裏銀座・高天原・雲ノ平・槍・上高地へ 4泊山行
- GPS
- 104:00
- 距離
- 67.9km
- 登り
- 5,278m
- 下り
- 5,036m
コースタイム
- 山行
- 9:00
- 休憩
- 1:20
- 合計
- 10:20
- 山行
- 10:00
- 休憩
- 1:40
- 合計
- 11:40
- 山行
- 7:10
- 休憩
- 0:40
- 合計
- 7:50
- 山行
- 9:30
- 休憩
- 1:30
- 合計
- 11:00
- 山行
- 10:50
- 休憩
- 0:50
- 合計
- 11:40
7月30日(日)
4:20 安曇野穂高発
5:30 葛温泉 七倉荘前P着
5:50 タクシーで高瀬ダムへ 1台2000円(4名乗車)
<復路>
8月3日(木)
17:25 バス乗車上高地発
16:48 新島々 上高地線乗車
19:29 松本 JR大糸線 穂高へ
20:20 自宅着
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2006年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー 自家用車
葛温泉に案内所あり |
コース状況/ 危険箇所等 |
問題ない |
その他周辺情報 | 葛温泉には登山案内所がある・前日宿泊もできる 上高地に下れば何でもあり |
写真
感想
2006年(平成18年)7月30日(日)〜8月3日(木)
今回の山行名を「天空の雲、夢の温泉」とした。
一番入り難い山域へということで、様々な不安を抱えての登山となった。
まずは座骨神経痛が山の中で再発しないだろうかというもの。
出発前は勇気を出して中止にしてもらおうかと思うこともあった。
またそのことを考えると全身に汗が出て眠れない日々が続いた。
しかし安易で楽観的なところから当日を迎え、出発となった。
高瀬ダムからのブナ立て尾根は、北アルプス三大急登とも言われているようで、その通りスタートから苦しかった。
足の不安、それに腰の調子も良くなく、登る汗と冷や汗が混じっての登高となった。
それでも今回の山行に当たり、少し歩けるようになった5月から常念岳、有明山それに東信の里山を中心に10回ほどの日帰り登山を繰り返した。
それ故の自信はどこかにあった。
昨日までの毎日の雨、諏訪では土砂崩れによる大災害が起こっている。
そんな中、幸せなことに梅雨もあがったような天気に恵まれ、今ここに歩き始めることができた。
青空の下ゆっくりではあるが、まずは烏帽子小屋を目指して一歩一歩進む。
尾根に出ると、烏帽子岳の姿も見られた。
尾根には番号が付けられていて11番から数字が少なくなっていく。
小屋に着く。
早速荷を置いて烏帽子岳方面へ向かう。
天気良く偽烏帽子岳を越え、天に突き刺すような岩山、烏帽子岳へ。
岩壁に鎖を頼りに登ると、そこは大きな岩が折り重なる山頂。
最高点は岩の頭で、自分の技術では登ることができない。
できるだけ高い位置に身を置く。今回最初のピークとなった。
折り返し烏帽子小屋へ戻る。
小屋の前は紫のリンドウの花で埋まっている。
その中にコマクサも、一株が白の花を咲かせ目を引く。
小屋からは読売新道の赤牛岳が、その先に小さく水晶岳が見えていた。
野口五郎岳は全く見ることができない。
歩く右手には水晶岳、そして鷲羽岳が徐々に大きく見え始める。
途中、雪渓から流れる水で顔を洗い身を引き締める。力も入り気分が上がる。
野口五郎小屋へ到着する。小さな小屋で、早速受付をする。
「地元の方が来るのは珍しいですね。」と言われ、部屋に案内される。
七倉荘からタクシーで同乗した栃木の二人の方とも同部屋になり、この山域の話を聞かせてもらった。
10回ほど来ていると言うから驚きだ。長野県のこの地域に魅力があるということなのだろう。
嬉しい反面、地元にいながら足下の山を知らないということが正に判明した。
夕刻、日が薬師岳にオレンジ色になり沈む景色は素晴らしかった。
小屋泊まりの気軽さと朝夕の絶景を楽しめるのは良いが、
寝苦しさといびきの協奏曲には慣れることができない。
早く寝た者勝ちのようだが、四泊して睡眠時間が短かったのは否めない。
自分の神経の細さを正に感じるのが山小屋泊だ。
二日目は日の出を見て始まった。
昨夜は天ぷら、朝はしっかりご飯のおかわりをしてエネルギーを蓄えた。
野口五郎岳登頂。
今回の山行では、最も素晴らしい眺めであったと言っても過言でない。
北アルプスの中心に位置し、剱・立山の山々、薬師から黒部五郎にかけての山並み、常念山脈、後立山の稜線、そして槍・穂高の岩稜が四方に眺められる。
絶好の天気、この世の絶景中の絶景と言っても良い。
いつまでも眺めていても飽きないが、水晶方面へと進む。
時々危険箇所もあったが、気持ちよい稜線歩きをしながら北アルプスの風景に溶け込みながらこぢんまりした水晶小屋へ着いた。
そこへザックをデポして水晶岳を往復する。
前回の水晶岳では雲がかかり何も見えなかった山頂だったが、今回は素晴らしい眺望が待っていた。
殊に薬師岳は全面に三つのカールをすそ野に広げ、その堂々とした山容は言語に尽くせない。
双耳峰の水晶岳、北側の峰は低く、登ってなかったので行ってみた。
すると、そこからは今日の宿泊地、高天原の山荘の赤い屋根と水晶池までが見られたのだ。
水晶岳を存分に楽しみ小屋に戻り、岩苔乗越へとなだらかな道を進み、そこから高天原へと下る。
下り初めて沢と合流、その沢で水を浴び力を蓄える。
長い長い下りを足下に注意しながら、2時間ようやく水晶池に着く。
静かに水をたたえ湖面には周りの山々を写し出していた。
写し出された緑と周囲の緑が溶け合う幻想的な水晶池。
池からさらに下ること、ようやく高天原へ。
そこは湿原が広がりニッコウキスゲが満開で、緑の中に黄色い花を咲かせていた。
北アルプス最奥の小屋、ランプの小屋、そして秘湯中の秘湯を持つ小屋に一晩お世話になる。
温泉は小屋からさらに30分先へ、さらに30分奥には夢の平、竜晶池がある。
温泉沢にある高天原温泉、乳白色の岩風呂にのんびりS氏と浸ってきた。
湯加減も良く、硫黄の香り漂い緑に囲まれた夢の温泉。
沢の音、葉の歌う音を聞きながら、一つの目標「夢の温泉」を楽しんだ。
再び汗をできるだけかかないようにゆっくり歩き長い道のりを小屋へと戻った。
小屋ではランプが使われていて、ランプの下で夕飯を頂いた。
寝床はなんと二段目の広いところを二人で貸し切り、大の字で横になった。
しかし夜中に大雨。その音の大きさで眠りは浅かった気がする。
三日目の出発。
多くの方が雨の中をレインウエアを着込み早出をしていった。
我々は運良く、雨が上がってからゆっくりのスタートとなった。
下だけレインウエアを履き、ニッコウキスゲの中雲ノ平へ向かった。
雲ノ平までは登り返していく。
登ると湿原、また登ると湿原地帯が広がるという繰り返しが続く。
奥スイス庭園では休んでいると岩の間からオコジョが出現。
腹は白く、背中は灰色、夏の装い間近の可愛らしい姿だ。
ちょこちょこと岩を出たり入ったり遊び回り愛嬌を振りまいてくれた。
空は青空が広がり始め周りの山々が見え始めた。
雲ノ平に着く頃には水晶岳、薬師岳、黒部五郎岳を見渡すことができた。
名峰に、そして黒部川の源流に囲まれたお花畑が広がる雲ノ平。
次は雲ノ平に泊まろうと決め、祖父岳をトラバースし黒部源流へと下る。
急坂を下ると、今年は雪が多かったのか雪渓が広がり、その横を恐る恐る徒渉、三俣へと登り返した。
三俣への登りはアップダウンがきつく一筋縄ではない。
ようやく三俣山荘へ到着。
大変な混みようで畳3枚に5人、布団3枚に5人が寝ることになった。
頭と足を交互に横になるが、寝返りもできないまま一晩を過ごした。
もちろんいびきの大合唱。それに女性客も多く気を遣う一夜となった。
ただ小屋からの眺望は一見の価値がある。
硫黄尾根の大展望。異様な山容、山肌の色は他には見られない。
その先に北鎌尾根が鋸の歯のように槍に向かう圧巻の光景だ。
1時間ほど移り変わる自然の舞台に見入ってしまった。
四日目は槍に向けて西鎌尾根を歩く。
今日は朝から快晴。
槍ヶ岳が遠くに見られ、あそこまで行くのかという期待と不安が入り交じる。
三俣蓮華岳に登る。ここは3回目になる。
長野・岐阜・富山県にまたがる山だ。
ここから先、双六岳を目指す。
双六岳からの槍ヶ岳の眺めは写真で見て心に残っている。
広い山頂から槍の先が大きく見える。
午前中ということで槍方面からの光で、槍自体は逆光、シルエットになってしまうのだが、ぜひ見たいという光景だった。実現!
広く丸みのある山頂から槍に向けて登山道が延びる。
進むほどに槍が徐々に大きく全面に立ちはだかってくるのだ。
この登山道を下ると双六小屋へと出る。
西鎌尾根への出発点になる。
まずは樅沢岳へと登り上げる。
そこからはアップダウンを繰り返しながら槍へと近づく。
尾根左手には硫黄尾根が異様な山肌で恐ろしい姿を見せる。
しかし午後になり槍には雲がかかり始め、見えるのは正面に鋭い岩峰の続く北鎌尾根。
雲の中に浮かぶ岩壁を見ながらガレ場を注意して登り切る。
今日の宿泊地、槍の肩小屋に到着した。
あまり混み合うようならばヒュッテ大槍までと思っていたが、
今日は一人1枚の布団があるとのこと。
荷物をまとめ、槍のてっぺんを目指した。
雲の中の槍であったが、やはりピークだけは登っておこうということだ。
今回で3回目の登頂となった。残念なことに真っ白な世界。
だが相変わらずの混みようで、山頂には20名ほどの方が交代で撮影して山頂証拠写真を収めていた。
小屋の様子はと言うと外国人が多く、テント泊をしている。
日本人は中高年、夫婦連れが多いのを感じた。
登山道を歩いているときの静寂さに相反する都会的な賑わいだ。
それでも今日は少ない方というのだから、ラッキーか。
今回の山行の目的をほぼ達成し、明日は下山ということになった。
1000円、ちょっと高めの槍での生ビールで祝杯をあげた。
うまい!
足の痛みも今のところない。動けなかった3、4月を思えば嘘のようだ。
毎日天気にも恵まれ景色も最高だった。
満足感あふれる山行を振り返ることができた。
最終日、またまた天気は良し。
空は秋空のように青く、気持ちよく上高地へ下るだけとなった。
あまりにも天気が良いので天狗原・氷河公園経由で下山することとした。
大喰岳、中岳と歩き、周囲の山々、ことに雲ノ平方面、そして槍を振り返りながら最後の一日を楽しむ。
九州から来たという夫婦と槍からの稜線を歩いた。
山名を知っている限り教えたり、中岳直下の雪渓から出る美味しい水を紹介してあげたりと一時を過ごし、天狗原の分岐で別れた。
分岐からの険しい細尾根を鎖、梯子を頼りに下った。
この下りから青空の中に槍が、その山肌に雪を着物のようにまとい聳えるのだった。
天狗原の氷河公園池は雪がようやく溶け始めたところで、池の雪の中央が崩れ落ちぽっかりと穴が開き、水がしたたり落ちているところだった。
槍はここでも主役、雪の池を前景に堂々たる三角錐を撮影した。
槍の麓の雪渓をトラバースし道を右往左往して槍沢との出合へ出る。
ここからは多くの登山者とすれ違いながら上高地へとひたすら下った。
最奥への山行。
大町から上高地へとルートを繋げ、約50時間かけておおよそ70kmの行程を歩ききった。足に痛みが出なかったのは幸い。
天候にも恵まれたので絶景を思う存分楽しむこともできた。
ふるちゃん
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