毛石→青里→木六(矢筈届かず)
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- GPS
- 56:31
- 距離
- 31.5km
- 登り
- 2,584m
- 下り
- 2,582m
コースタイム
- 山行
- 6:34
- 休憩
- 0:16
- 合計
- 6:50
- 山行
- 12:16
- 休憩
- 0:07
- 合計
- 12:23
天候 | 土曜曇り 日曜晴れ 月曜みぞれ混じりの強風→雨 全体として好条件だったと言える。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
小雪の年なのでGWぐらいのコンディションを予想していたが、上の方は雪山で籔漕ぎは無かった。しかし谷筋の雪渓は発達しておらずやっぱり小雪。遠目に見ると春山じゃなくて晩秋みたい。9日、10日とも少ないながら降雪があった模様。 雪は全体的に踏み抜きが多く難儀した。心が疲れる。脚が着かない深さのものは4回ぐらい。単独で、身体が硬い人だとなかなか抜け出せないだろう。落ちた拍子に雪の下のブッシュにぶつけるので、脚が紫になった。 ワカンは持たず、アイゼンは持っていたが未使用。アイゼン着けてたら踏み抜いた拍子に太腿を刺し貫く事故が5回ぐらい起きてたと思う。結果的に雪が硬くなることは無かったが、早朝時など必要になる可能性は捨てきれないので、持って行ったのは不正解ではなかろう。ワカンはあった方が良かったかもしれないが、中途半端に籔が現れるので難しいところ。 〜毛石山 マイナーではあるがちゃんと刈り払われた一般登山道が通る。旧鉱山道であるらしい。トラバースが長く歩きやすい道ではない。なおこの鉱山道は毛石山から先、灰ヶ岳まで東斜面の中腹をずっとトラバースし続けていたようだが、今じゃ跡形も無いだろう。仕事でこんな山奥の道を歩いていたなんて昔の人は大変だ。 〜799高地らへん 籔と雪が半々ぐらい。稜線の籔には人間クラスの大型獣が付けた踏み跡があるが、普段は四足獣が維持管理しているので、人間の背丈だと籔が顔に当たって痛い。なるべく雪を拾うが、籔を避けるあまり稜線から離れすぎ、復帰の為急斜面をラッセルして直上すること数回。疲れる。 地形図だと851高地のあたりに顕著な二重稜線地形が見られるが、二重稜線はそれ以外にも多数。線状凹地に雪が溜まっているのでそこを歩くことが多かった(無雪期は踏み跡も凹地に降りている?)。 〜灰ヶ岳 土の地面を見ることは殆ど無くなるが、稜線は籔が顔を出していて面倒なので西斜面を斜上した。これはかなり時間を食った気がする。素直に稜線を漕いだ方が早かったかも知れない。 灰ヶ岳双耳峰の吊尾根に突き上げる沢(白沢と云うらしい?)の源頭部は古く硬い雪がクラックを刻んでぼこぼこになった上に、比較的新しい雪が被っている。異なる雪質が不規則に顔を出すので、真っ直ぐ歩けない。 多分雪崩れる雪質じゃないので谷底を通って吊尾根に出ても良かったろうが、大事をとってブッシュの際をトラバース。横着して余計な高度を稼がないようにトラバースした結果、不安定な斜面で無駄な登下降を繰り返しルートを探るハメになった。 吊尾根に出てからは空身で三角点のピークを順調に往復。最高の眺めだった。 机上では、白沢を渡って灰ヶ岳三角点峰に直接突き上げる北尾根に取り付くことも検討していた。沢底の雪が少なく、また北尾根下部は尾根ではなく単なる斜面になっていて小規模な雪崩れの跡もあったので、一瞥して止めた。 〜901高地 1016高地を越えて暫く下るまでずっと純白の気持ちよい尾根。それまで余り見えなかった青里岳が谷を挟んで堂々としている。なだらかな稜線歩きだが、膝丈の軽い踏み抜きが歩数の7割ぐらいで発生するので、登りは中々進まない。灰ヶ岳東峰を越えてからは下り基調なので早い。特に1016高地を越えてからは走れた。 天気が良く杉川の支流(アカガシラ沢と云うらしい)源頭のごちゃごちゃした地形が一望できる。実際見てしまうと、分水嶺を律儀に辿るのは絶対にやりたくないと感じる地形である。先人の記録には1016高地から沢に降りて対岸の支谷を詰め上がるものがあったが、小雪ゆえ下れる斜面も渡渉箇所も限られ、源頭近くまで歩かされた。視界が効いたのは幸いであった。 901高地への登り返しは当然しんどいが、「なだらかな稜線やそのトラバースなのに雪質のせいで思うように進まない」状況に比べれば、努力量に見合った成果が得られる。 〜1043高地らへん 笠堀川側の斜面はスラブが露出していて到底トラバースできない。ぐにゃぐにゃ曲がり、アップダウンの多い稜線を忠実に辿らされる。偽ピークに何度か騙される。 920ピークのすぐ東で北東に下りていく尾根はかなり引き込まれやすい。抜群に視界が効いていたにも関らず、この尾根の方に三歩ほど入ってしまった。 全行程の中で最も籔が濃かった区間である(稜線が季節風と並行に走っているから雪が付きにくいのだろうか?)。 〜青里岳 美しい雪尾根。時折ブナ林。しかし踏み抜きで進まない。杉川源流域を一望に収める。なおこのブナ林は樹齢が100年もいっていない。戦中戦後にはこんな所まで伐採したのだろう。すごい。 〜銀太郎山 青里岳の「肩」みたいな標高1190mらへんから、木六山に至る稜線の出だしはかなりの急斜面。今回はツボ足で駆け下れたが、雪質によってはアイゼンが無いと無理だろう。尾根というより壁のような地形なので、視界が効かないと本当にここを下って良いものか迷うかもしれない。急斜面を下って鞍部の樹林帯で幕。 その先、雪と籔の状況は灰ヶ岳周辺と同様。灰ヶ岳の登りよりは、慣れてきて効率よく歩けたと思う。時折シリセードも行う。 3日目は悪天候だったので時々不安になって地図をみたが、あまり迷うようなところは無い。要所で視界も得られた。 〜ゴール 銀太郎を越えると徐々に夏道を使えるようになる。七郎平山を最後に雪消え。夏道は稜線を忠実に辿っているわけではないので、たまに立ち止まってルーファイが必要(少し目を凝らせば赤布がある)。 グシノ峰コースの斜度は、一般登山道の中ではハードな部類だろう。 時間が遅く、疲れた脚でグシノ峰コースを下るのも不安だったので、距離は伸びるが悪場峠から安全な車道歩きをすることも考えた。しかし水無平コースとグシノ峰コースの分岐で明らかに前者の踏み跡が薄かったので、後者の方が安全と判断した。 杉川右岸のトラバースは良く整備されている。ヌケマケの滝がある沢を渡る箇所は、地形図の破線表記と異なり、少し沢の上流部へ回り込む。 杉川左岸にもトラバース道があり、地図で見る限り毛石山登山口に直通している。登山口で見た用水路の保守用の道だから消滅はしていないだろうが、途中で崩れていて迂回を強いられたと言う記録を見たことがあったので使わなかった。現況は不明。 |
写真
この当時はまだ距離感がつかめておらず、形が特徴的な五剣谷しか自信をもって同定できていない。あとで写真を見てこの時から灰ヶ岳が見えていたことに気付く。
感想
月曜有給とって憧れの矢筈岳へ。届くだろうか。武者震いがする。
当日朝、お決まりの寝坊。矢筈は絶望的となる(寝坊しなかったとしても体力的に難しかっただろうけど)。さらに歩き始めでグラサンを車に忘れ、500mくらい引き返す。毛石の登り始めで山菜採りの夫婦を抜かす。以後誰とも会わず。
初日夕方、やたらと腹が減ってペースが落ちる。この調子だと行動食が足りない。テントを張ってペミカン豚汁。美味すぎる。
翌朝3時半、朝飯をもそもそ食っていたら獣の足音と、フウフウ言う声が聞こえる。全身総毛立つとはこのことか。こちらも大声を上げて対抗。あとで足跡を見たら意外と小さい獣だった。キツネだろうか。クマの気配が濃厚なので心臓に悪い。
2日目は昨日のようなシャリバテは無くなったが、踏み抜きのせいでペースは上がらない。矢筈カットを正式に決定。予想以上の好天で愉しく歩く。
夕暮れ間近となってテントを張ってみると、気温が高く余り気になっていなかったが靴の中がびしょびしょだった。スパッツの上からズボンを伝って濡れが進入していた。日が暮れると一気に冷えて、足の感覚が無くなってしまったのでせっせとお湯アイロンで装備を乾かす。そうしていたら、テント泊10年目にして始めてお湯をひっくり返す失態を演ずる。単独だとずっとコッヘルを支えているわけにもいかんので難しい。
行動食の残りが不安だったので食糧切り詰める。晩飯の鯖缶ブイヤベースは半分残し、翌朝もリゾットにして食うこととする。三日目朝用のフルグラはそのまま予備の行動食に転用。無事、予備には手をつけることなく下山できた。
三日目は予想より低気圧の接近が早かったようで、霙や雪交じりの強風。視界が得られる時もあれば、真っ直ぐ立てない時もある。比較的気温が高くて幸い。
ゴールまでの距離とこれまでのペースから、気合をいれて歩かねばならんと、未明に出発。テント撤収時は再び濡れた靴を履き、寒い。ペグを一本紛失してしまったが、動き出さないと凍えるので捜索を諦める。
五剣谷のあたりでカメラを落としたが、100mほど戻って回収できた。奇跡。
銀次郎のあたりではもうボロボロだった。立ち尽くしてボーっとすることが増える。ボーっとしながら、もう十分頑張ったぞい、などと考える。そのまま我に返らなければ死んでしまう、なんて所まで考える余裕は残っているので、また歩き出す。因みにボーっとしながら見る景色は大変美しいので、よろしくない。
木六山の下りは一般ルートだが、もう脚が使い物にならないのでクソゆっくり歩いた。一番しんどかった山行経験が更新されたかもしれない。
下山後10日間ほどは1日4食でも腹が減った。
天候が総合的に見て好条件で、藪漕ぎが殆ど無かったにも関らずここまでボロボロになった。力不足を痛感。外出自粛も本格化したので、この後現在に至るまで、筋トレにはまる。日焼けヤバイ。
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