会津駒ケ岳(過去レコです)。
- GPS
- 86264:00
- 距離
- 20.9km
- 登り
- 1,264m
- 下り
- 1,255m
天候 | 曇り。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
左程の危険個所はありません。 |
写真
感想
一日休みを頂いて、2泊3日で登る山を考えた。鳥海山、会津駒ケ岳、巻機山などまだ登った事の無い百名山から会津駒ケ岳を選んだ。2010年6月26日、朝6時に家を出て、東海北陸道に入る。砺波JCTから北陸道をひた走り、長岡JCTから関越道に入る。小出ICで高速道路を降り、普通の道を、越後三山を見ながら快適に走る。ここは魚沼コシヒカリの産地。湯の谷温泉までは「奥只見シルバーライン」の標識に従って県道50号線に入る。まずはスノーシェッドから始まり、つづいて1号トンネル、そしてトンネルの連続。長いトンネルには、赤い電球の大きな矢印が点滅し、この先カーブがある事を示している。トンネルは奥只見ダム建設時に作られた工事用のもの、その壁は刻んだ岩肌が露出している。17号トンネルはシルバーラインで最長の全長4km、カーブを現す赤い矢印の点滅、そして「↑奥只見ダム、 桧枝岐→、 銀山平→」と云う電光案内標識が現れる。トンネルの中を直角に右に曲がって枝トンネルに入り、銀山平に到着。燧ケ岳の時は、バスの運ちゃんが間違えてトンネルを直進し、奥只見ダムまで行ってしまったが、そりゃそうだろう、トンネルの中に交差点があるなんて。銀山平は以前、平ヶ岳に登った時に泊まったところであるが、その時は奥只見ダムからやってきて、この奇怪なトンネルは経験していない。「樹海ライン」と命名されている奥只見湖の湖岸道路、とは云ってもダム湖の岸壁に刻まれた崖っぷちの細い道で、湖にそそぐ何本もの谷がスピンカーブを形成し、「急カーブ危険」、「段差注意」、「沢水注意」の看板が連続する。成る程、スピンカーブの道路上には洗い越しが横切っている。梅雨前線が上昇し、天気予報では雨も降り始めそう。ここはちょっとの雨で通行止めになる区間。おっと、目の前に通行止めの標識が、そして車が数台止っている。ここから引き返すなんてとんでもない。と良く見ると、遮断機の下りた道の左手に道路が続いており、ほっと胸を撫で下ろす。ここからは奥只見湖がグングン下になり、峠を越えて新潟県から福島県に入るとワインディングロードは終わり、気分も落ち着く。とは云っても細い道に変わりは無く、気は緩められない。燧ケ岳に登った時に泊まった御池ロッジを過ぎると、ここら先は立派な二車線。途中、「ミニ尾瀬公園」に寄り、ニッコウキスゲ、アヤメ、カキツバタの見事な群落の中を歩いていると小雨となる。山から持ってきて植えられたのであろう、コバイケイソウは背丈以上にも伸び、その先に花を咲かせている。雨宿りを兼ねて「白籏史朗尾瀬写真美術館」へ寄り、今晩の宿である「旅館ひのえまた」に着いた時は4時を回っていた。「日本秘湯を守る会」の提灯が掛けられた桧枝岐温泉は無色透明、気持ちの良い風呂で明日に向けて英気を養った。
翌朝は4時に起床。窓を開けて外を見ると、雨。谷間は乳白色に覆われ、明るみ始めた山あいの集落、家々の窓に明かりが灯って幻想的な風景を醸し出している。朝食と昼食の弁当を貰って宿を発つ。すぐに林道に入り、登山口の階段のまん前に駐車。「会津駒ケ岳滝沢登山口」の看板の横には、「車上荒らしによる被害が発生していますので、車内には貴重品を置かないよう注意願います」と注意書きがある。取り合えずETCカードだけ抜いておく。車の中で朝食を取り出してまずは腹ごしらえ。大きなオムスビ2個はとても入らない。カッパを着込み、雨用の帽子にザックカバー。雨の中、5時半、登山口の木製の階段を登り始める。のっけから急な山道で、これをゆっくりゆっくり登る。35分程登って、休むにはちょうど良さそうな倒木が現れ、これに腰をおろしてひと休み。その間に中高年の男女二人組がわたしを追い越して行く。さらに登って行くとマイズルソウが惜しげもなく咲き、タニウツギ、サラサドウダンがピンクの花を咲かせている。ミズナラ、ブナ、カエデが、新緑を輝かせている森の中を登る。この森には雨が良く似合い、気分は良好。ただ頭にまとわりつく虫には閉口。虫が多いと聞いていたので、虫除けスプレーを持参してきたが、その効果は疑問で、目の中に飛び込んでくる奴もいる。、暑さよりは虫対策、ネットを被る。登山道は急登ではあるが、段差は低く、登りやすい山である。もう下りてくる人がいて、話し掛けてくる。頂上付近は積雪でアイゼンが必要だと大変そうに云うが、わたしは準備万端、ビクともしない。石に彫られた3体の小さなお地蔵さんが祀られている。道は緩やかとなり、7時25分、小さな広場に到着。「頂上まで2.9km」の柱が立ち、木の幹に「水場→」の板が取り付けてある。ここがほぼ中間点。1リットル入りの水筒は8分方無くなっており、急な斜面を下って水場で補給。帰って来ると、数名の若者が下って来て広場で休憩。おそらく頂上の小屋で泊まって下りて来たのだろう。先程も若い女性の二人連れと行き違ったが、昨今珍しく、若い人にも登られている山である。10分程休んで出発。ほんの少しの間緩やかであるが直に勾配を増す。ミツバオウレンが、小さくても華やかに咲き乱れていて、疲れを飛ばしてくれる。ブナはオオシラビソに変わり、ハクサンシャクナゲが一輪だけ花を咲かせている。雪が現れ始め、そろそろアイゼンが必要かなと思うが、その先はすぐに雪が無くなっている。やがて木々の背丈も低くなり、間もなく木道が現れ、傾斜のある木道を滑らないよう気をつけながら登ると湿原に出る。乳白色の湿原に池搪が光り、雪の下から現れ始めたばかりのイワイチョウの葉っぱの群れが、雨に濡れ瑞々しく輝いている。階段状の木道を辿って湿原を登る。木道の脇にはショジョウバカマが並んでいる。ショウジョウバカマは干からびて元気のない花という印象があるが、ここではつやつやと薄紫や紅色の花を元気に咲かせている。突然、雪渓が現れ、木道は雪の下となる。乳白色の世界で、目指す頂上はいずこ? 雪渓にははっきりした足跡がない。うっすらした足跡らしきものを辿ってスプーンカットを登って行くと、ガスの中に赤旗が2本見え、雪の上に明瞭な足跡もある。ほっ。「桧枝岐滝沢登山口 5.6km。大津岐峠経由キリンテ 8.8km」と書かれた柱が雪の中に埋もれているが、柱の周りだけ雪が溶け、字が読める。ガスの中にうっすらと小屋が見え、頂上から下ってくる人の姿もぼんやり見えるが、果たして目指す頂上は何処なのか? 駒ノ小屋の前でアイゼンをつけ、雪の上につけられた足跡を辿る。「駒ノ大池」も、楽しみにしていたハクサンコザクラもハクサンシャクナゲも全て雪の下。雪渓の登りが終わって再び木道が姿を現し、アイゼンを脱ぐ。中門岳への巻き道を分け、駒ケ岳頂上へ至る木道は急坂の階段。そして9時50分、会津駒ケ岳頂上に到着。登山口からおよそ4時間20分、コースタイムより1時間程遅かった。深田久弥は、「頂上は、私が今までに得た多くの頂上の中でも、最もすばらしい一つであった」と書いているが、今は雨が降ったり止んだり、勿論眺望は全く無く、すばらしさは頂上に立つ山の案内板を見て想像するだけ。中門岳への稜線は花の時期なら百花繚乱、でも今は全て雪の下。長居は無用、下山開始。駒ノ小屋に入り、コーヒーを注文し、昼食用のオムスビを食べる。 全国に、駒ケ岳と名のつく山は沢山ある。わたしの登っただけでも、木曾駒ケ岳、甲斐駒ケ岳、魚沼駒ケ岳、南駒ケ岳と錚々たる山達であり、それぞれが個性的であったが、この会津駒ケ岳も彼らに劣らず個性的な良い山であった。しばらく休んでいざ出発。木道の下りでスッテンコロリン、右上腕を思いっきりブツが足は大丈夫。登山道は川と化し、登って来た時とは大違い。濁流の流れる登山道をジャブジャブと下る。登って来た時最初に出会った雪は、溶けて潰れて小さくなっている。これからこの山は花盛りとなるのだろう。1週間後の7月3日、会津駒ケ岳の夏山開きがあったと報じられていた。
昨日とは違って立派な道路を一路塩原温泉に向かい、今晩の宿、「塩原ガーデンホテル」に着いたのは3時過ぎ。ゆっくりとした一夜を過ごし、翌日は日光東照宮に寄り、東北自動車道から首都高、東名高速をひた走り岐阜に帰り着いたのは7時半であった。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する