南ア 兎岳 手強かった2つの西尾根(立俣尾根・笠松尾根)
- GPS
- 33:04
- 距離
- 34.3km
- 登り
- 2,966m
- 下り
- 2,964m
コースタイム
天候 | 8/12 快晴、夕立 8/13 快晴、夕立と雷 8/14 晴れ、夕立(土砂降りと雷 赤石岳山頂標柱が落雷で割れたとか) |
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過去天気図(気象庁) | 2024年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
どちらの尾根もバリエーションルートです。 【立俣尾根】 北又渡駐車場から発電所方向に車道に出て最初の電柱脇が取り付き。あまり右によるとガレなので、左の尾根の高みを捉えて直登、地面上に伸びている細い電線を見つければそれをたどる。 ガレよりも高度が上がればあとは尾根を忠実にいきます。 標高2,000m あたりから足元のシダが所々深くなり胸高さになる場所も。北西面の尾根のため、季節風による風倒木がひどく、想像以上に時間がかかります。 獣道を拾い、シダをかき分け、倒木をまたぎ進路を探しますが、踏み跡のほとんどない斜面を滑らないよう垂直に歩くのはかなり疲れます。 立俣山まで登りきると平坦な尾根となりますが、地図で平地に見えても実際には灌木の密集地やヌタ場があったりして、サイト適地探しに苦労。 展望は残念ながら兎岳本峰取付までは全くありません。 本峰を見上げる最終平坦地の草付からは、急斜面のハイマツを避けて、ダケカンバ・ミヤマハンノキの灌木帯との境を北斜面に回り込むように出来る限りハイマツ漕ぎを避けて高度を稼ぎます。 地図上少し出っ張っている尾根筋を覚悟を決めてハイマツに突入。ひたすら下に伸びる枝と、両手両足をフル稼働させて格闘すること4時間で標高差300mを登りきり、兎岳三角点ピークへ到達しました。 ルート通してピンテは数ヶ所でしか見ませんでした。 【笠松尾根】 兎岳から兎平への下りは三角点ピークよりから。かなりの急斜面に細い踏み跡、崩れやすい足場で高山植物を踏まないよう要注意。以前あった鹿防護柵は撤去されています。 兎平のハイマツの海の中に細々とした踏み跡が途切れながら続いています。台地から下る箇所は左に90度曲がるのですが、視界不良時は踏み跡を直進してしまうかも。 天気がよければここからの聖岳と光岳は絶品。あまり見たことのないアングルだけに新鮮です。 灌木の尾根筋になればあとは下草のシダで見失いがちなかすかな踏み跡を拾って行く。たまにある黄色の林班境界標が目印になってありがたい。 倒木は立俣尾根に比べるとずいぶん少なく、歩きやすい。 尾根北側より、稜線上を避け、少し巻気気味の踏み跡はいずれ笠松山あたりでおりてくる稜線と合わさるかと思いきや、徐々に高度を落とし、最後は兎洞林道と合わさる北に伸びる支尾根めざしている様子。 藪漕ぎ急登して稜線まで戻ることも出来ましたが、長い林道歩きになるのを覚悟して踏み跡をそのままひろって支尾根にのりました。ここからは人の残置物などもあり、ピンテもいくつか確認出来ました。 結果、兎洞林道に下りていますが、この林道は崩壊が特にひどく、崩落箇所の通過は相当危険(ほとんど不可能)ですので、反対の易老渡側に下山する方が間違いありません。 過去の記録では崩落箇所の高巻きにロープ出してるパーティもありました。 【全般】 ⚫︎小兎・前兎コル(奥赤石沢源頭)以外には水場なし。 ⚫︎夏の南アルプス南部、毎日の夕立はお約束。南北に深い谷が走る南部は南からの湿った空気が入りやすく、快晴の朝でも午後は必ずといってよいほどひと雨あります。 ⚫︎アブなど虫が多く虫除けネットが役立つ。ブヨは刺してくる。 ⚫︎隠れ倒木でスネを打撲すること多し、ロングソックスがベター、登山中ストックは邪魔なだけです。 ⚫︎苦行のハイマツ漕ぎ(笑)、手がマツヤニでベタベタになります。 ⚫︎携帯電波docomoは弱いながらも標高1,500m以上では概ね入りました。 |
その他周辺情報 | ⚫︎道の駅隣接の『遠山かぐらの湯』はまだ休業中。2025年青崩峠トンネル開通を見据えて再開目指す模様。 ⚫︎三遠南信道から登山口までにコンビニは1軒もありませんでした。 ⚫︎芝沢ゲート前駐車場 簡易トイレと自販機のみ 売店等なし。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ソフトシェル
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
日よけ帽子
着替え
靴
予備靴ひも
ザック
ザックカバー
サブザック
昼ご飯
行動食
非常食
調理用食材
調味料
飲料
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
食器
調理器具
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
針金
常備薬
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ツェルト
ナイフ
カメラ
ポール
テント
テントマット
シェラフ
ヘルメット
携帯トイレ
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感想
『この夏は兎岳に登ってきました!』
報告をしたほとんどの方からは、『?』のような反応ばかり。
南アルプス南部の山だと伝えると、『聖から?赤石から?どっちから縦走したの?』と質問されます。
無理もないですよね…
でも、いい山なんです。展望はこの辺りでも頭ひとつ抜け出して素晴らしく、標高も2,818m と南アルプスの中でも鳳凰三山や早川尾根、上河内岳や笊ヶ岳などよりも高い。
山頂直下に避難小屋があり、稜線上で貴重な水場まである、ロケーションとしてはまさにベスト・オブ・ベストです。
そして、その山容も素晴らしい。ガレを落とす険しい崩壊を見せる聖岳側と対照的な小兎側のたおやかな緑のハイマツカーペットのスカイライン。雷鳥が多く観察出来る山でもあります。
小兎方面から見ると、名前のとおり『兎』がまるまっている姿に見えます。
伊那谷側に長大な2つの尾根を落とし、積雪期ルートには最適。ただし夏場は猛烈な風倒木やハイマツ漕ぎ覚悟で、幕営準備で挑まないと1日で到達するには相当キツいハードなルートです。
立俣尾根は北西側なので、季節風をまともに受かるため、特に風倒木がひどく、深南部の加々森山や黒沢山あたりよりよっぽどひどいです。
深南部はスズタケ主体の下草なので、まだ倒木がわかりやすいのですが、この尾根は密集したシダ類が豊富なので、隠れトラップにかかりやすい。
転びそうになり、思わず掴んだ古木の幹や枝も簡単にパキッと折れてガクっと転ぶのも数え切れず。
一見して、折れそうもなく立っている木も表面に苔類がついていて安全かと思いきや、その下は白骨化しているなんてザラです。
そして、ラスボスとして現れるのは急峻な斜面に密生したハイマツ! もちろん枝は硬く、長い。背丈を超えるほどもある。さらにはハイマツの枝は急な斜面を下に向かって伸びているため、登りの際は両手で枝をかきわけ、身体をその間にいれてから、足で枝を踏み付けて身体をのし上がる、というサイクルを延々と繰り返して、一歩また一歩と前進するしかないのです(泣)。
標高差300メートル、ハイマツ漕ぎに要したのは実に4時間! まぁ、水5リットルに幕営装備一式背負っているので、こんなものかもしれません。
しかし、その苦労に報いてくれるだけの大展望を兎岳は準備してくれていました。
帰路にとった笠松尾根途中、兎平の素晴らしさはこの山行中、随一。誰もいない空間に南アルプスの山々がハイマツの海の奥に延々と連なる様は楽園そのものでした。
一つ反省としては、帰りの下山地点を易老渡から兎洞林道に変更した事。薄い踏み跡を拾っていくと、兎洞林道そばの支尾根になるんだろう、と予想出来る方向に向かっていました。計画どおりにそのまま尾根に戻り笠松山を目指し、易老渡へ下山もありましたが、踏み跡が歩くに連れてしっかりしてくるため、最近も入山者もあるのが確信出来、林道を目指してそのまま下りました。
兎洞林道の荒廃ぶりは調べてはいましたが、やはり歩行は危険すぎたのかもしれません。完全に崩落している地点は不安定なガラ場を高巻きトラバースして、かなりの急斜面をヒヤヒヤで向こう側の林道へと下るしかなく、多人数パーティであれば間違いなくロープを出す場所でした。
単独山行のリスクを考えると微妙な判断でした。
兎洞林道からの入下山を考える際は取り付きをもっと尾根末端からすべきと思われますし、易老渡から笠松山経由のほうが踏み跡やピンテを頼れます。
南アの暑い夏はいましばらく続き、秋の笊ヶ岳までどっぷり南アルプスに浸かるシーズンです。
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