北ア縦走 念願の雲ノ平(折立~雲ノ平~水晶岳~鷲羽岳~笠ヶ岳~新穂高)
- GPS
- 97:59
- 距離
- 55.3km
- 登り
- 4,438m
- 下り
- 4,667m
コースタイム
- 山行
- 3:08
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 3:08
- 山行
- 4:26
- 休憩
- 1:37
- 合計
- 6:03
- 山行
- 9:47
- 休憩
- 2:07
- 合計
- 11:54
- 山行
- 5:42
- 休憩
- 5:27
- 合計
- 11:09
天候 | 10:曇後暴風雨,11:雨,12:雨後晴、13:晴、14:曇後雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
富山地鉄バス 富山駅6:20,折立8:20(3500円) 復路 中央交通トラベル倶楽部 奥飛騨温泉郷12:20,梅田19:50(4700円) ※お盆の交通渋滞で梅田着は40分遅れ |
コース状況/ 危険箇所等 |
道の状況: 折立~太郎平小屋 ... よく整備された登山道 太郎平小屋~薬師沢~雲ノ平 ... 渡渉3箇所(増水時は渡れない場合があるので、小屋への確認必要) 雲ノ平への登りは雨天時要注意(沢同然の急登に苦労しました) 雲ノ平~ワリモ北分岐~水晶岳~鷲羽岳~三股山荘 ... 稜線上での強風注意! 三股山荘~三俣蓮華岳~双六岳~双六小屋~笠ケ岳 ... 景色は最高。晴天時は、気持ち良い稜線歩きができます。 笠新道:恐ろしく長い急坂です。下山時には膝を痛めない様に注意が必要。 |
その他周辺情報 | 登山ポスト: 太郎平小屋に有り(折立登山口には有りません) 下山後温泉: 中崎山荘 奥飛騨の湯 大人 : 入浴料800円 営業時間 : 8:00〜19:00(閉館20:00) TEL:0578-89-2021 |
写真
感想
ずっと憧れていた雲ノ平を歩いてきました。
今回も稜線では、容赦なく横殴りの雨と強風の洗礼を受け、
北アルプスは甘くはないことを痛感。
基本的に悪天候の中進みましたが、時折見せてくれる
双六岳、笠ヶ岳からの絶景は素晴らしいものでした。
特に水晶岳から見た360度の大パノラマは心に焼き付いています。
薬師岳、黒部五郎岳、赤牛岳、裏銀座の稜線はどこをとっても
かっこよかったです。北アルプスのスター選手は、槍・穂高だけではないことを知り、
ますます歩きたい稜線が増えました。
以下、道中記録です。
◆1日目 折立〜太郎平小屋
折立バス停に降り立つ。まずはここに辿り着けたことに感謝。
「行ってらっしゃい」と快く送り出してくれた家族のためにも
山に入る以上、無事家に帰りつくことは、全ての登山者の義務である。
心の帯を締め直して、山に入る。
「台風11号接近!」どうやら台風直撃は避けられないらしい。
事前に情報を集めれば集めるほど、不安になった。
道中の小屋に電話をかけ、道の状況等を確認するが、
雨・風が強いと有峰林道が閉鎖される場合もある、らしい。
(山にも入れず、足止めは最悪だ!)
雲ノ平行きは、半年以上前から計画し、ずっと楽しみにしていた。
会社勤めの人間が夏山を楽しむための長い休みをとれるのは盆休みくらい。
よりによってこんな時に来なくても良いのに、と思った。
折立から雲ノ平への道は渡渉点が3箇所有り、増水時は渡れない場合もある。
バックアップ策として、雲ノ平を諦め、黒部五郎経由で新穂高に繋ぐ
計画を急遽たて、あとは出たとこ勝負と腹をくくった。
稜線上に早く乗り、どこかで台風をやり過ごす必要がある。
果たして計画通り、上手くいくだろうか...
登り初めのお天気は曇り。途中で雨がパラついたので早めにカッパを着る。
台風は直にやってくる。太郎平小屋に急ぐ。
小屋に近づいた時なにか白い板が飛んでくるのが見えた。あとから2人が
走って追いかける。小屋から強風に飛ばされた板を無事回収できたようだ。
小屋でテント泊の受付をする。
「今からテント張るのですか?ちょっと休んでいったらどうですか?
自炊室使ってください。」と勧められ、ありがたく自炊室を使わせて頂く。
ランチを食べ、本を読む。ここで「孤高の人」の漫画があるのを初めて知った。
「孤高の人」はまだ学生時代に、バイト先の山好きの母親に勧められて
読んだことがある。私の知るものとは違ったがなかなか面白かった。
4巻まで読みきったところで、顔を上げ窓の外を見た。
外は恐ろしい暴風雨に変わっていた。この時点でテント泊は諦め、小屋泊に変更。
テント泊縦走へのこだわりもあったが、殺人的な暴風雨には耐えられそうもない。
新調したテントを縦走初日で失うには忍びない。
小屋での生活は快適極まりない。雨の日のテント泊とは大違い。
この日はゆっくりと本を読んで過ごした。
◆2日目 太郎平小屋〜雲ノ平山荘
朝食後、出発の準備をしていると、トレランの選手が何人か駆け込んできた。
まだ5時前だった。「何か食べられるものがありますか?」と聞き
カップラーメンを注文していた。拍手の中、早々に出発して行かれた。
あとで知ったがトランス・ジャパン・アルプスのトップ集団の選手達であった。
ルール上は、小屋での食事はOKらしいが、朝が早いとカレー等の準備も
できていない。小屋側は、選手に対し競技会向けの特別扱いは一切無いようだ。
カップラーメンくらいで、摂取カロリーが補えるのだろうか?と思った。
選手の方々は、皆軽装で、ツェルト携行らしい。
昨日の台風を稜線上でどうやってやり過ごしたのだろう。過酷な大会だ。
北アは劔岳、薬師岳を越えてきて、この後、黒部五郎、槍を抜け上高地まで行くそうだ。
鉄人と呼ぶにふさわしい方々でした。
霧雨の中、出発。
3つ渡渉点を越え、雲ノ平へ行けることを確信し、ホッと一安心。
薬師沢で一休み。ここからが大変だった。登山道は雨でまるで沢。
おまけに急坂が延々とどこまでも続く。全然楽しくない沢登りであった。
ようやく登りきり、アラスカ庭園に到着。やった!
周りはガスガスではあったが嬉しかった。雲ノ平山荘でランチ休憩。
可愛らしい小屋であった。ここでは「黒部の山賊」を楽しく読ませて頂いた。
休憩後、テン場に移動しテント設営。昨日の台風の中テント泊の人がいることを知る。
(薬師峠テント3張、雲ノ平テント1張)。雲ノ平でテントを張った方と小屋で話したが、
強風でペグを抜かれ、両手でテントを飛ばされないようにずっと押さえていたそうだ。
あの台風にテントで立ち向かうなんて、すごい強者だ。
おそらく人生で一回きりの貴重な経験をしたのだと思う。
ランチ後、周囲を散策。スイス庭園から眼下に高天原小屋が見えた。
秘湯の露天風呂にいつか行ってみたいものだと思った。
ここで、かなり時間を過ごしたがついにお目当ての水晶岳は姿を見せてくれませんでした。
残念!
雲ノ平山荘に向う途中、木道脇で可愛らしい雷鳥さんにも出会えた。
ガスガスでも、歩いていればいろいろいいことがあるものだ。
最後に祖母岳を散策しテン場に戻った。
◆3日目 雲ノ平山荘〜祖父岳〜水晶岳〜鷲羽岳〜三俣蓮華岳〜双六岳〜双六小屋
さあ、いよいよ水晶岳へ。テントを撤収し、日の出前には出発。
まずは祖父岳を目指す。途中、スイス庭園で顔を上げると、真正面に水晶岳が見えた。
しばし立ち尽くす。朝陽に照らされた稜線は燃えるようでカッコ良かった。
朝から良い物を見せてもらった。
しばらくすると雨が降ってきた。すぐにカッパを着る。
ここは北アの稜線。早めの対処が吉だ。体を冷やすとまずいことになる。
ワリモ北分岐で、ザックをデポ。空荷で水晶岳に向う。
途中水晶小屋で、雲ノ平小屋で一緒になった女性の方に追いついた。
今日は、水晶岳を越え温泉沢ノ頭経由で高天ヶ原温泉に下るそうだ。
雲ノ平に連泊するなら、盛りだくさんの良いコースだと思った。
水晶岳山頂で女性とお別れし、お見送り。ガスガスの山頂であったが、
岩陰で風を避けて、時間を潰した。その甲斐あって周囲が晴れてきた。やった!
すごい絶景であった。北アのど真ん中。この景色は忘れない。
魅力的な山に取り囲まれて至福の時間を過ごした。
ここからワリモ北分岐にもどり、次は鷲羽岳へ。これがきつかった。
雨で既に手袋も、靴の中までビショビショ。これで重い荷物を背負って、
吹きさらしの稜線を登るのは、厳しい。リタイヤできるのならリタイヤしたいと
思ったが、三股山荘に駆け込むまでの辛抱と、人影少ない稜線を進む。
美しい高山植物はこんな環境で良く過ごせるなぁと、登山道脇のお花を見て思った。
ようやく鷲羽岳の山頂に辿り着き、岩陰に身を隠す。靴下を脱ぎ、水を絞った。
もうビショビショ。水晶小屋で行動食を体に入るだけ詰め込んだので、
三股山荘まではなんとか持つだろう。あと1時間の辛坊と出発。
下山途中、美しい鷲羽池が目に入ったが、写真をとる元気もなかった。
早く山荘にたどり着きたい一心で下りた。下りてくると風が弱まった。
やっとの思いで山荘に到着。自炊室をお借りしてランチをとる。
北アは天気が崩れたら小屋に逃げ込めるので、本当に助かる。
ここで元気を取り戻す。
翌日、できれば笠ヶ岳まで行きたいので、距離を詰めて双六小屋まで行っておきたい。
道は特に問題なく、巻き道だと2時間で行けるらしいことを確認し、出発。
途中で気が変わり、せっかく来たのだからと結局稜線コースを進むことにした。
三俣蓮華岳山頂で、富山県山岳パトロールの方と出会う。
県毎の管轄で、なんでも三俣蓮華岳が県境らしく、ここまでの植物を
保護しているのだとか。面白い職業があるものだと思った。
三俣蓮華岳からは黒部五郎岳への分岐がある。いつか行ってみたいと思いながら進む。
双六岳についた頃、周囲が嘘のように晴れてきた。槍が正面に丸見え。
北アは、たまに予想外のプレゼントをくれる。気持よく稜線を下った。
程なく、双六小屋に到着。
無事、長い行程を歩ききった。テントを張って、ゆっくりと休んだ。
夕方、綺麗な空を見た。明日は、良い天気になりそうだ。気持よく眠りに就いた。
◆4日目 双六小屋〜笠ヶ岳山荘
翌朝、常念山脈から昇る朝陽を見た後、笠ヶ岳に向けて出発。
今日は朝から気持ち良い天気。これならどこまでも歩けそうだ。
長い稜線歩きを堪能した。途中、カール地形についた道をお花畑を眺めて進む。
よい道だ。
明日通る、笠新道が見えた。良くぞこんなところに道をつけた!というくらい
恐ろしく長い急斜面であった。膝を痛めないようゆっくり下りようと思った。
笠ヶ岳山荘に到着。テント設営後、ランチをとってのんびり過ごす。
ここはテン場から山荘までかなり標高差がある。一度もどったら
山荘まで登り返すのは大変だ。ずっと山荘で過ごした。
自炊コーナでランチをとっているときに、ご一緒させていただいた方と
共に笠ヶ岳山頂を目指した。山頂はポカポカ陽気で予想外にあったかい。
寝っ転がって、時折見せてくれる槍・穂高の絶景を眺めながら、至福の時を過ごした。
いつもこんな天気だと最高なのだが。。。
夕方にテン場に戻り、最後の夜を過ごした。
◆5日目 笠ヶ岳山荘〜笠新道〜新穂高
朝陽が昇ると共に、テン場を出発。今日は下るのみだが、笠新道は手強い。
昨日笠新道から夕方登ってきた方は、概してヘトヘトで「長かった」と口にされていた。
膝痛の悩みをかかえる私も、心して下ることに。
登山道脇のお花畑が綺麗だった。脇見をしていると危ないとは判っているのだが、
お花を見るとつい写真を撮りたくなる。
何枚か撮って、今日は下山に集中とカメラを封印した。
笠新道は恐ろしく長かった。登りでこの道を使うのは、めちゃめちゃハード。
新穂高から笠ヶ岳へは、鏡平山荘経由の方が距離は長いが気持ち良く歩けると思う。
なんとか膝痛がでることもなく無事下りきった。あとは林道を下るのみ。
新穂高まで下り、温泉露天風呂で汗を流し、大阪までのバスに乗り込んだ。
長い山行きを無事完了。お疲れ様でした。
台風を押しての不安のある行程でしたが、振り返れば心に残る山行きとなりました。
今日も良い山でした。
(1日の消費量 水1L(行動中のみ、食事除く)、燃料60ml(夜30ml+朝30ml)
荷重14kg、アルファ米 11食/12食、行動食 500ml✕2.5本)
初めまして。黒部の山賊を読んでからずっと憧れている山域です、いつか行きたいと思ってます(でも行けるのは数年後かな〜と)。
台風のなかでの詳細な写真と感想に本の内容が思い出されてきたので、ついコメントしちゃいました。
makonekoさん、こんばんは。
「三股山荘に立てこもった山賊に、双六小屋に前泊し身支度を整えて、会いに行く。
ポケットにはピストルを忍ばせて...」といった、実際に本の舞台となった
登山道を歩くと、まるで臨場感が違って面白いですね。
既に絶滅されたとされるニホンカワウソ(山賊がカベッケ原で遭遇したカッパの正体)も
「北アの秘境」黒部川源流域なら、まだ生き延びている可能性も十分にありそうと
思えました。
今回歩いた雲ノ平は何度でも訪れたい魅力的な場所でした。
kickeyさん
こんにちは。いや〜っ!!驚きました。あの台風接近の中、行かれたんですね。さすがに太郎平では小屋泊まりにされたようですが、その後は予定通り?のテント泊、ご立派でした。また、悪天候の中も道中の景観や花の写真をたくさん撮られてレポートをいただいたことに素直に脱帽いたしました。
兎にも角にもご無事のコース踏破とお帰り、おめでとうございました。
私の方は、9月に延期しましたが、また台風の影響があるかもしれませんね。。
chamchanさん、こんばんは。
台風直撃で山行きを9月に延期されたのですね。
(正しい判断だと思いますが、私は山の誘惑に負けて行ってしまいました)
稜線を歩きながら眺めた、薬師岳や黒部五郎岳はとってもかっこ良かったです。
いつか室堂In,折立Outで、どっしりとした薬師岳へと続く稜線を
おもいっきり歩いてみたいものです。
いや〜やっぱり行かれてたんですねw
僕は新穂高から登り初めで心が折れて撤退いたしました(-_-;)
どこかしらでお会い出来るのを楽しみにしてたのですが本当に残念です。
このレポ読んで撤退して正解だなという気持ちとやっぱりそのまま行けばよかったなという気持ちで葛藤なうですw
夏の長期休暇がこの悪天候で見事おじゃんになりゴロゴロと過ごしてしまいました。
来年こそは!!
ところでテント、ニーモに変えられたんですね。
nishimonさん、こんばんは。
八雲ケ原に引き続き、雲ノ平のテン場で再会できるかもと、
しぶい色のテントを探しましたが...
道中で出会った方にお話を聞くと、天気が悪いので途中で下山される方も
多かったと聞きます。三股山荘でお話した方は4人で来て、自分だけ
1人残っただとか。楽しい稜線歩きはやっぱり晴れた日に限りますね。
今回新調したテントはニーモ・タニ。広大な前室スペースは雨天でも
快適に過ごせました。今までテントから傘を差しながらご飯を
作っていたのとは大違いです。
(高島トレイルを歩いた時に大変お世話になった人が使っていたのと同じテントで、
ヤマレコユーザさんではなかったけれど、無事ゴールに導いてくれたあの方には
多大なる影響を受けています)
雲ノ平のテン場が同じ日なので、もしかしたらすれ違っていたかテントが近かったかもしれませんので思わずコメさせていただきました(*^^*)
それにしても天候に左右された(というよりほぼ雨に祟られた)山行ウィークでしたね(^_^;)
そんな中折立から笠ヶ岳まで行かれたのは凄いの一言です
お疲れ様でした(⌒^⌒)b
Tai-keitaさん、こんばんは。
レコ拝見しました。
お子様と一緒にいろんな山を歩かれているのですね。
今回は山行きは、カッパで歩き続けたあいにくのお天気となりましたが、
終わってみれば夏休みの想い出がぎっしり詰まった良い山行だったのでは
ないでしょうか?あの年で北アを歩く楽しみを知ってしまったなんて、
将来が楽しみですね。
北アは魅力あふれる稜線が一杯。
水晶岳から見渡した、裏銀座も赤牛岳も黒部五郎岳も薬師岳も
みんな歩いてみたい。今から来シーズンが待ち遠しい。
夏休みがいくらあっても足りないですね。
当分北ア通いが続きそうです。
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