穂高連峰縦走(北鎌尾根〜槍ヶ岳〜北穂高岳〜奥穂高岳〜ジャンダルム〜西穂高岳)
![情報量の目安: S](https://yamareco.org/themes/bootstrap3/img/detail_level_S2.png)
![都道府県](/modules/yamainfo/images/icon_japan_white.png)
- GPS
- --:--
- 距離
- 37.7km
- 登り
- 3,655m
- 下り
- 3,653m
コースタイム
- 山行
- 7:30
- 休憩
- 0:10
- 合計
- 7:40
- 山行
- 10:00
- 休憩
- 0:10
- 合計
- 10:10
- 山行
- 5:20
- 休憩
- 0:40
- 合計
- 6:00
- 山行
- 10:10
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 11:10
天候 | 11日AM晴れ、PM曇 12日:雨のち晴れ 13日:晴れ夕暮れに雨 14日:曇のち雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
上高地より新島々行きバスで下山 |
写真
装備
個人装備 |
ヘッドランプ(1)
予備電池(2)
1/25
000地形図(1)
ガイド地図(1)
コンパス(1)
笛(1)
筆記具(1)
ライター(1)
ナイフ(1)
保険証(1)
飲料(1)
ティッシュ(1)
三角巾(1)
バンドエイド(1)
タオル(1)
携帯電話(2)
計画書(1)
雨具(1)
防寒着(1)
スパッツ(1)
手袋(1)
ビニール袋(3)
替え衣類(1)
入浴道具(1)
シュラフ(1)
シュラフカバー(1)
ザックカバー(1)
クマよけ鈴(1)
コッヘル(1)
プラティバス(1)
時計(1)
日焼け止め(1)
非常食(1)
軽アイゼン(1)
バイル(1)
テントシューズ(1)
サングラス(1)
ハーネス(1)
クライミングシューズ(1)
環付きカラビナ(5)
カラビナ(20)
テープスリング(10)
ロープスリング(2)
確保器(ルベルソ等)(1)
エイト環(1)
クイックドロー/ヌンチャク(10)
ハーケン(3)
ヘルメット
フィフィ
カム(1)
ナッツ(1)
アプローチシューズ(1)
|
---|---|
共同装備 |
テント(1)
テントマット(1)
ツェルト(1)
ガスストーブ(1)
ガスカートリッジ(1)
ファーストエイドキット
医薬品
カメラ
プラティバス(2)
テープスリング
ロープスリング
環付きカラビナ
カラビナ
アッセンダー
|
備考 | 8mm*60mザイルを持っていったが使用しなかった。 |
感想
年3回の長期縦走チャンスという事で、昨年に引き続き穂高連峰に行ってきました。
かねてより目標としていた北鎌尾根を基点とし穂高連峰をひたすら南に向かい西穂を目指します。
●初日:上高地〜北鎌沢出合
新宿発の深夜バスが上高地に到着した瞬間に雨が降り始め、レインウェアーを着込んで出発。先日の台風は通り過ぎていたが、台風一過は望めなさそう。
水俣乗越までの道のりは登りもなく平坦な歩き。雨だからこそこういった低い場所は景色が綺麗だ。
水俣乗越で団体さんと遭遇。先を行かせて貰うが、それ程ペースは変わらない。
水俣乗越からの下りはかなりよくとても滑るガレ場。滑り台を滑り落ちる感覚で落ちていく。
沢に出ると先日からの雨で水量が多い。雪渓は避けて脇の道をひた歩く。
出合からは濡れずに対岸に渡る方法がなく、ビバークポイントは北鎌寄りのだけとなっていた。5張は余裕で張れる。
14時に到着でまだ時間に余裕があったが、振ったり止んだりの雨に右俣の水量も多く今日はここで切り上げる。
●2日目:北鎌出合〜槍ヶ岳山荘
夜明けと共に出発。水量は昨日よりは減っているが、沢登のようだ。
出発時点では雨は降っていなかったので上だけ雨具を着ていたが途中で降り始めるが、雨具を着込むよう場所がないので登り続ける。これは失敗だった。
所々に巻き道があり、少しきつそうな場所は巻いて行けるようになっている。
北鎌のコルは広くて思ったより風も弱そうで快適そうな場所だった。ここからいよいよ槍に向けての登りが始まる。北鎌ルートの凄い所はここに至るまでに丸一日使っているという事だと思う。
ここで改めて雨具を着込むが既に上下とも濡れていた。天気は西側に晴れ間が見えるが回復する様子はない。
いざ登り始める。バリエーションルートとは言えども道は明瞭でふみ跡を辿っていけばまず難しい所はない。しかし、ありとあらゆる道が試されていて間違って踏み入ったトレースも多くあり、間違っても強引に登って行ってしまうようなルートもあるので、最も簡単なトレースを探すのは自分の技量となる。
視界は一つ先のピークがかろうじて見える程度で目の前のルート選択を間違えないように集中し続ける。
独標手前のガレ場を間違って下り道を見失う。非常に悪いガレ場を下っては登り返したが結局元の地点まで戻って稜線上に進むのが正解だった。
岩場はどれもホールドが豊富でどこからでも登れそうだが、脆い箇所も多く、間違えて進むと行き詰る事がある。間違えて取り付いて強引に登った箇所もあったが、本来であればザイルで確保したい場所が多々あった。
道を探して立ち止まる事が何度もあり、その度に濡れた体に風が吹き付けて体を震わせた。
視界が悪いので大槍に近づく実感も持てないまま進むが、北鎌平まで来るとゴールが近い事を知る。不思議な空間でここから見上げる槍は凄い景色なのだろうが、どこに大槍があるのかもわからない。小槍かと思って近づいてみるとただの大岩だったりと、距離感すら怪しいので精神的に堪える。
有名な大槍直下のチムニーは滑りそうだったので巻き道を模索すると西側に簡単そうな岩場が見つかる。距離は長くなるが落ちてもダメージは少なそうだ。
そこを上がって東側に巻くと木の杭が打たれていてそこから直ぐに頂上となる。
この頃になってようやく雨も上がり頂上からは声が聞こえる。
よく、北鎌から頂上にやってくると拍手で出迎えられるだなんて言うけれど実際の所そんな事はないようであんまり関心がないようだ。
頂上にやってきて同じように北鎌ルートを登ってきた人達と握手を交わす。
先ほどまでの視界の悪さが嘘のように晴れ渡り、360度の壮大な景色が出迎えてくれる。
見下ろす北鎌は雲に隠れているが、穂高連峰も立山方面もどこまでも見通せた。
一般ルートにやってきて浮いていない岩を快適に下りながら無事に北鎌ルートを終えられた事を喜ぶ。小屋のテント場は思ったよりも空いていて、どうやら風が強くてテントをあきらめた人が多いようだった。強風での設営に神経を使いながらテントを張り終える。
その夜は、小屋の中で共に北鎌ルートを登ってきた人達と山の話で盛り上がり、程よく酔っ払って眠りについた。
●3日目:槍ヶ岳小屋〜穂高小屋
翌日、5度近くまで下がったテント内で震えながら体を起こす。よく晴れていて、日の出を見ようと小屋の前や槍の山頂には人が集まっている。西側では月が出ていて、澄んだ空が徐々に赤みを増していく。前日雨の中登ってきた人達にとって、大変うれしい瞬間がやってくると歓声が上がった。
前日思ったよりも距離が稼げなかった事もあり、この日は穂高小屋までと決めてのんびりと出発。とは言え、大キレットなどの難所が待ち受けているので慎重に進まなければならない。
前日の疲れが残っていて予想以上にバテバテだったが、視界がしっかり確保されているので、先の見通しが立つのがこれ以上ない程ありがたい。
途中、山岳救助隊の方々にヘルメットをかぶるように言われる。小屋でヘルメットのレンタルをやっているだけあってここ最近は一般ルートでもヘルメットが義務に近いようになってきている。落石などで亡くなる人は毎年後を絶たないのでこれは必然の流れなのだろう。
雨の翌日でキレットでの渋滞もなく穂高小屋についたのがお昼過ぎ。小屋のテント場はあっという間に埋って小屋でのんびりしていたら張る場所がなくなって、テントのサイズぴったしの棚にテントを張った。酔っ払っていたりしたら滑落しそうだ。
風も上手く避けられる場所だったので夜は3日分の疲れも手伝って寒さで目を覚ます事も少なくぐっすり眠る。
僕の場合、足先の冷えがテントシューズを履いていても酷くこれで目が覚めてしまう。靴下を二重にしていたのは血流が悪く失敗だと最近気づいた。
●4日目:穂高小屋〜上高地
最終日。
テントから外を覗き込むと2時くらいまで良く晴れていて前日の天気予報通り午前中は天気が持つのかと期待していたが、出発する頃になってガスが出始めて奥穂はガスで覆われてしまう。
奥穂まで前穂方面に変更するか考えていたが、西側に晴れ間が見えている事を見て西穂方面へと向かう。いよいよ最後の核心へと向かう。
雨で滑るといやらしい馬の背までは天気が持っていたが、霧がかかってくると一瞬で岩が濡れてしまう。濡れ始めの岩は良く滑る。
3点保持を意識しなければと頭の中で考えるより前に、体がそのように動いている事に我が事ながら関心する。
一手、ホールドを掴む前には浮いていないか確認。それが掴んで欠けたりしないか念を入れる。
両手片足がしっかり保持している事を確認してから足を動かす。
岩を踏む足は少し置いて、動かないか、滑らないか確認。それでも体重をかけすぎないように3点に体重を分散する。
岩が垂直になればなる程に足にかかる負担も減り楽になる。
ホールドもがっちり掴める場所が多い。なるべく足も上げる高さも短くなるようにチョロチョロと体を持ち上げる。
視界は悪い。北鎌のように浮いた岩こそ少ないがその難しさそのものは変わらない。鎖は急なスラブや滑りそうなトラバース以外では使わずに岩を楽しむ。
天狗のコルを過ぎた辺りで西穂側から来た人達とすれ違い始める。
どうやら奥穂側からは僕が先頭のようだ。確認できている後続の人数をお互いに確認仕合い、すれ違えない場所かち当たらないように注意する。
自分のペースで風と雨の音だけの静かな岩稜を只管進む。4日間で一番体が良く動く気がする。
コースタイムの7割程度のペースで西穂までやってくる。点線ルートも終わるとようやく一息つけるとも思いきや、西穂からの下りは結構悪い。
道しるべの○×のつけ方がこれまでと違っていてちゃんと○を通って行こうと思うと難しい場所ばかりに当たる。×方向を避けようと思っても×方向に向かったり調子が狂う。
さすがに雨の中に西穂まで来る人も少ないらしく。独標までは人とそれ程合わなかった。
独標まで来るとヘルメットをかぶった僕は浮いていて、大型ザックを背負っているのも僕だけになった。ザックカバーをしているしヘルメットを掛ける場所もないので、ヘルメットを被ったまま進んだが、よほど慎重な人だと思われていたのだろうか。
ここまで来ると燕岳のようなのんびりとした雰囲気となって、穂高連峰の荒々しい岩稜の緊張した感じはもうない。
西穂小屋まで来る頃になると雨も止んで焼岳方向がよく見えた。高い所から見る高い山もいいが低い山を見下ろすこの景色も感動的だった。
西穂小屋での休憩もそこそこに下り始める。
正直コースタイム2時間半なので頑張れば1時間半くらいで下りれるかもとなめていた。
が、とんでもなかった。どろどろ道で足はとられ思うように進めずに麓の屋根が見えるのに全然近づかない。下る度にザックの重さが背中にかかって息が詰まりそうになる。
へろへろになりながらようやく上高地まで下りてくると、観光客が行き交う遊歩道に出た。
お昼を少し過ぎる位の時間で、一番近い上高地温泉ホテルで4日間の垢を落としてビールを一杯。水のように体に染み渡り旅の終わりを実感する。
観光客の中にいて一人だけ小汚い格好しているとなんだか申し訳なくなってくる。
靴は中まで湿っていて足の裏は乾かず一歩一歩が痛いし匂う。塹壕足手前だ。
温泉で体重を量ると3kgほど痩せていた。鏡で見るザックで肩や腰の擦り傷が痛々しい。が、悪い気分ではない。
バスターミナルまで戻り次のバスまでの時間にインフォメーションセンターでやっていたナイロンザイル事件の展示を見てから、野沢菜おやきを食べた。大変に美味い。
帰り道は帰省ラッシュを覚悟していたが、あずさの指定席も取れて拍子抜けしてしまった。電車の時間までは松本駅を出て直ぐにある黒豚の置物が目印の豚みむらでやきとんを食う。
友人に教えてもらったお店だが、松本市外近郊に多くある豚のさんぽ系列のお店はお気に入りだ。山から下りて来てカロリーを求め続ける体に豚肉が染み渡るのを感じる。
●主な装備
・テント装備一式:エアライズ1、エアーマット、シュラフカバー
エアライズは風にも強いテントだが、中吊り式のテントに比べて強風時に組み立てるのに手間取る。本体から出た紐を一度フライシートに通さないといけないのが二度手間となるが、一度決まればフライシートだけ飛ぶような心配は要らない。
今回は軽量化の為にシュラフは省略した。変わりにダウンジャケットやタイツなどを持っていったが寒さ対策はこれで十分だと思った。エアーマットは夏限定だが、石が敷き詰められた穂高小屋でのテントサイトでも快適に過ごせた。サイズは中で足元はザイルを敷いて眠った。
・登攀用具:8mm*60mザイル、ハーネス、スリング5本、ロープスリング3本、ソロイスト、ビレイ器
使用せず。撤退時や確保が欲しい所で使用するようにソロシステムも含めて持っていったが、今回の岩場では使用する機会は無かった。しかしザイルがあるという安心感や選択肢の幅が増えるので不要という感じは無かった。
・その他道具:ヘッドライト、懐中電灯、コッヘル、ガスストーブ、ファーストエイドセット、ナイフ
どの山でも持っていく一式装備、これはこれ以上削りようがない気がする。
・食料:パックのご飯3食分。パスタ1食、レトルトのミートソース、レトルトカレー、カップヌードルリフィル2食、棒ラーメン2食、味噌汁3食、インスタント紅茶4杯、スニッカーズ小袋8個、クリフバー3個、カロリーメイト3箱、行動食ボトル(ナルゲンに甘納豆、ベビースター、小魚とピーナッツ)、イカフライ、柿ピー
朝と夜にちゃんとした食事として4日分の食料を持っていった。昼食は行動食で済ませるつもりで、小屋飯は基本的に使用を想定しない。
サトウのご飯的なレンジで暖めて食べるご飯を容器から取り出してラップで包んだ物を3食分。これをコッヘルに明けて水を少し足して暖めて食べるとそれなりに炊きたての米となるが、水を入れすぎるととても不味い。白米、五目飯、わかめ飯の三種類持って行き、白米はカレーと混ぜて暖めて食べた。
パスタは普通の棒状の物で、ジップロックに水を入れて浸しておいて水を吸わせてから茹でる。水を吸わせすぎるととても不味いが、1時間程度浸しているだけならコッヘルにも曲げて入り茹でる時間も短縮できるので効率が良い。ミートソースで食べる。
カップヌードルのリフィルタイプ。これは嵩張るが手間もかからないし本当に美味い。適当な飯ばっか食べているとこういうのが身に染み入る。登山用品店で買うと高いのでスーパーとかで売っているのを見かけたら買い占めておく。
茹で汁や使い終わったコッヘルを洗うのを兼ねてインスタント味噌汁は毎回持っていく。味噌はそのまま舐めても美味いし、戦国時代からの行動食なので大変便利だ。失敗した米にも猫飯にしてしまえば食える。
行動食はスニッカーズやカロリーメイトやスナックを詰め合わせた行動食ボトルを摘みながら済ませる。昼食の時間は作らずに腹が減ったら食うようにする。甘納豆とベビースターなどの組み合わせはゲテモノに思われるかもしれないが、意外と飽きずに腹持ちもよく飽きない。豆類を主体としておく。今回は美味すぎて二日で食い尽くしてしまった。
クリフバーは今回初めて試して見た。一個250円とお高めだが、一個260キロカロリーと腹持ちもよく栄養補給としてはいいのではないだろうか。味は少し変わっているが喉も渇かない。種類も多いので好きな物を試して見ると良いかもしれない。
スニッカーズは小分けになっている物を1袋丸ごと持っていく。カロリーメイトなんかより腹持ちがいい気がする。夏場は溶けそうだが北アでは心配いらない。
基本的にスーパーで買い揃えられる安価なものを選んでいる。棒ラーメンも山の棒ラーメンじゃなくて普通の棒ラーメンにしている。味も変わらないのに値段が全然違う。
最後にあまったのは棒ラーメンで予備1日を考えてもほぼ計画通りの消費となった。
ほどよく自分を出し切れていい山行でした。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する