槍なし裏銀座+雲ノ平、烏帽子から新穂高へ6日間
- GPS
- 122:14
- 距離
- 53.4km
- 登り
- 4,338m
- 下り
- 4,500m
コースタイム
- 山行
- 6:01
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 6:01
- 山行
- 7:42
- 休憩
- 0:15
- 合計
- 7:57
- 山行
- 3:26
- 休憩
- 0:20
- 合計
- 3:46
- 山行
- 6:46
- 休憩
- 1:39
- 合計
- 8:25
- 山行
- 9:47
- 休憩
- 1:40
- 合計
- 11:27
天候 | 9/1日雨・2日晴・3日雨・4日雨・5日晴・6日雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
信濃大町ー高瀬ダム アルプス第一交通\8,300 帰り:新穂高ー大阪梅田 高速バス |
コース状況/ 危険箇所等 |
概ね整備されている。 雨の時の岩稜・尾根・木道歩きは、晴れの日にくらべ格段に難易度がアップする。 雨の後の渡渉箇所は、山小屋に問い合わせを。 ルートが数日にわたるため、装備は当然として、心身の充実も重要だと思います。 |
写真
装備
個人装備 |
半袖シャツ
長袖シャツ
ソフトシェル
ダウン
フリース
タイツ
ズボン
靴下
スパッツ
グローブ
靴
レインウェア
手ぬぐい
ザック
食糧・行動食(40食)
飲料
地図(地形図)
コンパス
ヘッドランプ
筆記用具
地図
日焼け止め
携帯
時計
サングラス
タオル
ストック
カメラ(D90・TZ-20)
サンダル
コンロ(予備燃料1個)
コッヘル
食器
予備電池
GPS
ファーストエイドキット
ヘルメット
テント
テントマット
シェラフ
着替えセット
|
---|---|
備考 | テン泊装備は天候、体調により結果的に使わなかった。 |
感想
濃密すぎる5泊6日だった。
夜行バスで松本入り、過去最長の日程に過去最高の装備重量。天候が安定せず、天気予報に一喜一憂。
一日目 高瀬ダム―烏帽子小屋
しょっぱなから北アルプス三大急登の一つ、ブナ立尾根では体がいうことをきかなくなった。雨が降っていたが、レインウェアのジャケットを脱いで体を冷やしながら登らないと、暑くて暑くて体が動かなかった。樹林帯の雨はぽたぽたと落ちてきて、雨水はズボンを伝い靴にまで達し、靴は完全に水没してしまっていた。
10分登って5分休憩、いや、10分休憩かもしれなかった。
視界はほぼ無し、ほんのわずかな時間だけ目指す稜線が見えた。しんどすぎて写真も撮れず、余裕をもって持ってきたはずの飲料水は飲みきってしまった。足を引きずりながら烏帽子小屋に到着した。
こじんまりとした小屋には乾燥室があり、すでにストーブが焚かれていてすごくうれしかった。全身を着替え乾燥室に干し、食事の準備をする。アルファ米とフリーズドライのどんぶり。今後は山にいる限りこれが続くことになる。
ありがたいことに両者とも食欲はある。
食べてすぐ寝てしまった。
二日目 烏帽子小屋―野口五郎岳―水晶小屋
夜半、雨と風が小屋の屋根を叩く。出発を遅らすことにしてのんびり起きてのんびり準備。
烏帽子岳へのピストンは無理。野口五郎までは風に注意と教えられ、8:00に同宿者に見送られ出発した。
稜線に上がると進行方向左、東側はガスで見えない。西からの風が強い。雨が降ると虹がくっきりと半円形に浮き出てきた。
三ッ岳に達する前には雨が上がり、コマクサの葉が風に揺れている。西側の赤牛岳から水晶岳の稜線が素晴らしい。気温の上昇と共に表銀座の稜線も見えてきた。左右の稜線、槍ヶ岳まで見え始めるという贅沢な稜線歩きは、野口五郎岳を過ぎ東沢乗越まで続いた。
東沢乗越から水晶小屋までは、見上げると首が痛いくらいの登り。足元に気をつけながら到着。小屋からは黒部方面に水晶岳、赤牛岳、剱岳、立山三山から白馬連峰まで見渡せた。
槍ヶ岳は一瞬だけ顔を出したが、写真に収める前にガスってしまった。
寒いが見晴らしは良かったので、外のテーブルで湯を沸かし、お隣さんからラジオの天気予報のご相伴にあずかりつつ食事。兼ねてから山でも聞けるラジオがほしいと思っていた。ラジオの品番を聞こうと思っていたのだが、忘れてしまっていた。
寒くてふとんに潜り込んだらうとうとしてしまった。トイレと歯を磨きをに外に出たら赤い月が上ってきた。
三日目 水晶小屋―雲ノ平山荘
夜半、前日に続き雨と風が小屋の屋根を叩いていた。土間に下りると外の視界は全くない。雲ノ平までと行程が短いので、また出発を遅らす。
7:30に小屋の方に見送られ、鐘の音とともにガスの中を出発した。まずは岩苔乗越から水場で飲料水を補充。岩がゴロゴロして足場の悪い祖父岳への道。山頂のケルン群を抜け、雲ノ平に入ったが相変わらず視界がない。足元の木道を見ながら歩いていると時間の感覚がなくなる。濃いガスの中から、山荘が目の前にぬっとあらわれたのは11:00過ぎだった。
チェックイン後、食事。ガスがましになってきたのでテン場まで水を汲みに行く。
また、AUの電波が入る場所があるという。明日行く予定のルート上だというので行ってみた。通話は無理だったが、メール・webへの書き込みは(遅いながら)可能だった。
雲ノ平山荘の乾燥室に置かれていた乾燥機は熱風が出るタイプだった。運転が始まると、熱気は乾燥室どころか一階まで上がってくるほど強力で頼もしかった。
四日目 雲ノ平山荘―高天ヶ原温泉―雲ノ平山荘
予報は晴れ。しかし出発してしばらくしてから雨が降ってきて、以降昼過ぎまで続いた。
行きは下り、木道は滑りやすく、樹林帯はぬかるみペースが上がらない。視界が悪くないのが唯一の救いだが、それでも稜線が見える程ではない。思ったより時間がかかって高天原山荘に到着。荷物をデポして沢から引かれているという飲料水を補給。烏帽子から雲ノ平まで、水が貴重だったため、蛇口からほとばしる水圧は久し振りの感覚だった。
三日ぶりの風呂に入り生き返った感じ。
帰りは登りだが、道の勝手がわかっていることと、ぬかるみでも登りなので歩きやすく、順調に進めた。雲ノ平山荘の喫茶タイムは15:00まで。間に合いそうなことに気付いた同行者は、アップルパイへの渇望をエネルギーに変え、行きよりはるかに早く山荘についた。
私はAU電波ポイントでメールとwebを行い、ガスが晴れてきたため、写真も撮りつつ山荘へ戻った。
同行者が念願のアップルパイを食べている間、また水汲みに。早歩きと走ったら往復30分くらいだった。涼しくて汗もかかず、すごくいい気分。
山荘ロビーで夕方の散策の準備をしていると、ライチョウの情報を教えてもらえた。テン場分岐を下ったところに4羽のライチョウ。二回目のライチョウを堪能できた。
夜になると完全にガスは晴れ、怖いくらい濃い星空を見ることができた。
五日目 雲ノ平山荘―黒部川水源地碑―三俣山荘―鷲羽岳ピストン―三俣蓮華岳―双六岳―双六山荘
起床してすぐに外に出た。放射冷却で冷え切った足元は霜が降り、木道も凍っていた。食事後すぐ5:30出発、ライチョウを探しながら、また木道の凍結で、ゆっくりと進む。ご来光以降は快晴に日光に徐々に凍結も緩み、テンポよく進めた。下り切って渡渉し、三俣山荘目指し登る。
足元が沢だったり、沢を横切ったりと涼しげな登山道だった。
三俣山荘にメインザックを預け、同行者のザックを背負って鷲羽岳へのピストンへ。
烏帽子山荘で鷲羽岳が一番好きだ、という方にオススメされた。地図には槍のビューポイントと書かれていたが、実際の鷲羽岳は穂高からさらに奥まで見渡せ、360度の視界が素晴らしかった。鷲羽岳自体は裏銀座から見る角度が一番カッコよかったな。
三俣山荘を出たのは13:00、時間が遅い。やや急ぎながらの三俣蓮華岳、丸山を経て双六岳直前、同行者の足が止まった。長時間の行動か、行動食は食べながらとはいえ、昼飯のカップ麺一個では少なすぎたのか、とにかく荷物をすべてメインザックに移し、確実に一歩一歩。重量の増したザックは、数キロとはいえかなり効いた。私もペースが落ちながら、双六岳に16:00、山荘着は16:50だった。
同行者は山荘着後、気分の悪さを高山病かもしれないと訴え、すぐ寝てしまった。疲労の他、シャリバテの疑いもあった為、食べてほしかったが、無理強いできない。翌日の槍ヶ岳の予定は鏡平経由新穂高にエスケープとした。私はいつもより多く食べ明日に備えた。
六日目 双六山荘―鏡平小屋―わさび平小屋―新穂高ロープウェイ
どうやら午後遅くから雨らしい。新穂高まで6時間。早めに下山する予定で食事をとる。出発直前、強い雨が降ってきた。パッキングしたザックからレインウェアとザックカバーを装備。もたもたしていると6:00になってしまった。しかしここで、雲ノ平でライチョウ情報を教えてくれたご夫婦が部屋から出てきた。こちらも同じ場所に下りることにしたとのこと。握手で無事の下山を祈り、山荘を後にした。テン場では急雨にテントの撤収が行われていた。雨はそこそこの強さ。
続々と下山する人が追い越していく。
約2時間かけて鏡平まで、雨もやみ、風もなく、池はまさしく鏡になっていた。裏手の池には逆さ槍が見えた。
ここからわさび平小屋までの小池新道が長かった。小雨も降ったりやんだりの中、やっとのことで小池新道入口についたら、登山道は終わりここからは林道となる。同行者には途中行動食を食べさせながらではあったが、わさび平小屋でしっかり食事をとることにした。先に湯を沸かすことにして先行。わさび平小屋に到着する頃には雨が本降りになっていた。水槽に浮かんだリンゴ、バナナ、トマト、キュウリが美味そう。しかしザックの中には食料が。湯が沸くころに同行者が到着。速攻で食事をとり出発。
最後の林道を早歩きで一時間、新穂高ロープウェイまでたどり着いた。
橋を渡りきるとバス停をチェック。ん?12:20大阪梅田行。現在時間は12:02。
バス会社に電話したら乗れるとのこと。それも人が少ないからザックを車内に入れて良い。
デオドラントシートでざっと体をふき、トイレだけ済ませて乗車した。
帰りのバスの中では興奮と感動で寝られなかった。六日間の行程が思い出されてなぜか涙がにじみ出てきた。
私の目的は、山に登り、無事に帰ってくることだ。その行程の中にあった、あきらめたことも、残念だったことも、目的は達成したのだから、それでよかった。
これぞ登山って感じですよね。ワイルドな文章がかっこいいです。
shirousaさんコメントありがとうございます。
ブナだて尾根は登り応えのある坂でした。稜線に出ると歩いていて本当にたのしい。
思うようにならない天候も含めて、
「これぞ登山」って感じでした。
ワイルドな文章は、、、長くなったのであっちこっち削ったからかな(^ ^;)
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