槍・穂高連峰〜焼岳縦走 21時間16分 41Km
- GPS
- 21:16
- 距離
- 37.5km
- 登り
- 4,640m
- 下り
- 4,068m
コースタイム
23:14 白出沢出合 -(0:46)-
0:00 滝谷出合 0:04-(0:36)-
0:40 槍平小屋 -(0:35)-
1:15 最終水場 1:24-(0:31)-
1:55 千丈分岐点 -(1:04)-
2:59 槍ヶ岳山荘 3:04-(1:28)-
4:32 南岳小屋 4:45-(0:48)-
5:33 長谷川ピーク -(1:03)-
6:36 北穂高小屋 7:06-(0:06)-
7:12 北穂分岐 -(0:27)-
7:39 最低コル -(0:30)-
8:09 涸沢岳 -(0:11)-
8:20 穂高岳山荘 8:39-(0:27)-
9:06 奥穂高岳 -(0:45)-
9:51 ジャンダルム 9:56-(0:52)-
10:48 天狗のコル 10:58-(1:56)-
12:54 西穂高岳 -(0:55)-
13:49 西穂独標 -(0:30)-
14:19 西穂山荘 14:47-(1:59)-
16:46 焼岳小屋 16:58-(0:57)-
17:55 焼岳北峰鞍部 17:59-(0:15)-
18:14 標高2280m付近 18:20-(0:20)-
18:40 下堀沢出合 -(0:40)-
19:20 中ノ湯 焼岳登山口入口
歩行時間18:51+休憩時間2:25=全行程21:16
標準コースタイム33:20、短縮率64%
沿面距離(GPS):40.9km
累積標高差(高度計):+4,415m、-3,850m
○自転車 中ノ湯〜新穂高温泉
19:42 中ノ湯 焼岳登山口入口
20:04 安房峠手前440m 20:16
20:19 安房峠 20:22
20:54 栃尾温泉 21:04
21:43 新穂高温泉
走行時間1:36+休憩時間0:25=全行程2:01
沿面距離(GPS):27.7km
累積標高差(高度計):+436m、-1,008m
天候 | 快晴のちガスのち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
自転車
新穂高温泉深山荘奥の無料駐車場を利用 |
コース状況/ 危険箇所等 |
文書内容の前提として、フリークライミングで5.10クラスを安定してオンサイトできるだけの技術があることと、アルパインクライミングをそこそこ経験していること。靴底がある程度柔らかくフリクションがよいローカットシューズを履いていること。荷物は、8Kg以下。天候が良く視界が良好な夏期の平日としています。 ○新穂高温泉〜槍ヶ岳山荘 昨年、槍ヶ岳ピストンの時に歩いていますので、詳細は下記URLを。 http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-230811.html ○槍ヶ岳山荘〜南岳小屋 山荘から中岳手前までは、なだらかな岩稜帯です。中岳手前でハシゴがありますが一瞬です。 南岳までも危険なところはありませんでした。南岳小屋まで夜間行動でしたが、問題ありませんでした。 ○南岳小屋〜北穂高小屋 キレット→長谷川ピーク→飛騨泣きなどの難所がありますが、岩が安定しておりペンキマークも短い間隔で記されていますので問題ないと思います。 クサリや杭などが要所に設置されていますが、この先の難所の足慣らしとして使わず、この区間を楽しんで歩ける技量がない場合、奥穂高岳から西穂高岳までの区間は厳しいと思います。 今回北穂高小屋までの区間、追い越す人やすれ違う人がほぼ南無だったため、ヘルメットはしませんでした。 ○北穂高小屋〜穂高岳山荘 北穂高岳と涸沢岳間の最低コルから登りはじめるとすれ違うグループが出てきたため、ヘルメットを付けました。岩もだいぶ脆くなってきて浮き石も見られるようになってきます。 ○穂高岳山荘〜ジャンダルム〜西穂高岳 穂高岳山荘に到着すると山荘から奥穂高岳への登りに人がうじゃうじゃいて渋滞になっていました。 休憩後、人がはけていましたので待ちもなく奥穂に登頂できましたが、10パーティ以上は追い越したと思います。時間がかかることを前提にスケジュールした方が良いと思います。 奥穂高岳からは、静かでデンジャラスな岩稜歩きとなります。岩山というよりか、石ころが積み上がったガレ山という表現がぴったりです。それでも比較的しっかりした岩にルートがあるので遠くから見た感じ程、危険性はありませんでした。 クサリや鉄杭などは、錆が進行していました。余り信用せず補助として使うようにした方が安全です。 ペンキマークは必要最低限といった程度です。ルートファインディングが試される区間となります。ガスに巻かれると難儀すると思います。 間違えたと思ったら引き返して確実なところから別方向を探すと正規のルートが見つかります。 ジャンダルムの山頂へは、西穂高岳側から登りました。山頂を南に巻いていくと登り口にクサリがあります。その後は不明瞭でした。 ジャンダルム山頂からは、コブノ頭を経て天狗岩−間ノ岳−西穂高岳とほぼ標高が同じピークを越えていきます。コブノ頭からこれらピークを見ることができます。 ○西穂高岳〜西穂山荘 西穂高岳からは一気に高度を下げていきます。ピラミッドピークや西穂独標など以外にも細かい上り返しがありました。西穂独標からは一般登山者も多くなりました。この辺でヘルメットも必要なくなります。丸山周辺は走りやすいトレイルとなります。 ○西穂山荘〜中ノ湯 焼岳登山口入口 西穂山荘は、観光客も多く賑わっていました。西穂山荘から「上高地・焼岳」方面に下るとやがて分岐となります。上高地方面左と分けて焼岳方面右へ進みます。 泥道&笹藪&うるさい虫の三重苦に耐えながら焼岳小屋まで歩きます。この間走れるかと思いましたが、以外に道が悪く半分以上歩きでした。 焼岳小屋に近づいてくると笹も刈り払われていて快適なトレイルとなります。 焼岳小屋からは、ベンチ横の焼岳方面へ進みます。小屋の前を通り過ぎて進むと上高地への下山路へ行ってしまいます。 中尾峠周辺は高原のような笹原です。焼岳は登り初めは斜度が緩やかですが徐々に傾斜がきつくなってきます。この間のコースタイム1:10(山と高原地図2012年版)は厳しめのようです。他書を見ると焼岳小屋−中尾峠 0:15、中尾峠−焼岳 1:10となっていました。北峰の鞍部からは、ガスの噴出地帯の横をトラバースし正賀池のある鞍部を南に下っていきます。南峰方面には×がしてありました。 開けた斜面を下っていくと下堀沢出合を過ぎやがて平坦となります。下堀沢出合で分岐となっているようですが気がつきませんでした。平坦となったところに左手へ延びるトレイルがありましたが、緑色のロープが張ってありました。 高度を落としていくと、泥道が多くなり難儀します。やがて良く整備された平坦なトレイルとなり登山口に出ます。 ○中ノ湯 焼岳登山口入口〜新穂高温泉 自転車区間です。安房峠まで3.4Km、+200mの登りです。そこから一気に栃尾温泉まで17Km、-1,000mの下りとなります。栃尾からは7.3Km、+250mの登りです。トンネルが2個所あり、2個目のトンネルは、1.5Km近くあります。 下り区間は、上下レインウェアを着込みましたが、芯から冷えました。自転車と一緒に防寒着とウィンドウストッパタイプの手袋をデポしておいたほうがいいかもしれません。 |
予約できる山小屋 |
槍平小屋
|
ファイル |
行程表(結果)
(更新時刻:2013/08/12 04:39)
自転車区間のGPSログ
(更新時刻:2013/08/12 04:39) |
写真
感想
今年の三大目標の二つ目を実行してきました。
当初、新穂高温泉から槍平小屋〜槍ヶ岳〜北穂高岳〜奥穂高岳〜ジャンダルム〜西穂高岳〜旧ボッカ道〜新穂高温泉の周回コースを計画していましたが、コースタイムを積算したところ、ちょっと足を伸ばせば焼岳まで行けるため、終点を中ノ湯としました。
中ノ湯からは、予めデポしておいた自転車で新穂高温泉まで帰る計画です。
標準コースタイム33時間20分ですので、65%計算で21時間40分となります。21時間を切るようにしたいと設定しました。前半を60%以下で歩き貯金して、後半消費していく作戦としました。60%ですと20時間ですので、あわよくばサブ20・・・。
新穂高温泉から槍ヶ岳間は、昨年ピストンしてますが、そこ以外は全て初となります。南岳小屋までは、暗くても問題なさそうですので、60%で歩いたとして南岳小屋で日の出時刻の5:00くらいになるように逆算しました。そうすると21:30発となります。しかし昨年槍ヶ岳山荘まで5時間30分で行けていましたので、5時間は切りたい。そこで22:00発としました。
槍ヶ岳山頂は、昨年登っていますし、夜中の3:00に槍ヶ岳へ登っても面白いことはなにもないので、パスします。
かといって、飛騨乗越から縦走してしまうと槍ヶ岳山荘を通過しないので寂しいです。昨年と同じく千丈乗越経由で攻めたいと思います。
今回の縦走での心配事は、人と落石そして午後の雷雨。なるべく人のいない期間を狙って行きたいと7月初旬に計画しましたが、なかなか天候と休みの都合が合わずズルズルと延びてしまいました。8月のこの時期、平日でも人は多いかもしれないけど、決行する事にしました。雷も心配でしたが、ヤバそうなら西穂山荘からロープウェイで下山することにします。
ヘルメットは20年以上前の軽量タイプ。当時の軽量は450g。今は200gを切るものも出ています。この機会に買い換えたいと思いましたが、年1回使うか使わないかの頻度ですので、見送りました。
○当日
甲府を12:30ごろ出発。15:30ごろ中ノ湯の登山口入口の駐車場に到着。自転車をデポして、新穂高温泉へ。
新穂高温泉深山荘の駐車場へ車を止めて、深山荘の露天風呂で汗を流します。しかし露天風呂は石けんの使用禁止とのこと。
夕立が降ってきて、どしゃ降りに。今夜からの山行は大丈夫でしょうか?。
夕飯を食べるべくひがくの湯へ。こんなことならひがくの湯に入れば良かった。レストランにて、とんかつ定食1,300円をいただきましたが、観光地価格の料理といった感じ。二度とここでは食べません。
無料駐車場に戻って21:30まで仮眠。1時間くらいはウトウト寝られました。
時間に起きると、外は満天の星空。朝方晴れてくるかと思ってましたが、予想より早まったようです。
○新穂高温泉〜槍ヶ岳山荘
林道を白出沢出合まで歩き、良いペースで滝谷出合に到着。ひと休みして先を目指します。槍平小屋をスルーして最終水場で2度目の休憩。ライトを消すと降るような星空にしばし見とれてしまいますが、長居すると身体が冷えてきてしまいます。
千丈分岐手前で熊らしき多量のフンがありました。ホイッスルを鳴らし、ストックを叩きながら進みます。
前方上部には、マイナス2等級くらいの灯りが二つ。あそこが槍ヶ岳山荘と教えてくれます。
千丈乗越で稜線から吹き上げる風が強くなってきました。軽量ウィンドウブレーカをはおりますが、短パンだと寒い。かといってレインウェアの下を履くとなると数分のロスで目標の5時間切りがやばそうです。震えながら槍ヶ岳山荘に到着。4時間55分でノルマ達成です。槍ヶ岳山荘には2人程早起きの方がいらっしゃり、しばしの歓談。レインウェアの下を履き出発です。
○槍ヶ岳山荘〜南岳小屋
右手下界には槍平小屋のテントが光っており、登りはじめている人のライトも見えました。大喰岳は気がつかず通過。中岳手前には、登山道近くまで残っている雪渓があります。
中岳を下ると緩やかな道となり沢が流れていました。地図にある水マークです。さらに下りだらだらと上り返すと天狗原への下降点に到着。やがて夜が明け始めてきました。前方には南岳らしい丸いピークが見えます。
南岳山頂には、ご来光待ちの方がいて賑わっていました。南岳山荘にも起き始めた人が何人かいました。
サンダルで出歩くな!と先輩らしき人が注意してましたが、サンダルでトイレに行くぐらいなにも問題ないんじゃない?きちんと靴紐を締めないブカブカの登山靴で歩くよりよっぽど安全。と心の声が反論してました。
○南岳小屋〜北穂高小屋
風は相変わらず強く体感温度を下げてくれます。日の出直前のこの時間が一番気温が下がります。レインウェアの上も着ようか迷いますが、なんとか我慢できるぐらい。指先を切った軍手は、指先の感覚が麻痺してきます。
数組のパーティを追い越し大キレット底手前にさしかかったところ、前方に日が差してきました。気温も徐々に上がってきた感じです。風も止み穏やか。最高の登山日和となりました。
長谷川ピークからはこれから登る北穂高岳が眼前に広がります。ピークには、北穂高小屋も見えます。見た目は迫力がありますが、歩いている分には簡単な岩場です。せいぜいRCCグレードの3級程度。ただし足元には常に注意が必要な地帯ですので、周りの景色を楽しむときは立ち止まります。A沢のコルからは、北穂高小屋まで300mほどの登り。普通ですとたいしたことないですが、標高も3000m前後ですのでそれほどスピードは出ません。40分程かけて登りきりました。2000mクラスの山と比べて1.3倍くらい多めに時間がかかるようです。
北穂高小屋は、山頂直下だけあってすばらしい眺め。サンデッキでビールを飲みながら夕日を眺めたいものです。ここでカップ麺を売店で購入。エナジージェルや大福などではどうも空腹感が無くなりませんので、積極的に食べます。
○北穂高小屋〜穂高岳山荘
北穂高岳から下るとすぐに涸沢との分岐に着きます。尾根のテン場ではなにやらヘリコプターが旋回中。発煙筒のようなものまで打ち上げてます。やがて誰かを引き上げた様子。誰かを救助したのでしょうか。
北穂高岳と涸沢岳間の最低コルから涸沢岳への登りが始まります。だいぶ浮き石が目立つようになり登山者も増えてきましたので、ヘルメットを装着。左手には、昔行ったことのある涸沢が眼下にあります。
涸沢岳からは、奥穂高岳、ジャンダルム、西穂高岳、そして焼岳まで一望できました。まだまだ先は長いです。山頂から少し移動すると穂高岳山荘も鞍部に見ることができます。
穂高岳山荘に到着すると奥穂高岳への登りは渋滞中。やっぱりという感じですが仕方ありません。ヘルメットを脱ぐと頭の中がシャワーを浴びた状態。ヘルメットからも汗がボタボタと落ちてきました。これだからかぶり物はきらいです。
山荘では、荷揚げの真っ最中。しきりにヘリコプターが荷物を持ってきます。職員総出でバケツリレーして倉庫に運んでました。我々登山者は、小屋の中で休まなければなりませんでした。融雪水の水道が小屋の中にありましたので1リットル補給。確か150円だったと記憶。この先西穂山荘まで山小屋や水場がありませんので水だけは十分に持っておきます。といっても1.8リットル程でしょうか。
○穂高岳山荘〜ジャンダルム〜西穂高岳
穂高岳山荘での休憩が済み外に出ると渋滞が解消されていました。チャンスとばかりすぐに登りはじめます。200mの高差を27分で登りきり奥穂高岳頂上に到着。やはり通常の1.3倍です。10パーティ以上は追い越した感じでしたが、ハイカーのような技量の方が多く、事故が多いのもうなずけます。逆に山慣れした人から見れば私のほうは、こんな軽装備で来るんじゃないとしかられそうですが。
丁度高校の林間学校生とタイミングが同じだったようで、渋滞があったようです。それにしても人が多い。平日でこれですから休日はこの10倍くらい?。
西穂高岳方面へ道を分けると先ほどの人混みはウソのよう。だれ一人いません。最低限の整備というのも確か。踏み跡は比較的しっかりしていますが、印は極端に少なく、自分で行く道を探しなさいという感じです。馬ノ背をクライムダウンして一旦大きく下ります。鞍部からロバの耳へ取り付き途中を巻くとジャンダルム山頂直下にたどり着きました。ここでソロの青年と会いました。西穂山荘を3:30に出発してこれから2泊の縦走をするそうです。山頂が分からないとのことだったので、一緒に西穂側からの簡単なルートで山頂へ登り、お互い記念写真を撮りあって分かれました。
ジャンダルム山頂を下り先へ進むと、西穂山荘組が次々と登ってきました。結構人気があるんですね。上高地から日帰りのトレイルランナーともお話しをさせていただき、景色ともども飽きることがなく前進することができました。
ジャンダルム山頂からコブ尾根ノ頭は目の前。西穂方面から来るとこのピークが邪魔してジャンダルム山頂が見えません。コブ尾根ノ頭から一気に下降して畳岩尾根ノ頭へ上り返すところでルートを見失ってしまいました。ピーク直下左に巻く踏み跡に誘われたら、さらにその下に踏み跡らしきバンドを発見。クライムダウンしてみましたが、どうも怪しい。バンドを戻る方向に進み上り返したところ、左足の岩が崩壊して落ちそうになりました。足の先で崩壊した石を支えて、そっと安定したところに置き落石は免れました。元の場所に命からがら戻り稜線に踏み跡を発見。6級程度、不安定岩だらけの80度くらいの傾斜。普通の人ならば行かないだろうけどクライミングができるだけに深く考えず行ってしまいました。落ちてたら確実に死んでました。
気を取り直して天狗のコルまで下っていきますが、足場が悪く崩れそうな岩が多いため登りと大して変わらないスピードです。日差しは天頂付近まで上がってきて風もなく暑い。ヘルメットからも汗がしたたり落ちてきます。コルで休憩し残りの水を確認。リザーバに残り500mlほど、予備の500mlを補給して残り1リットルで西穂山荘まで保たせます。余り無駄遣いはできません。時間的には60%を切っており、貯金がまだありましたので余裕でした。
天狗のコルから天狗ノ頭へ上り返しますが暑さでスピードが上がりません。その後も細かいアップダウンが多く疲労した身体に応えます。飛騨側からガスが上がり初め展望もきかなくなってきました。たまに太陽を遮ってくれて冷たい冷気もきます。暑いのと涼しいのを交互に味わいながらなんとなく西穂高岳山頂に到着。ガスでなにも見えずそのままスルーしました。
○西穂高岳〜西穂山荘
あとは下りながら二つのピークを越えるだけです。登山客が増え始め、すぐに追いついてしまい抜かすのに苦労します。対向の方も増え、止まって待つことも多くなってきました。西穂独標で行程表を見ると60%をオーバーしてました。西穂山荘でランチの予定ですので、貯金がないのは辛い。少しスピードアップを図りますが、観光客風の人も見受けられます。この手の人達は譲ってくれないことが多いので声をかけて抜かしていきます。すると、親子ずれのお子さんが足にタオルを巻いて何か処置をしてました。急いでいたのでそのまま通り過ぎようとしましたが、子供が痛いといっていたので、声をかけたところ、スネをすりむいて深く切れてしまったとのこと。傷口は広くなかったので絆創膏と固定用テーピングをお貸しして、ちょっと強めに巻いて痛みを抑えておくようお母さんに指示しておきました。西穂山荘にザックをデポしてのピストンでファーストエイドキットを持っていなかったそうです。往復2時間程度だと空身で良いかと思ってしまいますが、標高2,500m越の山岳地帯ですからねぇ。最低限のものはお父さんが頑張って持たないと。なんてことは決して口にはしません。
西穂山荘まで小走りで60%で到着。速攻で飯です。カレーライス900円に目がいき注文。出てくるまでの間にコーラをいただきますが、厨房が混んでいるようでなかなか出てきません。残りの水も少なかったため1リットル購入。
夜中からヘッドランプを装着、昼間はヘルメットとかぶり物をすると頭痛になる体質なので我慢してましたが、ヘルメットを外してだいぶ経つのに頭痛がとれません。バファリン2錠を飲んでおきました。
結局30分近い休憩になってしまい貯金はマイナス。この先走ればまたお釣りが来ると高をくくってました。
○西穂山荘〜中ノ湯 焼岳登山口入口
山荘に長居したので、筋肉が冷えてました、この状態で走ると故障しますので、良くストレッチしておきます。走り始めて、そうだストック出し忘れたと立ち止まり、次ぎに軍手を出し忘れたと立ち止まり。だいぶ思考が散漫になっているようです。
西穂山荘から下るとすぐに上高地との分岐を分けて、焼岳方面(右)に進んでいきます。何となく不快指数が上がってきました。標高が低く、湿地帯のため小虫があちこちたかります。足元はぬかるみが多く、脇を巻いたり丸太や飛び石を越したりと、ちっとも走れません。
やがて笹藪攻撃に気力は撃沈。この区間二度と歩きたくないと心に誓いながら、焼岳小屋を目指しました。
ガスもだいぶとれて西日が強くなってきました。標高も2,200mくらいの所を小刻みに上下します。やがて笹藪もなくなり両側が切り払われて快適になってきました。新中尾峠に到着し、その先には焼岳小屋がありました。
焼岳小屋は、水の販売がなく、500mlペットボトルのミネラルウォータを400円で購入。
すでに40分以上遅れているので夢の20時間切りはあきらめました。しばし小屋で休憩中のかたととお話しし、頑張ってと背中を押してもらいました。拍手までしてもらって照れくさいです。
ここで痛恨のミス。上高地方面への下山路を降りてしまいました。方向が違うことに気がつきすぐに戻って事なきを得ました。焼岳の夕景を撮影していたきれいな女性に道を教えていただき、また焼岳小屋まで戻ってアホ丸出しです。
気持ちの良い中尾峠から焼岳を見上げ、300mの標高差にアタック開始です。登り初めは傾斜も緩く良いペースで登っていけましたが、徐々に傾斜がきつくなり、ストックが使えない傾斜になってきました。硫黄臭もすごくなるべく浅い呼吸でなどと気をつかっているとペースがどんどん落ちていきます。なんとか40分かけて登りきり、北峰のコルでお休みしました。さて、北峰に登るか?あのガスの横を通るの?巻かれたらヤバイでしょ。ガスは怖いよ!という弱気な思考に北峰は次回の楽しみに、などと訳の分からんことを考えて簡単にパス。
北峰のコルから南峰方面にトラバースするところも硫黄のガスが良い具合に登山道へ流れてきて気持ち悪い思いをしました。
だいぶ日も傾きそろそろ日没の時間です。急いで下山しますが、走れるような道ではないため早足で下っていきます。途中足の指先が痛くなったため小休止し、指先をマッサージします。靴紐をきつめに締めてなるべくヒールで着地するように下ります。普段は、フォアで着地するのですが、長時間の登山時は、足がよれてくるので、かかと着地やミッドフットなどと併用しています。
ペース的にはそこそこのはずですが、21時間切りも怪しくなってきました。沼地が多く思うように走れません。19:04が21時間のリミットですが、残すところ20分を切りました。だいぶ暗くなってきたので、ヘッドランプを出して走りましたが、タイムアップ。走る必要もなくなったので、トボトボ歩いて、19:20に登山口着。21時間16分の長い縦走が終了しました。
薬が効いてきたのか、いつの間にか頭痛も消失してました。
○中ノ湯 焼岳登山口入口〜新穂高温泉
ひと休み後、自転車を出して新穂高温泉まで帰ります。安房峠まで登りですが、それほどの距離ではないので全て着込んで出発しました。これが大失敗。途中で暑くなって衣類がびっしょり。さすがに我慢できず安房峠の手前で一度脱いで汗を拭き取りました。
安房峠で再度着込みぶっ飛ばします。あっという間に身体が冷え、震えてきます。少しでも身体を温めようとペダルを漕ぎますが、効果無しです。ノンストップで17Km -1,000mのダウンヒルを終え栃尾温泉に到着。自販機でミルクティー(もちろんホット)を購入して暖をとります。
貴重品以外のものをデポして空身で新穂高温泉まで上りましたが、疲労した足には応えました。普通翌日以降に筋肉痛が出るのに、その日の内に筋肉痛が出てきました。最近ヒルクライムをしていないので、そっちの筋肉が弱ってるようです。
新穂高温泉に21:43着。深山荘のお風呂受付時間には間に合いませんでした。無料駐車場は満車でした。平日(水)なのに、昨日はガラガラでした。今日から好天が続くので、一気に人が来たのでしょうか。
体中がベトベトです。当初駐車場で寝て翌朝帰る予定でしたが、途中で仮眠しつつ帰る事にしました。
○帰路
中央高速諏訪SAで仮眠しようと立ち寄り、歯を磨いて顔を洗ったら眠気が飛んだため、結局家まで寝ずに帰ってきてしまいました。
シャワーを浴びて、至福のビールでコロリです。
○食料、水分
自家製エナジージェル約600ml持参。約400ml消費。
ベスパHYPER 6個(4個消費)。アミノバイタルPRO顆粒タイプ6個(4個消費)。
大福2個、おにぎり1個、塩飴。
北穂高小屋でインスタントラーメン消費。
西穂山荘でカレーライスとコカコーラ消費。
水1リットル。最終水場で1リットル補給。穂高岳山荘で1リットル補給。西穂山荘で1リットル補給。焼岳小屋で0.5リットル補給。山中にて計4リットル消費、自転車区間にて0.5リットル消費。
○装備
ザック(14+3リットル)、ハイドレーションパック×2、スマートフォン、ハンドタオル、心拍計GPSウオッチ、デジカメ、鍵、お金、充電用リチュウムイオンバッテリ、靴擦れ保護パッド、伸縮テーピング、地図(コピー)、単三電池2本、ヘッドライト、ゴミ袋、熊鈴、ポール、ヘルメット、ファーストエイドと薬少々、テーピング。
トレランシューズ、短パン、撥水ノースリーブシャッツ、ドライ半袖シャッツ、軽量ウィンドウブレーカ、撥水スタッフバック。
自転車区間:クリアメガネ、レインウエア上、レインウエア下、速乾タオル。
○未使用のもの
ペーパー、免許証、保険証、レスキューシート、予備コンタクトレンズ、鏡、予備ヘッドライト。
この日は悪い天候がガラリと変わり
ホントいい日を選ばれました
絶景が続き
読み応えのあるレコでした。
長〜い山行の後
自転車での峠越えまで。。。
お疲れ様でした。
こんばんは。
西穂までは考えてもみますが、焼岳も越え、更に自転車で新穂高に戻るとは・・恐れ入りました。
西穂のロープウェイが恋しくなりませんでしたか?
レコ感想を拝見していると、おもわず、うなずいてしまうこと多々。行動時間も過去の実績からしっかり割り出されていて、とても論理的な山行が素晴らしいです。
「成功の裏には好天あり」という格言がありますが(ない)、まさにいい天気に助けられ最後まで歩けました。
ここ1ヶ月毎日天気図とにらめっこしてましたから。
ガスが出てきたときは、雷鳴らないでねと祈ってました。
感想が長すぎて読み返すのが嫌になってしまいました。でも、このくらい書いておくと後で読み返した時に良く思い出すんですよね。どちらかというと自分のために書いてます。
今度、車に原チャリバイクが載らないかと思案中です。
ロングトレッキングをされる方は、とんでもないコースを考えつく方がいらっしゃり、私はそれを読んでちょっとオリジナリティを付け加えるだけです。
ずるいやり方ですね。
>西穂のロープウェイが恋しくなりませんでしたか?
西穂山荘に到着したときは、飯 と焼岳 のことしか頭になかったです。腹は減ってましたが、行く気満々でしたから。
>行動時間も過去の実績からしっかり割り出されていて、とても論理的な山行が素晴らしいです。
時間に縛られた山行なんて面白くないと否定的な方もいらっしゃいます。
登山をレクリエーションではなくスポーツとしてエンジョイする場合、自分をコントロールする能力という側面から、時間に正確に行動できるかどうかというのが重要だと考えるようになり、標準コースタイムを基礎データに歩行時間を管理するシステムを採用してます。
それとただ歩くよりどれだけ早く歩けるか?というのも行動中のモチベーションになりますし。
ただ、どこどこを何時間で登れたとか何時間以内に登るとかだけが目的の山行は、グレードを追い求めるクライミングと同じで限界を迎えたときに葛藤することになるので、別の楽しみと併用して山を満喫してます。
何かスタイルも考え方も似ています。
ロープウェイに乗れる局面で行く気満々なんて、天気も調子もバッチリだったのですね。
>自分をコントロールする能力という側面から、時間に正確に行動できるかどうかというのが重要
まさにその通りで、無理しているようで、実際は、計画的にやっている訳で、本当に無理なときは、シミュレーションに誤りがあった事になり、当日、それを正すのも楽しみですね。(遭難しない範囲でですが・・・)
qwg01230 さんのように、より高精度に歩けるようにしたいと思いました。
これからのレコを楽しみにしています。
じぇじぇじぇ〜〜〜!
まずはこんな感じでしょうか。
凄いを通り越して、呆れてしまう程です。
特にとんでもないコースを踏破(走破でしょうね)
してから下山後、それで終わりではなく、な、な、なんと
安房峠への登り〜新穂高へのだらだら登りを想像しただけで
疲れ果ててしまいました。
これからも「じぇじぇ!」のレコを楽しみにさせていただきます。
qwg01230さん、こんばんは まずは【さすがです 】
やはり普通ですと西穂からロープウェイで降りたくなるし、それが定番だと思います
焼岳まで行くのもまぁまぁ理解できますが、そこから自転車で新穂高までは僕では考え付きませんでした
qwg01230さんビアンキですね 僕もマウンテンバイクはビアンキです しかしロードバイクは無いんです クロスを手放してロードにしようかな
また買い替えるようなら自転車も相談お願いします
いつも刺激になる山行記録ありがとうございます
同じような考えの方がいらして嬉しく思います。
自分的には、一般に言われるような弾丸登山とはちがい、自分の体と相談しながら多少無理をしながらの山行です。
遭難騒ぎになれば、叩かれる材料が豊富なので、意地でもセルフレスキューを貫くつもりです。
コメントありがとうございます。
ochanさんの槍ピストンもすごいですよ。普通なら1泊で行きますから。
自転車区間は、ちょっと甘く見てました。車では大した登りでなかったので、もう少し楽に帰れると思っていたのですが、疲れた体にはペダルがめちゃ重かったです。
kaikaireiさんのレコも、とても刺激になります。私の知らない山域なのでこれからの参考になります。
私の自転車は、ビアンキのカバレアというシクロクロスです。
ロードで走ってもギャップを気にしないで済むので、山でのアプローチなんかにはいいです。
でも、私の貧脚にはちょっとギアが高めなので、前を3段にしたいと思ってますが、お金が・・・。
お疲れ様〜です〜
すっすっ凄すぎですよ〜
天気良くてよかったですね
ちょっと真似出来ないですね〜(三日は動けない
また次回のレコと計画を楽しみに待ってます┏o ペコ
ruuさんは足が早いので余裕で20時間切れると思いますよ。
そうなれば、1dayで行けますので、前夜自宅発日帰りが可能かと。
次の山行は、
八ヶ岳の主稜から外れていてまだ歩いたことのないピークをつなげたルート。
白峰三山逆周り。
塩見岳ー荒川岳1day周回。
などを計画中です。工程表とルートが出来上がったら山行計画に加えていくので興味のあるものがあれば連絡ください。
qwg01230さん、こんばんは。
自分も計画していたルートなのですが、天気が折り合わずに今年は断念しました。勿論下山は中尾温泉の方です。そちらが楽なので。。。中ノ湯の方に下山して自転車は考えないですね
しかしqwg01230さん、コンスタントに速いですね 来年は挑戦してみたいですが、自分だと成功確率はかなり低いと思っています。
Futaroさんも同じルートを考えていたとは・・・。
ロングトレッキングを趣向する人の考えることは似てますね。
私も中尾温泉に下山すれば自転車を使わず、すべて歩きで完結するので候補の一つだったんですが、稜線が焼岳に伸びていたのでそちらに触手が伸びてしまいました。
スピードが早いほど山行の可能性が広がるので、目下24時間以内でいかに早く行動できるかを追求中です。
目標は、ainuさんなんですが、遥か上の人ですね。
実はヤマレコの、コミュニティ > 日帰り登山 の中に、”新穂高温泉周辺を起点とした日帰りコース”というのを書いていまして、qwg01230さんのこのレコも参照させていただきました。断りもなしにすみませんでした。
http://www.yamareco.com/modules/xsns/?p=topic&tid=580
ちなみにainuさんとか、hanameizanさんとかCTの50%で計画をたてますからね。。。速い人はほんとに速いですよね。でもqwg01230さんのこれは十分凄いと思いますが。。。ainuさんもびっくりすると思いますよ
「日帰り登山」というコミュニティがあったのを知りませんでした。
ただ、Futaroさんの”新穂高温泉周辺を起点とした日帰りコース”という日記は、昨年見た記憶があります。
あのようなすごい方々の記録に追加してもらってありがたや、です。
黒戸尾根のほう(多分こちらが先)も見て、こうゆうまとめサイトって貴重だなぁと思ってました。
hanameizanさんもトップトレイルランナーですね。一度エルクの朝練の時にお会いしましたが、坂道を恐ろしいスピーで走って行ってしまい、あっという間に見えなくなってしまいました。
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