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Yamareco

記録ID: 3137682
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
日光・那須・筑波

日光〈夏峯〉(中世の修験道ロングトレイル、前半部分60km)

2021年05月03日(月) ~ 2021年05月05日(水)
 - 拍手
GPS
36:43
距離
60.4km
登り
5,480m
下り
3,770m

コースタイム

1日目
山行
12:23
休憩
0:57
合計
13:20
4:11
128
6:19
6:21
54
7:15
7:17
16
7:33
7:34
22
7:56
8:12
43
8:55
8:55
26
9:21
9:21
53
10:14
10:24
67
11:31
11:33
23
11:56
11:56
15
12:11
12:12
25
12:37
12:37
22
12:59
13:08
84
14:32
14:41
24
15:05
15:10
141
2日目
山行
13:40
休憩
0:18
合計
13:58
4:50
35
宿泊地
5:25
5:26
24
5:50
5:50
44
6:34
6:37
104
8:21
8:21
206
11:47
11:59
135
14:14
14:14
10
14:24
14:25
46
15:11
15:12
205
18:37
18:37
11
3日目
山行
11:03
休憩
0:23
合計
11:26
5:24
244
9:28
9:37
38
10:15
10:16
45
11:01
11:03
68
12:11
12:17
42
12:59
13:01
22
13:23
13:23
16
13:39
13:40
3
13:43
13:44
19
14:03
14:03
27
14:30
14:30
23
14:53
14:53
67
16:00
16:01
32
16:33
16:33
15
16:48
16:48
2
16:50
ゴール地点
天候 5/3 :晴れ のち 雪 (強風)
5/4 :晴れ(微風)
5/5 :曇り のち 霰〜雨(暴風)
過去天気図(気象庁) 2021年05月の天気図
アクセス
利用交通機関:
バス 自家用車
一日目早朝:マイカー(自宅→日光市営上鉢石駐車場)、東武バス(中禅寺温泉バスターミナル→神橋バス停→マイカー回収)

二日目早朝:マイカー(車中泊→歌ヶ浜第二駐車場)

三日目夕刻:東武バス(湯元温泉バスターミナル→立木観音前バス停→徒歩で歌ヶ浜第二駐車場)
コース状況/
危険箇所等
後半部分はコチラです。
 ↓
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-3415902.html

★コース状況の詳細は、写真コーナーをご覧ください。
コメント文を長めに書いています。
ロングトレイルであり、且つ特殊な情報量が多いため、各地点ごとにレポートします。

★この山行計画じたいが、全体的に異質なコンセプトにおいて実践されています。
各種バリエーションルートを凌ぎ切るモチベーションと、事前の研究や投資は必須ではないかと思われます。
リスクは色々とあります。
この山行記録を一般公開としたのは、歴史学や宗教学のご興味から「読むだけ」の方々が多数であろうという判断によります。

★ほんらい修行と巡礼の路〈夏峯〉は、旧暦の五月末から約二ヶ月間かけて、途中滞在地での交流や祈祷をはさみつつ、補給など援助を受けながら、ゆっくりと山々の拝所を礼拝して歩く信仰共同体的な営みです。
つまり舞台は、今でいう7月と8月。
真夏です。
私のように、太陽暦の5月初旬に連日歩くことが、大きな誤りとなっています。そもそもの季節違い。
なぜ今回そうしたかと言うと、私に連休があまりにも少なくて、挑戦する機会に乏しかったから。それだけの理由です。
その他周辺情報 コロナ禍の緊急事態宣言中のため、食糧はコンビニでのみ補給。
他地域からの日帰り入浴を解放していない温泉施設多数でした。
ほぼ人に近づくことがない三日間となりました。
『全踏査 日光修験 三峯五禅頂の道』(池田正夫著、2009年、随想舎・刊)

絶版のため、25000円以上で購入した古書である。
日本百名山完登後、私の次の目標は、真逆のベクトルへむかった。日光という狭いエリアだけを、深く深くディグしていく志向だ。日光登山史において〈夏峯〉は、最難関のロングトレイルだったと言う。私はこの日まで事前研究と準備を重ねてきた。
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『全踏査 日光修験 三峯五禅頂の道』(池田正夫著、2009年、随想舎・刊)

絶版のため、25000円以上で購入した古書である。
日本百名山完登後、私の次の目標は、真逆のベクトルへむかった。日光という狭いエリアだけを、深く深くディグしていく志向だ。日光登山史において〈夏峯〉は、最難関のロングトレイルだったと言う。私はこの日まで事前研究と準備を重ねてきた。
今回、三連休のみでいっきに辿ろうとするのは、この〈夏峯〉の距離にして前半部分となる区間だ。

(後半部分のヤマレコはこちら→https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-3415902.html)

〈夏峯〉は日光修験ルートの中でも、最長にして大難行だった。多くの犠牲者をだしたため、安土桃山時代までには封印されてしまった。
ほんらいは7〜8月頃になされる修行コースだ。したがって今回の私の場合、季節外れの挑戦となる。全力で、しかし安全第一で行きたいと思う。
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今回、三連休のみでいっきに辿ろうとするのは、この〈夏峯〉の距離にして前半部分となる区間だ。

(後半部分のヤマレコはこちら→https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-3415902.html)

〈夏峯〉は日光修験ルートの中でも、最長にして大難行だった。多くの犠牲者をだしたため、安土桃山時代までには封印されてしまった。
ほんらいは7〜8月頃になされる修行コースだ。したがって今回の私の場合、季節外れの挑戦となる。全力で、しかし安全第一で行きたいと思う。
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日光駅にほど近い、世界文化遺産の神橋。まだ夜明け前。ここがスタート地点となる。大谷川にかかる赤い橋だ。初日はこの大谷川の南岸に連なる山々を縦走して、奥日光の中禅寺湖まで標高を上げていく行程となる。
2021年05月03日 04:37撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 4:37
5/3
日光駅にほど近い、世界文化遺産の神橋。まだ夜明け前。ここがスタート地点となる。大谷川にかかる赤い橋だ。初日はこの大谷川の南岸に連なる山々を縦走して、奥日光の中禅寺湖まで標高を上げていく行程となる。
まずは日光史における近代遺産、ジョン金谷氏が創業した金谷ホテルの敷地におじゃまさせていただく。
(この写真と次の写真は以前撮影したもの。夜間ウロウロしすぎるのは不審者すぎるため。)
敷地内には〈夏峯〉にも関係がある史跡「星宮」があるのだ。これは、その案内板。
2020年12月12日 08:15撮影 by  iPhone 7 Plus, Apple
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12/12 8:15
まずは日光史における近代遺産、ジョン金谷氏が創業した金谷ホテルの敷地におじゃまさせていただく。
(この写真と次の写真は以前撮影したもの。夜間ウロウロしすぎるのは不審者すぎるため。)
敷地内には〈夏峯〉にも関係がある史跡「星宮」があるのだ。これは、その案内板。
そして、史跡「星ノ宿」。〈夏峯〉に入峯する行者一行は、法楽を済ませた後、この起点の地でまずは一泊をしたと古文書『私記』には記されている。行者たちは宿場において、休むだけでなく必ず祈祷などの修行をする。〈夏峯〉において祈ること、礼拝することは、歩くことと共に山岳修行の主要素だった。
2020年12月12日 08:25撮影 by  iPhone 7 Plus, Apple
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12/12 8:25
そして、史跡「星ノ宿」。〈夏峯〉に入峯する行者一行は、法楽を済ませた後、この起点の地でまずは一泊をしたと古文書『私記』には記されている。行者たちは宿場において、休むだけでなく必ず祈祷などの修行をする。〈夏峯〉において祈ること、礼拝することは、歩くことと共に山岳修行の主要素だった。
金谷ホテル敷地内をそそくさと移動する。すみませんねえ、という気持ちとともにホテル裏手、未舗装駐車場まで突き当たる。ここから、急斜面をふんばって細尾根に乗り上げるのだ。この取付地点、入山ポイントからして、既に一般登山道ではなくバリエーションルートとなる。〈夏峯〉の登山道はその一歩目からバリルートだ。
2021年05月03日 04:57撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 4:57
金谷ホテル敷地内をそそくさと移動する。すみませんねえ、という気持ちとともにホテル裏手、未舗装駐車場まで突き当たる。ここから、急斜面をふんばって細尾根に乗り上げるのだ。この取付地点、入山ポイントからして、既に一般登山道ではなくバリエーションルートとなる。〈夏峯〉の登山道はその一歩目からバリルートだ。
大谷川を右下に見下ろしつつ、細尾根を辿ると、まもなく鉄塔に至る。送電線の向こうには日光市街地、そして日光連山が見渡せる。空を見た感じ、どうやら午前中の天気は保ちそうだ。
2021年05月03日 05:11撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 5:11
大谷川を右下に見下ろしつつ、細尾根を辿ると、まもなく鉄塔に至る。送電線の向こうには日光市街地、そして日光連山が見渡せる。空を見た感じ、どうやら午前中の天気は保ちそうだ。
さて、〈夏峯〉では何度も寄り道、回り道をすることになるが、さっそくその最初の寄り道だ。869mピークとなる通称「松立山」を踏みに行く。
アカヤシオ、シロヤシオの花々がある。この先、5月上旬らしい花見が期待できそうだ。
2021年05月03日 05:25撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 5:25
さて、〈夏峯〉では何度も寄り道、回り道をすることになるが、さっそくその最初の寄り道だ。869mピークとなる通称「松立山」を踏みに行く。
アカヤシオ、シロヤシオの花々がある。この先、5月上旬らしい花見が期待できそうだ。
小平地に乗り上げた。ここが松立山ピークだ。この場所で、冬の修行〈冬峯〉では御杵を焼き倒す儀式が、〈夏峯〉では錫杖経が唱えられたという。
平坦な印象の山頂だ。だがよく見ると複数の窪みがある。この凹の溝は、太平洋戦争中、砲台が隠されるように置かれていたとの話だ。この山頂じたいが、知られざる遺構のように思われた。
2021年05月03日 05:29撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 5:29
小平地に乗り上げた。ここが松立山ピークだ。この場所で、冬の修行〈冬峯〉では御杵を焼き倒す儀式が、〈夏峯〉では錫杖経が唱えられたという。
平坦な印象の山頂だ。だがよく見ると複数の窪みがある。この凹の溝は、太平洋戦争中、砲台が隠されるように置かれていたとの話だ。この山頂じたいが、知られざる遺構のように思われた。
道をすこし戻る。誰かが積んだ石が目印になっていたが、〈夏峯〉はここを分岐点として、東へ進んでいくことになる。
このあたり一帯は、日光駅前の人気のハイキングコース「鳴虫山」の内部だ。バリルートとしては比較的アクセスしやすく、フミアト明瞭な入門者コースにもなっているのだろう。
2021年05月03日 05:34撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 5:34
道をすこし戻る。誰かが積んだ石が目印になっていたが、〈夏峯〉はここを分岐点として、東へ進んでいくことになる。
このあたり一帯は、日光駅前の人気のハイキングコース「鳴虫山」の内部だ。バリルートとしては比較的アクセスしやすく、フミアト明瞭な入門者コースにもなっているのだろう。
赤と黄色の正方形、通称「日光マーク」があった。林業関係者や登山愛好家がそれなりに入山しているのだろう。このマークを発見すると、ああ日光の山に来たんだなという感慨と安心が生まれる。この先、まあまあ歩きやすい尾根道が続いていく。
2021年05月03日 05:35撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 5:35
赤と黄色の正方形、通称「日光マーク」があった。林業関係者や登山愛好家がそれなりに入山しているのだろう。このマークを発見すると、ああ日光の山に来たんだなという感慨と安心が生まれる。この先、まあまあ歩きやすい尾根道が続いていく。
低山にありがちな、ただの境界票だ。だが、これから〈夏峯〉を再現して描き出そうとする者にとっては、なんだか異界への境界線をまたぐような、背信行為のような印象を受ける。
いや、大袈裟か。
2021年05月03日 05:38撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 5:38
低山にありがちな、ただの境界票だ。だが、これから〈夏峯〉を再現して描き出そうとする者にとっては、なんだか異界への境界線をまたぐような、背信行為のような印象を受ける。
いや、大袈裟か。
この時期の鳴虫山は、のんびりとハイクするだけでもいいものだ。そのハイキングコースは、春の花に彩られる。しかし、一般登山道を外れた鳴虫山の深部、秘部にも、多くの花が咲き誇っている。私は今、そのことを見てまわっている。
2021年05月03日 05:42撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 5:42
この時期の鳴虫山は、のんびりとハイクするだけでもいいものだ。そのハイキングコースは、春の花に彩られる。しかし、一般登山道を外れた鳴虫山の深部、秘部にも、多くの花が咲き誇っている。私は今、そのことを見てまわっている。
さて、星ノ宿から松立山を登った〈夏峯〉一行であるが、わざわざいちど、志渡淵川・船ヶ沢の方面まで下降してしまう。すなわち、同じ道順を辿る私は、いちど市街地に下山させられてしまう形となってしまう。その川の流域から、あらためて「中ソネ尾根」に乗るためらしい。
2021年05月03日 05:52撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 5:52
さて、星ノ宿から松立山を登った〈夏峯〉一行であるが、わざわざいちど、志渡淵川・船ヶ沢の方面まで下降してしまう。すなわち、同じ道順を辿る私は、いちど市街地に下山させられてしまう形となってしまう。その川の流域から、あらためて「中ソネ尾根」に乗るためらしい。
愛宕社の敷地内に下りてきた。これらは比較的新しい時代のものだろうか、金剛堂と阿吽の石像があった。
2021年05月03日 05:56撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 5:56
愛宕社の敷地内に下りてきた。これらは比較的新しい時代のものだろうか、金剛堂と阿吽の石像があった。
寺社の石段を下りると、今度はすぐ正面にカトリック日光教会、および付属のアントニオ幼稚園がある。
日光市街地には私の知る限り、三つのキリスト教会があったはずだ。金谷ホテルのジョン金谷氏は、洗礼名はヨハネである。立教大学の縁で洗礼を受け、聖光会の日光真光教会にもつながっていくような人物だったのではないか。
2021年05月03日 06:01撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 6:01
寺社の石段を下りると、今度はすぐ正面にカトリック日光教会、および付属のアントニオ幼稚園がある。
日光市街地には私の知る限り、三つのキリスト教会があったはずだ。金谷ホテルのジョン金谷氏は、洗礼名はヨハネである。立教大学の縁で洗礼を受け、聖光会の日光真光教会にもつながっていくような人物だったのではないか。
さて、住宅地の舗装路をしばらく歩く。それから沢を渡渉して、この辺りから再度の入山だ。
2021年05月03日 06:11撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 6:11
さて、住宅地の舗装路をしばらく歩く。それから沢を渡渉して、この辺りから再度の入山だ。
この電信柱のところに明瞭なフミアトを発見。このポイントだろうな。
2021年05月03日 06:12撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 6:12
この電信柱のところに明瞭なフミアトを発見。このポイントだろうな。
中ソネ尾根に乗った。一般登山道では当然ないが快適だ。林業の手がはいっているようで、とても歩きやすい。
2021年05月03日 06:19撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 6:19
中ソネ尾根に乗った。一般登山道では当然ないが快適だ。林業の手がはいっているようで、とても歩きやすい。
〈夏峯〉一行がいちど松立山方面から下り、この中ソネ尾根にシフトして再入山した理由は、この先にある観音ノ岩戸という地を巡礼したかったからのようだ。
2021年05月03日 06:21撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 6:21
〈夏峯〉一行がいちど松立山方面から下り、この中ソネ尾根にシフトして再入山した理由は、この先にある観音ノ岩戸という地を巡礼したかったからのようだ。
樹林の切れ間に展望スポットを発見。男体山を発見。
今は天気が良い。だが予報では、日光にいるかぎり午後には雨に降られる運命らしい。
2021年05月03日 06:40撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 6:40
樹林の切れ間に展望スポットを発見。男体山を発見。
今は天気が良い。だが予報では、日光にいるかぎり午後には雨に降られる運命らしい。
観音ノ岩戸に到着。古い案内道標がある。
2021年05月03日 06:47撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 6:47
観音ノ岩戸に到着。古い案内道標がある。
過ごしやすそうな場所だ。ここから回り込んだ地点に岩屋(浅い洞窟)があって、内部に観音像や石柱が祀られている。それらはいつでもまた見に行けるから、私は今回はパスして先を急がせていただく。
2021年05月03日 06:50撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 6:50
過ごしやすそうな場所だ。ここから回り込んだ地点に岩屋(浅い洞窟)があって、内部に観音像や石柱が祀られている。それらはいつでもまた見に行けるから、私は今回はパスして先を急がせていただく。
ピンクリボンなど目印がある尾根道を南西へ進むと、すぐに「月見ノ宿」に至った。ここで〈夏峯〉一行は「後夜ノ勤」という祈祷修行をした。
この周囲を時間をかけて探索すると、人造の棚部を見出すこともできるのだそうだ。
2021年05月03日 06:58撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 6:58
ピンクリボンなど目印がある尾根道を南西へ進むと、すぐに「月見ノ宿」に至った。ここで〈夏峯〉一行は「後夜ノ勤」という祈祷修行をした。
この周囲を時間をかけて探索すると、人造の棚部を見出すこともできるのだそうだ。
さて、月見ノ宿から鳴虫山山頂へと進む。アカヤシオの花が咲く道だ。
2021年05月03日 07:04撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 7:04
さて、月見ノ宿から鳴虫山山頂へと進む。アカヤシオの花が咲く道だ。
シロヤシオの花を豊かで、穏やかなものだ。ここは一応バリルート扱いなのだが、良い季節柄か、あまりしんどさは感じさせない。
2021年05月03日 07:06撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 7:06
シロヤシオの花を豊かで、穏やかなものだ。ここは一応バリルート扱いなのだが、良い季節柄か、あまりしんどさは感じさせない。
と、甘くみていたら急登になった。どんな里山や低山であっても、山頂直下は急斜面を有するのが定め。
2021年05月03日 07:12撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 7:12
と、甘くみていたら急登になった。どんな里山や低山であっても、山頂直下は急斜面を有するのが定め。
ここに来るまで、ずっと目印が豊富で迷うことはなかった。
2021年05月03日 07:16撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 7:16
ここに来るまで、ずっと目印が豊富で迷うことはなかった。
鳴虫山1103.6mに登頂。
2021年05月03日 07:38撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 7:38
鳴虫山1103.6mに登頂。
山頂からはちょっとだけ展望あり。
では、一般登山道を下って合峰(がっぽう)に向かおう。
2021年05月03日 07:39撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 7:39
山頂からはちょっとだけ展望あり。
では、一般登山道を下って合峰(がっぽう)に向かおう。
木段などで良く整備された登山道を辿り、合峰に到着。
ここから山頂の北面へ、つまり日光市街地側へ急下降する。せっかく登頂したのに、ほとんど下山させられてしまうわけだ。それが〈夏峯〉の順路だからということで納得して、まだ見ぬ鳴虫山の深部に向かう。
2021年05月03日 08:01撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 8:01
木段などで良く整備された登山道を辿り、合峰に到着。
ここから山頂の北面へ、つまり日光市街地側へ急下降する。せっかく登頂したのに、ほとんど下山させられてしまうわけだ。それが〈夏峯〉の順路だからということで納得して、まだ見ぬ鳴虫山の深部に向かう。
すぐに銭澤不動方面を示す案内が。しばらくは、このルートを下る。
2021年05月03日 08:03撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 8:03
すぐに銭澤不動方面を示す案内が。しばらくは、このルートを下る。
途中、急斜面があったが、誰が設置してくれたのか、虎の子ロープがあって難なく凌ぐことができた。それを終えれば、写真の通り道はかなり良くなる。あいかわらず花が多い。
2021年05月03日 08:10撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 8:10
途中、急斜面があったが、誰が設置してくれたのか、虎の子ロープがあって難なく凌ぐことができた。それを終えれば、写真の通り道はかなり良くなる。あいかわらず花が多い。
登山道の途中で金剛堂に遭遇。この史跡の詳細は不明だ。
〈夏峯〉では、この先もこの様式の石の祠を巡っていくことになる。おそらく〈夏峯〉廃絶後に奉納されたものばかりではあろうが、ここが修験道ゆかりのルートである事実を味わわせてくれている。日光修験の文脈ではこのような石祠を、「金剛堂」と呼称する伝統があるようだ。
2021年05月03日 08:15撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 8:15
登山道の途中で金剛堂に遭遇。この史跡の詳細は不明だ。
〈夏峯〉では、この先もこの様式の石の祠を巡っていくことになる。おそらく〈夏峯〉廃絶後に奉納されたものばかりではあろうが、ここが修験道ゆかりのルートである事実を味わわせてくれている。日光修験の文脈ではこのような石祠を、「金剛堂」と呼称する伝統があるようだ。
「気生ノ宿」に到着。
〈夏峯〉一行はここで二泊したとか。この金剛堂は〈夏峯〉封印後、江戸期に奉納されたもの。
平坦〜緩斜面の地形だ。この場所には建築物が備えられていたらしい。古文書の伝承によれば、間口五間・奥行二間。山中に建てたものとしては、けっこう広い宿ということになる。
2021年05月03日 08:23撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 8:23
「気生ノ宿」に到着。
〈夏峯〉一行はここで二泊したとか。この金剛堂は〈夏峯〉封印後、江戸期に奉納されたもの。
平坦〜緩斜面の地形だ。この場所には建築物が備えられていたらしい。古文書の伝承によれば、間口五間・奥行二間。山中に建てたものとしては、けっこう広い宿ということになる。
採灯護摩壇の史跡もあった。
こういう野外護摩壇が設置されたのは、近世以降での〈冬峯〉など、〈夏峯〉とは別の修行の際のことだろうか。修験道に限らず、諸宗教で火や蝋燭は多用されているが、それは太古のゾロアスター教(拝火教)の影響なのだろうか。旧約聖書の古代ユダヤの民も、野外礼拝で火や煙を上げている。
2021年05月03日 08:23撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 8:23
採灯護摩壇の史跡もあった。
こういう野外護摩壇が設置されたのは、近世以降での〈冬峯〉など、〈夏峯〉とは別の修行の際のことだろうか。修験道に限らず、諸宗教で火や蝋燭は多用されているが、それは太古のゾロアスター教(拝火教)の影響なのだろうか。旧約聖書の古代ユダヤの民も、野外礼拝で火や煙を上げている。
祈祷修行の際には護摩を焚くが、その礼拝儀式における鎮火のためにも水は備えているべきだっただろう。水あっての〈夏峯〉修行だったはずだ。生存のための飲料水もむろん必要だ。山中で水場(閼伽)にアクセスできることは必須条件だったことだろう。なお、この写真の棚部の下のほうにも、沢が流れているらしい。宿場のそばには隠された水場あり、だ。
2021年05月03日 08:25撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 8:25
祈祷修行の際には護摩を焚くが、その礼拝儀式における鎮火のためにも水は備えているべきだっただろう。水あっての〈夏峯〉修行だったはずだ。生存のための飲料水もむろん必要だ。山中で水場(閼伽)にアクセスできることは必須条件だったことだろう。なお、この写真の棚部の下のほうにも、沢が流れているらしい。宿場のそばには隠された水場あり、だ。
東に伸びる支尾根上に「馬頭岩(石)」というポイントがある。金剛堂もあり。〈夏峯〉一行が拝しに来た場所だ。鳴虫山はこういった礼拝所が特に多く、日光修験にとって重要な山だったことがわかる。
2021年05月03日 08:32撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 8:32
東に伸びる支尾根上に「馬頭岩(石)」というポイントがある。金剛堂もあり。〈夏峯〉一行が拝しに来た場所だ。鳴虫山はこういった礼拝所が特に多く、日光修験にとって重要な山だったことがわかる。
この地形、個人的には〇〇〇〇〇ポイントだなあ、って思ったり。
2021年05月03日 08:33撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 8:33
この地形、個人的には〇〇〇〇〇ポイントだなあ、って思ったり。
さて、気生ノ宿に引き返し、そこからまだまだ下っていく。現代ハイカーである私の視点からしたら、なんでわざわざこんなに下る寄り道をしなければならないのか、と思わずにいられない。道中のツツジは美しい。
2021年05月03日 08:50撮影 by  DSC-WX500, SONY
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さて、気生ノ宿に引き返し、そこからまだまだ下っていく。現代ハイカーである私の視点からしたら、なんでわざわざこんなに下る寄り道をしなければならないのか、と思わずにいられない。道中のツツジは美しい。
このまま道なりに行けば、もう少しで市街地に下山することもできる。だが、そうはしないのが〈夏峯〉のルートだ。途中、誰も立ち寄らなさそうな小さな隆起、小ピークを横目にしたら、これを目的地として登る。急斜面だ。
2021年05月03日 08:56撮影 by  DSC-WX500, SONY
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このまま道なりに行けば、もう少しで市街地に下山することもできる。だが、そうはしないのが〈夏峯〉のルートだ。途中、誰も立ち寄らなさそうな小さな隆起、小ピークを横目にしたら、これを目的地として登る。急斜面だ。
足をふんばり、なんとか凌いで。
2021年05月03日 08:56撮影 by  DSC-WX500, SONY
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足をふんばり、なんとか凌いで。
「二宮」ピークに登頂。
〈夏峯〉の礼拝所のひとつだ。二基の金剛堂が祀られている。木漏れ日が射し、これら石造物に美しい印象を与えている。しばらく見つめていた。
2021年05月03日 08:59撮影 by  DSC-WX500, SONY
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「二宮」ピークに登頂。
〈夏峯〉の礼拝所のひとつだ。二基の金剛堂が祀られている。木漏れ日が射し、これら石造物に美しい印象を与えている。しばらく見つめていた。
二宮を下りる途中、目を上げると、鳴虫山山頂が垣間見えた。なんとなく、ここが拝所になった意義を悟った気がした。
2021年05月03日 09:03撮影 by  DSC-WX500, SONY
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二宮を下りる途中、目を上げると、鳴虫山山頂が垣間見えた。なんとなく、ここが拝所になった意義を悟った気がした。
もと来た道を登り返している。精神的にも体力的にもつらい。あちこちに駆けまわっているつもりだが、まだ〈夏峯〉の最初の一座目の中にいるのだ。通常のハイキングとは別種の論理によって、私は歩くことを強いられている。
2021年05月03日 09:11撮影 by  DSC-WX500, SONY
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もと来た道を登り返している。精神的にも体力的にもつらい。あちこちに駆けまわっているつもりだが、まだ〈夏峯〉の最初の一座目の中にいるのだ。通常のハイキングとは別種の論理によって、私は歩くことを強いられている。
合峰の直下ちかく、虎の子ロープ付きの急登。設置者に再度感謝。おそらく、来るべき行動二日目、三日目には、こんな里山めいたロープ類などは消え去ったコースを歩くのだろう。いまだ序章に私はいた。
2021年05月03日 09:39撮影 by  DSC-WX500, SONY
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合峰の直下ちかく、虎の子ロープ付きの急登。設置者に再度感謝。おそらく、来るべき行動二日目、三日目には、こんな里山めいたロープ類などは消え去ったコースを歩くのだろう。いまだ序章に私はいた。
合峰に帰還した。ここから少し鳴虫山山頂方向に行く。束の間の一般登山道復帰だ。
2021年05月03日 09:50撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 9:50
合峰に帰還した。ここから少し鳴虫山山頂方向に行く。束の間の一般登山道復帰だ。
途中に標柱と、安易に侵入するなと言わんばかりのロープが張られている場所がある。このロープの先こそが〈夏峯〉の正式ルートとなる。連なるバリルートの尾根筋を西へ西へと進む、低山縦走修行のスタート地点だ。
2021年05月03日 09:54撮影 by  DSC-WX500, SONY
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途中に標柱と、安易に侵入するなと言わんばかりのロープが張られている場所がある。このロープの先こそが〈夏峯〉の正式ルートとなる。連なるバリルートの尾根筋を西へ西へと進む、低山縦走修行のスタート地点だ。
アップダウンが体力を削っていくが、比較的歩きやすい尾根道が続いている模様だ。フミアトも明瞭。
しばらくすると「千載宿」跡の入口に至る。屋根を欠いた祠があった。
2021年05月03日 10:05撮影 by  DSC-WX500, SONY
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アップダウンが体力を削っていくが、比較的歩きやすい尾根道が続いている模様だ。フミアトも明瞭。
しばらくすると「千載宿」跡の入口に至る。屋根を欠いた祠があった。
覗き込むと、中はこうなっている。享保10年のものとのこと。
2021年05月03日 10:05撮影 by  DSC-WX500, SONY
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覗き込むと、中はこうなっている。享保10年のものとのこと。
「千載宿」は、ここから始まる平坦な稜線の西側であると比定(推定、仮定)されている。行ってみよう。
2021年05月03日 10:06撮影 by  DSC-WX500, SONY
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「千載宿」は、ここから始まる平坦な稜線の西側であると比定(推定、仮定)されている。行ってみよう。
確かに広い場所だ。千載宿にも金剛堂があるのが見える。この金剛堂も〈夏峯〉終焉後の時代に備えられたもののようだ。天明3年奉納。
〈夏峯〉現役期の日光山地には、こうした小さな人工物すらほぼ無く、茫漠たる原生の自然ばかりが広がっていたのではないか、と私は想像する。
2021年05月03日 10:23撮影 by  DSC-WX500, SONY
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確かに広い場所だ。千載宿にも金剛堂があるのが見える。この金剛堂も〈夏峯〉終焉後の時代に備えられたもののようだ。天明3年奉納。
〈夏峯〉現役期の日光山地には、こうした小さな人工物すらほぼ無く、茫漠たる原生の自然ばかりが広がっていたのではないか、と私は想像する。
〈夏峯〉ではこの後も、多数の「〇〇宿」と呼ばれる地名が、メルクマール的に登場することになる。
それらの名付け方は、修験道の総本山たる熊野の大峯奥駈道の影響を受けたものが目立つようだ。
私は、熊野古道はメジャーな区間のみを遊歩したことがあるが、長く厳しい奥駈道は残念ながらトライするための休日がないのだ(泣)
2021年05月03日 10:23撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 10:23
〈夏峯〉ではこの後も、多数の「〇〇宿」と呼ばれる地名が、メルクマール的に登場することになる。
それらの名付け方は、修験道の総本山たる熊野の大峯奥駈道の影響を受けたものが目立つようだ。
私は、熊野古道はメジャーな区間のみを遊歩したことがあるが、長く厳しい奥駈道は残念ながらトライするための休日がないのだ(泣)
陽刻の技術によって浮き出た石仏をやどす金剛堂。
2021年05月03日 10:24撮影 by  DSC-WX500, SONY
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陽刻の技術によって浮き出た石仏をやどす金剛堂。
この先、しばらく尾根道をサクサク進んでしまいそうになるが、行き過ぎないように注意。この分岐点で左折するように。そして滝ヶ原峠の車道に着地しなければならない。
2021年05月03日 10:40撮影 by  DSC-WX500, SONY
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この先、しばらく尾根道をサクサク進んでしまいそうになるが、行き過ぎないように注意。この分岐点で左折するように。そして滝ヶ原峠の車道に着地しなければならない。
けっこう急斜面箇所もあるから、慎重に下る。なるべく緩やかなラインを探して、少しずつ高度を下げて行けばよい。この写真の位置まで来れば安心。ほぼまっすぐに車道に着地できる。
2021年05月03日 10:45撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 10:45
けっこう急斜面箇所もあるから、慎重に下る。なるべく緩やかなラインを探して、少しずつ高度を下げて行けばよい。この写真の位置まで来れば安心。ほぼまっすぐに車道に着地できる。
滝ヶ原峠に合流した。
ここまで〈夏峯〉を歩いてみて、厳しいという感触がある人は、この地点で撤退エスケープしておくとよい。車道歩きで市街地に戻れる。車好きが頻繁に峠を攻めて来るので、もしかしたらヒッチハイクもできるかも!?
2021年05月03日 10:47撮影 by  DSC-WX500, SONY
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滝ヶ原峠に合流した。
ここまで〈夏峯〉を歩いてみて、厳しいという感触がある人は、この地点で撤退エスケープしておくとよい。車道歩きで市街地に戻れる。車好きが頻繁に峠を攻めて来るので、もしかしたらヒッチハイクもできるかも!?
この落石注意標識からまっすぐ再入山する。フミアトあり。
2021年05月03日 10:50撮影 by  DSC-WX500, SONY
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この落石注意標識からまっすぐ再入山する。フミアトあり。
尾根上へ取り付くために登っていると、お地蔵様が車道を見守っている。赤いちゃんちゃんこは、以前ここを歩いて見た時にも、真新しい感じの色だった。どなたかが手塩にかけて着替えさせているのかもしれない。
2021年05月03日 10:51撮影 by  DSC-WX500, SONY
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尾根上へ取り付くために登っていると、お地蔵様が車道を見守っている。赤いちゃんちゃんこは、以前ここを歩いて見た時にも、真新しい感じの色だった。どなたかが手塩にかけて着替えさせているのかもしれない。
地蔵の道の逆方向の坂上に寄ってみると、その突き当りに金剛堂が祀られていた。中世だけでなく、近世、明治、大正、昭和へと、こういった奉納は継承されていったのだろう。
2021年05月03日 10:54撮影 by  DSC-WX500, SONY
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地蔵の道の逆方向の坂上に寄ってみると、その突き当りに金剛堂が祀られていた。中世だけでなく、近世、明治、大正、昭和へと、こういった奉納は継承されていったのだろう。
歩きやすく、目印もある、快適な尾根道はまだ続いてくれている。けれど鳴虫山の探索疲労を背負ってから、ようやくこの稜線歩きに踏み出した私だ。すでに足にダメージを感じ始めていた。
ちなみに、行動一日目は荷物の多くをマイカー内に残置する戦略をとっている。軽量化して、いきなり初日から疲弊を溜めることを防ぐ作戦だ。まあ軽くしてもキツいのだが。
2021年05月03日 10:57撮影 by  DSC-WX500, SONY
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歩きやすく、目印もある、快適な尾根道はまだ続いてくれている。けれど鳴虫山の探索疲労を背負ってから、ようやくこの稜線歩きに踏み出した私だ。すでに足にダメージを感じ始めていた。
ちなみに、行動一日目は荷物の多くをマイカー内に残置する戦略をとっている。軽量化して、いきなり初日から疲弊を溜めることを防ぐ作戦だ。まあ軽くしてもキツいのだが。
また金剛堂だ。
2021年05月03日 11:01撮影 by  DSC-WX500, SONY
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また金剛堂だ。
1051mピークを越えて、さらに西へ西へ。アップダウンを繰り返し、一進一退といったふうに標高を上げ、奥日光へと近づいていく。
2021年05月03日 11:36撮影 by  DSC-WX500, SONY
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1051mピークを越えて、さらに西へ西へ。アップダウンを繰り返し、一進一退といったふうに標高を上げ、奥日光へと近づいていく。
1158m分岐点。山の字。
この先ではハイキングする方々と何組かスライドした。さすがGW。西の薬師岳方面から下るようにやって来て、この分岐点で北進して、やしおの湯をゴール地として楽しみにする計画だろうか。
〈夏峯〉を撤退する場合にも、重要なエスケープ分岐点だ。無理に先に進むと良い逃げ場が無くなっていくのだ。
2021年05月03日 11:57撮影 by  DSC-WX500, SONY
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1158m分岐点。山の字。
この先ではハイキングする方々と何組かスライドした。さすがGW。西の薬師岳方面から下るようにやって来て、この分岐点で北進して、やしおの湯をゴール地として楽しみにする計画だろうか。
〈夏峯〉を撤退する場合にも、重要なエスケープ分岐点だ。無理に先に進むと良い逃げ場が無くなっていくのだ。
「五葉ノ宿」の比定地あたりに来た。このエリアの南斜面棚部がその比定地で、行者たちはそこで後夜ノ勤の修行をしたらしい。さらに下ると水場もあるのだとか。
2021年05月03日 12:15撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 12:15
「五葉ノ宿」の比定地あたりに来た。このエリアの南斜面棚部がその比定地で、行者たちはそこで後夜ノ勤の修行をしたらしい。さらに下ると水場もあるのだとか。
たしかに、落ち着いた地形の場所ではあるな。
2021年05月03日 12:17撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 12:17
たしかに、落ち着いた地形の場所ではあるな。
つづいて南進する。すると「三ノ宿山」に登頂。

この付近で、地元の熟練者とお見受けする登山者から、要するにアンタ大丈夫か?茶ノ木平までなんて無理だろ?という警告を暗にいただいた。「がんばります!」と言って別れたが、まさかそれどころではないロングトレイル挑戦中とは事情説明できなかった。すみませんねえ・・・
2021年05月03日 12:40撮影 by  DSC-WX500, SONY
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つづいて南進する。すると「三ノ宿山」に登頂。

この付近で、地元の熟練者とお見受けする登山者から、要するにアンタ大丈夫か?茶ノ木平までなんて無理だろ?という警告を暗にいただいた。「がんばります!」と言って別れたが、まさかそれどころではないロングトレイル挑戦中とは事情説明できなかった。すみませんねえ・・・
三ノ宿山から西寄りに下ったコルの近くに、また金剛堂。この稜線から外れたポイントに「三ノ宿」跡が比定されている。
私はなるべく宿跡や遥拝所と推定される土地を訪ねるようにしてはいるが、今では藪か草むらだけになっているだけの比定地は、時にはあえてスルーする。まして水場だけの踏査に時間は割かない。それよりかは、トレイルの全体像を描き出すことを主眼にして先に進む。
2021年05月03日 12:47撮影 by  DSC-WX500, SONY
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三ノ宿山から西寄りに下ったコルの近くに、また金剛堂。この稜線から外れたポイントに「三ノ宿」跡が比定されている。
私はなるべく宿跡や遥拝所と推定される土地を訪ねるようにしてはいるが、今では藪か草むらだけになっているだけの比定地は、時にはあえてスルーする。まして水場だけの踏査に時間は割かない。それよりかは、トレイルの全体像を描き出すことを主眼にして先に進む。
「大木戸山」1286.7m登頂。はじめて来る場所ではないのだが、前回登頂した時は逆順ルートだったのでもっと楽に来られた。今回はかなり遠くまで来たと感じている。
2021年05月03日 13:06撮影 by  DSC-WX500, SONY
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「大木戸山」1286.7m登頂。はじめて来る場所ではないのだが、前回登頂した時は逆順ルートだったのでもっと楽に来られた。今回はかなり遠くまで来たと感じている。
丸山1242m。なかなか疲れた。
この先にあるという水場に近いポイントで、〈夏峯〉一行は野宿(柴宿)による一泊をしたと古文書には記録されている。
2021年05月03日 13:28撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 13:28
丸山1242m。なかなか疲れた。
この先にあるという水場に近いポイントで、〈夏峯〉一行は野宿(柴宿)による一泊をしたと古文書には記録されている。
この先が、通称「シモガタァー」という地名で呼ばれるコルだろうか。(ガタァーとは鞍部の意味)
2021年05月03日 13:49撮影 by  DSC-WX500, SONY
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この先が、通称「シモガタァー」という地名で呼ばれるコルだろうか。(ガタァーとは鞍部の意味)
1159mピーク付近。
2021年05月03日 14:00撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 14:00
1159mピーク付近。
「玉木ノ宿」でもあるヒノキガタァーの比定地に接近。この宿でも行者たちは後夜ノ勤をおこなったようだ。
2021年05月03日 14:05撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 14:05
「玉木ノ宿」でもあるヒノキガタァーの比定地に接近。この宿でも行者たちは後夜ノ勤をおこなったようだ。
南北に展望があった。左のひときわ高いのは夕日岳。前日光の峰々が並んでいた。
2021年05月03日 14:05撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 14:05
南北に展望があった。左のひときわ高いのは夕日岳。前日光の峰々が並んでいた。
玉木ノ宿にて、二基の金剛堂に出会う。〈夏峯〉封印後の、文化5年と寶歴14年に奉納のもの。
2021年05月03日 14:06撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 14:06
玉木ノ宿にて、二基の金剛堂に出会う。〈夏峯〉封印後の、文化5年と寶歴14年に奉納のもの。
ん?これは石祠の屋根パーツだけが残存したものか。
2021年05月03日 14:06撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 14:06
ん?これは石祠の屋根パーツだけが残存したものか。
夕日岳。
前日光、鹿沼市方向は晴れている。だが、そろそろ奥日光方面の天気は怪しくなってくる時刻のはず。
2021年05月03日 14:11撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 14:11
夕日岳。
前日光、鹿沼市方向は晴れている。だが、そろそろ奥日光方面の天気は怪しくなってくる時刻のはず。
体力キラーな斜度の坂道が増えてきた。息を切らせて登っている。
2021年05月03日 14:11撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 14:11
体力キラーな斜度の坂道が増えてきた。息を切らせて登っている。
長い道のりだ。負けるな。
2021年05月03日 14:22撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 14:22
長い道のりだ。負けるな。
アカヤシオが目を楽しませてくれる。だが、やはり徐々に曇り空に。
2021年05月03日 14:32撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 14:32
アカヤシオが目を楽しませてくれる。だが、やはり徐々に曇り空に。
「薬師岳」に登頂。
標高は1420mに達した。ついでに一般登山道にも久々の合流。そして、まだまだ先は長い。
2021年05月03日 14:59撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 14:59
「薬師岳」に登頂。
標高は1420mに達した。ついでに一般登山道にも久々の合流。そして、まだまだ先は長い。
ここ薬師岳から南に下った「駈合」という水場に〈夏峯〉一行はピストンしている。さすがに私は、それはパスしよう。
この辺りは〈冬峯〉〈華供峯〉のコースの上でもある。実に三つの季節の山岳修行が通過する、要衝の地であるようだ。
2021年05月03日 15:07撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 15:07
ここ薬師岳から南に下った「駈合」という水場に〈夏峯〉一行はピストンしている。さすがに私は、それはパスしよう。
この辺りは〈冬峯〉〈華供峯〉のコースの上でもある。実に三つの季節の山岳修行が通過する、要衝の地であるようだ。
日足トンネルの真上あたり、崩壊地付近から足尾の集落を見下ろして。
だいぶ風が強まっている。気象不安定。そろそろ降りだしそうだ。
2021年05月03日 15:26撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 15:26
日足トンネルの真上あたり、崩壊地付近から足尾の集落を見下ろして。
だいぶ風が強まっている。気象不安定。そろそろ降りだしそうだ。
細尾峠に到着。ここで車道と交差はするが、舗装路歩きの距離が長いのでエスケープ地点としてはあまりオススメはできない。
この細尾峠の近くに「旧屋ノ宿」跡があり、〈夏峯〉一行は一週間ほど留まりつつ、水による清めと断食を含む厳しい修行をしたという。
2021年05月03日 15:35撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 15:35
細尾峠に到着。ここで車道と交差はするが、舗装路歩きの距離が長いのでエスケープ地点としてはあまりオススメはできない。
この細尾峠の近くに「旧屋ノ宿」跡があり、〈夏峯〉一行は一週間ほど留まりつつ、水による清めと断食を含む厳しい修行をしたという。
ついに奥日光らしい笹まじりの草原になってきた。気持ち良さそうに見えるだろうか。実はけっこう登らされている。
さらに、5月の雪が降ってきた。雨予報ではなかったのか。
2021年05月03日 15:41撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 15:41
ついに奥日光らしい笹まじりの草原になってきた。気持ち良さそうに見えるだろうか。実はけっこう登らされている。
さらに、5月の雪が降ってきた。雨予報ではなかったのか。
荷物を軽くしているはずの一日目だが、かなりしんどい。
雪のほうは小雪程度なので悩んだが、ここらでレインウェアやザックカバーを装着しておくことにした。まだ一日目だ。装備のドライ状態を大切にしたい。
2021年05月03日 16:00撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 16:00
荷物を軽くしているはずの一日目だが、かなりしんどい。
雪のほうは小雪程度なので悩んだが、ここらでレインウェアやザックカバーを装着しておくことにした。まだ一日目だ。装備のドライ状態を大切にしたい。
露岩「篭石(カワゴ石)」を右手に通過。
2021年05月03日 16:41撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 16:41
露岩「篭石(カワゴ石)」を右手に通過。
篭石には、江戸期の不動明王像と金剛童子像が祀られている。
2021年05月03日 16:41撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 16:41
篭石には、江戸期の不動明王像と金剛童子像が祀られている。
風が強まり、吹雪のように小雪が舞う。レインウェアに付着してくる。
2021年05月03日 16:45撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 16:45
風が強まり、吹雪のように小雪が舞う。レインウェアに付着してくる。
1600m越えの茶ノ木平へと登り詰めていく。まさか雪になるとは。今夜は予想以上に奥日光は冷えそうだ。
2021年05月03日 16:51撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 16:51
1600m越えの茶ノ木平へと登り詰めていく。まさか雪になるとは。今夜は予想以上に奥日光は冷えそうだ。
だだっ広い茶ノ木平に乗り上げだ。雪がやみ、南のほうは晴れ間も。ただし風だけは相変わらず冷たい。
2021年05月03日 16:59撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 16:59
だだっ広い茶ノ木平に乗り上げだ。雪がやみ、南のほうは晴れ間も。ただし風だけは相変わらず冷たい。
茶ノ木平は広いが、その中のこの辺りに「千泉宿」があったのではとの仮説だ。
2021年05月03日 17:06撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 17:06
茶ノ木平は広いが、その中のこの辺りに「千泉宿」があったのではとの仮説だ。
草原台地の展望台である茶ノ木平は、昭和期、ロープウェイや高山植物園などの観光開発がなされた。そのため、「千泉宿」史跡は飲み込まれたのかもしれない。今やピンポイントでは定かでないようだ。
2021年05月03日 17:06撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 17:06
草原台地の展望台である茶ノ木平は、昭和期、ロープウェイや高山植物園などの観光開発がなされた。そのため、「千泉宿」史跡は飲み込まれたのかもしれない。今やピンポイントでは定かでないようだ。
さて、ここから一般登山道ではなくてバリルートで進む。〈夏峯〉独自のルート採りだ。西方向に下っていって中禅寺湖に至る。
2021年05月03日 17:10撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 17:10
さて、ここから一般登山道ではなくてバリルートで進む。〈夏峯〉独自のルート採りだ。西方向に下っていって中禅寺湖に至る。
フミアトは無いだろうと覚悟していたのだが、わりとしっかり付いていた。意外と歩いているモノ好きがいるものだ。正直助かっている。
2021年05月03日 17:15撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 17:15
フミアトは無いだろうと覚悟していたのだが、わりとしっかり付いていた。意外と歩いているモノ好きがいるものだ。正直助かっている。
こんなフミアトだ。
2021年05月03日 17:20撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 17:20
こんなフミアトだ。
いちど観光林道に着地する。その手前のこの急斜面がちょっと緊張した。
2021年05月03日 17:34撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 17:34
いちど観光林道に着地する。その手前のこの急斜面がちょっと緊張した。
林道からガードレールを跨いで、またバリルートへ。広い沢地形を北進して下降していく。
実は西進すると「駒擁護」という小ピークがあり、そこも拝所になっている。今回、私はスルーしたが。
尚、そのピーク位置情報が『全踏査〜』所収の地図では完全に間違っているとの、重要な指摘がヤマレコユーザーthoughtmay様からなされている。
2021年05月03日 17:38撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/3 17:38
林道からガードレールを跨いで、またバリルートへ。広い沢地形を北進して下降していく。
実は西進すると「駒擁護」という小ピークがあり、そこも拝所になっている。今回、私はスルーしたが。
尚、そのピーク位置情報が『全踏査〜』所収の地図では完全に間違っているとの、重要な指摘がヤマレコユーザーthoughtmay様からなされている。
雨で派手に浸食された地形を下る。おもに、左側の土手の上あたりを辿って、湖に接近していった。
2021年05月03日 17:42撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 17:42
雨で派手に浸食された地形を下る。おもに、左側の土手の上あたりを辿って、湖に接近していった。
歌ヶ浜第二駐車場あたりに着地。中禅寺湖にゴール。湖岸は風が強い。
2021年05月03日 17:58撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/3 17:58
歌ヶ浜第二駐車場あたりに着地。中禅寺湖にゴール。湖岸は風が強い。
歌ヶ浜。修験道における、かつての「歌之浜宿」がここにあった。
〈夏峯〉前半の一日目は、ここをゴールとする。疲れた。
2021年05月03日 18:17撮影 by  DSC-WX500, SONY
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歌ヶ浜。修験道における、かつての「歌之浜宿」がここにあった。
〈夏峯〉前半の一日目は、ここをゴールとする。疲れた。
歌之浜宿の史跡である石造りの護摩壇は、立木観音(移築された中禅寺)の敷地内にある。有料でそれを観光でるが、この日はもう時間が遅くて閉門していた。
2021年05月03日 18:19撮影 by  DSC-WX500, SONY
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歌之浜宿の史跡である石造りの護摩壇は、立木観音(移築された中禅寺)の敷地内にある。有料でそれを観光でるが、この日はもう時間が遅くて閉門していた。
後日、明るい時間帯に撮影した写真。
中禅寺(立木観音)の境内にある石護摩壇。鳥居の向こうに円形の台があり、採燈護摩による礼拝ができる。四本の柱が結界を結ぶために立っている。
現在では、この寺が8月の「船禅頂」修行のスタート地点となっている。文字通り、船で中禅寺湖の各遥拝所を巡るもので、一般信者も参加する人気行事だ。ここで護摩が焚かれてから乗船する。
2021年07月03日 16:31撮影 by  iPhone 12 Pro, Apple
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後日、明るい時間帯に撮影した写真。
中禅寺(立木観音)の境内にある石護摩壇。鳥居の向こうに円形の台があり、採燈護摩による礼拝ができる。四本の柱が結界を結ぶために立っている。
現在では、この寺が8月の「船禅頂」修行のスタート地点となっている。文字通り、船で中禅寺湖の各遥拝所を巡るもので、一般信者も参加する人気行事だ。ここで護摩が焚かれてから乗船する。
さて、私は湖岸を北へ少し歩いて中禅寺温泉バスターミナルへ。いちど東武バスで日光市街地に戻り、マイカーと明日からの重い装備類を回収する。あとコンビニで補給も。今夜の奥日光はかなり寒そうなので、標高低めの場所に移動して車中泊をした。
2021年05月04日 05:18撮影 by  DSC-WX500, SONY
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さて、私は湖岸を北へ少し歩いて中禅寺温泉バスターミナルへ。いちど東武バスで日光市街地に戻り、マイカーと明日からの重い装備類を回収する。あとコンビニで補給も。今夜の奥日光はかなり寒そうなので、標高低めの場所に移動して車中泊をした。
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二日目は、歌ヶ浜第二駐車場からスタートする。昨日とちがって、野営道具や飲食物などで荷物多め。残雪に対応しうるギアも背負うから重くなる。
中禅寺湖南岸に沿った、長い道のりをまずはひたすら歩く。
2021年05月04日 05:50撮影 by  DSC-WX500, SONY
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二日目は、歌ヶ浜第二駐車場からスタートする。昨日とちがって、野営道具や飲食物などで荷物多め。残雪に対応しうるギアも背負うから重くなる。
中禅寺湖南岸に沿った、長い道のりをまずはひたすら歩く。
狸窪あたりで。
アカヤシオの向こうに、尾瀬にもほど近い日光白根山方面の山々が望めた。まだだいぶ白い。昨夜とうって変わって、今朝は気温が上昇し、風もほぼ無風ではある。しかしながら、この先の残雪量は気がかりになってきた。
2021年05月04日 05:51撮影 by  DSC-WX500, SONY
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狸窪あたりで。
アカヤシオの向こうに、尾瀬にもほど近い日光白根山方面の山々が望めた。まだだいぶ白い。昨夜とうって変わって、今朝は気温が上昇し、風もほぼ無風ではある。しかしながら、この先の残雪量は気がかりになってきた。
阿世潟あたりの浜で、男体山を。
ちなみに〈夏峯〉一行は、歌之浜宿には二日間滞在し、英気を養ったとか。またその間、なぜか中禅寺山(竜タテホコ)をピストン登拝したとのこと。なぜ、展望優美な半月峠の方ではなく、樹林帯の中禅寺山の方だったのか?
2021年05月04日 06:13撮影 by  DSC-WX500, SONY
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阿世潟あたりの浜で、男体山を。
ちなみに〈夏峯〉一行は、歌之浜宿には二日間滞在し、英気を養ったとか。またその間、なぜか中禅寺山(竜タテホコ)をピストン登拝したとのこと。なぜ、展望優美な半月峠の方ではなく、樹林帯の中禅寺山の方だったのか?
湖岸の「中禅寺湖周遊歩道」は、そこそこアップダウンのある立派な登山道だ。にもかかわらず、夜中3時とかに出立したトラウトフィッシャーが、早朝の釣果をねらって多く入っていた。よく歩くものだ。さすがGWの釣り人だ。
なお、この辺りに行者が野営したという「夕暮ノ宿」の比定地もあるらしい。
2021年05月04日 06:30撮影 by  DSC-WX500, SONY
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湖岸の「中禅寺湖周遊歩道」は、そこそこアップダウンのある立派な登山道だ。にもかかわらず、夜中3時とかに出立したトラウトフィッシャーが、早朝の釣果をねらって多く入っていた。よく歩くものだ。さすがGWの釣り人だ。
なお、この辺りに行者が野営したという「夕暮ノ宿」の比定地もあるらしい。
上野島が湖上に見える。

行者たちは、半月山〜社山〜黒檜岳という稜線の道を選ぶのではなく、湖岸を進んだ。沢の水場へのアクセスが重要だった他、海のような存在感の中禅寺湖を重視したということが理由なのだろうか。
2021年05月04日 06:43撮影 by  DSC-WX500, SONY
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上野島が湖上に見える。

行者たちは、半月山〜社山〜黒檜岳という稜線の道を選ぶのではなく、湖岸を進んだ。沢の水場へのアクセスが重要だった他、海のような存在感の中禅寺湖を重視したということが理由なのだろうか。
社山の麓「大日」に着いた。岬の突端には石像が。
2021年05月04日 07:04撮影 by  DSC-WX500, SONY
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社山の麓「大日」に着いた。岬の突端には石像が。
大日如来像が湖面を見つめていた。
2021年05月04日 07:05撮影 by  DSC-WX500, SONY
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大日如来像が湖面を見つめていた。
レイクトラウト釣りが解禁されている最終地点、松ヶ崎あたり。その先は禁猟区となる。手前に水場があった。これには釣り人も助かるだろう。
2021年05月04日 07:18撮影 by  DSC-WX500, SONY
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レイクトラウト釣りが解禁されている最終地点、松ヶ崎あたり。その先は禁猟区となる。手前に水場があった。これには釣り人も助かるだろう。
白岩に到着。しかし湖岸歩きが長い。もうだいぶ歩き続けて、陽が高くなっていた。
2021年05月04日 08:32撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/4 8:32
白岩に到着。しかし湖岸歩きが長い。もうだいぶ歩き続けて、陽が高くなっていた。
白岩の展望台からの風景。
2021年05月04日 08:30撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/4 8:30
白岩の展望台からの風景。
さて、〈夏峯〉では黒檜岳には登る。
その取付地点がいよいよ近づいてきた。木の橋がいくつも架けられているエリアで、適当な地点で南に入った。緊張してきた。
2021年05月04日 09:10撮影 by  DSC-WX500, SONY
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さて、〈夏峯〉では黒檜岳には登る。
その取付地点がいよいよ近づいてきた。木の橋がいくつも架けられているエリアで、適当な地点で南に入った。緊張してきた。
広場になっていた。まずは大和田沢という流れを探して、それを遡上しなければ。
2021年05月04日 09:17撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/4 9:17
広場になっていた。まずは大和田沢という流れを探して、それを遡上しなければ。
おそらく、この辺りが「多和ノ宿」と呼ばれた地点。黒檜岳往復における重要な起点となる。
黒檜岳へは現在の一般登山道(破線ルート)をほぼ使わない。古来の修験道は、沢地形をいかした二本のバリルートによって構成される。
2021年05月04日 09:21撮影 by  DSC-WX500, SONY
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おそらく、この辺りが「多和ノ宿」と呼ばれた地点。黒檜岳往復における重要な起点となる。
黒檜岳へは現在の一般登山道(破線ルート)をほぼ使わない。古来の修験道は、沢地形をいかした二本のバリルートによって構成される。
「多和ノ宿」に荷物をデポ。できるだけ軽量化して臨む。この先かなり未知数なので、何を持って何を置いていくか悩みどころだ。
2021年05月04日 09:34撮影 by  DSC-WX500, SONY
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「多和ノ宿」に荷物をデポ。できるだけ軽量化して臨む。この先かなり未知数なので、何を持って何を置いていくか悩みどころだ。
すぐ近くから水音が。やがて地中に伏流していく、小さな沢だ。綺麗そうな水を補充した。まあ一応、浄水器越しにチューチューするけれど。
2021年05月04日 09:39撮影 by  DSC-WX500, SONY
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すぐ近くから水音が。やがて地中に伏流していく、小さな沢だ。綺麗そうな水を補充した。まあ一応、浄水器越しにチューチューするけれど。
遡ると、おそらく大和田沢と思われる本流が。その左岸をメインに、沢沿いのルート採りでできるだけ登ってみる。
2021年05月04日 09:42撮影 by  DSC-WX500, SONY
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遡ると、おそらく大和田沢と思われる本流が。その左岸をメインに、沢沿いのルート採りでできるだけ登ってみる。
谷底地形になっていくその川を、なおも直進したかったのだが、大きな岩がせり出していて靴を濡らさずには進めなさそうに思われた。悩んだ末、東寄りに巻くようにして急斜面を上がっていく道に賭けてみた。
2021年05月04日 10:12撮影 by  DSC-WX500, SONY
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谷底地形になっていくその川を、なおも直進したかったのだが、大きな岩がせり出していて靴を濡らさずには進めなさそうに思われた。悩んだ末、東寄りに巻くようにして急斜面を上がっていく道に賭けてみた。
うーん、あまりにも東にトラバースしすぎて、非効率的なルート採り、無駄な体力をつかってしまっただろうか? 識者にログのご批評・ご批判を頂きたいところだ。
涸れ沢となる地点まで登ってきて、ようやく元々ねらっていた直登ライン上に合流する。
2021年05月04日 10:32撮影 by  DSC-WX500, SONY
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うーん、あまりにも東にトラバースしすぎて、非効率的なルート採り、無駄な体力をつかってしまっただろうか? 識者にログのご批評・ご批判を頂きたいところだ。
涸れ沢となる地点まで登ってきて、ようやく元々ねらっていた直登ライン上に合流する。
藪漕ぎハイクアップが始まったようだ。この標高まで来ると、まだ新緑の芽吹きもない。藪は藪でも、見通しがあるぶん真夏よりマシだろう。小枝をかき分けて登る。
2021年05月04日 10:36撮影 by  DSC-WX500, SONY
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藪漕ぎハイクアップが始まったようだ。この標高まで来ると、まだ新緑の芽吹きもない。藪は藪でも、見通しがあるぶん真夏よりマシだろう。小枝をかき分けて登る。
いや、やはり枯れ藪でも、藪漕ぎはツライものはツライ。
2021年05月04日 10:37撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/4 10:37
いや、やはり枯れ藪でも、藪漕ぎはツライものはツライ。
初級ヤブを突破。しかし今度は、徐々に斜度が増してくる。
2021年05月04日 10:40撮影 by  DSC-WX500, SONY
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初級ヤブを突破。しかし今度は、徐々に斜度が増してくる。
涸れ沢なんだか尾根なんだかワケのわからない、複雑な凹凸のある斜面を登る。登ることに必死なので、ルート採りはどんどん適当になってくる。
2021年05月04日 10:41撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/4 10:41
涸れ沢なんだか尾根なんだかワケのわからない、複雑な凹凸のある斜面を登る。登ることに必死なので、ルート採りはどんどん適当になってくる。
低木や草の藪をかきわけながら、登る登る。
修験道に水は有用だろう。とはいえ、なんでわざわざ理解できない沢地形を選んで直登しなければならないのか。そもそも何故、黒檜岳を往復登拝することが重要だったのか。この「寄り道」に、だんだん腹が立ってきた。
2021年05月04日 10:56撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/4 10:56
低木や草の藪をかきわけながら、登る登る。
修験道に水は有用だろう。とはいえ、なんでわざわざ理解できない沢地形を選んで直登しなければならないのか。そもそも何故、黒檜岳を往復登拝することが重要だったのか。この「寄り道」に、だんだん腹が立ってきた。
昨日からの疲労。この先への不安。ちょっと気持ちが悪くなってきた。
身を屈めたら、そこにピンポイントでシカの角!?!?
屈まなかったら、間違いなく気づかずに踏んずけて通過していたはずの物だった。これは何かのサイン? 我ながら神秘主義的、迷信的だとは思うのだが、この重い山のお土産を持ち帰ることに私は決めた。
2021年05月04日 11:02撮影 by  DSC-WX500, SONY
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昨日からの疲労。この先への不安。ちょっと気持ちが悪くなってきた。
身を屈めたら、そこにピンポイントでシカの角!?!?
屈まなかったら、間違いなく気づかずに踏んずけて通過していたはずの物だった。これは何かのサイン? 我ながら神秘主義的、迷信的だとは思うのだが、この重い山のお土産を持ち帰ることに私は決めた。
シカの角をお持ち帰りできるという、新しいモチベを与えられて、少し元気を取り戻すことができた。
やがて、植生は針葉樹林帯めいてきた。
2021年05月04日 11:18撮影 by  DSC-WX500, SONY
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シカの角をお持ち帰りできるという、新しいモチベを与えられて、少し元気を取り戻すことができた。
やがて、植生は針葉樹林帯めいてきた。
コメツガ林の急斜面をねばる。倒木が多くて歩きにくい、なかなかはかどらない、でもねばる。
2021年05月04日 11:40撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/4 11:40
コメツガ林の急斜面をねばる。倒木が多くて歩きにくい、なかなかはかどらない、でもねばる。
針葉樹の迷路だ。けれど、ここまで来たら、あとはとにかく標高を上げさえすれば。
2021年05月04日 11:54撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/4 11:54
針葉樹の迷路だ。けれど、ここまで来たら、あとはとにかく標高を上げさえすれば。
一般登山道に合流。
まぶしげな黄色いリボンの目印があった。未開の地から文明の光に至った。
2021年05月04日 12:02撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/4 12:02
一般登山道に合流。
まぶしげな黄色いリボンの目印があった。未開の地から文明の光に至った。
とたんに残雪が現れた。
GWということもあって、千手ヶ浜登山口から黒檜岳をめざすハイカーさんたちがけっこういて、なんだか驚く。ここまでの原子林っぷりはなんだったのか。
2021年05月04日 12:03撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/4 12:03
とたんに残雪が現れた。
GWということもあって、千手ヶ浜登山口から黒檜岳をめざすハイカーさんたちがけっこういて、なんだか驚く。ここまでの原子林っぷりはなんだったのか。
締まった雪の表面が再び太陽熱で溶けているようで、そこそこ滑りやすかった。チェーンアイゼンを出すほどではないが。
2021年05月04日 12:07撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/4 12:07
締まった雪の表面が再び太陽熱で溶けているようで、そこそこ滑りやすかった。チェーンアイゼンを出すほどではないが。
黒檜岳1976mに初登頂。
ワケわからないルートによる初登頂となった。嬉しいが、なんか微妙な気持ちもある。不思議なきぶんの登頂だ。
2021年05月04日 12:16撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/4 12:16
黒檜岳1976mに初登頂。
ワケわからないルートによる初登頂となった。嬉しいが、なんか微妙な気持ちもある。不思議なきぶんの登頂だ。
なぜ行者たちは黒檜岳に参ったのだろうか。わからない。わからないが、古文書では確かに〈夏峯〉はここを踏むことになっている。
2021年05月04日 12:19撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/4 12:19
なぜ行者たちは黒檜岳に参ったのだろうか。わからない。わからないが、古文書では確かに〈夏峯〉はここを踏むことになっている。
充実感と不条理との両方をいだきながら、下山を開始する。しばらくは一般登山道を辿ることが許される。日光マークを久しぶりに見た。
2021年05月04日 12:35撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/4 12:35
充実感と不条理との両方をいだきながら、下山を開始する。しばらくは一般登山道を辿ることが許される。日光マークを久しぶりに見た。
では、このあたりから往路とは別のバリルートに突入する。下山もスマートにはいかない予感がする。先が思いやられる・・・
2021年05月04日 13:12撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/4 13:12
では、このあたりから往路とは別のバリルートに突入する。下山もスマートにはいかない予感がする。先が思いやられる・・・
とりあえず取得してある参考ログを見て、ちらちら照らし合わせながら慎重に下山してみた。
?????
わからん。凹凸に起伏するフィールド。ところどころ緩く、ところどころ急峻。倒木や藪が更に進行方向をブレさせてくる。
2021年05月04日 13:28撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/4 13:28
とりあえず取得してある参考ログを見て、ちらちら照らし合わせながら慎重に下山してみた。
?????
わからん。凹凸に起伏するフィールド。ところどころ緩く、ところどころ急峻。倒木や藪が更に進行方向をブレさせてくる。
とにかく安全第一にと考え、グネグネ歩いて高度を下げていった。ときにシャクナゲ藪に突っ込む選択もしながら。痛いし、進まない。それでも、ざっくり方角は当たっているので、枝を掴みつつそのまま下る。
2021年05月04日 13:35撮影 by  DSC-WX500, SONY
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とにかく安全第一にと考え、グネグネ歩いて高度を下げていった。ときにシャクナゲ藪に突っ込む選択もしながら。痛いし、進まない。それでも、ざっくり方角は当たっているので、枝を掴みつつそのまま下る。
窪んだ場所は、永年の雨の流れで浸食した地形なのか。こういう坂には春になっても落葉が吹き溜まったままで、滑りやすくなることが多い。足を力ませ、強くブレーキをかけながら急下降していく。
2021年05月04日 13:55撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/4 13:55
窪んだ場所は、永年の雨の流れで浸食した地形なのか。こういう坂には春になっても落葉が吹き溜まったままで、滑りやすくなることが多い。足を力ませ、強くブレーキをかけながら急下降していく。
「多和ノ宿」に帰還してしまった。なんだかよく分からない下山路だった。モヤモヤ感がある。が、シカの角を収穫したことを思い出し、少し嬉しくなれるのは救いだ。
デポ回収して、沢で水を再補給。しばらくぐったり小休止しました。黒檜岳おそるべしだ。
2021年05月04日 14:16撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/4 14:16
「多和ノ宿」に帰還してしまった。なんだかよく分からない下山路だった。モヤモヤ感がある。が、シカの角を収穫したことを思い出し、少し嬉しくなれるのは救いだ。
デポ回収して、沢で水を再補給。しばらくぐったり小休止しました。黒檜岳おそるべしだ。
いつまでもタイムロスしていては詰むので、重い腰をあげた。二日目のふたつめのボスキャラ山のもとへと進軍を始める。湖岸を北へ。
2021年05月04日 14:22撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/4 14:22
いつまでもタイムロスしていては詰むので、重い腰をあげた。二日目のふたつめのボスキャラ山のもとへと進軍を始める。湖岸を北へ。
黒檜岳登山口を通過して、近年建立されたらしい千手堂に至る。まだピカピカだ。
2021年05月04日 14:47撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/4 14:47
黒檜岳登山口を通過して、近年建立されたらしい千手堂に至る。まだピカピカだ。
千手堂の説明。
進路はなおも北へ。船着き場とクリンソウ群生で名高い、千手ヶ浜に向かう。
2021年05月04日 14:47撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/4 14:47
千手堂の説明。
進路はなおも北へ。船着き場とクリンソウ群生で名高い、千手ヶ浜に向かう。
ヒトリシズカみたいなフタリシズカみたいな。この花なんだっけ?
2021年05月04日 14:58撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/4 14:58
ヒトリシズカみたいなフタリシズカみたいな。この花なんだっけ?
湖岸に群生している。
2021年05月04日 14:58撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/4 14:58
湖岸に群生している。
千手ヶ浜に到達。今日は暖かな好天だ。ここで今夜から明日の天気予報を吟味。これまでの経験則と想像力を動員して、登山計画と照合する。進んだらもう引き返せないタイプの行程が、この先には待っている。天気がダメだったらここで低公害バスに乗ってリタイアすべきだ。そういう重要な地点だった。
2021年05月04日 14:58撮影 by  DSC-WX500, SONY
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千手ヶ浜に到達。今日は暖かな好天だ。ここで今夜から明日の天気予報を吟味。これまでの経験則と想像力を動員して、登山計画と照合する。進んだらもう引き返せないタイプの行程が、この先には待っている。天気がダメだったらここで低公害バスに乗ってリタイアすべきだ。そういう重要な地点だった。
祠を見ながら、決断した。
今夜の気温と風速。→ハンモック泊可能。
明日の降雨と強風。→きついけど死ぬほどではない。
2021年05月04日 14:59撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/4 14:59
祠を見ながら、決断した。
今夜の気温と風速。→ハンモック泊可能。
明日の降雨と強風。→きついけど死ぬほどではない。
バス停や船着き場に帰る観光客とすれ違いながら、ハルニレの樹が並ぶ遊歩道を西進した。
やがて、静かな西ノ湖。
2021年05月04日 15:41撮影 by  DSC-WX500, SONY
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バス停や船着き場に帰る観光客とすれ違いながら、ハルニレの樹が並ぶ遊歩道を西進した。
やがて、静かな西ノ湖。
さらに奥の、廃道となった旧遊歩道を進む。かつて、カクレ滝を観瀑させるために整備したルートなのだろう。
この平坦地の奥で、前宿堂坊山へ登る取付地点を探らなければならない。
2021年05月04日 15:53撮影 by  DSC-WX500, SONY
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さらに奥の、廃道となった旧遊歩道を進む。かつて、カクレ滝を観瀑させるために整備したルートなのだろう。
この平坦地の奥で、前宿堂坊山へ登る取付地点を探らなければならない。
ここまで来ると、日光マークがあっても遊歩道としての体をなしていない。積もった落石、日光の闇部へと誘うかのような涸れ沢。
どこが効率的な取付地点になるのか自信がもてず、しばらく右往左往してしまった。
2021年05月04日 16:12撮影 by  DSC-WX500, SONY
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ここまで来ると、日光マークがあっても遊歩道としての体をなしていない。積もった落石、日光の闇部へと誘うかのような涸れ沢。
どこが効率的な取付地点になるのか自信がもてず、しばらく右往左往してしまった。
ある程度登って見てみないと、先がわからない箇所があった。脆い土くれと小岩の急斜面を、無雪期用ピッケルとチェーンアイゼンで、そして枝・根・草を掴んだりしながら上がってみる。もちろん無事に復帰できる範囲で。だがこっちは間違いだった。ゆっくり戻る。
がっかり項垂れる私を、カモシカがぼけーっと眺めていた。
2021年05月04日 16:32撮影 by  DSC-WX500, SONY
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ある程度登って見てみないと、先がわからない箇所があった。脆い土くれと小岩の急斜面を、無雪期用ピッケルとチェーンアイゼンで、そして枝・根・草を掴んだりしながら上がってみる。もちろん無事に復帰できる範囲で。だがこっちは間違いだった。ゆっくり戻る。
がっかり項垂れる私を、カモシカがぼけーっと眺めていた。
まさかなあ、と思って後回しにしていた怖そうな涸れ沢。どうやらココらしい。すごくイヤだが、細心の注意をはらって、尾根に乗り上げられそうなポイントに近づいていきました。脆くてすぐに足場が落石しそう。ロープが無い場合、ここはほぼ片道切符。
2021年05月04日 16:36撮影 by  DSC-WX500, SONY
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まさかなあ、と思って後回しにしていた怖そうな涸れ沢。どうやらココらしい。すごくイヤだが、細心の注意をはらって、尾根に乗り上げられそうなポイントに近づいていきました。脆くてすぐに足場が落石しそう。ロープが無い場合、ここはほぼ片道切符。
よっしゃー、尾根に乗った!
だいぶ時間ロスしたけれど。
2021年05月04日 16:55撮影 by  DSC-WX500, SONY
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よっしゃー、尾根に乗った!
だいぶ時間ロスしたけれど。
ヘッドライトを使わないで済むうちに、どうにか宿堂坊山に至るのが目標。先を急ぎたいところだが、尾根筋は薮や倒木が当たり前のようにあってアクセルは踏めない。
2021年05月04日 17:17撮影 by  DSC-WX500, SONY
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ヘッドライトを使わないで済むうちに、どうにか宿堂坊山に至るのが目標。先を急ぎたいところだが、尾根筋は薮や倒木が当たり前のようにあってアクセルは踏めない。
ノンストップな登り坂をダイレクトに辿る。なかなか行程も長い。この二日間の疲労も積み重なってきて、苦戦中。
2021年05月04日 17:34撮影 by  DSC-WX500, SONY
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ノンストップな登り坂をダイレクトに辿る。なかなか行程も長い。この二日間の疲労も積み重なってきて、苦戦中。
だいぶ標高を稼いできたはずなのだが。笹藪を漕ぐ、というよりも掴んで身体を引き上げて登っている。そうすると少し楽だ。西ノ湖からここまで、フミアトの痕跡はゼロだった。
2021年05月04日 18:13撮影 by  DSC-WX500, SONY
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だいぶ標高を稼いできたはずなのだが。笹藪を漕ぐ、というよりも掴んで身体を引き上げて登っている。そうすると少し楽だ。西ノ湖からここまで、フミアトの痕跡はゼロだった。
私の身長では、掴める感じじゃなくなってきた。潜るようにガサゴソ。足を踏ん張る。
2021年05月04日 18:17撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/4 18:17
私の身長では、掴める感じじゃなくなってきた。潜るようにガサゴソ。足を踏ん張る。
「国境稜線」の登山道に合流した。ぜんぜん一般登山道扱いではないけれど、目印はあるからそれだけでも登山道と言いたい。

「国境稜線」という通称は、下野国(栃木)と上野国(群馬)との県境を走っているという意味。しばらくはこの稜線上を辿ることになる。
2021年05月04日 18:24撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/4 18:24
「国境稜線」の登山道に合流した。ぜんぜん一般登山道扱いではないけれど、目印はあるからそれだけでも登山道と言いたい。

「国境稜線」という通称は、下野国(栃木)と上野国(群馬)との県境を走っているという意味。しばらくはこの稜線上を辿ることになる。
深山のマイナールートといった雰囲気のある、前宿堂坊山あたり。
はるか南方の皇海山方面からつらなっている稜線上にあるピークだ。
2021年05月04日 18:25撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/4 18:25
深山のマイナールートといった雰囲気のある、前宿堂坊山あたり。
はるか南方の皇海山方面からつらなっている稜線上にあるピークだ。
北へ向かって稜線歩き。樹林帯の隙間から中禅寺湖が見えた。風はほとんどない夕刻だ。
2021年05月04日 18:41撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/4 18:41
北へ向かって稜線歩き。樹林帯の隙間から中禅寺湖が見えた。風はほとんどない夕刻だ。
前宿堂坊山から宿堂坊山までまだ標高差があるし、あまり歩きやすい道でもないのだが、よく探せば目印はあるのでラストスパートを頑張る。
2021年05月04日 18:47撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/4 18:47
前宿堂坊山から宿堂坊山までまだ標高差があるし、あまり歩きやすい道でもないのだが、よく探せば目印はあるのでラストスパートを頑張る。
宿堂坊山1968.2mに登頂した。
いかにも日光修験道とかかわりが深そうな山名だ。
ここまで登ると、残雪が目立ってきた。

この近くでも宿泊は可能かと思うが、日没後の余光をつかって、登山計画通りにネギト沢のコルまで下降しよう。
2021年05月04日 19:05撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/4 19:05
宿堂坊山1968.2mに登頂した。
いかにも日光修験道とかかわりが深そうな山名だ。
ここまで登ると、残雪が目立ってきた。

この近くでも宿泊は可能かと思うが、日没後の余光をつかって、登山計画通りにネギト沢のコルまで下降しよう。
ネギト沢のコル。修験者たちも寝泊まりした旧名「男嶽之宿」だ。標高1850mにある二日目の宿泊地に到着だ。

今宵は、ダウンハンモック泊に挑戦。暗い中、タープやツリーストラップを張っていく。カレーメシ2食分を温めて食べて。気温は高めとはいえ、冬季用ダウンジャケットとダウンパンツと象足は着て就寝した。
2021年05月04日 21:19撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/4 21:19
ネギト沢のコル。修験者たちも寝泊まりした旧名「男嶽之宿」だ。標高1850mにある二日目の宿泊地に到着だ。

今宵は、ダウンハンモック泊に挑戦。暗い中、タープやツリーストラップを張っていく。カレーメシ2食分を温めて食べて。気温は高めとはいえ、冬季用ダウンジャケットとダウンパンツと象足は着て就寝した。
5/5
起床。ハンモックから出て最初に為すべきことは、飲み水の補給だ。この先の道のりは残雪が多そうな予感。念には念をいれて、早々にチェーンアイゼンを付けてしまう。どんな道になるか分からなかった。
2021年05月05日 04:42撮影 by  DSC-WX500, SONY
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起床。ハンモックから出て最初に為すべきことは、飲み水の補給だ。この先の道のりは残雪が多そうな予感。念には念をいれて、早々にチェーンアイゼンを付けてしまう。どんな道になるか分からなかった。
コルの北側へ斜面を下ると、まもなく水のせせらぎが聴こえてきた。沢があるようだが、わざわざそこまで下降しなくても左耳のほうにチョロチョロした音が察せられた。この岩で汲む。綺麗な水場だった。
2021年05月05日 04:57撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/5 4:57
コルの北側へ斜面を下ると、まもなく水のせせらぎが聴こえてきた。沢があるようだが、わざわざそこまで下降しなくても左耳のほうにチョロチョロした音が察せられた。この岩で汲む。綺麗な水場だった。
残雪を登り返し、コルの我が家に帰宅。
今回、ハンモックをより遠くまで攻める武器として選んだ。その軽量性、コンパクトさなどのメリットには助けられる。もしテント泊一式の重量があったら、ボッカパワーに乏しい私ではここまで山奥へ前進することは不可能だっただろう。
2021年05月05日 05:16撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/5 5:16
残雪を登り返し、コルの我が家に帰宅。
今回、ハンモックをより遠くまで攻める武器として選んだ。その軽量性、コンパクトさなどのメリットには助けられる。もしテント泊一式の重量があったら、ボッカパワーに乏しい私ではここまで山奥へ前進することは不可能だっただろう。
さて、撤収開始しながら本日のことを考える。この後、風は強まり雨が降ってくる見込み。4月末にまとまった降雪があったから、まず雪が少ないということはないはず。苦戦は必定か。
最悪、樹林帯でさえあればハンモックは、どんな中途半端な地点、不整地や斜面でもビバーク可能なので、大事に至ることはないはずだが。
2021年05月05日 05:16撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/5 5:16
さて、撤収開始しながら本日のことを考える。この後、風は強まり雨が降ってくる見込み。4月末にまとまった降雪があったから、まず雪が少ないということはないはず。苦戦は必定か。
最悪、樹林帯でさえあればハンモックは、どんな中途半端な地点、不整地や斜面でもビバーク可能なので、大事に至ることはないはずだが。
じゅうぶんに明るくなってきたところで行動開始。
ほんとうは、ここ男嶽之宿の近くには、古そうな石祠が土に埋まっているはずだ。見てみたかったが、まだ雪に覆い隠されていて手掛かりすらなかった。
2021年05月05日 05:17撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/5 5:17
じゅうぶんに明るくなってきたところで行動開始。
ほんとうは、ここ男嶽之宿の近くには、古そうな石祠が土に埋まっているはずだ。見てみたかったが、まだ雪に覆い隠されていて手掛かりすらなかった。
フミアト不明瞭ではあるが、この辺りはまだ残雪はまばら。雪に覆われているよりはマシに歩けた。
2021年05月05日 05:56撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/5 5:56
フミアト不明瞭ではあるが、この辺りはまだ残雪はまばら。雪に覆われているよりはマシに歩けた。
藪は時々だけだが、倒木のほうはそれなりに多く道を塞いでいる。
2021年05月05日 06:10撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/5 6:10
藪は時々だけだが、倒木のほうはそれなりに多く道を塞いでいる。
1991mピークを通過。
各種の目印は、乱打されているところには乱打されていて、無いところには無い、といった印象。この傾向がこの先ずっと続く。無い区間に入ると、やはり不明瞭ゆえに減速してしまう。
2021年05月05日 06:24撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/5 6:24
1991mピークを通過。
各種の目印は、乱打されているところには乱打されていて、無いところには無い、といった印象。この傾向がこの先ずっと続く。無い区間に入ると、やはり不明瞭ゆえに減速してしまう。
先はまだまだ遠く、高そうだ。ただ高く登るだけでなく、何度も下らされるアップダウンだ。累積標高差が圧し掛かってきそう。
2021年05月05日 06:44撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/5 6:44
先はまだまだ遠く、高そうだ。ただ高く登るだけでなく、何度も下らされるアップダウンだ。累積標高差が圧し掛かってきそう。
この先に錫ヶ岳があると示しているが、ずっと遠く、まだかなり時間がかかる気がしてならない。
2021年05月05日 06:49撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/5 6:49
この先に錫ヶ岳があると示しているが、ずっと遠く、まだかなり時間がかかる気がしてならない。
登山道。錫ヶ岳まで、雪が無いところはこんな雰囲気。
2021年05月05日 06:49撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/5 6:49
登山道。錫ヶ岳まで、雪が無いところはこんな雰囲気。
と、遠い。奥白根山までの距離感をうっかり樹間から見てしまった。
〈夏峯〉一行、修験者たちは、7〜8月の真夏とはいえ、よくこんな標高の稜線を渡り歩いたものだ。
2021年05月05日 07:05撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/5 7:05
と、遠い。奥白根山までの距離感をうっかり樹間から見てしまった。
〈夏峯〉一行、修験者たちは、7〜8月の真夏とはいえ、よくこんな標高の稜線を渡り歩いたものだ。
さて困った。雪の量が想像した以上に多い。雪質は固く締まってチェーンアイゼンを負かすか、陽当たりの良い場所は腐ってチェーンアイゼンを負かす。いずれにしても負かすから、お守り程度のギアになりそうだ。それでも安全第一。僅差で、履いているほうにメリットがあるとは思っているが。
2021年05月05日 07:12撮影 by  DSC-WX500, SONY
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さて困った。雪の量が想像した以上に多い。雪質は固く締まってチェーンアイゼンを負かすか、陽当たりの良い場所は腐ってチェーンアイゼンを負かす。いずれにしても負かすから、お守り程度のギアになりそうだ。それでも安全第一。僅差で、履いているほうにメリットがあるとは思っているが。
無雪期用ピッケル「凌ピッケル」を取り出しておく。無雪期用とは言っても、雪山でもかなり有効だ。足が横に滑る斜面では、これを叩き込みながら行けばよかった。
2021年05月05日 07:21撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/5 7:21
無雪期用ピッケル「凌ピッケル」を取り出しておく。無雪期用とは言っても、雪山でもかなり有効だ。足が横に滑る斜面では、これを叩き込みながら行けばよかった。
風が強まり、雲が増えてきた。もうすぐ青空は消えるだろう。気温も低下中。〈夏峯〉をなぜか残雪期登山としてやっているわけだが、我ながらバカだなと思う。前半部分だからこの季節でも乗り越えられるが、もしも後半部分だったら遭難間違いなしだ。
2021年05月05日 07:24撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/5 7:24
風が強まり、雲が増えてきた。もうすぐ青空は消えるだろう。気温も低下中。〈夏峯〉をなぜか残雪期登山としてやっているわけだが、我ながらバカだなと思う。前半部分だからこの季節でも乗り越えられるが、もしも後半部分だったら遭難間違いなしだ。
地面には僅かなフミアトぐらいはあるのだろうが、それすらも雪で覆われてしまっては進行方向に迷いがち。目印があればよいが、無い区間ではコンパスを手にとりあえず標高を上げるように歩く。
2021年05月05日 07:35撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/5 7:35
地面には僅かなフミアトぐらいはあるのだろうが、それすらも雪で覆われてしまっては進行方向に迷いがち。目印があればよいが、無い区間ではコンパスを手にとりあえず標高を上げるように歩く。
2077mピーク手前で、白錫尾根ならではの素晴らしい展望が。
2021年05月05日 07:51撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/5 7:51
2077mピーク手前で、白錫尾根ならではの素晴らしい展望が。
と思ったら、山頂へはバリバリと掻き分けるのか。
2021年05月05日 07:55撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/5 7:55
と思ったら、山頂へはバリバリと掻き分けるのか。
2077m地点に到着。ヤブヤブだが、高嶺が頭を出している。
この近くに修験道の「錫ノ宿」跡があるという。そこで〈夏峯〉一行は「後夜ノ勤」の法施をおこなっている。
2021年05月05日 07:56撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/5 7:56
2077m地点に到着。ヤブヤブだが、高嶺が頭を出している。
この近くに修験道の「錫ノ宿」跡があるという。そこで〈夏峯〉一行は「後夜ノ勤」の法施をおこなっている。
だいぶ時間が押しているので、念のため身内にLINEで中間報告。
希望的観測では奥白根山にもまわるプランもあったが、とても無理なのであっさり破棄。時間が足りないし、それ以前に、奥白根山直下の急斜面は12本爪アイゼンがないと不可能な残雪量だと悟った。
2021年05月05日 07:57撮影 by  DSC-WX500, SONY
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だいぶ時間が押しているので、念のため身内にLINEで中間報告。
希望的観測では奥白根山にもまわるプランもあったが、とても無理なのであっさり破棄。時間が足りないし、それ以前に、奥白根山直下の急斜面は12本爪アイゼンがないと不可能な残雪量だと悟った。
この写真ぐらいならマシなのだが。尾根上を素直に辿ると雪壁みたいな凸が連続することがある。すべてを乗り越えるのに疲弊する。それを避けたくてトラバースしすぎると、今度は尾根上への登り返し復帰に難儀させられる。いずれにせよしんどい。
2021年05月05日 08:28撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/5 8:28
この写真ぐらいならマシなのだが。尾根上を素直に辿ると雪壁みたいな凸が連続することがある。すべてを乗り越えるのに疲弊する。それを避けたくてトラバースしすぎると、今度は尾根上への登り返し復帰に難儀させられる。いずれにせよしんどい。
錫ヶ岳の全貌をようやく捉えたが、まずは手前の2241mピークに集中する必要がある。一座ごとが手ごわい。
2021年05月05日 08:34撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/5 8:34
錫ヶ岳の全貌をようやく捉えたが、まずは手前の2241mピークに集中する必要がある。一座ごとが手ごわい。
なるべく雪の無い草地を進むようにしている。たぶんそれが本来の足の置き場だと思うのだが。半端に残雪があると確証的なことも言えない。なんとも捗らない感じが付きまとう。
2021年05月05日 08:54撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/5 8:54
なるべく雪の無い草地を進むようにしている。たぶんそれが本来の足の置き場だと思うのだが。半端に残雪があると確証的なことも言えない。なんとも捗らない感じが付きまとう。
ようやく錫ヶ岳に山頂アタックするが、ここで雨が降ってきた。

ここから撮影枚数が減ってくるが、雨でカメラが取り出しにくいのと、長丁場で体力が搾り取られていったからだ。すみません。
2021年05月05日 09:11撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/5 9:11
ようやく錫ヶ岳に山頂アタックするが、ここで雨が降ってきた。

ここから撮影枚数が減ってくるが、雨でカメラが取り出しにくいのと、長丁場で体力が搾り取られていったからだ。すみません。
錫ヶ岳2388.2mに登頂。
旧山名・錫ノ御嶽。

栃木百名山ハンターにとっても群馬百名山ハンターにとっても憧れの難関に登頂できたのは嬉しかった。
2021年05月05日 09:57撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/5 9:57
錫ヶ岳2388.2mに登頂。
旧山名・錫ノ御嶽。

栃木百名山ハンターにとっても群馬百名山ハンターにとっても憧れの難関に登頂できたのは嬉しかった。
白錫尾根を進め。
錫ヶ岳で国境稜線は終わり、そこからは白錫尾根となる。

風が叩きつけてくるが、雨は小雨にとどまっている。高曇りのおかげで、心沸き立つ展望がある。このことが疲れた脚を勇気づけてくれた。
2021年05月05日 12:11撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/5 12:11
白錫尾根を進め。
錫ヶ岳で国境稜線は終わり、そこからは白錫尾根となる。

風が叩きつけてくるが、雨は小雨にとどまっている。高曇りのおかげで、心沸き立つ展望がある。このことが疲れた脚を勇気づけてくれた。
「治田ノ宿」付近。
白錫尾根に入るとだいぶ登山道らしくなってきた。次の一手に迷う場面が格段に減る。これなら行けそうだ。
2021年05月05日 12:21撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/5 12:21
「治田ノ宿」付近。
白錫尾根に入るとだいぶ登山道らしくなってきた。次の一手に迷う場面が格段に減る。これなら行けそうだ。
一面の笹が胸あたりまで生い茂っている斜面帯が断続して来る。だが、よく見渡してフミアトの入口を探し求められさえすれば、あとは掻き分けて登るだけだ。
2021年05月05日 12:35撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/5 12:35
一面の笹が胸あたりまで生い茂っている斜面帯が断続して来る。だが、よく見渡してフミアトの入口を探し求められさえすれば、あとは掻き分けて登るだけだ。
白檜岳2394m

つい昨日、黒檜岳に行ったばかりだ。白と黒があるだなんて。
2021年05月05日 12:43撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/5 12:43
白檜岳2394m

つい昨日、黒檜岳に行ったばかりだ。白と黒があるだなんて。
日光のボス、奥白根山が徐々に近づいてきた。完全に雪山だ。この積雪量では今回は登れない。
2021年05月05日 12:48撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/5 12:48
日光のボス、奥白根山が徐々に近づいてきた。完全に雪山だ。この積雪量では今回は登れない。
いかにも火山岩の塊っぽい白根隠山に向かう。風が酷くてよろめく。
2021年05月05日 12:48撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/5 12:48
いかにも火山岩の塊っぽい白根隠山に向かう。風が酷くてよろめく。
なぜか白根隠山には雪がほとんどない。ザラザラと滑る火山性砂礫を踏みしめて、蛇行するように登り上げる。
2021年05月05日 13:10撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/5 13:10
なぜか白根隠山には雪がほとんどない。ザラザラと滑る火山性砂礫を踏みしめて、蛇行するように登り上げる。
中禅寺湖。そして〈夏峯〉の後半に登ることになる男体山。
2021年05月05日 13:20撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/5 13:20
中禅寺湖。そして〈夏峯〉の後半に登ることになる男体山。
稜線上で振り返ってみた。ここまで歩いてきた道だ。
2021年05月05日 13:20撮影 by  DSC-WX500, SONY
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5/5 13:20
稜線上で振り返ってみた。ここまで歩いてきた道だ。
白根隠山2410mに到達。

〈夏峯〉前半部分ではここが最高地点となる。日光駅の近くから里山・低山・高原地帯と歩き通して、ついにこの高みへと達した。 風が強くてザックカバーが剥がれそうになる山頂だった。
2021年05月05日 13:30撮影 by  DSC-WX500, SONY
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白根隠山2410mに到達。

〈夏峯〉前半部分ではここが最高地点となる。日光駅の近くから里山・低山・高原地帯と歩き通して、ついにこの高みへと達した。 風が強くてザックカバーが剥がれそうになる山頂だった。
更に下りて、登る。そこで、本日はじめての一般登山道と合流することになる。
2021年05月05日 13:34撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/5 13:34
更に下りて、登る。そこで、本日はじめての一般登山道と合流することになる。
前白根山を登る、登る。
2021年05月05日 14:17撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/5 14:17
前白根山を登る、登る。
前白根山に着いた。

爆風。GWなのに、この天候のため人の気配はまったく無し。
次回〈夏峯〉後半部分に挑戦する際は、ここがスタート地点となる。ここから奥白根山にアタックする。
2021年05月05日 14:34撮影 by  DSC-WX500, SONY
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前白根山に着いた。

爆風。GWなのに、この天候のため人の気配はまったく無し。
次回〈夏峯〉後半部分に挑戦する際は、ここがスタート地点となる。ここから奥白根山にアタックする。
さて、湯元温泉ルートで下山しよう。以前、冬季に歩いたことがあるので馴染みはある。まあ、下山に使いたくはない急斜面が長く続くルートなのだが。
2021年05月05日 14:46撮影 by  DSC-WX500, SONY
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さて、湯元温泉ルートで下山しよう。以前、冬季に歩いたことがあるので馴染みはある。まあ、下山に使いたくはない急斜面が長く続くルートなのだが。
外山の方面へ。ありがとう日光マーク、ありがとう。
2021年05月05日 15:02撮影 by  DSC-WX500, SONY
5/5 15:02
外山の方面へ。ありがとう日光マーク、ありがとう。
湯元への道のりは、もともとの足場の悪さに加えて凍結もあった。おかげでトレッキングポールが片方は曲がり、もう片方は欠けて壊れたのだった。ごちそうさまでした。
2021年05月05日 15:50撮影 by  DSC-WX500, SONY
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湯元への道のりは、もともとの足場の悪さに加えて凍結もあった。おかげでトレッキングポールが片方は曲がり、もう片方は欠けて壊れたのだった。ごちそうさまでした。
無事、下山。

お土産の鹿の角も運搬成功。湯元スキー場に下り立ち、バスで中禅寺湖のマイカーを回収した。乗客は私ひとりだった。

今回、三連休しかない中で、やれるだけのことはやった。
次回〈夏峯〉後半チャレンジによって、全ルートの踏破をめざす。前半よりも厳しいはずだ。それまで研究の日々だ。
2021年05月08日 09:07撮影 by  iPhone 7 Plus, Apple
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無事、下山。

お土産の鹿の角も運搬成功。湯元スキー場に下り立ち、バスで中禅寺湖のマイカーを回収した。乗客は私ひとりだった。

今回、三連休しかない中で、やれるだけのことはやった。
次回〈夏峯〉後半チャレンジによって、全ルートの踏破をめざす。前半よりも厳しいはずだ。それまで研究の日々だ。

装備

備考 特筆すべきギア

・ダウンハンモック「ウキグモ」(Axesquin):二日目、ネギト沢のコルでのハンモック泊に使用。
・タープ「solo tarp」(EXPED):上記ハンモックを覆うようにして使用。
・無雪期用ピッケル「凌ピッケル」(Axesquin × ミゾー):沢地形から尾根上への登下降移動の際、安全確保のために簡易ロープと共に携行し、役に立った。同時に三日目の滑りやすい急斜面を上昇する等、積雪期ギアとしても無くてはならないものとなった。
・チェーンアイゼン:泥や小石まじりの脆い悪所での滑り止め、兼、残雪で足をふんばるためのプラスアルファの道具にもなった。

感想

総括的な感想は、〈夏峯〉後半部分のヤマレコで書いています。
 ↓
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-3415902.html(後半)

前半部分が終わった今は、
 屬修發修癲匆栃〉とは何か?」
◆屬覆嫉笋〈夏峯〉再現スルーハイクへと導かれたのか?」
だけを書かせていただきます。

★★★

 屬修發修癲匆栃〉とは何か?」

世界文化遺産、日光。
日光といえば、東照宮などの豪華絢爛な意匠を想い起す人は多いでしょう。
それは、江戸期に徳川幕府の政治的思惑もあって建立・制度化され、ひとつのイメージを形作りました。
しかしながら、それ以前の古代〜中世の時代、日光には茫漠たる自然と共に発展した山岳密教「日光修験」の信仰共同体がありました。
日光の文化、伝統、そして古来のトレイルは、もともと彼らによって切り拓かれ、整えられていったものです。
その長い歴史において、日光修験は時代のうねりに翻弄されながらも変質していき、江戸期を経て現在に至っています。

室町時代頃にいちおうの全盛期があったとされるその山岳修行には、春夏秋冬ごとに登拝される4つのコースがあったようです。
その4つは「三峯五禅頂」という専門用語で呼称されています。
春〈華供峯〉、夏〈夏峯〉、秋〈五禅頂〉、冬〈冬峯〉の4つです。

その4つの中で、圧倒的に長大にして、最も過酷かつ危険な大難行として古文書に記されているのが、〈夏峯〉でした。
多数の死者をだしたらしく、安土桃山時代までには封印されています。
(専門書には「この時をもって夏峯は断絶している」という表現が多いようです。)

〈夏峯〉は、現在の太陽暦における7月〜8月いっぱいを用いての約2ヵ月間、日光エリアの峰々を、奥白根山2578mの高峰に至るまで巡礼登山していったものです。
もちろん、途中滞在地における補給、交流、祈祷の勤めなどで足を休めることはあったでしょうが、それは戻ることのできない道に入る前の英気を養うものでもあったでしょう。
また、山中の拝所での加持祈祷、護摩の法要に時間を費やすなど、私たち現代ハイカーとはまったく異なる目的とリズムで踏破した道のりでもあります。
そのルート採りは、私たちの視点から見るとまったく効率的とは言い難い区間もあって、これを草履のようなもので歩いたとすると、信じられないような苦行のように思われるのです。

その〈夏峯〉の具体的なルート図は、入手することはなかなか難しいのですが、私の前半+後半の全2回によるログによって、だいたいは参照できるかと思います。

★★★

◆屬覆嫉笋〈夏峯〉再現スルーハイクへと導かれたのか?」

25000円以上もする古書。
『全踏査 日光修験 三峯五禅頂の道』
それをついに買ってしまったのは、日光という山岳と文化のエリアに魅了された末の出来事でした。

日本百名山を完登して後、それとは真逆のベクトル、すなわち特定の狭いエリアだけを深く深くディグしていく趣向が加速していました。
このヤマレコに残る私の山行記録を遡って見ても、百名山終了の前後あたりから、日光とその周辺エリアを訪れる機会が増えていることに気づかれることでしょう。
春夏秋冬。一般登山道からバリエーションルートまで。
日光の山の魅力を再発見・再発掘してきました。
日光の既存イメージを変えていくような、再解釈を繰り返してきました。

そんな最中、とある山頂で地元の登山愛好家の方にお会いし、日光のバリルートについてお話を聞ける機会を得ました。
また、十年以上の記録蓄積に定評があるこのヤマレコからは、これまで知らなかった日光の山岳情報が掘り出されてきました。
尊敬すべき日光登山愛好家のユーザー様たちの存在にも気づきました。

このようにしていれば、日光の修験道、そして〈夏峯〉の存在を認知するのに時間はかかりませんでした。
上記の絶版本が〈夏峯〉のまとまった現代的資料としては、ほとんど唯一のものであることに気づきました。
ただし、その本に所収されている地図や史跡位置表記などが、かならずしも全てが正確ではないことも知りました。入念な日帰り探索を繰り返す、先達ユーザー様方の批判的再検討を通して知るに及んだことです。
特に、thoughtmay様、shige-pon様による教養あふれる踏査記録には助けられました。
両氏のログは、おおいに凝視し、また恥じらいもなく盗ませていただきました。
それなしには、私には〈夏峯〉は飛び込めなかったと思います。

さて、今回私が試みたのは、この〈夏峯〉の前半部分をいっきに三連休のみで辿ることでした。
ヤマレコ内には優れた各山行記録がありましたが、それらは密教めいていると言いましょうか、断片的な情報集としての性格が強かったようにも見受けられました。
誰しもに、「三峯五禅頂」そして〈夏峯〉の概略と全体像を伝達できるような代表的記録は、どこにも見当たらないようでした。
私自身がそのあたりで苦労しましたので。

私はそれら断片を集め、実際にいっきに歩いてログを描き、「ロングトレイル」というまとまりとして〈夏峯〉を再解釈・再現していると言えるでしょうか。
良くも悪くもですが。

もしも私が次回、残りの後半部分を踏破できたならば。
前編と後編の計2回のみのトライで描かれた、かなりまとまりのある記録とログとして、〈夏峯〉の全体像を現代ハイカー視点でわかりやすく再提示できるかもしれません。

以上が、私の動機であり、また日本百名山の次の目標にもなっているのです。

その挑戦の結果は、後半部分のヤマレコに続きます。
さて、どうなったでしょうか?

(2021.8.11加筆修正)

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