立山・奥大日岳《日本百名山》
- GPS
- 31:19
- 距離
- 24.8km
- 登り
- 1,583m
- 下り
- 3,036m
コースタイム
- 山行
- 3:18
- 休憩
- 1:33
- 合計
- 4:51
- 山行
- 6:26
- 休憩
- 2:34
- 合計
- 9:00
過去天気図(気象庁) | 2019年08月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
扇沢〜室堂間はアルペンルートバス・ケーブル・ロープウェイ・トロリーバス利用 |
コース状況/ 危険箇所等 |
3,000m級の岩山の危険はあるがよく整備されている |
その他周辺情報 | 立山吉峰温泉\610 |
写真
感想
1日目(8/23)
扇沢駅に着いたときは大雨だった。予定していた内蔵助谷は諦め取り敢えず5,860円を投資し、アルペンルートで室堂まで行くことにした。関電トンネルは昨シーズンでトロリーバスが廃止され電気バスとなった。黒部ダムに到ると雨も止み大タテガビンや黒部の山々が姿を現していたが、谷の水量は多く直ぐには収まらないだろう。ダムサイトを歩きケーブルカーで黒部平迄来ると対岸の赤沢岳がすっかり姿を現していた。ロープウェイで大観峰に到ると雲はどんどん上がり晴れてきた。日本で唯一となったトロリーバスで室堂に到るともう迷うことなく一ノ越経由で予約をしている内蔵助山荘に向かうことにした。
立山登山の基地となる室堂は、最悪の天気予報だった所為か人が少なく丁度よい。玉殿の湧水の前で記念撮影をして歩き始めた。日本最古の山小屋“室堂”に立寄り重要文化財を見学した。玉殿岩屋への分岐を見るとロープで通行止めとなっていた。天候は劇的に回復し時々陽が射すようになった。一ノ越に到ると急に風が強くなり体温を奪われた。
本格的登山道となり1列になり岩場に取り付き雄山を目指した。通常は沢山の登山者が行き交うので登山道は登り下りが分けられ完全に複線化されていた。雄山の肩に乗り上がると1等三角点「立山」(2,992m)があり、平成10年に更新された点標は綺麗な状態だった。雄山(3,003m)山頂には立山雄山神社の社殿がありこの季節は神主が常駐し社務所で500円払うと「日本三霊山 立山頂上登拝」のお札と鈴の付いた「立山雄山神社」のお札を渡され、山頂でお祓いを受けることができる。逆に言うと「500円払わないと登頂できない。」ということで登頂したのは僕一人だった。
神主の話によると総体山名“立山”と云うのは剱岳から薬師岳までを指すそうだ。立山最高峰は大汝山(3,015m)で雄山の北に位置する。縦走路から東に逸れ岩場を這い上り山頂に達した。天候の回復は劇的で雨具を着て辛うじて歩けるかと覚悟していたのに剱岳、後立山から北アルプスの核心部、明日行く大日岳の稜線など全て見通すことができた。北側直下には休憩舎があり扉もあるので荒天時には助かるだろう。岩場の稜線を更に北上すると富士ノ折立(2,999m)で縦走路から外れるが登山路が付けられているので荷物をデポして這い登った。ガスが飛んできて一部視界が遮られた。
内蔵助カールの源頭の稜線へと200m近く下り、万年雪を湛えるカールに内蔵助谷からの登山道を見ることができた。カール左岸の端には、40年ほど前まで内蔵助山荘が建っていたという跡地に石垣の跡が残っているのが確認できた。50m程登り返し真砂岳の肩に到った。P2860の麓を巻くように道があり大走りのもう一つの下降点だ。此処を登ってきて内蔵助山荘に宿泊すると云う男性グループが一休みしていた。真砂岳(2,861m)は、その名の如く砂交じりの裸山で富士ノ折立までの岩稜とは大きく山容が異なっている。
山頂は西風の通り道で忽ち体温を奪う。山頂の東側にしゃがむと風が防げ、小屋まで後10分で着いてしまうのでゆっくり陽だまりの午後を楽しんだ。内蔵助山荘は真砂尾根を300m余り下った処にあり、中途半端な位置なので利用者は少ないかと思っていたが、適度な利用状況だった。4人で1部屋があてがわれ、ザックは廊下の所定の場所に置き室内への持ち込みは禁止されていた。数年前に雪崩で被災し建て替わったそうで整理整頓の行き届いた快適な小屋だった。皆疲れが出て夕食までのひと時、ビールの提案に誰も乗らず仮眠して過ごした。
【登山データ】天候:曇り時々晴れ 歩行5.4 4時間51分 延登高754m 延下降383m 4座登頂
2日目(8/24)
2日目の小屋は雲の中、真砂岳に登り返すと風が強く寒い。通過して大走り登山道を下りだすと風が弱まった。這松帯でガスに覆われた絶好の雷鳥日和とあって、辺りに注意を払いながら進んだが姿を見せてくれなかった。標高が下がり雲の下に出ると見通しが利き雷鳥沢や地獄谷が見通せた。山頂から1時間弱で雷鳥坂分岐に達した。雷鳥沢で泊った人たちは続々動き出し、大半は雷鳥坂に進むようだ。新室堂乗越方面は我々が1番乗りのようだ。20分程で新室堂乗越に至り休憩を取った。追いついた女性が先行し、次に来たグループは劔御前へと進んで行った。
剱御前に纏わり付いたガスは取れそうで中々取れない。なだらかな稜線を進んで行くと室堂乗越で嘗ての登山道らしき道形が称名川へと下って行った。新室堂乗越から先行した女性を再び追い越しカガミ谷乗越に到った。“乗越”とは云うがピーク性があり山名として数えることにした。この辺りからは剱岳が全身を表しよく見える筈だが、山頂のガスはしつこい。奥大日岳は三角点のある2,606mのピークが山頂とされているが、東のピークは2,611mあり最高点となる。嘗ては稜線を縦走路が通っていたようだが廃道となり今は南側を巻いて通過している。今回の目的の一つは前回登らなかったこのピークに登ることだった。巻道の開始点で道跡を探ってみるが道形はなく斜面を見上げ取付きを探しながら進んだ。這松帯では急斜面を攀じる訳にもいかず頂上南直下のガレ場に登路を見出し取付いた。
落石の危険と草付きの露とで同行3人は巻き込まず一人別行動で這い上がった。前方に現れた這松を左に躱して草付きを拠って進んだ。稜線に這い上がった処は山頂の30m程西、引き返すようにしてピークに到った。ケルンが積まれただけで標識等は無かったが無名の標高点ではかわいそうなので奥大日岳東峰(2,611m)として1座に数えた。付近には盛りを過ぎたイブキトラノオの群落があった。一息入れていると奥大日岳山頂で会おうと先行した3人が登ってきた。西側の鞍部から明瞭な道が付いているようだ。鞍部に戻る際、北側斜面に雷鳥の親子を発見した。雛4羽を守るように親が首を伸ばし警戒している姿が見られた。
北側の鞍部に下り、分岐に到ると「通行止め」の表示があったが特に危険個所はなく山頂までは明瞭な道があるので公認してもよさそうな感じだった。やがて先程追い越した女性が追い付いたので最高峰への立ち寄るように勧めておいた。奥大日岳西峰(2,606m)は縦走路から10m程飛び出したところが山頂で傾いた3等三角点「奥大日」が迎えてくれた。日本二百名山に数えられた山で剱岳や立山の展望が素晴らしい筈だが、ガスに覆われて周りの景色は見ることができなかった。休憩していると室堂からピストンすると云う男性が登って来た。
奥大日岳からは長い岩場の急坂で慎重に下った。奥大日岳は険しい山ながら高層湿原を伴い彼方此方に池塘がある。久しくお目にかからなかったキヌガサソウにも出会うことができた。花期が過ぎつつあるのか一寸元気がなかった。七福園は紅葉の素晴らしい処で平成6年9月に登ったときは恰も紅葉の季節で奇岩とナナカマドの織り成す景色に感動したものだ。あれからもう25年も経ったのだ。七福園から少し登ると中大日岳(2,500m)で気が付いたら下りに転じていた。ピークを認識しないまま通過したが一体どんなピークだったのだろう。大日岳との鞍部へと下りて行くと大日小屋に到った。ランプの小屋で根太は少し傾いていた。
分岐にザックをデポし大日岳をピストン、標高差は85m程だが意外に遠く感じる。山頂には2等三角点「大日」(2,498m)があるがこの点標も傾いていた。この山の最高点は三角点の10m程手前にある。何の表示もないが最高所は2,501mあるので帰りに踏んできた。奥大日岳、剱岳は相変わらず雲を纏っている。後は大日平へ下るだけなので鞍部に戻り大休止を取り、剱岳の姿が現れるのを待った。お湯を沸かしコーヒーを飲んで寛いでいたが遂に剱岳の姿を見ないまま下山にかかることになった。
標高差850m余りの大下りで険しい部分もある。下り始めると直ぐに大日平小屋が俯瞰できるが遥かな行程のように感じた。途中に水場があり唯一の目印ポイントだ。大日小屋に泊まると云うパーティーが何組か登って来た。傾斜が落ち着くと大日平で木道が整備されたエリアとなった。13:22小屋に到着したが直前に荷揚げヘリが荷物を下ろして行ったので、今運び込みの真っ只中だったのでザックを置いて不動滝展望台に行くことにした。遠くまで歩くつもりで出発したが実は小屋のすぐ裏側だった。称名川の支流一の谷から流れ落ちる不動滝(落差90m)が正面に見えた。称名川を挟んだ左岸は弥陀ヶ原で弥陀ヶ原ホテルやアルペンルートのバスが行き交っていた。
30分程展望台で寛ぎ小屋に戻るとお風呂が湧いていると云う。山小屋でお風呂に入れるのは有り難いことだ。石鹸シャンプーは使えないが汗を流すだけでも心地よいものだ。今日の宿泊は我々と常連さんグループの2組7人だけだった。土曜日だと云うのに寂しいものだ。立地上中途半端な位置で今日も下りてしまえないこともなかった。今日は皆元気で夕食までの2時間余り、生ビールだけでは足りず缶ビールを追加して至福の時を過ごした。食事内容も良く、1泊2食付き9,500円で内蔵助山荘の1泊夕食付と同じ値段だった。
【登山データ】天候:曇り一時晴れ 歩行12.9 9時間00分 延登高809m 延下降1,844m 5座登頂
3日目(8/25)
昨夜は雨が降ったようだ。見上げると大日岳は雲の中、大日平はたっぷり露を含み静寂を保っている。高原の先には富山の街が見える。小屋の朝食を食べ6:30に出発した。大日平は平成24年7月にラムサール条約に登録された湿地で木道がほぼ完璧に整備されている。なだらかに下りが続き先端部に到ると急坂が始まり鎖や梯子の瘦尾根を慎重に下った。右側からザクロ谷が近づくと牛ノ首の鞍部で此処から称名坂が始まる。激下りでこの間に20組近いパーティーとすれ違った。途中に“猿が馬場”という僅かな広場があり休憩ポイントとして登りの人達が憩うていた。
向い側の弥陀ヶ原から流れ落ちる長い滝が見える。ハンノキ滝のようだ。雪解けの時期だけ現れる滝だが落差は500mあり日本一の称名滝を超える落差がある。此のところ続いた雨で現れたようだ。暫くは滝を見ながら高度を下げ、軈て称名滝への遊歩道に下り立った。600m程称名川を遡り称名橋に到ると増水して豪快な水量の称名滝とV字に滝壺に注ぐハンノキ滝の飛沫は雨のようだった。左岸に渡り展望台に到ると飛沫はなくゆっくりと滝を鑑賞できた。
称名滝バス停に引き返す途中に八郎坂への道が分岐したが、途中で出会ったトレランナーが通行止めになっていると云っていた。入口に特段の掲示はなかったが橋を渡った処にバリケードが置かれているようだった。富山地鉄バスに乗ると弥陀ヶ原の斜面に“悪城の壁”を眺め立山駅に近づくと駐車場には多くの自家用車が止められアルペンルートの観光・登山の人気を物語っていた。扇沢から自家用車回送サービスを利用したので駅前で車を受け取ることができた。立山吉峰温泉に立ち寄り汗を流し帰路に着いた。
【登山データ】天候:曇り時々晴れ 歩行5.6 2時間28分 延登高87m 延下降878m 0座登頂
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