鏡平〜西鎌尾根〜槍沢/雨雨雨の槍ヶ岳
- GPS
- 18:24
- 距離
- 44.0km
- 登り
- 2,670m
- 下り
- 2,197m
コースタイム
- 山行
- 4:04
- 休憩
- 0:16
- 合計
- 4:20
- 山行
- 6:17
- 休憩
- 1:05
- 合計
- 7:22
- 山行
- 5:28
- 休憩
- 0:29
- 合計
- 5:57
天候 | 28日;晴のち雨 29日;曇時々雨 30日;雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
特に危険な所はなく、コースを示す⇒(矢印)と○も十分ある。若干難易度が高い双六小屋からの西鎌尾根も、痩せ尾根が少々と“念のための鎖場”が2、3か所ある程度。 ■30日の本降りの雨で、飛騨沢から槍平を経て新穂高に下るつもりが、槍平の小屋に道の状況を尋ねた方が「沢の増水がひどいので上高地へ下りることを強く推奨」されたため、当方も槍沢を下った。雷雨・集中豪雨とはレベルが違うものの、比較的安全なこちらのルートすら普段は細流程度の小沢の増水が著しく、飛び石渡渉に難渋する個所もあった。新穂高に向かったら、滝谷などの渡渉は非常に危険で渡れなかったかもしれない。 |
その他周辺情報 | ■上高地を迂回したため帰宅時間が厳しくなり、川沿いの露天風呂で知られる新穂高温泉「深山荘」に駆け込んで「今日2人泊まれますか?」と聞いたら、簡単にOK。豊富な源泉かけ流しの温泉はもちろん、夕食には飛騨牛ステーキも付いて1万3000円は、大満足でした。 |
写真
装備
個人装備 |
ヘッドランプ
予備電池
ガイド地図
コンパス
筆記具
保険証
飲料
ティッシュ
バンドエイド
タオル
携帯電話
計画書
雨具
防寒着
ストック
水筒
時計
非常食
緊急保温シート(1)
着替え
|
---|---|
共同装備 |
非常食
ツェルト
ファーストエイドキット
医薬品
カメラ
GPS
|
感想
今年こそ鏡平の池に映る逆さ槍を見ようと訪れたが、昨年に続く雨。その後も晴れるどころか雨また雨で、飛騨沢経由新穂高温泉へ下るルートが増水で使えなくなり、槍沢から上高地へ下りるはめになってしまった。
松本から乗ってきたレンタカーは新穂高に置いたままだから、バスを平湯で乗り継いで戻るほかない。急いだおかげで松本発新宿行最終には間に合う時間に新穂高に着いたが、じっとり濡れたリュックに戦意喪失し、宿の「乾燥室もありますよ」の一言で温泉一泊を即決。まあ、こんな予備日の使い方もあるということにしよう。
【28日】 そもそも今回は気管支の調子が思わしくなく、苦しい山行になるのは明らかだったが、アルプスの魅力に負けて予定通り東京を後にした。登山者駐車場にレンタカーを止められるか心配だったが、よもやお世話になるとは思いもしない深山荘寄りの所に空スペースを見つけて無事駐車。雲は多いものの、青空の下を歩き始めた。
ワサビ平小屋を過ぎるころ、気がつくと日が陰り、林道から山道に入る分岐では前方に分厚い雲が見えた。「去年は4時ごろから土砂降りになったな」などと不吉なことを思い出しながら喘ぎ喘ぎ急坂を登る。息苦しくてスピードが出ないが、それでも意地でツアー登山の中高年団体を追い抜いたころ、やっぱり雨が降り出した。後であわてた昨年の反省に立ち、ただちにレインウエアを装着。本降りの中をさらにしばらく苦闘し、熊の踊り場とかで「もう到着?」とぬか喜びした後、予想通り雨の鏡平山荘に到着した。
しばらくして雨が上がり、北の方の視界が開けたが、さすがに池の向こうの槍穂高連峰までは見えない。山に来ると眠り病状態となるalps165ことDr.エモンに倣って、さっさと布団にもぐりこんだ。
【29日】 目が覚めると、やっぱり雨だった。危険な大降りではないから槍を目指すことにはしたが、なかなか出発する気になれない。少しでも小やみになった頃を狙って7時を過ぎてから宿を後にした。傘を片手に酸欠状態で急坂を気管支と格闘し、弓折乗越でやっと一息つく。さらにひと登りでようやくやや穏やかな稜線に出た。
雨は相変わらずだが、気が付くと雲が薄くなり、右手に影のような槍穂高連峰が見えだした。去年もこのあたりで「10秒間の槍ヶ岳ショー」を見たのを思い出す。今年はもう少し長く見え隠れし、振り向けば昨年登頂した笠ヶ岳も望むことができた。双六小屋もかなり手前から遠望でき、右手に樅沢岳が結構急に見える稜線を伸ばしている。
双六小屋でコーヒーを頼み、お握りの一部を“早弁”して天候回復を待ったが、やはりダメ。傘を担いでジグザグの急坂を辿りだすと、ある角を曲がったら踏みつけそうなくらいの所にライチョウ3羽がいた。後ろのDr.に教えたら、10m位先に視線をさまよわせて気づかない。「すぐそこだよ」と示して、ようやく気が付いた。1m位まで近づくと、さすがに離れだしたが、登山道伝いに悠然としたものだ。
樅沢岳まで登ってしまうと、比較的楽なアップダウンの稜線歩きとなった。先ほど鷲羽岳が見えたりしたが、再び雲が厚くなって視界は利かない。足元の高山植物で目を慰めながら硫黄乗越を経て左俣乗越。指導標の写真を撮ったら、すぐわきにいた女性が跳び上がるように立ち、「どきますから、どうぞ撮り直してください」と薦めてきた。別に構わないと言うと、「私写っちゃってると思うので、前のを消してもう1回撮ってください」と食い下がる。こちらも気を遣って肩の一部しか見えない程度に工夫して撮っていると話したのだが、「いえ、ぜひ撮り直してください」。そこまで撮られるのが嫌だという理由が知りたいと思った。
ガスが濃くなるのと反比例して雨が上がってきたが、そうなると道が分かりづらい。尾根通しか巻くのか、踏み跡が紛らわしい所でDr.と意見が分かれ、楽な巻道を選んだら正解だった。50mほど尾根をたどったDr.は、かなり難儀して道なき道を下りてきた。「すぐ上から見ても登山道がどこか分からない」とボヤく。
ガスが深い千丈(沢)乗越で休憩とした。コッヘルで温かいお茶を沸かし、残りのお握りを食べてラストスパート。酸欠金魚のように口をパクパクしながら最後の標高差350mほどを登り切り、再び降り出した雨の中を槍ヶ岳山荘に到着した。槍はすぐわきにそびえているはずだが、もちろんカケラも見えない。
雨を突いて槍の穂先を訪ねる気力はなく、部屋でごろごろしてから夕食。食事を終えて外を見ると、なんと雲が割れて槍が見えている!。宿のサンダルで外に出て、かすかに覗く青空を背に浮かび上がる岩峰を写真に収めた。周囲で「うわー、槍ってこんな近くにあったんだ」と感嘆の声が上がり、たちまちサンダルがなくなった。騒ぎに気付いた人々が駆けつけたころには、再び槍は雲の帳の中に隠れてしまっていた。
【30日】 遮音の良い山荘だが、夜中ごうごうと降る雨の音を聞いた記憶そのままに、この日は一段とまた酷い雨。過去3度頂上を踏んでいるので槍の穂先はあきらめ、少しでも雨が弱まる頃を見計らって、おとなしく飛騨沢伝いに新穂高温泉へ下山することにした。と、「沢は渡れるかね」とDr.がポツリ。「あっ!・・・」。うかつにも渡渉の問題を忘れていた。昨夏、滝谷出合の沢の渡渉で何人か流され、遭難した事故があったのは覚えていたのに。
上高地に下るしかないか。しかし、そうなると新穂高に置いたレンタカーを取りに戻らなくてはならない。天候を見てのんびりしていたので既に出遅れており、今日中に東京へ戻れない可能性も出てくる。迷っていると、傍らの家族登山ふうの男性が槍平の小屋に電話し、登山道の様子を聞いているのに気付いた。答えを聞いてみると、「今の状況は見ていないが、連日の雨もあり、上高地へ降りることを強く推奨しますと言われたので、それに従います」とのこと。万事休して、我々も槍沢から上高地へ向かうことにして、そそくさと出発した。
下りは負荷が軽いゆえポンコツの気管支も快調で、雨でひっくり返らない程度にぐいぐい飛ばせる。他の登山者をどんどん追い抜き、グリーンバンド付近まで一気に下った。ただ、左の急斜面から落ちてくる小沢が今日に限っては小沢とは言えない流量となり、渡渉に難儀した。それも一つ二つではなく、何か所もある。この雨の中を登ってくるパーティーにも行き会ったが、中には中高年のツアー登山らしきグループもいて、果たして上の小屋まで安全に辿りつけるのか、はなはだ疑問に思った。
われわれは幸い転倒も水没もせず、ヘリポートと新館を増設した槍沢ロッジに到着。びしょ濡れの防水手袋!をぬぎ、すぐに先を急ぐ。右に増水した槍沢が迫るが、道は良くなり、もう渡渉の心配もない。横尾山荘で行動食を採り、そのままの勢いで徳沢、明神と軽い休憩のみで歩き通し、槍の小屋から6時間ほどで上高地に到着した。
ここで念のため新穂高温泉の宿に泊まれるか聞いてみようという話になったが、Dr.のスマホが起動しないことが判明した。当方のスマホは既に電池切れ。じたばたしても仕方ないので、間もなく出る平湯行きのバスに乗り込み、平湯でも接続良く来た新穂高温泉行のバスに飛び乗って、目当ての露天風呂の宿・深山荘まで来てしまった。
後は冒頭に記した通り。まだ3時にもなっていないので、松本発8時のスーパーあずさには十分間に合う筈だったが、温泉と乾燥室の誘惑には勝てなかった。ちなみにDr.のスマホは、大雨の中で撮影を敢行したのが祟ったのか、充電しても再び起動することはなかった。中国製の最新機種の一つだそうだが、皆さんもお気をつけください。
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