荒川三山・笊ヶ岳トレッキング(椹島in/ヴィラ雨畑out) ※本年38〜40回目
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- GPS
- 54:35
- 距離
- 61.7km
- 登り
- 8,231m
- 下り
- 8,909m
コースタイム
- 山行
- 7:00
- 休憩
- 0:27
- 合計
- 7:27
- 山行
- 5:51
- 休憩
- 3:24
- 合計
- 9:15
- 山行
- 11:44
- 休憩
- 1:37
- 合計
- 13:21
天候 | Day1(7/15):曇り、Day2(7/16):曇りのち晴れ、Day2(7/17):晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
<椹島〜赤石小屋〜小赤石岳> 標高差2000mに迫る急登。赤石小屋では通過者への給水も無料。 富士見平から北沢源頭部まではトラバース気味になり、標高があまりあがらない我慢の時。北沢源頭部には豊かなお花畑あり♪。 <小赤石岳〜荒川小屋> 下り基調でガレ場での転倒に注意。今回のように突風が吹くと風を避けることは不可能で夏でもかなり寒い。 <荒川小屋〜荒川三山〜千枚岳〜千枚小屋> 荒川東岳(悪沢岳)までは登り基調で、そこから下り基調。荒川東岳(悪沢岳)から椹島までの標高差は2000m超。荒川東岳(悪沢岳)直下と、千枚岳直下はガレ場が多く、崖側に転倒したら助からないので通行注意。荒川前岳分岐の南、防鹿柵内に広がるお花畑は南アルプス随一の規模!また、千枚岳上部にも防鹿柵内を中心にお花畑が点在! <千枚小屋〜椹島> 標高差1500mを超える急下降。トレラン適地が多く、かなり下った岩頭見晴辺りでガレ場を登り返すまでは、気持ちよく走れる。千枚大吊橋を渡るとすぐに椹島。 <椹島〜標柱のコル〜上倉沢> 標柱のコルまでは600m近い急登。夜明け前でもヘッドライトの灯りでトレイルが視認できる程度には踏み跡あり。標柱のコルを過ぎると、2時間近くトラバース気味に、6本の支流を渡渉していくハイライト区間となるが、渡渉自体はどこも足を濡らすレベルでなく、イージー。むしろ渡渉後に待っている(その後下るのに)激急登を登らされるのがつらい。 <上倉沢〜涸れ沢〜椹島下降点〜笊ヶ岳> 上倉沢から涸れ沢へ出たら左折し、涸れ沢を詰めていく。標高2220m辺りでピンクテープや岩ペイントを頼りに左折し、後は標高差130mほどを登ると椹島下降点(白峰南嶺の主稜線)。そこから更に270mほど登ると笊ヶ岳本峰。 <笊ヶ岳〜布引山> 一旦下って登り返す。下りは急勾配(15分)だが、登りはダラダラ長い(35分)。 <布引山〜桧横手山〜山の神〜広河原> 桧横手山でのわずかばかりの登り返しを除くと、標高差1700m近い下り一辺倒。しかもかなりの急勾配。木の根張り出しや倒木も多く、足を引っ掛けたりしての転倒注意。また夏季は、笊ヶ岳〜広河原間は一切水場がないため、十分な飲料を担ぎ上げる必要あり。広河原での渡渉は、両岸をいい感じにつなぐ一本丸太が、少し標準コースより上流側にかかっているので、そこを利用するのがベター。 <広河原〜老平〜ヴィラ雨畑> 広河原以降は、奥沢谷に沿って緩やかに下っていく。体力が残っていれば、トレラン適地かなりあり。所々細い、谷側に傾斜したトラバースっぽい道があり、転倒・滑落注意。皆がレポにあげる傾いた鉄橋は、そのうち完全に壊れそうで、もし壊れたら迂回困難で、山梨側からの笊ヶ岳登頂ができなくなる恐れ大。 <馬場バス停(ヴィラ雨畑前)〜大島〜下部温泉駅〜甲府〜新宿> ヴィラ雨畑(日帰り入浴施設)前にある馬場バス停〜大島バス停は、前日までに予約が必要(0556-45-2062)なデマンドバス(200円)が運行。大島バス停〜下部温泉駅は路線バス(400円)が運行中で接続良好。下部温泉駅(無人駅、券売機すらない)からは鉄路で、甲府〜新宿と辿り、帰京可能。 |
その他周辺情報 | Day2下山後は、椹島ロッヂの浴室利用。Day3下山後は、ヴィラ雨畑(700円)で日帰り入浴。 |
写真
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感想
百名山1周目(2019年8月)、4泊5日かけて光岳〜聖岳〜赤石岳〜荒川三山と大縦走を敢行するも、光岳以外は天候に恵まれず、ただのピークハントとなってしまいました。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1975902.html
このうち、聖岳・赤石岳は、昨2022年8月、芝沢ゲートからのピストンで、眺望リベンジに成功!
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4607988.html
そして残った荒川三山。この山域は、東海特殊フォレストの悪評高き予約システムを使わないとアクセスが困難で、好天待ち(直前予約)だとほぼ予約が取れないアプローチ難のエリア。が、2023年の開山日となる7/15からの3連休に向けて、Day0の畑薙行き毎日あるぺん号、並びにDay2の椹島ロッヂ予約&Day1送迎バス予約の全てが天候を見極めてからでも叶い、ついにリベンジの時がやってきました!
直前予報では「Day1は曇天、Day2,3は晴天」で、Day1は3000m稜線に乗り上げるだけなので、稜線歩きの最中はずっと絶景を見ながら歩けると信じて、期待感盛り盛りです。
Day1は6時前に畑薙に到着し、朝の一便(7時過ぎ)で椹島へ。8時半頃に椹島から12kg弱を背負ってスタート。赤石小屋まで標高差1400m、小赤石岳直下の3000m稜線までは更に600m、1日で標高差2000m超を登ります。最初は体力もあり、重荷を背負いながらも普段と変わらぬハイペースで登り続け、赤石小屋までは計画したコースタイム×0.7を上回るペースで登りましたが、富士見平に着く頃には完全にバテバテで、ペースが大きく落ちます。
富士見平までは急登続きでしたが、ここから軽いアップダウンのトラバースが続き、歩けど歩けど1時間ほどでしょうか、標高がほぼ上がりません。ただ、北沢源頭部のお花畑エリアに達すると、やっと急勾配が復活し、再び標高が上がり始めます!このエリアは、初めて見るタカネグンナイフウロやシコタンソウはじめ、アオノツガザクラ、ハクサンイチゲ、チングルマ、ハクサンフウロ、ウラジロヨウラク、ミヤマクワガタ、キバナノコマノツメなど、カラフルな高山植物が競い合うように咲いていて、蓄積疲労が癒えましたねー。
ほぼ計画通りのコースタイム×0.7ペースで、3000m稜線に達すると、ここからは爆風で寒い寒い。行動していないと真夏でも低体温症になりそうなレベルです。晴天なら、ザックを置いて赤石岳ピストンも、と思っていましたが、当然パス。濡れた岩がゴロゴロしたエリアも多いため、黙々と進みつつも、足元には細心の注意を払い、転倒防止に努めながら、淡々と進みます。Day1唯一のピーク、標高3000mを超える小赤石岳も自撮りだけして速攻通過。
かれこれスタートから7時間で、荒川小屋へ到着。前日、東海特殊フォレストの電話受付終了(16時)間際まで粘りましたが、結局空きが出なかったのでテントを担ぎ上げて来ましたが、あまりの爆風でテン泊が危険と判断し、現地で素泊まりに変えてもらいます(当日宿泊受付は1000円加算・・・)。現地では大量に部屋が余っているのに、小屋への直接連絡ができず、東京のコールセンターでは「空き無し」の一点張りで柔軟な対応をする気は最初からゼロ。個人的に、2022年8月の聖・赤石計画時も思いましたが、東海特殊フォレストの予約システムは最悪で、大嫌いです。
Day1の荒川小屋到着からしばらくは、富士山がスッキリ見えていて、翌朝の好天を夢見ましたが、、、実際にはDay2も天気に翻弄され続けます。
Day2は、元々は朝5時出発予定でしたが、当日の天候は10時頃から晴れ渡る予報につき、10時頃に荒川三山の一角に達せられるよう、9時発に計画変更し、朝はのんびりします。荒川小屋周辺はコバノコゴメグサやタカネコウリンカが咲いてて、曇っていてもお花には癒やされますねー。
そして朝9時、全く晴れる兆しのないまま、荒川小屋を発ちます。荒川前岳の手前にある南ア屈指のお花畑に入るとクロユリやハクサンイチゲ、イワベンケイ、ヨツバシオガマなどがカラフルに競演してて、相変わらず見事でしたが、やはり青空とセットで見たかったですねー♪。
予定通り10時15分頃に荒川中岳避難小屋に達するも、全然晴れる兆しがなく、更にここで停滞することに。暗くなる前に椹島へ下るタイムリミットとして12時を設定。が、無常にも晴れる兆しのないまま、12時が近づき、覚悟を決めてリスタート。まずは荒川前岳まで戻り、荒川中岳まで戻って、荒川東岳(悪沢岳)へ向かいます。
失意の中、荒川前岳で自撮りし、荒川中岳まで戻ってくると、自分的に嬉しいハプニング!ドローン大縦走で有名な山岳写真家・西田省三さんと鉢合わせます。こちらから「もしかして西田省三さんですか?」と尋ねると、そうです、と。5分ほど山談義させて頂きました。テレビで聞く通りのハイトーンボイスで、スリム体型で格好よかったですよー。荒川中岳山頂で一緒に記念撮影しましたが、SNSアップは勘弁、とのことでしたので、私だけの思い出フォトとしておきます。
そして、再び荒川中岳避難小屋を越え、荒川東岳(悪沢岳)へ向かい始めると、進行方向右手、明日向かう笊ヶ岳を含む白峰南嶺の稜線はスッキリ見え始めます。そして、一瞬一瞬ではありますが、荒川東岳(悪沢岳)や、振り返って見える荒川中岳&荒川前岳も全貌が見え始め、山頂手前では鳳凰三山の最高峰・観音岳なども望遠できました!山頂直下は、紫と白のツートンカラーが美しいミヤマオダマキ、白いタカネツメクサ、紫のタカネシオガマなどが群落し、天候回復に合わせて自身のモチベーションも急上昇!
そして荒川小屋からトータル2時間20分ほど、所々に青空が見える気候の下、日本第6の高峰、荒川東岳(悪沢岳)へ到達です!雲が多く、スッキリ見えているのは翌日登る笊ヶ岳などの白峰南嶺程度でしたが、百名山2周目、眺望リベンジの山旅97座目はギリギリ達成ですね♪。下山開始すると、左手には塩見岳、農鳥岳、間ノ岳が、右手には赤石岳、聖岳、大無間山などが見え始め、2019年8月に雨天時に淡々と通過した3000m稜線で、今回は待望の山岳光景を眺めることができましたー♪。
丸山、千枚岳と踏破し、荒川小屋からトータル3時間40分ほどで千枚小屋へ。千枚小屋前で、椹島ロッヂ到着は19時頃になりそうだと電話を入れると、夕飯は取置不可(2000円の返金もなし)と言われ、売店も18時に閉まるのでカップラも買えない、と通告されるも、19時前ならカップラ程度は何とか用意すると言ってもらえたので、千枚小屋からは重荷を背負いつつの本気トレランが始まります。
千枚小屋からは眺望のない樹林帯で、黙々と標高差1500m近い下りとなります。誰ともすれ違うことのないまま、ひたすら駆け下りていき、最終的にはコースタイム×0.5の2時間半、18時半前ちょい前に椹島ロッヂまで下山。宣告通り夕飯は用意してもらえませんでしたが、何とかカップラを2個売ってもらい、かつ予約していた翌朝の弁当も受け渡ししてもらい、何とか今晩の飯と明日の飯を確保成功。Day2は天候に翻弄され、余裕のない登山となってしまったのは残念ですが、眺望リベンジを目的とした大縦走計画のため、当初目的を達することができたのはよかったです。そうそう、お風呂も19時迄ということで、千枚小屋からの本気トレランのおかげで、なんとか風呂にも入れたし、エアコン付きの和室で布団で寝れたし、何とかDay2を一旦リセットでき、本当によかったです。
Day3は、この旅最大の12kgを背負い、朝も2時スタートで、静岡県→笊ヶ岳→山梨県と辿る今回の大縦走のクライマックスDay!わかってはいたものの、6本の支流の渡渉が始まる標柱のコル(1786m)までの標高差650mはひたすらの急登。本当は標柱のコル辺りでヘッドライトを外す計画でしたが、夜明け前の涼しい時間帯なので、計画タイム(コースタイム×0.7)よりだいぶ速く進むことができました。
標柱のコル〜上倉沢までは、2時間10分ほどでしたが、標高はほとんど上がらず、片側が崖(谷)になった細いトラバース道を辿りながら都合6つの沢を渡渉していくそこそこ上級者向けのコースとなっています。椹島〜笊ヶ岳におけるハイライト区間だと思います。6つの沢(2連続を含めると8つの沢)を越えますが、いずれも難易度は高くはなく、かつ頻繁に給水できるので、思ったよりイージーですが、やはり明るくなってから通過したいエリアですね。
上倉沢までは極めて順調に、計画タイムを1時間近く上回るペースで到達し、椹島ロッヂでもらった弁当の半分をここで食べてエネルギーチャージ。いざ出発すると、早々に涸れ沢に達しますが、ここで誤って樹林帯に入ってしまい、かれこれ15分ほど最初のルートロスト。気を取り直して涸れ沢を直登していきますが、途中で再び痛恨のミス。
ピンクテープで誘導され、左折して樹林帯に入るポイントを見逃し、更に上へ上へ進んでしまいます。今思えば途中からテープがなくなり、涸れ沢なのにヤブを漕ぐ区間も現れるなど違和感満載でしたが、涸れ沢ってずっと道っぽくなっていて、正常性バイアスに負けました。大いに反省です。
正規ルートに復活してからは、得意の急登が始まるので、ヘロヘロでしたが頑張って力を振り絞って登り続けます!道中、Day2に登った荒川三山も青空の下に見え、徐々に士気が戻ってきます!そうそう、山頂直下で、私と逆ルート、つまり老平(山梨県)から笊ヶ岳経由で、椹島(静岡県)方面へ向かうソロ男性とすれ違いました。まさか笊ヶ岳より静岡側で人とスライドすると思っていなかったのでビックリです♪。
結局、椹島出発から6時間、ルートロストした1時間15分を除けば4時間45分ほどで二百名山87座目(+百名山100座)となる笊ヶ岳へ登頂できました♪。荒川三山〜赤石岳〜聖岳〜上河内岳〜茶臼岳〜光岳まではバッチリ青空の下で見えましたが、期待していた小笊越しの富士山、南アルプス北部(塩見岳〜間ノ岳〜北岳〜甲斐駒〜鳳凰三山)は分厚い雲に覆われ見えずじまい。やはりルートロストした1時間15分が悔やまれますねー。
ルートロストした分を除くと、椹島〜笊ヶ岳は標高差1500mの登り、笊ヶ岳〜老平は標高差2200mの下り。これからは下り基調だ!と喜ぶも、Day1にも見た布引山までは下って登り返す必要があります。結果、下りは15分ほどでしたが、登りはダラダラと緩やかに続くため35分もかかりました。この間、しんどかったですねー。
布引山からは、桧横手山手前でわずかな登り返しがありますが、標高差2100m強を、ほぼ全行程下り。これがまた半端でない激坂でした。テン泊装備を背負っての逆行コース(老平→笊ヶ岳)だと、とってもシンドイであろうことが容易に想像できる傾斜です。かつ、山梨側は広河原を過ぎると水場がなく、十分過ぎる水を確保して登らないと、命の危険を感じる急勾配ですね。かく言う私も水が残り少なくなり、少し飲む量をセーブしながら、何とか笊ヶ岳かで3時間半、標高900m辺りの広河原(渡渉点)に達します。
広河原の渡渉は、静岡側の標柱のコル〜上倉沢間のなんちゃって渡渉と違い、ガチ渡渉です。が、レポでよく見る一本丸太が両岸をつないでおり、とってもイージーに渡ることができました。降雨直後など水量が多いと、危険地帯になるかもしれません。
広河原で給水も済まし、後は黙々とヴィラ雨畑まで歩き通すのみ。広河原渡渉以降、緩やかな下り基調で、奥沢谷沿いの林道歩きとなるため、少しでも温泉に浸かってゆっくりする時間を確保するため、最後の力を振り絞り、走れる区間は走ります!
そして、Day3のスタートから、(ルートロストの1時間15分を除き)10時間、3日間トータルだと23時間、計60kmを人力でつなぎ、ほぼ一筆書きで、静岡から山梨まで人力で歩き通しました♪。二百名山の笊ヶ岳は、どう攻略しようか、悩んでいました。静岡(椹島)からのピストン、山梨(老平)からのピストン、のいずれかが一般的ですが、ぜひピストンでなく、大縦走したい、という発想に加え、荒川三山を百名山2周目、眺望リベンジ対象として残していたことから、この壮大なプランを実行することになりました。笊ヶ岳は、どちらから攻めるにせよ、ヘビーな山で、富士山が見えなかったなど心残りは若干ありつつも、「二度目はないな」と思える山でした。。。
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