【GW縦走】朝日連峰 赤見堂山〜以東岳〜大朝日岳〜葉山
- GPS
- 46:41
- 距離
- 68.1km
- 登り
- 5,114m
- 下り
- 5,481m
コースタイム
- 山行
- 10:07
- 休憩
- 0:02
- 合計
- 10:09
- 山行
- 14:22
- 休憩
- 0:41
- 合計
- 15:03
- 山行
- 7:00
- 休憩
- 0:05
- 合計
- 7:05
- 山行
- 3:02
- 休憩
- 0:08
- 合計
- 3:10
- 山行
- 11:12
- 休憩
- 1:54
- 合計
- 13:06
天候 | 28日 高気圧の張り出し 晴れ 29日 高気圧圏内 快晴 30日 停滞前線の接近 雨 1日 低気圧の通過(相対的高圧部) 晴れのち曇り 2日 冬型 風雪 3日 気圧の谷→高気圧の張り出し 曇りのち晴れ 4日 高気圧圏内 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
下山後白兎駅から西寒河江駅に移動しタクシーで車回収 |
コース状況/ 危険箇所等 |
積雪はここ5年では多い方、標高の高い主稜線のほうが雪がとばされておりほとんど夏道が利用できた 基本的には巨大な雪庇(10m超のものばかり)が風下側に出ており、その上を歩いていけるが、クラックには注意してルート取りする必要あり 天狗角取山〜高松峰の間の雪庇が不安定ものが多かった 稜線はだだっ広いところも多く視界がないとルートファインディングに苦労しそう 特に中沢峰〜葉山は地図読みが難しい |
その他周辺情報 | 白兎駅の路線であるフラワー長井線は1時間に一本程度 |
写真
感想
今年のゴールデンウィークは10連休ということで久々に長期で山に入ろうといろいろ考えた結果、昨年12月に姥ヶ岳から美しく連なるのが見えた朝日連峰を端から端まで歩こうということになる。
計画では5泊6日予備日4日、平成最後も令和の始まりも山の中。山岳会の3人と東京からお馴染みとなりつつあるT橋さんを 加え、久々に食料計画もしっかり立てて準備を進めていたがtentyoが直前に急遽仕事で参加できなくなり5人で山行となった。
27日 いざ山形へ
nampo号は前夜発で燕三条でT橋さんを拾い、山形を観光、samoa号はギリギリまで粘ったがtentyoの不参加が決定、失意の中山形へ向かい、日付が変わるくらいに道の駅にしかわへ到着し車の中で仮眠。
28日 晴天の入山
2時起床、先についてテントで寝ていた3人をたたき起こして食料やら共同装備やらを分けてパッキング。
車に荷物を詰め込んで砂川橋の登山口へ向かう。
1台は道の駅にしかわに戻して登山開始。久々の長期山行の荷物は両肩にずしりとくる。
左岸側の尾根から登っていくが橋のところはのり面で取り付けないので、橋の下の林道を少し進んだ比較的緩い沢地形を登っていって尾根上へでる。
このあたりはほぼ雪はなく、イワウチワが最盛期といったところだが、藪と軽く戯れながら1時間ほど登って標高を上げると雪が出てくる。雪がベッタリになってからはスノーシューで登っていく。
昨日までの寒気の影響か樹氷がついており、朝陽に照らされてキラキラ輝いて美しい。
さらに標高を上げていくと、月山湖もよく見えて何より右手には白いヴェールが今にも取れそうな月山が聳えている。
疎らな樹林が疎らになってから3時間ほど登ると最初のピークである石見堂岳へ。
この頃には月山はすっかり姿を現す。
昨日一昨日と雪が降ったためか真っ白でこれが見れただけでも来た価値があったと思える。
次に目指す赤見堂も真っ白だがなかなかに遠く思える。
果たしてどこまで進めるだろうか。
石見堂からは疎らだった樹林も石見堂以降はほとんどなくなり樹林外となり、白と青の世界の中をえっちらおっちら登っていく。
いいペースで登っていき2時間くらいで赤見堂岳へ到着。
見た目よりも近く感じた。ついに朝日連峰の主稜線へ。
目指す方には長大な山並みが続き、一際美しい円錐形の大朝日は遥か彼方。遠いなぁ、どこまでいけるだろう。
そう思いながら集合写真を取って先を目指す。
ふと空を見上げると雲が虹色に輝いている。彩雲だ。
以前も見たことあるがそれ以上にはっきりとしている。
太陽の回りにも虹色の輪がかかっている。Halo現象と呼ばれるものらしい。
明日も高気圧圏内なので悪天の予兆ではなさそうだが、午前中に比べて雲が増えたので薄い巻雲によるものだろうか。
ふと先のルートに目をやると3人だろうか先行者のパーティ見えた。どこまで進むつもりなのだろうか
そんなこんなで白くなだらかな稜線を歩いていき、当初の目的地であった枯松山へ。ここから南に下ろした台地上にはカンバがしっかり生えており、多少天気が悪くてもテントが晴れそうだ。
明日は可能であれば、歩けるだけ歩いて狐穴小屋まで進めたいので、夜も天気がいいので今日も可能な限りテント場伸ばすためにもうひと踏ん張り。
大桧原山の手前まで進むと、ここから先はササや低木が出ていて探すの苦労しそうな感じなので適地を見つけてテントを張る。
テント場手前のパックリ割れたクラックが雪庇の大きさを物語る。
夕暮れくらいになると霞も薄くなり日本海や粟島を望むことができる。
ちらほら明かりの付き始めた山形の街並も見える。
今日の晩御飯は明日の長時間行動に備えて初日からぺミカンシチュー。やっぱり美味しい。
寝不足もあるし、明日も早いのでお酒はそこそこにして沈。
29日 気合の15時間行動
1時半起き。朝御飯はインスタントのカレーうどん。美味なり。
撤収は寒くないのもありテキパキとできて3時前には完了、優秀や。
東の空が少し白んできたくらいで出発。山形の夜景を横目に見ながら歩きだす。
今日は狐穴小屋を目標に行けるところまで。
最初は少しブッシュもうるさそうで、雪もしまっていたのでツボ足で先行者のトレースを辿る。
上手いこと歩きやすいところを抜けておりとても助けられる。
少し進むとトレースのパーティであろうテントを通りすぎる。ここまでありがとうございました。
紫ナデを目指している途中くらいで日が登ってくる。
近くまで来た障子ヶ岳やその先にドシリと構える以東岳が朝陽に照らして美しく輝きだす。振り返れば当然真っ白な月山。
明日は天気が悪いので我々にとっては平成最後の夜明けになりそうだ。
そんなことを考えながら軽くピークを巻く感じで紫ナデをやり過ごし縦走路へ。
ここまでは概ね計画したコースタイム通り。やはり狐穴小屋までは12時間を越える行動になりそうだ。
紫ナデを過ぎると今日の行程の中でも標高差の大きい障子ヶ岳の登りへと差しかかる。
東側の稜線は激しく削りとられ荒々しい感じで稜線にはよく雪庇が発達している。
サイズは裕に10mを越えるものばかりで、感覚が麻痺してくる。クラックの深さも半端なく間違いなく日本有数の豪雪地帯であることを思い知らされる。
基本的には雪庇の上を歩いて時折夏道みたいな感じで進んでいって障子ヶ岳のピークへ。
振り返ると昨日歩いた白い山々、その向こうには月山が見えその左奥に白い鳥海山を望むことができる。
相変わらず美しい独立峰。雪があるときに登ってみたくなる白さだ。
横目に見える以東岳の存在感も素晴らしい。まだまだ大朝日は遠いが今日目指す狐穴小屋があるであろう辺りも長い尾根が続いておりいくつもピークを備えている。
5時間くらい歩いてきたが、半分にも満たない。
改めて今日のしんどさを確認して天狗方面へ足を向ける。
これくらいから雪がぐさぐさになってきたのでスノーシューを着けていく。
続く栗畑は手前のポコを上手いこと巻いてピークへ。
天狗の台地から少し下ろした沢地形に天狗小屋が見える。
さすが積雪を考えて建てられているのか雪が一際少ないところに二階建てのしっかりとした造りの小屋が建っている。
ここで行動を終了できたらどれだけ楽だろうかと思いつつ、先の天気展開と完走という目標のために横目に見ながら広々とした台地を歩いて天狗角取山へ。
ピークに雪はなく、ここから標高をグッとおろしいくつか小ピークを備えながら寒江山へ標高を上げていく尾根が見える。
まだまだ先は長そうだ。とりあえず記念撮影。ポーズは当然土俵入り。一応取り組みも行う。
降り口はブッシュ沿いに少し戻って夏道を見つけておりる。とてもブッシュをこいで降りるという感じではない。夏道が見えているのでツボ足で下ろしていく。
ここからは雪庇の上を行くのを基本としながら、雪庇に走るクラックや崩壊の具合を見ながら、出てたら夏道、分からなければブッシュを避けつつ行きやすいところといった感じ進む感じ。
標高は低いとはいえ雪庇は巨大で具合によってはルート
取りに気を使う。
クラックに足を時には頭で嵌まったり、ブッシュの中でツリーホールに嵌まったり、ちょこちょこと出てくる小ピークを逐一登って下りたりと色々消耗していき、自然と休憩時間も長くなってしまう。
暑くて水もグビグビ飲むので、雪を食べたり途中から雪を水筒にぶちこみながら。
雪の練乳がけがめちゃうまだった。
二ツ石のあたりで行動は10時間を越えてなかなか笑いも少なくなってきた。
二ツ石の先の.1264を右手から巻いたが、斜度がそこそこあり、いまいちトラバースで逆に疲れた。
途中にクマの足跡があり、春の目覚めを教えてくれた。
.1264の次の小ピークは雪庇が大きく崩壊しておりルート取り気を使う。
最初はかなり急な斜面をトラバースして直上かとも思ったが、崩壊してはいるが上に乗ることはできそう。
とは言えリッジ歩きみたいな感じになるのでピッケルを出してしっかりステップを切って雪庇を登って尾根上へ出る。今回唯一ピッケルを出した箇所となった。
そこから先は尾根が細くなり、時折岩も出てくる。基本夏道時々雪庇なのだが、夏道の上に微妙に積もった新雪がズボズボ嵌まるところもあり地味にやられる。
高松峰手前のポコは岩峰となっているが、夏道通りで右手から巻き上がれる。
ここまできたらあとはだらだらと標高を上げていくのみ。
高松峰の先くらいまでは雪がべったりだったが、途中から風で飛ばされて積雪が少ないのか夏道上は雪が皆無。
ただただ無心で上を目指す。
地図で見て小屋へショートカットできるかもと思っていたが、残念ながら低木の海なので大人しく分岐まで高度を稼ぐ。
ようやく小屋が18時前、小屋の向こう側へちょうど太陽が沈んでいこうとするタイミング。
みんなが分岐に揃ったところで小屋に向かっていく。
小屋手前の微妙なトラバースで滑り落ちながら立派な小屋に辿りつく。
ここまで15時間行動。こんなに長く動いたのは学生時代依頼だろうか。二日分の行程を一気にこれた。みんなお疲れ様である。
小屋は水が出ていてまず一安心。小屋番の方もいて大桧原の向こうからと言ったらさすがに驚かれた。
疲れと同時に喉の渇きが一気にきて水場の冷やしてあるコーラやビールに手を出してしまう。ありがたや。
疲れた足を引きずって2階に上がるとストーブが焚いてあってとても暖かい。
色々と荷物を整理してお茶を飲んでほっこり。明日は天気が悪そうなのでのんびり晩御飯を作る。今日ももちろんぺミカンだ。
晩御飯を食べて酒も少々にうたた寝してるメンバーを横目に今後のルートを確認。
今日の疲れもあり、以東をカットして明日か明後日の天気の合間を縫って大朝日岳方面に少しでも進むべきかと弱気な考えが浮かぶ。
大朝日岳はもちろん踏みたいが以東岳はアプローチを考えると雪の季節、次いつこれるかといったところだ。
そんなことを悩んでいると小屋番の西川山岳会の人が、「この時期の以東岳は大朝日岳よりも価値がある、なんてたって朝日連峰の盟主だから」と山形弁で語ってくれる。
それで決心がついた。明日か明後日は微妙にチャンスがありそうなので、行けそうな天気を狙って以東岳をアタックし、その先の冬型はこの小屋か、竜門小屋でやり過ごしてその先の移動高気圧で大朝日岳ののっこしを狙うこととする。
眠い目をこするメンバーにその旨を説明して、改めてお茶を飲んで沈。
明日は雨予報。天気図からはあんまり想像できないが一応6時くらいには起きて様子を見ることとする。
30日 平成最後はステイ日
朝起きると予報通り雨が降っている。とりあえずふて寝。
適当に朝御飯を食べてだらだらしているも、雨は止まないので10時くらいにステイ決定。
お酒も出して、トランプなどに興じる。ステイもなんだか久々だ。7並べやブラックジャック、ウェアウルフなんかをして時間を過ごす。
暇すぎて山と高原の地図の小冊子で朝日について勉強したり、うたた寝したりと思い思いに過ごす。
ふと気がつくとsamoaのウィスキーが一気に300mlも無くなっていることに気付く。スピリタスがあるとはいえ、まだまだ序盤でこんなに無くなっては困るので酒は一定管理下に置くことを心に誓う。
晩御飯はカレー飯。今回初導入だが美味。
平成最後のbeerとしてsamoaが持ってきたインドの青鬼あける。美味なり。
明日の天気は曇り、天気図的には相対的高圧部。
これは以東岳狙えるのではと密かな期待を胸に秘めながら沈。明日からは令和だ。
5月1日 令和スタート 初ピークは以東岳
5時くらいに起床。外を眺めると晴れてる!
という訳で朝御飯を書き込んでそそくさと準備をする。
少し雲は多めだが、月山も朝日の稜線も見えている。いざ以東岳へ向かって出発。
最初だけ雪渓歩きであとはほとんど夏道を歩いていける。
ドシリとした以東岳の懐に入っていく感じがなんともいい感じだ。
荷物もアタック装備なので羽の生えたかのように軽い。
2時間くらいでピークに到着。令和初ピークは以東岳!
なんともいい気分だ。
以東小屋は出ているのは二階部分だけだった。
小屋番の方の言うとおりシロクマの大鳥池を見下ろすことができる。
そして振り返ると真っ白い飯豊が連なっており心がときめく。
一昨日スタートした大桧原は遥かに遠くよう歩いたといったところか。昨日の雨で雪が大分溶けて月山も黒いところが見え始めた。
思い思いに景色を堪能して、写真を撮って令和初ピークを後にする。
帰りの小屋手前は以外と小ピークの登り下りがあってちょっとだるい。
行きはテンションが上がりすぎていてあんまり記憶にない。
振り返ってみる以東岳はやはり重みがあってよい。
小屋に戻り、まだまだ時間も天気も大丈夫そうなので今日中に竜門小屋まで進んでしまうことにする。
1時間くらいで荷物をまとめてお掃除して出発。
ちょうどこの頃から稜線にはガスがかかり始めるが風もないし3時間くらいで竜門小屋なので気にせず向かう。
基本的には夏道で場所によっては雪庇の上。
途中、狐穴の管理人とすれ違う。以東岳に行ってシロクマ見れました!と伝えると「いいもん見れたね!また来て下さい」とガッツリ握手をしてくれた。季節を変えてまたこよう。
他にも何人かとすれ違いながら寒江山を越える。局地風が強いという記録もあったが今回はなんも。
3時間足らずでガスの中から竜門小屋が姿を現す。これまで同様立派な小屋だ。
管理人さん曰く令和初の宿泊客とのこと。2階の奥に陣取らせてもらう。
ルートの話ついでに以前にsamoaがお世話になったエコプロの方々の話で盛り上がった。
その後スキーの二人組が到着、もう1人来たが一階で泊まるようだ。
まだ昼過ぎなのでスープを飲んだりしながらダラダラ。そのうちお酒にも手が出るが、この先足りるだろうか?
スピリタスにザラメを入れると驚くほどうまい。
うたた寝して次に目を覚ますと晩御飯が出来ている。時刻は16時半、こんな早く食べたらお腹がすいてしまいそうだが、できてしまっているものはしょうがない。
アマノフーズの牛とじ丼は驚くべき美味しさだった。
平成ベストヒットを聞きながら、おつまみなんかでお腹をごまかしながら就寝。
明日はガッツリ冬型で風も強いとのことなのでステイを決め込みナチュゲとする。おやすみなさい。
2日 ステイ トランプ三昧
予報通り今日はガスガスで強風。
朝5時くらいに目が覚めるがウダウダ粘って7時くらいに朝御飯を食べる。
当然やることもないのでラジオを聞きながら、ウダウダ。
昨日からの二人組は日暮沢に降りるらしい。主稜線は短いがこの風のなかスキーを背負って下山するのは大変だろう。
この時期に朝日に入ってくる人はタフな山屋さんが多い。
出発間際に、荷物を軽くしたいしと、黒糖焼酎、キャベツ、かんずりくんさき、マヨネーズをいただく。
突然の天からの恵みに狂喜乱舞。酒が心もとなかったので黒糖焼酎がうれしい。ありがとうございます。
キャベツはsamoaのニューコーンミートと一緒に炒め物と塩昆布漬けにする。炒め物はマヨネーズで和えたらとっても美味。
お酒をチビチビ飲みながらかんずりくんさきをつまむ。
あとはフラーやナポレオンをして延々と時間を潰す。
今日も二人組がやってくる。日暮沢から上がってきたそうで、やはり風は強かったようだ。
ドラゴンフライを使っていて懐かしい気分になる。
管理人さんが寒いやろうからとストーブを上に上げてくれる。
山談義でもとしませんか?とお誘いを受けたので適当に晩御飯のカレー飯を作ってストーズを囲んで楽しく歓談。
お二人は以東岳へ進み以東小屋に入って朝日軍道を抜けるそうだ。
飯豊の話や山岳会の話、新潟のお酒の話などで大いに盛り上がって楽しい夜となった。
明日は午後から回復傾向らしい。大朝日小屋まで進める可能性もあるので行動水を少し作って沈。
3日 風強め?大朝日小屋へ
朝起きるとまだガスガスで昨日ほどではないが風はやや強めか。
とりあえず朝御飯を食べて様子見。
本格的な回復は午後からなので昨日の延長戦でトランプをして過ごすが、一階のほうが暖かいので荷物を片して一階で天気待ち。
竜門からやってきた二人組や管理人さんといろんな話で盛り上がる。
袖朝日のあたりが朝日で一番雪庇が大きいそうな。
まあ、ぼちぼち風も弱くなってきた気がするし、待つのも飽きたので10時に出発することにする。
お腹もすいたので行動食をつまみながらパッキングを済まし小屋を跡にする。お世話になりました。
竜門山目指して登り始めるとなかなか風が強い。今回は吹かれたことのないメンバーもいるのでゆっくり進む。
逆にこれくらいの風に吹かれるのもいい経験かもしれない。
管理人さんが話していた通り、小屋近辺が一番風が強く竜門を越すと風が弱まる。
というか風上側は強いが風下の雪庇側に出ると風が弱まるといった感じだろうか。
今日は短いもののアップダウンがなかなかある。
概ね夏道、風避けで雪庇みたいな感じで進み、きゅっと登って西朝日岳へ。
ちょっと青空も見えたりしたが、結局ガスガス。袖朝日へ続く稜線はおどろおどろしい感じで雪庇が出ている。
視界がないので雪庇に気を使いながら中岳の尾根に乗って大きな雪庇を降りていく。
果たして中岳の登りにさしかかろうというところでついにガスが飛びはじめて大朝日岳の姿が見えるようになる。どんどん飛べと念じながら中岳に登るとすっかり青空が広がり美しい円錐形の大朝日岳を目の前に望むことができる最高の一時。
大朝日小屋目指してのんびり歩いていく。
青空の下小屋に辿り着いて、ちょっと小朝日岳方面の眺めが良さそうなケルンまでいくことにする。
ここまで来ると以東岳も見える。西朝日から袖朝日の稜線はギバギバしていい感じだ。
ここからは眺める大朝日岳は雪がべったりついて懐が深い感じになる。
景色を堪能するが少し風が強いのでそそくさと小屋に戻る。
明日は間違いなく高気圧圏内、12時間くらいの長丁場だが、ほぼ下山が確定したので大消費大会。
つまみを大放出し、カレー飯やラーメンも出して止めは最後のぺミカン。むっくんが隠し持っていた大きなマヨネーズがいいアクセント。お酒も飲みきって不退転。
小屋は小屋番の山岳会の人も10人くらいできていて大にぎわいといったところだ。
晩飯を食べきって外に出ると美しい夕暮れ。
どんどん空が赤くなっていく。袖朝日のさらに西に太陽が沈んでいく。
山並に沈んでいくかと思いきや、水平線に沈んでいくのがギリギリ見える。最後の一滴が沈んでいくところまで眺めて小屋に戻る。また明日。
明日で7日目になるが全然そんな気もしないし、もっと山にいたい気もする。
明日で終わってしまうのも少し寂しく思いながら就寝。
4日 大朝日を越えて葉山、充実の縦走の終わり
2時半起き。空は満点の星空。北斗七星の下にしし座やおとめ座と春の星座が輝いている。
昨日残していたラーメンにさらにラーメンで1.5人前。朝から幸せ量。
パッキングを済まして外に出ると微かに東の空が白んでいるくらいだ。
ゆっくりゆっくり登ってついに大朝日岳の山頂へ。
二人組以外は誰もおらず、存外静かだ。
石見堂からは遥か彼方だったピークに立つことができた。まだ葉山まであるがらメンバーとガッツリ握手。
少し寒い10分ほど待っていると、船形山のあたりから美しい朝日が登ってくる。
これから歩く方角には一際白い飯豊が聳え、反対には蔵王、飯森、吾妻、磐梯と山形を取り囲む山々、蔵王の向こうには岩手や八幡平のあたりも見えている。
振り返れば月山、鳥海山、そして歩いてきた稜線すべてが赤く染まっていく最高の景色。
円錐形の影朝日までばっちり見ることができた。
いつまで見ていても飽きることはないが、まだまだ先は長いので写真を取ってピークを後にする。
ピークからは一気に標高を下ろして平岩山へ。
なだらかなハイマツの稜線が朝日に照らされていい感じだ。
ここからは葉山までは御影森などのピークを含め小ピークをいくつも越えていかなければならない。
雪庇は相変わらず大きいので巻けるピークはなく一個一個登って降りる。
一日半休んで荷物も軽くなったおかげかそこまでしんどい気はしないが、標高を上げるところはやはり溜まった疲れが出る感じだ。
大沢峰から先は相変わらず巨大な雪庇を使っていける。
御影森から振り返ると「大」朝日に対してまさしく「小」朝日という感じになってくる。
続く中沢峰との間はがっつり標高を下ろて150mくらい上げる。
雪が腐ってないのがサクサク歩けるのが幸い。
コルで一息ついて一気に中沢峰を登りきる。一つピークを越えるごとに飯豊が近づいてくる。
きつい登りもここまでかと思ったが.1276は中腹をトラバースする夏道は使えず、きちっと登るはめに。ようやくゴールの葉山が見えてきた感じだ。
それにしても東北の山の代名詞とも言えるブナ林はやはり見事で歩いてるだけで癒される。
風の強い稜線のよりも標高を下げたこのあたりの方が雪はがっつり残っていて楽しい雪山歩きだ。
休憩時に雪解けのところが青々としているので見てみるとむせかえるくらいのニンニク臭。懐かしきアイヌネギ。北海道を出て以来かので軽いノスタルジーだ。
視界がなかったら地図読みが難しそうな広々とした尾根を歩く。小さいポコを登ったり巻いたりしながら行くが本当に白い広いところが広がっていて歩いていて気持ちがいいところだ。
そんなこんなで葉山山荘へ。中を覗くと小さい薪ストーブが。
神社にお参りしここまでのお礼を述べる。
令和のお祝いのお供え物もあった。もう4日も過ぎたのか。
ひと休みして最後の下りに入る。
山頂台地から降りるところからは白兎の街を見下ろすことができる。
本当にようここまできたもんだ。これから下ろす尾根の新緑が美しいのもいい感じだ。
しばらくは雪がついているのでトレース頼りにバーっと降りていく。
雪がなくなるあたりから新緑が始まる。
マンサクやキタコブシ足元にはショジョウバカマといい感じで咲いており、新緑はまさしく眼に青葉という感じ。
新緑の森は何とも言えない芳しい香りもして本当に気持ちがいい。ヤマザクラもちらほらあり本当にお祭りのようだ。
コシアブラなんかも横目に見ながら登山道を下ろしていくとついに舗装された道にでる。
あとはえっちらおっちら駅まで道を歩くのみ。
ふと脇に目をやるとミズバショウが花を咲かしている。
人工林を抜けると長閑な田んぼのど真ん中。すっかり春めいているなかを歩いていく。
明日はこどもの日なので鯉のぼりがはためいている。
途中に自販機を見つけて炭酸飲料で喉を潤す。本当にうまい。
だーっと道を歩いていき当然無人の白兎駅へ。
みんなでハイタッチ&握手。本当によう歩いて最高の山行となった。
駅がクライマックスなのもなかなかいい感じだ。ホームで最後の写真を撮る。みんなそれなりに焼けて黒い顔になっている。
電車がくるまではホームでダラダラ。恐らく臭いであろう体で電車に乗り込み、何回か乗り継いで寒河江まで。
このころにはもう真っ暗。
手配したタクシーに乗り込んで一週間ぶりの道の駅にしかわへ。
運転手さんはさすが雪国の人という感じでナチュラルにタケノコ採りなど山菜の話をしてくれた。
車を回収したあとは天童の温泉へ。さっぱりしてようやく人間に戻れた。
時間は大分遅くなってしまったが、山形駅に移動して遅くまでやってる居酒屋で軽く打ち上げ。
お酒や揚げ物が体に染みる。そんなこんなで下山の興奮を持ちながら夜は更けていった。
5日 ちょっと山形観光
翌朝はのんびりめの起床。
ポレポレファームのベーコンを使ったメニューがあるという喫茶店でモーニング。
美味しいトーストとコーヒーをいただく。
こどもの日ということで町中は働く車のイベントやフリーマーケットみたいな感じで出店も出ていて賑やかだ。
展望台のあるビルに登って昨日まで歩いていた朝日を眺める。
がっつり歩いたので山座同定もばっちりだ。
そのあとはお土産をがっつり買い込んで、山形に来たら蕎麦ということで、天童まで冷たい肉そばを食べに行く。相変わらずうまい。
ちょっと郊外に出たので山がよく見える。
こっちから見た月山はまだまだ真っ白でその左手に白い朝日連峰が続く。あの長さを歩いたと思うとやりきった感がある。
山形駅でT橋さんとはお別れ。次こそは沢登りかな?
朝日と飯豊の間を抜けて新潟に出て高速に乗る。
乗る直前に朝日を望むことができた。見送ってくれているようで、またこようという気持ちになる。
新潟の田んぼにはすっかり水が張られていて、沈んでいく夕陽はまるで海に沈んでいくようだった。
あとは北陸道を快走して安全運転で京都まで。
充実のGWの縦走は幕をとじた。
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