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Yamareco

記録ID: 2043635
全員に公開
沢登り
東海

【南ア】信濃俣河内(西沢→南沢経由)から光岳〜上河内岳縦走

2019年09月27日(金) ~ 2019年09月29日(日)
情報量の目安: S
都道府県 長野県 静岡県
 - 拍手
GPS
56:00
距離
42.8km
登り
3,275m
下り
3,246m

コースタイム

1日目
山行
10:50
休憩
0:00
合計
10:50
5:00
110
沼平駐車場
6:50
240
信濃俣河内入渓点
10:50
200
三俣
14:10
100
オリタチ沢出合
15:50
ヨモギ沢出合(ビバーク地)
2日目
山行
10:40
休憩
0:00
合計
10:40
7:00
210
ヨモギ沢出合(ビバーク地)
10:30
20
西沢出合
10:50
290
南沢出合
15:40
20
稜線(イザルガ岳北側の肩)
16:00
40
イザルガ岳
16:40
20
光小屋
17:00
20
光岳
17:20
10
光石
17:30
10
光岳
17:40
光小屋
3日目
山行
13:20
休憩
1:10
合計
14:30
5:30
130
光小屋
7:40
90
易老岳
9:10
10:20
20
希望峰
10:40
70
仁田岳
11:50
100
茶臼岳
13:30
90
上河内岳
15:00
260
茶臼小屋分岐
19:20
40
畑薙大吊橋
20:00
沼平駐車場
・最終日は日没後の下山となってしまい,反省しております。その反面,夜の上河内沢はなかなか幻想的でした。
天候 9/27 晴れ 9/28 晴れのち曇り 9/29 曇り時々晴れ
過去天気図(気象庁) 2019年09月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
沼平駐車場に駐車。午前5時時点で空きは十分あり。
コース状況/
危険箇所等
<信濃俣河内について>
・信濃俣河内は技術的にそれほど難しい沢ではなく,心行くまで大渓谷の「沢旅」を楽しめる,そんな印象の谷でした。
・といってもいくつか悪場はあり,それがまた程よい冒険感を与えてくれます。悪場としては以下の3つのゴルジュ帯があります(詳細は写真の項を参照)。
‖莪譽乾襯献綢咫併伊鷯し先〜オリタチ沢出合付近)…ずっとゴルジュがつづくというよりはミニゴルジュが断続的に現れる感じで,それほど困難はありません。序盤に一見難しそうだが意外に左岸がへつれる滝と,中間に巻きが少し悪い滝が出てきます。
第二ゴルジュ帯(オリタチ沢出合の先で谷が逆S字状に屈曲している部分)…短いですが3つのゴルジュの中では最も見事なゴルジュ。意外に足場があり水線通しに進めます(増水時は困難かもしれませんが…)。出口の2m滝の処理が核心。無理な場合は,ゴルジュ全体を高巻くことも可能なようです。
B荵哀乾襯献綢咫淵曠Ε沢出合〜西沢出合手前?まで)…このゴルジュも第一ゴルジュと同じく,ミニゴルジュが散発的に出てくる感じ。1箇所,ルートを見落とすと大高巻きになってしまう箇所があるので,ルート取りを慎重に。うまくやれば懸垂下降なしで小さく巻けます。

・今回、ルートとした南沢(西沢が本流の大春木沢と別れたあと、さらに西沢から別れてイザルガ岳付近に突き上げる沢)は、ネット上で記録が見つからなかったのですが、2箇所ほど少し悪い巻きがあることを除けば十分通行可能でした。信濃俣河内本流側から光岳を目指す場合の最短ルートとして利用価値はあると思います。
・今回,信濃俣河内は水量が少なく渡渉が容易でした。水量が多い場合,特に下部で厳しい渡渉を何度も強いられ,遡行難度が一気に上がりそうなのでご注意を。
・この谷は上部に行くほど非常にぬめりが強くなります(時期的なものもあるかもしれませんが…)。今回,ラバーの沢靴で入渓して結構危ない思いをしたため,フェルトの沢靴のほうが良いかもしれません。
・南沢に入ってから親子グマに遭遇しました。クマ注意!

<その他>
・上河内岳に向かう途中で3羽のライチョウに出会いました。南アルプス南部で初めてライチョウに会ったのでびっくりしました。
沼平駐車場で車中泊し,朝5時ごろ出発。信濃俣林道を目指して畑薙第一ダムの湖岸道路を歩いていく。
朝の光に満ちた空には雲一つない。今日一日は晴天が約束されそうだ。明日から天気が悪くなりそうなのが気がかりだが…。
2019年09月27日 05:24撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/27 5:24
沼平駐車場で車中泊し,朝5時ごろ出発。信濃俣林道を目指して畑薙第一ダムの湖岸道路を歩いていく。
朝の光に満ちた空には雲一つない。今日一日は晴天が約束されそうだ。明日から天気が悪くなりそうなのが気がかりだが…。
畑薙第一ダムから右岸側にある信濃俣林道に入り,小一時間ほど歩くと,林道が大きく崩壊している箇所に出る。その手前に写真の石垣があり,その下からダムの湖岸に向けて踏み跡が続いている。釣り人が良く入るせいか,踏み跡は比較的明瞭で,残置ロープも張ってある。
2019年09月27日 06:20撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/27 6:20
畑薙第一ダムから右岸側にある信濃俣林道に入り,小一時間ほど歩くと,林道が大きく崩壊している箇所に出る。その手前に写真の石垣があり,その下からダムの湖岸に向けて踏み跡が続いている。釣り人が良く入るせいか,踏み跡は比較的明瞭で,残置ロープも張ってある。
踏み跡を少し降りると吊橋に到着。この吊橋を渡って左岸側から入渓するのが定石のようだが,今回は橋の下に既に水がなく,こちら側からでも入渓できそう。吊橋を渡らず,吊橋のたもと辺りから上流側に続いている踏み跡をたどっていく。
2019年09月27日 06:44撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/27 6:44
踏み跡を少し降りると吊橋に到着。この吊橋を渡って左岸側から入渓するのが定石のようだが,今回は橋の下に既に水がなく,こちら側からでも入渓できそう。吊橋を渡らず,吊橋のたもと辺りから上流側に続いている踏み跡をたどっていく。
明瞭な踏み跡は小さな尾根状の地形を通って河床まで続いており(残置ロープもあり),スムーズに入渓できた。
2019年09月27日 06:48撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/27 6:48
明瞭な踏み跡は小さな尾根状の地形を通って河床まで続いており(残置ロープもあり),スムーズに入渓できた。
降り立った河原にはまったく水が流れていない。かなり減水しているようだ。先週の台風で増水しているのではないかと心配していたので,一安心。谷間に朝の光が差し始めた。
2019年09月27日 06:56撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/27 6:56
降り立った河原にはまったく水が流れていない。かなり減水しているようだ。先週の台風で増水しているのではないかと心配していたので,一安心。谷間に朝の光が差し始めた。
かなりの距離を歩いてやっと水が流れ始める。
2019年09月27日 07:08撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/27 7:08
かなりの距離を歩いてやっと水が流れ始める。
しかし,さすが南アルプス,本当に大きな谷と広い河原だ。普段の小さな山の小さな沢と違った,巨大な山脈の大河川を歩いているのだという実感がわいてくる。川はゆったりと蛇行を繰り返し,そのたびに右に左に渡渉を繰り返していくが,もし増水していたら(つまり,この川幅いっぱいに水が流れていたら…)かなり困難を強いられるだろう。
2019年09月27日 07:37撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/27 7:37
しかし,さすが南アルプス,本当に大きな谷と広い河原だ。普段の小さな山の小さな沢と違った,巨大な山脈の大河川を歩いているのだという実感がわいてくる。川はゆったりと蛇行を繰り返し,そのたびに右に左に渡渉を繰り返していくが,もし増水していたら(つまり,この川幅いっぱいに水が流れていたら…)かなり困難を強いられるだろう。
とはいうものの,しばらく歩くとさすがに両岸が迫り始め,岩もゴツゴツし出し,見慣れた沢の風景になっていく。しかし,減水しているとはいえ,水量は豊かで,とても冷たい。
2019年09月27日 08:52撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/27 8:52
とはいうものの,しばらく歩くとさすがに両岸が迫り始め,岩もゴツゴツし出し,見慣れた沢の風景になっていく。しかし,減水しているとはいえ,水量は豊かで,とても冷たい。
穏やかで爽快な流れをゆったりと遡っていくと,入渓から2時間ちょっとで西河内出合い(左が西河内,右が本流)。出合いの右岸側にビバークした跡があり,ここから本流沿いに沢靴の跡が続いていた。先行者があるようだ。
2019年09月27日 09:14撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/27 9:14
穏やかで爽快な流れをゆったりと遡っていくと,入渓から2時間ちょっとで西河内出合い(左が西河内,右が本流)。出合いの右岸側にビバークした跡があり,ここから本流沿いに沢靴の跡が続いていた。先行者があるようだ。
西河内出合いから本流側に入るとすぐに「瀬戸」と呼ばれる短いゴルジュ帯。両岸の岩が少し立つが,特に目立った滝はなく,水量の少ない今回は通過は容易だ。
2019年09月27日 09:21撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/27 9:21
西河内出合いから本流側に入るとすぐに「瀬戸」と呼ばれる短いゴルジュ帯。両岸の岩が少し立つが,特に目立った滝はなく,水量の少ない今回は通過は容易だ。
2019年09月27日 09:21撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/27 9:21
瀬戸を過ぎると大きく空が開け,まっすぐ伸びる谷の向こうに仁田岳から連なる尾根が見える。
2019年09月27日 09:35撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/27 9:35
瀬戸を過ぎると大きく空が開け,まっすぐ伸びる谷の向こうに仁田岳から連なる尾根が見える。
しばらくすると谷は再び屈曲し始め,すこしゴルジュ状の部分も出てくる。水も岩も清く美しい。谷が曲がるたびにゆるやかに展開していく風景を楽しみながら遡行していく。
2019年09月27日 10:41撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/27 10:41
しばらくすると谷は再び屈曲し始め,すこしゴルジュ状の部分も出てくる。水も岩も清く美しい。谷が曲がるたびにゆるやかに展開していく風景を楽しみながら遡行していく。
やっと三俣に到着。入渓から4時間かかったことになる。右側の本流へと歩を進める。西河内出合いから続いていた先行者の足跡はここで消えてしまったので,おそらく左方向の中俣沢か小沢に入ったのだろう。
2019年09月27日 10:49撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/27 10:49
やっと三俣に到着。入渓から4時間かかったことになる。右側の本流へと歩を進める。西河内出合いから続いていた先行者の足跡はここで消えてしまったので,おそらく左方向の中俣沢か小沢に入ったのだろう。
三俣を過ぎると小滝が現れ始める。ここまで滝は皆無に近かったので,おそらく写真の滝が入渓してから初めて出会う滝。
2019年09月27日 10:59撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/27 10:59
三俣を過ぎると小滝が現れ始める。ここまで滝は皆無に近かったので,おそらく写真の滝が入渓してから初めて出会う滝。
両岸が狭まり,谷底が暗くなる。どうやら第一ゴルジュ帯に入ったようだ。
2019年09月27日 11:13撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/27 11:13
両岸が狭まり,谷底が暗くなる。どうやら第一ゴルジュ帯に入ったようだ。
いくつか小滝を越えた後,青く深い淵を持った写真の滝が現れる。一見,泳がされそうだが,右手の壁の水面下に足場が続いており,水面より上の壁にもガバホールドが豊富で,意外と簡単にへつっていくことができる。最後は滝のすぐ右手の岩を登って乗り越す。
2019年09月27日 11:17撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/27 11:17
いくつか小滝を越えた後,青く深い淵を持った写真の滝が現れる。一見,泳がされそうだが,右手の壁の水面下に足場が続いており,水面より上の壁にもガバホールドが豊富で,意外と簡単にへつっていくことができる。最後は滝のすぐ右手の岩を登って乗り越す。
この後も小滝が頻繁に出てくる。第一ゴルジュ帯は,ずっとゴルジュが続くというよりは,ミニゴルジュと平流が交互に現れるといった感じ。
2019年09月27日 11:28撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/27 11:28
この後も小滝が頻繁に出てくる。第一ゴルジュ帯は,ずっとゴルジュが続くというよりは,ミニゴルジュと平流が交互に現れるといった感じ。
きれいな造形の淵と岩壁。
2019年09月27日 11:36撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/27 11:36
きれいな造形の淵と岩壁。
2019年09月27日 11:40撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/27 11:40
ここは水線沿いは難しそうだったため,少し戻って左岸から高巻く。高巻きはそれほど難しくない。
2019年09月27日 12:10撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/27 12:10
ここは水線沿いは難しそうだったため,少し戻って左岸から高巻く。高巻きはそれほど難しくない。
おそらく釣り師さんのものと思われるトラロープが張ってある箇所があり,そこから谷に戻る。
2019年09月27日 12:20撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/27 12:20
おそらく釣り師さんのものと思われるトラロープが張ってある箇所があり,そこから谷に戻る。
すると目の前には兄弟のように仲良く並んだ二条の滝が。結局先ほどのトラロープの箇所を登り直し,この滝も高巻いた。
2019年09月27日 12:18撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/27 12:18
すると目の前には兄弟のように仲良く並んだ二条の滝が。結局先ほどのトラロープの箇所を登り直し,この滝も高巻いた。
その先にもまた同じような二条の滝。
2019年09月27日 12:38撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/27 12:38
その先にもまた同じような二条の滝。
この滝は右岸の小さなルンゼを少し登って,ガレた斜面をトラバースして巻こうとしたのだが,この斜面が意外に悪い。足元はズルズルのザレた急斜面で,しかも数歩先は滝つぼまで切れ落ちているので,少し緊張した。慎重に足場を選べば大丈夫だが,大事を取るなら,少し戻って別のルートを探したほうがいいかもしれない。
2019年09月27日 12:49撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/27 12:49
この滝は右岸の小さなルンゼを少し登って,ガレた斜面をトラバースして巻こうとしたのだが,この斜面が意外に悪い。足元はズルズルのザレた急斜面で,しかも数歩先は滝つぼまで切れ落ちているので,少し緊張した。慎重に足場を選べば大丈夫だが,大事を取るなら,少し戻って別のルートを探したほうがいいかもしれない。
巨岩帯。沢中を行くと面倒そうだったため,左岸から巻いていく。
2019年09月27日 13:16撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/27 13:16
巨岩帯。沢中を行くと面倒そうだったため,左岸から巻いていく。
これは泳げば直登できそうだが,さすがに南アルプスの天然水は冷たく,この頃には体が冷え切ってしまっていたため,大人しく右岸から巻いた。
2019年09月27日 13:44撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/27 13:44
これは泳げば直登できそうだが,さすがに南アルプスの天然水は冷たく,この頃には体が冷え切ってしまっていたため,大人しく右岸から巻いた。
第一ゴルジュ帯を抜けると谷が開け,オリタチ沢出合を通過。
2019年09月27日 14:10撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/27 14:10
第一ゴルジュ帯を抜けると谷が開け,オリタチ沢出合を通過。
魚影が濃くなってきたため竿を振ってみると,元気なイワナさんがぽんぽん手の中に飛び込む。しかもいちいちサイズが大きく,この谷では尺サイズが普通なようだ。さすが南アルプス,何もかも大きいぜ…。
2019年09月27日 14:57撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/27 14:57
魚影が濃くなってきたため竿を振ってみると,元気なイワナさんがぽんぽん手の中に飛び込む。しかもいちいちサイズが大きく,この谷では尺サイズが普通なようだ。さすが南アルプス,何もかも大きいぜ…。
オリタチ沢の少し先,谷がくねくねと屈曲するあたりに入ると,再び谷がゴルジュ状を呈し始める。
2019年09月27日 15:07撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/27 15:07
オリタチ沢の少し先,谷がくねくねと屈曲するあたりに入ると,再び谷がゴルジュ状を呈し始める。
第二ゴルジュ帯に突入したようだ。このゴルジュはこれぞまさにゴルジュといった感じで,高い側壁に圧搾された中を,白濁した奔流が身をくねらせつつ流れている。
2019年09月27日 15:10撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/27 15:10
第二ゴルジュ帯に突入したようだ。このゴルジュはこれぞまさにゴルジュといった感じで,高い側壁に圧搾された中を,白濁した奔流が身をくねらせつつ流れている。
しかし側壁の水面下には意外と足場があり,最大でも腰ぐらいまでのへつりや渡渉でゴルジュの中を進んでいくことができる。今回は水量が少ないことも幸いしていると思うが…。
2019年09月27日 15:12撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/27 15:12
しかし側壁の水面下には意外と足場があり,最大でも腰ぐらいまでのへつりや渡渉でゴルジュの中を進んでいくことができる。今回は水量が少ないことも幸いしていると思うが…。
そして見えてきた核心のゴルジュ出口の2m滝。これを越えさえすればゴルジュは終了,明るい開放空間が滝の上にもう見えている。さあ,これをどう越えてやるかだが…。
まず,ダメもとで滝を直登できないか水流の中に足をかけてみる。即,叩き落されそうになる。無理でした(笑)
2019年09月27日 15:16撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/27 15:16
そして見えてきた核心のゴルジュ出口の2m滝。これを越えさえすればゴルジュは終了,明るい開放空間が滝の上にもう見えている。さあ,これをどう越えてやるかだが…。
まず,ダメもとで滝を直登できないか水流の中に足をかけてみる。即,叩き落されそうになる。無理でした(笑)
次に左手の壁。スリングが2つかかっており,足場もありそうだが,錆びたハーケンに体重をかけることがためらわれたため,念のため,別のルートがないか探してみることにした。
2019年09月27日 15:18撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/27 15:18
次に左手の壁。スリングが2つかかっており,足場もありそうだが,錆びたハーケンに体重をかけることがためらわれたため,念のため,別のルートがないか探してみることにした。
滝の右手に大きな岩に挟まれた凹状部があり,そこから這い上がれないか試してみることに。泳ぎ覚悟で右手の壁に沿って渦巻く滝つぼの中に歩を進めると,意外なことに右壁に沿って水面下に足場が続いており,簡単に凹状部の下まで回り込むができた。そこから凹状部に這い上がろうとするが,ザックが重く体が上がらないため,岩の隙間にアイスハンマーをひっかけ,さらにそれにスリングをかけて手掛かりにして這い上がる(身軽な人なら,フリーでも行けると思います。)。そこまで登ってしまえば,あとは比較的楽に滝上へ登ることができた。突破成功。
2019年09月27日 15:41撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/27 15:41
滝の右手に大きな岩に挟まれた凹状部があり,そこから這い上がれないか試してみることに。泳ぎ覚悟で右手の壁に沿って渦巻く滝つぼの中に歩を進めると,意外なことに右壁に沿って水面下に足場が続いており,簡単に凹状部の下まで回り込むができた。そこから凹状部に這い上がろうとするが,ザックが重く体が上がらないため,岩の隙間にアイスハンマーをひっかけ,さらにそれにスリングをかけて手掛かりにして這い上がる(身軽な人なら,フリーでも行けると思います。)。そこまで登ってしまえば,あとは比較的楽に滝上へ登ることができた。突破成功。
2m滝の上は穏やかな河原が広がっており,少し進んだところにあるヨモギ沢出合い付近の台地で幕とした。泳ぎはなかったとはいえ,一日中冷え冷えの南アルプス天然水に浸かり続けたため,体が冷え切っている。とりあえず焚火だ,焚火!
2019年09月27日 16:59撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/27 16:59
2m滝の上は穏やかな河原が広がっており,少し進んだところにあるヨモギ沢出合い付近の台地で幕とした。泳ぎはなかったとはいえ,一日中冷え冷えの南アルプス天然水に浸かり続けたため,体が冷え切っている。とりあえず焚火だ,焚火!
信濃俣河内は薪となる流木が豊富で,ビバークするには天国のようなところ。プラティパスに入れてきたワインをちびちび飲みながら焚火を眺め,ゴロ寝して文庫本を読んでいるうちに,いつの間にか寝入っていたようだ。目覚めると木々の間に満天の星空。まだ天気は持ってくれている。思わず嬉しくなって微笑してしまう。燠になりかけた焚火に薪をくべ直し,再びシュラフにもぐりこんだ。
2019年09月27日 18:52撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/27 18:52
信濃俣河内は薪となる流木が豊富で,ビバークするには天国のようなところ。プラティパスに入れてきたワインをちびちび飲みながら焚火を眺め,ゴロ寝して文庫本を読んでいるうちに,いつの間にか寝入っていたようだ。目覚めると木々の間に満天の星空。まだ天気は持ってくれている。思わず嬉しくなって微笑してしまう。燠になりかけた焚火に薪をくべ直し,再びシュラフにもぐりこんだ。
信濃俣河内の朝。焚火を起こしなおしたりコーヒーを飲んだりしてゆっくりしていたため,出発は少し遅めの7時ごろ。
2019年09月28日 06:55撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/28 6:55
信濃俣河内の朝。焚火を起こしなおしたりコーヒーを飲んだりしてゆっくりしていたため,出発は少し遅めの7時ごろ。
ありがたいことに天気はまだ持ってくれている。秋の雲だな…。
2019年09月28日 07:00撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
1
9/28 7:00
ありがたいことに天気はまだ持ってくれている。秋の雲だな…。
美しいナメの上をひたひた歩いていく。
2019年09月28日 07:02撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
2
9/28 7:02
美しいナメの上をひたひた歩いていく。
しばらくは穏やかな流れが続く。
2019年09月28日 07:08撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/28 7:08
しばらくは穏やかな流れが続く。
たぶんこれがホウキ沢出合。すごいガレ沢だ。
2019年09月28日 07:43撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/28 7:43
たぶんこれがホウキ沢出合。すごいガレ沢だ。
そのすぐ先から第三ゴルジュ帯に突入。
2019年09月28日 07:44撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/28 7:44
そのすぐ先から第三ゴルジュ帯に突入。
と思ったらすぐ谷が開けた。第三ゴルジュ帯は第一ゴルジュ帯と同じく,ずっとゴルジュ帯が続くというよりミニゴルジュが断続的に現れる感じ。
2019年09月28日 07:46撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/28 7:46
と思ったらすぐ谷が開けた。第三ゴルジュ帯は第一ゴルジュ帯と同じく,ずっとゴルジュ帯が続くというよりミニゴルジュが断続的に現れる感じ。
2019年09月28日 07:48撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/28 7:48
勢いよく水がひょんぐっている小滝。
2019年09月28日 07:49撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/28 7:49
勢いよく水がひょんぐっている小滝。
ここも淵の右手を回り込むように足場が続いており,泳ぐことなく滝を直登することができた。思いっきり爆水を浴びることになるが…
2019年09月28日 07:52撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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ここも淵の右手を回り込むように足場が続いており,泳ぐことなく滝を直登することができた。思いっきり爆水を浴びることになるが…
これはお見事。ぱっくりと割れたゴルジュの中に美しい二段瀑がかかっている。左岸から簡単に巻く。
2019年09月28日 07:58撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/28 7:58
これはお見事。ぱっくりと割れたゴルジュの中に美しい二段瀑がかかっている。左岸から簡単に巻く。
二条の滝。左の滝の傾斜が緩く直登できそうな気がしたが,自重して(確か右岸から)高巻いた。
2019年09月28日 08:12撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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二条の滝。左の滝の傾斜が緩く直登できそうな気がしたが,自重して(確か右岸から)高巻いた。
両岸が立った奥に,大きなチョックストーン滝が見える。一見して登れなさそうに見えたため,よく確かめずに左岸から高巻いてしまったが,高巻き中にゴルジュの中をのぞき込んだら,トラロープが張ってあるのが見えた。実は通過可能なのかもしれない。惜しいことをした。
2019年09月28日 08:40撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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両岸が立った奥に,大きなチョックストーン滝が見える。一見して登れなさそうに見えたため,よく確かめずに左岸から高巻いてしまったが,高巻き中にゴルジュの中をのぞき込んだら,トラロープが張ってあるのが見えた。実は通過可能なのかもしれない。惜しいことをした。
深い淵を持った2mほどの滝。その奥にも滝が続いていそうだ。左右の壁はつるつるで回り込めない。左壁の浅いクラックに可能性がありそうだったが,自重して高巻くことに。
2019年09月28日 08:53撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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深い淵を持った2mほどの滝。その奥にも滝が続いていそうだ。左右の壁はつるつるで回り込めない。左壁の浅いクラックに可能性がありそうだったが,自重して高巻くことに。
高巻きは左岸からだが,斜面を登りすぎると大高巻きになってすぐに谷に戻れなくなるので注意。斜面に取りついてすぐ左手の段差をよじ登り,すぐにトラバースに入れば小さく巻ける。写真は高巻き中にゴルジュをのぞき込んだところ。やはり滝がさらに2つほど続いているようだ。
2019年09月28日 09:09撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/28 9:09
高巻きは左岸からだが,斜面を登りすぎると大高巻きになってすぐに谷に戻れなくなるので注意。斜面に取りついてすぐ左手の段差をよじ登り,すぐにトラバースに入れば小さく巻ける。写真は高巻き中にゴルジュをのぞき込んだところ。やはり滝がさらに2つほど続いているようだ。
そのままやや上昇気味にトラバースを続けていくと,断崖に阻まれて進めなくなる。断崖はかなりの高さと長さで谷の奥へ続いており,まともに高巻きしようとすると,かなりの大高巻きを強いられてしまいそうだ。
2019年09月28日 09:13撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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そのままやや上昇気味にトラバースを続けていくと,断崖に阻まれて進めなくなる。断崖はかなりの高さと長さで谷の奥へ続いており,まともに高巻きしようとすると,かなりの大高巻きを強いられてしまいそうだ。
ふと足元を見ると,木の根っこに古いスリングがたくさん巻き付けてあった。先人たちもやはりここに行き着き,ここから懸垂下降して谷に戻っているのだ。しかし,今日は軽量化のため20mロープしか持っておらず,ここから谷底までとても届かない。思案の末,少し斜面を下がったところにある小さな立ち木まで戻ることに。その立木からなら手持ちのロープでも懸垂で谷まで届くだろう。
2019年09月28日 09:14撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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ふと足元を見ると,木の根っこに古いスリングがたくさん巻き付けてあった。先人たちもやはりここに行き着き,ここから懸垂下降して谷に戻っているのだ。しかし,今日は軽量化のため20mロープしか持っておらず,ここから谷底までとても届かない。思案の末,少し斜面を下がったところにある小さな立ち木まで戻ることに。その立木からなら手持ちのロープでも懸垂で谷まで届くだろう。
立ち木まで戻り,ふと谷をのぞき込むと,なんと,その一箇所だけうまいこと岩が積み重なったようになっており,歩いて谷底まで降りることができた!こんな隠し通路があるとは…。ロープが短くなかったら,絶対に気づかなかった(笑)
2019年09月28日 09:16撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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立ち木まで戻り,ふと谷をのぞき込むと,なんと,その一箇所だけうまいこと岩が積み重なったようになっており,歩いて谷底まで降りることができた!こんな隠し通路があるとは…。ロープが短くなかったら,絶対に気づかなかった(笑)
この立ち木が目印(と言われてもわかりにくいですよね…)。下降可能箇所は,草に覆われてわかりにくくなっています。
2019年09月28日 09:17撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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この立ち木が目印(と言われてもわかりにくいですよね…)。下降可能箇所は,草に覆われてわかりにくくなっています。
谷に降り立った地点からゴルジュを見下ろす。3つの滝と淵が連なっており,なかなか壮観。
2019年09月28日 09:19撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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谷に降り立った地点からゴルジュを見下ろす。3つの滝と淵が連なっており,なかなか壮観。
散発的なミニゴルジュと小滝を通過していくと,谷が開け,どうやら第三ゴルジュ帯が終わったようだ。西沢出合に到着。右手が本流の大春木沢,左手が西沢だ。今回は光岳の登頂も兼ねているので,西沢方向に入る。
2019年09月28日 10:27撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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散発的なミニゴルジュと小滝を通過していくと,谷が開け,どうやら第三ゴルジュ帯が終わったようだ。西沢出合に到着。右手が本流の大春木沢,左手が西沢だ。今回は光岳の登頂も兼ねているので,西沢方向に入る。
本流の大春木沢が開けた明るい雰囲気なのに対して,西沢は暗く狭く,傾斜も強い印象。出合いからすぐ小滝が連続し始める。この滝は右岸から巻き。
2019年09月28日 10:39撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/28 10:39
本流の大春木沢が開けた明るい雰囲気なのに対して,西沢は暗く狭く,傾斜も強い印象。出合いからすぐ小滝が連続し始める。この滝は右岸から巻き。
小滝が連続するが,通過は難しくない。
2019年09月28日 10:55撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/28 10:55
小滝が連続するが,通過は難しくない。
すぐに南沢(左手)との出合に到着。今回は光岳方面への本流側からの最短ルートである南沢を遡行する。事前にネットや文献で調べたところ,西沢はよく記録を見るのだが,南沢については記録が見当たらなかった(きっと入っている人はいると思うのだが…)。ここからは全く情報がない領域になるので,少し緊張する。
2019年09月28日 10:58撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/28 10:58
すぐに南沢(左手)との出合に到着。今回は光岳方面への本流側からの最短ルートである南沢を遡行する。事前にネットや文献で調べたところ,西沢はよく記録を見るのだが,南沢については記録が見当たらなかった(きっと入っている人はいると思うのだが…)。ここからは全く情報がない領域になるので,少し緊張する。
南沢に入るとさらに谷全体の傾斜が強まり,両岸も立って,険悪で暗い渓相に。小滝がひっきりなしに現れるが,それほどの困難さはなく通過していける。
2019年09月28日 10:59撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/28 10:59
南沢に入るとさらに谷全体の傾斜が強まり,両岸も立って,険悪で暗い渓相に。小滝がひっきりなしに現れるが,それほどの困難さはなく通過していける。
2019年09月28日 11:11撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/28 11:11
2019年09月28日 11:24撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/28 11:24
出た!大滝だ。高さは大体15mくらいだろうか。今回の遡行で見た中では最大の滝であった。姿も整ってなかなか美しい。
2019年09月28日 12:03撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/28 12:03
出た!大滝だ。高さは大体15mくらいだろうか。今回の遡行で見た中では最大の滝であった。姿も整ってなかなか美しい。
と,右手の斜面からガラガラと石が落ちてきた。斜面を見上げると…
げっ,クマだ!
2019年09月28日 12:02撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/28 12:02
と,右手の斜面からガラガラと石が落ちてきた。斜面を見上げると…
げっ,クマだ!
しかも親子グマ! 
子グマは遊んでいるのか,木を上り下りしており,大きな親グマは,その木の根元に座り込んでいる。親グマはもちろんこちらの存在に気づいているようで,時々気遣わしげにチラチラとこちらを見ている。親子グマといったら遭遇したら危険というイメージしかなく,かなり緊張が走ったが,目の前の親子グマは逃げもしなければ襲っても来ない。むしろほのぼのしたものだ。
2019年09月28日 12:05撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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しかも親子グマ! 
子グマは遊んでいるのか,木を上り下りしており,大きな親グマは,その木の根元に座り込んでいる。親グマはもちろんこちらの存在に気づいているようで,時々気遣わしげにチラチラとこちらを見ている。親子グマといったら遭遇したら危険というイメージしかなく,かなり緊張が走ったが,目の前の親子グマは逃げもしなければ襲っても来ない。むしろほのぼのしたものだ。
しかし遡行上の最大の問題は,親子グマのいる左岸側の斜面は傾斜が緩く,15m滝を高巻くなら絶対にそちらがルートだということ。逆に右岸側は,岩がちで傾斜がかなり立っており,普通の感覚なら高巻きたくない斜面…。といっても,まさか親子グマのいる斜面に突っ込んでいく勇気はない。
2019年09月28日 12:09撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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しかし遡行上の最大の問題は,親子グマのいる左岸側の斜面は傾斜が緩く,15m滝を高巻くなら絶対にそちらがルートだということ。逆に右岸側は,岩がちで傾斜がかなり立っており,普通の感覚なら高巻きたくない斜面…。といっても,まさか親子グマのいる斜面に突っ込んでいく勇気はない。
親子グマが立ち去ってくれることを期待して少し待ってみたが,全く動いてくれる気配がないため,覚悟を決めて険しい右岸側から高巻くことに。うう…壁立ってるなぁ…嫌だなぁ…。
2019年09月28日 12:10撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/28 12:10
親子グマが立ち去ってくれることを期待して少し待ってみたが,全く動いてくれる気配がないため,覚悟を決めて険しい右岸側から高巻くことに。うう…壁立ってるなぁ…嫌だなぁ…。
斜面を喘登しながら振り返ると,まだ親グマは同じ場所に座っており,こちらを見つめていた。もしかしたら,親子は遊んでいたのではなく,私が急に現れたので子グマが木の上に逃げ,親グマがその下で子グマを守ろうとしていたのかもしれない。そう思うと,クマに対し申し訳ない気分になった。
2019年09月28日 12:02撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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斜面を喘登しながら振り返ると,まだ親グマは同じ場所に座っており,こちらを見つめていた。もしかしたら,親子は遊んでいたのではなく,私が急に現れたので子グマが木の上に逃げ,親グマがその下で子グマを守ろうとしていたのかもしれない。そう思うと,クマに対し申し訳ない気分になった。
しかし目下の問題は目の前の斜面だ。岩壁はかなり上まで続いており,途切れそうになかったため,適当なところでトラバースをかける。崩れやすいホールドを慎重に選びながら,登りやすそうなところを右上し,何とか滝上に抜けた。いろいろ貴重な経験だった…。クマさん,驚かせてごめんなさい。でも逆側の斜面にいてくれたら嬉しかったな…。
2019年09月28日 12:14撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/28 12:14
しかし目下の問題は目の前の斜面だ。岩壁はかなり上まで続いており,途切れそうになかったため,適当なところでトラバースをかける。崩れやすいホールドを慎重に選びながら,登りやすそうなところを右上し,何とか滝上に抜けた。いろいろ貴重な経験だった…。クマさん,驚かせてごめんなさい。でも逆側の斜面にいてくれたら嬉しかったな…。
しばらく進むと8mほどの滝。
2019年09月28日 12:30撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/28 12:30
しばらく進むと8mほどの滝。
左岸のこのガレが詰まる岩溝から巻いたが,この岩溝が岩はボロボロでガレはガレガレで,なかなか冷や汗をかかされた。登り切った後のトラバースも急斜面の靴幅系で結構怖かった。
2019年09月28日 12:33撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/28 12:33
左岸のこのガレが詰まる岩溝から巻いたが,この岩溝が岩はボロボロでガレはガレガレで,なかなか冷や汗をかかされた。登り切った後のトラバースも急斜面の靴幅系で結構怖かった。
この後も小滝が続くが,しばらく容易。
2019年09月28日 12:44撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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この後も小滝が続くが,しばらく容易。
2019年09月28日 12:51撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/28 12:51
荒れた壁の中に細長い滝がかかる。傾斜は緩く容易に登っていける。
2019年09月28日 13:19撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/28 13:19
荒れた壁の中に細長い滝がかかる。傾斜は緩く容易に登っていける。
登っていくにつれ,谷はV字谷状になり,さらに険悪な様相に。ゴルジュにその上の急な草付き斜面…。何だか日本海側の雪国の谷に似た渓相だ。おそらく,さすがに南アルプスでも,この標高になると積雪の影響を受けるのだろう。
2019年09月28日 13:29撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/28 13:29
登っていくにつれ,谷はV字谷状になり,さらに険悪な様相に。ゴルジュにその上の急な草付き斜面…。何だか日本海側の雪国の谷に似た渓相だ。おそらく,さすがに南アルプスでも,この標高になると積雪の影響を受けるのだろう。
ついに出ちゃった…。V字状のなかに直登できない滝(5m位)。まず写真の左端に見えるガレの詰まったルンゼを這い上がろうとするが,上部にギャップがあり,そこが登れず仕切り直し。今度は右手の急な草付きから巻きにかかる。泥壁でアザミしかホールドがなく,当然痛い。泣ける。
2019年09月28日 13:51撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/28 13:51
ついに出ちゃった…。V字状のなかに直登できない滝(5m位)。まず写真の左端に見えるガレの詰まったルンゼを這い上がろうとするが,上部にギャップがあり,そこが登れず仕切り直し。今度は右手の急な草付きから巻きにかかる。泥壁でアザミしかホールドがなく,当然痛い。泣ける。
急な草付きを慎重にトラバースしていくが,なかなか容易に降りられそうな緩斜面が出てこない。結局,30mほど進んでから何とか許容範囲内の斜面を見つけ,慎重に谷に降り立った。
2019年09月28日 14:05撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/28 14:05
急な草付きを慎重にトラバースしていくが,なかなか容易に降りられそうな緩斜面が出てこない。結局,30mほど進んでから何とか許容範囲内の斜面を見つけ,慎重に谷に降り立った。
標高2200mの二俣。イザルガ岳の山頂直下に出る左俣も魅力的だが,おそらく猛烈なハイマツの藪漕ぎになりそうなので,イザルガ岳北側の肩に出る右俣を選択。(この後も沢は細かく枝分かれするため,ルートファインディング注意。)
2019年09月28日 14:28撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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標高2200mの二俣。イザルガ岳の山頂直下に出る左俣も魅力的だが,おそらく猛烈なハイマツの藪漕ぎになりそうなので,イザルガ岳北側の肩に出る右俣を選択。(この後も沢は細かく枝分かれするため,ルートファインディング注意。)
V字谷の中にガレが続き,ついに源頭の様相。
2019年09月28日 14:29撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/28 14:29
V字谷の中にガレが続き,ついに源頭の様相。
行く手が明るくなり,稜線が近づいてきた。
2019年09月28日 15:17撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/28 15:17
行く手が明るくなり,稜線が近づいてきた。
振り返ると仁田岳。大体同じくらいの標高まで登ってきている。もう少しだ。
2019年09月28日 15:27撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/28 15:27
振り返ると仁田岳。大体同じくらいの標高まで登ってきている。もう少しだ。
そしてついに,あれほど水量豊かだった信濃俣河内の最後の一滴。名残惜しく,指先で水滴を受け,口に含んだ。
2019年09月28日 15:32撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/28 15:32
そしてついに,あれほど水量豊かだった信濃俣河内の最後の一滴。名残惜しく,指先で水滴を受け,口に含んだ。
延々と遡ってきた谷を振り返る。よい谷だった。あの親子グマは,今頃どこを歩いているだろう。
2019年09月28日 15:33撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/28 15:33
延々と遡ってきた谷を振り返る。よい谷だった。あの親子グマは,今頃どこを歩いているだろう。
詰めは急斜面だが,藪もなく,気持ちよく稜線に出られる。
2019年09月28日 15:39撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/28 15:39
詰めは急斜面だが,藪もなく,気持ちよく稜線に出られる。
稜線に出た。登山道は稜線の西側の浅い谷の中を通っているため,稜線上には道はない。まずイザルガ岳に向けて登っていく。
2019年09月28日 15:42撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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稜線に出た。登山道は稜線の西側の浅い谷の中を通っているため,稜線上には道はない。まずイザルガ岳に向けて登っていく。
このまま藪漕ぎなしで登れるかと思いきや,やはりハイマツの藪は避けられなかった。しかし,それほどハイマツの丈が高くないため,ハイマツ漕ぎとしては大分ましである。
2019年09月28日 15:53撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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このまま藪漕ぎなしで登れるかと思いきや,やはりハイマツの藪は避けられなかった。しかし,それほどハイマツの丈が高くないため,ハイマツ漕ぎとしては大分ましである。
ハイマツが途切れ,イザルガ岳の広い山頂に到着。
2019年09月28日 16:05撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/28 16:05
ハイマツが途切れ,イザルガ岳の広い山頂に到着。
手前から茶臼岳,上河内岳,聖岳。雲が多いが,天気は一日持ってくれた。感謝。
2019年09月28日 16:06撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/28 16:06
手前から茶臼岳,上河内岳,聖岳。雲が多いが,天気は一日持ってくれた。感謝。
富士山も見える。三重の傘がかかっている…やはり天気は悪化するのか。
2019年09月28日 16:07撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/28 16:07
富士山も見える。三重の傘がかかっている…やはり天気は悪化するのか。
面白いことに見ているうちに傘の形が変わっていき,離れ傘になった。
2019年09月28日 16:25撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/28 16:25
面白いことに見ているうちに傘の形が変わっていき,離れ傘になった。
深南部の山々。
2019年09月28日 16:08撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/28 16:08
深南部の山々。
そして光岳方面。
2019年09月28日 16:09撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/28 16:09
そして光岳方面。
展望を楽しんだ後,光岳へ。散歩道のような木道を歩くのが楽しい。
2019年09月28日 16:32撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/28 16:32
展望を楽しんだ後,光岳へ。散歩道のような木道を歩くのが楽しい。
今宵の宿である光小屋が見えた。もう今季の営業は終了しているが,一部開放されており泊まることができる。さすがに稜線上でタープでしのぐガッツはないので,屋根があるだけありがたい。
2019年09月28日 16:38撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/28 16:38
今宵の宿である光小屋が見えた。もう今季の営業は終了しているが,一部開放されており泊まることができる。さすがに稜線上でタープでしのぐガッツはないので,屋根があるだけありがたい。
小屋に荷物をデポし,光岳へ。樹木の中の静かな山頂だ。小学生の頃に,何かのガイドブックで「アクセスの遠い,遙かな山頂」という記事を読んだことがあって,ずっと来てみたかったが,なかなか機会がなかった。やっと来られた。
2019年09月28日 17:02撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/28 17:02
小屋に荷物をデポし,光岳へ。樹木の中の静かな山頂だ。小学生の頃に,何かのガイドブックで「アクセスの遠い,遙かな山頂」という記事を読んだことがあって,ずっと来てみたかったが,なかなか機会がなかった。やっと来られた。
こっちの看板のほうが好き。このタイプの看板を見ると,南アルプスに来たな,という気分になる。
2019年09月28日 17:02撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/28 17:02
こっちの看板のほうが好き。このタイプの看板を見ると,南アルプスに来たな,という気分になる。
山頂の少し西側の展望が開けたところから。
2019年09月28日 17:04撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/28 17:04
山頂の少し西側の展望が開けたところから。
光岳から少し歩いて,光岳の名前の由来になった光石へ。思ったより立派な岩峰で感動した。この岩峰だけ真っ白な石灰岩。地質の不思議だ。
2019年09月28日 17:14撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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光岳から少し歩いて,光岳の名前の由来になった光石へ。思ったより立派な岩峰で感動した。この岩峰だけ真っ白な石灰岩。地質の不思議だ。
眺望も素晴らしい。
2019年09月28日 17:12撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/28 17:12
眺望も素晴らしい。
もう少し待ったら夕焼けが見られそうだったが,早く小屋に還らないと炊事が遅れてしまう。後ろ髪引かれつつ往路を戻る。
2019年09月28日 17:12撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/28 17:12
もう少し待ったら夕焼けが見られそうだったが,早く小屋に還らないと炊事が遅れてしまう。後ろ髪引かれつつ往路を戻る。
振りかえると,光石の上に秋の夕空が美しかった。
2019年09月28日 17:14撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/28 17:14
振りかえると,光石の上に秋の夕空が美しかった。
光小屋は非常にきれいで快適な小屋。利用者は20名くらいで思ったより多かったが、それでも十分なスペースがあった。キムチ鍋とビビンバの調理を片手に,雑音と混線の激しいラジオ(もちろんイヤホンで)を必死にチューニングしながらラグビーの日本対アイルランド戦に聞き入り,一人で大興奮していた。本当に勝っちゃったよ!
2019年09月29日 05:33撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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光小屋は非常にきれいで快適な小屋。利用者は20名くらいで思ったより多かったが、それでも十分なスペースがあった。キムチ鍋とビビンバの調理を片手に,雑音と混線の激しいラジオ(もちろんイヤホンで)を必死にチューニングしながらラグビーの日本対アイルランド戦に聞き入り,一人で大興奮していた。本当に勝っちゃったよ!
翌朝は完全なガスの中。今日は上河内岳まで縦走して下山する予定なのだが,残念ながら霧中の縦走となりそうだ。
2019年09月29日 05:45撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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翌朝は完全なガスの中。今日は上河内岳まで縦走して下山する予定なのだが,残念ながら霧中の縦走となりそうだ。
希望峰まで全く展望はなく,黙々と歩く。しかしさっきからすこし周囲が明るくなってきている。もしかして晴れるのでは?希望峰で昼飯のチキンライスを作りつつ,少し待ってみることに。
2019年09月29日 09:15撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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希望峰まで全く展望はなく,黙々と歩く。しかしさっきからすこし周囲が明るくなってきている。もしかして晴れるのでは?希望峰で昼飯のチキンライスを作りつつ,少し待ってみることに。
おおっ,本当に晴れてきた!さすが希望の峰!
2019年09月29日 10:14撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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おおっ,本当に晴れてきた!さすが希望の峰!
急ぎ足で仁田岳に向かう。
2019年09月29日 10:37撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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急ぎ足で仁田岳に向かう。
仁田岳。まあこれでええやろといった感じの素朴な山名板が素晴らしい。背後は茶臼岳,上河内岳,聖岳。
2019年09月29日 10:42撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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仁田岳。まあこれでええやろといった感じの素朴な山名板が素晴らしい。背後は茶臼岳,上河内岳,聖岳。
イザルガ岳方面もよく見える。感慨深いことに,昨日遡った南沢も正面に見える(イザルガ岳の右肩にうねうねと突き上げている沢がそれ。)。そういえば,昨日,南沢の源頭で仁田岳が良く見えたな。昨日見た場所から,今日見返しているわけだ。不思議な感覚だ。
2019年09月29日 10:43撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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イザルガ岳方面もよく見える。感慨深いことに,昨日遡った南沢も正面に見える(イザルガ岳の右肩にうねうねと突き上げている沢がそれ。)。そういえば,昨日,南沢の源頭で仁田岳が良く見えたな。昨日見た場所から,今日見返しているわけだ。不思議な感覚だ。
深南部の山々。
2019年09月29日 10:44撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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深南部の山々。
部分的に草紅葉が美しい。
2019年09月29日 10:45撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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部分的に草紅葉が美しい。
茶臼岳へ。あらら,雲が近づいてきたな…。
2019年09月29日 11:14撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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茶臼岳へ。あらら,雲が近づいてきたな…。
残念ながら,茶臼岳についたころには再びガス。
2019年09月29日 11:51撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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残念ながら,茶臼岳についたころには再びガス。
上河内岳への稜線。茶臼小屋への分岐にザックをデポし,レインカバーを風呂敷代わりに最低限の装備を包み,上河内岳へ。
2019年09月29日 12:03撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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上河内岳への稜線。茶臼小屋への分岐にザックをデポし,レインカバーを風呂敷代わりに最低限の装備を包み,上河内岳へ。
地形図上でお花畑と記載のある場所。森の中に突然現れる不思議な草原。
2019年09月29日 12:35撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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地形図上でお花畑と記載のある場所。森の中に突然現れる不思議な草原。
上河内岳が近づいてきた。ガスってはいるが,なかなかかっこいいな。
2019年09月29日 12:55撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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上河内岳が近づいてきた。ガスってはいるが,なかなかかっこいいな。
はいこんにちは。…って,ええ? ライチョウ!?
2019年09月29日 12:57撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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はいこんにちは。…って,ええ? ライチョウ!?
南アルプスの南部にライチョウなんていたのか?初めて知った…
(帰ってから調べると,イザルガ岳あたりまで生息しているんですね。勉強になりました。)
2019年09月29日 12:58撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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南アルプスの南部にライチョウなんていたのか?初めて知った…
(帰ってから調べると,イザルガ岳あたりまで生息しているんですね。勉強になりました。)
ハイマツの茂みから転がるように次々に飛び出してきて,3匹になった。
2019年09月29日 12:59撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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ハイマツの茂みから転がるように次々に飛び出してきて,3匹になった。
クークー鳴きながらこちらをお構いなしにしきりに草を食べている。うう,かわいいぞ,この雷コッコども…。
2019年09月29日 12:59撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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クークー鳴きながらこちらをお構いなしにしきりに草を食べている。うう,かわいいぞ,この雷コッコども…。
足に赤い印をつけたライチョウもいた。生態調査のためのマーカーだろうか。
2019年09月29日 13:03撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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足に赤い印をつけたライチョウもいた。生態調査のためのマーカーだろうか。
10分ほどライチョウと戯れたあと,上河内岳へ。晴れてきたぞ!
2019年09月29日 13:13撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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10分ほどライチョウと戯れたあと,上河内岳へ。晴れてきたぞ!
まずは前衛峰へ。
2019年09月29日 13:17撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/29 13:17
まずは前衛峰へ。
来し方を振り返る。
2019年09月29日 13:19撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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来し方を振り返る。
もうすぐ頂上。この旅の最終目的地だが…
2019年09月29日 13:24撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/29 13:24
もうすぐ頂上。この旅の最終目的地だが…
残念ながら到着時は既に霧の中! まあいい,来られただけでも満足だ。ライチョウにも会えたし…。
2019年09月29日 13:34撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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残念ながら到着時は既に霧の中! まあいい,来られただけでも満足だ。ライチョウにも会えたし…。
霧の中にわずかに聖平が見えた。
2019年09月29日 13:42撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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霧の中にわずかに聖平が見えた。
夏の終わり。
2019年09月29日 13:36撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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夏の終わり。
上河内岳から引き返し,茶臼小屋から畑薙大吊橋へ下山。ウソッコ小屋に着いたあたりで夕闇に包まれ始め,ヘッデンの出番となった。
2019年09月29日 18:27撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
9/29 18:27
上河内岳から引き返し,茶臼小屋から畑薙大吊橋へ下山。ウソッコ小屋に着いたあたりで夕闇に包まれ始め,ヘッデンの出番となった。
片側が切れ落ちた斜面を進んだり,吊橋が壊れていて丸木橋を渡ったり,なかなかワイルドな道で,昔の杣道を辿っているようだ。真っ暗なので当然沢の流れは見えないのだが,渡渉するたびに左右に瀬音が入れ替わる。串田孫一の「島々谷の夜」が思い起こされる。谷の夜を楽しみながら,ゆっくりと進んだ。
2019年09月29日 18:21撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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片側が切れ落ちた斜面を進んだり,吊橋が壊れていて丸木橋を渡ったり,なかなかワイルドな道で,昔の杣道を辿っているようだ。真っ暗なので当然沢の流れは見えないのだが,渡渉するたびに左右に瀬音が入れ替わる。串田孫一の「島々谷の夜」が思い起こされる。谷の夜を楽しみながら,ゆっくりと進んだ。
何度か沢を渡り返した後,踏み跡は斜面を回り込むように急激に高度を上げていく。次第に沢音が聞こえなくなり,完全な夜のしじまに包まれた。何だか寂しい気がした。
2019年09月29日 18:52撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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何度か沢を渡り返した後,踏み跡は斜面を回り込むように急激に高度を上げていく。次第に沢音が聞こえなくなり,完全な夜のしじまに包まれた。何だか寂しい気がした。
しかし長い道だ…。アップダウンも多い。やれやれだぜ…。
2019年09月29日 18:56撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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9/29 18:56
しかし長い道だ…。アップダウンも多い。やれやれだぜ…。
すると次第に前方左手から,これまでとは明らかに違う大きな川の音が聞こえだし,それが次第に近づいてきて,ヘッドランプの光の中に大きな吊橋の姿が現れた。畑薙大吊橋だ。夜の大吊橋を踏み板をきしませながら渡っていく。闇の中に浮かんでいるみたいだ。このまま宙の中に吸い込まれてしまいそうな…ことはなく,気が付いたら林道に立っていた。林道を小一時間歩いて,車に帰着。クマ,ライチョウ,夜の大吊橋…なんだか夢のような3日間だった。
2019年09月29日 19:17撮影 by  FinePix XP140 XP141 XP145, FUJIFILM
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すると次第に前方左手から,これまでとは明らかに違う大きな川の音が聞こえだし,それが次第に近づいてきて,ヘッドランプの光の中に大きな吊橋の姿が現れた。畑薙大吊橋だ。夜の大吊橋を踏み板をきしませながら渡っていく。闇の中に浮かんでいるみたいだ。このまま宙の中に吸い込まれてしまいそうな…ことはなく,気が付いたら林道に立っていた。林道を小一時間歩いて,車に帰着。クマ,ライチョウ,夜の大吊橋…なんだか夢のような3日間だった。

装備

備考 ・20mロープを持参しましたが,使いませんでした(高巻きも懸垂下降なしで可能でした。)。

感想

 信濃俣河内の遡行。天気や仕事に妨げられつつも、何年も温め続けて,やっと実現することができた。
 この谷は,目を見張るような大滝があるわけでも,はっとするような美景があるわけでもない。しかし,大きな山塊の中を延々とくねり続ける長大な沢をひたすらに遡り,その中で夜を過ごすうちに,谷のにおいと自分のにおいが親しく一体になってくるような,谷を稜線まで詰め上げて最後に振り返った時にじわりと何とも言えない旅情のようなものがしみだしてくるような,いい谷だった。
 少し残念だったのは,もともと谷中2泊を予定していたのだが,情報を仕入れられなかった南沢への不安と,天候悪化への懸念から,速足になってしまい,1泊で沢を抜けてしまったことだ。もう1泊沢の中でゆっくり遊んでいれば,もっと沢旅気分を満喫できたかもしれない。
 今回は,少ない水量や,ぐずつきながらも持ちこたえ続けてくれた天候にも助けられ,私が谷を通過するのを静かに見逃してくれた親子グマや,稜線でにぎやかに出迎えてくれたライチョウなど,様々な幸運に恵まれて無事に山行を終えることができた。谷や山のいろいろな皆様,ありがとうございました。

<後日追記>
 冠松次郎の「渓」に収録されている「大井川の冬」を読んでいたら,信濃俣河内について興味深い記述があった。以下引用。
「…大井川は奥から開けてきたということである。井川より田代や小河内のほうが先で,それから井川にも人が住むようになった。今から七,八百年も前,信州からの落人が,遠山川を遡って信濃俣河内に降り,その上流の矢平へ八戸を営んだ。それが別れて四戸は寸又谷の大間へ,他の四戸は大井川の田代へ下って集落を造った。今の田代や大間の先祖と言わるるものがそれである。同じ谷奥の集落でも小河内の者は甲州から入って来たのだと言い伝えられている。昔は田代の者が信州の遠山の和田まで買物に来たと,今日でも遠山の者が言い伝えている。それは今の信濃俣入りを易老岳から遠山川に下って和田へ出たものである。それはこれらの集落の者が信州からの落人であったことを物語っているようだ。大日峠を利用するようになったのは,それから暫く後のことらしい。」
 今では考え難いことだが,信濃俣河内は,信州と駿河を結ぶ道として機能していたということである。あの長い渓谷を生活のために行き来した昔の人の健脚には恐れ入るばかりだが,まさか信濃俣河内のゴルジュの只中を道が通っていたわけではなかろうと思う。恐らくそうした悪場は山腹を巻く岨道があったはずだが,その道はどこを通っていたのだろう。そして,その道を通った人たちは,稜線を越えるたびに,茶臼岳や上河内岳,聖岳の絶景を,どんな思いで眺めていたのだろう。想像するとなかなか楽しい。信濃俣河内という名前にも,確かに,駿河側から見て隣国へと続く道としての余韻が響いているのかもしれない。

<さらに後日追記(2020.4.27)>
 明治末期〜昭和初期の登山家である木暮理太郎の著作に「大井川奥山の話」という小編がある。大正3年夏に信濃俣河内からイザルガ岳に登り,悪沢岳まで縦走した経緯について書かれており,信濃俣河内について二三興味深い記述があったので,書き留めておきたい。以下「」内の部分は同書からの抜き書き。
「…間もなく下ノ島に来た。此処で大井川に別れ,山の鼻を登り気味に廻って,信濃俣の谷に入り込むのである。信州に抜ける間道がこの奥のガッチ河内に沿うて通じている。これは其道であるが大分荒廃して途切れ勝である。」
 やはり信濃俣河内に沿った信州への道について言及がある。しかし,当時にして既に「大分荒廃して途切れ勝」とのことで,大正初期にはあまり使われなくなっていたのかもしれない。信濃俣河内への入り方は,現在の信濃俣林道の道の付き方と何となく似ている気がする(もちろん,現在はダムができてしまっているので,当時のままではないだろうが)。信濃俣河内のことを「ガッチ河内」と呼んでいるのも興味深い。このあと,木暮は荒廃気味の道を辿らずに河原に降り,そのまま谷を遡っていく。
「…ガッチ河内と中俣との合流点に達したのは,午前八時ごろである。此処で一時間許り遊んで四,五十匹の岩魚を釣った。」
 中俣との合流点とは,三俣のことだろう。しかし,イワナ四,五十匹って…。まさに隔世の感。
「…是からは道を離れ沢を離れて,山の神尾根の登りに懸るのである,…猟師は之をシシ崩れの道と呼んでいる。」
 山の神尾根(イザルガ岳南東尾根)は現在でもバリエーションルートの一つとして登られている尾根。当時から地元の猟師が使っていた尾根だったようだ。「道を離れ」という表現があるので,信濃俣河内に沿って信州に抜ける道は,この山の神尾根の道とは別に谷沿いに続いていたということだろう。
 木暮は山の神尾根からイザルガ岳に至り(「頂上は平で這松がなく,敷きならしたような一面の小石」…現在と全く同じである。),稜線上に群れを成すシカに驚きつつも,稜線を北上していく。易老岳に近づいたあたりで以下の記述がある。
「…信州に越える間道は此の山の南を通じている。…」
 やはり信濃俣河内からの道は,易老岳付近で稜線を越えていたようだ。この道はおそらく信濃俣河内の西沢と大春木沢を分ける二俣からついている道で,現在も辿ることができるらしい(少なくとも,日本登山体系には記述がある)。地図上で見ても,二俣から尾根沿いに登れば易老岳の南側に出るのは自然だ。なお,易老岳から信州側の遠山川へは,恐らく現在と同じ尾根に道がつけられていたものと思われる(松濤明が昭和15年3月に南アルプス南部を縦走した際,地元の案内人に易老渡からこの道を取ることを勧められている。ただし,彼は白薙を直登して大変な目に遭っているが。「風雪のビヴァーク」収録の「春の遠山入り」参照)。
 しかし,最大の疑問は,この信濃俣河内に沿った間道は,この谷のゴルジュ帯(第1〜第3ゴルジュ)をどのようにかわしていたか,ということだ。残念ながら,木暮は山の神尾根でこの区間を迂回してしまっているので,彼の紀行はその答えを与えてくれない。疑問は残ったままだが,この小編は,登山者がまだほとんど入っておらず,猟師や職漁師の世界だった当時のこの山域の雰囲気をよく伝える興味深い記録だと思う。
※ なお,木暮は仁田岳のことを「ガッチ河内(=信濃俣河内)の岳」,茶臼岳のことを「仁田河内ノ岳」と呼んでいる。恐らく,案内役として同行した地元の猟師から聞いたと思われるので,もしかしたらこちらの呼称のほうが本来なのかもしれない。

 

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コメント

感謝です
素晴らしい沢旅でしたね。夢中で拝見しました。よくぞこの場面でという写真が撮れているのが素晴らしい。悪場やクマ、夜間など普通は写真など取れないシーンが続々、雷鳥もかなりのアップ。ルートの読みや解説、記録としても大変参考になりました。ありがとうございます。
2020/7/5 6:24
Re: 感謝です
丁寧なコメントをいただき、ありがとうございます。熊にしても雷鳥にしても、様々な幸運に恵まれた山行でした(熊にはあまり会いたくはありませんが…笑)。山の神様に感謝です。
TYos様にも、素敵な山行をお祈りしております。
2020/7/6 8:13
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