記録ID: 2431352
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無雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍
【2006年8月 北ア縦走】折立〜雲ノ平〜水晶岳〜烏帽子岳〜高瀬ダム
2006年08月03日(木) ~
2006年08月06日(日)
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- GPS
- 80:00
- 距離
- 39.0km
- 登り
- 3,244m
- 下り
- 3,323m
天候 | 概ね晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2006年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
★8月3日(木) 七倉にマイカー駐車後JR等にて富山・折立へ移動。薬師峠泊 車 自宅−茨城町東IC−常磐道〜首都高速〜中央道−豊科IC−七倉ダム−信濃大町駅 23:45発 0:00 339 3:35(大町駅経由)4:40/4:55(自転車)5:55 JR等 信濃大町駅〜南小谷駅〜糸魚川駅〜富山駅 − 地鉄富山〜有峰口〜折立 6:09発 7:11/7:55 8:48/8:55 10:07着(昼食)11:25発12:11/12:30 13:25着 登山 折立 − 三角点 − 五光岩 − 太郎平小屋 − 薬師峠幕営地 13:40発 15:15/15:20 16:03/16:15 17:30 17:50 (朝食・昼食・行動食)コンビニのおにぎり等 (夕食)カレー(レトルト)・サラダ ・ 前日までにパッキングを済ませておき,夕食後,21:00から23:30まで仮眠。家族が寝る前に起き出して,23:45に自宅を出た。茨城町東ICにほぼ0:00に到着し,常磐道から関越・上信越経由で七倉登山口へと向かう。 ・ 今回は,七倉から信濃大町駅まで折り畳み自転車で移動することから,七倉に向かう前に大町駅前の自転車置き場を確認した。駅前にはとてもきれいな無料の駐輪場が整備され,公衆トイレも設置されており,全く問題なし。その後,コンビニを探すが,駅近辺になく,1劼曚彬未縫札屮鵐ぅ譽屮鵑鯣見。自転車で駅に向かう途中で昼食を購入することとし,七倉に向かう。 ・ 七倉の駐車場には,4:40頃到着。道路の両側に砂利敷きの駐車スペースがあり,100台以上は駐車できるが,到着時に駐車していたのは20台程度。登山靴に履き替え,持ち物を確認してMPVを4日間デポ。4:55頃,重さ約18圓離競奪を背負い,DAHONの折り畳み自転車で17〜18厠イ譴真濃大町駅へと向かう。下りのみと思っていたが,七倉トンネルを抜けると結構長い上り坂が続き,思ったより時間を要する。結局駅近くのセブンイレブンに着いたのは5:45頃。おにぎり・カツサンド・サラダ・スーパードライ2本を購入し,駐輪場に自転車を施錠して富山までの切符を購入。南小谷行き列車の中でビール2本とカツサンドで朝食を済ませ,ほろ酔い気分でうたた寝しながら糸魚川で列車を乗り換え,10:07定刻に富山駅到着。駅前に立つと,強い日差しと猛烈な暑さ。折立登山口には,富山地方鉄道線で有峰口まで行き,そこで11:25発の最終バスに乗り換えて13:25に到着。途中,予定より早すぎるということで有峰湖展望台に10分ほど停車。(地鉄待ち時間中におにぎりを肴に地ビールを1本飲んだ。) ・ 13:40に折立登山口から歩き始める。幸い,天気は曇り空に変わっていたため,それほど暑くはないが,ビールの影響かペースは上がらない。15:15標高1,871辰了鯵囘世謀着すると,小学生の団体が休んでいた。薬師岳に登って下りてきたらしい。晴れていればここからは薬師岳や有峰湖がよく見えるはずだ。ここからは傾斜もやや緩くなって,よく整備された広い登山道が続く。2年前に歩いたときよりもややペースは遅くなったが,コースタイム5時間のところ3時間50分で太郎小屋に到着する。小屋周辺は宿泊するらしい中高年登山者で混雑していた。生ビール一杯900円で販売していたが,早くテントを設営しないと日が暮れてしまうため,500CCのモルツ(700円)を1本買って薬師峠に急いだ。 ・ 薬師峠のテン場には,すでに30張ほどのテントが設営されていたが,何とか空いた空間を見つけテントを設営する。設営料金を徴収する担当者も小屋に戻ってしまったようで,払わずにすんでしまった。テント場から20辰曚匹里箸海蹐砲△訖緇譴ら常時冷たい水が出ていた。また,水場の隣にあるトイレは簡易水洗式バイオトイレとなっており,とても快適な環境である。ここを根城に軽装で日帰り登山を楽しむのも悪くない。夜は,アルファ米+レトルトカレー,コンビニサラダ,オニオンコンソメ,コーヒー。満点の星空を確認し,午後8時には寝袋に入るものの,隣の学生グループがうるさく,午後9時頃まで寝付けなかった。 ★ 8月4日(金) 太郎平から雲ノ平へ 薬師峠幕営地 − 太郎小屋 − 薬師沢小屋 − アラスカ庭園 − 雲ノ平幕営地(泊) 6:30発(写真撮影) 7:00/7:10 9:10/10:15(昼食)12:30/12:45(雲ノ平小屋にて幕営手続き)14:20 (朝食)かに卵雑炊 (昼食・行動食)ラーメン・ドーナツ (夕食)中華丼 ・ 午前3時,出発の準備をするグループの物音で目が覚める。3時半頃にはヘッドランプをつけた登山者が薬師岳方面に出発し始めたため,自分も朝食の準備をする。水場で顔を洗ったあと,昨晩のアルファ米の残りを使ってかに卵雑炊を作った。生卵を溶かし込み,きざみネギを加えると,なかなかうまいカニ雑炊のできあがり。今日は,雲ノ平テント場までの約6時間半の行程であり,あわてる必要はないので,ラジオを聞きながらのんびりと支度をする。天気は快晴。水晶岳方面から差し込む朝陽がまぶしい。 ・ 午前6時半,テント場を出発し,太郎小屋に向かう。黒部五郎岳や槍ヶ岳など北アルプスの山々がぐるりと見渡せる。木道沿いには,ヨツバシオガマやチングルマなどの高山植物が咲いており,写真を撮りつつのんびり歩く。中高年の団体が次々と薬師岳に向かって木道を歩いて来る。太郎小屋の前で三脚を取り出し記念撮影。結局小屋前を出発したのは,7時頃になってしまった。2年前に歩いた北ノ俣岳から黒部五郎岳へと向かう登山道を右に分け,左手の木道を薬師小屋へと下る。このあたりから,ハクサンイチゲの群落が目に付くようになる。巨大な薬師岳の姿と白い可憐な花々とのコントラストが見事である。 ・ やがて木道から岩の多い登山道に変わり,約40分ほどで薬師沢出会いに到着。黒部源流から流れ出る「奥の廊下」と薬師沢が合流するポイントである。試しに水を飲んでみるとやや甘めのおいしい水である。ここからは沢沿いに涼しい水音を聞きながら緩い下りを薬師沢小屋へと歩いていく。至る所から小さな沢が流れ出て,まことに気持ちよい山歩きとなる。雲ノ平を望みながら歩いていくと,所々に休憩台が設置され思わず休みたくなる。黒部五郎や薬師岳へと続く稜線もよく見える。やがて下りが急になり,沢音が近づく。 ・ コースタイムを10分ほどオーバーし,1時間10分ほどで薬師沢小屋に到着。ラーメンなどの軽食が無いか聞いてみるとやっていないとのこと。他の小屋のようなサービスはしていないらしい。利用客が少ないのかもしれない。吊り橋を渡った先の河原で「中華三昧」の昼食にすることとした。朝と同じように卵とネギを入れて即席ラーメンの完成。なかなかうまい。体が塩分を欲しがっているのがわかる。スープまですべて平らげる。それでもまだ足りないので,ドーナツを2個ほど頬張る。 ・ 55分間の昼食休憩を終え,10:15にいよいよ雲ノ平に出発。ここから標高差約540辰魄豕い謀个襦最初から鉄バシゴの急登である。シラビソの森の中,岩だらけの歩きにくい登山道をどんどん登る。重荷が肩に食い込み,息が上がる。休み休み,急登を登る。コースタイムを15分ほど下回って12:10に木道の端に出る。ここからは木道の上の緩い登りを歩いて行く。すぐにアラスカ庭園に到着。水晶岳をバックに,ハイマツの茂みとチングルマなどの高山植物が絶妙な組み合わせである。なぜ「アラスカ」なのか分からないが,まさに「庭園」と呼ぶにふさわしい光景が広がっている。 ・ アラスカ庭園で休憩後,雲ノ平小屋目指して歩き始める。正面左に水晶岳が大きく立ちはだかっている。右には祖父岳。その手前にはハイマツの緑が広がり,とても日本とは思えない光景。「日本最後の秘境」との言葉に納得する。奥日本庭園では,赤牛岳の特徴ある赤茶けた稜線が目の前に広がっていた。祖母岳へのコースを右に見て木道が左に回り込み,少し登ると,13:50に雲ノ平山荘に到着した。どことなくチロル風のこぢんまりした山小屋である。ここでテント泊の手続きをする。テン場には誰もおらずビールも売っていないと言うので,500性箸隆魅咫璽襪2本買った。冷蔵庫はないので冷えていない。水も天水を利用しているようである。受付の若い男性は,「定員50名のところ,今日は100名以上来そうだ」と言っていた。 ・ 雲ノ平のテン場は素晴らしかった。まず目に入ったのが真新しいトイレ棟。簡易水洗式のバイオトイレになっていて,ペーパーも備え付け。快適である。そして水場。ハイマツの丘の下からわき出している水を,太いパイプで大きな黄色いタンクに蓄えていて,開口部から冷たい水があふれ出している。腕時計の温度計で測ったら,6.9℃。ビールを冷やすのには絶好の水温である。テントを設営した後,缶ビール2本とつまみをもって,早速水場に引き返す。汗くさい体を冷たくぬれたタオルでよく拭くと,すっきりさわやかだ。そしてあふれる冷たい水でちょうどよく冷やしたビールをグビリとやる。うまい!暑さと疲れで火照った体が冷やされる。時刻は午後3時半。目の前に黒部五郎岳や祖父岳を望みながら,これ以上ない贅沢な時間が過ぎていく。テン場には15張りほどのテントが設営されていたが,不思議なことに誰もビールを飲んだりしていない。この素晴らしい水場を独り占めして自分だけがビールを楽しんでいる。水場の周りには,イワイチョウやクロユリなどが咲いていた。 ・ 水晶岳が夕日に染まる姿を写真に収めようと思い,夕方になって水晶岳のよく見えるスイス庭園近くの木道に三脚を立てた。雲ノ平小屋の西に日が沈もうとしている。北ノ俣岳から黒部五郎岳に連なる稜線が夕日を背に紫色にかすんで印象的だ。振りかえると,水晶岳が夕日に照らされて赤く染まっている。「赤い黒岳」である。ここから見る水晶岳は,実に堂々として迫力があるが,それが赤く染まった姿は,見事というほかない。時の経つのも忘れて見惚れてしまった。明日の好転を祈り午後8時に寝袋に入る。昨夜よりも冷えるので,フリースを着て寝た。 ★8月5日(土) 雲ノ平から水晶岳・烏帽子小屋へ 雲ノ平幕営地 − 水晶小屋(水晶岳往復)− 野口五郎岳 − 烏帽子小屋幕営地(泊) 5:00発 8:40(1:20)10:00 13:45/14:00 17:00 (朝食)ドーナツ (昼食・行動食)きのこご飯 (夕食)親子丼 ・ 午前3時,腕時計のアラームで目が覚める。テントから顔を出して空を見上げると,満天の星空が広がっている。今日も天気は良さそうだ。隣に設営された大きなテントは昨日から無人のままで,薄気味悪い。ベースキャンプから離れ,1泊2日の山行にでも行っているのだろうか?朝食を食べるほどの空腹感ではないので,しばしメニューに迷う。今日は裏銀座コースで烏帽子小屋までの長丁場を歩くため,午前5時には出発しなければならない。結局,ドーナツの残りを3個ほど水で流し込み,朝食終了。腹が減れば,昨晩お湯で戻しておいたきのこご飯を食べればよいと,出発の支度に取りかかる。 ・ 午前5時,山頂部分が朝日に輝いている黒部五郎岳をカメラに収め,出発する。スイス庭園から見る黒い水晶岳が眼前に迫り,迫力満点である。北西には,朝日を受けた薬師岳や立山三山,黒部ダムが良く見える。黒部源流の山々がすべて見渡せる景観に,シャッターを切りまくった。祖父岳へは,東側の断崖の縁を回り込むように道が続いていく。300端紊療个蠅任△襪,写真を撮りながら登ったので,山頂に着いたのは午前6時10分。1時間もかかってしまった。 ・ 祖父岳山頂からは,槍穂高連峰や昨年登った鷲羽岳,三俣蓮華,笠ヶ岳など北アルプスの峰々がすべて見渡せた。黒部五郎のカールに点在する白い残雪も良く見える。三脚を取り出して自らの記念撮影を行ったり,これから登る水晶岳を撮ったり,結局山頂には30分ほどいた。 ・ 午前6時40分に岩苔乗越へと下り始める。これから登る水晶岳への登山道がきつそうだ。三俣や高天原から水晶岳に向かう登山者が小さく見える。一旦岩苔乗越まで100辰曚媛爾辰討ら水晶小屋まで180壇个衒屬掘い修海鵬拱を置いて水晶岳まで往復するが,水晶小屋がなかなか見えず,あせる。小屋に着いたのは8時20分。コースタイムを10分ほどオーバーしてしまった。 ・ 水晶小屋は本当に小さな小屋である。20人も入れば満員になってしまいそうだ。稜線上にへばりつくように建っている。悪天候の時にはありがたい存在だろうが,夏山シーズンのピークには一畳に三人の割合だそうだ。とても泊まりたいとは思わない。ここから水晶岳に向かう。最初は平坦な稜線が続くが,山頂手前はかなり切り立った岩場が続く。遠くからはなだらかそうに見えたので意外であった。頂上近くの岩には水晶のかけらも見られ,山名の由来に納得。登っている途中では,ライチョウの親子が岩場でえさをついばんでいた。ヒナが5羽ほどいたが,ヒトを少しもおそれず,登山道間近を平気で歩いている。 ・ 水晶岳山頂には,小屋から40分で到着した。岩場の渋滞がなければ5分くらいは短縮できそうだ。岩場の山頂は狭く,10人もいると一杯である。東側の断崖上で三脚を立てセルフタイマー撮影しようと準備していると,いきなり自分が立とうとしていた場所にカメラを手に入り込んでくるオヤジがいた。まったくもって傍若無人な振る舞いである。こちらがカメラの準備をしているのは見れば分かるはずだが,そんなことはお構いなしに,シャッターを押しまくっている。あっけにとられて文句を言うのも忘れて見ていたら,まるでそこには自分一人しかいないように勝手に歩き回り,好きなだけ写真を撮って行ってしまった。年の頃は60歳前後。どこにでもこういう類の我が儘勝手なオヤジはいるものだが,こんな素晴らしい天気の水晶岳山頂で会いたくはないものである。 ・ それはともかく,北アルプスのど真ん中からの眺めは素晴らしい。しかも,雲一つ無い快晴。今まで見えていなかった後立山連峰の白馬岳から五龍岳,鹿島槍ヶ岳なども見えている。もちろん,槍穂高連峰や鷲羽岳,黒部五郎岳,薬師岳から立山への稜線,さらには剱岳まで,あらゆる山々が見渡せる。これから歩く裏銀座コースも野口五郎岳や烏帽子岳など一望の下だ。この山頂の先には,赤牛岳が連なっている。いつかは,この先を黒部湖まで歩いてみたいものだ。さらに,山頂の東側には,薬師岳や黒部五郎と同じように残雪をまとった巨大なカールがある。水晶岳は,登ってみると思いのほか岩場が険しい山だが,同時にその姿は雲ノ平側と高瀬ダム側とで,全く別の山のような感じを受ける不思議な山でもある。 ・ 午前9時15分に山頂をあとにする。下から多くの登山者が登ってきてゆっくりしていられないし,このあとの長い行程を考えると,少しでも距離を稼がねばならない。山頂で家に電話しようと思っていたが,撮影に夢中でかけ忘れたことに気づき,小屋へ向かう途中,黒部湖の見えるポイントで携帯電話を取り出してかけてみると,なんとか通じた。素晴らしい天気であること,水晶岳を登ったことなど手短に話した。水晶小屋には9時50分に到着。ぬるい缶ジュースを買って一気に飲み干す。小屋周辺はイワギキョウやヨツバシオガマ,イワツメクサ,ミヤマキンバイなどのお花畑になっていてとてもきれいである。 ・ 午前10時に小屋を出発し,東沢乗越まで約170辰硫爾蠅砲かる。両側が切れ落ちた足場の悪い下りが続き,コースタイム30分のところ45分かかって乗越に到着した。行動時間も5時間を超え,だいぶ疲れが出てきた感じである。雲ノ平で汲んだ2箸凌紊どんどん無くなっていく。腹も減ってきたので,ここできのこご飯を食べるため,15分ほど休憩を取った。 ・ 東沢乗越を午前11時に出発し,野口五郎岳へと向かう。真砂岳手前の2833辰離圈璽へはたかだか標高差約100辰療个蠅世,疲れた体に応える。真夏の太陽が照りつけて,暑い。やっとピークにたどり着いても,花崗岩の白い岩がまぶしい野口五郎岳は,かなり遠くである。後ろから来た小屋泊まりらしい6人ほどのグループに抜かされ,とぼとぼ歩く。コースタイム2時間のところ,45分遅れの午後1時45分になんとか野口五郎岳2924辰謀着し,15分ほど休憩とする。三脚を立てて記念撮影をした。赤牛岳の尾根の最高峰である水晶岳がはるか遠い。結構長い距離歩いた感じがするが,本日の目的地である烏帽子小屋や烏帽子岳は,三ツ岳2845辰留△鳳れてまだ見えない。この先,野口五郎小屋まで少し下ったあと,長い稜線のアップダウンがダラダラ続き,三ツ岳を巻いて初めて烏帽子岳が見えてくるはずだ。岩ゴロの歩きづらい道が続く。 ・ 午後4時頃,雪渓を通過して三ツ岳手前に到着すると,50代後半と思われる女性登山者が休憩していて,「野口五郎小屋まであとどのくらいですか」と,話しかけられた。長い稜線の先を指さして,「人によるが,2時間から3時間ではないですか」と答える。「高瀬ダムから烏帽子岳経由で夫婦で登ってきたが,夫は疲れ果て,まだ登ってきていない」という。「烏帽子小屋を出発して2時間以上経過しており,この時間では夜7時頃に着ければ良いが」との話だったので,「雨は大丈夫だろうが,もしも雷などがあれば危険だ。烏帽子まで戻った方が良いのではないですか?」と説得したが,「ここまで登ってきて戻るわけにはいかない。食料もあるので小屋は寝るだけで良い。ただ,水が乏しい。この先の雪渓で水は汲めますか?」と聞かれる。雪渓から融雪水が出ているものの,汚れていて沸かさないと飲めそうにないことを説明し,自分の残りの水500CCほどをすべて提供したところ,大変恐縮された。「ここからは,約1時間の下りのみなので,水は飲まなくても大丈夫です。」と答える。そうこうしているうち,夫のほうが疲れた足取りで到着した。決して無理をしないよう言い残して,三ツ岳からの下りにかかる。 ・ 三ツ岳からは砂地の歩きやすい道に変わった。眼下に烏帽子岳と烏帽子小屋を見ながらぐんぐん高度を下げると,コマクサの群落が目に付くようになる。残念ながら花の盛りは過ぎ,茶褐色に変色したものが多いが,ピーク時は一面ピンクの大群落となるに違いない。下りだけなので,気分も楽になり,快調に歩く。そして午後5時,ようやく烏帽子小屋直下のテン場に到着した。テントは8張りほど張ってあったが,まだ充分張るスペースがあった。平坦な場所を探して早速テントを張る。5分ほど登ったところにある烏帽子小屋で使用料500円を払い,水2函400円也!)と350CCのビール2本を購入。このあたりには水場が無く,汗だくの体を濡れたタオルで拭けないのが気持ち悪い(ビールを冷やすこともできないが,小屋で売っているビールは幸い冷蔵庫で冷やしていた)。トイレも小屋脇にあるだけで,テン場から5分ほども登らなければならない。周囲は木々に覆われており,風雨を凌ぐのには良いが,そのかわり山々を望む眺望はなく,ヤブ蚊の攻撃もすごい。まったく居心地が悪いテン場である。雲ノ平や薬師峠のテン場がいかに素晴らしいところか実感する。到着が遅くなったので,早々に親子丼の夕飯とし,食後にウィスキーを飲みつつ,午後8時前に寝袋に入った。標高は雲ノ平とほぼ同じ約2500辰曚匹任△襪,気温は高く,シュラフのファスナーを全開にし,半袖シャツ1枚で寝た。 ★8月6日(日) 烏帽子岳登山後,高瀬ダム下山,自宅へ 烏帽子岳往復 − 烏帽子小屋 −(ブナ立尾根)− 尾根取付−高瀬ダム − 七倉ダム 6:00〜7:20 8:20発 (1:52) 10:12 10:30 (タクシー) 10:50 (朝食)パスタ・コーヒー 車 七倉ダム−薬師の湯−信濃大町駅−豊科IC〜中央道〜上信越〜伊勢崎IC−自宅 10:55発 11:15/12:20 12:50/13:20 13:50 (182辧 15:30 19:00頃 ・ 午前3時,腕時計のアラームで目が覚める。夜空を仰ぐが,もやっとしていて星明かりが霞んでいる。今日は,烏帽子岳に登った後,高瀬ダムまで下るだけなので,気が楽である。時間は十分あるので,しばらくシュラフの中でうとうとしていたが,周囲から出発の準備をする物音が聞こえ始めたので,仕方なく起き出して朝食の支度をする。メニューは,父の日に娘がくれたエスプレッソパスタとドリップコーヒー。トマトソースの濃いめの味がうまい。量が少ないが,朝食ならこんなものか?水を使わないよう,食後はペーパーでコッヘルを拭いて終わり。 ・ 携帯用デイパックに雨具と非常食,三脚を入れ,午前5時すぎにテントを出る。小屋前のトイレで用を足し,烏帽子岳へと向かう。小屋から15分ほどで前烏帽子岳に到着する。地蔵岳のオベリスクにも似た烏帽子岳の岩峰が,鋭く空に突き出て見事である。天気は晴れ。烏帽子岳の先には針ノ木岳や蓮華岳の連なりが見える。周辺は花崗岩の岩と砂地で,コマクサがそこかしこに咲いている。ここから10分ほどで烏帽子岳への分岐となり,そこを左に回り込み急登をすぎると山頂に向かうクサリ場になる。高度差は15団度だろうか。東側に切れ落ちていて,初心者なら怖いところだ。 ・ 山頂部の岩は,立てなくはないだろうが,かなり危険そうなのであきらめ,その下の岩場から写真を撮った。昨日登った水晶岳や三ツ岳などがよく見える。今日も風のない穏やかな天気だ。今回の縦走は,最高の天気に恵まれた。山の神様に感謝した。 ・ 烏帽子岳を下り,小屋まで戻ると小屋前にイワギキョウの群落が咲いているのに気がついた。一緒にコマクサも咲いている。白いコマクサは突然変異か?時間があるのでのんびり写真を撮りながらテントまで戻る。 ・ 午前8時にテントを撤収し,小屋前でビールを飲みながら北アルプス北部の山々を見納めたあと,8時20分に三大急登「ブナ立て尾根」の下りに取り付く。コースタイム3時間40分のところを,1時間50分あまりで駆け下りた。一人だといくらでも団体を追い越せるので早く行ける。尾根を降りたところの水場で顔を洗おうと思っていたが,大雨の影響で土砂崩れとなっていて水場が使えないとの看板が出ていた。仕方がないので20分ほど黙々と歩き,午前10時半頃高瀬ダムに到着した。 ・ 高瀬ダムからタクシーに乗ろうとしたら,後ろから中高年の女性登山者が一人でやって来て,相乗りとなった。横浜まで帰るため大町駅に行きたいと言ったので,自分も自転車の回収に大町駅まで行くので乗せてあげると話すと,大喜びされ,タクシー代を払ってもらえた。さらに,体を洗うため薬師の湯に立ち寄ったところ,昼食の天ぷらそばまでご馳走してもらってラッキーだった。大町駅まで送り,自転車を回収して帰路につく。自宅には午後7時頃到着した。 |
写真
感想
・ 2006年8月に折立〜雲ノ平〜水晶岳〜烏帽子岳〜高瀬ダムとテント縦走したときの記録です。パソコンに保存しておいた登山記録が出てきたので、そのままアップします。当時は、ヤマレコのような登山記録投稿サイトがなかったので、個人的にワープロ文書で記録を作成していました。14年も前の記録を読み返してみると、なんだか新鮮な感じです。
・ 北アルプスの黒部源流部を西から東に横断し、憧れの雲ノ平にテント泊、さらに快晴の水晶岳から裏銀座を縦走するという、魅力たっぷりの山旅を満喫しました。自己満足の記録ですが、少しでも参考になれば、幸いです。
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北アルプスの北部、薬師・黒部五郎・三俣蓮華・鷲羽・水晶と雲の平に高天ヶ原温泉、贅沢な一周ルート
利用交通機関:
車・バイク、 電車・バス、 タクシー
技術レベル
3/5
体力レベル
5/5
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