3度目にして初めてのタテバイから剱岳を越えて北方稜線、そして裏剱へ


- GPS
- 55:45
- 距離
- 31.9km
- 登り
- 3,675m
- 下り
- 3,676m
コースタイム
7:52室堂-8:37雷鳥沢キャンプ場-10:02~15別山乗越-11:09剣山荘
<8月11日>
3:03剣山荘-3:30一服剱-4:30前剱-5:50~6:05剱岳山頂-6:41長次郎のコル
-7:15~27池ノ谷尾根の頭直下のテン場-7:44~54池ノ谷乗越-8:30~9:00三ノ窓
-9:24小窓ノ王(発射台上)-9:40雪渓トラバースポイント①
-10:00雪渓トラバースポイント②-10:50~55小窓-11:25旧鉱山道取付
-12:26~51池の平小屋-13:47仙人池ヒュッテ
<8月12日>
5:58仙人池ヒュッテ-6:10分岐-6:54~7:01ベンチ-7:33二俣吊橋
-8:48~9:08真砂沢ロッジ-10:00長次郎谷出合-10:24~39平蔵谷出合(大岩)
-11:16夏道取付-11:52~12:08剣沢小屋-13:03~10別山乗越
-14:25雷鳥沢キャンプ場-15:20室堂
天候 | 8月10日:ガス 8月11日:晴れのちガスのち快晴 8月12日:快晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2013年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
道なりに20kmほど走ると立山駅に到着。駅周辺に無料駐車場があります。 立山駅から室堂まではケーブルカーと高原バスを乗り継いで行きます。往復料金は 4190円ですが、JAFの会員カードを提示すると10%割引で3780円です。 (高原バスは、10kgを越える荷物は別途300円が必要となります。) |
コース状況/ 危険箇所等 |
登山届は、室堂ターミナルにあるポストに投函。 <室堂~剣山荘~剱岳> 難易度は高いと思いますが、一般登山道です。三点支持の基本は必須です。 <剱岳~池ノ谷乗越~三ノ窓~小窓~池の平小屋> この先はバリエーションルートとなります。我々は、アイゼン、ピッケル、ザイル、 ハーネス、ヘルメットという装備で歩きましたが、仙人池ヒュッテの小屋番さんから は、これだけしっかりとした装備の方を見たのは久しぶりとのこと。やはり、事故の 多いこのルート、天候の変化で状況はかなり変わりますので、万一の装備は必須です。 池ノ谷尾根の頭までは稜線通しか、巻いたとしても剣沢側です。 池ノ谷ガリーはかなりガレていて、岩は全く安定していませんので、前後の人とは 十分に間隔をとって、落石させないように十分注意して下さい。 2ヶ所あった雪渓のトラバースは、上部から巻けば通過は可能でした。 <池の平小屋~仙人池ヒュッテ> 一般登山道です。仙人峠を越えると、木道が続きます。 <仙人池ヒュッテ~真砂沢ロッジ~剣沢小屋~室堂> 一般登山道です。仙人峠から二俣まではかなり急な下りが続きます。両側は木々が 生えていますが、実際はかなり切れ落ちていますので、登山道を踏み外さないよう に注意して下さい。真砂沢ロッジからは延々と雪渓の登りとなります。最低でも 軽アイゼンを装着した方が歩き易いです。 ※ログは、池ノ谷ガリーから小窓王の区間、飛びまくっています。 下山後の温泉は、立山駅から車で7分ほどのところにある「グランドサンピア立山」 へ。700円ですが、ツルスベのお湯で色々なお風呂が楽しめます。 |
予約できる山小屋 |
|
写真
休憩中にも後続パーティーからは、『ラク、ラ~ク』の声と、大きな岩雪崩の音が頻繁に聞こえてきた。固まって歩いているし、リスク管理も全くできていない感じ。
こんな人たちが増えているんだろうな~
感想
この北方稜線、当初は昨年計画していたのですが、他のメンバーとの調整により、
源次郎尾根からの剱岳登頂となったが、今年は仙人池からの裏剱を見ようということ
で実現。当初、5名のメンバーが参加を表明していたが、先日の前穂北尾根で膝の調子
を悪くしたtokageさんと、仕事の都合がどうしてもつかないF君の2名が不参加を表明。
結局、3名での山行となった。
私としては、今回が3度目の剱岳。
・初剱は、八ツ峰の6峰から頭まで抜け、北方稜線の一部を歩いて山頂へ。
・2度目は、昨年の源次郎尾根から山頂へ。
と、バリエーションばかりで「カニのタテバイ」を一度も歩いてなかったが、3度目の
正直でやっとタテバイから山頂を踏むことができた。これと言った難しさも感じる
ことなかったが、ここまでの歩きはこの日の工程の1/3程度を消化しただけ。この先、ガス
の中をルーファイしながらの歩きとなる。所々、ザレた箇所を落石させないよう慎重に
進む。すると、後方で大きな落石音と『ラク、ラーク』の声が。我々以外にもこの北方
稜線に入ってきているようだ。その後も、後続パーティー(同じかどうかは不明)から
は、落石の音が何度も。本当に大丈夫か?と思いつつも、先へ進む。残置シュリンゲが
ある有名なトラバースを抜けると、やがて池ノ谷尾根の頭に到着する訳だが、ガスの
中から『気どちらに向かっているんだ~』という声が。それに応えて『池の平方面』
と応える。しばらく、会話がなかったが、池ノ谷尾根の頭直下のテン場に到着すると、
60歳半ばから後半と思われる2人のパーティーと遭遇する。この方達、前日の6時に
池の平小屋を出発し、このテン場まで来たのだが、ガスの影響でルートを見失い、
何時間も彷徨った挙句、ここでビバークされたとのこと。本峰へのるーとの概要を
教え、我々は池ノ谷乗越へ下る。この途中から見えたチンネと八ツ峰の頭には、
何ともいえないカッコ良さが。ここからは池ノ谷ガリーを下るわけだが、噂通りの
ガレ。落石の巣窟なので、個々の間隔を開け、落石を発生させても問題ないような
差を開けながら、順番に下る。ガリーの壁側を下っている時は多少安定した感があり
ますが、中央部を下る時は慎重に足を下ろしても足元から崩れていくので、非常に
気を使う。この下りからは、皆さんの記録でよく見る小窓ノ王南壁基部のバンドが
見えているが、ここをどう登るのか不安が走る。やがて、三ノ窓に到着し、ここで
大休止。S師匠がコルまで登ってチンネを見に行こうと登って行かれたので、それに
続く。途中、何ヶ所もテン場適地があり、やがてコルへ。ここからは、チンネ全体
を見渡すことができる。よく見ると、稜線上の各ピッチにクライマーの姿が見える。
取付きポイントも確認することができ、次はこちらか?S師匠のスイッチが入って
しまったようだ。バンド基部に戻ると、バンド上部から下ってくる人の姿が見えた
ので、安全のため彼らが降り切るまでルート確認を含めて待機する。ここで待って
いる間にも、池ノ谷ガリー方面からは落石の音が何度も響き渡る。このバンドを降り
て来た方から聞くと、かなり大きな岩が落ちていくのも確認できたとのこと。よく
見ると、このガレ場を数名が固まって下ってくる。こんな人たちがこのルートにも
来るんだ。バンド(発射台)は、見た目ほど厳しくなく、踏み跡もしっかりとして
いる。肩を通過すると、小窓雪渓、その先の山中には山小屋が見える。地形から
すると、最終目的地の仙人池ヒュッテか?しばらく小窓尾根を歩き、ペンキ印の
ポイントからはしばらく下り、左に折れて斜面をトラバースするように進む。踏み跡
はしっかりとある。やがて、雪渓が出てくる。かなり急で、反対側からザイルを出し
てトラバースしてくる方がいる。途中、何名とすれ違ったにもかかわらず、雪渓上
にはステップを切ったあとや、アイゼンの跡が見当たらない。雪渓上部を見ると、
高巻けば進めそうだったので、そちらへ。もう一つの雪渓は、アイゼンを装着して
トラバースする。この先、ハイマツに覆われた踏み跡をたどって行くと、小窓に
到着する。やっとここまで来た。このまま、稜線を登って池平山のピークから池の平
小屋に下るルートもあるが、体力的に登る気力はあまり残っていないので、ここは、
雪渓を下ることに。左側の旧鉱山道取付きのマークうを捜しながら進むが、なかなか
見当たらない。右手に二つ目の滝(チンネ大滝)が見えた辺りでやっとマークを確認
することができ、一安心。ここでアイゼンを外し、山腹を巻くように進むと池の平
小屋に到着。ここでいただいた冷たくコーラで生き返る。小屋番さん達とお話をして
いても、皆さん非常に気さくな方ばかり。我々の本日の宿が仙人池ヒュッテだと伝え
ると、そこには仙人池ヒュッテの小屋番さんが集客(?)に来られていた。あとから
伺うことを伝え、我々はここで装備を解く。憧れだったこちら側から見る裏剱は、
迫力があって最高の眺望。あとは、山を巻くように登り、仙人峠を越えて木道を進む
と仙人池ヒュッテに到着。先ほどお会いした小屋番さんが出てこられ、先ほど名前を
名乗っていないにもかかわらず、私の名前を言って出迎えていただいた。戻ってから
調べられたんだ。到着してすぐにお茶が出てくる、こういう細かな気遣いも心に残る
ね。宿泊の手続きを済ませ、今回の山行のメインコースを無事歩ききったことに対し、
ビールで乾杯。この炭酸が喉を通過する瞬間って最高ですね。もう一つ驚いたのが、
お風呂に入れるということ。前泊の剣山荘の温水シャワーだけでもありがたいのに、
湯船に浸かれるのって、最高。窓の外には後立山が見える。もう一つの目的だった、
仙人池に写った逆さ裏剱を見る事。何度も行けの畔に行って写真を収めたが、風で
水面が荒れてしっかりと写ってくれな。アーベントロートを期待しながら、食堂で
持参した焼酎を飲みながらのんびりとした時間を過ごす。夕食は、ほどよい硬さの
ご飯に生姜焼き、それにマグロの昆布絞めが付くというメニュー。その中でもおいし
かったのが、イカの黒造り。これだけでもご飯2杯はいけました。夕食後は、再度
池の畔に戻って撮影タイム。水面は落ち着き、きれいに山並みを写している。後は
夕日がどう絡んでくるかだが、元々が山の北面のため、期待はできない。チンネが
多少赤くなった程度だった。夜は、そこそこ冷え込み、毛布の上に上掛けを掛けて
ちょうど良い暖かさだった。
翌日は快晴。モルゲンロートに染まる裏剱と逆さ裏剱を撮るべく池へ。次第に赤く
染まる山々とそれを写す仙人池。この景色を見ることができただけでも今回の山行の
目的を80%達成できたといっても過言でない。一通りのショーを楽しんだ後、小屋に
戻って朝食を摂る。ここのご飯とお味噌汁は大変美味しかった。小屋を出発しようと
準備をしていると、小屋番さん達が食事中にも関わらず、お見送りに出てこられた。
今まで色々な山小屋に泊まってきたが、初めて受けた行為だった。次は、冠雪した
裏剱を撮影しに、のんびりと来たいものだ。
仙人峠から二俣までは急な下りが続く。所々で見える裏剱を楽しみながら下って
行く。ここから、別山乗越まで延々と登りが続く。真砂沢ロッジでコーラをいただ
、
エネルギー補給をしてからは、雪渓の登りとなる。太陽の陽を雪面が反射して暑い
登りとなると思われたが、逆に涼しい風が終始吹き付け、登っているにもかかわらず、
全く汗をかかない。この3日間の歩きの中でも、この区間が一番気持ち良く歩くこと
ができた。別山乗越まで来ると、ゴールの室堂が見えてくる。雷鳥沢からの登りは
すごくゆっくりとした歩きとなり。室堂に到着。すぐにバス乗り場に直行したが、
バス待ちの列は階段を上がりだしていた。約30分待ちでやっとバスに乗車。乗車時に
ケーブルカーの整理券を渡されたが、ケーブルカーも美女平に到着した時は1時間
待ちとのこと。しかし、30分ほどで乗車でき、立山駅へ。ここまで来ると、かなり
暑い。後は、いつもの『グランドサンピア立山』で入浴して帰途につく。
念願だった北方稜線を歩き、仙人池に写る裏剱も見ることができた、充実した山行
となった。最終的に3名パーティーとなったが、S師匠、tokagessさん、ありがとう
ございました。皆さんがいなければ、この山行はなかったと思います。お疲れ様でした。
今回気になったこととして、後続パーティー(同一かどうかは不明)の落石の多さ
には閉口。もっと、岩場の歩きがしっかりとできるようになってから来て欲しい。
その上、それだけの落石ポイントを、固まって歩く危険さ。危険個所を歩いている
時に、下に人がいても平気で下って行くマナーの悪さ。この人たちかどうかは不明
だが、池の平小屋で会った後続パーティーの方々は、ザイルやハーネス、ピッケル
さえ持っていなかった。万一のことを考えたら、こんな軽装では絶対に歩けない。
こんな考えの私が古いのかな?
はじめまして。東京青梅在住の山好きです。
2年前の10月に劔に行ったのですがこの時も祠はありませんでした。まだないんですね。
山頂から北方稜線キケンという看板を見て、どんな感じかと思ったのですが、今回の詳細なレポートで非常によく解りました。完全装備で望むことはもちろん、経験者と行かないと危ないですね。
今後も楽しい山登りを。また、今後も情報公開おねがいします。
はじめまして、jm1bwoさん。
山頂の祠ですが、昨年、源次郎尾根から登った時にはありましたので、今年に入ってから落雷にあい、現在は修理中とのことです。
北方稜線は、ザイルこそ使うことはありませんが(時と場合によってはないと困る箇所もあります)、基本の三点支持がしっかりできることはもちろんのこと、ルートファインディング力、体力も必須となります。特に、天候が変わればルートもわかり難くなりますので、臨機応変な対応が必要となります。もし、行かれるのであれば、どこかの山岳会に入って訓練を積んでから行かれるか、ガイドの方との山行をお勧めします
また凄いところですね!
もう少し経験積んでからお供させて欲しいです。
仙人池は本当に素晴らしい。
自分の目で見たいと思いました。
雪渓のrockさん跡、良いですね~
いながらにして行ったような感じになりました。ありがとうございました。こんな良い条件の時に行けず残念でなりません。八ヶ峰から陰湿なルンゼを残置スリングを頼りに乗り越えた箇所を自分の目で確かめたかったです。あの時覗き込んだ池の谷がリー、穂高とは違う岩の世界の雰囲気、まだ見たことのない裏劔ありがとうございました。いつかは、自分の目で。
ここだったら、今のgomatさんでも十分行けると思います。
仙人池だったら、距離はありますが、我々が最終日に歩いた登山道を行けば、行けますが、ここはやっぱり北方稜線からどうぞ。
雪渓の崩落跡、味な形をしてるよね
今回、参加できなくて残念でした。昨年の源次郎尾根といい、夏はご一緒してませんね。
歩いていても、本当にこんなところを登ったんだっけ?という感じばかりでしたが、今でしたら、いつでもご案内できると思います。特に、池ノ谷乗越から小窓までは、明瞭な踏み跡が多いですが、これがガスったりしたら、全く解らないでしょうね。
S師匠の頭には、チンネがinputされましたよ
今回はkameさんと師匠二人にガイドしてもらえたので、無事に帰ることができました。頂上からの下り始めの時が視界が悪く、ルートも良く判らず一番不安でした。その後も無我夢中で付いて行きました。チンネ等スケールの大きさに圧倒されました。また仙人池からの眺望もすばらしく、大満足でした。ただ充実しすぎて燃え尽きぎみです。
前回の前穂北尾根に続き、大変お疲れ様でした、tokagessさん。
ガレ場の歩きは、前回の4峰で慣れていたため、ほとんど落石をさせることなく、無事通過することができました。それにしても、ガスの中を突入するのって、かなり勇気がいりますね。
それにしても、あの難関を突破し、仙人池に到着し、そこからの裏剱の美しさ、未だに脳裏に焼き付いています。また、よろしくお願いします。
剱の写真、ナイスです。
別山乗越からの写真が無かったですが、やはり剱沢から
ですよね。
なんと、これぞ剱だ!
いや、仙人池からのモルゲンロートに染まった裏剱でしょうか。
池ノ谷ガリーは相変わらずの落石の巣ですか。
人が多いと緊張しますよね。
三ノ窓からのチンネは、やはりカッコイイですね。
見上げると、T5の上を越えていくクライマーは
青空と、雲と、岩稜のスカイラインで
最高の晴れ舞台。
なんて記憶を思い出しました。
写真とレコで拝見できて、懐かしさに感無量です。
kameさん、前回の山行で私が別山乗越から見えなかった剱を
楽しく拝見することができました。
ありがとうございました。
帰省から戻られ、既にこちらですか?
実を言うと、別山乗越に到着した時には剱は雲の中だった
ので、撮影すらしませんでした。
池ノ谷ガリーの下りは、かなり緊張しましたね。やっぱり、
ここを通るんだったら、登りに使うべきでしょうね。
(チンネに行くんだったら、下りでしか使いませんが。)
三ノ窓からのチンネは大迫力でしたが、裏から見るチンネ
の薄っぺらさとその横にそびえるクレオパトラニードルは、
格別でした。
お話を聞いていると、昔はバリバリと登られていたんで
しょうね。一度、豊田市にあります南山のゲレンデに登
られては? ご案内しますよ
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