山荘、三俣蓮華岳、双六岳、樅沢岳、西鎌尾根、槍ヶ岳、東鎌尾根、大天井岳をはじめとする表銀座の山々もくっきり見え感動に浸ります。
燕岳山頂では前回7月に来た時にはなかった山頂の表示が三角点にかけられていました。
先もあるので長居はせず燕山荘に戻ります。
ここで少し休憩し、最後の合戦尾根の下山です。
合戦小屋まで一気に下り、トイレをかり、我ながら自分の体力、足に感心しましたが、ノンストップで登山口まで下りきりました。
最近毎週のように山へ行き、今回もかなりのアップダウンを歩いてきたことで、足も鍛えられてきたのかしれません。
合戦尾根も北アルプス三大急登と言われるものですが、その下りを重い荷物を持ち思いのほか簡単にクリアしてしまい、少し拍子抜けの気もしますが、何とか無事下り切りました。
終わりが近づいてくると、「5日間歩きとおした山行も最後か」と思うとなんだかさみしくなってきました。
達成感と寂しさの入り混じる中、中房温泉に到着し、今回の縦走、無事終了です。
この後、この日は中房温泉「有明荘」で温泉と食事で一人お疲れさま会の予定なので、まず温泉で汗だけ流させてもらい大きな荷物は置かせてもらって、乗り合いバスで穂高駅へ。
穂高駅から信濃大町駅までJRで移動。
大町駅前で預かってもらっていた車を引き取り再び中房温泉へ向かいます。
有明荘に無事に戻り、再びお風呂。
おいしい懐石料理に大満足しながら、アルコールもいただき、疲れからか、アルコールもすぐにまわり、ほろ酔い気分で今回の山行を振り返っていました。
温泉も合計4回満喫し、疲れが少し軽減された気がしました。
翌日は、高山のraichouさんのお店に立ち寄り、突然の訪問にも関わらずコーヒーをごちそうになり、おいしいランチを紹介してもらいご一緒させてもらいました。
楽しい山の話は、あっという間に時間が過ぎ楽しい時間を過ごすことができました。
ここからは、平日ということもありなるべく高速を利用せず5時間ほどかけ無事に自宅へ到着しました。
今回、最初は本当に長く感じたし、未知の世界への挑戦でした。
北アルプス三大急登と言われるブナ立て尾根を貧血のようになりながらか登り切った1日目、一日のほとんど雨の中、裏銀座を三ツ岳、野口五郎岳、水晶岳、鷲羽岳と進んだ2日目、黙々と修行のように槍をめざし、何も見えない中、西鎌尾根を進み、槍ヶ岳に登頂した3日目、一気に好天となり槍ヶ岳に登り直し、東鎌尾根、表銀座を大天井岳まで歩いた4日目、フィナーレを飾るべく、裏銀座、西鎌尾根、槍ヶ岳、東鎌尾根、表銀座を見ながら稜線を歩きこちらも三大急登の合戦尾根を下った5日目と終わってみれば充実した、大満足の山行でした。
ただ、一つ言えばもっと景色の良い時に裏銀座あたりをやりたいと、リベンジを誓った山行となりました。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
このレコを読むのを楽しみに待ってましたんですよ!
16キロの荷物でこのスピード、やっぱすごいわー
そして数々のきれいな写真、スライドショーで堪能さして頂きました。
ヒュッテ大槍のごはんおいしそう・・
いよいよレコが掲載されましたね〜
ちょうど、ブナ立尾根を登っている頃、自分は屏風ノコルから下山中だったのですね〜まさに入れ違い
裏から表銀座への大縦走、西鎌は少々残念でしたが、後半戦の写真は素晴らしいです
去年歩い部分と重なることが多かったので、楽しく見させていただきました。
まだ、編集中のようですが、完成版も楽しみにしています
●penko1110 さん
ただいまです
ようやくレコ完成しました。
日にちが多いとなかなか完成できずアップまで時間がかかりました。
16キロでこのスピードは速いかもしれませんが、本当はもっと軽くして楽に登りたいです
前半は、あいにくの悪天で、去年のpenko1110ちゃんのような絶景が見れなかったのが残念でしたが、後半は何とか見れて大量撮影してしまいました
ヒュッテ大槍、さすが燕系ですから
●alpenkojiさん
ようやく完成しました。
あまり変わってないですか
まぁそこはさておき。
まさに入れ違いでしたね
アドバイスのもと、小屋泊にしましたが、軽い人のテントほどの荷物になってしまいました
でも、それにも雨にもめげず「黒部の山賊」はゲットしましたけど
前半はあいにくの天気でしたが、後半の景色には満足できました
また、裏、西鎌はリベンジが必要ですかね
初めまして。
どこかのタイミングで、天気のいいとき狙って、歩きとおしたいコースですね。ちょっとうらやましいです。
終わった後の達成感は心地よいですね。
次はどこが楽しいですかね?
●eda さん
はじめまして。
帰ってきたばかりで、達成感はありますが、天気のよい時に絶対リベンジしたいコースです。
次は、…。
私は、edaさんが行ってきた、雲ノ平とか黒部五郎あたりリベンジを兼ねていきたいなと思うんですが
先日は、お立ち寄りくださり
ありがとうございました。
なにか一つの事をやり遂げた充実感が
顔に出てましたよ〜
途中の天気は、残念でしたが
夏山のロング山行では、これでもいい方じゃないかと
思いましょう。
いい写真、沢山ですね。
●raichou さん
こちらこそ、お邪魔してしまって。
ありがとうございました。
確かにやり遂げた充実感はありますね
半分でも天気良かったのは、良かったと方だと思います。
全く何も見えない5日間とか、ましてや何かトラブルでもあれば全然ですからね。
計画通りやり遂げただけ良かったと思います。
なので今度は、天気を狙って景色を楽しみにおすすめのあのあたりの山へ行きたいと思います
いや〜長旅、お疲れさまでやんした
縦走もさることながら、レコもまとめるの大変だったと思います 。
なんせ読むのもたいへんでしたから・・・ハ、ハ、ハ
しかし、今年はあまり天気に恵まれてませんよねぇ〜
最後の二日でちょっとは救われましたかな
100kmまで、あと一月半。
あなたなら、きっと大丈夫ですわ
●yahoo8 さん
長い文章読んでいただいてありがとうございました。
まとめるっていうことができないので…
めちゃめちゃ長い文章で、めちゃめちゃ多い写真だなと自覚はしているのですが、なかなか
最後の二日でほんと報われました
でも、前半部分またリベンジしたいですね
100kmも全然自信はないですが、足が壊れなければ何とかがんばれますかね〜
また、いろいろ教えてください
初めまして。
自分も同じ日に高瀬ダムから裏銀座を歩き、おそらく水晶小屋でQ-chanさんを見かけました。
あの日は1日中降られて大変でしたね。
裏銀座から表銀座まで歩かれたとは、かなりの長距離でしたね。お疲れ様でした。
自分は27日に下山してしまったためその後の晴天を味わえませんでした。
また天気が良いときにリベンジしてみたいです。
Q−chanさん こんばんわ。
あなたは凄い。裏・表銀座通し。それも女性単独で。
お疲れさまでした。
そして、北アルプス 三大急登の内2つを完全制覇しましたね。次は剣岳早月尾根ですか?
とても私の体力ではできない山行記録、今回も楽しく読ませていただきました。
これからも、素晴らしい山行を。
雲ノ平いいっすね。
晴れてれば、
「こんなとこ未だあったんだー」
な感じが味わえると思います。
●chilli さん
はじめまして。
そうだったんですね。
私が水晶小屋に戻ってきた時に到着されて、小屋の前でごそごそしている時に、小屋の中で休憩されていた方ですかね。
あの日は、雨で視界もなく、つらかったですね。
次の日の槍に向かう道も、あの天気では厳しかったですが。
でも、そこを頑張ったおかげで、27日、28日の天気の良い山も味わえましたが。
私も、またあのすばらしい景色が見えたであろう裏の道はいつかリベンジしたいと思います。
●sugi-chan さん
こんばんは。
ほんと、我ながらよく頑張ったと思います。
素晴らしい景色を見るため、充実感を得るためには急登も頑張りますが、急登マニアではないので、今のとこの候補には、早月尾根は上がっていません
またいつかは、登りたくなるかもしれませんが
これからもいろんな山を楽しみたいです
●edaさん
雲の平、あのあたりの山を歩けば歩くほど、より行ってみたくなるところです。
修行のように歩いた山の好天時の写真を見るとやっぱり恨めしく、あの景色を見に行きたくなってしまいます。
高天原も魅力的なんですが、限られた日にちではすべては無理で。
魅力的なところが多すぎて、どうコースをとろうか悩みどころです
記録みさせていただき、感動しました!
女性単独で、荒天の中、すごいです!!
今回私は三俣蓮華から裏銀座の山々をみて、絶対縦走したい!と思いました。
来年の参考にさせてください☆
●azu2525 さん
ありがとうございます
やるぞって決めたら結構頑張っちゃうんですよね
でも、逆に単独だからできるのかもしれません。
すべてが自分のペースですから
裏銀座縦走中は荒天の中の修行だったので、鷲羽、水晶、双六、西鎌尾根の山々をきちんと見たくて、先週末リベンジに向かったのですが、結局、西鎌尾根、槍、双六、鷲羽の遠望は見えましたが、双六で敗退。
私も、裏銀座やこの辺りの山々は何度でも訪れたいと思いました
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する