記録ID: 628943
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
甲信越
毛石山−矢筈岳−木六山
2015年05月02日(土) ~
2015年05月04日(月)
新潟県
体力度
10
2~3泊以上が適当
- GPS
- 56:12
- 距離
- 42.1km
- 登り
- 3,591m
- 下り
- 3,599m
コースタイム
1日目
- 山行
- 10:28
- 休憩
- 0:03
- 合計
- 10:31
距離 13.5km
登り 1,414m
下り 746m
2日目
- 山行
- 8:47
- 休憩
- 1:10
- 合計
- 9:57
距離 11.8km
登り 1,221m
下り 862m
天候 | 5/2 晴れ 夜微風 日中20℃以上 明け方ツェルト内10℃ 5/3 晴れのち曇り 夜弱い風 日中20℃以上 明け方ツェルト内6℃ 5/4 曇りのち晴れのち曇り 弱い風 日中20℃以上 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
毛石山登山口(導水橋)の前の林道で路肩スペースに駐車。2台くらいなら道路にはみ出さずに止められた。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
毛石山 尾根上の解けかかった雪に手こずった前回3月18日と比べると、今回は夏道がほとんど出ていて登りやすかった。途中、ブナのような木が倒れて道をふさぎ、枝が多くて通行しづらいところもあった。それまで等高線に沿うように進んできた道がコースを変えて斜面を直登しはじめるあたりでは道がわかりにくくなった。標高550M付近にはパイプから水の出ている水場があった。この水場のことを知っていれば、水を全部はかつぎあげなくてもすんだのに。標高510M付近で尾根をいったん乗り越すところではニホンザルに出会った。10分ほど休憩した間サルは道の20Mほど先にとどまっており、出発して近づくとようやく逃げた。589Mピーク手前の分岐では、589Mピークをトラバースする左手の道に進んだ。雪のない時季ならトラバースの道で問題はなかった。標高620M付近からは雪の上も結構歩けた。前回苦労した頂上に近い急斜面では登山道がすっかり出ており、あっさり毛石山の山頂に到達した。 灰ヶ岳 毛石山から先は未知のコース。ヤブ尾根にはかなりはっきりした踏み跡があった。1つめの830Mピークには、銀太郎山などにあるのと同じ形の平らな円形の石が置かれていた。2つめの861Mピークからは東斜面に雪が続いていた。雪の上を進むとサルが2匹雪の上に出ており、すぐヤブの中に姿を消した。雪の切れたところでヤブ尾根に上がるとツルがはびこっていた。わずか数メートルを進むのにもがいたあげく、ナイフでツルを切って強行突破した。その後は雪と踏み跡が半々といったところだった。雪に乗るときは斜度がなくてもピッケルを持つようにした。踏み跡に上がるときもいちいちしまわずにピッケルを持ってヤブをこいだ。その先ずっと矢筈岳などでもそうだったが、花をたくさんつけたタムシバの枝をかきわけるという贅沢なヤブこぎをしばしば体験した。そういう乱暴なことをしてもタムシバの花は散らなかった。848Mピークと799Mピークの間では、2ヶ所でクマの糞らしきものをみつけた。雪の明らかな危険箇所やひどいヤブこぎはなかったが、道が長いのに疲れはてた。ようやく907Mピーク付近まで来ると、とてもいい感じのブナの尾根があった。そこから先、直接灰ヶ岳をめざすのなら雪の斜面を登ることができそうだったが、雪のない尾根にしたがって進み、まず灰ヶ岳の東の1030Mピークの肩に上がった。イタチらしき動物を見た。灰ヶ岳はショルダーバッグだけで往復した。ヤブ尾根にはっきりした踏み跡はなかったが、半分以上雪に乗れた。 アカシガラ沢源頭 灰ヶ岳の東ピークの先は雪が長くは続いておらず、ヤブ尾根には踏み跡がほとんどなくて、なかなかペースが上がらなくなった。1016Mピークの先で尾根を外れ、雪の斜面を下った。下り始めにはキックステップで下るのがこわいと感じる斜面があったので、左の尾根側の土の上に逃げてアイゼンをつけた。その上で雪の急斜面を後ろ向きになって下りた。斜面を下った先は広くなだらかな雪渓で、アカシガラ沢源頭というらしい。901M-920Mピークの尾根を回りこみ、沢の左俣を進んだところでビバークすることにした。アカシガラ沢源頭にははっきりした雪崩の跡はなかったが、それでも不安だった。気休めにすぎないが、小さな立ち木の間にツェルトを張った。翌朝1010Mピークをめざして登っているときには、尾根についたブロックの崩壊を目撃した。ごく小規模な崩壊で、崩れたブロックが沢の下までは落ちていかない程度だった。こうて灰ヶ岳から青里岳までの区間でもっとも困難が予想された986Mの三方ガリや901Mピークあたりの複雑な尾根をそっくりスキップした。インターネットで検索すれば、このようなルートの取り方を示唆する記録がいくつか見つけられる。尾根をスキップせずにすべての尾根を忠実にたどった記録もある。私がそれを真似していたら2泊では済まなかっただろう。 毛石山〜青里岳〜五剣谷岳〜木六山環状縦走(2005年5月15〜17日) http://www7.plala.or.jp/echigo100zan/reiko.keisiyama.aoridake.kirokuyama.html 青里岳 アカシガラ沢源頭から1010Mピーク手前の尾根まで雪の斜面を直登した。雪はクラストしていないが、昨日と同じ程度の急斜面がありそうなので、念のため最初からアイゼンをつけた。おかげで楽に登ることができたし、斜面が急になって必要に迫られてからアイゼンをつけるのは危険だ。尾根に出た先には雪がついていたがだいぶ後退しており、その上には乗れそうになかった。とはいえ、ヤブこぎにはそれほど苦しまなかった。1043Mピークの登り始めからは雪に乗ることができた。そこからは雪に乗れる区間が長くなり、青里岳までそれほど時間がかからなかった。ホオジロらしき小鳥を見た。ウグイスは姿が見えなかったがたくさん鳴いていた。雪の上を駈けて移動したらしいカモシカの足跡をたどった。青里岳に着いたのは、魚止山から矢筈岳を越えてきた5人パーティが到着するのとほぼ同時だった。この山域に強い山岳会の人たちだった。青里岳の三角点を先に見つけられなかったのが少し口惜しかった。矢筈岳などの情報とアドバイスをたくさんいただいた。 矢筈岳 8時半。サブザックに水、行動食、アイゼン、レインジャケット、ヘッドランプ、ツェルトを入れてピッケルを持ち、15時までに青里岳に戻るのを目標に矢筈岳に出発。1116Mピークの方向に薄いヤブの上をしばらく進むと、東斜面に雪がついていた。その雪の一番奥は不安定なブロックになっており、それが青里岳の方から見てとれた。いつ崩壊してもおかしくなさそうなので、その手前でヤブ尾根に上がらないといけない。ヤブ尾根に上がったらそのまま広い南尾根を下る。斜面の上部は完全にヤブで、復路の登りがきつい。南尾根の途中からは矢筈岳の1054Mピークの先まで雪がついているが、時々ヤブ尾根に上がらなければならなかった。ヤブにはツルもあって相当きつかった。復路ではその区間の雪の斜面を思い切って下までトラバースしてヤブこぎを避けた。往路の途中にカモシカがおり、しばらくこちらを見ていた。私がカメラのシャッターを押した瞬間、まるでそれを感じとったかのように身を翻して逃げた。そのとき、雪面トラバースの名人芸を見せてくれた。私なら5分はかかりそうな雪の斜面をカモシカは5秒くらいで駆け抜けて姿を消したのだ。もちろんカモシカの真似などしなくてもいいのだが、文部(科学)省登山研修の講師というのはきっとそんな感じだったのだろうと、前に読んだ文章のことを思い出した。 「仰天したのはその雪壁の中で、私はダブルアックスで壁に留まるハエのごとく登っている横を、講師がザイルも付けずにダダーっと駆け下りてきて私の確保をしている相棒に「身体を斜めにするなと昨日あれほど言ったろ!!」と怒鳴り、また私の横をガヅガツガツとザイルも付けずにダブルアックスで駆け上がってしまったことだった。」 http://www.geocities.jp/chonai_yama/essay/leader.html 1054Mピークの手前には急斜面がある。往復ともアイゼンは使わなくてすんだが、初めて登るならアイゼンを持参した方がよい。この時季ならヤブ尾根に逃げるという手段もあるが、それだとたいへんだ。尾根が直角に曲がっている1180Mピーク付近から矢筈岳山頂まではほとんどヤブこぎだった。踏み跡があるのでそれほどきつくはないが、時間がかかる。矢筈岳山頂の手前と山頂直下には少しだけ雪があった。山頂にはキスミレとカタクリが地味に咲いていた。復路の矢筈岳1180Mピークから青里岳の南斜面1000M付近までの長い雪原と雪の斜面はひたすら気持ちがよかった。青里岳に戻ったのはやはり15時近かった。五剣谷岳までどれくらい時間がかかるのかわからず、途中にビバーク適地があるかどうかもわからないので、青里岳から数分下った雪の上にツェルトを張った。ヤブ尾根が多少の風よけになってくれるのを期待した。夜中の断続的な弱い風で張り綱が緩み、朝起きると支柱が傾いていた。もっとしっかり張らないといけない。 五剣谷岳 青里岳からの下りはクラストしたらこわそうな急斜面だった。1080M付近から雪に乗れなくなるが、ヤブ尾根には踏み跡があった。1096Mピークの下りでは雪に乗れた。1120Mピークに向かうヤブ尾根の踏み跡はわかりにくかった。踏み跡は尾根上ではなく西側斜面についているようだ。1120Mピークの手前からピークを下るまで雪に乗れた。1089Mピーク付近はヤブ尾根だが踏み跡があった。なだらかな五剣谷岳にはまだまだ雪があるが、山頂部だけは4月からすでにヤブだった。とはいえ青里岳方面から来ればはっきりした踏み跡がある。山頂から銀太郎山側に下るときはヤブの中の踏み跡がわからなくて手こずった。 木六山 五剣谷岳から木六山までのコースの状況については最近のレコがいくつもあがっているので、細かいところは省略する。雪の上には真新しい足跡がついていてありがたかった。銀次郎山まで来ると、足跡の主の3人連れが休憩していた。銀次郎山付近からはブヨが多くなった。1日め、2日めも気温が上がるとブヨがまとわりつき、だいぶ耳をかまれた。ハッカ油のスプレーなどが必要だ。前回4月12日に亀裂の入った雪のギャップをおそるおそる下りた銀次郎山の急斜面では、夏道を安心して下ることができた。七郎平山では3人連れが水場を教えてくれた。水場は2ヶ所確認した。近くを通ったときに水音が聞こえる。6L持参した水とスポーツ飲料は、節約するために雪も結構使ったにもかかわらず、大部分を消費してしまっていた。連日日中が暑かったので、行動中は思う存分に水を飲んだ。そのためか、今回は一度も足がつらなかった。3人連れと別れた後には、別の2人連れにも追いついた。どちらのパーティーも1泊で青里岳に登って下山しているところだった。木六山手前の分岐ではテンらしき動物が登山道を横切った。 グシノ峰コース 急斜面には新しいロープが設置されていた。555Mピーク手前からのトラバース箇所は、やや険しいが問題なく通れた。4月11日にグシノ峰コースを登ったときにはその険しい箇所にさしかかる前に道を見失った。結局555Mピークによじ登ったのだが、そうしたのは正解だったようだ。雪のあるときには険しいトラバース斜面を避けて、555Mピークを経由した方がよい。登り下りとも、途中に登山道から別れて555Mピークに向かう踏み跡があった。グシノ峰コースは急な下りが多く、つま先が痛くなった。たいしたことのない下りでその方が楽なので後ろ向きになって下りていると、下から登ってきたトレランの若い2人連れにその場面を見られてしまった。何だと思われたことやら。 杉川左岸の林道 東北電力杉川発電所取水口見張所の建物の下で赤い吊り橋を渡ると、杉川の対岸に林道がある。毛石山登山口の駐車地点に戻るのに都合がよさそうなので吊り橋を渡って林道を進んだところ、立入禁止の危険箇所にぶつかってしまった。2ヶ所で林道が崩落していた。このコースを通行すべきではない。どうしても通らなければならないのなら、杉林の斜面をよじ登って高く巻けば危険箇所を安全に回避することができる。杉林の斜面には東北電力か林業の関係者がつけたと思われる迂回路を示す赤テープがあった。しかし、そんな労力を使うくらいなら杉川右岸の道をまっすぐ進んでチャレンジランド杉川に出た方がよほど楽だ。 |
ファイル |
(更新時刻:2015/05/04 20:19)
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写真
装備
個人装備 |
時計
GPS(予備電池)
地形図
コンパス
カメラ
携帯電話
ICレコーダ
ピッケル
アイゼン
レインウェア
スパッツ
帽子
グローブ
水(6L)
食糧/行動食/非常食(5日分)
ツェルト
マット
シュラフ
シュラフカバー
防寒着
アルコールバーナ
アルコール(500ml)
コッヘル
救急用品
予備手袋
予備ネオプレーンソックス
ナイフ
笛
熊鈴
熊スプレー
ヘッドランプ(予備電池)
サブザック
サングラスもあった方がよかった
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感想
基本的な花の名前がだんだんわかってきた。タムシバ、オオカメノキ、ヤマツツジ、シャクナゲ、スミレ、キスミレ、イワウチワ、イワカガミ、ショウジョウバカマ、カタクリ。今回のようなコースは、雪庇のある尾根の歩き方がよくわかっているのなら、残雪の多いもう少し早い時季の方が楽に回れるにちがいないが、今の季節ならではの花ざかりを楽しむことができた。ニホンザル、ニホンカモシカ、イタチ、テン。いろいろな動物の姿を見ることができたのも、これまでにはなかったことだ。
今回の目標は、先を急ぎすぎないことだった。歩くスピードや休憩時間の長さの問題ではなく、気持ちの問題だ。一生に何度も来られないような山の中にいる時間を大切にしたいと思った。3泊の計画で予備日を1日設け、5日分の食料を用意してあった。3日めの天気予報が悪かったり、青里岳から矢筈岳までのピストンに予想以上に時間がかかったりすると、あせる気持ちがどうしても抑えられなかったが、以前よりはゆったりできた気がする。もっとゆっくりできるようになりたい。
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