荒川三山(悪沢岳)から赤石岳は大絶景とシロバナタカネビランジなど咲く花の縦走路
- GPS
- 51:50
- 距離
- 27.1km
- 登り
- 3,017m
- 下り
- 3,017m
コースタイム
- 山行
- 4:25
- 休憩
- 0:55
- 合計
- 5:20
- 山行
- 3:50
- 休憩
- 2:40
- 合計
- 6:30
- 山行
- 6:30
- 休憩
- 1:30
- 合計
- 8:00
天候 | 8/3:晴のち曇 8/4:晴のち曇 8/5:晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
八王子 国道413号(道志みち) 新東名高速・新御殿場IC 新東名高速・新静岡IC 静岡県道27号線 静岡市南アルプス赤石温泉「白樺荘」前泊 畑薙第1ダム 復路: 畑薙第1ダム 国道362号線 新東名高速・静岡SAスマートIC 新東名高速・新御殿場IC 国道413号(道志みち) 八王子 |
写真
感想
昨年9月に職場の先輩と登るはずだった荒川三山(悪沢岳)と赤石岳。
その時は沖縄付近の台風11号と秋雨前線で中止したのだが、今回も沖縄付近を台風6号が迷走していて全体的に湿った南風が吹き込んでおり、南アルプス南部は連日午後には雷雨となりそうな状況だ。
東海フォレストの山小屋の予約開始日の昼に予約サイトにアクセスしたものの赤石岳山頂の避難小屋は取れず、1日目千枚小屋泊、2日目荒川小屋泊になっていたので2日目の行動時間は短く安心だが、初日と3日目は午後に雷雨に会うかもしれない。
1日目(8月3日)の7:15に畑薙第1ダム夏期臨時駐車場から椹島まで行く東海フォレストのバスが出るため前日に車で5分程の位置にある静岡市営の白樺荘に泊まった。
8月2日の18時過ぎに新東名高速の新静岡ICを出たところで白樺荘から電話があり、道中はかなりの悪路で落石でパンクしたお客さんもいたので気を付けるようにとのこと。
確かに安倍川を渡った先の大井川へ越えていく静岡県道27号線はかなりの悪路で落石だらけだった。
静岡県というと海沿いの幹線道路のイメージが強いが少し北部へ行くとこんなにも峻険な山間部なのである。
1日目:8月3日。畑薙第1ダム夏期臨時駐車場から東海フォレストのバスに乗る。
予約しているので並ぶ必要はないと7時近くに着いたら行列ができていてほぼ最後尾だったが、バスは予約者数に合わせて2台出たので問題はなかった。
うとうとしていると1時間ほどで椹島に到着。
気持ちの良い青空の下8:30過ぎに椹島を出発。
千枚小屋に着くまでに天気は持ってくれるだろうか。
東海フォレストの親会社である東海パルプ(現・特殊東海製紙)の創業者の紹介パネルがあり、東海パルプが大倉財閥だと知る。
静岡県が山梨県と長野県に食い込んでいる尖った部分の広大な山域をなぜ一企業が所有しているのか不思議だったが、大倉財閥と知りなんとなく納得。
登り始めは南アルプスらしい樹林帯の急登が続き、このままこれが続くのかと思ったが、途中からはだらだらと長い緩い登りとなった。
ミズナラ林から亜高山針葉樹林になっても林床に花のひとつもない。
本当に稜線に高山植物のお花畑があるのか心配になってくる。
展望が開けたのは途中2箇所だけだった。
見晴岩で下ってきた方とお話しすると、昨日は12:40から雷雨だったそうだ。
この時点で12:30近くだったので少し心配になってきた。
目の前に見える荒川三山、赤石岳も雲を被ってきた。
この先の樹林帯では稲の害虫のヨコバイに似た緑色の虫が大量にたかってくる。
先輩は半袖だったのでその虫が汗を吸おうとするらしくチクチクしたそうだ。
ミズゴケでふわふわの駒鳥池を過ぎマルバダケブキがたくさん咲いているところだと思ったら、そこが千枚小屋だった。
千枚小屋の周囲はマルバダケブキ、ホソバトリカブトがたくさん咲いていた。
トリカブトなんてもうなんとなく秋の雰囲気だ。
きれいな小屋だったが北アルプスの小屋と違って乾燥室なんていうものはないので、汗に濡れたシャツを外に干すことにした。
天気も意外と持っていて雨が降り出したのは17時過ぎだったのでシャツも充分に乾いていた。
その夜はなぜか全身に蕁麻疹が出て寝付けないし、少し寝付いたかと思ったら気持ちが悪くなってしまった。
こんなことは初めてで、これは高山病の一種なのか疲れがたまっているのか、翌日は行程が短くて良かった。
2日目:8月4日。この日の行程は荒川小屋までと短めなのでゆっくりと6時にスタート。
すっかり陽は昇っていて小屋の正面に富士山が縞模様になって浮かんでいる。
蕁麻疹はそこそこ治まっていたが、なんとなく体調不良なのでゆっくりと千枚岳に向かって登っていく。
すぐに樹林帯を抜け大展望が広がる。
千枚岳山頂で50分ほどゆっくりしていると体調もすっかり良くなった。
千枚岳を下り次の丸山までの鞍部で見たいと思っていたシロバナタカネビランジを発見。
数株しかないのかと思っていたら、このシロバナタカネビランジが次から次へと咲いている。
シロバナタカネビランジを始めタカネマツムシソウ、タカネナデシコが咲き誇るお花畑を歩いていると、前方を歩いていた千枚岳山頂でお話した方からライチョウがいると教えていただく。
南アルプスでライチョウを見るのは初めてだった。
荒川三山の内の最高峰は東岳で別名は悪沢岳。
深田久弥氏の日本百名山を意識している人は悪沢岳と呼ぶことが多いのだろうか。
でもそういう人でも水晶岳を黒岳、日光白根山を奥白根山、羊蹄山を後方羊蹄山(しりべしやま)と呼ぶ人は少ないようなので、これは深田久弥氏を無視してまとめて荒川岳でいい気がしていた。
ただ実際に荒川三山を見てみると、前岳・中岳と東岳の間の鞍部がかなり下がっていて東岳だけ別名が付いているのも分かる気がする。
荒川三山の最高峰は荒川岳の東岳なのか、荒川東岳なのか、それとも悪沢岳なのか、なんだか面倒だ。
丸山から東岳(悪沢岳)までは気持ちの良い稜線歩き。
東岳(悪沢岳)からは360度の大展望。
富士山も湧き上がる雲に囲まれていたがしっかりと見えていた。
出発時間が遅く到着が8:30を過ぎていたので全体的に雲が湧いてしまっていた。
東岳(悪沢岳)と次の中岳の間はまたまたお花畑。
タカネマツムシソウを中心としたお花畑だ。
中岳山頂に立つ中岳避難小屋は本当に避難小屋といった小さな小屋だ。
東岳(悪沢岳)の山頂で出会った方は山小屋がうまく取れなかったのでここで2泊して伊那の方に下るとのことだったが、ここに2泊はちょっときついかなというほどの小さな小屋だった。
東岳(悪沢岳)でも中岳でも1時間ほど山頂でゆっくりとした。
東海フォレストの山小屋を予約しないと椹島までのバスに乗れないという制限があるので、メジャーな山のわりに人が少ないのもいい。
同じ方向に歩いていく人もほぼ同じメンバーなので、だんだん顔見知りになってくる。
大規模な山容ながら、なんとなくアットホームな雰囲気の山だ。
ライチョウがいるのを教えていただいた方もその後何回も山頂で出会うので、畑薙まで京王八王子駅から毎日アルペン号で入ったことなども伺った。
新静岡ICから先のあの悪路を毎日アルペン号は岩で車体をガリガリいわせながら走ったそうだ。
荒川小屋まで下りていく鞍部が南アルプス最大規模のお花畑とのことだったが、シナノキンバイとハクサンイチゲを中心とするらしいそのお花畑は全て花が終わってしまっていた。
8月の1週目でももう遅かったようだ。
その代わりシロバナタカネビランジとタカネマツムシソウのお花畑が見られたのでいいのだ。
千枚小屋よりもさらに小さな荒川小屋。
ただとてもきれいだ。
夕食はカレーか…と思ったのだが、このカレーが独特のスパイスが効いていてとてもおいしく2回お替りをした。
荒川小屋は2階建てだったが、2階部分にはまったく人を入れていない。
そして夕食時に隣になったご夫婦は光岳の方から縦走してきたとのことだったが、百間洞山の家はたった8人しか宿泊者がいなかったそうだ。
完全予約制でこのハイシーズンで8人しか泊まれないのではそれは山小屋予約があんなにも激戦になるわけだ。
間を空ける以上に宿泊者を制限してしまっているのはどうしてだろうか。
東海フォレストが今後これらの山小屋の運営をどうしていきたいのかが見えてこないということで話が盛り上がった。
3日目:8月5日。今日は赤石岳山頂を経て椹島まで下るので4:30に出発。
日の出前に山小屋を出発するのは久しぶりだ。
ただもう充分に明るいし、樹林帯でもなかったのでヘッドランプは必要なかった。
荒川小屋からトラバースしていき見晴らしの良い場所に出るとそこが大聖寺平。
中央アルプスから北アルプスまで全部見えている。
そしてその手前の伊那谷から松本盆地まですべて雲海になっている。
南アルプス南部からこんなにも北アルプスまで見えるなんて思わなかった。
小赤石岳に向かって稜線に上がるとこんどは目の前に雲海に浮かぶ富士山。
予約が取れなかったという偶然とはいえ、荒川小屋に泊まって赤石岳に向かって朝日の中の景色が見られたのが本当に良かった。
赤石岳に近づくと子ライチョウが出てきて、そして親ライチョウも発見。
富士山を眺めるようにライチョウがたたずんでいる。
赤石岳山頂では中央アルプスから北アルプス、南アルプス北部まで、そして奥秩父や関東山地、富士山と大展望で、早い時間に出て良かったなあと思う。
そして、昨年9月に秋雨前線の中無理して登らず、1年待って良かったなと思う。
この時季に登ったからこそのあのお花畑を見られたのだ。
さらに偶然とはいえ荒川小屋に泊まったのも良かった。
お陰で、早朝の一番いい時間に大聖寺平からの中央アルプスから北アルプスにかけての大展望と大雲海を眺めることができた。
名残惜しいけれどバスの時間もあるので1時間ほどで赤石岳山頂を出発。
椹島までは激下りかと思っていたが、最初の北沢源頭部あたりまでは谷筋を下るが、富士見平から先は尾根筋を下るので思っていたよりは脚に優しい。
途中スマートフォンを拾い赤石小屋に届けようと思っていたら、持ち主の方にすぐに出会えた。
その方が昨日荒川小屋でお話して今日も赤石岳の山頂で出会った方だったのが、やはり入山者が少ないこの山ならではだなと思った。
赤石小屋から先もカラマツの植林地があるのか、登山道に松葉が積もっていてそれもふかふかして歩きやすかった。
結果的にバスの時間の1時間半前に下りてきてしまったのでもう少し山頂にいれば良かったかなとも思うが、それは結果論に過ぎない。
椹島のバス停では妙に待っている人が多いなと思ったら、1本前の12:45発のバスを待っている人たちだった。
ただ14時発のバスを予約してしまっているので仕方がない。
椹島で気持ちの良い風に吹かれながら、バスを待つ時間も悪くなかった。
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