南アルプス全山縦走ならず 易老渡〜北沢峠
- GPS
- 55:17
- 距離
- 105km
- 登り
- 10,560m
- 下り
- 9,298m
コースタイム
- 山行
- 6:45
- 休憩
- 1:28
- 合計
- 8:13
- 山行
- 12:09
- 休憩
- 1:16
- 合計
- 13:25
- 山行
- 12:47
- 休憩
- 1:58
- 合計
- 14:45
- 山行
- 9:41
- 休憩
- 1:07
- 合計
- 10:48
- 山行
- 8:20
- 休憩
- 0:21
- 合計
- 8:41
天候 | 8月13日 晴れのち曇り。夕方から雷雨。 8月14日 霧雨のち晴れのち雷雨。 8月15日 ガスのち晴れ。午前7時にはガスが上がってきて曇り。 8月16日 未明から強風。雨は降ったり止んだり。夕方にまとまって降った。 8月17日 晴れのち曇り。1時頃から夕立。 8月18日 曇りのち晴れのち曇り。 |
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過去天気図(気象庁) | 2024年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
下山は北沢峠から南アルプス林道バスで戸台口まで。戸台口からは南アルプスジオライナーでJR茅野駅。あとはあずさに乗って、東京方面へ。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
水場 静高平 ✕ 光岳小屋 ○ 聖平小屋 ○ 百軒洞山の家 ○ 荒川小屋 ○ 高山裏避難小屋手前の縦走路の水場 ちょろちょろ500cc汲むのに5分。 三伏峠小屋の水場 ○ 小屋から往復20分。 熊の平小屋 ○ 両俣小屋 ○ 登山道について 聖岳から兎岳、小兎、中盛丸山の登り降りは、今回の縦走中で一番キツかった。 悪沢岳の下りの岩場、荒川前岳からの下り始めの2ヵ所で道に迷ってだいぶ下ってしまい、登り返しに苦労した。 高山裏避難小屋前後のトラバースの道は、大きな岩や扱いづらい鎖、木の根や段差も多く難しく感じた。 三峰岳からの下りは急勾配のザレとガレ。かなりキツい。 野呂川越から両俣小屋の道は急勾配の悪路。 三峰岳から仙丈ヶ岳の仙塩尾根の倒木はしっかり処理されていた。 |
その他周辺情報 | 仙流荘は登山の後には最高。 |
予約できる山小屋 |
北沢峠 こもれび山荘
|
写真
感想
@反省点
らくルートのコースタイムで行動時間を計画したが、人の多いルートと健脚な人しか行かないルートのコースタイムが違い過ぎて、厳しいタイム設定の日が多かった。
足裏のふやけや痛みに対する対策が不充分で、歩くのが辛い時間が多かった。
キツくなってくると食べるのが億劫になり、3日目の後半は、補給を取らないためにハンガーノック気味になった。
遭難時にヤマレコにログが残るようにするために5000mAhのスマホの通信を常にONにしていたが、バッテリーの消耗が激しく30000mAh 用意したモバイルバッテリーが足りなくなってしまった。
就寝環境に課題があり、良く眠れず体力の回復が追い付かなかったと思う。横になっても、アルコールが入ってないにもかかわらず、自宅の時より心拍が20以上高い数字から下がらずに困った。
自分の体力を越えた計画だったようで、6日目には右足大腿の内側広筋が肉離れのように痛くなってしまい、北沢峠からの下山を決めた。
@良かった点
ティートンブロスのアクシオライトシリーズ。乾きも良くて匂いも少なく(個人の感想です)最高だった。今回は半袖を4日半、長袖を1日半、トランクスに至っては6日間着続けて居たが、濡れている時は匂ったが、乾いている時は自分では匂いは気にならなかった。ただし、耐久性は予想通り低そうな毛羽立ち具合。
モンベルのドライシームレスダウンハガー900。毎日の雨でテント内は常に湿っていたが、この寝袋はロフトも落ちずに快適だった。でも、次回が有るとしたら寝袋自体を持っていくかは分からない。
TJAR が開催中で、縦走中に多くの選手達とスライドした。彼らの姿は、やはり心を揺さぶるものがあった。
南アルプス南部に来ている人達は面白い人が多く、話を聞いているだけで凄く勉強になった。池口岳から物凄いスピードで縦走している人、台風来るのにタープでちゃんと幕営出来る人、南部縦走で池口岳から下山予定の人、TJARを北アと南アで応援する人などなど。
@山行計画
南アルプスの主要な山を縦走することを目的に、芝沢ゲート(易老渡)入山、夜叉神峠下山の全行程約140km、行動時間80時間弱、6泊7日予備日1日で行程を組んだ。
@食糧計画
朝は水で戻しておいたリゾッタ330kcal。1日の予定行動時間は平均12時間程度と想定し、行動中は1時間に190kcal程度。2時間でカロリーメイト2本200kcal、亀田の柿の種の小袋136kcal、前田製菓のWAYtoGOを1枚約44kcal。テント場に着いてからはリゾッタ330kcalとカレーメシ440kcal。行動時間によって上下するが、1日3000kcal 以上取るように頑張って食べた。出発時の食糧の総重量は約5kg。
3日目以降は上記に加えて山小屋でもカップ麺等を積極的に買って食べた。
火器はプリムスP-116、ガス缶は110を新品で持っていき、毎日夜にお湯を400cc〜600cc程沸かした。消費したガスの量は100g中約25gだった。
@ウェア等について
帽子はカリマーのコードメッシュハット。キャップより暑いとも感じず、顔と首筋を日光から守れて良かった。ただ、濡れるとつばがしなっとして垂れ下がってくる。そしてかさ張る。
トップスはティートンブロスのアクシオライトの半袖と長袖。
ウインドブレーカーはマウンテンハードウェアのコアエアシェルフーディ。
防寒着としてカリマーのサーマルハーフジップ。
ズボンは山と道のDW_5Pocket Pants。
下着はティートンのアクシオライトトランクス。
靴下はインナーファクト、ラミーのミドル丈の足袋タイプ、これはテストでは良かったものの、濡れてくると親指の付け根に食い込んで痛みが出る事もあり、上手く履きこなせなかった。
レインは上モンベルのトレントフライヤー、下はバーサライト。
@バックパック、テント等
バックパックはマックパックのへスパー50の雨蓋を外してフレームも抜いて使用。フレームを抜いて体にフィットするように使ったが、それでも岩場などでパックの動きが大きくて難儀した。積載的にも15kg以上はちょっとキャパオーバーだったように思う。もっと軽量化しないと。
テントはノースのマウンテンショット1。袋、ペグ、張り網、グランドシート込みで実測1.35kgとまあまあ軽いと思っている。連日の雨で、フライとインナーがくっついてしまう箇所あり。張り方の問題か。付属のグランドシートは風があると敷きづらかった。
スリーピングマットは山と道のULPad15+ 100cm。バックパックの芯にも使った。寝心地はまあ見た目どおり。自分は良く寝れなかった(笑)
@その他
ヘッドランプはマイルストーンのMS-i1。ずっとMS-11だと思っていた。Lowモードで公称53時間使えるようだ。今回の山行では15時間くらいLowで使用したが、著しい照度の低下は感じなかった。サブではモンベルの小さいヤツを持っていき、テント内等ではそちらを使用。
トレッキングポールはブラックダイヤモンドのディスタンスZ110cm(アルミ)。重量と強度のバランスは良いと思う。自分は岩にポールを突いた時に滑らないように先ゴムを使っているが、純正のゴムは直ぐに取れてしまうためシナノの先ゴムを使用。取れなくはなったが結構重さが気になる。マウンテンキングは調子が良いとの話を聞いたので調べてみようと思う。
シューズはサロモンのジェネシス。クッションが良くて、濡れてる箇所でのグリップも充分。尖った岩の上に乗っかっても痛くない良いシューズだと思う。幅がちょっと狭いので人によってはキツいかもしれない。自分はギリギリ行けるかといった感じ。たぶんもっと広い靴の方が良かったと、今は思う。
@登山を終えて
今年は夏休みが長く取れたため、念願の南アルプス全山縦走にチャレンジすることが出来た。結果、3日目の疲れと翌日の台風から、4日目は停滞を決めて、その分白峰三山も甲斐駒も飛ばして、なんとか夜叉神峠までと頑張ったものの、6日目に右足の内側広筋が尋常じゃない痛みになってしまい、あえなく途中下山となった。
非常に残念な結果となり、私ちょっと涙が出ちゃうわな気分ではあったが、山の中で出会った他の登山者達との話も面白かったし、TJAR の選手達を間近で見ることもでき、そして何より自分なりには良く頑張れたと思えたので、かなり満足もしている。
毎日1時2時から行動し、ガスの立ち込める樹林帯ではヘッドランプの視界は5メートルくらいの時も多かった。暗闇の中を黙々と歩いたあとに昇ってくる朝日を見るのは、本当に嬉しいことだった。自分には夜間行動は向いていないのかも知れない。
とにかく、また同じチャレンジが出来るかどうか分からないが、低い心拍を維持したまま出せるスピードを高めること、山の中での生活能力を高めること、そして荷物の軽量化など、山の中でより自由に遊べるように、一歩一歩向上していきたいと思う。
8月17日、2時に三伏峠を出発した。小屋から直ぐの三伏山から見える町の明かりは、とてもきれいだった。空は満点の星空で、天の川も見えていた。
ほどなく樹林帯に入り、景色の見えない林の中をMS-i1 で照らしながら進んで行く。時折聞こえる先行者の熊鈴の音が、一人ではないと自分を安心させてくれた。
少し空が明るくなった頃に塩見小屋に着いた。前日の台風のせいか、人がいてもおかしくない時間だが小屋は静まり返っている。
そのまま先に進むと、山頂方面にガスがかかってきた。見晴らしの良い岩場のスペースには一人の登山者がいた。熊鈴の先行者だろうか、彼はそこで日の出を見るようだ。少し話をしたのち、自分は先に進む。
ガスがかかったり消えたり、目まぐるしく状況が変わる岩場を上って行く。西側から東側へ岩を乗り越えていったその瞬間、思わず眼を細める程の力強い光が飛び込んできた。
世界がすべて金色になるような、それはそれは素晴らしい太陽の光であった。
@8月27日追記 山行より一週間ほど経過しての所感。また、目標未達の要因についての考察。
体の状態について。右足大腿の痛みについては、3日間程張りがある状態が続いて居たが、痛みについては次の日には階段を上がるくらいは問題なく出来ていた。テーピングの仕方次第では夜叉神峠まで行けたのではと思ったが、テーピングの予備は使いきってしまったし、今回の痛みに対する処置の仕方の知識が無かった点からは、途中下山も仕方なしと思う。
山行3日目に、足裏全体が白くふやけ、各指の母趾球辺りが、形容し難いが、ふやけた皮膚が肉とずれて痛みが出るというか、とにかく踏み込む度に痛みが出るようになってしまった。プロテクトJ1を毎日出発前に塗ってはいたが、この日はシューズも出発時に塗れたままだった為、乾いた靴下が濡れるのが勿体なくて濡れた靴下でスタートした。6時間くらい歩いたあとに乾いた靴下に変えてJ1を塗り直したが、その時は着地の痛みは少し出ていたものの、そこまで足裏のふやけもひどくは無かった。その後着地の痛みが強くなってきて、10時間くらい歩いた時に大休止して足裏を確認すると、いわゆる塹壕足みたいになっていた。靴は乾いても中敷きが乾かなかったのと、自分が汗かきな為と思っている。三伏峠で他の登山者に意見を聞いたが、ここまで足の状態が悪くなっている人は居らず、J1等も塗らずに12時間行動しても問題ない人も居て、自分は休憩のタイミングや回数、ケアの仕方、ヤバくなってしまった際の対処法など、経験値が不足していたなと思う。
下山後の足の状態だが、3日間くらいパンパンに浮腫んで像の足みたいだった。足裏の皮がポロポロ向けてきて痒かったが、1週間ほどで落ち着いた。
今回は当初予定していた全山縦走は叶わなかったが、要因としては
.魁璽好織ぅ爐寮瀋蠅北詰があった。
日帰り山行の延長で心拍管理をしてしまっていた。多少抑えて歩いていたが、もっと抑えて歩くべきだった。
2拱が重かった。
以上が主な要因かとおもう。改めて書き出すと、初心者の頃の課題と変わらない(笑)
コースタイムについては、らくルートのタイムと山と高原地図のタイムで結構違っていて、事前に知っておくべきだった。山と高原ベースで計画していたら無謀な計画に気づけたかもしれないが、限られた日数で歩きたいルートを歩き切りたい欲望に勝てたかは分からない。
心拍はガーミンのGPSウォッチで管理していたが、普段の日帰り山行では実測の最大心拍数の80%以下でなるべく歩いて、急登等では短い時間90%くらいまで上げていたが、これを連泊縦走ですると体が持たなかった。行ける人は行けるのだろうが、自分は3日目には疲れが取れない状態になり、引いては6日目のリタイアにも繋がったのかと思う。
停滞日の後、5日目に三伏峠〜塩見岳〜両俣小屋を歩いた際に、登りでの心拍数を最大心拍数の70%位までに抑えて登ってみた。塩見岳を越えた時に足裏の痛みは有るものの、疲れが全然無くて驚いた。ゆっくり登るのがこれ程素晴らしいとは知らなかった。ゆっくり登って下りと平坦でスピードを上げる、と、どこかで聞いたことがあるが、なるほど!である。
荷物の重さは、いわゆるベースウェイトが8kgちょい、食糧と水3lでトータル16kg程でスタートした。もっと軽く出来る筈だったが、何故こんなに重くなってしまったのか。下山後、水が入ってない状態で測ってみたが、まだ10kgあった。何が入ってんの?
とにかく、現時点での自分の山力では、この重量で予定していたスピードで歩くことは出来なかった。やはり荷物を軽くして、余裕をもって歩けるスピードを底上げするのが、王道であり正解だと思う。もちろん自分の体力を上げるのも大前提だが、今回の経験を糧に軽量化に励みたい。
下山した後は、もう南アルプス全山縦走はしなくても良いかと思っていたが、日が経つにつれ、やはりまたチャレンジしたいと思うようになってきた。最近は時間に余裕をもった登山の方が、距離やスピードを稼ぐ登山より面白いのでは、と思うこともある。でも、自分で出来る範囲で一生懸命頑張る登山も、やはり楽しいものだ。山でのダメージが消えてきた今、改めてそう思う。
今後も山を楽しみながら、体力、知識、装備を向上させていき、いつの日か、南アルプス全山縦走を達成したいと思う。
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