白山は本当に花の山だ―クロユリとハクサンフウロの密度がすごかった(白山室堂〜御前峰〜大汝峰〜展望歩道〜南竜山荘〜観光新道)
- GPS
- 50:05
- 距離
- 18.9km
- 登り
- 1,915m
- 下り
- 1,918m
コースタイム
- 山行
- 3:10
- 休憩
- 2:00
- 合計
- 5:10
- 山行
- 4:40
- 休憩
- 2:15
- 合計
- 6:55
天候 | 1日目:晴 2日目:霧のち晴のち曇 3日目:晴のち曇 |
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過去天気図(気象庁) | 2024年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
大宮18:49→金沢20:51(北陸新幹線🚅かがやき515号) (金沢駅付近で前泊) 金沢駅西口7番🚌→市ノ瀬(北陸鉄道バス)¥2190(現金のみ) 06:00→08:12 06:15→08:27 ※予約不要 この2本のみ 市ノ瀬🚌→別当出合(シャトルバス20分間隔)¥800 復路: 別当出合🚌→市ノ瀬(シャトルバス20分間隔)¥800 市ノ瀬🚌→金沢駅西口(北陸鉄道バス)¥2190(現金のみ) 12:30→14:50 13:30→15:50 ※予約不要 この2本のみ 金沢16:53→大宮19:35(北陸新幹線🚅はくたか572号) ※トクだ値が取れたため「はくたか」に乗車。 「かがやき」に比べて40分ほど乗車時間が長い。 |
写真
感想
8/2〜8/4、白山室堂と南竜山荘に泊まるという贅沢な日程で白山へ行ってきた。
白山を具体的に計画したのは2019年だったので、実に5年越しに白山登山が実現したわけである。
8/1木曜日の夜に金沢駅で前泊し、初日の8/2は金沢駅西口からバスで市ノ瀬へ。
そこから20分間隔で運行されているシャトルバスに乗換え別当出合へ。
それにしても、大宮駅から金沢駅まで北陸新幹線で2時間ほどなので便利になったものだ。
かがやきに乗ると大宮、長野、富山そして金沢なのでなんと3駅目なのである。
先週末は立山から五色ヶ原を計画していたが、天気が悪くキャンセル。
今年は北陸地方〜東北地方にかけて梅雨前線がしつこく残ったが、タイミング良く8/1で北陸地方の梅雨明け発表があった。
別当出合では石川県による登山届が義務化されたという音声が流れており、そこで「白山」の発音の地元でのイントネーションを知る。
関東地方の我々は「ハクサン」を、水戸黄門の「格さん」と同じイントネーションで発音しているが、地元では「たくさん」と同じイントネーションのようだ。
来週末に予定している飯豊山の練習も兼ねてと思い水を多めに持ち、別当出合から少しハイペース気味で砂防新道を登っていく。
天気は最高だが、別当出合の標高は1300mほどだし、酷く暑い。
大量に汗をかき続け、このままいくと脚が攣りそうで危ないなと思っていたのだが、とうとう甚之助避難小屋で休憩したあたりから脚が攣り始めてしまった。
砂防新道は中飯場でも甚之助避難小屋でも沢水が蛇口から出るようになっていて、そもそもそんなに水を多く持つ必要はなかったし、異常な暑さなのだから気を付けてゆっくり歩くべきだった。
南竜道分岐から先、黒ボコ岩までの登りはいよいよ樹林帯を抜け花が増えてきたのだが、一度攣ってしまった脚は大きな段差で力を入れる度に攣ってしまう。
息は切れないのに全然登れないのがもどかしく、そして異常な汗が止まらない。
これは脱水症状なのだろうなと思う。
こんなことでは来週の飯豊山どころか登山自体も引退かなと思ってしまった。
せっかく花がたくさん咲いているのに、結局この時は樹林下に咲く純白のセンジュガンピをやっと撮影した程度。
アミノバイタルと塩分タブレットと友人が沢から汲んできてくれた水を大量に飲んで、攣りそうになる脚をなんとかだましだまし歩いて、黒ボコ岩まですごく時間がかかってしまった。
なんだかんだで2ヶ月弱も登山をしていなかったことも遠因かもしれない。
弥陀ヶ原まで進むと木道もあり、ハクサンフウロが咲き乱れていた。
最初に母親と登る予定だった時点では白山室堂1泊で翌日下山の計画だった。
それが母親が行けなくなってしまい友人を誘った時点で、せっかく白山まで行くのだからもう1泊したいとのことで南竜山荘も予約して2泊の計画に変更していた。
結果的に2泊にしていて良かったのである。
なので、この日は山頂まで行くのはやめ、白山室堂で体力の回復に努めることにした。
白山室堂はビジターセンターを兼ねた建物と宿泊棟が何棟もあり巨大な施設で快適だった。
1人で山頂まで往復してきた友人と夕方、周囲を散策する。
ハクサンフウロがすごい密度で咲いていて、クロユリもたくさん咲いていた。
今まで、好きな山を聞かれると、花の多い山ということで鳥海山、秋田駒ヶ岳が好きだと答えていたのだが、ここで一気に白山が好きな山のトップに躍り出た。
オカリナを吹いている人がいたり、賛美歌を歌う学校登山の女子生徒たちがいたりして、雰囲気が良い。
白山奥宮を参拝し夕食に向かおうとしていたところ、友人が段差で足を捻り捻挫してしまった。
お互いやはりこの夏の暑さで熱疲労がたまっていたのかもしれない。
明日の宿はキャンセルして明日はすぐに下りようかと提案したが、逆に1日ゆっくりして回復してから下山したいとのこと。
血中の電解質が薄まってしまっているのか夕食の豚汁がおいしく2杯目をお替り。
2杯目をお替りした後、友人のお替りの豚汁をもらいに行くと一瞬もう飲み干したのかとギョッとした顔をされたが、同行者の分だと説明すると何杯でも大丈夫ですよととても感じが良かった。
食器の返却の時に、ビールのカップを捨てようとした人が持ち帰りですと言われていた。
ここで買ったビールのカップなのに持ち帰りとはなかなか厳しい。
山でビールを飲まずにいられない人は大変だなあと思う。
20歳から酒を飲み始めて20年余り、結局ビールの味のおいしさなんて分からないままだった。
そしてここ数年酒自体もほとんど飲まなくなった。
友人は足を休ませるため、夕食後は1人で夕日を見に行く。
全体的に学校登山の女子生徒が多くにぎやかだ。
激混みする週末を1日ずらして金曜日泊の学校登山が多いのかもしれない。
現地の自然解説委員の方に高尾山の自然のことを熱弁していた方がいたので話しかけると、その方は今朝東京駅で新幹線に乗り、小松駅から乗合タクシーで別当出合まで入ったとのこと。
新幹線をうまく使えば1日で白山室堂まで来ることも可能なのだ。
太陽が沈んでいくのを見て、女子生徒たちの「これを見たら天動説にしか見えない。絶対に地動説なんて信じられない。」という大きな声が聞こえてきて面白かった。
久し振りの高山で、こんな時間を過ごしているとやっぱり登山はやめられないなあと思う。
2日目
昨日午後からゆっくりしたお陰で脚の攣りは治っていたし、友人の足首も状態が悪くないとのことなので一緒に山頂である御前峰を目指す。
一面のハクサンフウロの中、時折鮮やかな橙色のクルマユリや、イワギキョウの群青が目を惹く。
ハクサンイチゲが全くないのは時季が遅いからだろうか。
御前峰に到着すると、雲海の上に北アルプスが、剱・立山から槍・穂高、乗鞍、御嶽まで頭を出している。
このびっしりと湧き上がりつつある雲海の下は灼熱地獄となっているのだろう。
御前峰の並びには剣ヶ峰と大汝峰があり、その中の火口に火口湖が何個かあるのが見える。
今日は時間もあるのでゆっくりとお池めぐりコースを歩く。
ここは火口湖が複数あり、遅くまで雪が残っていたのかチングルマがまだまだ見頃だった。
地味な花だが、学生の頃先輩の卒論の手伝いで鳥海山で覚えたアオノツガザクラも好きな花だ。
大汝峰に登ってみると、目の前に剣ヶ峰と御前峰が並び立っていて大迫力だ。
午前中なのにもう雲が湧きたってきていて、この姿を見られたのはぎりぎりだったのかもしれない。
白山室堂に向かっては一番西側の水屋尻雪渓を通るコースを歩いた。
この雪渓は跡形もなくなっていたが、この辺りはクロユリの群生地だった。
クロユリがこんなにも密度高く咲いているのは初めて見た。
さすが白山は花の山だ。
白山室堂からはアルプス展望台を経由する展望歩道から南竜山荘へ。
アルプス展望台では北アルプス方面の展望が開けるはずだが今日は雲の中。
でも山頂の御前峰で北アルプスの展望は堪能していたので構わない。
さきほどまで多かったイブキトラノオとは違い垂れ下がった形のカライトソウが増えてくる。
そしてカライトソウとマツムシソウのお花畑の斜面が現れた。
後から調べるとカライトソウの学名は「Sanguisorba hakusanensis」であり、これも白山由来の名前が付いているのである。
昨年南アルプスの荒川三山(悪沢岳)付近でマツムシソウの咲くお花畑を見た↓が、それ以上のお花畑だった。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-5800547.html
南竜山荘はロケーション的には窪地にあり、展望に恵まれた場所ではないが、山に囲まれ湿地もあり落ち着いた雰囲気の良い場所だった。
なんとなく昨年泊まった南アルプスの千枚小屋に似ているなと思った。
ここで友人が先月那須岳の三斗小屋温泉でお話しした方と偶然に再会。
その方はおそらく70代かと思われるが、この日に別当出合から入り観光新道を経て、白山室堂からお池めぐりコースを歩き、大汝峰、御前峰とピークを踏んでこの南竜山荘まで下りてきたという超人的な体力の持ち主だった。
砂防新道とは違い観光新道は花が多いとのことで、明日は最短の砂防新道ではなく観光新道から下りてみたいなと思った。
関西方面から来たという方たちともお話しができ、関西方面からだと白山は3時間位で登山口まで来られるのでお手軽とのことだった。
東京の人間にとっての八ヶ岳くらいな位置付けなのだろうが、この花の多い白山がお手軽とはなんとも羨ましい。
今日は土曜日で満室とのことだったが、マナーのいい人たちしかおらず、快適な山小屋泊だった。
3日目
南竜山荘から西へ進み、エコーラインとの分岐のところでニッコウキスゲの群落があった。
今年はニッコウキスゲの当たり年だったようだが機会に恵まれず、ここで見ることができて嬉しい。
思っていたよりも早く南竜道分岐まで着いてしまい、友人は足首の大事を見て最短の砂防新道を下るとのことだったが、このまま砂防新道を下ってしまうのが惜しい。
黒ボコ岩まで登ればそこから花の多いという観光新道を下れるし、一昨日脚が攣って大変だった黒ボコ岩まで調子が良ければどのくらいで登れるのか試したくもあった。
白山にはまた来るとしても、またこんなにも天気に恵まれるか分からないし…、ということで、ここで友人と分かれて観光新道を下ってみることにした。
黒ボコ岩までの登りも周囲は花がきれいでテンションが上がり気分よく登れる。
一昨日1時間近くかかったところが40分もかからないくらいで、調子が良ければこんなにも気持ちがいい場所だったんだなと思う。
最初の樹林帯で馬鹿みたいにハイペースで歩かなければ、一昨日もここでこんなにも楽しめたはずなのにと思う。
黒ボコ岩まで登ると、山頂方面はもう雲に隠れ始めていた。
黒ボコ岩から観光新道を下ると、ここがまたもう本当にマツムシソウとシモツケソウとハクサンシャジンを中心としたお花畑の連続だった。
まさにワイルドフラワーのお花畑といった趣で、もう誰かが種をまいているんじゃないかと思うほどだった。
白山、本当に花の山だ。
白山に登ってみて、好きな山のトップが一気に白山になった。
北陸新幹線ですごく近くなった白山、是非とも、また来ようと思う。
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