槍穂高に架かる虹から始まった笠ヶ岳〜双六岳〜槍ヶ岳〜南岳縦走
- GPS
- 79:30
- 距離
- 52.6km
- 登り
- 4,170m
- 下り
- 3,759m
コースタイム
- 山行
- 7:00
- 休憩
- 1:10
- 合計
- 8:10
- 山行
- 6:15
- 休憩
- 3:00
- 合計
- 9:15
- 山行
- 7:15
- 休憩
- 2:35
- 合計
- 9:50
天候 | 8/7:晴のち雷雨のち晴 8/8:晴 8/9:晴のち曇 8/10:晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
(前日松本泊) 松本バスターミナル05:30(アルピコ交通)¥2200 中の湯06:51/07:13(濃飛バス)¥560 平湯温泉07:25/07:40(濃飛バス)¥890 新穂高ロープウェイ08:16 復路: 上高地バスターミナル16:40(アルピコ交通)¥2450 新島々17:45/18:00(アルピコ交通松本電鉄) 松本18:30/20:10(JR篠ノ井線・中央本線「あずさ36号」) 八王子22:23(※定刻は22:13 JR大糸線遅延待合せ等で10分遅れ) |
写真
感想
昨年Yと表銀座から槍ヶ岳まで歩く計画をしていたのだが、直前に八ヶ岳の天狗岳でブヨに刺され額が腫れてしまったので、その計画は流れてしまった。
その時Yも至仏山で足を痛めていたらしく、天気も悪かったので結局中止にしてよかったようだ。
今回はYが槍ヶ岳と一緒に笠ヶ岳も登りたいというので、8/7-10にかけて笠ヶ岳から西鎌尾根を経て槍ヶ岳へ行く計画にした。
このルートだと都合山中に3泊することになるのだが、小屋とはいえ山中に3泊するのは実に久しぶりなため、風呂に入らない4日間が果たして今の自分に耐えられるのかどうか少し不安だった。
Yとは何度か夜行列車を使って登山したことがあり、その時の経験からYと行く際には夜行を利用せず前泊するというのが共通の認識になっている。
(が、最近別の友人たちと夜行バスを利用して、前回立山へ行った時などは意外にもそこそこ眠れたので、夜行もありなのかななんてまた思い直しているのだが。)
さて、前泊した松本を早朝に出発し、松本から中の湯、中の湯から平湯温泉、平湯温泉から新穂高温泉へとバスを乗継いでいく。
中の湯は道路脇でバスを待つことになるのだが、乗継のバスが来るのかどうか心配だったが、大丈夫だった。
松本から乗ったバスはアルピコ交通だが、中の湯からは濃飛バスとなる。
このバス、後付けながら各座席にコンセントとUSB充電用のコンセントが付いていてちょっと驚いた。
新穂高登山指導センターからまずは林道歩きをして、いよいよ笠新道を登り始める。
以前ブナ立て尾根を登った時には意外と楽だったので、笠新道も言われるほどではないかと思っていたのだが、こちらは意外と登り甲斐があった。
高度を上げていくと背後の槍穂高が見えてくるはずなのだが、そちらからどんどん雲に覆われて嫌な感じだなと思っていたのだが、急な登りが終わりニッコウキスゲが満開な杓子平に着くといよいよ雨が降りだした。
最初は雨具を着て歩き出したのだが、雷鳴が聞こえてきたので、このまま稜線に出るのは危険と判断し樹林帯へ戻って待機することにした。
ものすごい大粒の雨で登山道はあっという間に川になるほどだった。
30分もすると雲が流れ、これから目指す稜線が見えてきたので出発。
この時点では、また雲がやってきてまた雨が降りだすかもしれなかったが、あまりにも待機時間が長いと今度は小屋に到着する時間が遅くなりすぎてしまいそうだったからだ。
今回は歩き始めて稜線に至るまでに雨は上がった。
振り返ると先ほどまで雲の中だった槍穂高の稜線もくっきりと見えている。
と、穂高の前に虹が見え始めたなと思ったら、陽が射してくるにつれどんどん濃くはっきりとしてきて、槍ヶ岳の方までしっかりと半円のきれいな虹の架け橋ができた。
七色がしっかりと判別できるくらいの虹で、よく見るとその外側にももう一つ虹ができていた。
激しい雷雨で結局1時間ほどタイムロスをしたのだが、結果こんなきれいな虹を見ることができ得した気分だった。
初日からこんな虹が見られるなんて幸先のいい縦走のスタートだと思った。
笠ヶ岳山荘では割り当てられたスペースに窓があり、そこから槍ヶ岳も見えるし、横になりながら星空も見ることができる最高のロケーションだった。
2日目は、まずは笠ヶ岳に登り、それから双六小屋まで稜線の縦走。
思ったよりもアップダウンのある縦走路だったが、終始右側には槍穂高の稜線を見ながら歩ける気持ちのいい稜線だった。
そして向かう先の稜線には黒部川源頭部の山々が見えている。
今度は鷲羽岳、黒部五郎岳、薬師岳を巡る山歩きをしたいと思った。
途中、秩父平というところで大きく下り、そこでライチョウに遭遇。
ちょうど親鳥が雛を呼んでいるところで、雛が足下をちょこちょこ歩いて行くのがかわいかった。
こんなに足下をライチョウのひなが歩いて行くなんていうのは初めての経験だった。
双六小屋は池の畔のとても良い雰囲気な場所なのだが、唯一の難点が鞍部なので景観が鷲羽岳の方にしか開けていないことだ。
Yはもう今日の行程は終わったとのことで小屋でゆっくりするらしく、ひとりで双六岳へ向かう。
この双六岳は、平たい山頂越しに尖った槍ヶ岳を見ることができるスポットで前から来てみたかったのだ。
双六岳に着いた時は槍ヶ岳に雲がかかってしまっていて残念だったが、30分も待っていると雲が流れ、念願だった双六岳の半円の稜線越しの槍ヶ岳を見ることができた。
30分は双六岳山頂は貸切り状態だったのだが、ちょうどこの時ひとり山頂にやってきたので話をした。
その人はここに4回来ているとのことだったが、今回が一番晴れているとのことで運がよかったなと思った。
双六小屋は巨大な小屋で、鞍部にあるためか水も豊富な小屋だった。
3日目は、いよいよ西鎌尾根を経て槍ヶ岳へ。
双六小屋から上がるとまずは樅沢岳。
ここからは、昨日まで歩いてきた笠ヶ岳からの稜線とこれから歩いて行く西鎌尾根と槍ヶ岳から南岳にかけての稜線全てを見渡すことができた。
途中すれ違った大学生くらいの登山者が引き返してきてスマートフォンを落としてしまったが見かけなかったか聞かれた。
下から登ってきた登山者に声を掛けたところ、登っていった先からその方の呼ぶ声が聞こえスマートフォンを発見してくれた。
直接見つけたわけではなかったが、下から登ってきた方に声をかけてよかったなといいことをした気分になった。
8月も2週目ともなると、山は秋の気配を感じる。
2週間前、立山では花盛りだったが、この稜線も花は終わりかけなのか途中ウスユキソウの群落が目を引いたくらいだった。
西鎌尾根は最後ずっと岩場なのかと思っていたが、少し岩場があっただけで、最後も傾斜は急だが登りやすい登山道だった。
槍ヶ岳に登るのは初めてだったが、この西鎌尾根からでよかったかもしれないと思った。
槍の肩に到着すると、今までの静かな稜線が嘘のような賑わいである。
槍の穂先に登るとまあまあ雲は切れていて、周囲の景色も楽しめ、穂高までの稜線も見ることができた。
こんなに混まないのなら途中お昼でも食べながらゆっくりしたい見晴らしのいい場所の多い槍の穂先だったが、これだけ行列になるのならそれも叶わない。
ただ後ろを歩いていたのが小学校くらいの小さな子で、なかなか足が届かないのかゆっくりだったので、後ろを気にせずゆっくり写真を撮ることができたのはよかった。
槍ヶ岳から南岳への稜線に入るとまた静かな稜線歩きになる。
この稜線は北アルプスの3000m級の稜線となる。
Yは百名山フリークであるだけでなく、3000m峰フリークでもあるのでこの稜線の大喰岳、中岳、南岳も今回の大きな目的だったのだ。
南岳へ至るとYはこれで3000m峰全てに登ったとご満悦で、なるほど山に登る目的というのは千差万別なので、うん、それはそれでめでたいことではあるなと祝福したい気分になった。
南岳小屋からすぐ南側の小高いピークからは大キレットを見下ろすことができた。
今回、日程的にはここを歩くのは可能なのだが、やはり大キレットは気力も体力も充実させて、これだけを目的に歩いたほうが安全だねということで今回は見送ることにする。
このあたり、無理をしないのはYと気が合うところである。
夕暮れ時には大キレットに掛かっていた雲も取れ、雄大な稜線を見ることができた。
そして頭上には赤く染まる面白い雲が出て、小屋からもテントからも人がでてきて、それを眺めていた。
その夜はものすごい雷鳴と稲光だったが、雨はそんなに降らなかったようだった。
4日目、いよいよ最終日。
最初は山小屋3日なんて久しぶり過ぎて耐えられるかななんて思っていたが、過ごしてみたらなんでもなかった。
今回は昔山に長期で行っていたときには持って行ったこともなかった汗拭きシートを持って行ったからかもしれない。
南岳から天狗原=氷河公園を経て上高地へ下りる。
氷河公園なんていう名前が付いているが、ここは氷河が削り取った岩がたくさん堆積していて公園には程遠い荒々しい場所だ。
今日は土曜日になるので、槍沢との合流地点に近づくにつれ下から登ってくる人が多くなった。
その中にはかなり軽装な人も多く、もしかして「公園」という名前に騙されているのではないかななんて心配になった。
槍沢ヒュッテまでは槍沢沿いの気持ちのいい道で、横尾までも林間の気持ちのいい道だ。
ただ横尾から先は何回も歩いたことのあるのでそんなに感慨はない。
徳沢まで来るともう観光地といった雰囲気で、徳沢も小梨平も大量のテントで溢れ返っていた。
この人たちが明日から山に大挙して押し寄せると思うと、やはり休日に重ならないように夏休みをとってよかったなと思った。
今回久しぶりに山中3泊4日の山行をしてみて、今の自分でも山中3日も耐えられることが分かったので、これからちょっと長期の山行を計画してもいいかなと思った。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する