燕〜常念〜蝶【過去の記録をUP】
- GPS
- 19:43
- 距離
- 31.9km
- 登り
- 2,809m
- 下り
- 2,748m
コースタイム
6:15中房温泉-7:06第1ベンチ-7:35第2ベンチ-8:05第3ベンチ-9:22合戦小屋-10:50燕山荘-11:20燕岳-11:41燕山荘-12:48大下りの頭-15:11大天荘
【2日目】
6:40大天荘-9:01常念小屋-10:17常念岳-14:14蝶槍-14:30横尾分岐-15:15蝶が岳ヒュッテ
【3日目】
7:27蝶が岳ヒュッテ-8:12長堀山-10:45徳沢園-11:58明神館-12:46上高地
天候 | 8/4:雨のち曇り 8/5:晴れ 8/6:晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2011年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
【帰り】上高地→(アルピコバス)→新島々→(長野電鉄)→松本→(あずさ)→新宿→(新宿湘南ライン)-大船 |
予約できる山小屋 |
蝶ヶ岳ヒュッテ
|
写真
感想
前々から暖めていた「燕〜蝶」をテント泊でやることにした。前日から準備を整え、60Lザックの装備を詰め込み、なんとかザックに納めることが出来た。重量を量ると何と21kgであった。未だかつて無い重量であり、こんなものを背負って登山ができるか、心配になった。一応、yahoo知恵袋にて「ザック軽量化」について解くと、テント泊では20kg程度は当たり前の様だ。ヤマケイでは軽量化の特集などやっていて、それなりに考えたつもりであり、18kg程度と思われたが、20kgオーバーとなってしまった。まずはこれでやってみることとした。
毎日アルペン号を新宿から予約しておいたので、21時に家を出て、予定通り新宿には22時30分位に着いた。当初は秋葉原にしていたが、時間的には新宿でも変わらないので、新宿に変更させてもらった。定刻より若干遅れてバスが到着し、乗り込んだ。席は、殆ど埋まっていたが、幸いにも隣は誰も乗らず、2席を使うことができた。前の2人組の女が、異常にリクライニングを倒し、足が挟まれそうになったが、文句を言わず我慢した。なかなか寝付くことが出来なかったが、次第にウトウトして眠りについた。
4時位になると経由地である蝶ヶ岳温泉、一ノ沢に着いた。そこで何人か降りていって、終点の中房温泉には、約半数の人が行く様だ。中房温泉に着くと雨が降っていた。最初は少しだけであったが、次第に強くなり、のんびりしている状態では無いので、ゼリーを飲み、雨具を着込み、出発した。
丹沢の様な樹林帯を進み、第1ベンチに到着する。ザックは重いが何とか進む。第2ベンチでは空も明るくなり、皆雨具を脱ぎ始めていたので、私も脱いだ。急登で有名な「合戦尾根」であるが、特に急登とは思わなかった。丹沢と変わらない。
第3ベンチに到着。ここまでは順調。ザックは重いが特に疲労は無く、写真のみ撮って先は急ぐ。合戦尾根には荷揚げ用ケーブルが、カラカラと音を立てて何かを荷揚げしていた。周りのおばちゃんが「ザックも荷揚げしてくれればいいのに」とつぶやいていた。確かにその通りであるが、それをやったら登山では無くなってしまう。
富士見ベンチを過ぎたころから白い砂状の登山道となり、燕っぽくなってきた。だんだん疲れが出てきたが「合戦小屋まで7分」の道標が出てきたら元気が出た。
CT通り3時間で合戦小屋に到着。20kgザックを担いでいる割には順調。ここで小休止する。合戦小屋名物「スイカ」があった。1/4で800円、1/8で400円とかなり高額。(当たり前か)皆食べていたが、私は食べなかった。今思えば、名物なので食べても良かったかも。30分ほど休憩し、9:50に出発する。
4時間30分で燕山荘へ。CT4時間10分で、30分休憩しているので非常に順調。道標に「槍ヶ岳」「大天井」「常念岳」等、北アルプスっぽくなってきた。
空身で燕岳に向かう。途中コマクサが多く咲いていた。初めて見た。ピークは過ぎたのか、若干枯れている様に見えた。しかし、恐ろしい位に咲いている。
燕岳に到着する。空身なので調子良く歩いていたが、なんだかんだ言って疲れてきた。そして燕山荘に戻ってきた。時間も無くなってきたので、重いザックを背負い、先を急ぐ。テン場の様子が知りたかったが、良く解らなかった。
大下りの頭(P2682)から下降する。だいぶ疲労が蓄積しており、辛くなってきた。ここまで行動時間6時間30分(休憩含む)となっている。燕山荘でテン泊程度がベストか?途中「蛙岩(ゲイロイワ)」があるはずであったが、良く解らず。
大天井ヒュッテ分岐に到着。燕山荘を出て2.5時間で分岐へ出た。CT2時間であるのでだいぶ遅れてきた。予定では14時位に着くだろうと思っていたが、かなり疲労が蓄積しており、完全に無理であった。
そして大天荘に到着。中房温泉を出発し、8時間45分で大天荘へ到着。分岐からの登りは急登ではなかったが、かなり疲労しているため、5分登っては休んでと何とか到着した。早速テント受付を行い、露営の準備をした。
テン場は上段と下段に分かれている。明日、荷揚げ用のヘリが来るとのことで、一部テント張りの制限が出ていたので上段の右側にテントは設営した。その後、定番の生ビールを飲んだが、疲労のせいか、あまりおいしくなかった。アルファ米を戻し、カレーを作ったが、疲労のせいで食欲が無かったが、何とか食べた。食欲もなく、高山病のせいか、多少頭痛もする。明日はどうなるのだろうか?早めに寝ようとしたが、なかなか寝付けず、アルコールの力を借りて何とか眠りに着いた。夜中の1時30分に目覚め、テントの外に出ると満天の星空であった。天の川まで見えた。
朝4時位に起きた。雲は無く、非常に天気が良く、槍ヶ岳が良く見えた。非常の大きく、穂先は岩の固まりと言う感じだった。槍の写真を撮り、昨日の残りのアルファ米を雑炊にて食べた。本日も食欲が無かったが、残す訳にはいかないので、何とか押し込んで食べた。テントを解体し、スタッフバックに仕舞おうとしたが、フライが夜露で濡れてバックに入らなかった。しょうがないので本体とフライを別々に仕舞った。恐らく、フライは夜露で確実に濡れてしまうので、大きなバックがあると良いと思った。日が出ると霧が出て視界が悪くなった。
途中、雲海から飛び出す槍の穂先や涸沢カールが見えた。東大天井岳を過ぎると左に大きく逸れ、大きく下降する。鞍部を過ぎて横通岳手前に来る。横通岳へのルートは、ピークを踏むルートと巻き道があるが、疲労しているのでピークを巻くルートとした。
横通岳を巻いて、ピークを過ぎると鞍部に常念小屋が見えた。後ろには常念岳が大きく聳え「あれを登るのか」と思うと逃げ出したくなった。途中、大天荘のテン場で一緒だった若い単独者は、常念小屋からヒエ平に降りると言う。私も疲労していること、膝がチクチクしているので、自分も降りてもいいかなと思った。
だいぶ疲労しているが、CTより30分早く常念小屋に着いた。鞍部から見る常念岳は更に大きく聳え、若い単独者と一緒に降りても良いかな、と更に思ってしまった。しかし、登ることとし、ゆっくりと取り付いた。
最初は緩やかな登りであるが、途中からゴーロ状の急登となり、ゆっくりと登る。急登を過ぎると緩やかな登山道となり、もう一登りすると山頂が見えた。気を奮い立たせ、何とか山頂に着いた。着いたと言うよりたどり着いたと言う感じである。常念乗越から1時間15分だった。山頂では何かの撮影をしていた。スタッフの中にやたら可愛い子がいると思ったら中山エミリであった。どうやら「登る女」の撮影だそうだ。9/12(19?)の放送らしい。山頂は狭いが、多くの人が休んでいた。私もゼリーを飲んでゆっくりした。
山頂から振り返ると急降下が見えた。膝もだいぶ疲労していることから、ここを下るかと思うとぞっとした。
そして先を急ぐ。急斜面を下降中、先行する登山者が見えた。先行者は、小さな子供を連れた親子であった。あとで聞いたら子供は小2だそうだ。更に下り、コルを過ぎ、P2512を過ぎると樹林帯が見えた。樹林帯に突入し、更に下り、コルから樹林帯の急登となる。P2592で一休みした。前方、森林限界付近の遙か彼方に10人程度のパーティーが登っているのが見えた。今思えば、群馬県から来たという、高校パーティーなのではないかと思う。
P2592から一気に下った。周りにはニッコウキスゲが沢山咲いていた。鞍部を過ぎると樹林帯の急登となる。急登を続け、森林限界を超えた当たり、振り返ると今まで歩いて来た道が見えた。常念岳が大きく聳えていた。
しばらくすると、前方に次ピークである蝶槍が見えた。蝶槍と言うくらいなので、確かに槍であった。蝶槍に近づいて何気なく横を見ると熊がいた。約100m先であろうか?蝶槍にいた登山者も気がついたらしく「熊だ!」と叫んでいた。初めて野生の熊を見た。こんな高標高に熊がいるとは思わなかった。何を食べているのだろうか?
常念山頂から約4時間で蝶槍へ到着。遠くからは「槍」見えたが、近くでは槍には見えず、変な形であった。かなり疲労していたが、後は急登、急下降が無いので、気分的に楽になった。先には緩やかな登山道が続いていた。
しばらくして横尾への分岐に着いた。個人的には分岐を過ぎれば、蝶ヶ岳ヒュッテは直ぐ近くと思っていた。先に見えるピークを過ぎればヒュッテが見えるはずと思った。しかし、ピークを過ぎてもヒュッテは見えず、まだかなりの登山道が続いていた。いつもならこの道を永遠に歩いてみたいと思うが、相当疲労しているので、がっかりした。
ヒュッテまでかなり近い場所まで来ているが、疲労しているので、鞍部にて休憩した。菓子を食べようとしたが、食欲が無く、数個食べてやめた。水筒には、数口程度の水しかない。出来るだけ荷を軽くしたかったので、水は少なくした。ちょっとやりすぎた。水が無くなったらしゃれにならない。前方には例の高校生パーティーと私と同じくかなり疲労していると思われる単独者が見えた。
休憩後、しばらく歩くと先に見えるピークに何か人工物が立っているのが見えた。しかも数人の人が集まっていることから、本日のゴールである蝶ヶ岳ではないかと思った。ピークに着くと展望指示盤があり、前方にヒュッテが見えた。そのまま一気に下り、ヒュッテに到着した。写真を撮らなかったため、時間は解らないが、15:15程度かと思う。本日の行動時間は、約8.5時間となる。
直ぐに露営の受付ををした。テン場には既に多くのテントが張られていた。適当な場所を見つけ整地し、テントを設営した。設営後、ビールを買って飲んだ。昨日は明日への不安から、あまりおいしく感じなかったが、本日は余裕があり、非常に旨かった。ゆっくりした後、小屋にてからっぽになったPETボトル一杯に水を入れた。\150/Lで2L分の300円を木箱に入れた。
テントに戻り、しばらくすると雨が降ってきた。外で火が焚けないのでテント内で火気を使用、ラーメンを作って食べた。雨や止み、テン場周辺をうろうろしていると例の高校生パーティーの教員が話し書けて掛けてきたので楽しく団欒した。高校生になればかなり歩けるのでないかと訪ねると「最近の子は根性がなく、難しい」とのこと。先生も大変だと思った。先生と6時くらいまで話し込み、テントに戻り、ランタンを焚いてウイスキーを飲みながらゆっくりした。眠くなってきたので、そのまま眠りについた。
翌朝、周りが出発の準備を始め、騒がしくなってきたので目が覚めた。槍穂方面は雲が掛かり、全く見えない。昨日登った常念岳には雲が掛かっておらず、大きく聳えていた。そして日の出を迎えた。本日は上高地に降りるだけなのでゆっくりした。昨日の先生の話では三股に降りると言う。上高地に降りると2時間の林道歩きがあること、上高地からバス、電車を乗り継いで松本に出るならば、三股からタクシーで豊科に出る方が賢明とのこと。確かにその通りと思った。ただ、一回も上高地に行ったことがないので、やはり王道通り、上高地に降りることとした。
しばらく先生と話していると「あの辺の穂先があるのだが」と言ったとたん穂先が現れ、槍ヶ岳の全容が現れた。穂高方面も雲がとれてきた。谷の向こうには槍、穂高があり、槍から延びる稜線が綺麗だった。後ろには昨日、非常に大きいと思った常念岳が聳え、遠くには富士山が見えた。
写真と撮ってから、ラーメンを食べた。昨日と違い食欲もある。テントを撤収し、出発する。他パーティーは出発しており、ほぼビリ。上高地に降りるだけなので問題無い。
長掘山に到着。ここまでは比較的緩やかな登山道で疲労した膝にも優しい。途中、ぬかるんでいる場所が多数あり、歩きにくい。これからは急降下が待っている。
長掘山を過ぎてから急降下となり、膝が痛い。特に後半は、膝が疲労しているのと急斜面により、非常に膝が痛かった。途中、何人かのパーティーとすれ違い、私の様な大きなザックを背負っていると「何kg入っているのか?」と訪ねられ、ちょっといい気分となった。何とか下降し、徳沢園についた。ここらは観光客と登山者が半数程度となった。
林道歩きを続け、明神館に到着。ザックが重く肩が痛い。前方には明神岳の岩壁が聳えている。
更に林道歩き2時間、蝶が岳ヒュッテを出て5時間で河童橋へ。観光客が沢山いた。とりあえず風呂に入りたかったので地図で入浴可能な「アルペン」を探し、橋の反対側にあることが解り、向かった。
風呂に入り、歯磨きをした。木綿のシャツに袖を通し、さっぱりして外に出ると、豪雨であった。雨具を着ける気にはなれなかったのでザックカバーだけ装着し、傘を差してバスターミナルに向かった。事前情報では新島々までのバスは整理券を入手しなければならないとのことで、場所を探していると入手場所の掲示物があり、15:15発の整理券を入手した。14:40発のものも入手できるとのことであったが、昼飯を食べかったので、15:15発とした。
食堂でビールと唐揚げを食べてバスを待った。バスに乗り混んだ直後、韓国人と思われるパーティーが乗り込んできた。バスに揺られ、新島々に着いた。新島々では韓国人が「マチュモト、マチュモト」と駅員に尋ねていた。その後、電車に乗り、松本に着いた。18:35発のあずさで新宿に出て、家には22:30位に着いた。
【あとがき】
今回初めてのテント泊縦走をやった。率直な印象としては非常に疲れたこと、そして登山を楽しむことは出来ず、試練であった。荷が重すぎて相当に疲労した。もっと軽量化しなけらばならないと感じた。いらないもの、余ったものは以下。
・食料:食べたものは、「アルファ米1」「カップラーメンリフレ1」「雑炊1」「レトルトカレー1」「即席麺1」のみ。余ったのは、「アフファ米1」「カップラーメンリフレ1」「雑炊1」「レトルトカレー1」「即席麺1」。つまり、半分しか食べなかった。レトルトカレーも重いので不可。疲労してあまり食べられないので、汁ものが良い。ラーメン、雑炊が最高。食料計画としては「行動日数×2食+予備食」で十分で昼食はいらない。行動食は食べやすい「飲むゼリー」は大活躍したが、これは重い。オレオは粉々になり食べられなかった。やはり軽いナッツ系か、ドライフルーツが良いと思った。チョコバーは溶けてしまい食べにくかった。
・衣類:北アルプスの場合、半袖は不可。日差しから肌を守ること、樹林帯での露が掛かること、寒いことから長袖シャツが良い。今回防寒着としてフリースを持っていったが、長袖シャツ+軽量ダウンの方が軽くなるならばそうした方が良い。ジャージ下は微妙なところで短パンは寒いので何か軽いものは無いか?
・他装備:ランタンは多少活躍したが、いらない。マグライトもヘッドランプがあるからいらない。予備ガスも不要。テント用ペグも8本あれば十分。ペグに細引きを付けたが、夜露で濡れて重くなること、まとまりが悪くなるので、外したほうが良いと思った。丸頭ペグも魅力的。コッヘルは大きいのだけで十分。
次回、上記装備を省略してどれくらい軽くなるか検証したい。総重量18kg程度しなければならない。
本コースは北アルプス初心者向けのコースであるが、テント泊となると全く難易度が変わる。テント装備で8時間以上の行動時間はかなりきつい。本コースを楽に進めるならば、1日目燕泊、2日目常念泊、3日目蝶が岳泊だと、のんびりと楽しめると思われる。1日の行動時間は6〜8時間程度がベストと思われる。
結局、テント泊は体力であり、体力が無いものはテント泊をやる資格が無いと感じた。
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