沼平駐車場で車中泊し,朝5時ごろ出発。信濃俣林道を目指して畑薙第一ダムの湖岸道路を歩いていく。
朝の光に満ちた空には雲一つない。今日一日は晴天が約束されそうだ。明日から天気が悪くなりそうなのが気がかりだが…。
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9/27 5:24
沼平駐車場で車中泊し,朝5時ごろ出発。信濃俣林道を目指して畑薙第一ダムの湖岸道路を歩いていく。
朝の光に満ちた空には雲一つない。今日一日は晴天が約束されそうだ。明日から天気が悪くなりそうなのが気がかりだが…。
畑薙第一ダムから右岸側にある信濃俣林道に入り,小一時間ほど歩くと,林道が大きく崩壊している箇所に出る。その手前に写真の石垣があり,その下からダムの湖岸に向けて踏み跡が続いている。釣り人が良く入るせいか,踏み跡は比較的明瞭で,残置ロープも張ってある。
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9/27 6:20
畑薙第一ダムから右岸側にある信濃俣林道に入り,小一時間ほど歩くと,林道が大きく崩壊している箇所に出る。その手前に写真の石垣があり,その下からダムの湖岸に向けて踏み跡が続いている。釣り人が良く入るせいか,踏み跡は比較的明瞭で,残置ロープも張ってある。
踏み跡を少し降りると吊橋に到着。この吊橋を渡って左岸側から入渓するのが定石のようだが,今回は橋の下に既に水がなく,こちら側からでも入渓できそう。吊橋を渡らず,吊橋のたもと辺りから上流側に続いている踏み跡をたどっていく。
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9/27 6:44
踏み跡を少し降りると吊橋に到着。この吊橋を渡って左岸側から入渓するのが定石のようだが,今回は橋の下に既に水がなく,こちら側からでも入渓できそう。吊橋を渡らず,吊橋のたもと辺りから上流側に続いている踏み跡をたどっていく。
明瞭な踏み跡は小さな尾根状の地形を通って河床まで続いており(残置ロープもあり),スムーズに入渓できた。
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9/27 6:48
明瞭な踏み跡は小さな尾根状の地形を通って河床まで続いており(残置ロープもあり),スムーズに入渓できた。
降り立った河原にはまったく水が流れていない。かなり減水しているようだ。先週の台風で増水しているのではないかと心配していたので,一安心。谷間に朝の光が差し始めた。
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9/27 6:56
降り立った河原にはまったく水が流れていない。かなり減水しているようだ。先週の台風で増水しているのではないかと心配していたので,一安心。谷間に朝の光が差し始めた。
かなりの距離を歩いてやっと水が流れ始める。
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9/27 7:08
かなりの距離を歩いてやっと水が流れ始める。
しかし,さすが南アルプス,本当に大きな谷と広い河原だ。普段の小さな山の小さな沢と違った,巨大な山脈の大河川を歩いているのだという実感がわいてくる。川はゆったりと蛇行を繰り返し,そのたびに右に左に渡渉を繰り返していくが,もし増水していたら(つまり,この川幅いっぱいに水が流れていたら…)かなり困難を強いられるだろう。
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9/27 7:37
しかし,さすが南アルプス,本当に大きな谷と広い河原だ。普段の小さな山の小さな沢と違った,巨大な山脈の大河川を歩いているのだという実感がわいてくる。川はゆったりと蛇行を繰り返し,そのたびに右に左に渡渉を繰り返していくが,もし増水していたら(つまり,この川幅いっぱいに水が流れていたら…)かなり困難を強いられるだろう。
とはいうものの,しばらく歩くとさすがに両岸が迫り始め,岩もゴツゴツし出し,見慣れた沢の風景になっていく。しかし,減水しているとはいえ,水量は豊かで,とても冷たい。
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9/27 8:52
とはいうものの,しばらく歩くとさすがに両岸が迫り始め,岩もゴツゴツし出し,見慣れた沢の風景になっていく。しかし,減水しているとはいえ,水量は豊かで,とても冷たい。
穏やかで爽快な流れをゆったりと遡っていくと,入渓から2時間ちょっとで西河内出合い(左が西河内,右が本流)。出合いの右岸側にビバークした跡があり,ここから本流沿いに沢靴の跡が続いていた。先行者があるようだ。
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9/27 9:14
穏やかで爽快な流れをゆったりと遡っていくと,入渓から2時間ちょっとで西河内出合い(左が西河内,右が本流)。出合いの右岸側にビバークした跡があり,ここから本流沿いに沢靴の跡が続いていた。先行者があるようだ。
西河内出合いから本流側に入るとすぐに「瀬戸」と呼ばれる短いゴルジュ帯。両岸の岩が少し立つが,特に目立った滝はなく,水量の少ない今回は通過は容易だ。
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9/27 9:21
西河内出合いから本流側に入るとすぐに「瀬戸」と呼ばれる短いゴルジュ帯。両岸の岩が少し立つが,特に目立った滝はなく,水量の少ない今回は通過は容易だ。
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9/27 9:21
瀬戸を過ぎると大きく空が開け,まっすぐ伸びる谷の向こうに仁田岳から連なる尾根が見える。
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9/27 9:35
瀬戸を過ぎると大きく空が開け,まっすぐ伸びる谷の向こうに仁田岳から連なる尾根が見える。
しばらくすると谷は再び屈曲し始め,すこしゴルジュ状の部分も出てくる。水も岩も清く美しい。谷が曲がるたびにゆるやかに展開していく風景を楽しみながら遡行していく。
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9/27 10:41
しばらくすると谷は再び屈曲し始め,すこしゴルジュ状の部分も出てくる。水も岩も清く美しい。谷が曲がるたびにゆるやかに展開していく風景を楽しみながら遡行していく。
やっと三俣に到着。入渓から4時間かかったことになる。右側の本流へと歩を進める。西河内出合いから続いていた先行者の足跡はここで消えてしまったので,おそらく左方向の中俣沢か小沢に入ったのだろう。
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9/27 10:49
やっと三俣に到着。入渓から4時間かかったことになる。右側の本流へと歩を進める。西河内出合いから続いていた先行者の足跡はここで消えてしまったので,おそらく左方向の中俣沢か小沢に入ったのだろう。
三俣を過ぎると小滝が現れ始める。ここまで滝は皆無に近かったので,おそらく写真の滝が入渓してから初めて出会う滝。
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9/27 10:59
三俣を過ぎると小滝が現れ始める。ここまで滝は皆無に近かったので,おそらく写真の滝が入渓してから初めて出会う滝。
両岸が狭まり,谷底が暗くなる。どうやら第一ゴルジュ帯に入ったようだ。
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9/27 11:13
両岸が狭まり,谷底が暗くなる。どうやら第一ゴルジュ帯に入ったようだ。
いくつか小滝を越えた後,青く深い淵を持った写真の滝が現れる。一見,泳がされそうだが,右手の壁の水面下に足場が続いており,水面より上の壁にもガバホールドが豊富で,意外と簡単にへつっていくことができる。最後は滝のすぐ右手の岩を登って乗り越す。
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9/27 11:17
いくつか小滝を越えた後,青く深い淵を持った写真の滝が現れる。一見,泳がされそうだが,右手の壁の水面下に足場が続いており,水面より上の壁にもガバホールドが豊富で,意外と簡単にへつっていくことができる。最後は滝のすぐ右手の岩を登って乗り越す。
この後も小滝が頻繁に出てくる。第一ゴルジュ帯は,ずっとゴルジュが続くというよりは,ミニゴルジュと平流が交互に現れるといった感じ。
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9/27 11:28
この後も小滝が頻繁に出てくる。第一ゴルジュ帯は,ずっとゴルジュが続くというよりは,ミニゴルジュと平流が交互に現れるといった感じ。
きれいな造形の淵と岩壁。
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9/27 11:36
きれいな造形の淵と岩壁。
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9/27 11:40
ここは水線沿いは難しそうだったため,少し戻って左岸から高巻く。高巻きはそれほど難しくない。
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9/27 12:10
ここは水線沿いは難しそうだったため,少し戻って左岸から高巻く。高巻きはそれほど難しくない。
おそらく釣り師さんのものと思われるトラロープが張ってある箇所があり,そこから谷に戻る。
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9/27 12:20
おそらく釣り師さんのものと思われるトラロープが張ってある箇所があり,そこから谷に戻る。
すると目の前には兄弟のように仲良く並んだ二条の滝が。結局先ほどのトラロープの箇所を登り直し,この滝も高巻いた。
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9/27 12:18
すると目の前には兄弟のように仲良く並んだ二条の滝が。結局先ほどのトラロープの箇所を登り直し,この滝も高巻いた。
その先にもまた同じような二条の滝。
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9/27 12:38
その先にもまた同じような二条の滝。
この滝は右岸の小さなルンゼを少し登って,ガレた斜面をトラバースして巻こうとしたのだが,この斜面が意外に悪い。足元はズルズルのザレた急斜面で,しかも数歩先は滝つぼまで切れ落ちているので,少し緊張した。慎重に足場を選べば大丈夫だが,大事を取るなら,少し戻って別のルートを探したほうがいいかもしれない。
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9/27 12:49
この滝は右岸の小さなルンゼを少し登って,ガレた斜面をトラバースして巻こうとしたのだが,この斜面が意外に悪い。足元はズルズルのザレた急斜面で,しかも数歩先は滝つぼまで切れ落ちているので,少し緊張した。慎重に足場を選べば大丈夫だが,大事を取るなら,少し戻って別のルートを探したほうがいいかもしれない。
巨岩帯。沢中を行くと面倒そうだったため,左岸から巻いていく。
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9/27 13:16
巨岩帯。沢中を行くと面倒そうだったため,左岸から巻いていく。
これは泳げば直登できそうだが,さすがに南アルプスの天然水は冷たく,この頃には体が冷え切ってしまっていたため,大人しく右岸から巻いた。
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9/27 13:44
これは泳げば直登できそうだが,さすがに南アルプスの天然水は冷たく,この頃には体が冷え切ってしまっていたため,大人しく右岸から巻いた。
第一ゴルジュ帯を抜けると谷が開け,オリタチ沢出合を通過。
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9/27 14:10
第一ゴルジュ帯を抜けると谷が開け,オリタチ沢出合を通過。
魚影が濃くなってきたため竿を振ってみると,元気なイワナさんがぽんぽん手の中に飛び込む。しかもいちいちサイズが大きく,この谷では尺サイズが普通なようだ。さすが南アルプス,何もかも大きいぜ…。
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9/27 14:57
魚影が濃くなってきたため竿を振ってみると,元気なイワナさんがぽんぽん手の中に飛び込む。しかもいちいちサイズが大きく,この谷では尺サイズが普通なようだ。さすが南アルプス,何もかも大きいぜ…。
オリタチ沢の少し先,谷がくねくねと屈曲するあたりに入ると,再び谷がゴルジュ状を呈し始める。
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9/27 15:07
オリタチ沢の少し先,谷がくねくねと屈曲するあたりに入ると,再び谷がゴルジュ状を呈し始める。
第二ゴルジュ帯に突入したようだ。このゴルジュはこれぞまさにゴルジュといった感じで,高い側壁に圧搾された中を,白濁した奔流が身をくねらせつつ流れている。
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9/27 15:10
第二ゴルジュ帯に突入したようだ。このゴルジュはこれぞまさにゴルジュといった感じで,高い側壁に圧搾された中を,白濁した奔流が身をくねらせつつ流れている。
しかし側壁の水面下には意外と足場があり,最大でも腰ぐらいまでのへつりや渡渉でゴルジュの中を進んでいくことができる。今回は水量が少ないことも幸いしていると思うが…。
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9/27 15:12
しかし側壁の水面下には意外と足場があり,最大でも腰ぐらいまでのへつりや渡渉でゴルジュの中を進んでいくことができる。今回は水量が少ないことも幸いしていると思うが…。
そして見えてきた核心のゴルジュ出口の2m滝。これを越えさえすればゴルジュは終了,明るい開放空間が滝の上にもう見えている。さあ,これをどう越えてやるかだが…。
まず,ダメもとで滝を直登できないか水流の中に足をかけてみる。即,叩き落されそうになる。無理でした(笑)
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9/27 15:16
そして見えてきた核心のゴルジュ出口の2m滝。これを越えさえすればゴルジュは終了,明るい開放空間が滝の上にもう見えている。さあ,これをどう越えてやるかだが…。
まず,ダメもとで滝を直登できないか水流の中に足をかけてみる。即,叩き落されそうになる。無理でした(笑)
次に左手の壁。スリングが2つかかっており,足場もありそうだが,錆びたハーケンに体重をかけることがためらわれたため,念のため,別のルートがないか探してみることにした。
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9/27 15:18
次に左手の壁。スリングが2つかかっており,足場もありそうだが,錆びたハーケンに体重をかけることがためらわれたため,念のため,別のルートがないか探してみることにした。
滝の右手に大きな岩に挟まれた凹状部があり,そこから這い上がれないか試してみることに。泳ぎ覚悟で右手の壁に沿って渦巻く滝つぼの中に歩を進めると,意外なことに右壁に沿って水面下に足場が続いており,簡単に凹状部の下まで回り込むができた。そこから凹状部に這い上がろうとするが,ザックが重く体が上がらないため,岩の隙間にアイスハンマーをひっかけ,さらにそれにスリングをかけて手掛かりにして這い上がる(身軽な人なら,フリーでも行けると思います。)。そこまで登ってしまえば,あとは比較的楽に滝上へ登ることができた。突破成功。
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9/27 15:41
滝の右手に大きな岩に挟まれた凹状部があり,そこから這い上がれないか試してみることに。泳ぎ覚悟で右手の壁に沿って渦巻く滝つぼの中に歩を進めると,意外なことに右壁に沿って水面下に足場が続いており,簡単に凹状部の下まで回り込むができた。そこから凹状部に這い上がろうとするが,ザックが重く体が上がらないため,岩の隙間にアイスハンマーをひっかけ,さらにそれにスリングをかけて手掛かりにして這い上がる(身軽な人なら,フリーでも行けると思います。)。そこまで登ってしまえば,あとは比較的楽に滝上へ登ることができた。突破成功。
2m滝の上は穏やかな河原が広がっており,少し進んだところにあるヨモギ沢出合い付近の台地で幕とした。泳ぎはなかったとはいえ,一日中冷え冷えの南アルプス天然水に浸かり続けたため,体が冷え切っている。とりあえず焚火だ,焚火!
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9/27 16:59
2m滝の上は穏やかな河原が広がっており,少し進んだところにあるヨモギ沢出合い付近の台地で幕とした。泳ぎはなかったとはいえ,一日中冷え冷えの南アルプス天然水に浸かり続けたため,体が冷え切っている。とりあえず焚火だ,焚火!
信濃俣河内は薪となる流木が豊富で,ビバークするには天国のようなところ。プラティパスに入れてきたワインをちびちび飲みながら焚火を眺め,ゴロ寝して文庫本を読んでいるうちに,いつの間にか寝入っていたようだ。目覚めると木々の間に満天の星空。まだ天気は持ってくれている。思わず嬉しくなって微笑してしまう。燠になりかけた焚火に薪をくべ直し,再びシュラフにもぐりこんだ。
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9/27 18:52
信濃俣河内は薪となる流木が豊富で,ビバークするには天国のようなところ。プラティパスに入れてきたワインをちびちび飲みながら焚火を眺め,ゴロ寝して文庫本を読んでいるうちに,いつの間にか寝入っていたようだ。目覚めると木々の間に満天の星空。まだ天気は持ってくれている。思わず嬉しくなって微笑してしまう。燠になりかけた焚火に薪をくべ直し,再びシュラフにもぐりこんだ。
信濃俣河内の朝。焚火を起こしなおしたりコーヒーを飲んだりしてゆっくりしていたため,出発は少し遅めの7時ごろ。
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9/28 6:55
信濃俣河内の朝。焚火を起こしなおしたりコーヒーを飲んだりしてゆっくりしていたため,出発は少し遅めの7時ごろ。
ありがたいことに天気はまだ持ってくれている。秋の雲だな…。
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9/28 7:00
ありがたいことに天気はまだ持ってくれている。秋の雲だな…。
美しいナメの上をひたひた歩いていく。
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9/28 7:02
美しいナメの上をひたひた歩いていく。
しばらくは穏やかな流れが続く。
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9/28 7:08
しばらくは穏やかな流れが続く。
たぶんこれがホウキ沢出合。すごいガレ沢だ。
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9/28 7:43
たぶんこれがホウキ沢出合。すごいガレ沢だ。
そのすぐ先から第三ゴルジュ帯に突入。
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9/28 7:44
そのすぐ先から第三ゴルジュ帯に突入。
と思ったらすぐ谷が開けた。第三ゴルジュ帯は第一ゴルジュ帯と同じく,ずっとゴルジュ帯が続くというよりミニゴルジュが断続的に現れる感じ。
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9/28 7:46
と思ったらすぐ谷が開けた。第三ゴルジュ帯は第一ゴルジュ帯と同じく,ずっとゴルジュ帯が続くというよりミニゴルジュが断続的に現れる感じ。
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9/28 7:48
勢いよく水がひょんぐっている小滝。
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9/28 7:49
勢いよく水がひょんぐっている小滝。
ここも淵の右手を回り込むように足場が続いており,泳ぐことなく滝を直登することができた。思いっきり爆水を浴びることになるが…
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9/28 7:52
ここも淵の右手を回り込むように足場が続いており,泳ぐことなく滝を直登することができた。思いっきり爆水を浴びることになるが…
これはお見事。ぱっくりと割れたゴルジュの中に美しい二段瀑がかかっている。左岸から簡単に巻く。
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9/28 7:58
これはお見事。ぱっくりと割れたゴルジュの中に美しい二段瀑がかかっている。左岸から簡単に巻く。
二条の滝。左の滝の傾斜が緩く直登できそうな気がしたが,自重して(確か右岸から)高巻いた。
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9/28 8:12
二条の滝。左の滝の傾斜が緩く直登できそうな気がしたが,自重して(確か右岸から)高巻いた。
両岸が立った奥に,大きなチョックストーン滝が見える。一見して登れなさそうに見えたため,よく確かめずに左岸から高巻いてしまったが,高巻き中にゴルジュの中をのぞき込んだら,トラロープが張ってあるのが見えた。実は通過可能なのかもしれない。惜しいことをした。
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9/28 8:40
両岸が立った奥に,大きなチョックストーン滝が見える。一見して登れなさそうに見えたため,よく確かめずに左岸から高巻いてしまったが,高巻き中にゴルジュの中をのぞき込んだら,トラロープが張ってあるのが見えた。実は通過可能なのかもしれない。惜しいことをした。
深い淵を持った2mほどの滝。その奥にも滝が続いていそうだ。左右の壁はつるつるで回り込めない。左壁の浅いクラックに可能性がありそうだったが,自重して高巻くことに。
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9/28 8:53
深い淵を持った2mほどの滝。その奥にも滝が続いていそうだ。左右の壁はつるつるで回り込めない。左壁の浅いクラックに可能性がありそうだったが,自重して高巻くことに。
高巻きは左岸からだが,斜面を登りすぎると大高巻きになってすぐに谷に戻れなくなるので注意。斜面に取りついてすぐ左手の段差をよじ登り,すぐにトラバースに入れば小さく巻ける。写真は高巻き中にゴルジュをのぞき込んだところ。やはり滝がさらに2つほど続いているようだ。
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9/28 9:09
高巻きは左岸からだが,斜面を登りすぎると大高巻きになってすぐに谷に戻れなくなるので注意。斜面に取りついてすぐ左手の段差をよじ登り,すぐにトラバースに入れば小さく巻ける。写真は高巻き中にゴルジュをのぞき込んだところ。やはり滝がさらに2つほど続いているようだ。
そのままやや上昇気味にトラバースを続けていくと,断崖に阻まれて進めなくなる。断崖はかなりの高さと長さで谷の奥へ続いており,まともに高巻きしようとすると,かなりの大高巻きを強いられてしまいそうだ。
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9/28 9:13
そのままやや上昇気味にトラバースを続けていくと,断崖に阻まれて進めなくなる。断崖はかなりの高さと長さで谷の奥へ続いており,まともに高巻きしようとすると,かなりの大高巻きを強いられてしまいそうだ。
ふと足元を見ると,木の根っこに古いスリングがたくさん巻き付けてあった。先人たちもやはりここに行き着き,ここから懸垂下降して谷に戻っているのだ。しかし,今日は軽量化のため20mロープしか持っておらず,ここから谷底までとても届かない。思案の末,少し斜面を下がったところにある小さな立ち木まで戻ることに。その立木からなら手持ちのロープでも懸垂で谷まで届くだろう。
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9/28 9:14
ふと足元を見ると,木の根っこに古いスリングがたくさん巻き付けてあった。先人たちもやはりここに行き着き,ここから懸垂下降して谷に戻っているのだ。しかし,今日は軽量化のため20mロープしか持っておらず,ここから谷底までとても届かない。思案の末,少し斜面を下がったところにある小さな立ち木まで戻ることに。その立木からなら手持ちのロープでも懸垂で谷まで届くだろう。
立ち木まで戻り,ふと谷をのぞき込むと,なんと,その一箇所だけうまいこと岩が積み重なったようになっており,歩いて谷底まで降りることができた!こんな隠し通路があるとは…。ロープが短くなかったら,絶対に気づかなかった(笑)
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9/28 9:16
立ち木まで戻り,ふと谷をのぞき込むと,なんと,その一箇所だけうまいこと岩が積み重なったようになっており,歩いて谷底まで降りることができた!こんな隠し通路があるとは…。ロープが短くなかったら,絶対に気づかなかった(笑)
この立ち木が目印(と言われてもわかりにくいですよね…)。下降可能箇所は,草に覆われてわかりにくくなっています。
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9/28 9:17
この立ち木が目印(と言われてもわかりにくいですよね…)。下降可能箇所は,草に覆われてわかりにくくなっています。
谷に降り立った地点からゴルジュを見下ろす。3つの滝と淵が連なっており,なかなか壮観。
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9/28 9:19
谷に降り立った地点からゴルジュを見下ろす。3つの滝と淵が連なっており,なかなか壮観。
散発的なミニゴルジュと小滝を通過していくと,谷が開け,どうやら第三ゴルジュ帯が終わったようだ。西沢出合に到着。右手が本流の大春木沢,左手が西沢だ。今回は光岳の登頂も兼ねているので,西沢方向に入る。
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9/28 10:27
散発的なミニゴルジュと小滝を通過していくと,谷が開け,どうやら第三ゴルジュ帯が終わったようだ。西沢出合に到着。右手が本流の大春木沢,左手が西沢だ。今回は光岳の登頂も兼ねているので,西沢方向に入る。
本流の大春木沢が開けた明るい雰囲気なのに対して,西沢は暗く狭く,傾斜も強い印象。出合いからすぐ小滝が連続し始める。この滝は右岸から巻き。
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9/28 10:39
本流の大春木沢が開けた明るい雰囲気なのに対して,西沢は暗く狭く,傾斜も強い印象。出合いからすぐ小滝が連続し始める。この滝は右岸から巻き。
小滝が連続するが,通過は難しくない。
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9/28 10:55
小滝が連続するが,通過は難しくない。
すぐに南沢(左手)との出合に到着。今回は光岳方面への本流側からの最短ルートである南沢を遡行する。事前にネットや文献で調べたところ,西沢はよく記録を見るのだが,南沢については記録が見当たらなかった(きっと入っている人はいると思うのだが…)。ここからは全く情報がない領域になるので,少し緊張する。
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9/28 10:58
すぐに南沢(左手)との出合に到着。今回は光岳方面への本流側からの最短ルートである南沢を遡行する。事前にネットや文献で調べたところ,西沢はよく記録を見るのだが,南沢については記録が見当たらなかった(きっと入っている人はいると思うのだが…)。ここからは全く情報がない領域になるので,少し緊張する。
南沢に入るとさらに谷全体の傾斜が強まり,両岸も立って,険悪で暗い渓相に。小滝がひっきりなしに現れるが,それほどの困難さはなく通過していける。
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9/28 10:59
南沢に入るとさらに谷全体の傾斜が強まり,両岸も立って,険悪で暗い渓相に。小滝がひっきりなしに現れるが,それほどの困難さはなく通過していける。
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9/28 11:11
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9/28 11:24
出た!大滝だ。高さは大体15mくらいだろうか。今回の遡行で見た中では最大の滝であった。姿も整ってなかなか美しい。
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9/28 12:03
出た!大滝だ。高さは大体15mくらいだろうか。今回の遡行で見た中では最大の滝であった。姿も整ってなかなか美しい。
と,右手の斜面からガラガラと石が落ちてきた。斜面を見上げると…
げっ,クマだ!
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9/28 12:02
と,右手の斜面からガラガラと石が落ちてきた。斜面を見上げると…
げっ,クマだ!
しかも親子グマ!
子グマは遊んでいるのか,木を上り下りしており,大きな親グマは,その木の根元に座り込んでいる。親グマはもちろんこちらの存在に気づいているようで,時々気遣わしげにチラチラとこちらを見ている。親子グマといったら遭遇したら危険というイメージしかなく,かなり緊張が走ったが,目の前の親子グマは逃げもしなければ襲っても来ない。むしろほのぼのしたものだ。
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9/28 12:05
しかも親子グマ!
子グマは遊んでいるのか,木を上り下りしており,大きな親グマは,その木の根元に座り込んでいる。親グマはもちろんこちらの存在に気づいているようで,時々気遣わしげにチラチラとこちらを見ている。親子グマといったら遭遇したら危険というイメージしかなく,かなり緊張が走ったが,目の前の親子グマは逃げもしなければ襲っても来ない。むしろほのぼのしたものだ。
しかし遡行上の最大の問題は,親子グマのいる左岸側の斜面は傾斜が緩く,15m滝を高巻くなら絶対にそちらがルートだということ。逆に右岸側は,岩がちで傾斜がかなり立っており,普通の感覚なら高巻きたくない斜面…。といっても,まさか親子グマのいる斜面に突っ込んでいく勇気はない。
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9/28 12:09
しかし遡行上の最大の問題は,親子グマのいる左岸側の斜面は傾斜が緩く,15m滝を高巻くなら絶対にそちらがルートだということ。逆に右岸側は,岩がちで傾斜がかなり立っており,普通の感覚なら高巻きたくない斜面…。といっても,まさか親子グマのいる斜面に突っ込んでいく勇気はない。
親子グマが立ち去ってくれることを期待して少し待ってみたが,全く動いてくれる気配がないため,覚悟を決めて険しい右岸側から高巻くことに。うう…壁立ってるなぁ…嫌だなぁ…。
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9/28 12:10
親子グマが立ち去ってくれることを期待して少し待ってみたが,全く動いてくれる気配がないため,覚悟を決めて険しい右岸側から高巻くことに。うう…壁立ってるなぁ…嫌だなぁ…。
斜面を喘登しながら振り返ると,まだ親グマは同じ場所に座っており,こちらを見つめていた。もしかしたら,親子は遊んでいたのではなく,私が急に現れたので子グマが木の上に逃げ,親グマがその下で子グマを守ろうとしていたのかもしれない。そう思うと,クマに対し申し訳ない気分になった。
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9/28 12:02
斜面を喘登しながら振り返ると,まだ親グマは同じ場所に座っており,こちらを見つめていた。もしかしたら,親子は遊んでいたのではなく,私が急に現れたので子グマが木の上に逃げ,親グマがその下で子グマを守ろうとしていたのかもしれない。そう思うと,クマに対し申し訳ない気分になった。
しかし目下の問題は目の前の斜面だ。岩壁はかなり上まで続いており,途切れそうになかったため,適当なところでトラバースをかける。崩れやすいホールドを慎重に選びながら,登りやすそうなところを右上し,何とか滝上に抜けた。いろいろ貴重な経験だった…。クマさん,驚かせてごめんなさい。でも逆側の斜面にいてくれたら嬉しかったな…。
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9/28 12:14
しかし目下の問題は目の前の斜面だ。岩壁はかなり上まで続いており,途切れそうになかったため,適当なところでトラバースをかける。崩れやすいホールドを慎重に選びながら,登りやすそうなところを右上し,何とか滝上に抜けた。いろいろ貴重な経験だった…。クマさん,驚かせてごめんなさい。でも逆側の斜面にいてくれたら嬉しかったな…。
しばらく進むと8mほどの滝。
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9/28 12:30
しばらく進むと8mほどの滝。
左岸のこのガレが詰まる岩溝から巻いたが,この岩溝が岩はボロボロでガレはガレガレで,なかなか冷や汗をかかされた。登り切った後のトラバースも急斜面の靴幅系で結構怖かった。
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9/28 12:33
左岸のこのガレが詰まる岩溝から巻いたが,この岩溝が岩はボロボロでガレはガレガレで,なかなか冷や汗をかかされた。登り切った後のトラバースも急斜面の靴幅系で結構怖かった。
この後も小滝が続くが,しばらく容易。
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9/28 12:44
この後も小滝が続くが,しばらく容易。
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9/28 12:51
荒れた壁の中に細長い滝がかかる。傾斜は緩く容易に登っていける。
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9/28 13:19
荒れた壁の中に細長い滝がかかる。傾斜は緩く容易に登っていける。
登っていくにつれ,谷はV字谷状になり,さらに険悪な様相に。ゴルジュにその上の急な草付き斜面…。何だか日本海側の雪国の谷に似た渓相だ。おそらく,さすがに南アルプスでも,この標高になると積雪の影響を受けるのだろう。
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9/28 13:29
登っていくにつれ,谷はV字谷状になり,さらに険悪な様相に。ゴルジュにその上の急な草付き斜面…。何だか日本海側の雪国の谷に似た渓相だ。おそらく,さすがに南アルプスでも,この標高になると積雪の影響を受けるのだろう。
ついに出ちゃった…。V字状のなかに直登できない滝(5m位)。まず写真の左端に見えるガレの詰まったルンゼを這い上がろうとするが,上部にギャップがあり,そこが登れず仕切り直し。今度は右手の急な草付きから巻きにかかる。泥壁でアザミしかホールドがなく,当然痛い。泣ける。
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9/28 13:51
ついに出ちゃった…。V字状のなかに直登できない滝(5m位)。まず写真の左端に見えるガレの詰まったルンゼを這い上がろうとするが,上部にギャップがあり,そこが登れず仕切り直し。今度は右手の急な草付きから巻きにかかる。泥壁でアザミしかホールドがなく,当然痛い。泣ける。
急な草付きを慎重にトラバースしていくが,なかなか容易に降りられそうな緩斜面が出てこない。結局,30mほど進んでから何とか許容範囲内の斜面を見つけ,慎重に谷に降り立った。
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9/28 14:05
急な草付きを慎重にトラバースしていくが,なかなか容易に降りられそうな緩斜面が出てこない。結局,30mほど進んでから何とか許容範囲内の斜面を見つけ,慎重に谷に降り立った。
標高2200mの二俣。イザルガ岳の山頂直下に出る左俣も魅力的だが,おそらく猛烈なハイマツの藪漕ぎになりそうなので,イザルガ岳北側の肩に出る右俣を選択。(この後も沢は細かく枝分かれするため,ルートファインディング注意。)
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9/28 14:28
標高2200mの二俣。イザルガ岳の山頂直下に出る左俣も魅力的だが,おそらく猛烈なハイマツの藪漕ぎになりそうなので,イザルガ岳北側の肩に出る右俣を選択。(この後も沢は細かく枝分かれするため,ルートファインディング注意。)
V字谷の中にガレが続き,ついに源頭の様相。
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9/28 14:29
V字谷の中にガレが続き,ついに源頭の様相。
行く手が明るくなり,稜線が近づいてきた。
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9/28 15:17
行く手が明るくなり,稜線が近づいてきた。
振り返ると仁田岳。大体同じくらいの標高まで登ってきている。もう少しだ。
2
9/28 15:27
振り返ると仁田岳。大体同じくらいの標高まで登ってきている。もう少しだ。
そしてついに,あれほど水量豊かだった信濃俣河内の最後の一滴。名残惜しく,指先で水滴を受け,口に含んだ。
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9/28 15:32
そしてついに,あれほど水量豊かだった信濃俣河内の最後の一滴。名残惜しく,指先で水滴を受け,口に含んだ。
延々と遡ってきた谷を振り返る。よい谷だった。あの親子グマは,今頃どこを歩いているだろう。
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9/28 15:33
延々と遡ってきた谷を振り返る。よい谷だった。あの親子グマは,今頃どこを歩いているだろう。
詰めは急斜面だが,藪もなく,気持ちよく稜線に出られる。
0
9/28 15:39
詰めは急斜面だが,藪もなく,気持ちよく稜線に出られる。
稜線に出た。登山道は稜線の西側の浅い谷の中を通っているため,稜線上には道はない。まずイザルガ岳に向けて登っていく。
1
9/28 15:42
稜線に出た。登山道は稜線の西側の浅い谷の中を通っているため,稜線上には道はない。まずイザルガ岳に向けて登っていく。
このまま藪漕ぎなしで登れるかと思いきや,やはりハイマツの藪は避けられなかった。しかし,それほどハイマツの丈が高くないため,ハイマツ漕ぎとしては大分ましである。
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9/28 15:53
このまま藪漕ぎなしで登れるかと思いきや,やはりハイマツの藪は避けられなかった。しかし,それほどハイマツの丈が高くないため,ハイマツ漕ぎとしては大分ましである。
ハイマツが途切れ,イザルガ岳の広い山頂に到着。
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9/28 16:05
ハイマツが途切れ,イザルガ岳の広い山頂に到着。
手前から茶臼岳,上河内岳,聖岳。雲が多いが,天気は一日持ってくれた。感謝。
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9/28 16:06
手前から茶臼岳,上河内岳,聖岳。雲が多いが,天気は一日持ってくれた。感謝。
富士山も見える。三重の傘がかかっている…やはり天気は悪化するのか。
1
9/28 16:07
富士山も見える。三重の傘がかかっている…やはり天気は悪化するのか。
面白いことに見ているうちに傘の形が変わっていき,離れ傘になった。
1
9/28 16:25
面白いことに見ているうちに傘の形が変わっていき,離れ傘になった。
深南部の山々。
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9/28 16:08
深南部の山々。
そして光岳方面。
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9/28 16:09
そして光岳方面。
展望を楽しんだ後,光岳へ。散歩道のような木道を歩くのが楽しい。
2
9/28 16:32
展望を楽しんだ後,光岳へ。散歩道のような木道を歩くのが楽しい。
今宵の宿である光小屋が見えた。もう今季の営業は終了しているが,一部開放されており泊まることができる。さすがに稜線上でタープでしのぐガッツはないので,屋根があるだけありがたい。
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9/28 16:38
今宵の宿である光小屋が見えた。もう今季の営業は終了しているが,一部開放されており泊まることができる。さすがに稜線上でタープでしのぐガッツはないので,屋根があるだけありがたい。
小屋に荷物をデポし,光岳へ。樹木の中の静かな山頂だ。小学生の頃に,何かのガイドブックで「アクセスの遠い,遙かな山頂」という記事を読んだことがあって,ずっと来てみたかったが,なかなか機会がなかった。やっと来られた。
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9/28 17:02
小屋に荷物をデポし,光岳へ。樹木の中の静かな山頂だ。小学生の頃に,何かのガイドブックで「アクセスの遠い,遙かな山頂」という記事を読んだことがあって,ずっと来てみたかったが,なかなか機会がなかった。やっと来られた。
こっちの看板のほうが好き。このタイプの看板を見ると,南アルプスに来たな,という気分になる。
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9/28 17:02
こっちの看板のほうが好き。このタイプの看板を見ると,南アルプスに来たな,という気分になる。
山頂の少し西側の展望が開けたところから。
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9/28 17:04
山頂の少し西側の展望が開けたところから。
光岳から少し歩いて,光岳の名前の由来になった光石へ。思ったより立派な岩峰で感動した。この岩峰だけ真っ白な石灰岩。地質の不思議だ。
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9/28 17:14
光岳から少し歩いて,光岳の名前の由来になった光石へ。思ったより立派な岩峰で感動した。この岩峰だけ真っ白な石灰岩。地質の不思議だ。
眺望も素晴らしい。
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9/28 17:12
眺望も素晴らしい。
もう少し待ったら夕焼けが見られそうだったが,早く小屋に還らないと炊事が遅れてしまう。後ろ髪引かれつつ往路を戻る。
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9/28 17:12
もう少し待ったら夕焼けが見られそうだったが,早く小屋に還らないと炊事が遅れてしまう。後ろ髪引かれつつ往路を戻る。
振りかえると,光石の上に秋の夕空が美しかった。
3
9/28 17:14
振りかえると,光石の上に秋の夕空が美しかった。
光小屋は非常にきれいで快適な小屋。利用者は20名くらいで思ったより多かったが、それでも十分なスペースがあった。キムチ鍋とビビンバの調理を片手に,雑音と混線の激しいラジオ(もちろんイヤホンで)を必死にチューニングしながらラグビーの日本対アイルランド戦に聞き入り,一人で大興奮していた。本当に勝っちゃったよ!
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9/29 5:33
光小屋は非常にきれいで快適な小屋。利用者は20名くらいで思ったより多かったが、それでも十分なスペースがあった。キムチ鍋とビビンバの調理を片手に,雑音と混線の激しいラジオ(もちろんイヤホンで)を必死にチューニングしながらラグビーの日本対アイルランド戦に聞き入り,一人で大興奮していた。本当に勝っちゃったよ!
翌朝は完全なガスの中。今日は上河内岳まで縦走して下山する予定なのだが,残念ながら霧中の縦走となりそうだ。
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9/29 5:45
翌朝は完全なガスの中。今日は上河内岳まで縦走して下山する予定なのだが,残念ながら霧中の縦走となりそうだ。
希望峰まで全く展望はなく,黙々と歩く。しかしさっきからすこし周囲が明るくなってきている。もしかして晴れるのでは?希望峰で昼飯のチキンライスを作りつつ,少し待ってみることに。
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9/29 9:15
希望峰まで全く展望はなく,黙々と歩く。しかしさっきからすこし周囲が明るくなってきている。もしかして晴れるのでは?希望峰で昼飯のチキンライスを作りつつ,少し待ってみることに。
おおっ,本当に晴れてきた!さすが希望の峰!
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9/29 10:14
おおっ,本当に晴れてきた!さすが希望の峰!
急ぎ足で仁田岳に向かう。
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9/29 10:37
急ぎ足で仁田岳に向かう。
仁田岳。まあこれでええやろといった感じの素朴な山名板が素晴らしい。背後は茶臼岳,上河内岳,聖岳。
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9/29 10:42
仁田岳。まあこれでええやろといった感じの素朴な山名板が素晴らしい。背後は茶臼岳,上河内岳,聖岳。
イザルガ岳方面もよく見える。感慨深いことに,昨日遡った南沢も正面に見える(イザルガ岳の右肩にうねうねと突き上げている沢がそれ。)。そういえば,昨日,南沢の源頭で仁田岳が良く見えたな。昨日見た場所から,今日見返しているわけだ。不思議な感覚だ。
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9/29 10:43
イザルガ岳方面もよく見える。感慨深いことに,昨日遡った南沢も正面に見える(イザルガ岳の右肩にうねうねと突き上げている沢がそれ。)。そういえば,昨日,南沢の源頭で仁田岳が良く見えたな。昨日見た場所から,今日見返しているわけだ。不思議な感覚だ。
深南部の山々。
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9/29 10:44
深南部の山々。
部分的に草紅葉が美しい。
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9/29 10:45
部分的に草紅葉が美しい。
茶臼岳へ。あらら,雲が近づいてきたな…。
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9/29 11:14
茶臼岳へ。あらら,雲が近づいてきたな…。
残念ながら,茶臼岳についたころには再びガス。
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9/29 11:51
残念ながら,茶臼岳についたころには再びガス。
上河内岳への稜線。茶臼小屋への分岐にザックをデポし,レインカバーを風呂敷代わりに最低限の装備を包み,上河内岳へ。
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9/29 12:03
上河内岳への稜線。茶臼小屋への分岐にザックをデポし,レインカバーを風呂敷代わりに最低限の装備を包み,上河内岳へ。
地形図上でお花畑と記載のある場所。森の中に突然現れる不思議な草原。
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9/29 12:35
地形図上でお花畑と記載のある場所。森の中に突然現れる不思議な草原。
上河内岳が近づいてきた。ガスってはいるが,なかなかかっこいいな。
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9/29 12:55
上河内岳が近づいてきた。ガスってはいるが,なかなかかっこいいな。
はいこんにちは。…って,ええ? ライチョウ!?
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9/29 12:57
はいこんにちは。…って,ええ? ライチョウ!?
南アルプスの南部にライチョウなんていたのか?初めて知った…
(帰ってから調べると,イザルガ岳あたりまで生息しているんですね。勉強になりました。)
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9/29 12:58
南アルプスの南部にライチョウなんていたのか?初めて知った…
(帰ってから調べると,イザルガ岳あたりまで生息しているんですね。勉強になりました。)
ハイマツの茂みから転がるように次々に飛び出してきて,3匹になった。
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9/29 12:59
ハイマツの茂みから転がるように次々に飛び出してきて,3匹になった。
クークー鳴きながらこちらをお構いなしにしきりに草を食べている。うう,かわいいぞ,この雷コッコども…。
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9/29 12:59
クークー鳴きながらこちらをお構いなしにしきりに草を食べている。うう,かわいいぞ,この雷コッコども…。
足に赤い印をつけたライチョウもいた。生態調査のためのマーカーだろうか。
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9/29 13:03
足に赤い印をつけたライチョウもいた。生態調査のためのマーカーだろうか。
10分ほどライチョウと戯れたあと,上河内岳へ。晴れてきたぞ!
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9/29 13:13
10分ほどライチョウと戯れたあと,上河内岳へ。晴れてきたぞ!
まずは前衛峰へ。
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9/29 13:17
まずは前衛峰へ。
来し方を振り返る。
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9/29 13:19
来し方を振り返る。
もうすぐ頂上。この旅の最終目的地だが…
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9/29 13:24
もうすぐ頂上。この旅の最終目的地だが…
残念ながら到着時は既に霧の中! まあいい,来られただけでも満足だ。ライチョウにも会えたし…。
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9/29 13:34
残念ながら到着時は既に霧の中! まあいい,来られただけでも満足だ。ライチョウにも会えたし…。
霧の中にわずかに聖平が見えた。
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9/29 13:42
霧の中にわずかに聖平が見えた。
夏の終わり。
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9/29 13:36
夏の終わり。
上河内岳から引き返し,茶臼小屋から畑薙大吊橋へ下山。ウソッコ小屋に着いたあたりで夕闇に包まれ始め,ヘッデンの出番となった。
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9/29 18:27
上河内岳から引き返し,茶臼小屋から畑薙大吊橋へ下山。ウソッコ小屋に着いたあたりで夕闇に包まれ始め,ヘッデンの出番となった。
片側が切れ落ちた斜面を進んだり,吊橋が壊れていて丸木橋を渡ったり,なかなかワイルドな道で,昔の杣道を辿っているようだ。真っ暗なので当然沢の流れは見えないのだが,渡渉するたびに左右に瀬音が入れ替わる。串田孫一の「島々谷の夜」が思い起こされる。谷の夜を楽しみながら,ゆっくりと進んだ。
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9/29 18:21
片側が切れ落ちた斜面を進んだり,吊橋が壊れていて丸木橋を渡ったり,なかなかワイルドな道で,昔の杣道を辿っているようだ。真っ暗なので当然沢の流れは見えないのだが,渡渉するたびに左右に瀬音が入れ替わる。串田孫一の「島々谷の夜」が思い起こされる。谷の夜を楽しみながら,ゆっくりと進んだ。
何度か沢を渡り返した後,踏み跡は斜面を回り込むように急激に高度を上げていく。次第に沢音が聞こえなくなり,完全な夜のしじまに包まれた。何だか寂しい気がした。
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9/29 18:52
何度か沢を渡り返した後,踏み跡は斜面を回り込むように急激に高度を上げていく。次第に沢音が聞こえなくなり,完全な夜のしじまに包まれた。何だか寂しい気がした。
しかし長い道だ…。アップダウンも多い。やれやれだぜ…。
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9/29 18:56
しかし長い道だ…。アップダウンも多い。やれやれだぜ…。
すると次第に前方左手から,これまでとは明らかに違う大きな川の音が聞こえだし,それが次第に近づいてきて,ヘッドランプの光の中に大きな吊橋の姿が現れた。畑薙大吊橋だ。夜の大吊橋を踏み板をきしませながら渡っていく。闇の中に浮かんでいるみたいだ。このまま宙の中に吸い込まれてしまいそうな…ことはなく,気が付いたら林道に立っていた。林道を小一時間歩いて,車に帰着。クマ,ライチョウ,夜の大吊橋…なんだか夢のような3日間だった。
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9/29 19:17
すると次第に前方左手から,これまでとは明らかに違う大きな川の音が聞こえだし,それが次第に近づいてきて,ヘッドランプの光の中に大きな吊橋の姿が現れた。畑薙大吊橋だ。夜の大吊橋を踏み板をきしませながら渡っていく。闇の中に浮かんでいるみたいだ。このまま宙の中に吸い込まれてしまいそうな…ことはなく,気が付いたら林道に立っていた。林道を小一時間歩いて,車に帰着。クマ,ライチョウ,夜の大吊橋…なんだか夢のような3日間だった。
素晴らしい沢旅でしたね。夢中で拝見しました。よくぞこの場面でという写真が撮れているのが素晴らしい。悪場やクマ、夜間など普通は写真など取れないシーンが続々、雷鳥もかなりのアップ。ルートの読みや解説、記録としても大変参考になりました。ありがとうございます。
丁寧なコメントをいただき、ありがとうございます。熊にしても雷鳥にしても、様々な幸運に恵まれた山行でした(熊にはあまり会いたくはありませんが…笑)。山の神様に感謝です。
TYos様にも、素敵な山行をお祈りしております。
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