黒部源流〜裏銀座縦走
- GPS
- 56:00
- 距離
- 40.0km
- 登り
- 3,212m
- 下り
- 3,288m
コースタイム
- 山行
- 7:30
- 休憩
- 1:20
- 合計
- 8:50
天候 | 19日:雨のち曇り晴れ 20日:晴れのち曇り 21日:晴れのち曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2015年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー 自家用車
高瀬ダム〜七倉荘 タクシー 七倉荘〜信濃大町 車 |
写真
感想
18日 いざ富山へ
待ちに待ったシルバーウィーク。
5日間の仕事に耐えサンダーバードと初となる北陸新幹線で富山へ。
そのまま電鉄富山駅の前でステーションビバーク。
19日 3度目の黒部源流
翌朝、タクシーに揺られながらこれで3回目となる折立へ。
天気は生憎の雨だが、それ以上にすごい人。さすが大型連休だ。
雨が弱まるまでゆっくり朝ごはんを食べたりしながら出発。
樹林内は渋滞状態。小雨が降る中えっちらおっちらコンタを稼ぐ。
開けたあたりに出る頃には雨もやみ、人も疎らになってくる。
ところどころ綺麗に色づく草紅葉なんぞを見ながら登っているとガスが飛んで青空が見え始める。
回復の瞬間というのは何回立ち会っても爽快なものだ。
時折、大きな薬師岳も見える。少しガスがかかり暑くなり過ぎない感じで太郎平へ。
太郎平もすごい人だ。途切れ途切れのガスの向こう側に鷲羽・水晶を望むことができる。
初めて太郎平で見た時から雄々しく聳える山をいつか踏みたいと思ったものだ。
今回はそこを目指して懐へ入り込んでいく。
少しばかり休憩したら、薬師沢小屋を目指して下っていく。
黒部川を取り囲む山々が壁となっているのか、黒部川流域はよく晴れている。
美しく色づく紅葉を愛でながら下って行き、薬師沢小屋へ。
相変わらずの美しい流れだ。前日までの雨を少し心配したが、水量は問題ない。
適当に沢装備にかえて、黒部の源流部へ歩を進める。
思ったほどの冷たさではないが、今後のことも考えパンツ以上を濡らすのは避けたい。
慎重に飛び石をこなし、時折巻道をうまく使ったりして進む。
時折出てくる透きとおるエメラルドグリーンの淵は本当に息を飲む美しさだ。
さて、いよいよ両岸が狭まり奥の廊下の核心部が始まる。
いろいろ服を濡らさないよう工夫をし、魚止めの滝を右岸のバンド状から超える。
ザイルも無しで突破できる。まぁ、そもそも持ってきていないが。
滝を超えた先のちょっとした函は、斜面の草紅葉とあいまっていい感じだ。
そして超ミニナイアガラの滝を越え、赤木沢出合いへ。
何度来ても天国と見紛う美しさだ。本当にいいところ。
時間が厳しくなってきたので今日はここでビバーク。暮れなずむ秋の空を眺めつつ入山をビールで祝う。
20日 青空の源流遡行と紅葉
すこし寝過ごし気味の起床。外は快晴、素晴らしい。
棒ラーメンをかき込んで出発。兎平から見下ろした赤木沢出合いは筆舌しがたい。
赤木沢から赤木平までよく見えて気持ちがいい。この沢をスルーして先に進むとはなんとも贅沢な話だ。
ここから先は特に滝が出てくるのでもなく、ただの転石歩きが続く。
盛夏なら暑くて嫌になりそうなところだが、爽やか秋空の中、進みつつある紅葉を見つけながら進むにはうってつけだ。
五郎沢出合で黒部五郎を振り返ると、カールの尾根末端から末広がりに赤や黄色の紅葉がおりてきていてなんとも素晴らしい。
そしてその真ん中に入り込む五郎沢右俣の滝もなかなかだ。
左俣を下ろしたことはあるが、右俣にあんな面白そうな滝が詰まっているとは思いもしなかった。
五郎沢を過ぎると右岸側になだらかな笹原が広がる。どうやらこの辺りが祖父平のようだ。
時折、はっとさせらる光景をいくつか見ながら、いよいよ両岸が少し切り立ち亜高山の植物群が支配するようになり、標高が上がり沢も終盤の雰囲気をとなってきた。
そのうちに鷲羽岳がドーンと真っ正面に聳え、その懐を目指して登っていく。
それにしてもいい天気で本当に気持ちが良い。
ワリモ岳まで見えるようになり、すこしばかり残る高山植物を愛でながら進むと、右岸の大きな斜面が紅葉に彩られた場所に辿り着いた。
どうやら夏道との合流点のようだ。
それにしても、水晶岳に向かう沢筋の斜面の紅葉は本当に綺麗で大当たりといったところだ。
ここから沢筋を外れて、三俣山荘目指して登っていく。
三俣蓮華方面も大きく聳えなかなかいい感じだ。
開けたところや沢筋、ハイマツのなかなんぞを進んで三俣山荘のテンバへ辿り着いた。
それにしてもすごいテントの数。まだ12時過ぎだというのに、テントは満杯になりつつある。
なんとか、撤収する人のところに滑り込み快適なテンバを確保。
テントを張り終えお昼ごはんを。余分に持ってきていた棒ラーメンを食す。
お腹も膨らんで少し眠くなってきたところだが、三俣蓮華アタックへ出かける。
小一時間ほどでピークへ。少しガスも懸かり気味だが、明日目指す鷲羽岳・水晶方面や薬師岳も見える。
そして北鎌尾根を備えた槍ヶ岳もよく見える。こんなに間近で槍を見たのは初めてかも知れない。
しばし眺望を堪能してテンバへ戻る。小屋は布団2枚に5人、晩ごはんの最終は19:50という盛況ぶりだ。
晩ごはんを作ったり、小屋のトイレ渋滞に閉口したりして、夜は更ける。
三俣蓮華岳の上に浮かぶ月を眺めつつ床につく。
21日 充実の裏銀座縦走
今日は一気下山も見据えての長丁場。
久々の3時おきで朝ごはんを食べ、朝のトイレ渋滞に巻き込まれつつ4時半デッパ。
もうすでに鷲羽岳に登っている人がたくさんいる。昨日に引き続きすっきり快晴かと思いきや、鷲羽にはガスがかかっていてご機嫌斜めだ。ピークに着くまでに回復するだろうか。
黒部川から吹上げが強くてなかなか寒い。
少しづつ明るくなっていく中高度を稼いでいく。ピーク付近のガスはかかったり飛んだりだ。
そしてあと少しでピークというところで御来光。
ちょうどガスがかかるかかからないかぐらいでとても幻想的な光景を作っている。本当に綺麗。
ほどなくピークに到着。
昨日はガスがかかっていた穂高方面もよく見ることが出来るし、薬師や野口五郎、雲ノ平といった源流部もよく見ることが出来る。
どこも微妙にガスがかかっている感じがなかなかよい。
ゆっくり景色を堪能していたいところだが、いかんせん寒いので先を目指す。
めんどくさそうだと思っていたワリモ岳はそこまででも無かった。一応最高点を踏んでおく。
水晶小屋付近に着く頃には大分暖かくなってきた。荷物をデポして水晶アタックに向かう。
なだらかの尾根からピーク付近の岩場っぽいところに入っていく。微妙に落石に気を使うところなんかありつつ、小1時間ほどで水晶ピーク。
鷲羽と違って少しスペースが狭い感じだ。ここまでくると今まで見ていた山に加え立山・劔やGWに縦走した後立や野口五郎をはじめとする残る裏銀座の山々が見える。
鹿島槍の双耳峰はとっても分かりやすい。
先々週にいった、妙高方面や富士山、南アルプス、八ヶ岳なんぞもよく見えるが、薬師など富山側の山々にはガスがかかっている。微妙に寒気が残っているのだろうか。
ひとしきり天気を堪能し、水晶小屋へ引き返し、少し休んで野口五郎方面へ足を進める。
東沢谷を取り囲むカールはとても見応えのある。水晶岳や赤牛、野口五郎が大きく聳え、そしてその懐は紅葉で彩られている。
少し下って水晶を振り返ると、上ホロを思い出すかのような赤々した岩壁が続きなかなかの迫力だ。
真砂や野口五郎が近づいてくる、花崗岩の砂礫ちっくな感じとなってくる。
野口五郎池あたりも紅葉がとっても綺麗。あんなところにテントでも張ったりしたら気持ちよさそうだ。
真砂分岐をへて、野口五郎岳をトラバリ上がる。
このころには、ガスが低くなってきて鷲羽・水晶以外はあんまり見えなくなってしまった。
野口五郎小屋を経由して、ガスに巻かれつつ、クロマメノキの草紅葉が美しい三ッ岳あたりを通過する。
さすがに疲れが溜まってきていて、お花畑ルートを使ったりして日和る。
三ッ岳の先の尾根の乗り換えは視界がなかったら少し迷いそうだ。
ゆるやかに標高を下ろしていき、その名の通りひょうたん池を通りすぎて烏帽子小屋へ。
ここで水分と行動食で喉と腹を癒やす。
そして、アルプス3大急登の1つであるブナ立尾根を下しにかかる。
最初のほうは紅葉が最盛といった感じでとても綺麗。そのうちどんどん季節が逆行していき、青々した葉が出てくるようになる。
シラビソ帯ではハナイグチなんぞを見つけ興奮しつつ下っていく。
さすが3大急登に数えられるだけあって確かに急だが、道はしっかり整備されていて下りやすくはある。登るのはしんどいだろうな〜。
そんなことを考えつつ、ぐんぐん高度を落とし、ゴン太落としから尾根上を外れトラバリ下って行き、なんかおどろおどろしい濁沢を眺めつつ、白い河原に飛び出す。
高瀬ダムが見えたと思ってからは案の定の長さだった。
濁沢は丸木橋と聞いていたが、最近重機による造成が入ったのか立派な橋がかかっていた。
吊橋をわたってトンネルを潜るとそこはダムの上だった。
ダムの公衆電話からtentyoの家族に迎えを頼み、湯俣温泉から降りてきたという登山者と相乗りして七倉荘まで下りて下山。
入山は3日だが、黒部源流から鷲羽・水晶の懐に入り、裏銀座を駆ける充実の山行となり満足の行くシルバーウィークとなった。
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