7 泊 8 日 室堂から笠ヶ岳へ 二人から独りのテント山旅
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- GPS
- 143:15
- 距離
- 82.7km
- 登り
- 5,971m
- 下り
- 8,219m
コースタイム
- 山行
- 6:24
- 休憩
- 1:13
- 合計
- 7:37
- 山行
- 7:17
- 休憩
- 0:25
- 合計
- 7:42
- 山行
- 7:14
- 休憩
- 0:50
- 合計
- 8:04
- 山行
- 7:39
- 休憩
- 0:35
- 合計
- 8:14
- 山行
- 6:42
- 休憩
- 2:47
- 合計
- 9:29
- 山行
- 8:21
- 休憩
- 0:54
- 合計
- 9:15
- 山行
- 8:30
- 休憩
- 0:34
- 合計
- 9:04
- 山行
- 7:05
- 休憩
- 0:10
- 合計
- 7:15
5:25 薬師峠出発 − 5:48 太郎平小屋 5:49 − 6:05 太郎兵衛平 6:06 − 6:19 五光岩べンチ 6:19 − 6:55 積雪深計測ポール 6:55− 7:03 青淵山(三角点) 7:09 − 7:29 太郎坂(アラレちゃん) 7:29 − 8:01 十三重之塔 慰霊碑 8:02 − 8:04 折立登山口到着
以上で3泊4日の私の山行は終了です。
なぜ最後まで一緒じゃないの?と思うでしょうが、私の休みは16日までだから、
これでもギリギリまで一緒だったんで〜す。
天候 | 8/13 晴れ 8/14晴れ 8/15 曇りのち雨のち晴れ 8/16 晴れ 8/17 ガスと雨 8/18 曇のち雨 8/19 晴れのちガス 8/20 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
地鉄ホテルのパックを利用しました 折立からの下山はタクシーに同乗させてもらいました |
コース状況/ 危険箇所等 |
一般登山道です 極端に危険な場所はありません が、それなりの体力と「気力」は必要です そのなかで、やはり北薬師岳周辺では大きな岩を飛ぶように移動するので注意 薬師沢〜雲ノ平はゴロゴロと滑る岩の登りで体力と注意力が必要です |
その他周辺情報 | 周辺状況(下山後の温泉)は計画書をご覧ください ※ 【結構重要な情報だと思います】 ※ 今回の山行で時折耳にして、結構知らない人がいるのだと思った事ですが、電子式の使い捨てライターは標高がだいたい2000mを超えると着火しにくい、又は着火しなくなります。 昔のガリガリ式(笑)のライターやマッチなど、事前に高山に対応した物を調べて持参する必要があります。 但し、昔のガリガリ式のライターやマッチは水濡れに弱いため、その対策も必要になります。 『 更にそこで気を付ける事がもう一つ!』 今のライターは子供などが簡単に火をつける事ができないように、ガスを出すレバーが簡単に押せませんが、昔のガリガリ式ライターはその機能がありません。 せっかく昔のライターを確保して、水に濡れないようにビニール袋などに入れておいても、ザックの中で何かの拍子にガスを出すレバーが押されてしまっていて、ガスが無くなってしまっていて使い物にならない事があります。 そんなライターを持っている人は、何かの対策を考える必要があります! 実は今回、私が持参した1個がそうなっていて使い物にならなくなっていましたが、複数持っていた違う物は使えたので助かりました(shun) |
写真
今回は上がファイントラックのエバーブレスバリオ、下がエバーブレスフォトン、伸びがいいので着たままでも気になりません
逆に中の昔の登山パンツの方が気になる(笑)
覚悟をしていたので、もうひと踏ん張りだ!
と思ったら到着して若干拍子抜け(笑)
ココには自販機がありましたが
コーヒー以外は全て売り切れでガッカリ↓
さらにバスの時間まで2時間ある、ふぇ〜
拍子抜け+ガッカリ+ふぇ〜
何とも複雑でサッパリしない下山完了でした(笑)
一組の下山者に救われて
その人達が予約したタクシーに同乗させてもらえました。
まさに神様に感じたほど嬉しかった!
本当にありがとうございました
m(_ _)m
で、無事に有峰口駅から電車に乗って富山駅に向かいます
ずぅいぃ〜〜〜〜〜っと
歩いた稜線方面
がんばったもんだな〜
あ、まだがんばってる人がいるんだった
すごいな〜、無茶しない程度に楽しんでね!
と思いながら帰路についていたshunでした
装備
個人装備 |
靴
ザック
ヘッドランプ
レインウェア・ザックカバー
水筒
地図・コンパス
行動食・通常食料
防寒着
グローブ
帽子
タオル
ゴミ袋
常備薬・非常用薬
ティッシュ
保険証
マッチ
ナイフ
日焼け止め
予備衣料・スタックバック
コンロ・食事道具
ホワイトガソリン1L+0.3L
ストック
携帯電話
財布
下山後お風呂道具
ウェットティッシュ
シュラフ
シュラフカバー
ロールペーパー
サンダル
時計
歯ブラシ
シュラフマット
ハイドレーション
虫よけネット
デリオス
コンロ下敷き
アマチュア無線機
GPSロガー
カメラ
予備電池
ガスバーナー
ガス缶(小1個)
|
---|---|
共同装備 |
テント本体
テントポール
テントマット
ランタン
|
備考 | わすれもの、要注意 交通手段・食事など、その他の詳細情報は山行計画を参照 |
感想
↑ komaが8/19に抜戸岳にて撮影した雷鳥さんの動画です。
私には現実味がない山域であるアルプス。
今回また連れ出されてしまった(笑)
ま、こんな人にこんな時期にでも誘われないと、ホボ行く気にならないので素直に行ってみる事にする。
ただ、今回はココからココを通ってココに抜けるとか、コッチの方に行って・・・・・だのと言われても、現実味がない山域の事なのでサッパリチンプンカンプンで返事ができない(笑)
じゃあ、せっかく立山に行くんだから「剱」は外せないよねぇ・・・・・と言われたのには即答できた。
「うんにゃ、百名山とか有名な山にはこだわりが無いから、外しても全然平気!
むしろ、お盆は混んでいそうだから行く気になれない(笑)」
と言った事で、今回の比較的静かなルートを選定してもらった。
結論から言うと、それなりに人はいるけど、ちょうど人が恋しくなった頃に出会うといった感じだったので、アルプスとしては確かに静かなルートで良かったと思います。
そして、今回やっとそれなりにアルプスの山並みを見渡す事ができて良かったです。
やっぱり個々が独特の山容であり、それらが連なる壮大な景色は素晴らしいですね。
この地域でないと見ることができない景色だと思います。
と書くと好天が続いたようですが、実はそうでもなかったのはいつもの通り(笑)
ガスに取り囲まれ、それが雨になり、風が伴っても、それがどうした?まだまだ十分歩ける範囲内!降るならもっと降ってもいいぞ〜
変に悪天に慣れてしまっているようです(笑)
ただ今回いつもと違うのは、行く手の脇が切れ落ちている様な所では、なぜかガスが薄くなり、結構それが見下ろせてしまいました。
ちょっとスリリングなそんな所は見えたものの、薬師の天然記念物であるカールなど、やっぱり見たい景色は思うように見せてはもらえませんでした。
もう一度と言うか、そんな景色は皆さんの記録で見させてもらうのが一番ですね(笑)
と、komaは詳細な感想を書いているようなので、細部はそちらに任せ (^^ゞ
高山病の気配も全く感じない、食欲も落ちない、食事の支度もしない、脳天気な金魚のフン野郎の感想は終わります。
今回もこんなヤツでも引っ張り出してくれ、絶妙なペースを作って歩いてくれたパートナーに感謝します。
楽しかったですね、ありがとうございました。
8月12日、定刻よりも早く主人が帰ってきた。
定時まで仕事してからでも間に合う計画だが、余裕ができたのはありがたい。
ひとっ風呂浴びて、ほとんど手ぶらに近い状態で新幹線の駅に向かう。
帰ってくるころにはここ青森には秋風が吹いているのだろうか。
先行してもらったザックは私95L、主人100L。一般交通手段で移動するには迷惑すぎる。生、半生系統の食材を抜いたベース重量はそれぞれ18.5kg位、特に配分せずに均等に近かった。今、手元には冷凍したお肉と生卵。途中の乗り換えの大宮駅で明日の朝食と昼のパンを買っていく。
北陸新幹線が開通して、一気に北アルプスの北の登山口が近くなった。
夜行バスなら選択肢も多いが、前日の寝不足がないのはありがたい。
お盆の真っ最中の予約は大変だが、それだけの価値があるなと思う。
富山駅に着いたのは23時15分、駅前すぐの地鉄ホテルへ入る。
シャワーを浴びて翌日まで消灯した。
13日、バスの出発時刻は6時半、ぎりぎりの6時15分に目の前のバス停から乗り込んだ。
市街地を抜け、朝ごはんのお弁当をぼそぼそと口に入れる。
いつもだが、微妙な緊張感で簡単には喉を通らない。横をみると、あっという間に朝食を済ませている。
室堂には多くの観光客、少し目立つ登山客。
人混みが苦手なので、立山・雄山はやめにしない?と話すと、そう思ってたと返ってきた。
石畳の道を一の越へゆっくりと登る。周りは子供連れが多い。元気に、汗をかきながら、休みながら歩いて、走っている。
どんどんと抜かれながら山荘の前の休憩場所にザックを下す。
頭の奥、首の近くがズーンと重い。いつもの2500〜2800mのセンサーが働いている。今回はちょっと調子がよくないようで早めにきている。
まあ、何とかなるというか何とかしないといけないので、このまま南下の稜線へ向かう。
喧噪とは浄土山への分岐で離れていく。振り返ると小屋がいくつか、落石で大騒ぎになった雄山の稜線上には少なくとも200人、いやもっと沢山の人がふりまぶされている。立山は近くなったから、ピストンでなく、いつかちゃんと縦走しよう。もっと年をとってからでもいい。あまり興味はなさそうだけど、主人と剱・奥大日とからめて行ってもいい。
人間は忘れるもの、だけどあまりに雪渓が今年はなさすぎる。
以前のガスと風と雪渓のトラバースが一切ない。今度はすべて忠実に石と岩の登山道を踏んでいかなくてはならない。高山病が出ているところにこれは精神的に疲れる。
鬼面東面はごつごつと、にょきっとした岩が突き出す。
ざざっと下がって、また登り返す。獅子岳の小ピークのアップダウンからますます高度障害がきつくなる。ザラ峠への一気の下降でよくなるかと思ったが、余計に頭痛と吐気がひどくなる。ふらふらと大きなザックを揺らしながら、見かねて主人が山荘に受付に行ってくれると言う。
木道がありがたい。よれよれでもたどり着ける、でもいやに遠く感じるのは体調のせいだろうか。
とりあえず、テント場の適当なところにザックをおろして寄りかかるように倒れこんだ。寝るのはよくないのは知っているが、意識が保てない。刺す日差しもそのままに、近寄ってくるはずの足音を待っている。周りにはこの縦走路にしては多いのだろうテントが15張り位。遠くにそのガヤガヤとした音がしている。
そのままでいいよと言われるまま、テントが出来上がる。
なんとか非常用袋から薬を取り出して制吐剤と鎮痛剤を飲み込む。
そして再び一時間ほどだろうか、眠った。
食欲はちゃんとはないけれど、薬が効いてものを口に入れる余裕ができた。
生米から炊飯する元気はないので、申し訳ないがご飯抜きの焼肉、それも塩コショウのみになった。
青森のブランド牛肉の倉石牛のフィレ、それと薄切り肉。それぞれソテーし薄切り肉は少し醤油を垂らす。食べられるかどうかと思っていたが、あまりのおいしさに結局
胃におさまった。早々と寝袋に収まって朝を待った。
14日、頭痛もない、吐気もない。そう悪くなさそうだ。
テントを畳んで、ザックに詰める。朝の陽ざしは気持ちいい。
日の光の差し込みが線で見える。朝露を集めて好天続きの雨なしを頑張る高山の植物たちに目線をやりながら、稜線への木道を上がっていく。
五色ヶ原山荘からまだしばらく木道が続く。今日もゆっくりとしたペースで進む。昨日の感じからするとコースタイムの1.5倍程度が目標。なだらかに、穏やかに、足に、後の息遣いの荒れないようなペースを見つける。木挽山を東に、青い空の下、越中沢岳に到着した。ハイマツをでたり入ったりでたどり着いた。
ここから一気に下る。この先の稜線は苦手な記憶が頭に浮かんできた。
どうも今回、体調がすぐれない。
暑さを演出する日差しは絶好の登山日和を彩るが、体力も奪っていく。
登って下って、樹林帯を。そんな中、フラッとした瞬間にストックか挟まった岩の間で乾いた高い音を立てた。引き抜いてみるも、よくわからない。
もう一度地面に立てるとぐにゃっと曲がった。
長らく付き合ってもらっていたが、ついにやってしまった。
仕方ないのでストックを畳んでしまい込む。
背中の重量物が腰と足に一気にのしかかる。
下りなのに、なぜか息が整わない。水を主人から分けてもらって飲む始末。
最後のスゴ乗越小屋への登りはやはり急。のぼせながら、もう少し、もう少しと言い聞かせながら進むと視界がテント場へ開けた。
時間は13時26分、小屋の昼の軽食時間は13時半だったか、14時だったか?覚えておらず、とにかくザックを放り出した。財布だけ握りしめてほとんど走る。背中に乗っかっていなければまだ十分に動けるもんだと笑う。
頼んだスパイシーカレーは、まるで街中のおしゃれなカフェ。サフランライスにスパイスの効いたカレー、付け合わせもおしゃれ。人心地ついて、テントへ。虫が多く、買った蚊取り線香から煙を上げながら休憩と夕食の準備。明日の天気はあまりよくなく、後半につれて悪くなりそう。朝は早めに出発に決めて、テントにもぐりこんだ。
少し蚊取り線香の匂いと少しの寒気で目が覚めて、火を落として朝まで眠った。
翌朝15日、もう出発している人が多い。間山への登りは道を覚えていた。とにかく登って登る。修理してもらったポールも問題ない。二重稜線の向こうの間山の山頂へ行く。貴重な山頂、三角点。
北薬師の稜線に入ると、ガスが上がり、雨粒が落ちてきた。早めに雨具を着こむ。
風は強くはなく、稜線も可能な限り東を巻いて風をよけている。
大きな岩をジャンプさせられるようになって、余計な筋力を使わせられる。
本来は得意分野なのに、重量とともに使える足場が制限されてイラっとする。
北薬師の山頂はおとなしい。ギザギザとした立派な山頂部なのだが、南にドンと構える薬師岳があまりに重厚で、印象が隠れてしまう。北薬師から、小ピークをいくつも超えて、足場のよくない岩の上を移動していく。
風も強くはないが、肩から手先は冷たくなる。もう少しだったよな、と思って見ると小屋のような影、あ、岩だった。でも、もう少しだったよな、と思ってみると、薬師様のお堂が今度は見えた。
山頂と薬師様にご挨拶し、薬師堂の東面の三角点へと回り込むと、そこは嘘のような無風地帯。大きなザックの間に座ると、ほんわかと温かい。そのまま下ると言った自分の思慮不足を思いながら、ソイジョイを食べる。
足元の力も復活して、急な薬師の下りに取り掛かる。ようやく登山者と行違う。元気に駆け上って、しばらくすると駆け下りてきた。
相変わらずののんびり歩行でいきなり目の前のガスからぬぼっと出てきた薬師岳小屋に着いた。一休みすると決めていたので、主人はカレーライス、私はカレーうどんと頼む。カレーのつゆがしみこんでいく。
外は急激に雨脚が強まっていた。小屋の外の覆いを下していただいて快適に過ごす。携帯の電波が得られたので雨雲の状態を見るに、そう簡単には上がらなさそうである。心を決めて下ることにした。しばらくすると雨は空から弱く落ちるだけになって、展望が急に開けた。
薬師と南西尾根が目の前にあった。カールを目にはできなかったけれど、十分に美しかった。
沢の中のゴロゴロした岩を下る道、以前キヌガサソウを見た記憶をたどりながら、一気に薬師峠へと下った。
山岳部のテントとそばで元気な若い人たちがにぎわうテント場に到着した。
水の豊富なテント場で、心置きなく頭から水をかぶる。空には日差しが戻って、近くの茂みとストックで物干し場を作っていろいろと乾かす。濡れた体も寒くない。
そんなに沢山はいらないよといいながらも、夕食はちゃんと食べきった。
あっという間にテント場は静かになり、早めに休むことができた。
16日、主人と最後の夏休みの日。起きるとすでに山岳部は早々に出発していた。今日は黒部五郎を越えると言っていたと思い出す。記憶も呼び起こされる。
テントを撤収しながら、すっかりいろんな道具類を私のほうに入れなければいけない。なのに、一番大きいテントマットをすっかり入れ忘れて無理やり押し込んだ。
そのせいだろうか、ザックの頭部保護用?のパーツの根本が折れていた。
背負うには問題ないからいいけれど、時々歩いていると「ぱこぱこ」と音が鳴るのが少し気にはなる。いずれはなれるだろう。
太郎小屋への木道をすんなりと歩いて、交換してもらった主人の少しずっしりとした堅牢なストックを握りしめて道を分かれた。きっと歩ける。
するっと北の俣岳への木道と離れて沢へ向かってトラバースする。道は一気に尾根を下り、沢にかかる小さい橋へと続いた。小さいアップダウンとのどかな道を動くと、薬師沢左俣の出合へ。花が目を楽しませ、沢音が冷やしてくれる。ただ、背中の重量は増しているので、やはりゆっくりペースでしか動けない。木道が終わって、ぐっと下ると薬師沢小屋に着いた。この目の前から黒部川への遡行起点になっている。
休みを取って、沢も覗き込んでつり橋を渡った。すぐの長梯子はとっつきしか見えず、ぎょっとするが、しっかりしている。雲ノ平への登り口には、「直登」の文字。
まあ、牛歩作戦、のんびり行ってみよう。
呼吸は乱さず、一定のリズムでできるだけ、すれ違いがない限りは止まらない。大きな岩や中くらいの岩が苔を載せながら積み重なる登山道をよじ登る。
どうしても、足元はフラットを選べず、足先になりがちになる。きついなあ、と思いながら進んでいた。気が緩んだ瞬間に、背中をぐいっと後に引かれた。束ねて片手に持っていたストックを瞬間的に放して岩に重心を張り付かせて体を無理やり引き上げる。油断できない。それでも予想よりも気分的には早めにこの尾根を抜けて、緩やかな傾斜になってきた。雲ノ平に立って、きっとそろそろ下山しきって移動している最中だろうなと思う。
木道は樹林と庭園の様な景色を行ったり来たりして進む。
小屋を見つけて、そのあとでとりあえず祖母岳へ寄り道する。
空身でいくとあっという間で、山頂は地塘が広がる広場だった。
戻っていくと、木道に登山者がポツリと行く姿が見える。私も行こう。
雲ノ平山荘はおしゃれな作りの新しい小屋。
お腹がとにかくすいたので、スパゲッティのカルボナーラとおでん、コーヒーを頂いた。あっという間に口の中へ。
表にあった看板には、晴天で渇水気味で水の歩荷をテント場からお願いしたい旨が書かれていた。迷いに迷ったが、疲れと足の指の豆に負けてしまった。テントを張ったら動けない気がした。なんと弱いんだろうと思いながら、木道を上がると、短パンの男性がすごい勢いで背中に背負子、水20Lのタンクをのせて駆け下りてくる。いわく、これでビールを飲むのだと(!)いう。ピンバッジか500円利用券だと書いてあった。きっと、きっと、格別の味だろう。いやあ、すごい。
テント場は中央過ぎず、地面の条件の良いところを探して立てる。広いテント場だが、いい場所はさほどない。ほとんどが岩がごつごつしているのだ。
水場までも岩を移動するので、クロックスのテントシューズでは結構良くなかった。
豆になった足に余計な負担。早々に夕飯にして、早めの就寝。明日はどうしよう。
天気は良くないようだ。携帯が通じないので、一般の天気予報だけ。起きてからの体調と天気で決めよう。
17日、朝からガスの中、小雨。風は強くないので稜線も歩けるが気持ちはよくない。
ここで双六方面に移動しても日程的に早く下りるだけになるので、天気の関係ない高天原温泉へ行くことにする。ザックの雨蓋に水と行動食、ナノタオル、地図とカメラ、ロガーを突っ込んで外に出る。身は軽いからとひょいひょいとあまり考えずに岩の上を移動したら、つるっと滑って50cm位したの地面にひっくり返った。少し呆然としながら、痛さの探索をする。右ひじは少し。左ひざは折り曲げが強い状態で力を入れると痛みが走る。まあ、気を付ければ大丈夫そう。よいしょ、と立ち上がって、気を抜くなと自分を叱る。高天原山荘への下りは急坂、梯子で先行していた山岳部のパーティーをパスさせてもらう。ぐんぐん下り、ちいさいキノコが生える道のわきに目をやりながら高天原峠付近で私と同じような考えのテント泊中の男性が抜いていった。尾根から降りて、平原をゆるやかにたどると、森の端に小屋の屋根が見えた。トイレをお借りし、水を頂く。ここから温泉沢へ尾根を小さく越える。温泉から上がった二人の女性とすれ違う。ざあーっと沢音がして、硫黄泉のかおりがした。河原の野湯には先ほど先行した男性が気持ちよさそうに入っている。
私は対岸の女性用のお風呂へ。先に二人入っていたが、ちょうど終わって出るところ。主人のストックはなんとなく温泉の入口の外。ちょうどいい湯加減の温泉の香りを漂わせる湯を存分にかぶる。意識せずに声がでる。足の豆がジンジンと痛いが、それも慣れて湯船につかった。雨が落ちてきて、徐々に強く なった。女性風呂には屋根部分が湯船に少しかかっているので、そこで過ごす。いつの間にか、先行した男性は上がって帰っていた。汲んできた水で洗濯をして、温かい温泉の脇で雨が弱まるのを待った。誰も来ない。雨がふりしきる。
すっと引けてきた雨をみて、帰りに取り掛かった。小屋でカップラーメンが売り切れていたので、行動食だけでなんとか移動する。大汗かかないように、ゆっくりとしたペースで登る、さすがに梯子でハイペースになったのか背中に一筋汗が流れて、まずいまずい、と言いながら再度ペースを落とした。
雲ノ平山荘で今度はカレーライスにし、携帯が使えるところを聞くと、先ほど来た高天原への道を10分位のぼった岩のうえでかろうじて、(行きで試したが入らず断念した付近…)あとは祖父岳山頂付近とのこと。仕方ないとあきらめてテント場方向に戻った。水の歩荷の募集看板は雨のおかげか下げられていた。
ふらふらと祖父岳側に歩きながら、携帯が入らないかなあ、むりかなあ、と思いながら歩くが、入らない。仕方ないので電源停止の操作をして戻る。スイス庭園か、ちょっとだから行ってみよう。木道を入った。ん?ブルブルっと音がする。慌ててみると、携帯電話の電波がある。停止操作がちゃんとできていなかったみたいで、それで功を奏したみたいだ。天気予報は、、今日と同じ、ガス。雨はありそうだけど風は弱そうだ。稜線も歩ける。早めに移動をはじめて、双六へ。鷲羽岳も越えていこう。
テント場に戻って、夕飯の支度を始めたころ、テントに隣人がやってきた。玉子かけごはんにコロッケの夕飯が終わってガスが引け始め、18時には寝る体制。明日は少し長い。出掛けていた隣人は戻ってきて、夕飯作るか、晴れたガスで見える展望をカメラに収めるか相談している。うとうとして、隣が飲みはじめ、徐々に声が高って起こされる。19時過ぎてもまだ夕飯になってない。うとうとして、叫び声で起こされる。傾斜地で鍋をひっくり返したと。しばらくしてまた叫び声。またまた鍋をひっくり返した、と。今度は着火が効かない、ライターは圧電式だからつかない、火が着いたらバーナーヘッドに水をかけたのか、火の出方がおかしい、と大騒ぎだ。結局バーナーを使い終えたのが19時50分、20時過ぎて、外に出て、「星すげー」とテントのすぐそばで叫ぶので、あまりにうるさく「いい加減にしてくれませんか!」とブチ切れてしまう。
ごそごそと隣が寝に入ったら、周囲には完全な静寂が訪れた。
18日、イライラした気分のまま3時に起きる。朝ごはんして出発の支度して4時半にテント場を後にする。思ったよりも天気は良い。もう雲ノ平山荘から出発したと思しき人は同じく木道を歩いている。祖父岳への分岐近くからテント場が見える。まあ、いいや、という気持ちになって、山頂に向かう。ガスの中にケルンが積まれたおとなしい山頂。ここから、稜線独特のトラバースとアップダウンが少しある。意外にあっさりと岩苔乗越へやってきた。ちょうど、高天原方面から一人、私が祖父岳から、源流から4人が上がってきて動線が交差した。記憶にまだ新しいワリモ北分岐へのきついザレた斜面をジグザグ登る。分岐からはさほどきつくない登りを少し狭くなった道幅でこなす。一気に人が増える。三俣山荘からだろうか。軽装が多い。ちょっとすれ違いで道をよけようとしたら、そこのワリモ岳の山頂標識があった。ちょっとの下り、登り、ガスを抜けて鷲羽岳の山頂につながった。やはりと言ってはなんだが、ガスの中だ。雨も混じってきたが、雷が鳴っていないだけで素晴らしい。
ちょっと滞在して、三俣山荘へ下った。なんだかお腹が今日は調子がよくない。お手洗いを借りたくて、すこし道を急ぐが、足の指の豆が響く。かばいながら急ぐと膝に来る、足に来るのだがしょうがない。三俣山荘でほっとして、うどんを頂いて小雨も混じる中、先に進む。やはり足は重いので、申し訳ないが三俣蓮華の山頂は今回は巻き。この巻き道もすきだ。花のなか、小川が時々。今回は渇水で川の形跡だけなのが残念。ゆっくりと、でも確実に進めて、疲れで困るころ双六小屋のテント場に着いた。山岳部が二団体、そのそばにテントを張らせていただく。張りながら雨が強まってきて、急いで立てて中に荷物を放り込んだところでジャーっと雨が流れ落ちてきた。気温が一気に下がる。でもテントの中だから大したことはない。
弱まった時を見計らってテント受付へ。戻って雨が続くので、禁断のガソリンバーナー室内使用で夕飯を作る。一気に暑くなる。とんでもない熱量。しっかりと食べれば寒さはそんなに感じなくなった。しばらくして、雨が上がって翌日行く笠ヶ岳が遠くに見えた。
19日、やはり山岳部は朝早い。こちらの3時設定よりも15分位早く朝が始まった。
出発はほぼ同刻、彼らはあっという間の速さで同じ稜線に乗っかっていった。
こちらはいつも通りののんびりペース、太陽が顔出す稜線はギザギザと突き出している。弓折分岐までは何度か来た道。記憶通りで安心する。天気予報は下界は曇りで午後3時で雨。だが、だが、雲上の楽園がまだ展開されている。しばらく進んで笠ヶ岳に続く稜線を進むと、徐々にガスが上がってきた。秩父平を越えるころ、白くなってきた。笠ヶ岳はどっしりと構えて、いくつもの、幾十もの守備を備えている。一つ越え、二つ越え、まだまだ、まだまだ、、
抜戸岳への登りは入口の→のみで岩の堆積をよじ登る。山頂には少し戻り、東側にも道らしきがあるが、よくわからずに適当にまた岩の堆積を戻った。ガスで先が見えない中、まだかな、とおもうと抜戸岩。おもしろい城塞のようだ。ゆっくりゆっくりと高度があがると、テント場に出た。水は枯れていて、後で小屋に往復する羽目になった。テント場はフラットな場所が多く、風よけの石積みもある。気持ちよく立てさせていただき、山頂に軽々とした格好で出かける。ガスの中だが、今回最後の山頂だ。ミクリ谷方向の登山道を見ると、鋭い岩の積み重ねをグングンと下りていく。朝の早くに歩けるところではないので、帰り道は笠新道に決める。テントで早くからご飯にしてしばらくしたら、天気の良い明日の予報とまでに一部の槍穂高の連なりが見えた。
20日、最終日。朝から支度して小屋にトイレを借りに行く。天気は良くて、その間にテントが下面まで乾く。今日は帰らなくてはならない。鈍足だから早くと少し気はせくまま、稜線を戻る。やがて日が昇り、周囲を照らし、槍ヶ岳の横がまぶしくなった。杓子平へぐっと下り、尾根を向こうに渡る。ジグザグの岩が突き出す登山道は歩きやすくはない。北岳の下りを思い出しながら、大変だった南岳新道よりは歩きやすいとなだめながら、急な坂を一気に下って行った。なんだか今日はいつもより早い。林道に出て、グングン歩いて、バス停に着いた。そこではじめてザックを下して気が付いた。一つ忘れ物をしている。バスで平湯に移動してから、テントポールが山荘に届いているとの確認をした。ああ、どうしてこうおっちょこちょいなんだろう。周り見渡して確認した、つもり、でしかなかったとは。
まあ、大きなけがなく歩きとおしたことはよいことだよね、と慰めた。
今回二回雨具のまま岩場でずりっと滑り、岩場ではいつもの癖で重心が岩に近くなるので摺り足で雨具がこすれるのを気にせずに登っていました。ファイントラックのエバーブレスフォトンは穴が空いたりせず(以前のモンベルのトレントフライヤーは穴だらけになった…)に済んでいます
そして、後日談
当日気づいて連絡したテントポールは、山小屋の方が下山するのに合わせて一緒に街までもって下ろしていただけました。下におろす手間賃も含めて請求してくださいと申し上げましたが、「ついでだからいいよ」と、、本当にありがたいです。
いずれ、お礼を申し上げに行きたい…
そして、無事ポール、届きました m(_ _)m
「山とエバーブレスと私」写真投稿キャンペーン by finetrack(ファイントラック)
こんにちは!
次回は是非・コマちゃんのザックの中へ忍びこまさせて頂きます
自分が十分には入れる大きさのザックですね
でも、雨はお二人に付き物ですが・・
晴天の中の稜線を歩けて最高ですね
あはは
komaのザックは確かに大きいのですが、色が更に大きく見せているようです
ま、背負う人の体格も更に大きく見せているでしょうけどね
komadori さま
shun-s さま
ご無沙汰です。
忙しい中やりくりして大縦走チャレンジ計画、、、&、、実行
やると思えばどこまでやるさですねー
なかなかできることではありませぬ
やっぱ高天原の露天
山ガも山ボも生まれたままで
で、生野菜はどーしたの
担いだの?
野草でしのいだの
高天原、テントが張れないのが難点ですねー
張れたらもう、天国なんですけど
いつか、小屋どまりでいいから、夜の星降るなかで入ってみたいですね
スケジュールはどうにかなるけど、体力つけるためのトレーニングの時間がとれないのが痛い
あ、今回の食事は「極食」シリーズで、茄子の揚げ煮だの、きんぴらごぼうだの、ほうれん草のごまあえだのを活用してました
あ、道草ならぬ、道の端の木の実?ブルーベリーみたいのはつまみ食いしたりしました
shunさんにkomadoriさん凄すぎるので・・・・汗・・7泊・・・無理無理ザックデカイ(笑)高山病???なるんだね
北アルプス、結構便利だからお気軽お手軽に歩けますよ〜
高山病になるのはkomadoriだけで、shunは富士山でも出ません〜
人気のルート歩くと、お盆には人が多いけど、少し外れたら静かに歩けるから大丈夫
荷物が多いのは、持ち物を削るのが面倒だから
本当はもっと小さくまとめても大丈夫です
ん?高山病?
昔、観光でマッターホルンの麓にスキーをしに行ったときは、
確か3900m位までロープウェイで上がってたけど、
何も気にしないで元気にスキーをしてましたが・・・・・何か?(・-・?)
今だったら履くのはスキーじゃなくて、12本爪のアイゼンだろうな〜(笑)
そうそう、今回わかったんですが、北アルプスもルート次第ではお盆でも人が少なめな所があるんですよ。
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