残雪の南アルプス(甲斐駒、仙丈、鳳凰) テント泊6日間
- GPS
- 126:00
- 距離
- 64.8km
- 登り
- 5,309m
- 下り
- 4,940m
コースタイム
- 山行
- 15:42
- 休憩
- 0:08
- 合計
- 15:50
- 山行
- 23:14
- 休憩
- 0:25
- 合計
- 23:39
- 山行
- 23:15
- 休憩
- 0:18
- 合計
- 23:33
- 山行
- 22:54
- 休憩
- 0:28
- 合計
- 23:22
- 山行
- 22:48
- 休憩
- 0:03
- 合計
- 22:51
天候 | 4/30 晴れ 5/1 晴れ 5/2 晴れ時々曇り 5/3 晴れのち薄曇り 5/4 晴れ 5/5 晴れのち薄曇り |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
電車
船
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・ゴールデンウイーク時期なので、どの山もトレースは着いていた。 ・戸台からの川沿いの道は、岩がゴロゴロしてルートがわかりにくかった。 八丁坂からは道は明瞭。 ・甲斐駒へのルートは、北沢峠からの道、仙水峠からの道、いずれも雪あり、アイゼンピッケル使用。山頂部は雪がないところもあった。 ・仙丈が岳へのルートは、全面的に雪。トレースはしっかりしていた。 ・広河原から鳳凰への稜線への道は樹林帯の中で雪あり。 鳳凰連山の稜線は、雪があったりなかったり。 ・北沢峠のテント場は、よく整備されており、沢水も豊富。 ・広河原は、河原の適当なところにテントを張った。 ・この当時、南アルプス林道はバスは通っておらず、北沢峠から広河原、広河原から夜叉神峠入口まで、すべて林道歩き。 |
予約できる山小屋 |
北沢峠 こもれび山荘
|
写真
感想
【山行No77】
※ 思い出しながら書いていると、ついつい長文になりました。お見苦しい可と思いますが、ご容赦ください ※
※ 7日間という長いゴールデンウイークの休みが取れたので、念願の春の雪山登山を計画した。
雪の北アルプスはさすがに難しそうなので、南アルプスへと、テント持参での山行。
今回は、とりあえず甲斐駒ケ岳、仙丈が岳は登って、そのほかは天気しだいで考える、
という、結構ざっとした計画だ。
食糧、燃料だけは6日分を持ってゆく。準備の段階でザックは山盛りとなり、重量も20kgと、さすがに重い。
4月29日(月)
・今日は出勤日だったが、定時で退社し、急いで駅へと向かう。
JRで今治へ、今治からは高速艇で広島県の三原へ、三原で新幹線に乗り大阪へ、
いずれも乗り継ぎが綱渡り状態で、なんとか大阪に到着。
大阪から、夜行急行「ちくま1号」に乗る。GWの割には人が少なく、1ボックスを占有できた。
4月30日(火)
3:48-5:48 塩尻
・まだ夜中の塩尻駅に到着。中央東線の始発まで時間があるので、待合室で仮眠をとる。
・岡谷で飯田線に乗り換え、伊那谷を南下する。
7:50-55 伊那北駅
・予定では、11:30発のバスに乗る予定をしていたが、
さすがにゴールデンウイークなので、臨時バス「仙丈号」が都合よく出るようふだ。
さっそくやってきたバスに乗るが、乗客は自分一人きりだった。
9:00-9:30 戸台
・ちょっとした登山基地を思い描いていたが、数軒の家があるだけの小さい集落だった。
買い忘れていたカメラのフィルムを、ここで購入しようと思っていたが、店らしきものもなく、ちょっと困った。
しかたないのでそのまま出発する。
・戸台川の河原に出て河原をずんずんと進む。
谷の奥には、雪をまとった甲斐駒ケ岳が見える。
今日は上天気で、遠くまで広々と見通せるので、逆に自分の歩むスピードの遅さを感じる。
日差しは暑いほどだが、谷を吹き抜ける風は心地よい。
・白岩堰堤を過ぎると、川の渡渉が数回。靴を脱いではだしで渡るが、
雪解けの冷たい水に、足はしびれるほど冷たく、思わず声を出しそうなくらいだった。
・河原沿いの道は踏み跡も標識も少なくて解りにくいが、所どころの赤テープとケルンを頼りに進む。
14:10-40 丹渓山荘
・ようやく戸台川沿いの長い道のりが終わり、ここからいよいよ山道(八丁坂)へと進む。
丹渓山荘は、予想以上に貧弱な小さい小屋だった。入口は開いていたが、人気(ひとけ)はなかった。
・大休止ののち、山道の急登に取りつく。風もなく、春なのに汗だくになりながら登ってゆく。
背中の20kgの荷物が肩に食い込んで重いこと。。
・最初は、道に雪はなかったが登るにつれ雪が出てきて、標高1900m付近からは
雪がびっしりとなったので、アイゼンを着けて登る。
・下山者数名にすれ違う。フィルムがないため、出会う登山者に声をかけ、
余ったフィルムがないか?訪ねて回った。
4人目で、ようやくフィルム3本を譲ってもらうことができ、ほっとした。
17:30 大平山荘
・ここからようやく道は緩やかとなり、北沢峠を越えて少し行くと、ようやくテント場が見えた。
18:10 北沢峠テント場 着 (気温=+4℃)
・ペースが上がらず、以外なほど時間がかかったが、なんとか日没前に目的地に到着できて、ほっとした。
テント場は意外なほど気持ちの良い雰囲気の場所で、今日はまだ7張りしかない。
さっそくテントを張り、夕食を取ると、疲れているせいで、すぐに眠ってしまった。
5月1日(水)
・今日も良い天気だ。予定通り、甲斐駒ケ岳への往復とする。
(早朝;外気温=マイナス2℃、テント内=プラス5℃)
6:40 北沢峠発
・峠から北側への登り道を行く。樹林帯の中、雪は割と締っているが、
なかなかの急登なので、ついつい、休みを多く取りながら進む。
・朝の森には小鳥の声がにぎやかだ。途中から木々の合間に北岳の白い姿が見え、感激。
途中で、カモシカを見かけた。初めて見る。じっとこちらを観察していた。
・登りはいつ果てるともなく続き、朝から結構疲れる登りだ。
双児山の手前は、赤テープがパラパラついていたが、踏み跡も乱れており、
結構迷いやすい場所だった。
10:00-20 双児山(標高=2649m)
・ようやく森林限界を超えた。
目の前には駒津峰、その向こうに目指す甲斐駒ケ岳が、意外と近そうに見える。
・双児山の下りは、東側は樹林が迫っているが、西側はすっぱりと切れ落ちて、雪のリッジとなっており、やや緊張した。
・稜線の雪は、樹林帯の中と違い、ズブズブ沈むことはほとんどないが、
表面は日射で溶けかかっており、アイゼンがダンゴ状となり歩きにくい。
11:30-50 駒津峰(標高=2752m)
・昼には甲斐駒ケ岳へと着けると踏んでいたが、5時間かけた登りで、
すでに昼近くになったのに、まだ手前の峰だ。
この峰の頂上は雪がなく、岩屑が露出していた。
気温はだいぶ上がり、まるで夏場の登山のような感じだ。上着のゴアも脱いでしまおう。
・駒津峰からのコルへの下りは、双児山からの下り以上に、細い雪のリッジとなっており、
しかも急激な下降なので、ちょっと怖い感じだ。
3段に渡る難関の下りを、へっぴり腰になりつつ何とかクリアーした。
12:10-20 六方石
・とうとう12時を過ぎた。
予定では遅くとも12時には甲斐駒ケ岳山頂についているつもりだったが、
まだ本峰の登りを残し、アイゼンを着けた足も重くなってきた。
ここでギブアップすることもちょっと考えたが、
前を見ると、先行するパーティも割と遅い足取りで本峰へ取りついているのが見えたので、
着いてゆくことにする。
・甲斐駒ケ岳山頂部へのダイレクトに登る部分は、急な岩場の登りと雪のある場所が交互に出てくる。
普通なら難なく行けそうな道だが、アイゼンを着けていると登りにくく、また
足の疲れも相当で、なかなかつらい。
ピッケルは邪魔なだけなのでサブザックに括り付ける。
・遅いペースで登って行ったが、途中で先行パーティに追いついた。
彼らはアイゼンなしで登っており、ルートファインディングに少し苦労しているようだった。
所々の雪田のトラバースではピッケルを出して進む。先行パーティはアイゼン、ピッケルなしで、よく行けるものだ。
・山頂手前で雪解け水が滴っている場所に出会った。
ちょうど持ってきた1Lの水も飲みほしてしまっていたので、これ幸いと水を飲み、補給できて助かった。
13:50-14:20 甲斐駒ケ岳山頂(標高=2967m、気温=プラス3℃)
・途中でギブアップせずに良かった。長い7時間の登りで、ようやく甲斐駒ケ岳へ到着。
頂上は雪は北西面に少しあるだけで、ほかは砂利の地面が露出していた。
時刻は遅いが大休止とし、パンを少々食べる。
先行パーティも少し前に到着し、休憩しているので、少し話を交わした。
・今日の天気は、上空だけは青空が広がっているが、中層は春がすみのようなもやがかかっており、
期待していた八ヶ岳や中央アルプスの姿は見れなかった。
北岳や仙丈が岳は春がすみの中にそびえているのが見えた。
・下りは登りの道は通らず、摩利支天峰へのコルの方向へと下る。
こちらの道は、ザレた道で雪も少なくて安全で、ぐいぐいと下れた。
コルから先、トラバース気味の道となり、3回ほど雪田を渡る。
雪が腐っており、足を取られてこけそうになった。ピッケルがあって良かった。
15:00 六方石
・来るときは難渋した雪の細いリッジも、帰りは登りとなるので、それほど手こずらなかった。
15:30-40 駒津峰
・ここまで結構ハイペースで下ってきた。
甲斐駒ケ岳の山頂では時刻から見て、暗くなる前に下山できるか?ちょっと心配だったが、
ここまで来て、ようやく日没前に下れるめどが立ち、一安心。
・ここからは、登ってきた道は取らず、より近そうな、仙水峠への道を行ってみることにした。
・駒津峰から仙水峠への道は、雪は少なくて、岩がゴロゴロしたところが多く、
つけているアイゼンもギリギリと音を立てて、結構歩きにくかった。
中盤からは樹林帯に入り、雪が再び多くなってきた。
途中、グリセードを試してみたら、失敗して転倒。ヒヤッとしたゾ。
まだまだ雪の技術は未熟だ。
16:50-17:00 仙水峠
・ここからは谷沿いの道をまっすぐと下ってゆく。
ゴロゴロとした岩がちの道で、アイゼンを着けては歩きにくかった。
仙水小屋から先はアイゼンを外してゆく。
18:00 北沢峠テント場着
・ふ〜〜.... 疲れた!
約12時間の行動、ようやく日没寸前にテント場に到着できたが、体は疲労困憊だ。
・あまりに疲れたので、ラーメンでの夕食を食べたら、すぐ寝入っていた。
5月2日(木)
・ぐっすりと12時間近く寝て、6:30に起床。
今日も朝から良い天気で日差しがまぶしいが、昨日の疲れが残っていて
仙丈が岳へ登る体力がないので、今日は休養日ということにし、
昼過ぎまで、再びシュラフに潜り込んでうとうとする。
・日差しが強いせいで、テントの中はまるで夏のキャンプのように暑くなってきた。
午後は、ぶらぶらと北沢峠周辺を散歩したりして過ごした。
5月3日(金)
・朝、4時過ぎに起床。外を見ると今日は薄曇りになっているが、
予定通り、仙丈ヶ岳へと出かけよう。(外気温=+2℃、テント内=+6℃)
5:20 北沢峠発
・甲斐駒ケ岳と同様、サブザックに食糧、飲み物程度を入れ、アイゼン、ピッケルありで、登り始める。
・最初から急登が続くが、踏み跡が明瞭で歩きやすい。先日の甲斐駒ケ岳よりはだいぶ楽だ。
7:30-40 大滝の頭
・ここから100mほど登ると森林限界となり、白色の大斜面が正面に現れた。
遠くを見ると、雲海が広がっており、そのうえに北アルプスの槍、穂高や、
中央アルプス、富士山などの姿も見えた。
9:00 小仙丈岳
・ピークにたどり着くと、眼前に大きなカール底が広がっている。仙丈が岳への
道は、細くうねった細い稜線となっており、まるで冬山のような美しい眺めだ。
・仙丈が岳へと、細い雪の稜線をたどってゆく。トレースは明瞭だが、
両側とも切れ落ちて、滑り台のようにカール底まで続いているので、緊張しながら先へと進む。
10:30-11:20 仙丈が岳 山頂(標高=3033m)
・登り口から5時間を要したが、午前中の内に登れ、まずまずのペースだった。
山頂は弱い西風が吹いており、上空はうす雲っているが、
北岳はまじかに白い姿を見せてくれており、なかなかの迫力だ。
登山者も割と多い山頂で、時間もあるので、写真を撮ったりしてのんびりと過ごした。
・下りは登りと同じ道をたどる。稜線は慎重に行く。
12:10-30 小仙丈岳
・だんだんと上空の雲が増えてきた。下り坂なのだろうか?
・小仙丈岳からは、休みも取らず、ガンガンとくされ雪を蹴散らせながら下る。
14:00−40 北沢峠 テント場
・さて、と。 割と早くに下山できたが、明日の予定はまだ決まっていない。
鋸岳に行こうか? 広河原に行って北岳か、鳳凰三山に登ろうか?
まだ迷っていたが、鋸岳は実力的に厳しい感じがしたので、とりあえず広河原へと移動することにした。
・テントなど全荷物を担いで、南アルプス・スーパー林道を広河原へと向かう。
最初の1時間は快調だったが、だんだんと荷物が肩に食い込むし、
防水性の悪い革靴のため、今日の登山で靴の中まで濡れているために、
足にはマメができつつあるようで足も痛くなってきた。
周りの風景を眺めながら、頑張って歩く。
小太郎山の斜面が野呂川に落ちるあたりは、雪のルンゼと常緑の森のコントラストが、なかなかいい感じだった。
17:50 広河原着
・ようやく夕暮れ時に広河原に到着。テント場には今日は6張りしかなく、淋しい場所だ。
川に近い砂地の場所に、さっそくテントを張る。
今日も丸一日歩き通しで結構疲れており、夕食の後、明日の計画を考えているうちに眠くなってきた。
5月4日(土)
・4:30起床。外温=プラス6℃、テント内=プラス10℃と暖かな朝だ。
昨日の天気の状況から、天気は下り坂で、今日はとても晴れそうにない、
と思っていたが、外を見ると予想以上に天気が良い。
・それでは北岳か鳳凰三山に登ろう。
しかし北岳は、大樺沢の出合から望むと、とても遠くて難しそうだ。
ということで、鳳凰三山へ行くことに決定。
鳳凰三山は、日帰りだとギリギリの感じだが、テントを担いでのフル装備で縦走するのも大変そうだ。
ということで、テントは置いてゆくことにし、小屋泊まりも念頭に置いて、コンロなどの荷物も持ってゆく。
5:50 広河原 発
6:10 白鳳峠 登山口
・のっけからなかなかの急登が続く。早くも昨日の疲れが足に出てきて足が重い。
・途中で、下山者2名にであう。話を交わすと「熊を見かけたので恐ろしくなって引き返すところだ」とのこと。
「それでは、一緒に登りませんか」とこちらから提案し、一緒に登り始めた。
・途中まで雪の無い地道だったが途中から、道は雪のびっしり詰まった谷沿いとなったので、アイゼンを着用。
そこから針金の着いた悪場を越え、さらに再び雪の詰まった谷沿いに登ってゆく。
前の方に明るい陽射しが見えてきたので、ようやく峠か?と思ったが、それは単なる森林限界だった。
そこから先は、岩がゴロゴロしたところと雪のあるところが交互にあらわれ、アイゼンを着けての登高は、なかなか面倒だ。
・結局、峠まで熊には出会うこともなく、無事到着。
9:30-50 白鳳峠
・ようやく鳳凰山脈の稜線に到着してほっとした。一息入れる。
・ここから稜線伝いに、まずは「高嶺」を目指す。
稜線も、雪があったり岩のゴーロ帯だったりで、アイゼンもつけたり外したりと忙しい。
11:10-30 高嶺ピーク
・なかなか良い眺めが広がっている山頂だ。時間もころあいなので軽く昼食休憩とする。
ここからは鳳凰三山の一角、地蔵岳のオベリスクが割と近くに見えた。
・稜線は雪が結構残っているが、日差しのせいで雪が腐り始め、
細かいアップダウンを登るのも下るのも結構疲れる。
12:20-40 アカヌケ沢の頭
・今日は、高嶺あたりから対向する登山者を結構見かけたが、このアカヌケ沢の頭ピークも登山者が多い。
できれば日帰りで鳳凰往復、と考えていたが、ここですでにお昼を過ぎてしまったので、
日帰りはあきらめ、今日は稜線の小屋泊まりとすることにした。
・この付近はザレた斜面が続き、雪も少ないので、アイゼンははずして先を進む。
・次の観音岳の登りは、ツルツルの雪と岩とのミックスとなっており、
アイゼンを再度付け直して登るが、結構難しかった。
14:10 観音岳
・白鳳峠の手前からいっしょに進んでいた人は、今日中に夜叉神峠まで行くので
先を急ぐとのことで、観音岳は休みなしで前へと進む。
14:40頃 薬師小屋 着
・小屋は雪に半分埋もれていたが、営業はしているのでさっそく中へと入る。
夕食も出るようだったが、せっかく食糧とコンロも持ってきたので、
素泊まりで泊まることにした。素泊まり料金3600円也。
5月5日(日)
・昨晩はさすがに標高2700mの小屋だけあって、夜中は毛布3枚だけではちょっと寒かった。
(朝の小屋の温度=+10℃)
4:20 薬師小屋 発
・昨日、小屋に泊まった分、今日は長丁場の一日だ。
まずは昨日の道を戻って広河原に下り、さらにスーパー林道を歩いて、
バス停のある夜叉神峠に夕方までには着かないといけない。
3時過ぎには起きて、軽く朝食を取り、夜明け前に出発する。
・今朝は皆既月食の日だったが、薄明の空、うす雲の影にぼんやりと見えていた。
5:00-10 観音岳
・ちょうど日の出の時刻となった。
昨日はまずまず良い天気だったが、今日は再び下り坂のようで、上空はうす雲がだいぶ出ている。
北岳の白い姿がモルゲンロートに染まるのを期待していたが、思ったほどは赤く染まらなかった。
6:10-20 アカヌケの頭
・このあたりからの甲斐駒ケ岳の姿は、ピラミダルな端正な姿で美しい。
雲海の上に姿を見せていた。
南側は、野呂川の谷に薄い雲海が出ていたが、陽が差すとともに消えていったので、
なんとか今日一日、天気は持ちそうだ。
7:00-10 高嶺
・この後、雪があったりなかったりだが、アイゼンを着けたまま、雪のあるところを選んで下って行った。
しかし、いつの間にかルートを外れて、北西斜面を降りていることに気付く。
あわてて、ハイマツと樹林帯の中をトラバースして稜線に戻るが、なかなかのアルバイトだった。
8:10-20 白鳳峠
・手持ちの食糧が底を着きだした。残った食糧からソーセージを出して食べる。
・ここからの下りは、雪もザラメなのでアイゼンははずし、雪のあるところは
キックステップで下ってゆく。
・しかし、だいぶ降りたところで、雪で濡れた木のサンバシがあって、
思いがけなく滑ってしまった。
尻もちをつくのではなく、ザックごと前方に一回転し、道脇の笹藪に転がった。
夢中で周りの木の枝をつかんだので一回転で停止できたが、そのまま転がって行ったら、
枯れ木に頭をぶつけかねないところ、間一髪でかすり傷もなくすんだ。
一瞬の出来事だったので、なんだか実感がなく、夢の中の出来事のような感じがしたが、
事故を起こす、というのはこういうことだな、と改めて気を引き締める、
反省すべきヒヤリだった。
10:10 白鳳峠登山口
10:30-12:00 広河原
・ようやくテント場に到着。これで今日の行程の半分といったところか。
GWも終わりが近づき、残りのテントは5張りしかなく淋しくなってきた。
上空はまだ青空が広がっており、風もさわやかなので、昼食をとって、
つい、のんびりと時間を費やした。
(これが、あとで後悔するもとになった...)
昼食は、アンパンとソーセージ。これで持ってきた6日分の食糧はほぼ消費したが、
あとは林道下りだけなのでなんとかなるだろう、と思う。
・さて、あとは夜叉神峠のバス停まで林道を歩くのみ。
道自体は良好だが、なんせ道は長く、いくつもいくつも岬状のところを越えてゆくが、
そのたびに次々と岬状の山稜が出てくる風景が続き、だんだんと疲れてきた。
単調な道なので、ウオークマンで音楽を聴きながら歩く。
また、立石沢出合から先は舗装道となり、足もマメができてきたようなので、
べた雪のせいで濡れ気味の登山靴を脱ぎ、スニーカーに履き替えた。
13:10-20 立石沢出合
14:10-20 深沢下降点
15:00-10 鷲の巣分岐
・ここで地図を見てみると、だいぶ目的地に近づいているような気がしていたが、
まだまだ先の道のりが遠いことを知り、ちょっと焦ってきた。
これでは最終バスに間に合わないかもしれない、と思い、あとはペースを上げてひたすら歩く。
15:50-16:10 夜叉神トンネル
・長い長いトンネルだが照明もなくて、まさに洞窟のようなトンネルだ。
ヘッドライトを点けて黙々と先を急ぐ。
16:10-40 夜叉神峠入口(バス停)
・ようやく到着した。到着した時、ちょうどバスが出て行ったのでヒヤッとしたが、
それは臨時便だったようで、定時の16:40の便はちゃんと待っていた。
長い長い南アルプスの山歩きもこれで終わり。
最後、焦ったがなんとかバスにも間に合ってほっとした。
さっそく缶ビールをゴクゴクと飲みほし、山行の無事の終了に祝杯を上げた。
・下りのバスは、車掌さんが乗っている古式ゆかしいバスだった。
夜叉神からの下りの車窓は、結構山が深く見え、ここも南アルプスらしい風景が広がっていた。
17:40 甲府着
・6日間の充実した山旅を終え、とうとう下界に降りてきた。
最終日は食糧がギリギリで、だいぶお腹も減ったので、甲府市内の食事処で、
大盛りライスをお代わりするほどモリモリと食べた。
・この後は、中央東線で甲府から松本に出て、松本より夜行急行「ちくま2号」に乗る。
翌朝、大阪に着くと、春の雨が降っていた。山行の間の6日間は雨も降らず、
天気に恵まれた山行だったなぁ、と思う。
大阪からJR、宇高連絡船を使い、翌日夕方に新居浜に到着。
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