[百名山5座目]白山(美濃禅定道→観光新道縦走)〜加賀白山へテクテク歩き…夏の花と緑に癒されて
![情報量の目安: S](https://yamareco.info/themes/bootstrap3/img/detail_level_S2.png)
![都道府県](/modules/yamainfo/images/icon_japan_white.png)
- GPS
- 69:48
- 距離
- 35.7km
- 登り
- 3,372m
- 下り
- 2,826m
コースタイム
- 山行
- 4:01
- 休憩
- 0:23
- 合計
- 4:24
- 山行
- 9:51
- 休憩
- 1:58
- 合計
- 11:49
- 山行
- 5:31
- 休憩
- 1:24
- 合計
- 6:55
写真
感想
いつもは白山へは日帰りで自然散策で終わっている。今回はまだ行ったことがない加賀白山への縦走→小屋泊プラス唯一のテン場となる加賀白山の南竜。そして日帰り登山ではなく、最低でも3日の満喫コースを計画した。6月の梅雨の晴れ間以来、なかなか計画を実行できなかったが、ようやくこの日を迎えた。
■1日目(8月9日)
[名古屋→白山中居神社→神鳩ノ宮避難小屋]
前日までに、荷造りをしたかったが、伊吹山日帰りになれた身にはキツイ重量!食料をだいぶ簡素にして水4リットルを含めて15キロに収めるのは大変・・・。この重みは2キロの重みがあるテントだっていうことはわかりきっているが・・・〜せっかくの加賀白山で小屋泊なんて!と思いながら出発。
名古屋から岐阜を経て、美濃太田で長良川鉄道に乗り換え、終点のひとつ手前、白山長滝で下車する。白山長滝神社でお参りした後、いつも寄る道の駅で、かやく弁当と鮎の炊き込みご飯、水を購入。道の駅から徒歩2分くらいにあるバス停でバスをしばし待つ。見慣れた風景もこうしてバスを待つとなんだか違う風景に思えてくる。石徹白へのバスに乗り込むと長良川鉄道でいっしょだった120リットルのザックをそれぞれ手にした大学生7人組と地元の高校生が乗っているのみ(7人を見たのはこれが最後)。
終点の上在所でバスを降りれば、見慣れた白山中居神社の大杉が目に入ってくる。大杉の樹木群を横目に一路登山道へ足を進めた。白山国立公園の碑を過ぎればすぐに、花が満開で、写真を撮るの夢中に。はじめてこの道を歩いたが、虫の多さに閉口。そういえば、この辺はクマをはじめとした野生動物が多いところだった。2時間弱の道程で石徹白の登山口に到着。しかし、車道を長時間歩くのは足にこたえた。登山口の東屋で30分程休憩してから、石徹白の大杉へ。石徹白の大杉から、本格的な登山道になる。急攀ながらよく整備された登山道を神鳩避難小屋を目指して登る。ザックの重量も気にして、1時間ごとの休憩をとるものの、70リットルのザックに15キロの重さは肩と腰にかなりの負担にようだ。
休憩をかなりとっても予定時間どおりに神鳩避難小屋に到着。荷物から夕食用に道の駅白鳥で買っておいた鮎飯と明日の朝食の準備も兼ねた食事の準備。人の気配を感じたのか、ヘビがいそいで逃げ出していった。どうも泊まるのは久しぶりで、今日も私ひとりのようだ。ヒュッテにひとり貸し切りは嬉しい。またたくまに日が落ちて、満天の星空が輝いた。
■2日目(8月10日)
[神鳩ノ宮避難小屋→南竜ヶ馬場野営場(幕営)]
2日目は、一気に南竜まで行く予定。ガスがたちこめているなか、目が覚めた。ガスがたちこめていれば、歩き安いので、急ぎ神鳩避難小屋をあとにした。樹林帯が終わる母御石に着く頃にちょうどガスが晴れ、朝の眺望を楽しめた。銚子ヶ峰から一ノ峰、二ノ峰とピークを踏んで三ノ峰を目指す。ピーク付近はフウロが咲き乱れ、疲れた体を癒してくれた。二ノ峰から三ノ峰までは藪こぎもかなりあってこたえたが、三ノ峰はニッコウキスゲの群落が迎えてくれた。三ノ峰避難小屋で昼食。三ノ峰の碑に腰かけてしばし、すばらしい風景に心を浸した。ここまでで、だいぶ予定時間をオーバー。ザックの重量が体に負担をかけないように休憩を頻繁にとっているのと、普段よりスローペースでアップダウンを繰返しているからなのはもちろんのこと、コースタイムをこのことを考慮せずに計画したからみたいだ。17時過ぎに南竜につけばいいなあ…と、別山に向けて三ノ峰避難小屋をあとにした。
腰から肩くらいまである藪こぎをしたかと思えば、登山道に覆い被さる低木に四苦八苦しながら、三ノ峰から別山を目指すが、別山はみえどもなかなか近づかない。標準コースタイム2時間だが、ガレ場と藪こぎ+ザックの重量に時間をとられる。何個かのピークを越えてようやく別山平へでれば、見渡すかぎりの平原とガスに見栄隠れする別山姿にしばんし心をうばわれた。別山は美しい姿とは逆に急攀とガレ場はなかなかピークを踏ませないようだ。ただ、藪こぎに疲れた身にとっては、ゴールをめざしてスローながらも着実に登っていった。そう、歩いていれば、いつかはピークに着く。いつのまにかに、別山山頂。ガスで眺望はいまいちながらも、やりとげた気分でいっぱい。
しばし休憩の後に御舎利山を見れば、これまでとはうってかわって立派な標識に驚いた。標識とは逆に、御舎利山から油坂までは、かなり面白いコースをたどった。いいかえれば危険箇所の連続。遠くからでもナギの上を登山道が通っている箇所がかなりあり、引き返したくてもエスケープできない状態に心が細くなる〜ザックの重量でバランスを崩しやすいし、少しでも滑れば、滑落=落ちたら死ぬだろうなというきぶん。しかもアップダウンがより一層きつく、なんどピークを踏んでも一向に南竜は見えてこない。救いなのはガスで天然のエアコンがかかっていたことくらいだろうか。油坂の頭でようやく南竜が見えてほっと一息〜で、危険マークを忘れてガレ場で滑ってしまった(滑るのはこの日何度もあったけど...)。目的地が見えたときにほっとする瞬間がいちばん危ない。南竜までは、さあ80%でゴールというときに油坂を下りきって、また登り直し。この最後の登りはさすがにこたえた。
テン場で、ここに張ろうと決めた場所にザックをデポして、受付場所へ。油坂から見たときは晴れわった南竜も、食事の準備をしているときに雨に。湿原だからか蚊が多く、ともかくテント周りは蚊がたかる始末...。雨も降ってきたので、テントの前室でお湯を沸かしてご飯となった。夜は雨が降ったり止んだり。神鳩ではシュラフカバーを必要としなかったまでも、あまりの寒さにシュラフにシュラフカバー+フリースを着こんで寝ることになった。寒さで目が覚め、テントに吊るしておいた温度計をみれば15度...(ちなみに神鳩では20度超)。
■3日目(8月11日)
[南竜ヶ馬場野営場→甚之助避難小屋]
前日と同じように、朝夕兼用の朝ごはんをすませて、御前峰を目指した。アルプス展望台は晴れていれば、北アから中アまで一望できるとのことだが、南竜を立つときは晴れ渡った空も、アルプス展望台に着くころには雲がかかっており、アルプスは雲海の中。眺望はいまいちなれど、ここから急に高山植物も美濃側と表情を変え、イワギキョウ、そして、今回いちばん期待していたクロユリが姿をあらわした。平瀬道分岐手前から雨が降りだし、寒さもあって雨具を着こんで歩き出す。雪渓の手前からクロユリが群生しだし、雨の水滴がかわいらしく光っていい感じだった。
クロユリに目をやりながら歩けばすぐに室堂へ到着。室堂に到着するなり、雨が本降り...。自分の判断的にここで大汝峰を越えるかどうか、かなり悩む...。室堂に掲示されていた天気図をみながらさらに悩む。御前峰にとりあえず登ろうと、とりあえず一歩を。周りをみれば、かなり雨足も強く、寒いのに軽装(Tシャツ姿も...)が多いのが気になる。他の登山者が少ないうちに御前峰を登る。雨はきつく、ガスもきついが、登れないわけではない。足下では、イワギキョウが咲き乱れている。水滴がついた姿も写真におさめながら、山頂に到着。ここで、大汝峰→七倉山→四塚山→加賀禅定道をあきらめて、エスケープルートの砂防新道へ。次に今日の泊りをどこでするかで悩む。ここで、宿泊場所で候補から外れたのが、蚊が多い南竜。次に室堂か甚之助かで悩むが、室堂に到着するなり、団体客が次々に到着するのをみて、室堂を素通りして、甚之助へ向かった。
美濃禅定道とは対照的に天国みたいな登山道に足も速くなる。昼過ぎに甚之助に到着して、泊まる準備をしたが、小屋前の喧騒とは逆に、宿泊者は自分ひとりのようだ。先に休んでおられた方が「縦走でもするんですか?」と声をかけてこられた。この方が出られてから、年配の方が2人入ってこられて、宿泊者は3人となった。しかし、マナーのない登山者だらけで、小屋内に休んで人がいるのに、小屋内で子どもが騒ぎまくるのを親は注意もしない。ドアをあければ寒いし、虫も入ってくるのにほとんどの人間はドアを開けたまま出ていく(そういう人間のほぼ100%はただ小屋内を覗きにきただけ)。トイレを利用して協力金を払った人はゼロ。あげくの果てには、「電気がなくて暗い!」なんて山ガールもいる(甚之助はたぶん白山で最高級のトイレなんですけど...)。こういう山のルールさえ知らない人間にいちいち腹をたてていては、せっかくの白山が台無しになってしまうので〜16時を過ぎればどうせこいつらいなくなるんだし〜と、じっと静けさがくるのを晩ごはんの準備をしながら待った。
案の定、夕方までにはさっと人はいなくなった。晩ごはんを食べ終えたら、同泊の方と談笑。しばらくするとまた雨が降りだした。こうなると、日帰り客はいなくなる。夕陽の時間には雨があがって、静けさを取り戻したなかで雨上がりの夕方を楽しんだ。21時頃にトイレで目が覚め、表に出れば満天の星空に天の川がくっきりみえた。ククリノヒメ様、最高級のプレゼントをありがとうございました!
■4日目(8月12日)
[甚之助避難小屋→東横イン金沢東口(ビジネスホテル泊)]
翌朝は、6時に甚之助を出発。黒ボコ岩まで戻って、観光新道から越前禅定道を通って、市ノ瀬を目指した。同泊の方からの情報で「砂防新道は面白くないので晴れれば絶対にちょっと戻って、観光新道をいったほうがいいですよ」との言葉は、そのとおりだった。道も美濃側に比べれば、しっかりしているし、眺望もきれいだし、花も咲き乱れているし、なんといっても人が少ないのと、それなりにマナーのある人が登り降りしているのがいい。いいかえれば、観光新道は、山を楽しむ人が辿る道という気がした。途中、殿ヶ池避難小屋で休憩した後、分岐に到着。しかし、背丈ほどある藪こぎに、心がおれ、まよわず別当出合へ...。ククリノヒメ様ごめんなさい!私はまだ山屋になりきれません!〜分岐から別当出合まではロングの急攀階段(≒荒島岳)で、最後の最後で汗をかきまくり...。予定時間どおり金沢行きバスの始発30分前の11時まえに下山終了。
下山してからは、温泉宿に泊まりたかったが、休日で会員20%割引=4000円ろいう安価と洗濯ができるという魅力にひかれて金沢駅の東横インに宿泊した。この日は晴れ渡り、あと1日余裕をもって計画していたら、予定どおり一里野コースもいけただろうなと思いながら、洗濯をした。今シーズンに購入した靴下に穴があき、金沢のモンベルショップへ。帰りに予約した高速バスのチケット買いに金沢駅をウロウロしていたら、「白山に行くのかぁ?」と言われた。美濃側が表玄関だったのは過去の話。いまや金沢が表玄関で、「登り千人、下り千人」の賑わいをみせている。この日は、まえまえから行きたかった亀ちゃんラーメンを昼食に。夜は、治部煮としたかったが、部屋から出るのもしんどく、コンビニ弁当となった。金沢はかなりきていたので、どこもよらなくてもいいかあ。気になったのは携帯の充電。エネループの充電器は持ってきたものの、携帯の充電用コンセントを忘れ、エネループを充電しながら交代で携帯に充電することとなった 汗)。
■5日目(8月13日)
[東横イン金沢東口→名古屋]
一夜明けたら、雨。雨は気にならないが、「予定を続行していたら最終日は、雨だったんだろうなあ?それでも、御前峰からの眺望はみれたんだろうなあ?」って、よくありがちな思いを胸にしながら、お盆休みで、予定変更をすれば、急な宿泊予約も取れなかった手前、勇気ある撤退と考えた。週間天気予報をチェックしていても、特に白山の天気は移り変わりが激しいので、計画がたてにくいということを痛感した。帰りの高速バスの車窓から加賀白山の山系に目をやれば、遥かにうっすりと山裾を眺めることができた。反対側は2年ぶりに見る日本海。松任から小松にでれば、雲から太陽も顔を覗かせた。
4時間程のバス移動中に、来年は、金沢→別当→御前峰→大汝峰→白川→金沢か、その逆のコースを早速考えた。登山口が多く、避難小屋も多い白山はバリエーションに富んだルートをたくさん考えられる。白山は、砂防新道から御前峰に登るだけではなんの面白味も、楽しみも、なにもないつまらない山でしかない。変化をつけ、視点の角度を少しでも変えれば、山の表情を知ることができる。山は人間と同じで、知れば知る程、登る登山者に違った印象を与えてくれることだろう。白山に行くなら是非とも縦走で眺望と自然、草花の変化を楽しみたいものだ。1日の変化をみるだけでも、全てが息吹をはじめる日の出から、だんさんと紫色にそまる夕陽、輝く星空を見上げれば、かなり大きな変化があることを知るにちがいない。白山に入ったら、じっと耳をすませて、静かに空を見上げ、足下に注意してもらいたい。そして、自然と対話して欲しい。きっと白山は、登山者の問いかけに、こたえてくれることだろう。
古道に信仰の歴史を想い、咲き乱れる草花に自然を感じたルートだった(最後はルート変更しまくりだったけど^^;〜なにせ加賀白山は、はじめてだったので・・・)。
ブログをはじめました
http://edus4100h.exblog.jp/18633428/
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
美濃禅定道からの白山、良いですね。
しかも長良川鉄道とバス利用で長滝と石徹白経由とは。
時間があってもなかなか実行しにくい手段とルートですが、白山の歴史を踏まえた山行は味がありますね。
白山、大きい山なので、いっぺんに周ることはよほど時間が無いと難しいですね。
歩いたことのない北部の各ルートも長いですが、いつか歩いて見たいです。
また、それぞれの花の時期も狙って。
そうすると、さらに時間がかかりそうですが
todokitiさん、コメありがとうございます!
今回は、だいぶルートを変更しましたが、美濃からの90%は達成しましたよ。次回はゴマ平から白川郷にぬけたいですね。
白山の加賀側にははじめて、はいりましたが、加賀側の道が立派なのにはびっくりしました。
大杉までは、伊吹と重なりますが、大杉以降は、白山の威厳がまさってますね
というより、いつも伊吹で、体験できない、1日の変化をたのしめたのが、○でした。
白山を楽しむなら、時間をかけて、人をうまく避けるのが、いいですね。今週1週間は、東北での社会貢献活動で、伊吹にはいけませんが、かわりに岩手の山にいってきます
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する