恒例の雲取山詣では超ハード&シビアな3つの谷と3つの尾根のバリルートで;権衛尾根からの雲取山と長沢背稜、廃道の小川谷登山道、四間小屋尾根からウトウ沢へウトウの頭横断、孫惣谷から赤石尾根へ天祖山横断
- GPS
- 18:23
- 距離
- 42.8km
- 登り
- 4,359m
- 下り
- 4,344m
コースタイム
- 山行
- 7:52
- 休憩
- 1:48
- 合計
- 9:40
- 山行
- 7:46
- 休憩
- 0:49
- 合計
- 8:35
天候 | 1/11快晴のち晴れ 気温は早朝の八王子−5℃、青梅−1℃、奥多摩−3℃、日原(登山口)−4℃ で八王子が最も寒い。 雲取山頂0℃、酉谷山避難小屋外3℃、中10℃と、 この時期としては異常にあったかい日でした。 1/12曇りで小雪のち晴れ 早朝酉谷山避難小屋外−10℃(小屋内+3℃)、三又−4℃、ウトウの頭−8℃、天祖山−3℃、日原林道−2℃で、前日よりもかなり冷え込み、この時期らしい寒さ。 風も強く、尾根上や日原林道ではとても寒く感じました。 |
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過去天気図(気象庁) | 2015年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
日原林道は鍾乳洞分岐から先は一部凍結&雪が積もっていて、未舗装なので、 それなりの車&タイヤが必要。天祖山登山口から先はゲートがしまっていて 車は通れません。ただし、歩いた感じでは、則面の整備は完了していて、 舗装するだけの状態だったので、今年中には通行止め解除になることを期待。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【コース状況】(とても危険なバリエーションルートを含みます。また、コースの状況は季節や天気、個人の力量や体調ので変わりますので、ここに記載の内容を参考にしていただくのは大いに結構ですが、鵜呑みにせず、自己判断でお願いします。) 感想の欄にも詳述あり、写真と共にそちらもご参照ください。 ★権衛尾根(バリルート、一部ルート無) ・通行止めの大ダワ林道で二間小屋尾根を乗り越え、大雲取谷へ降りたところから 沢の右岸へと飛び石で渡り、流れの脇の崖下をたどって下ります。 尾根の末端の緩やかなところから尾根に取り付き、尾根に沿って登ります。 尾根上にはかすかな道型あり。 ・標高1400から、広い急斜面になり、踏み跡がなくなるので、 歩きやすそうなところを適当に上ります。 私は左側の小さな尾根へトラバース気味にのぼり、この尾根を詰めました。 途中からわずかに残雪が出てきて、 地面も凍っていてステップがないので、登りにくいです。 ・標高1500で尾根に上り付き、傾斜も緩くなって歩きやすくなります。 この尾根上にはかすかな道型もありました(獣道?) ・標高1650から上は再び傾斜がきつくなり、雪も増えてきて(20cm)ほぼ雪の 上を歩きます。 雪に鹿のトレースが続いており、これをたどりましたが、踏み固めらえて 凍っていたので、途中からアイゼンを付けました。倒木が尾根を塞いでいる ところが5箇所程度ありました。 ・斜度が緩くなって前方が明るくなってくると、野陣尾根に合流です。 富田新道も鹿のトレースがしっかりありましたが、 人の足跡はありませんでした。 ・テープ類の目印無。 ・藪無 ★石尾根(小雲取山〜雲取山;一般道) ・10名以上とお会いしました。 ・雪は10cm位、トレースはばっちりです。 ・凍ってなかったのでアイゼンも不要でした。 ★雲取山〜三峰分岐(一般道) ・北側斜面も、登山道は凍ってませんでしたので、アイゼンは無でも下れます。 ・南側斜面は雪はほとんどありませんでした。 ★長沢背稜(芋の木ドッケ分岐〜酉谷山避難小屋;一般道) ・雪は深いところで15cm位、日当たりのするところはほとんどなしで、 昨年より大幅に少ない。 ・しっかりしたトレースありましたのでラッセルも無。 ・おそらく年末年始に踏み固められた雪が凍結しているところがありましたが、 アイゼン無で歩けました。(心配な方はした方が良いです。特に桂谷ノ頭付近 の痩せ尾根、根っこのはびこった下り部分) ・右谷ノクビレから板小屋の頭の巻道は、トレースがあり夏道通りに歩きました。 (昨年は雪が多くて巻道は歩けませんでしたので、尾根を登って板小屋の頭 経由で歩きました) ・全体に、昨年8月に歩いた時よりも少し整備されたように思います。 ★小川谷登山道(酉谷山避難小屋〜三又;廃道) ・ほぼ完全な廃道でした。奥多摩登山詳細図西編でも通行不能と書かれています) ・旧避難小屋までは大量の枯葉と5cm程度の新雪で旧登山道はもちろん、 地面の形状すらわからず、落とし穴や岩・枝等に足を取られながらの厳しい 下降でした。枝の付いた倒木も行く手を塞いでいました。 ときどき登山道の下側の石垣があり、これをたどりました。 ・旧避難小屋(廃屋です)から下は険しいV字谷状で、崖上の高巻きの旧道を たどります。 崩れているとこともあり、しかも土が凍っていて滑落の可能性が高く、 とても危険でした。 道幅無、道が谷にむかって傾斜、地面は凍結、つかまる木もない、という場所 もありアイゼンとピッケル何とか通過しました。 ・土砂と枯葉で埋まっている急斜面もありました。 ・テープ類の目印無。 ・夏場で、枯葉と雪、凍結がなければ状況は違ってくると思われます。 ★四間小屋尾根(バリルート) ・弱い道型あり、特に危険な場所もなく、急な所もありますが快適。雪もわずか でした。 ・気温がー8℃と低くて地面が凍結していたので、アイゼンを、特に最後の急斜面 では前爪を効かせてのぼりました。 ・前に歩いた上段歩道の分岐はわかりませんでした。 ・赤テープはあまりありませんでした。 ・藪無 ★ウトウの頭から大京のクビレ(破線バリルート) ・道型しっかりですが、複数あり間違ったものに入るとルートロス、苦労します。 ・山頂からは北へ尾根沿いに下ります。 ・痩せ尾根を進み、次のピークでは西側へトラバースするルートを取ります。 西へ下るのが早すぎると間違えます。ますぐ行くと岩場になる手前で、西下への はっきりしたルートが正解。大きな岩の下を回り込んですぐにクビレ(コル) です。 ★ウトウ沢(大京のクビレ〜水平道出会;ルート無) ・沢床をたどりますが、小川谷登山道と同様、大量の枯葉、その上に積もった 新雪、倒木で難儀しました。 ・滝はなく、特に危険はありませんでした。 ・テープ類の目印無。桂の巨木まで降りるとビニールテープがありました。 ・藪無 ★タワ尾根西側水平道(バリルート) ・しっかりした作業道ですが、枯葉に埋もれているところもあります。 ・タワ尾根に上るモノレールを交差すると、ジグザグに下ってモノレールの下の 起点で孫惣谷林道へでます。 ★孫惣谷〜梯子坂のクビレ(廃道、奥多摩登山詳細図にもルート無) ・完全な廃道です。かなり危険な高巻部分があります。 ・旧道が結構残っていますが、その部分も土砂や枯葉に埋もれているので、 ルーファイは必須です。 ・最初は、水松山への中尾根の登山道(廃道、入口に道標あり)をたどって、 東のゴンエ窪側へ入りアララギ谷を 飛び石で渡ってからジグザグに登って中尾根の上に立ちます。ここまで、 山と高原地図や奥多摩登山詳細図どちらとも違っていました。 これらの地図もあてにならないと感じました。(GPSマップデータ参照) ・尾根に出てから少しこの尾根を登りますが、左側を注意してみていると、 巻道が分岐しています。 この巻道も標高1300m付近をほぼ水平にたどっており、地図にはない道で したが、そのまま天祖山に向かう梯子坂窪へと下って行き、その後梯子坂の クビレへと登りましたので、これが昔の道だと思われます。 ・水平部分は崩れているところ、埋まっているところが多数あり、つま先を けりこんでステップを作りつつ進みました。分かりにくいのでルート ファインディングも必要です。 ・枝沢を横断するところは岩や倒木で道型がなくなっていました。 ・梯子坂窪へ近づくと、崖上のところを高巻くところに、木橋がかけて ありましたが、朽ちてなくわたることができました。 ・とても高度感のあるところで、小川谷登山道同様に道幅無、道が谷にむかって 傾斜、地面は凍結、つかまる木もない、という場所があり、アイゼンとピッケル を装着して何とか通過しました。 ・何とか梯子坂窪に降り立つとそこで道型を消失しますが、ここからは古い 2.5万図の破線通り、しばらく沢沿いに上ると、梯子坂窪の北側の尾根に 登っていく旧道の石垣が部分的に見えてきますので、これに取り付いて枯葉と 土砂で埋まった旧道を探しながらジグザグに上ると稜線に梯子坂のクビレの 道標が見えてきます。 ・テープ類の目印無。 ・藪無 ★梯子坂のクビレ〜天祖山(一般道) ・北側斜面の急な登りは、雪が踏み固められていて凍っており、アイゼンが 必要です。 ★赤石尾根(天祖山〜日原林道;ルート無) ・奥多摩登山詳細図にはルートが記載されていますが、下りはじめだけで、 ほとんどルートはありません。 ・天祖山の会所のすぐ南の道標から右へ道型をたどりますが、傾斜が急になる ところで道型はなくなります。一旦南寄りの尾根へ下り傾斜が緩やかになった ところで西へトラバースして西側に見える本来の尾根へ乗りました。 ・その先しばらく緩やかで快適な尾根下りですが、標高1310mの窪地で作業道に 出てから、左方向へ下る方向を変えます。その先とても広い尾根とは言えない ようなところを下りますが、どこでも歩けてしまうので、GPSがないとどちらへ 下っていいかわからず、迷うと思われます。 ・標高1200mから下はとても急な斜面です。枯葉や表土の下が凍っていて 滑りやすく何度かスリップしながら滑り落ちるように下りました。 ・標高1050mでしっかりした水平道に降り立ちます。そこからはこの水平道を 右下に林道を見下ろしながら日原方向へたどりました。 ・途中いくつか林道へ下る作業道が分岐します。 ・大ブナ別れには道標があり、左へ水平道をたどります。 ・その先少しで右下へ下る作業道がありましたので、これをたどり、最後は 梯子階段で林道へ降り立ちました。 ・テープ類の目印無。 ・藪無 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
半袖ジップアップTシャツ
薄手フリース
ゴアテックスハードシェル
冬用サポートタイツ
ゴアテックスズボン
厚手靴下
シンサレートグローブ
ゴアアウター手袋(今回未使用)
予備ウール手袋(未使用)
ダウン上下(小屋でのみ使用)
ゴアゲイター
ネックウォーマー(小屋でのみ使用)
毛帽子(小屋でのみ使用)
耳あて付きキャップ
厳冬期用靴
44Lオスプレイザック
サブザック
12本歯アイゼン
ピッケル
スーパーカンジキ(未使用)
山専ボトル500ml
ガスカートリッジ1
EPIコンロ
ブースター付きコッヘル
箸&スプーン
チタンカップ
チタン皿1
ライター2
2.5万図及び奥多摩登山詳細図コピー
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池(カメラ
GPS
ライト用)
ウォークマン&イヤホン
単三電池充電器&充電ケーブル(スマホ用
ウォークマン用)
筆記用具
常備薬
日焼け止め
リップクリーム
ロールペーパー
保険証
携帯スマホ
プロトレック高度計温度計コンパス付き時計
サングラス
ツェルトロング&ペグ張綱セット
ナイフ
カメラ2(1眼&コンデジ)
テントマット2(銀マット1畳&エアマット)
モンベル#3シェラフ
タイベックシート2×1m(シュラフカバー代用)
ストック1
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感想
毎年恒例成人の日の雲取山詣でです。
普通に登るだけではつまらないので、歩いたことがないルートを地図とにらめっこした結果、ヤマレコに記録のない権衛尾根(大ダワ林道から大雲取沢を渡渉して小雲取山の手間で富田新道に登り着く)で登ってみることにしました。
泊まりはもちろんお気に入りの酉谷山避難小屋です。
翌日も、自分の歩いたことがないルートを繋いで、 酉谷山避難小屋から小川谷へ下り、三又から四間小屋尾根を登り返してウトウノ頭へ登り、さらに大京のクビレからウトウ沢を下って孫惣谷へ降り、そこから廃道で梯子坂のクビレへ登り返して天祖山を横断し赤石尾根から日原川へ下り、最後は天祖山の水平道で八丁橋へ戻る、という大変盛りだくさんでFutaroさんチックな計画(Futaroさんの奥多摩バージョン、結構影響受けているかな)となりました。
なお、レコのタイトルで言っている3つの谷と3つの尾根のバリルートとは、
仝衛尾根
酉谷山避難小屋から小川谷へ沢ルートの廃道
四間小屋尾根
ぅΕ肇β
ヂ港效から梯子坂のクビレへ登り(梯子坂窪)
赤石尾根
ですが、その他に、
Д織鑒根の一部(ウトウの頭から大京のクビレ)
日原林道の上を並行している天祖山の水平道
もバリルートで、2日目はオールバリルートです。
権衛尾根は 全く情報なく、大雲取沢を渡渉して尾根に取り付くまでとその後の積雪の状態が気がかりでした。
長沢背稜は昨年
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-395090.html
は雪が深くトレースもほとんどなくてラッセルで時間がかかったので、今回もその覚悟でした。雲取山荘の最新情報(1/6付け)でも
http://www.yamakei-online.com/mt_info/info_detail.php?info_id=1014
「雪が降り続いています。15:00現在で新雪が15cmほどすでに積もっています。 朝の時点で山荘周辺の積雪は、20cm強ありましたが、15:00現在30cm以上になりまだ降り続くようです。」となっていていました。
小川谷への下りは、奥多摩登山詳細図(西編)では通行不能となっていて行けるかどうか、
その後のバリルートもヤマレコには記録ありましたが積雪期の情報はほとんど無く、雪の状態次第でいつでもエスケープするつもりでした。
1/11(日)
予定通り6:00まだ暗い中、ヘッドライトを点けて八丁橋から日原林道をスタート。通行止めゲートは閉まってましたが、林道は整備がだいぶ進んでいてあとは舗装するだけの状態でした。
通行止めになって久しい大ダワ林道に踏み込むとすぐ、崩れかかった巻き道です。凍った斜面に枯れ葉がたくさん積もっているので谷底に滑落しないように注意が必要でした。
二間小屋尾根を越えて少し行くと大雲取沢が左下から近づいて来るので、大ダワ林道から外れて沢へ降り、対岸の権衛尾根への登り口を探しました。
とても急な斜面(がけ)にトラバースしながら斜上する踏み跡のようなものがあったので登ってみましたが、沢まで転落しそうでとても危険だったのですぐに慎重に引き返し、沢へ降り、沢沿いに尾根の末端まで下りました。
尾根に乗ってしまえば、あとはひたすら歩きやすいところを探しながら上を目指すだけでした。尾根が痩せているところは、踏み跡がありました。
標高1400m辺りから雪が積もっているところが出てきて、1600mより上は15〜20cm積もっていましたが、鹿のトレースがあり、これをたどりました。トレースは凍っていたので、アイゼンを付けました。大きな倒木をいくつか越えると、野陣尾根の富田新道に合流しました。富田新道にも鹿のトレースしかありませんでした。
ここで富士山とご対面、葉の落ちた梢越し展望を楽しみながら賑わう石尾根に合流しました。
雲取山は流石に100名山で10名程度の人々で賑わっていました。しかし、今回人に会ったのは石尾根、雲取山山頂、雲取山荘、そして酉谷山の手前で抜いた同じ避難小屋にとまる3人組だけでした。(2日目は、孫惣谷のモノレールのところで林業の方にお会いしただけでした。)
雪は予想外に少なく、しかも北側でも凍って無く、雲取山荘の先でアイゼンを外しました。
長沢背稜も部分的に吹きだまりで15cm程度、南側は全く雪がなく、しかも先行者の踏み跡がしっかりあって、昨年とは全く違う状態でした。なので、あまり夏道と変わらない時間で歩けましたが、靴が厳冬期用の重たいスカルパの「モンブラン」だったので、細かい足さばきができず、登りでは足が素早く上がらず、今回の雪の状態ではワカン同様、無用の長物でした。雲取山荘も、連休前位はHPの情報を更新していただけると助かるのですが。
酉谷山避難小屋は、隠れ家のようにとても快適で、奥多摩で泊まる時はいつもここを利用しますが、今回は私の他に単独2人と3人組で計6人で
狭い小屋がいっぱいでした。おかげで隣の方が夜中に寝返りで何度もぶつかってきたり、イビキがうるさくてよく寝られませんでした。寝息を感じてライトを付けると20cm位しか離れていないところでこっちを向いて寝ている顔があって、さすがにちょっと違和感を覚え、足と頭を逆にして寝ました。実はこの文もここまでこの小屋で22時過ぎにスマホで書いています。
単独のお二人のうちの一人は、レコではときどき拝見してたnoborundaさんでした。鼻筋の通ったイケ面でもの柔らかなジェントルマンでした。共通の知人であるFutaroさんやkankotoさんの話で盛り上がりました。
3人組のうちの一人は、ウトウの頭の鵜の山頂標識の上の方の新しいものを作った方でした。その方によると、先日この小屋への荷揚げで小川谷から登って来た時はルートは特に問題無かった、また、以前梯子坂のクビレから孫惣谷までくだったが、旧道が残っていて特に問題無かった、とのことで、翌日は予定通りいけると思いました。
1/12(月)成人の日
2日目は、夜中に雪が降り数センチ雪化粧していました。
初日の権衛尾根がうまくいって、翌日もこの調子で、と思っていましたが、全く予想外に悪戦苦闘しました。おそらく過去の私の経験の中でも最も難しい登山の一つだと思います。
避難小屋から小川谷三又までは、自然林の中なのでルートが枯葉と土砂で埋まり、その上に数センチの新雪が積もって、ルートがほとんど分かりません。ときどき、旧道の石垣があるのが昔登山道であったことを感じさせる程度で、今は完全な廃道です。また、沢沿いなので沢床は石ころがごろごろしているのですが、これらも枯葉と雪で埋まっていて、地面の形状が分かりません。下半分は沢がV字谷状に険しくなって、崖の上の高巻きの旧道を進みますが、崩れているとこともあり、しかも土が凍っていて滑落の可能性が高く、とても危険でした。落ちたらまず助からない、道幅が15cmしかない、路肩が崩れていて道も谷にむかって斜めで凍っている、つかまる木もない、という場所では途方にくれましたが、安全な場所まで引き換えし、持ってきた12本歯アイゼンとピッケルを装着して、2点確保で一歩一歩バランスを取りながらゆっくり確実に進みました。アイゼン・ピッケルを持ってきてよかったと思いました。そうして三又に着いた時は本当にほっとしました。
四間小屋尾根は道がしっかりしていて、以前もタワ尾根の上段歩道からウトウの頭まで登ったことがありましたが、特に危険な場所もなく急な所もありますが快適に登ることができました。ただ、気温がー8℃と低くて凍った地面に新雪が積もっていましたので、さっきつけたアイゼンを効かせてガンガン登りました。小川谷の下りで遅れた時間をこの登りで取り戻しました。
ウトウ沢は、最初は緩やかですが、下っていくと急になります。水平道までの間に滝はないので、危険はありませでした。ただ、ここには踏み跡は全くなく、谷底を下りましたが、ごろごろした石や段差が完全に枯葉と雪で埋まって地面の形がわからず、一見平に見えても枯葉でうまった落とし穴であることがしばしばありました。枯葉の下の石や枝の有無もわからず、足首をくじきそうになることがしばしばあり、古傷の右足首への負担が大きくて難儀しました。ここも予定外に時間がかかり、桂の巨樹が見えてきて水平道にたどり着いた時はほっとしました。
そこから孫惣谷へは、このしっかりした水平の作業道をたどっていき、モノレールのところからはジグザグ道になって道路へ出ました。途中、枝打ち作業をしている方々とあいさつしました。
梯子坂のクビレと天祖山への登り返しはこれも事前情報がすくなかったのですが、行ってみるとまず取付きからして登山詳細図や山と高原地図とは違っていました。道なりに梯子坂とは反対方向の東側へいったん進むと、コンクリートの大きな水道のトンネル?出口を横断し、その先に古い道標があって、「天祖山、水松山」と指す方へ道を進みました。ここに天祖山、と書いてあったので、とにかくこの道を見失わないように進んでいきましたが、地図情報とは違っていて半信半疑、どんどん違う方向へ登って行ってしまうので、天祖へはいけないかもしれない、ダメなら遠回りだけどそのまま水松山へ登り、そこから天祖山へ回って、時間が遅れる分、赤石尾根はやめて、一般道で八丁橋へ下山しようと考えました。
ようやく水松山から派生する中尾根に登りついた時は、梯子坂くべれを登る沢からははるか上でしたが、尾根を少し登ると、地図にはない埋もれかかったトラバース道が
西へ延びています。これがどこへ行っているのかと探検開始をしました。傾斜は45°程度もあり、土砂に埋まっているところもありましたが、土に靴をけり込んで進みました。ずっと水平に進むと次第にはるか左下だった梯子坂への沢が近づいてきました。しかし斜面も次第に急になってきて、崖のようなところを経攣るようになりました。何年も人が歩いていない古い木橋のトラバースもあり恐る恐る渡りました。小川谷と同様に、落ちたらアウトの場所で崩れて凍った危険なトラバース部分では、はずいていたアイゼンを再び装着し、ビビりながら渡りました。
こんなところでこんな時期に何かあって、自力下山できなくなったら、まず助からないな、携帯は全く入らない、家族から捜索願が出てもどこにいるかわからないだろう、そうだ、さっき林業の方とあいさつしたから、ちょっと遠かったけどこの時期珍しい登山者だから、捜索の方に話してくれれば、場所はある程度この辺りとしぼられるかもしれない、会っておいてよかった…等考えながら歩いていました。
そのあと、とうとう沢に降り立ち、あとはその沢を詰めていけば梯子坂クビレで一般道だ、というところで、完全にルートがなくなりましたが、GPSで位置確認しながら、慎重にルートをさがしていきました。尾根に登っていく旧道の石垣の残骸を見つけたときは助かった思いでした。その先も土砂・枯葉・倒木に悩まされながら何とかこの廃道をたどって、とうとう梯子坂のクビレで一般道に到着しました。
稜線上は風がとても強かったのですが、ここでようやく一息いれました。長く続いた緊張から解放されて、半分雪に覆われた山々と晴れ渡った空は、とても綺麗で心が現れました。
梯子坂クビレへの登りは結構へとへとになっていたのですが、この休憩で元気回復、天祖山の北側の登りは急だとはいっても、一般道の登りはどうということはなく、最後の山頂に無事登頂、計画より45分しか遅れていませんでしたので、計画通り最後のバリルートである赤石尾根の下降に突入しました。
最初は明瞭な道型があり、拍子抜けしたのもつかの間、急斜面になってすぐに道はなくなり、あとは尾根を外さないように適当にくだりました。しかし枝尾根が多く、下りでは迷いやすい尾根だったので、GPSで位置を確認しながら下りました。最後の急坂はステップが無く地面が凍って滑り台のようでしたので、アイゼンは付けずに半分グリセードのように土と枯葉を滑りながら降りました。
水平道についたときは終わったような気分、天祖山の登山道まで続いているようですが、途中で面倒になって、少し下に見えている日原林道へ下る枝道を使い、早めに林道へ降りました。
林道は吹きさらしで寒く、今朝積もった雪も吹き飛ばされていました。それまで長袖アンダーシャツの上に半袖ジップアップTシャツだけでしたが、気温も-2℃と低くて汗が冷えて寒くなり、フリースとオーバーヤッケを着込みました。
思ったよりも手前で林道に降りてしまい、林道歩きが長くなってしまったのが失敗でしたが、以前から歩きたいと思っていた高丸山ツバノ尾根の取りつきの偵察を行いました。林道から日原川へ下りましたが、ここも最後はとても危険なトラバースだったので、川まで降りずに引き返しましたが、川に降りてから水量の多い川を渡って尾根への取りつくのが難しそうな感じでした。
その後林道へ戻って15時前には八丁橋に停めた車へと無事戻りました。
久しぶりに本格的なバリルートの探検ができ、厳しいながらも充実した達成感に満たされた山行でした。
shigetoshiさん、今晩は。
いや〜読み応えのあるレコでした。まずはご無事でなによりです。
noborundaさんと同宿するなんて奇遇ですね。どんなルートを歩いたんでしょうか。
距離だけを見た限りでは、いつものshigetoshiさんだと日帰りロングかと思ったのですが、ルートがとんでもなかったようだし、装備もこれだけだときっと重かったんでしょう。
shigetoshiさんがこれだけかかるとなると、挑戦するのはかなり覚悟が必要ですね 自分だと日帰りだけなので、無雪期に2回位に分けないと無理そうですね。もっともまだ奥多摩初心者で一般道も少ししか歩いていないので、まずはもう少し歩きこんでとも思いますが。。。
Futaroさん、こんばんは。
私の単独行の中でも屈指の難ルートでした。でもこれだけがっつりと
バリルートばかり組み合わせたことは、いままで無かったし、雲取周辺は
山の深さ、険しさが、いつもバリ探検している高尾あたりとは、比較になりません。
季節的にも枯葉と雪でルートが最も分かりにくいタイミングだったので、
難易度が余計に高くなったと思います
夏だったら、案外しっかりした道があったりして、凍結もなくて難なく歩けるかも
しれません
荷物はツェルト泊装備だったので、10キロオーバーだったと思います。
でも、荷物よりも冬靴の重さ、特にアイゼンを付けた時の重さがスピードには
大きく影響しました。太腿が攣るのも思い返してみると、ほとんどこのパターンの
時です
今まで、私が考えるルートでは、一度谷に下ってまた山に登り返す、ということは
考えられなかったのですが、昨年Futatoさんと2回も丹沢へいったので、
そういうルート取りも違和感なく設定できるようになりました
新しいパターンでの登山で、結構新鮮な感じです。
Futaroさんが奥多摩のバリルートにチャレンジするときは、今度は私に
ご案内する番ですね
shigetoshi さん
奥多摩お疲れ様でした。
この時期にこの距離で・・奥多摩三昧ですね。
長沢背稜もまだ積雪は少ないのですね。
(本日積もったかな?)
写真いい感じですね
カシオとEOSで沢山撮ってください
kankotoさん、こんばんは
積雪や凍結、落ち葉がない季節なら、Furaroさんの言うとおり、
日帰りでの周回も可能かもしれませんが、
今回の状況では2日間でも体力的にはそうでもないのですが、
心理的にたいへんで、その分達成感も大でした
毎年この連休は雲取山三昧です
今日の雨は結構強かったので(八王子では一時は霙でした)、
山の上は結構積もったと思います。今週末だとラッセル三昧かもしれません。
写真へのコメントありがとうございます。
EOSは首から下げていますが、やばい所ではザックにしまって、
ポケットに入れたカシオで撮ってました
shigetoshiさん、こんばんは
読み応えのあるハラハラドキドキのレコですね。
あのshigetoshiさんが、「林業の方に挨拶しておいてよかった」とか、
「本当にビビりました」とか、手に汗握る山行でしたね。
ただでさえ厳しそうなルートをこの季節に決行するとは、さすがです。
3連休とはいえ、酉谷山避難小屋は人気あるんですね
冬は長沢背稜を歩く人はほとんどいないのかなあと思っていたのですが。
hirokさん、こんばんは。
この辺りは、秩父側の比べたらそうでもないですが、それでも高尾あたりや
丹沢のバリルートに比べると圧倒的に人が少なく、山も深いので、
何かあったら助かる可能性も低くなり、緊張感が違いました
今回は沢沿いのルートの難しさと、廃道の危険性を痛感しました。
バリルートは自然の道である尾根筋が一番だと思います。
それに、この時期の長沢背稜は例年だと連休でもほとんど人は入らず、
トレースも期待できないと思った方が良く、今回の酉谷山避難小屋の
賑わいは例外だと思います
それだけに、今回泊り合わせた方々は、本当に山をこよなく愛する
山屋さんばかりでした
shigetoshiさん、こんばんは。
みなさんと同じコメントですが、読み応えたっぷりの
レコでした。shigetoshiさんのコメントの通り、沢沿い
のバリルートはすぐに荒れてしまいますし、難易度が
高いですよね。(私はヘタレなので、バリは尾根中心で
いきます )
タイトルを見た時に、Futaroさんのレコみたいだなあ
と思いましたが、感想に、その通りのことが書いて
ありますね とくに3つの谷と3つの尾根の丹沢ルートを
一昨年Futaroさんと歩いたので、あれ?という感じでした。
しっかし、マニアックなルートですね
丹沢をこんな感じで歩かれると、全然イメージできませんが
(なので、11日のFutaroさんのレコにはコメントも出来ず。。。)
奥多摩だとなんとかついていけます。
四間小屋尾根と赤石尾根は毎年歩こうと思いつつ歩いて
いないルートで、興味津々でした。この周辺はそそられる
バリルートが多いですよね。大ブナ尾根や二軒小屋尾根など
も計画してみたいです。長沢背稜の南側は大きな木が多いので、
巨樹を目的とした山歩きも計画してみたいなあなんて思っています。
四間小屋尾根から梯子坂のクビレへの横断は斬新ですね。
夏なら難易度が下がるかな?
孫惣谷からのルートはもう少し歩き易いのかと思って
いました。(天祖山神社への裏参道ですよね)
コメントしていると、とまらなくなる盛り沢山なレコ、
お疲れ様でした!
沢ルートですが、小川谷への旧道(廃道)は小屋に同宿した方が問題ない
と言っていたので、心配せずに踏み込みましたが、失敗でした
ウトウ沢はルートが無いことはわかっていて、北側のモノレールのある尾根を下る
かどうか直前まで決めてませんでしたが、大京のクビレから見た感じが
とっても穏やかで下りやすそうだったので、踏み込んでしまいました
3つの谷と3つの尾根、の数については偶然でしたが、Futaroさんとの丹沢と同じ
だったので、そのままタイトルにいただきました
今回のルートを端的に言いえていると思います
それにしても、四間小屋尾根や赤石尾根、大ブナ尾根等々、この辺りの
バリルートも普通の方は知りませんよ youtaroさんならではですね
でも、行くんだったら、何かあっても沢屋さんや釣り人が通る可能性があり、
温暖でもある雪のない季節がいいと思います。
天祖山神社への裏参道!そうだったのかもしれません。
結構古くてもしっかりした橋がありましたから。
でも昔の地図のルートの位置とも結構ちがっていたので、歩きながら
この道はどこに行くのか、行き止まりか、ととても心配でした。
ダメでもそこから尾根を適当によじ登って、稜線へ出る覚悟でしたが
夏に行くとどんな感じなのか、あまりお勧めはできませんが、確認したい気はします。
shigetoshiさん、こんばんわ
今回のルートはまたまたとんでもない所ですね。尾根か沢の上り下りなら理解できますが、長沢背稜でのトラバース道ですか こんな形で路があるとは驚きです。ちょっと確認してみましたが他にも歩かれている方がいるようですね。。。こんな周回を考えられ実行出来る事がすごいです。いつか歩いてみたいですね。ただし秋、それも落ち葉が積もる前ぐらい限定だと思います。
ただ気になったのですがこのトラバース道はなんのためのルートなのでしょうね?使われていない作業道?それとも昔の古道?わさび田を繋ぐ作業道とかなんですかね。気になってしまいます。
マニアックルートの攻略お疲れ様です。
昨日の雪でまたがらりと山の雰囲気が変わったでしょうね?
土曜の天気が良いとイイのですが
aottyさん、こんにちは。
今回歩いたるルートはバリルートとはいっても全く道が無くて
ルートになっていないところも多く(コース状況の欄で、ルート無、
と書いたところ)、あまりお勧めできません。
それが本来の意味でのバリエーションルートなのですが
GPSで頻繁に現在位置を確認しながら歩けるところを探す必要があり、
特に山の中腹斜面に入ってしまうと地図と磁石では心配です
少なくとも高度計は必要かと。
山梨、埼玉側と違って、東京都側は確かにヤマレコに記録がいくつかありますが、
長沢背稜も含めて遭難騒ぎも結構起こっている、とても厳しい山域ではあります。
(権衛尾根はヤマレコの過去の記録なく、未踏でした)
もし行くのでしたら、万全な体制(十分な装備と下調べ、体調)で望んでください
トラバース道はタワ尾根の上段歩道等、この辺りにはたくさんあります。
東京都の水源管理、林業関係、で使われているのではないかと思いますよ。
今回歩いてみて、ある程度維持管理されているのを感じました。
さすがに里から遠すぎて「わさび田」はないようです。
昨日は山ではだいぶ積もったでしょうね。雪が積もると、あの危険なトラバースは
全く通行不能かな。
記録を拝見し、世の中にはこのようなタフな人もいるものだと感心しました。これまでの記録も拝見しましたが、海外も含め精力的な登山を実践されており敬服の至りです。
私は、9日に酉谷山避難小屋に泊まり、10日に芋ノ木ドッケまで前者一人分のトレースに自分の足跡を重ね、その日は三条の湯でテン泊しました。
酉谷山避難小屋にテントが2つ残置されていて11日に宿泊の予定のため置いていると書かれていましたので、こんな時期でも小屋が満杯になるほど泊まる人がいるとは、さすが小屋の人気所以ですね。
残念なことに、16日に泊まった人によると小屋は使われっぱなしになっていたとのことです。この小屋は平日でも利用する人が少なくないようですが、酉谷山避難小屋に宿泊することを目的の一つとして訪れ、かつ、時間的余裕がある人にはちょっと手間暇をかけていただければ、これからも快適な小屋であり続けるでしょうから、ありがたいと思っています。
それにしても今回はとても刺激的な記録でした。ありがとうございました。
chiroroさん、こんばんは。
酉谷山避難小屋を快適にしていただき、ありがとうございます。
昨年、壊された水場を直していただいたとのことで、
おかでさまで雪を溶かす必要がなく、おいしい水をいただくことができ、
助かりました。
chiroroさんには、2012年6月にここに宿泊した時のレコにも
コメントをいただきましたね。
今回は1日違いでお会いできず残念でした。
小屋にテントと食糧等の荷物をデポしていた方々(3人組)と同宿しました。
その方々よりも先に出発したので、今回は特に掃除はせずに小屋を出て
しまったので、少し気がかりでしたが、
もしかしたらその方々が「使いっぱなし」だったのでしょうか
残念なことです
小さい小屋で、あまり人気が出て人々が押し寄せても困るので、
今回のレコではこの小屋のことをなるべく良い良いとは書かないように
しました でもとても気に入っていることには変りありません
今回のような"刺激的”な登山も、快適な小屋があってこそのことでした。
そういう意味でもこの小屋に感謝です
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