石鎚山〜剣山縦走(四国山地縦走)
- GPS
- 128:25
- 距離
- 151km
- 登り
- 12,826m
- 下り
- 12,834m
コースタイム
- 山行
- 9:04
- 休憩
- 1:29
- 合計
- 10:33
- 山行
- 10:36
- 休憩
- 0:35
- 合計
- 11:11
- 山行
- 10:36
- 休憩
- 0:44
- 合計
- 11:20
- 山行
- 9:45
- 休憩
- 0:24
- 合計
- 10:09
- 山行
- 9:43
- 休憩
- 0:50
- 合計
- 10:33
- 山行
- 6:03
- 休憩
- 1:05
- 合計
- 7:08
天候 | 6日とも晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
四国山地中心部(黒岩山〜京柱峠)は踏み跡不明瞭、要所で藪漕ぎも有り 水場も事前の入念な調査が必要 |
写真
装備
個人装備 |
Tシャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
ゲイター
日よけ帽子
着替え
靴
予備靴ひも
ザック
行動食
調理用食材
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
食器
ライター
地図(地形図)
コンパス
計画書
ヘッドランプ
予備電池
ファーストエイドキット
常備薬
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
タオル
ストック
カメラ
ポール
テント
テントマット
シェラフ
|
---|
感想
2020年4月、石鎚山〜剣山の四国山地縦走を企画。2ヶ所に食糧をデポするという、先人に倣ったスタイルで完走を目指したが、最初のデポ地、大田尾越にデポした食糧が野生動物に食い荒らされ2日で敗退。
2020年10月、今度は食料をデポするのではなく、肉体を限界まで鍛え上げ、全装備を担ぐスタイルで正真正銘の縦走を目指して再挑戦。4日で土佐岩原まで到達したがまさかの台風発生によりまたしても挑戦は退けられた。
2回目の記録↓
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-2633482.html
2回目の敗退後、再挑戦はしないと明言したが、頭の片隅にはずっとモヤモヤが残ったままだった。
昨年末に剱岳で雪崩に飲まれ、3ヵ月間の静養を余儀なくされたが、その期間を除いたこの1年間、何かに取り憑かれたかのように肉体を鍛え続けた。
良い刺激になるだろうと入会した会社のマラソン部は競う相手がいなくなり、仕事終わりの屋島の登り下り2往復ダッシュは32分台で片付くようになった。
そして当たり前のように3度目の計画を立て始めていた。
この縦走のポイントは3つ。
_拱を極限まで減らし、可能な限り日程を圧縮する
衣食住を担いだ状態で筋疲労を残さないようにゆっくり歩く速度が、常人のコースタイムの70%を切っていて、それを1日12時間×6日維持できる
四国山地中心部の藪の処理、水場の確保、延々と続く山稜と孤独に耐えられるメンタル
,鰐蟻未鮑錣落としたパッキングでベースウエイト5.5kg、全食料6.5kgの総重量12kg+水を1.5L担いだとしても13.5kgとなり、この重量であれば5泊6日で抜けれる。サポート隊や荷物デポ有りの先人達の相場が12日前後であることを見ると、日程を半分に圧縮できる算段となる。
△脇々の鍛錬による筋力と持久力でカバーする
は四国山地中心部をすでに2度横断しており、どこに何があるかが手に取る様に分かっている。メンタルが最大の障壁となりそうだが、有り余る体力があればメンタルはカバーできるはず
かくして夏の終りまでに準備を着々と済ませ、天気予報を眺める毎日が続いた。
そして9月の終わりの10日間天気予報では10日先まで全て晴れマークがついた。ここしかない!と一週間の休暇を申請し、無事に受理された。10/1には全ての仕事が片付き、その夜は家でゆっくりできた。翌日、電車に乗り込み決戦の地西条へ向かった。
3度目の挑戦を行う為に。己に決着をつける為に。
■1日目 行動時間:約10時間半
成就社〜桑瀬峠
4時45分にヘッデン付けてスタート。最初のピークであり、スタート地点でもある石鎚山頂の小屋では知り合いに励まされ、ナーバスな気持ちが吹き飛ぶ。同時にSさん、Kさんにも会えるかもと伝えられる。
SさんとKさんは自分が厳しい山に挑むきっかけを作ってくれた恩人だ。そんな3人に初日から会えるなんて幸先が良すぎる。
しかしSさんは天狗岳直下で会う事が出来たが、Kさんは紙一重の所でニアミスをし、会うことが出来なかった。残念だが先を急ぐ事にする。
西黒森あたりから10月とは思えない日差しの強さでちょっとバテ気味になるが、ゆっくり歩いて少しずつ挽回する。東黒森登山口でビバーク用の水を4.5L汲み、桑瀬峠まで登り返して初日の行動を終える。
■2日目 行動時間:約11時間15分
桑瀬峠〜大野山
夜半、テントが吹き飛びそうな強風で目が覚める。風がフライの隙間から入りまくり、夏用のペラペラのシュラフでは寒くて堪える。
だが昨日の日差しの強さを思い出し、風が強い方が行動しやすいとヘッデン付けてスタート。
強風のおかげで順調に大座礼山まで進み、大北川源流でビバーク用の水を4.5L汲み、進めるところまで進むことにする。東光森山のキツイ登りをこなして四国山地中心部に突入。ここからはアップダウンが多くなってくる。大野山直下に良い幕営適地があったのでそこで行動を打ち切る。
■3日目 行動時間:11時間半
大野山〜カガマシ山先のP1233
今日は核心のひとつ、大登岐越えが待っている。気温が上がらないうちに大登岐山は越えておきたいと4時20分頃ヘッデンスタート。黒岩山を過ぎたあたりから藪っぽくなり、大登岐山の登りでは強烈なスズタケ漕ぎを強いられる。
地に這いつくばるようにしてスズタケと格闘し、暫くして大登岐山に飛び出す。大休止ののち出発しようとして異変に気付く。
「ストックが無い!!」
スズタケ藪漕ぎの際、ストックをザック背面に取り付けていたが、藪に掻っ攫われたようでどこで落としたのか検討も付かない。
戻る訳にもいかず、ストックは諦めて先に進む事にする。
ストックの代わりになるような木を探しながらいくつものアップダウンとちょっとした岩場を越えていく。
玉取山付近でちょうど良い木の枝を発見、以降この木の枝を相棒と呼び、行動を共にする事になる。
中川峠で水を4.5L汲んで今日も行けるところまで進む。カガマシ山先のP1233に快適な幕営適地があったので行動を打ち切る。
■4日目 行動時間:10時間10分
P1233〜土佐岩原
今日も栃尾山からのスズタケ漕ぎが待っている。暗闇で藪は漕ぎたくないので少し遅めの5時にヘッデンスタート、栃尾山でちょうど周りが明るくなってくる。
取付きのスズタケが刈られていて楽できるかと思ったが刈られていたのは取付きの部分だけだった。
こっちの藪も地を這うようにして進まなければならないが、大登岐山のそれに比べると短い。
立川越のいつもの沢で水を汲み、野鹿池山西尾根に取り付く。この尾根はアップダウンが多い上に激登りが2発有り、バテないようにペースを落とす。
野鹿池山から先は県境尾根を進み、県境が尾根から谷筋に変わる部分のピーク、市女笠山から先は南東尾根を使って林道に乗り、高度を一気に下げる。
久しぶりに人里に降り、吉野川を渡って土佐岩原駅に到着。これで全工程の2/3が終わった事になる。ここまでは前回も来たが、問題なのはここから先、京柱峠までの登り返しだ。だがそれを越えてしまえば後は…
期待と不安が入り交じるが、久しぶりの人里に安心し、この日はよく眠る事が出来た。
■5日目 行動時間:10時間45分
土佐岩原〜お亀岩避難小屋
今日は縦走5日目にして標高を3000m以上上げなければならない。だがお亀岩まで辿り着けばもうもらったも同然だ。
気合いを入れて4時にヘッデンスタート、岩原神社の裏の尾根から山に入る。
尾根は急で灌木がうるさいが、もうそんな尾根を何日も歩いているので淡々と登高に専念する。途中で伐採地に入り込むがこれが失敗で、暗闇でルーファイが利かず、腐った倒木を何度も踏み抜いた挙げ句、タラの芽と茨で血だらけになる。ここは進めねえ…
途中から左の植林帯に逃げ込んで登高する。
三方山から先は依然としてアップダウンが続き、ススキが生い茂って鬱陶しいが、耐えて歩き続けるとようやく剣山地の玄関、京柱峠に出た。
ついにここまで来た…と嬉しさが込み上げてくる。
京柱峠から先は明瞭で快適な縦走路に変貌し、足取りが軽くなる。土佐矢筈の稜線に出てゴール地点である剣山が視認できると、感動の余り思わず叫ぶ。途中天狗塚にも寄り道し、見慣れた景色を楽しむ。
連日11時間行動の縦走5日目で、今日もすでに標高を3000m以上上げているはずだが、筋肉痛はなく、息も全く上がらない。
俺の体はカロリーを摂取し続ける限り、無限に動けるのではないだろうか?縦走マシーン、いや、暴走機関車にでもなったような気分になり、このまま見ノ越まで一気駆けして
4泊5日で終わらせてもいいなと考えるようになる。
だがお亀岩分岐でお亀小屋を見て考えが変わった。見慣れた小屋だが、いつにもまして今日は輝いて見えた。今日はここに泊まろう。
2時間かけて薪を作り、薪ストーブで焚き火をした。
明日はもう難所もなく、快適な縦走路を見ノ越まで歩くだけだ。
薪ストーブの明かり、火が燃ゆる音、満天の星空と天の川を見ながらゆっくりと時間を過ごす。こんなにも心が穏やかな夜は人生で初めてかもしれない。
■6日目 行動時間:7時間10分
お亀岩避難小屋〜見ノ越
縦走6日目にして初めてヘッデンを付けずにスタートする。西熊山で朝日を眺め、次々とピークを落としていく。藪のない縦走路は本当に快適だ。
次郎笈を登り終え、剣山の最後の登りに取り掛かる。山頂直前、込み上げてくるものがあり、感情を抑えながら登り続ける。
そしてその瞬間は訪れた。
最初は、もう登らなくて良いという嬉しさが勝ち、呆然としていた。だが、しばらくして鍛錬の日々を思い出した。この1年半、訪れるかどうかも分からないこの瞬間のために、来る日も来る日も走り続け、体重は10kg落ち、人相も体型もガラっと変わった。
心が折れそうになった事もあった。
それらが一通り脳内でフラッシュバックした後、込み上げてくるものを抑えることができなくなった。
声を押し殺し、泣いた。
■終わりに
紡いできた努力が実った。
というより、努力をし過ぎたのかもしれない。6日歩いて息が上がった事は一度も無く、下山して2日経つがとうとう筋肉痛はやって来なかった。縦走に関してはひとつの境地に到達したように思う。
元々自分の本業はアルパイン、それをかなぐり捨て、1年半もの間随分と長い寄り道をしてしまった。
目的が達成された今、そろそろ本業に戻る時だろう。
この経験で得た体力とメンタルを糧に、今度は仲間と挑む年末に向けて、また新たに調整をしていきたいと思う。
四国山地、本当にありがとう
コメント
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三回くらい読み返しました。
「カロリーを摂取し続ける限り」「こんなにも心が穏やかな夜」「訪れるかどうかもわからないこの瞬間」「声を押し殺し」、この辺のくだり、こんな経験が出きる人が世の中にどれくらいいるだろうかなんて考えさせられましたよ。なんて言いつつ相棒を忘れるあたり(^^)
しばらくはゆっくり………なんてしないのでしょう。
機会があればゆっくり話を聞かせてもらいたい(°Д°)
こっちでコメントのやり取りをするのは新鮮ですね😌
思えば学生時代はろくに運動も勉強もせず、社会人になっても酒とギャンブルしかしてこなかったクズみたいな自分が、いつの間にか目標達成のためなら鍛錬を惜しまない、かつて自分が一番嫌いだった暑苦しい野郎になっているのはどういう風の吹き回しでしょうね。
今回の件でたまには努力してみるもんだなと思いました。
でも今は一休みしたいので、今週末は数年ぶりに並んでパチ屋入ろかな🤭
相棒は残念ですが、そのうちまた会えるでしょう、多分。
kilyyanさんは個人的に祖谷・剣山系で一番会いたい人ナンバー1なんですよね。いつかどこかでバッタリできたらとずっと思ってます。酒の席なら尚良しですよ(笑)
某避難小屋の宴会あたりで、いつかお会いできる時が来ることを楽しみにしています。
貴重な情報をありがとうございます。
私も6日くらいで石鎚山〜剣山までトレランでの縦走を計画しています。
5月のGWを予定していますが、四国山地は初めてで、水場、中央部の深部の不明瞭部分、寒さや天気の当たりが不安で悩んでいます。
100〜200kmくらいのトレランはしておりますので体力、脚力は何とかなると思っております。
お手好きの際にアドバイスいただければ嬉しいです。
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