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Yamareco

記録ID: 7157866
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
白馬・鹿島槍・五竜

2年越しの鹿島槍ヶ岳(爺ヶ岳、布引山)

2024年08月17日(土) ~ 2024年08月19日(月)
情報量の目安: S
都道府県 富山県 長野県
 - 拍手
体力度
6
1~2泊以上が適当
GPS
23:09
距離
23.7km
登り
2,465m
下り
2,503m
歩くペース
ゆっくり
1.31.4
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

1日目
山行
5:11
休憩
0:55
合計
6:06
距離 5.8km 登り 1,182m 下り 153m
9:09
14
9:23
9:33
70
10:43
10:53
31
八ツ見ベンチ
11:24
11:25
31
11:56
12:20
25
12:45
46
一枚岩
13:31
6
石畳
13:37
15
13:52
11
包優岬
14:03
14:13
6
石ベンチ
14:19
25
アザミ沢
14:44
12
14:56
19
鉄砲坂
15:15
2日目
山行
7:19
休憩
2:18
合計
9:37
距離 9.0km 登り 817m 下り 889m
6:02
62
7:04
7:18
20
7:38
7:52
27
8:19
36
8:55
8:56
19
9:15
9:47
12
11:20
11:41
60
12:41
13:30
56
14:26
14:33
57
15:39
3日目
山行
6:14
休憩
1:10
合計
7:24
距離 8.9km 登り 466m 下り 1,461m
6:22
31
6:53
6:59
37
7:36
7:37
29
8:06
8:07
25
8:32
8:55
50
9:45
9:59
28
10:27
10:31
13
10:44
4
アザミ沢
10:48
10:52
8
石ベンチ
11:00
8
包優岬
11:08
11:09
2
11:11
17
石畳
11:28
19
一枚岩
11:47
12:02
15
13:29
13:30
16
13:46
天候 曇り、霧。最終日の朝は快晴!その後霧。
過去天気図(気象庁) 2024年08月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
松本駅前泊、大糸線信濃大町駅発のバスで扇沢へ。
コース状況/
危険箇所等
柏原新道、よく整備されている。クマが出たので皆、熊鈴を付けていた。ソロハイカーは2つ付けている人も複数いた。
種池から鹿島槍ヶ岳への道も歩きやすく整備されている。高山植物保護のためロープをひいている。
布引山へ行く途中の登山道に猿の群れが出た。ライチョウが襲われないか心配。
プロローグ ‐硝楷儻/松本市立美術館
2024年08月16日 13:20撮影 by  iPhone 11, Apple
1
8/16 13:20
プロローグ ‐硝楷儻/松本市立美術館
プロローグ 松本観光/松本城
2024年08月16日 15:49撮影 by  iPhone 11, Apple
1
8/16 15:49
プロローグ 松本観光/松本城
プロローグ 前晩夕食/アルプス食堂
2024年08月16日 19:05撮影 by  iPhone 11, Apple
8/16 19:05
プロローグ 前晩夕食/アルプス食堂
2年前、高山病で種池山荘にて撤退。今年こそは最後(鹿島槍ヶ岳)まで行きたい。

松本で前泊。
大糸線はSuicaが使えないので注意。
2年前、高山病で種池山荘にて撤退。今年こそは最後(鹿島槍ヶ岳)まで行きたい。

松本で前泊。
大糸線はSuicaが使えないので注意。
途中駅でホームにパブリックアートがあった。
途中駅でホームにパブリックアートがあった。
信濃大町着
バスに乗り変える
信濃大町着
バスに乗り変える
天気はいまいち。
しかも柏原新道入口へ行く途中、kwskykが熊鈴を側溝に落とす(不吉…)。Pierre氏の熊鈴で耐える。
天気はいまいち。
しかも柏原新道入口へ行く途中、kwskykが熊鈴を側溝に落とす(不吉…)。Pierre氏の熊鈴で耐える。
柏原新道を行く。熊注意の看板
柏原新道を行く。熊注意の看板
09:33出発
丁寧な注意書き
ツリガネニンジン
ツリガネニンジン
10:43八ツ見ベンチ
小休憩
10:43八ツ見ベンチ
小休憩
タケシマランかな
タケシマランかな
11:22ケルン
ゴゼンタチバナが赤い実をつけている
ゴゼンタチバナが赤い実をつけている
種池山荘が見えた
種池山荘が見えた
カライトソウ
初めて見た。日本海側の山にいるらしい。
カライトソウ
初めて見た。日本海側の山にいるらしい。
11:57駅見岬
扇沢が見える
ハクサンオミナエシ
日本海側の花らしい
ハクサンオミナエシ
日本海側の花らしい
ベンチ?使わなかった
ベンチ?使わなかった
これもベンチ?使わなかった
これもベンチ?使わなかった
12:45一枚岩
13:31石畳
13:42水平道
歩きやすい
13:42水平道
歩きやすい
アカモノ?
13:52包優岬
ツルリンドウ
秋の気配
14:03石ベンチ
休憩
14:03石ベンチ
休憩
ヤマハハコたくさん咲いていた
ヤマハハコたくさん咲いていた
オヤマリンドウたくさん咲いていた
オヤマリンドウたくさん咲いていた
14:19アザミ沢
ハナニガナ
ガラ場注意
14:33ガラ場
急いで慎重に
何の実だろう
きいちご
14:44富士見坂
14:56鉄砲坂
シモツケソウ?
ハクサンフウロもたくさん
ハクサンフウロもたくさん
シラネニンジンか
シラネニンジンか
熊被害の注意書き
熊被害の注意書き
15:16種池山荘着!
15:16種池山荘着!
旅するミシン店のらいちょうくんTシャツが欲しかったがサイズがなかった。
チングルマの手ぬぐいを購入。
Tシャツは冷池山荘にあるかもしれないとのこと!
旅するミシン店のらいちょうくんTシャツが欲しかったがサイズがなかった。
チングルマの手ぬぐいを購入。
Tシャツは冷池山荘にあるかもしれないとのこと!
ザックは部屋に置いていい
ザックは部屋に置いていい
17:00ごはん
ずっと白かったけどやっと見えた
月もよい
ずっと白かったけどやっと見えた
月もよい
5:00朝ご飯。kwskykは高山病の気配。なんとか食す。2年前は食べるどころではなかった。今回は頭痛もないし比較的快調。
1
5:00朝ご飯。kwskykは高山病の気配。なんとか食す。2年前は食べるどころではなかった。今回は頭痛もないし比較的快調。
お弁当1食分もらう。行動食もあるので2人で1つで十分だろう。
お弁当1食分もらう。行動食もあるので2人で1つで十分だろう。
6:00出発。雲海がすごい
1
6:00出発。雲海がすごい
花畑が続く
チングルマたくさん
花畑が続く
チングルマたくさん
7:02爺ヶ岳南峰への分岐
7:02爺ヶ岳南峰への分岐
7:06三角点
トウヤクリンドウ
トウヤクリンドウ
たくさん咲いていた
たくさん咲いていた
7:32爺ヶ岳中峰への分岐
7:32爺ヶ岳中峰への分岐
7:39三角点
ちょっと休憩
やっと、鹿島槍ヶ岳が見えた!
1
やっと、鹿島槍ヶ岳が見えた!
ライチョウがいた!
2
ライチョウがいた!
ミヤマコゴメグサ
ミヤマコゴメグサ
8:57冷乗越
稜線は雲の中。
雪渓の部分だけ雲が切れている
稜線は雲の中。
雪渓の部分だけ雲が切れている
9:15冷池山荘。計画の30分遅れ。
2年越し!チェックインし荷物をデポ。
インナーシーツ、お風呂セットなどいらないものを置いていく
1
9:15冷池山荘。計画の30分遅れ。
2年越し!チェックインし荷物をデポ。
インナーシーツ、お風呂セットなどいらないものを置いていく
9:46鹿島槍ヶ岳へ出発
9:46鹿島槍ヶ岳へ出発
9:58テント場
また霧が。
ここも花畑
赤トンボ
ハクサンフウロ三姉妹
ハクサンフウロ三姉妹
イブキトラノオ
ウサギギクとハクサンフウロとアキノキリンソウ。いろどりがきれい
1
ウサギギクとハクサンフウロとアキノキリンソウ。いろどりがきれい
10:38遭難の碑
11:22布引山
この前で猿の群れに遭遇。一瞬襲われるかというくらいワラワラ出てきた。笛と熊鈴を鳴らしたら登山道を登って行ってしまった。
11:22布引山
この前で猿の群れに遭遇。一瞬襲われるかというくらいワラワラ出てきた。笛と熊鈴を鳴らしたら登山道を登って行ってしまった。
リンドウたくさん
リンドウたくさん
一瞬青空
12:42鹿島槍ヶ岳南峰
計画より45分遅れ。北峰へ行くのはやめた。
12:42鹿島槍ヶ岳南峰
計画より45分遅れ。北峰へ行くのはやめた。
お弁当のちらしずし!美味しそう〜。2人でこの量でじゅうぶん
1
お弁当のちらしずし!美味しそう〜。2人でこの量でじゅうぶん
食後にトレイルチャイ
食後にトレイルチャイ
鹿島槍ヶ岳北峰をながめる。険しそう
鹿島槍ヶ岳北峰をながめる。険しそう
振り返ると、さっきまで賑やかだった南峰に誰もいない
振り返ると、さっきまで賑やかだった南峰に誰もいない
しかしこの高度でこの気温。暑い。
しかしこの高度でこの気温。暑い。
日に焼けなくてよい(と思うことにする)
1
日に焼けなくてよい(と思うことにする)
まっしろ
下りはストックを出す
下りはストックを出す
両側から雲が迫る
両側から雲が迫る
14:22再び布引山
15:37冷池山荘着。
北峰断念したのに、計画より30分以上遅れ。まあ見晴らしもよくなかったし、今回はこれでよしとする。
友人おすすめのテラスでくつろぐ。
15:37冷池山荘着。
北峰断念したのに、計画より30分以上遅れ。まあ見晴らしもよくなかったし、今回はこれでよしとする。
友人おすすめのテラスでくつろぐ。
ビールと柿の種
17:00夕ご飯。お蕎麦が嬉しい。
Pierre氏に手伝ってもらいなんとか完食。
1
17:00夕ご飯。お蕎麦が嬉しい。
Pierre氏に手伝ってもらいなんとか完食。
冷池山荘では無事にらいちょうくんのTシャツをゲット!
冷池山荘では無事にらいちょうくんのTシャツをゲット!
うっすらまた見えてきた
うっすらまた見えてきた
霧の向こうに種池山荘
霧の向こうに種池山荘
モルゲンロートに染まる立山連峰
2
モルゲンロートに染まる立山連峰
種池山荘と針ノ木岳
1
種池山荘と針ノ木岳
朝食はkwskykはほぼ食べられず(写真を撮る余裕もなく)。Pierre氏は完食。

棚もあって荷物を整理しやすかった。おせわになりました。
朝食はkwskykはほぼ食べられず(写真を撮る余裕もなく)。Pierre氏は完食。

棚もあって荷物を整理しやすかった。おせわになりました。
今朝はいい天気!
1
今朝はいい天気!
この池が名前の由来?
この池が名前の由来?
劔が見えた!
全景。一週間前にTJAR選手たちが通り過ぎて行ったことに思いを馳せる。
全景。一週間前にTJAR選手たちが通り過ぎて行ったことに思いを馳せる。
帰りにまた爺ヶ岳に寄って行こう
帰りにまた爺ヶ岳に寄って行こう
妙高、火打山方面
妙高、火打山方面
針ノ木岳と赤石岳の奥に薬師岳
針ノ木岳と赤石岳の奥に薬師岳
種池山荘と立山
本当によく見える
本当によく見える
日本海も見えているらしい
日本海も見えているらしい
再びライチョウに会う。抜きつ抜かれつしていた親子連れの少年に教えてもらった。
岩と同化してる…
再びライチョウに会う。抜きつ抜かれつしていた親子連れの少年に教えてもらった。
岩と同化してる…
8:02爺ヶ岳中峰はカット
8:02爺ヶ岳中峰はカット
通り過ぎる
穂高が見えてきた
穂高が見えてきた
朽ちた看板
コマクサやっと会えた
コマクサやっと会えた
コマクサと剱岳
8:23南峰に寄ってく
8:23南峰に寄ってく
ちょうど槍が隠れてる
ちょうど槍が隠れてる
一瞬、槍が見えた!
一瞬、槍が見えた!
立山の景色を楽しもう
1
立山の景色を楽しもう
雲が湧いて鹿島槍ヶ岳は見えなくなった
雲が湧いて鹿島槍ヶ岳は見えなくなった
行く手も霧
種池山荘でしばし休憩
9:54出発。いよいよ本格的なくだり。
種池山荘でしばし休憩
9:54出発。いよいよ本格的なくだり。
10:20富士見坂
10:44アザミ沢
10:52石ベンチ。休憩
10:52石ベンチ。休憩
11:00包優岬
11:04水平道
11:11石畳
11:28一枚岩
11:47駅見岬
12:18ケルン
13:28下山!
13:41扇沢
コーラフロート

装備

個人装備
Tシャツ アームカバー ソフトシェル タイツ ズボン 靴下 グローブ 防寒着 雨具 ゲイター 日よけ帽子 着替え 予備靴ひも ザック ザックカバー 昼ご飯 行動食 非常食 調理用食材 調味料 飲料 ハイドレーション ライター 地図(地形図) コンパス 計画書 ヘッドランプ 予備電池 筆記用具 ファーストエイドキット 常備薬 日焼け止め ロールペーパー 保険証 携帯 時計 サングラス タオル ストック ナイフ カメラ インナーシーツ

感想

爺ヶ岳途中にてライチョウ


爺ヶ岳南峰からの眺め

 2年前に柏原新道を通って鹿島槍ヶ岳に登ることを計画したが、その際は我らがリーダーの体調がイマイチで高山病の症状が出たので大事を見て下山した。今回そのリベンジを、ということで同じルートでの再挑戦を試みた。前回、筆者は当日朝早く長野新幹線を利用して行ったのだが、今回は余裕を持って登ろうと前日に松本に入ることにした。折から台風が近づいてきていて特急あずさの運行が心配だったが、さしたる遅れもなく昼前に松本駅に到着した。では松本観光でもするか、ということで、まず松本市立美術館に行き、草間彌生の作品など見たのだが、これは大正解であった。続いて混んでいるのを承知で松本城に行ったが、入場まで50分待ちで、城内では誘導に従って流されていくだけだったのでちょっと後悔した。でも松本城の階段はちゃんと三点支持で登りました。夕食は名前に惹かれて「アルプス食堂」でいただきました。
 さて、前日夜にホテルでリーダーと合流し、大糸線に乗って信濃大町まで行き、そこからバスに乗って扇沢へ。扇沢駅で身支度を整えて出発。柏原新道への舗装道を下って行ったのだが、柏原新道では最近熊が出たとのことである。リーダーが歩きながら熊鈴をつけようとしたところ、おむすびころりんならぬ熊鈴ころりん、熊鈴が側溝に落ちてあっという間に流されてしまった。ほら、歩きスマホと歩き熊鈴はあれほど止めなさいと言ったのに。仕方ないので、筆者の本来は熊鈴ではない鈴を探したが、あれ、出てこない。諦めてそのまま行こうかと思ったが、リーダーが「もう一回探してくれる?」というのでもう一度ザックの中を探すと、あら、出てきたわ。筆者のガサツさを知り尽くしているリーダーのファインプレーである。ということで、「熊鈴ではない鈴」を鳴らしながら登山をスタートした。
 柏原新道はよく整備されていて歩きやすい。ほぼずっと左を谷にして登っていく。途中、「八ツ見ベンチ」とか「石畳」とか「アザミ沢」とか黄色い標識が出ているのを励みに登っていき、難所の「ガラ場」を通り、「鉄砲坂」の急登を経て種池山荘に到着した。種池山荘の状況については2年前にもレポートしたので割愛する。
 翌日は曇り、というか霧であった。霧の中をチングルマが綿毛で群生しているのを見ながら爺ヶ岳に向けて出発。爺ヶ岳南峰と中峰を通過した頃から霧が次第に晴れてきて鹿島槍の華麗な双耳峰が見えてきた。俄然元気が出てきたが、もちろん急に体力が向上することはなく、冷乗越を経由して冷池山荘に着いた時には、計画から30分ほど遅れていた。あんまりゆっくり歩いたつもりはないが、酸素が薄いせいかもしれない。冷池山荘に着いたのは9時過ぎだが、チェックインもさせてもらえて、部屋にも上がれた。しかし、出発が遅くなるので、余分な荷物を自炊室にデポして行くことにした。
 山と高原地図によれば、この辺り、雷鳥が出現すると書いてある。期待しながら歩いていると、前をいくリーダーが急に立ち止まり、「いるよ」と小声。果たして、筆者の初ナマ雷鳥体験であった。いやあ嬉しかったです(ちなみに後日登山をしない職場の人に興奮気味にこのことを話したら、何がそんなにすごいんですか?みたいな顔をされてしまった。まあ、そりゃそうでしょうね)。気分高揚のまましばらく行くと、女性の叫び声のような声が。何か事故か事件かと思ったが、どうやら猿の鳴き声だったようで、それから少し行くと、リーダーの前方に猿出現。リーダーの持っていたザックにもれなくついている笛を吹き、筆者の熊鈴ではない鈴を鳴らしながら、猿を追い散らすように進んだ。襲われなくてよかった。
 鹿島槍への途中にあるのは布引山である。この登りがなかなかきつい。酸素も薄いのでリーダーの足取りも重く、スパルタ登山でなかったことはよかった。そんな布引山の山頂で一服し、鹿島槍南峰に向けて再出発。また、この南峰への稜線の登りがきつい。それでも、どんなにゆっくりでもいずれは山頂に着く。鹿島槍南峰へ約1時間遅れで到着した。ここで、種池山荘で用意してもらった弁当を食べたのだが、北峰への吊り尾根を往復するのは時間が足りないね、ということになり、北峰は断念することにした。鹿島槍ヶ岳の山頂は南峰であることだし、安全第一で冷池山荘へ引き返すことにした。
 この頃になると周囲は雲で真っ白である。その中を歩いていくのは気分が盛り上がらない。が、緊張は高まってきた。何を隠そう(いや隠していないが)筆者は前立腺肥大である。つまりトイレが近いのである。二人とも疲れてきているので、会話も少なくなって、より神経がそちらの方に行きがちになる。第三波がきたあたりで、リーダーに何か気を紛らわす話をしてくれと要請したが、笑われただけだった。それでも高山帯の自然を壊すことなく、冷池山荘に辿り着き、外トイレに直行し事なきを得たのであった。ああよかった。読者諸氏には相変わらずの尾籠な話にお付き合いいただき恐縮でございました。
 さて、冷池山荘は種池山荘と同じ経営なので、宿泊のシステムはほぼ同じである。決められた下駄箱に靴を入れ、決められたスリッパを利用する。ご飯は幕内定食型で、山小屋の人が盛ってくれる。種池山荘と違うのは「テラス」があって、立山方面から種池山荘方面を望む室内のベンチが用意されている。我々は夕食の前後にここでまったりして、ビールを飲んだりしていた。
 ところで、今回、夜は二晩とも異様に暑かった。この標高であれば、夕食時に防寒着がいると思うのだが、全く必要性を感じず、また、就寝時には毛布だけでも暑いぐらいであった。今年の夏はちょっと異常ではなかろうか。このところ毎年そのようなことを言っているような気もするが。
 翌朝は下山するだけだったので、ゆっくり支度をしていたら、周囲はほとんどいなくなってしまった。と言っても、6:20には我々も出発したのだが。筆者の予想ではこの3日間は天気には恵まれないだろうと思っていたのだが、この日は朝から快晴であった(午後は雨の予報だったが)。冷乗越まで登り返すと、劔から立山連邦が綺麗に見えている。振り返れば鹿島槍がドーンと構えており、絶景の稜線歩きである。こういう幸せな稜線歩きはしばらく経験していなかった。これぞ縦走の喜びである。そして、爺ヶ岳に差し掛かったあたりで、再び雷鳥に出会った。前を行く小学生と思しき男の子が発見して教えてくれたのだが、2回も雷鳥に会えるとは予想していなかった。いやあ感激。男の子に感謝。彼はきっと雷鳥を環境問題からめて夏休みの自由研究のテーマにしたのではないだろうか。
 爺ヶ岳の向こうに横に穂高らしき山が見えてきたので、南峰にもう一度登ってみることにした。幸運なことに、槍穂がほんのちょっと雲から顔を出してくれた。しばらく山頂で360度の景色を楽しんでから降り始めたが、その頃から鹿島槍への稜線には東側からの雲が流れ込みつつあり、南側の扇沢からの雲も競り上がってきていた。この日最後の展望だったであろう。
 爺ヶ岳南峰から種池山荘までまあまあ距離がある。前立腺肥大は朝が不調である。リーダーに気を紛らわす話をしてほしいと要請したが、「え、また?」と言われただけだった。それでも第四波が来る前に種池山荘に到着し、今回も九死に一生を得たのであった(?)。読者諸氏には相変わらずの尾籠な話にお付き合いいただき恐縮でございました。
 種池山荘で一休みしてから、柏原新道の下山に入り、ゆるゆると下っていたが、ちょっと遅れ気味だったので、途中、標高2100mあたりで、リーダーが「少しスピードを上げる」と言って、ギアを入れた。おおっ。酸素が濃くなるとリーダーのエンジンは強力だ。筆者は全く平気なふりをして必死についていったのだが、30分ぐらいでこのペースを終わりにしてくれたので助かった。心の中で「今日はこの辺にしといたる」と吉本新喜劇のようなセリフを言ってみたが、このペース続いていたら筆者は脚に疲労がきて転んでいたような気がする。ああよかった。
 そして登山口に到着。ここから扇沢駅までの登りが地味にきつい。ストック使いました。でも一般観光客に抜かされました。15分ほどかけて扇沢駅に到着。バスを1本やり過ごし、扇沢駅の食堂で冷やし肉そばなるものを食べ、ゆっくり身支度を整えて、長野行きのバスに乗ったのでした。
 その日夕方から夜に掛けて、関東南部は猛烈な雷雨に見舞われていて、筆者が自宅の最寄りの駅に着いたらすごい雨だった。しばらく雨宿りしようかとも思ったが、傘もあるし、ちょっと考えて、山行では使わなかったザックカバーを出して自宅まで帰った。ここで使うとは思わなかったが、山で使うよりよかったかもしれない。(完)

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