2年越しの鹿島槍ヶ岳(爺ヶ岳、布引山)
![情報量の目安: S](https://yamareco.info/themes/bootstrap3/img/detail_level_S2.png)
![都道府県](/modules/yamainfo/images/icon_japan_white.png)
- GPS
- 23:09
- 距離
- 23.7km
- 登り
- 2,465m
- 下り
- 2,503m
コースタイム
- 山行
- 5:11
- 休憩
- 0:55
- 合計
- 6:06
- 山行
- 7:19
- 休憩
- 2:18
- 合計
- 9:37
- 山行
- 6:14
- 休憩
- 1:10
- 合計
- 7:24
天候 | 曇り、霧。最終日の朝は快晴!その後霧。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
柏原新道、よく整備されている。クマが出たので皆、熊鈴を付けていた。ソロハイカーは2つ付けている人も複数いた。 種池から鹿島槍ヶ岳への道も歩きやすく整備されている。高山植物保護のためロープをひいている。 布引山へ行く途中の登山道に猿の群れが出た。ライチョウが襲われないか心配。 |
写真
装備
個人装備 |
Tシャツ
アームカバー
ソフトシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
ゲイター
日よけ帽子
着替え
靴
予備靴ひも
ザック
ザックカバー
昼ご飯
行動食
非常食
調理用食材
調味料
飲料
ハイドレーション
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ストック
ナイフ
カメラ
インナーシーツ
|
---|
感想
爺ヶ岳途中にてライチョウ
爺ヶ岳南峰からの眺め
2年前に柏原新道を通って鹿島槍ヶ岳に登ることを計画したが、その際は我らがリーダーの体調がイマイチで高山病の症状が出たので大事を見て下山した。今回そのリベンジを、ということで同じルートでの再挑戦を試みた。前回、筆者は当日朝早く長野新幹線を利用して行ったのだが、今回は余裕を持って登ろうと前日に松本に入ることにした。折から台風が近づいてきていて特急あずさの運行が心配だったが、さしたる遅れもなく昼前に松本駅に到着した。では松本観光でもするか、ということで、まず松本市立美術館に行き、草間彌生の作品など見たのだが、これは大正解であった。続いて混んでいるのを承知で松本城に行ったが、入場まで50分待ちで、城内では誘導に従って流されていくだけだったのでちょっと後悔した。でも松本城の階段はちゃんと三点支持で登りました。夕食は名前に惹かれて「アルプス食堂」でいただきました。
さて、前日夜にホテルでリーダーと合流し、大糸線に乗って信濃大町まで行き、そこからバスに乗って扇沢へ。扇沢駅で身支度を整えて出発。柏原新道への舗装道を下って行ったのだが、柏原新道では最近熊が出たとのことである。リーダーが歩きながら熊鈴をつけようとしたところ、おむすびころりんならぬ熊鈴ころりん、熊鈴が側溝に落ちてあっという間に流されてしまった。ほら、歩きスマホと歩き熊鈴はあれほど止めなさいと言ったのに。仕方ないので、筆者の本来は熊鈴ではない鈴を探したが、あれ、出てこない。諦めてそのまま行こうかと思ったが、リーダーが「もう一回探してくれる?」というのでもう一度ザックの中を探すと、あら、出てきたわ。筆者のガサツさを知り尽くしているリーダーのファインプレーである。ということで、「熊鈴ではない鈴」を鳴らしながら登山をスタートした。
柏原新道はよく整備されていて歩きやすい。ほぼずっと左を谷にして登っていく。途中、「八ツ見ベンチ」とか「石畳」とか「アザミ沢」とか黄色い標識が出ているのを励みに登っていき、難所の「ガラ場」を通り、「鉄砲坂」の急登を経て種池山荘に到着した。種池山荘の状況については2年前にもレポートしたので割愛する。
翌日は曇り、というか霧であった。霧の中をチングルマが綿毛で群生しているのを見ながら爺ヶ岳に向けて出発。爺ヶ岳南峰と中峰を通過した頃から霧が次第に晴れてきて鹿島槍の華麗な双耳峰が見えてきた。俄然元気が出てきたが、もちろん急に体力が向上することはなく、冷乗越を経由して冷池山荘に着いた時には、計画から30分ほど遅れていた。あんまりゆっくり歩いたつもりはないが、酸素が薄いせいかもしれない。冷池山荘に着いたのは9時過ぎだが、チェックインもさせてもらえて、部屋にも上がれた。しかし、出発が遅くなるので、余分な荷物を自炊室にデポして行くことにした。
山と高原地図によれば、この辺り、雷鳥が出現すると書いてある。期待しながら歩いていると、前をいくリーダーが急に立ち止まり、「いるよ」と小声。果たして、筆者の初ナマ雷鳥体験であった。いやあ嬉しかったです(ちなみに後日登山をしない職場の人に興奮気味にこのことを話したら、何がそんなにすごいんですか?みたいな顔をされてしまった。まあ、そりゃそうでしょうね)。気分高揚のまましばらく行くと、女性の叫び声のような声が。何か事故か事件かと思ったが、どうやら猿の鳴き声だったようで、それから少し行くと、リーダーの前方に猿出現。リーダーの持っていたザックにもれなくついている笛を吹き、筆者の熊鈴ではない鈴を鳴らしながら、猿を追い散らすように進んだ。襲われなくてよかった。
鹿島槍への途中にあるのは布引山である。この登りがなかなかきつい。酸素も薄いのでリーダーの足取りも重く、スパルタ登山でなかったことはよかった。そんな布引山の山頂で一服し、鹿島槍南峰に向けて再出発。また、この南峰への稜線の登りがきつい。それでも、どんなにゆっくりでもいずれは山頂に着く。鹿島槍南峰へ約1時間遅れで到着した。ここで、種池山荘で用意してもらった弁当を食べたのだが、北峰への吊り尾根を往復するのは時間が足りないね、ということになり、北峰は断念することにした。鹿島槍ヶ岳の山頂は南峰であることだし、安全第一で冷池山荘へ引き返すことにした。
この頃になると周囲は雲で真っ白である。その中を歩いていくのは気分が盛り上がらない。が、緊張は高まってきた。何を隠そう(いや隠していないが)筆者は前立腺肥大である。つまりトイレが近いのである。二人とも疲れてきているので、会話も少なくなって、より神経がそちらの方に行きがちになる。第三波がきたあたりで、リーダーに何か気を紛らわす話をしてくれと要請したが、笑われただけだった。それでも高山帯の自然を壊すことなく、冷池山荘に辿り着き、外トイレに直行し事なきを得たのであった。ああよかった。読者諸氏には相変わらずの尾籠な話にお付き合いいただき恐縮でございました。
さて、冷池山荘は種池山荘と同じ経営なので、宿泊のシステムはほぼ同じである。決められた下駄箱に靴を入れ、決められたスリッパを利用する。ご飯は幕内定食型で、山小屋の人が盛ってくれる。種池山荘と違うのは「テラス」があって、立山方面から種池山荘方面を望む室内のベンチが用意されている。我々は夕食の前後にここでまったりして、ビールを飲んだりしていた。
ところで、今回、夜は二晩とも異様に暑かった。この標高であれば、夕食時に防寒着がいると思うのだが、全く必要性を感じず、また、就寝時には毛布だけでも暑いぐらいであった。今年の夏はちょっと異常ではなかろうか。このところ毎年そのようなことを言っているような気もするが。
翌朝は下山するだけだったので、ゆっくり支度をしていたら、周囲はほとんどいなくなってしまった。と言っても、6:20には我々も出発したのだが。筆者の予想ではこの3日間は天気には恵まれないだろうと思っていたのだが、この日は朝から快晴であった(午後は雨の予報だったが)。冷乗越まで登り返すと、劔から立山連邦が綺麗に見えている。振り返れば鹿島槍がドーンと構えており、絶景の稜線歩きである。こういう幸せな稜線歩きはしばらく経験していなかった。これぞ縦走の喜びである。そして、爺ヶ岳に差し掛かったあたりで、再び雷鳥に出会った。前を行く小学生と思しき男の子が発見して教えてくれたのだが、2回も雷鳥に会えるとは予想していなかった。いやあ感激。男の子に感謝。彼はきっと雷鳥を環境問題からめて夏休みの自由研究のテーマにしたのではないだろうか。
爺ヶ岳の向こうに横に穂高らしき山が見えてきたので、南峰にもう一度登ってみることにした。幸運なことに、槍穂がほんのちょっと雲から顔を出してくれた。しばらく山頂で360度の景色を楽しんでから降り始めたが、その頃から鹿島槍への稜線には東側からの雲が流れ込みつつあり、南側の扇沢からの雲も競り上がってきていた。この日最後の展望だったであろう。
爺ヶ岳南峰から種池山荘までまあまあ距離がある。前立腺肥大は朝が不調である。リーダーに気を紛らわす話をしてほしいと要請したが、「え、また?」と言われただけだった。それでも第四波が来る前に種池山荘に到着し、今回も九死に一生を得たのであった(?)。読者諸氏には相変わらずの尾籠な話にお付き合いいただき恐縮でございました。
種池山荘で一休みしてから、柏原新道の下山に入り、ゆるゆると下っていたが、ちょっと遅れ気味だったので、途中、標高2100mあたりで、リーダーが「少しスピードを上げる」と言って、ギアを入れた。おおっ。酸素が濃くなるとリーダーのエンジンは強力だ。筆者は全く平気なふりをして必死についていったのだが、30分ぐらいでこのペースを終わりにしてくれたので助かった。心の中で「今日はこの辺にしといたる」と吉本新喜劇のようなセリフを言ってみたが、このペース続いていたら筆者は脚に疲労がきて転んでいたような気がする。ああよかった。
そして登山口に到着。ここから扇沢駅までの登りが地味にきつい。ストック使いました。でも一般観光客に抜かされました。15分ほどかけて扇沢駅に到着。バスを1本やり過ごし、扇沢駅の食堂で冷やし肉そばなるものを食べ、ゆっくり身支度を整えて、長野行きのバスに乗ったのでした。
その日夕方から夜に掛けて、関東南部は猛烈な雷雨に見舞われていて、筆者が自宅の最寄りの駅に着いたらすごい雨だった。しばらく雨宿りしようかとも思ったが、傘もあるし、ちょっと考えて、山行では使わなかったザックカバーを出して自宅まで帰った。ここで使うとは思わなかったが、山で使うよりよかったかもしれない。(完)
コメント
この記録に関連する登山ルート
![](https://yamareco.info/include/imgresize.php?maxsize=90&crop=1&fname=%2Fmodules%2Fyamainfo%2Fupimg%2Fpt%2f031b22465652fbfee9ea58105a955144.jpg)
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する