県境まで行く久慈川右岸の山々―奥久慈、バリエーションルート
- GPS
- 23:45
- 距離
- 38.8km
- 登り
- 2,767m
- 下り
- 2,753m
コースタイム
- 山行
- 11:23
- 休憩
- 0:32
- 合計
- 11:55
- 山行
- 10:55
- 休憩
- 0:36
- 合計
- 11:31
天候 | 1日目:晴れ、2日目:雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
地図に記載されていないルートが大半です。ヤマレコの過去のトレースを頼りにルートを計画しました。ただ、七内峠を過ぎたあたりから、林道に合流するところは、ヤマレコの過去のトレースからも外れて尾根沿いを歩きました。尾根沿いには予想通り踏み跡がありました。地形図に記載されている点線道の多く、特に沢沿いを行く道が廃道になっており、使えない様子でした。 地図に記載は無いものの、踏み跡は比較的明瞭でした。逆に明瞭な枝道が四方八方に伸びていて、GPSで現在位置をこまめに確認しながら移動しないとすぐに道を外れて道迷いしてしまいます。 登はん要素はありませんが、滑落の恐れのある急斜面の登り降りはあります。 今の季節はまだ、はね返されるような藪こぎはありませんが、イバラやタラの木が茂る箇所も多いのでレインウエアなどつるつるの生地の服の着用が必要です(それでもワークマンのレインパンツを引き裂いてしまいました)。 これから夏になると、おそらく虻(アブ)ノーマル、ヤブノーマルになるのであまりお勧めできるルートではありません。 |
その他周辺情報 | 水郡線の本数は日中は極端に少ないので、事前にダイヤをチェックしておきます。 |
写真
装備
備考 | ・藪こぎグッズ 雨具、帽子、ゴーグル(今回は出番なし)、ゴム引き軍手(商品名「タフレッド」) タラノキやイバラが多く、雨具、特に安価な防水透湿レインパンツは何箇所か大きく裂けてしまいました。ヘッドランプ2個(日没後、夜間の行動が入ることを考え予備も準備しました) ・虫対策(春から秋は必須) 防虫ネット(歩いているときのくもの巣対策の必需品ですが今回はあまりくもの巣が多くなかったのでそのままやぶに突っ込みました。黒い生地のほうが視界を妨げにくいと思います)、虫除けスプレー、日焼け止めクリーム(安価な日焼け止めクリームは実は最強の虫除けクリームです) ・雑貨 タオル(帽子代わりに頭に巻いて使うことも)、ハンカチ、体ふきシート(体拭きシートは強度があるのでお尻拭きにも重宝します。使用したシートは持ち帰ります)、ファーストエイド(鼻炎予防薬も)、マスク(花粉対策。筆者は野山では盛夏でも鼻水が出ることがあるので花粉対策はしていきます)、歯ブラシ(食料が甘いものばかりなので、夕方磨くと快適でした。歯磨き粉は持ちません) ・水4L ペットボトルのコーヒー1L 晴天の初日で水を半分と少し飲んでしまい二日目が懸念されましたが、冷たい雨のおかげで二日目の水の消費量が減って助かりました。自分の場合は4Lでは足りないようです。ちなみに夏の大子アルプスのときはこの量を1日でほとんど飲んでしまいます。 ・食料 一口ようかん、一口フルーツゼリー、ベビーチーズ、飴 ・スマホGPS モバイルバッテリー スマホケース(ビニール) 今回の縦走の命綱です。スマホはカメラにも使うので予備電池で野宿中に充電しても二日目の下山時に残り10%くらいまで減りました。また通信は圏外だったり電波が弱かったりするので、電池節約のため、縦走時はほとんど機内モードにしました。ヤマレコのトレースや地図などは準備の段階でスマホに入れておきました。 ・ビバークセット 銀マット、シュラフカバー、ツェルト、これからの季節は休憩時間の利用も含めて、小さい蚊帳を持ちたい気分です。 ・反省点 二日間靴を履き続けていたことと、二日目の雨天のせいで足の皮がはがれかかってしまいました。野宿時にははだしにサンダル履きになって靴ずれ予防するべきでした。これを書きながら、以前北アルプスでツェルト泊したときにはサンダル履きでシュラフカバーにもぐりこんでいたことを思い出しました。つま先を守れるCROCSタイプが勝手が良いです。 スマホに保存した地図はもう少し拡大したものを準備して置くべきでした。また一定の広さを一望するときは紙に印刷してあるほうが良いとも感じました。その際雨や汗で濡れることを考慮して透明なビニール袋に封して携帯します。 藪こぎ手袋でスマホは操作できないので、手袋脱ぎの手間を省くためにタッチペンを持つと時間を節約できました。 |
---|
感想
前々回鷲の巣山に登ったとき、そして前回に久慈川右岸を回ったとき、右岸地域は稜線にそって網目のように踏み跡が通っていることに気がつき、もっと西へ行きたい、もっと大きく回りたいという気持ちが抑えられなくなって今回の山行を決行した。
その放浪欲は十分に満たされたようだ。奥久慈岩稜、男体山山頂から見える右岸の山々の中にいるというだけでわくわくした。鋭角に切れ落ちた稜線は、スギやヒノキの木立たったのか。不思議な遠景の種明かしがされることも楽しかった。
ーーー以下自分のためのメモーーー
■わくわくする
地図を眺めていくと「タバッコ峠」なる面白そうな地名の峠がある。もうここを通過するしかないだろう。そうしたらもう一足伸ばして尺丈山から北上して新田山、縦走路としては北部なのに南山、そして行ってみたかった稲荷山、太郎山、井戸沢山と回って上小川駅をゴールとするもフルコースとも言える案が決まった。
ヤマレコのトレースを見ていると七内峠からタバッコ峠を目指す場合、一旦七内峠を過ぎたあたりで久隆中の林道へ降り、林道を使って回り道をしている。しかし地形図を見る限り、そのまま尾根伝いに北上して林道へ出ることができそうだ。右岸の尾根にはたいてい明瞭な踏み跡があるから、この尾根も例外ではないだろう。ヤマレコのトレースが残っていないところを歩く不安と期待を胸に縦走を開始した。
■ワクワクしすぎて不注意になる
初歩きのエリアまではなるべく急いで通過しようと気が焦ったせいか、四等三角点「沼ノ上」(ここまでは前回歩いた)までで4回も道間違えをしてしまった。盛金富士の先で、左側の谷へ降りろというペンキマークがあるのを知っていながら見落とし、P401から「沼ノ上」にかけては、明瞭でかつルートではない踏み跡がいくつもあることを知っていながら、その間違った道に3度も降り、3度目はもう「沼ノ上」へ登り返す峠はすぐだからと、登り返さずに文字通り横着して峠へトラバースした結果、急斜面を進むことになり、時間と体力をロスしてしまった。
■ショートカットは予想通り
タバッコ峠への縦走路のクライマックスは先に述べたヤマレコのトレース無き尾根道だった。こちらのほうは筆者の事前の地図読みで予想した展開通りに、林道に合流するまで概ね明瞭な踏み跡が続いていた。所々薮めいたところもあったが、押し返されるような薮ではない。むしろ薄い薮でもイバラやタラノキがあるときが悪かった。なかでもイバラは刺さるととげが皮膚の中に残っていつまでもちくちくと痛みが続く。
■石ピッケル再登場
今回の縦走で急登、急下降はほとんど無かったのだが、それでも三角点「沼ノ上」から尺丈山までの、一日目の初挑戦のルートでは、四つんばいで登ってもずり落ちがちな急登が何箇所かあった。そういうところでは大子アルプスで発明した石ピッケルが役に立った、手のひらに納まるサイズの薄めの石をもって、登るときにその石を土にめり込ませるのだ、手で地面を捕らえるよりもはるかにしっかりホールドを取ることができ、結果としてフットホールドも安定してずり落ちることなく高さを稼ぐことができた。
そもそも今回の縦走は急登や旧火口のあとには大概歩きやすい尾根が続いており一休みすることができた。ただただ急登と急下降を20回以上繰り返す大子アルプスで精神面を鍛えていたおかげで、ルートに泣かされることは一度も無かった。
■野宿
初日は尺丈山まで行ければ大成功だと思っていた。結果的に尺丈山山頂にて日没となったので、何とか成功だろう。惜しむらくは夕闇が迫っていて、せっかくのすばらしい眺望を楽しむことができなかったことだろう。それでも宵の口には男体山方面から登る月を見ることもできて満足だ。
藪こぎウェアの雨具を着て銀マットで山頂の眺望点でごろ寝した。極端に寒くは無かったのでツェルト類はかぶらなかった。最初は地面に寝たが、やや傾斜していて寝心地が悪かったことと、雨が降ってくるとぬかるみになることは想像に難くないので、山頂のお堂の前にあるベンチの上で寝ることにした。ザックはお堂の軒の下を拝借した。荷物が軒下で人がベンチというのは不思議なところだが、まっすぐ足を伸ばして眠れることを優先したのだ。
宵の口には月が出ていたにもかかわらず、程なくして雨。山頂の杉の木立の下で一晩を過ごしていたのだが、雨がずっと降っていたわりには雨の直撃は受けず、思いのほか快適だった。さすがに明け方はいささか寒かったが。
■二日目、雨の縦走
二日目は予定通り薄明を待って出発した。夜に降り始めた雨がそのまま続き、せっかくの眺望点も見通しは悪く、雨に煙る奥久慈右岸の山々を縦走することとなった。縦走自体はどちらかというと普通の尾根歩きが延々と続くものだったから、雨に濡れながらという特異さと、雨と霧にかすむ山並みはちょっとしたスパイスになっていた。こんなちょっと陰気で惨めな山歩きもそれほど嫌いではない。
雨といえば、冷たい雨に救われたところもあった。藪こぎ用レインウェアを着ていても蒸し暑さに苦しまずに済んだのだ。雨具は晴天でも雨天でも着なければならず、晴天なら晴天で、全身汗びっしょりになる。体を伝った汗は脚をを伝って靴の中にたまり、靴ずれの原因になる。雨でも晴れでも靴の中が濡れることに違いはない。それならば飲用水が欠乏して苦しむよりは、適度な雨の中を歩くほうが体は楽なのだ。
樹林帯の中の雨はやさしい、道坂峠の吹き抜けの伐採地を通過したとき、今日は雨も風も相当強いことに気が付いたが、それ以外は風に吹きさらされることもほとんどなかったことは不幸中の幸いだった。
■二日目も道迷い
一日目に、道順をわかっていながら不注意で道間違えしたため、初めて歩く二日目のルートはこまめにGPSで現在位置を確認していたつもりだったが、それでも何度も道間違えしてしまった。歩いている最中にはこれが結構体力と気力を消耗するので、もっと気をつけなければと反省していたが、分岐点が標識で示されているわけでもなく、歩きやすい道がルートというわけでもなかったし、おそらく1kmも歩かないうちに道間違えに気が付いているから、下山してから全体を振り返ってみると道迷いというほどではなく、二日目のルートファインディングは合格点というべきかも知れない。
キリのいい標高500mの四等三角点「落合」はピークを気持ち過ぎた場所にある。その尾根は気持ちよく開けているのであるが、ルートではなく、ピークに戻って別の尾根をたどらねばならなかった。
新田山の山頂だと意気込んで登りきったら別の無名峰で、新田山を目指すには、踏み跡の薄い急斜面を下って無名の峠を横切って登り返さねばならなかった。
南山は御岳山神社(祠)があるのだが、その参道と思しき快適な尾根を降り掛けた。ここの正しいルートは山頂の祠脇のとんでもない急斜面で、登はんではないけどクライムダウンと呼びたいような降り方をした。
太郎山では正しい道であるにもかかわらず、これは塩沢につながっているから井戸沢山へは行かないと引き返したのちに、地図を再検討して途中まで塩沢方面と同じルートで途中分岐することに気が付いて再度進んだり。
中でも一番迷ったのは稲荷山だろう。稲荷山は今回のルートから外れたところにあるのだが、稲荷山に続く枝道に入っていたつもりが下山ルートをたどっていて引き返した。次に稲荷山を登頂した後、下山のルートに乗る道を、地形図を読み間違えて谷がちの道に入った。踏み跡が薮化していく様子を感じてこれはまずいとコルまで引き返し、反対の斜面に添って付いている踏み跡をたどってみた。しかしこの踏み跡もやがて完全に消えてしまった。行って行けないこともないがヤマレコのトレースの濃さから考えて、無理やり行くようなところではないだろうと再度コルまで引き返した。これは初日に三角点「沼ノ上」を目指したときに強引にトラバースしてひどい目にあったことの教訓が活きていた。
地形図を読み直して、等高線の向きを勘違いしていて、もっと谷側を歩かなくてはならないと思っていたところは、実はもっと尾根側を歩かなければならなかったのだ。それに気が付いて周りを見ると、尾根に向かって踏み跡があり、ペンキマークも見て取ることができた。このあとは簡単にルートに合流することができた。
今回の山行の高低差は二日間で2700mくらい。一方筆者が愛好(?)する西金ー下野宮ルートは一日の高低差が2000m。改めて大子アルプスのアップダウンの激しさを思うとともに、これでメンタルを鍛えていたおかげで、今回はアップダウンにもめげずに、というよりも愉快に歩けたと思う。
ルートファインディングの精度を上げるには、ある程度地図を頭に入れておくべきだったと、さまよっている最中には反省したものだが、下山後に再考すると、これだけの長さになると、細かい尾根筋、谷筋をすべて頭に入れて置くことは無理で、こまめに地図を見るしかなかっただろう。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
疲れていなそうですが、お疲れ様でした。
同年代ではないかと勝手に思っていますが、いやはや凄いですね。感想からもへばっている様子は全く窺えずルートミスさえも楽しんでいるようですね。で、最終的に「愉快に歩けた」とは恐れ入るしかありません。。。
何ともワイルドな野宿や石ピッケルの話など興味深く読ませていただきましたが、それぞれの写真に付けられたコメントには本当に驚かされます。よく覚えていられるなぁと。私なんか、写真は撮ったものの「何で撮ったんだっけ」ってことが良くあります。まさか山行中にメモっているわけじゃないですよね?
最後に難題を。尽きない放浪欲の源を教えてください。
実は小生まだ還暦は迎えておりませんので(まもなくですが)、半周りくらい下の世代かもしれません(^^)>。
写真のコメントには多少タネがあります。写真のタイムスタンプとGPSのログとを比較すれば、写真がどこで撮られたものかがわかるので、撮影地点を割り出すことができます。なにもないピークなどの情報はそれで「調べて」書き込んでます。
あと、コメントが書けるものだけ、少なくとも未来の自分が見返してうんうんそうだったよなと思えるものだけアップロードしてます。今回もともとは260枚くらい撮ったのですが、、、。
現地ではもっといろいろなことを考えるのと、略図なども現地で書きたいと思って、今回は紙とペンを持ったものの、そのボールペンのインクが切れていて何も書けず、凹みました。
難題は難題ですねえ。ありていに書けば、日本人が持っている漂泊のDNAを少し濃く継承しているとか。われわれの世代は暗記させられた松尾芭蕉の奥の細道の冒頭でも「古人も多く旅に死せるあり」と書かれてますしネ。
でも、Kinoeさんの問いはそういうことではないですよね、存じております(^-^;)。今後思案してみようと思います、というかすでに「で、お前はいったい何のためにどこへ行こうとしてるの?」という問いは発しているのですが、、、。
>実は小生まだ還暦は迎えておりません〜〜〜
それは大変失礼しました。ただそれを知って「なるほど私はその頃(還暦前)が最も意欲的だったなぁ」と思い返し勝手に納得しました。(いえ、takahashisunさんもそうだという意味ではありません。)
石ピッケルは思ったより小さいんですね。でもその都度都合よく適当な石が見つけられるわけはないので、持ち歩ける大きさの方が良いわけですね。
写真は私は100枚程度撮ります。それをカシミール上にルートと共に表示させるので、撮った位置はわかるのですが、それでも・・・ね。
後で見返した時のために写真を選抜するのは良い案だと思いました。
最後の質問は愚問でしたね。答えは存在するのかもしれませんが、見つけ出す必要のないモノなのでしょう。この歳になると探求心が尽きるまで身体が動くことをただただ願うばかりです(私の事です)。
難問の答えのひとつは「忘れ物を取りに行く」みたいな感じもあるかなと。うんと若いころ(高校生のころ)は放浪願望ありましたが安全性とか考えてブレーキ掛けてましたからね。やり残したことを心身の性能が出るうちにやっておきたいみたいな。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する