大船山・黒岳《九州百名山》
- GPS
- 15:48
- 距離
- 25.8km
- 登り
- 1,888m
- 下り
- 2,073m
コースタイム
- 山行
- 4:15
- 休憩
- 1:24
- 合計
- 5:39
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー
下山:白水鉱泉白泉荘からタクシーでJR久大本線湯平駅 |
その他周辺情報 | 白水鉱泉は湯が沸いてなくで入浴できず |
写真
感想
1日目(6/6):曇り
JR大分駅から久大線の始発列車に乗り湯平駅で下りた。上りホームには「寅さん思い出の待合所」がある。シリーズ第30作の「男はつらいよ 花も嵐も寅次郎」(昭和57年)の撮影に使われた待合所で今は記念館風に写真が展示されている。客待ちタクシーはなく、電話で湯布院から呼び九重町田野の朝日台へと向かった。4,960円のタクシー料金も4人で割れば安いもの。30分足らずで到着し、裏手の崩平山(くえのひらやま)に登るが車道と並行する林道への取付きが分かり辛い。フェンスが続き地形図の点線道は道形が無くフェンスで入ることも出来ない。東に500m程進み地形図の実線道でフェンスの途切れがあった。踏み跡があり入って行くが椎茸のホダ場でそれを過ぎると道は無くなってしまった。其れらしい処を歩いて行くが益々怪しくなってきた。この先も地図の道は当てにならず暫く道成りに進んだ。斜面を直登する点線道の分岐も見つけられなかった。やがて崩平山登山口の標識が現れるが登山道ではなく林道が続いていた。此れは最近開かれた林道のようで傍らにユンボが置かれていた。
旧登山道が脇にある。泥濘み滑りやすい林道を避け登山道に入ると直ぐに林道に飛び出してしまった。何度か繰り返すが面倒になりずっと林道を歩いた。崩平山(1,288m)山頂からは天気が良ければ九重山や由布岳の展望が利くのだが山頂域は雲が覆い何も見えなかった。下山は来た道を引き返したが、怪しげな道には戻らず林道のまま朝日台から続く道に戻った。この先も地形図は当てにならず、等高線に沿って東に進んだ。右手は九重山麓リゾートの“風の丘”でフェンスが隔てていた。そろそろ下に下りたい。何処まで並行に進むのだろうと不安になって来た。やがて鍵の掛かっていない開閉扉があり「不法侵入ではないか」とひやひやしながら施設内に入って行くがひと気はなく、下の入口にはゲートもなく無田中集落へと脱出することができた。
田植えされたばかりの水田が広がる長閑な田舎道を行くと“千町無田水田公園”の幟が立っていた。この風景は“公園”の云えるのどうか分からない景観だが、実は休耕田を使ったお花畑でこの季節はスイレンやコウホネ、カキツバタ等が見られるようだ。(入園料300円)それにしても水田ばかりなのに“無田”と云う地名の起こりは何なのだろう?
吉部(よしぶ)集落に入って行くと「暮雨茶屋」、「ピザ」などの幟があり、今日の行程は余裕があるので途中サボって行こうと意見が一致し、探していたが見つからないまま吉部登山口に達してしまい目論見が潰えった。後で調べると登山口から2卍手前で右に入った処にあったようだ。仕方がないので登山口で持参の昼食を食べた。広い駐車場があり坊ヶツルへの最短コースの入口とあって、金曜日にも関わらず数十台の車が止められていた。
休憩中に夫婦の登山者が登って行き、単独の男性が平治岳に登ると大船林道をそのまま歩いて行った。先行した夫婦の後を追いTさんを先頭に小雨の降りだした登山道に入ると急登となり鳴子川の左岸を大きく高巻いた。雨は大したことなく雨具の必要はないようだ。やがて水音が近づき九重町と竹田市の境を越えると分岐があり入って行くと暮雨滝(くらぞめのたき)があった。落差7m幅15mの滝で坊ヶツル賛歌6番に「暮雨滝の水音を 佇み聞くは 山男〜」と唄われている。これで坊ヶツル賛歌に歌われた処(大船山、坊がつる、三俣山、暮雨滝、久住山、山宿・湯宿=法華院温泉、平治)は全て訪れた。登山道に戻るべく滑りやすい急斜面を登っていると平治岳(ひいじだけ)に登ると言って林道を行った小父さんがやってきた。平治岳はどうしたのだろう?
登山道が大山林道に合流すると坊ヶツルは近い。谷が拡がり向い側には平治岳があるが山頂は雲に覆われていた。林道沿いにミヤマキリシマが咲き期待が高まった。雨ヶ池越への分岐に達すると登山者が長者原を目指し、列を為している。山中に広がる坊ヶツルの風景は素晴らしい。戻ってきたのを実感させてくれた。平治岳を仰ぐと雲が薄れ、ミヤマキリシマでピンクに染まった山頂を見ることができテンションが一気に高まった。三俣山(みまたやま)や明日登る大船山も姿を現した。足元にはハルリンドウの可憐な花が咲き、ミヤマキリシマの向こうに今日の宿法華院温泉山荘が見えてきた。何んとも旅情をそそる風情だ。
チェックインの14時まで待ち、靴洗い場で泥を落とし予約した個室に入った。先ずは温泉、すっきりしてビールで乾杯した後は昨年同様ミッションとして用意した「“坊ヶツル賛歌”を9番まで歌う。」を実行、日が暮れると4番の歌詞にある「せせらぎに寝る 山宿に ひと夜を憩う山男 星を仰ぎて 明日を待つ」の心境で眠りについた。
2日目(6/7): 晴れ後曇り
明るくなるのを待って出発した。小屋前から平治岳、大船山が姿を現していた。今日は期待できそうだ。今日の行程は大船山から黒岳を越え白水鉱泉を目指す。坊ヶツル経由が一般的なルートだが今日は立中山を経由するので当面の目標を鉾立峠にとして、Y川んを先頭に登山道に入った。少し進むと昨年の山行で下って来た池ノ小屋からの白口谷は「土石流多発地域につき通行をご遠慮ください。」としてロープが張られていた。ミヤマキリシマの枝などがたっぷり水分を含みスパッツを着けていたが完全にズボンを濡らしてしまった。いやズボンだけではないシャツもだ。今から雨具を着けても手遅れなのでそのまま進んだ。
立中山(1,464m)は坊ヶツルを見下ろす丘のような山で訪れる人は少ない。4等三角点「鉢の久保」があり展望は良い。この山は下からは見えないが山頂域はミヤマキリシマが結構あり穴場的存在で得した気分だ。天気は快晴で下界は雲海に埋まり、昨日登った崩平山が浮かんでいた。九重山域の山々はすべてクリアに見ることができた。白口岳、中岳等核心部の山、そして三俣山、大船山に陽が昇った。南の方には阿蘇山があるが若干雲が邪魔をしていた。
大船山への縦走路は益々歩く人が少ないようで枝の被さりが酷い。ミヤマキリシマに交じりベニドウダンの可愛らしい花も姿を見せてくれた。赤テープが随所にあり迷うことは無いが、進んでいる方向がどうも変だ。鞍部から登り返してそう遠くないところで坊ヶツルからの登山道に合流する筈だがその気配もなく、登り一辺倒の道が続いている。見え隠れする山容からどうも大船山に直登しているようだ。こんな道があるのは知らなかった。やがて山頂域に達し、人の立っている山頂が間近になった。入山公廟からの登山道と合流し右手に山頂火口跡の御池を見た。嘗てはこの池の周囲はミヤマキリシマに覆われていたそうだが今は一面の緑だ。この山域のミヤマキリシマは徐々に少なくなっていると云うのが実感できた。
最後の急登を這い上がり南側から大船山(1,786m)山頂に達した。3等三角点「大船山」が直接岩に打たれている。山頂からは360°の展望が得られた。既に坊ヶツルからの登山者が何人も来ていた。今日の最高峰からの景色に見とれいていると雲海のガスが上りだした。登頂した時に山頂が顔を出していた由布岳は直ぐに雲に遮られてしまった。20分余り滞在した後、段原(だんばる)へと下った。途中右手に避難小屋への分岐があるが、未だ立寄ったことは無く登山道からは全く見えない。
段原で振り返ると大船山にはガスが掛り始めた。早く歩きだして正解だった。北側を見上げると北大船山はミヤマキリシマが咲き誇り素晴らしい。今日はこの山には登らず大船山火口の米窪の縁を歩き黒岳へと縦走する。この火口周もミヤマキリシマが見られる。火口の底には水は無く草原状で火口底の標高は1,527mと大船山から見ると250mも標高差がある。東の端で火口縁から分れ東尾根を下った。随分急で険しい道だ。この頃にはガスが山頂域に迫り大船山は姿を没しそうになってきた。黒岳は高塚山を最高峰とし天狗岩や前岳を総称した山名だ。大船山との間は火山岩の折り重なる湿っぽい谷間の風穴の前で休憩した。
風穴は岩の積み重なった空間で覗くと氷があり冷んやりしていた。このまま真っ直ぐ行くと西大原の男池登山口に繋がる。大船山、大戸越(うとんごし)、平治岳を周回する日帰りコースによさそうだ。風穴からはまた急登で高塚山と天狗岩の鞍部、天狗分れに到った。先ずは天狗岩に立寄るが姿を見せた天狗岩は火山岩の折り重なる山で本当の天狗の如く鼻が突き出していた。何処から登るのだろう心配になる岩場を攀じて山頂に達すると岩に直接「天狗 1556」とペンキの綺麗な文字で書かれていた。この岩の上に立つのは一寸危険だが、Y川さんが真っ先に登り、Y本続くが、T中さんとH本さんは寄り付かなかった。最早完全にガスが覆い展望は得られなかった。
天狗分れに引き返し次は高塚山(1,587m)に登った。岩が主体だが樹木があるので迫力は天狗岩が勝っていた。しかし黒岳の最高峰でしっかりした山頂標識もあった。東に向いて下るが地形図とルートがずれているようだ。一旦北に進み下っている。無名だが東のピーク約1,520mを過ぎると等高線の混んだ斜面を急降下した。高塚山を過ぎるとひと気は全くない険しい道。T中さんが踏んだ大きな岩が浮いていて落石! Y川さんが逃げる。セーフ。そしてT中さんが落ちる! Y川さんの前で止まった。ヒヤッとした瞬間だったが幸い誰も怪我なく胸を撫で下ろした。
P1357には山頂を示すものはなく下りきった処には「上台ウツシ」と表示があった。小ピークを二つ越えるとあっけなく前岳(1,334m)に到った。3等三角点「黒岳」があるが樹林帯で展望は一部だけ。しかしガスが相変わらずで何も見えなかった。この後は白水鉱泉に下るだけ。標高差は600m、この道も地形図の点線道とずれがあるようだ。下山後の温泉を楽しみに下って行くと黒嶽荘と白泉荘への分岐に達した。白泉荘への道を選び下り続けるが此処からが結構長かった。雨が降りだしたが問題なく白水鉱泉に到着した。白泉荘でお風呂に入りたいと云うと、お風呂が沸いていないと云われた。此処は炭酸の冷泉で、宿で沸かしているそうだ。途中から連絡してくれたら沸かしていたと云われたが如何ともならず、汗臭いまま昨日の運転士のタクシーを呼んで湯平へと戻ることになった。白水鉱泉は天然の炭酸水が湧き、ポリタンやペットボトルに詰めて帰る人が次々と訪れていた。500円の駐車料金を支払うと400ℓまで持って帰ることができるそうだ。その場で飲む分は無料とのことで残りの水を捨てて1.5ℓ持って帰った。
大分駅でお土産を買うと「父の日抽選会」の抽選券を2枚くれガラガラを回すと何んと1等が当たり、小銭の掬い取りで1,210円をGETした。外れも50円の商品券で皆の分を集め夜の肴を仕入れ、小銭はワインに化けた。帰りは“フェリーさんふらわあ”で帰路に着いた。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する