雲ノ平と高天原温泉
- GPS
- 80:00
- 距離
- 59.5km
- 登り
- 4,803m
- 下り
- 4,797m
コースタイム
- 山行
- 6:36
- 休憩
- 1:12
- 合計
- 7:48
- 山行
- 7:49
- 休憩
- 1:56
- 合計
- 9:45
- 山行
- 9:16
- 休憩
- 1:41
- 合計
- 10:57
天候 | 23日晴、24日曇り時々雨、25日曇のち雨、26日豪雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
帰り:折立(15:15)→(温泉入浴+夕食)富山IC→北陸自動車道→東海北陸自動車道→東海環状自動車道→東名高速道路→掛川IC(0:05) 有峰林道開通時間(朝6:00〜夜8:00) |
コース状況/ 危険箇所等 |
危険箇所特に無し。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
ゲイター
着替え
靴
ザック
ザックカバー
サブザック
昼ご飯
行動食
非常食
調理用食材
飲料
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
食器
調理器具
地図(地形図)
コンパス
計画書
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
タオル
ナイフ
カメラ
テント
テントマット
シェラフ
|
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備考 | 反省点:レインウェアーの防水処理。靴づれ向けのファーストエイドキット |
感想
長い間思い続けてきた雲ノ平へ行ってきた。4日間で初日以外はずっと雨という最悪の天候だったが、非常に思い出深い山行となった。
金曜日に仕事を終え、東名掛川ICから国道52号経由で松本ICへ。そこから沢渡を通過、新穂高方面へ車を進め、最終的には有峰林道ゲート手前(飛越トンネル)の駐車場へ真夜中(23時過)に到着し豪雨の中で車中泊。
朝6時の有峰林道のゲートが開く時間に合わせて起床。6時50分頃折立駐車場。7時過ぎに登山道を歩き始め、急登の樹林帯を抜けると青空の中に薬師岳が美しく見えた。薬師を見ながら小高い丘を越えると前方高台に太郎平小屋が見える。コースタイムの予想よりかなり早く10時半頃に太郎平小屋着。ここで小休憩を取り、薬師峠のテン場利用に関して話を聞いた。料金は後払いで先にテントを設営しても良いとのこと。20分程薬師岳方面に下ると薬師峠のテン場に到着。綺麗なトイレと豊富な水があるこじんまりとした場所。テントを張って昼食を食べ、必要最小限の荷物を持って薬師岳を往復した。この日の天候は非常に良好で、水晶岳、鷲羽岳、槍ヶ岳など多くの名峰を見ることができた。18時就寝。
2日目、朝3時半起床。久しぶりのテント泊で要領を得ず1.5時間もかけて朝食を食べてテントを撤収。5時過ぎにテン場を出発した。今にも雨が降りそうな薄暗い朝靄の中、重い足取りで雲の平を目指した。一度太郎平小屋へ登り返し、その先の薬師沢小屋方面の分岐を左に進み、薬師沢小屋に向けて下りて行く。大きく高度を下げた後は小さなアップダウンがあるものの小屋までは比較的歩きやすい道がが続く。薄暗い谷底の狭いスペースぎりぎり収まるような感じで小屋は設置されていた。小屋のテラスでは沢登りのグループが準備をしていたので、雲ノ平への道を聞くと吊橋を渡った左側に有る直登分岐を右に行けば良いと教えてくれた。最初の1時間はかなりきついと言っていたが、実際は予想以上の悪登山道だった。角度だけでなく、巨石や木の根っこがストレスとなり、その上雨まで降ってきた。2時間半ほどゆっくり休まずに登り続けるとやがて木道が現れ、傾斜もゆるくなり雲ノ平の台地へ登りきった感が出てきた。期待していた雲ノ平だったが、霧?ガス?と雨の中何も見えず、ただ庭園の標識写真を撮り山荘へ足を進めた。つらい直登から約1時間、もうすでに5時間以上歩いている。雲ノ平山荘でおでんを食べて暖をとり冷たい雨で冷えた体を温めた。ゴアテックスのレインウェアーに防水性が有るのか疑問を感じながら体が冷えるのをさけるため濡れたインナーを着替え静かな山荘を後にした。今日の最終目的地である高天原温泉へ急ぐ。ここからは下り基調3時間の道のり。暖かい温泉を想像しながら、冷たい雨の中歩いていると、いつの間にか雨は止んでいた。雲ノ平から最初は徐々に高度を下げるが、途中から急激に高天原峠まで高度を下げる。峠から谷底の沢までは緩やかに高度を下げた後、小さな沢を2度ほど渡るとまもなく高天原小屋に到着した。小屋に到着すると早速宿泊手続きと支払いを済ませて温泉へ向かう準備をした。2階の指定番号の布団を使うように教えられ、その場所に向かうと1名だけ連泊の登山者っぽい男性が居た。石垣島から数ヶ月来ているという。雲ノ平周辺や時には北海道へ飛んだり自由気ままな山旅行を楽しんでいると言っていた。ここへ来る途中すれ違った男性3人組と立ち話をした時にこの男性の事を語っていたのを思い出した。午前中にビールを飲みながら2時間以上も温泉に入ってその男性3人組と会話を楽しんだと言っていた。
雨が止んでいるうちに温泉へ急いだ。徒歩15分ほどで川原にある小さな露天風呂を見つけた。対岸には囲いのある女性用と屋根のある男性用もある。露天風呂には若い男性が白乳色の白骨温泉を思わせる湯につかっている。小屋の増改築で仕事に来ていると言う。ヘリコプターで来る話や、長靴で折立から歩いてきた話など面白い話が沢山聞けた。湯船を私に譲ってくれた男性は私のカメラで写真を数枚撮ってくれると宿に戻った。 その後すぐに雨が降り出したのでわずかな入浴時間ではあったが宿に急いで戻った。
夕食は最近豪華な食事が多い山小屋と比較すれば質素なメニューだった。人里は慣れた僻地で電気も無いこの宿では仕方が無い。わずかばかりのソーラー発電で必要最低限の電力を確保しているようだ。夕食時に同席されたご夫婦は100名山を夫婦で達成しているという。石垣のおじちゃんも色々と面白い話をしてくれ、我々のテーブルは最後まで食堂を離れることは無かった。心配している天候だが、下山するまで好天の見込みは無かったので濡れてしまった全ての衣類はストーブで乾燥させ19時半就寝した。
3日目、朝4時起床。夜中中雨音が絶えることは無かった。今日も天候は期待できない。予定では水晶岳、鷲羽岳と稜線歩きが続き黒部五郎の小屋まで行けば10時間以上の長丁場。稜線歩きが長い今日のコース。暴風雨であれば水晶小屋や三俣山荘に逃げ込むか登頂をあきらめてショートカットするコースまで頭に叩き込んだ。最悪地図を広げて見る余裕も無いだろう。気が重い出発となった。まだ薄暗く小雨の降る中、5時過ぎ小屋を後にして岩苔乗越への分岐を左へ上り始める。ここから沢筋を徐々に登る。決して急では無いが狭く歩きにくい樹林帯の道を登ること約1時間、水晶池の看板が見えた。昨晩夕食を共にしたご夫婦が語っていた場所だった。今日はこの先の工程が長いので池を見ることをあきらめた。(ここから2〜3分で池に行けることを後で知って後悔)樹林帯を終え正面に祖父岳が見えると比較的大きな沢を渡り斜め左側の岩苔乗越への稜線へ向けて最後の急登が始まった。しばらくすると人の声がして稜線への合流が近いことがわかった。そんな時、「あ〜また逢ったね。」と?昨日高天原温泉へ向かう途中で立ち話をした男性3人組みだった。私の上下黄色のレインウェアーと黄色のザックカバーが印象的だったらしく、私の事は直ぐに判ったと言う。岩苔乗越で話をしてみると、これからの工程は私の予定とまったく同じであった。男性陣からの誘いもあり自分自身もこの天候に萎えてモチベーションが下がっていたので同行することなった。50代後半の3名の方はとても気さくで若さとユーモアのセンスあふれ、一見つらくて楽しみの無い悪天候山行を常に楽しませてくれた。
水晶小屋に近づくと雨は止み始めていた。小さな小屋には山小屋で初めてバイトをしているという若い女性が迎えてくれた。残念ながら小屋の中には荷物をデポすることはできなかったが、小さな軒下にザックを置き必要最小限の荷物で水晶岳をピストン。小屋からの標高差は小さいものの山頂付近では時折三点支持での岩登りがある。景色も見えない山頂で写真撮影を終え小屋に戻ってくると早めの昼食にした。ガスが濃く出ていたものの雨は止み小屋前のテーブルで暖かいうどんを作る。先の長い工程、昼食を短時間で済ませると鷲羽岳に向かった。ガスが出ているが、雨も止み風も無く快適に歩くことができた。3名の男性陣の面白おかしい話に耳を傾けていると景色の見えない山歩き楽しんで自分に気づいた。
鷲羽岳の山頂へは特に難しい場面も無く容易に到着する事が出来たが、相変わらず何も見えない山頂で写真を撮り長い下りをを経てようやく三俣山荘へ到着する。山荘は三俣蓮華岳の手前に有った。雨も再び降ってきたし長丁場の疲労も有り小屋で休憩することとなった。ラーメンを食べたりホットカルピスを飲んだり、お菓子を食べながら小休憩していると雨脚が再び強くなってきた。ここからは三俣蓮華岳を巻いて黒部五郎岳まで下り基調の2時間のコースタイム。長かった一日もさあ終わる。と言う気の緩みか?ここから小屋までは本当に長く感じた。16時過ぎにようやく小屋に着いたときは自分の体力の無さと16時過ぎと言う遅い到着に少し反省しながら、長丁場を引っ張ってくれた3人には心から感謝したい気持ちだった。3人組みの1名のみ小屋の夕食を注文していたので夕食はこの方と一生に天麩羅を美味しく頂いた。少しお酒が入っていたのだろうか?夕食に来ていない他のメンバーの面白おかしい山行逸話を沢山話してくれ私もすっかり意気投合した。20時就寝。
4日目、朝4時に起き5時出発に向けて粉末スープでカロリーメイト2本を流し込む。今日は黒部五郎を登頂後2〜3ピークを超えて稜線上を太郎平小屋まで下り昼食休憩の後、折立駐車場へ15時頃到着の予定。稜線の長歩きでエスケープルートがほとんど無いのが気になったが台風が来ている訳でもなく暴風雨とか?心配ないだろうと思い3人組の男性人と小雨の中、山小屋を出発した。ここでカメラが連日の雨で故障してしまった。黒部五郎へは稜線ルートとカールルートがあるが、事前に小屋の人からカールルートを勧められていたので小屋正面のカールルートを歩き始める。山頂からの斜面をトラバースするように歩くと山頂直下の稜線との合流点へ到着。ここで荷物をデポして山頂まで往復した。ガスが酷いが小雨で風もなく歩きやすい状況であった。その後、中俣乗越と中々到着しない赤木岳を通過。その時は突然やってきた。北ノ俣岳への登りに差し掛かった時、突然風と雨が猛烈に強くなった。とにかく両手をひざに当て中腰で風に飛ばされない様に時々足を止めながらゆっくり進む。次第に我々4人の声も風とレインウェアーに当たる強い雨の音で聞こえづらくなった。飛ばされないように掴めそうなハイマツや岩の突起すら見当たらない。風が弱くなるのをじっと耐えていると濡れた体が急に冷えてくるのを感じた。「チョットまずいな」と思った瞬間であった。それでもお互いに声を掛けながらゆっくりと進み、どうにか風の弱まる標高まで下がることが出来た。そんな時ふと自分の両手を見てみたら真っ白。体も冷えている。体温低下だろうか?気になったのでポケットに有ったチョコを全て食べて必死で両手を動かした。太郎山へ向かう木道が出てくる頃にはすっかり風は止んでいたが、頂上付近の猛烈な雨が登山道を川のように流れ落ちていた。時々くるぶしを深さを超えるような川のような登山道を木道を交えながら降りてゆくとやっと目の前に太郎平小屋が見えた。ホッとした瞬間である。遭難しそうだったかといえばそこまでではなかったかもしれないが色々と反省すべき点が多く残る稜線下りだった。この目の前に居る3人の登山者に同行してもらえなかったら自分ひとりでどうなっていたかと思うだけでぞっとした。
小屋に入るとスタッフの方が軽食と休憩のみの我々の為に乾燥室のストーブを付けてくれ衣類や靴を乾かすようにと薦めてくれた。食堂に入ると急激な寒さに襲われ別のスタッフの方からは「手とか真っ白ですね、大丈夫ですか?」。まだ多少は余裕が有ると思っていたのは自分だけだったのだろうか?またまた反省してしまった。4人で各々ラーメンやカレーを食べながら稜線での貴重な体験を話し合った。1時間以上休憩した後、折立に向けて小屋を出る頃には雨はすっかり弱くなり富山湾方面には薄っすらと青空が見えていた。15時頃駐車場に到着すると長い山行は終わった。この後3人組の男性とすっかり意気投合した私は温泉と富山湾で取れた美味しい魚を一緒に楽しみ、夜が遅くなる前に彼らへ感謝の意を伝え富山市を後にした。ありがとう。
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